集客のカギは「ホットペッパー」だけじゃ足りない？

飲食店や美容室をやっていると、こんな悩みが出てくることがある。

「クーポンは出してるし、広告も載せてる。なのに来店が増えない」
「ホットペッパーからの予約が減ってる気がする…」

そう、がんばって情報を整えても、思ったほど集客に結びつかないことってある。
なかでも地方の店舗だと、なおさら。

福岡市の繁華街や、JR博多駅周辺の飲食エリアならともかく、郊外やローカルエリアでは「ホットペッパーだけでは届かない層」が確実に存在する。

この状況、じつは検索行動の変化が深く関係している。
つまり、人の探し方が変わったということ。

今や、「駅名＋ランチ」「地域名＋美容室」「近くの居酒屋」といった検索ワードで、Googleマップの情報を見て選ぶ人がどんどん増えている。
そうなると、ホットペッパーなどの媒体に情報があっても、Googleマップで見つけてもらえないと候補にも入らないという現象が起きてしまう。

いま、ホットペッパーと並行してMEO（マップエンジン最適化）を行うことが、地方店舗にとっても無視できない選択肢になってきている。

MEOとホットペッパーは“競合”ではない

まず大事な前提をひとつ。
「ホットペッパーとMEOはどっちがいいの？」という問いは、実はあまり意味がない。

なぜかというと、役割が違うからだ。

媒体	主な目的	主な利用シーン
ホットペッパー	クーポン・予約導線を作る	店を比較・検討している中盤フェーズ
Googleマップ（MEO）	店の存在を“発見”してもらう	まだ候補すら決まっていない初期フェーズ

ホットペッパーは、検索やエリアランキングなどから「店を探している人」が見る媒体。
でも、その前段階で「どんなお店があるんだろう」と店自体を発見してもらう場所が、Googleマップだ。

たとえば「宮崎駅 居酒屋」で検索したとしよう。
検索結果の上部に出てくるのは、ホットペッパーではなくGoogleマップの店舗情報が先に並ぶ。

ここで選ばれなければ、そもそもその店舗は「見られる機会すらない」かもしれない。
つまり、ホットペッパーで比較される前に、Googleマップで脱落している可能性があるというわけだ。

口コミが「集客力」になる時代へ

ホットペッパーにも口コミ機能はあるけれど、実際にユーザーが参考にしているのはGoogleマップ上の口コミが中心になっている。

その理由はシンプル。
Google検索とマップに連動しているから、すぐに表示され、すぐに目に入るからだ。

2024年の調査によると、ローカル検索を行ったユーザーのうち、76％が24時間以内に実際の来店につながっているという結果が報告されています。
また、別の調査では、Googleマップでルート検索を行ったユーザーの85％が実際に来店しているというデータもあります。
つまり、マップ検索からの流入は、意思決定が早い。

このとき参考にされるのが、「店名」「写真」「口コミ」「営業時間」「投稿情報」といったGoogleビジネスプロフィールの情報群だ。

この中でもとくに「口コミ」は、評価の星だけでなく、最近の投稿内容や返信の丁寧さまで見られている。

ここで、ひとつ疑問が出てくるかもしれない。
「じゃあ、MEOって何をすればいいの？」と。

MEOってなにをするの？

MEOとは、GoogleマップやGoogle検索で、自分の店舗が上位に表示されるよう最適化すること。
SEOのローカル版と考えると分かりやすい。

やるべきことは、大きく分けて以下の5つ。

1. Googleビジネスプロフィールの登録と情報整備
   　→ 店名・カテゴリ・住所・電話番号・営業時間などを正確に登録。
2. 写真の投稿・更新
   　→ 店内、メニュー、外観などの写真を定期的にアップロード。
3. 口コミの獲得と返信
   　→ 実際の利用者から自然な口コミを得る工夫と、返信で印象を高める。
4. 定期的な投稿更新
   　→ イベント情報や新メニューを投稿することで、鮮度を保つ。
5. NAP情報の一貫性保持
   　→ 他の媒体と住所や電話番号の表記を統一する。

これらをコツコツやることによって、Googleの評価が上がり、マップ上での表示順位が改善されていく。

ポイントは「一度整えれば終わり」ではなく、運用の継続が必要だということ。

MEOが機能していれば、Googleマップ経由でホットペッパーより先に選ばれることもありうる。
それくらい、検索行動が地図中心になってきている。

では、ホットペッパーはもういらないの？

ここまで読むと、「じゃあホットペッパーはもう必要ないのでは？」と思った方もいるかもしれない。

答えはノー。むしろ、MEOとホットペッパーを組み合わせることが重要になっている。

なぜなら、ホットペッパーには予約機能・クーポン・顧客管理など、店舗運営に欠かせない機能が充実しているからだ。
ユーザー側から見ても、ポイントが貯まる、クーポンが使える、ネット予約できるなど、行動のハードルを下げてくれる仕組みが揃っている。

つまり、「MEOで見つけてもらって、ホットペッパーで比較・予約してもらう」という流れの構築が理想的な集客モデルになる。

いわば、Googleマップは“呼び水”、ホットペッパーは“受け皿”だ。

両者が連携して機能することで、検索→比較→予約→来店までの導線がスムーズになり、結果的に「もっとも選ばれやすい状態」をつくれる。

MEOとホットペッパーの連携、どうやる？

では、実際にMEOとホットペッパーをうまく連携させて集客を高めるには、どんな設定が必要なのか。
ここでは、具体的な操作や工夫について紹介する。

1. Googleビジネスプロフィールにホットペッパーのリンクを追加

Googleビジネスプロフィールの管理画面から、以下の手順で設定可能。

手順

1. Googleビジネスプロフィールにログイン
2. 店舗情報を選択
3. 「ウェブサイト」や「予約リンク」の欄に、ホットペッパーページのURLを貼り付け
4. 保存して完了

これにより、Googleマップからホットペッパーへの導線ができ、予約の機会を逃しにくくなる。

2. 定期的に投稿でホットペッパーを紹介

ビジネスプロフィールには「投稿」機能がある。
ここに「おすすめメニュー」「今月のクーポン」などの情報とともに、ホットペッパーのリンクを記載するとよい。

たとえば以下のように記載すると自然で、かつ誘導力もある。

今週のランチセットは、なんと1,000円ポッキリ！
詳しくはホットペッパーから→（リンク）

こうした情報の鮮度と誘導先の明示が、マップ閲覧からの予約率を高めるポイントになる。

店舗運営者がMEOで注意すべきポイント

MEOはただの「設定」ではなく、「日々の運用」にも工夫がいる。

注意したいのは以下の3点。

過剰な口コミ依頼はNG

口コミが大事といっても、特典と引き換えに依頼したり、家族・友人に高評価を投稿させるのは、Googleポリシー違反に該当する。

ポリシーに反する方法は、アカウントの停止や表示順位の低下につながるリスクがある。

ユーザーが自然に書きたくなるような接客・演出、または来店後に「よければ口コミお願いします」と伝える程度にとどめておこう。

表示情報の「一貫性」

店舗の名前、住所、電話番号（NAP情報）は、Googleビジネスプロフィール・ホットペッパー・公式サイト・SNSなど、すべて同じ表記に統一しておくこと。

たとえば「1丁目3-2」と「1-3-2」は同じ住所でも、Googleは「違う住所」と認識する場合がある。

写真の定期更新

Googleマップを閲覧しているユーザーは、写真から店舗の雰囲気や清潔感を読み取る。
とくに飲食・美容系では、写真の印象で判断が9割決まるとも言われている。

写真が3年前のものしかなければ、それだけで「今は営業してないのかな？」という不安を与える原因にもなる。
月に1回は写真を更新するつもりで運用していこう。

MEO×ホットペッパー戦略、成功の分かれ道は“整備”にあり

結局のところ、MEOとホットペッパーのどちらが強いかではなく、両方を活かす設計ができているかどうかが勝負の分かれ道。

たとえばこんなチェックリストを使ってみてほしい。

チェック項目	状態
Googleビジネスプロフィールに基本情報が正確に記載されている	○／×
最新の口コミが1ヶ月以内に投稿されている	○／×
定期的にGoogleマップ投稿を更新している	○／×
ホットペッパーページにアクセス導線が設けられている	○／×
両者の写真が鮮度高く、店舗の魅力が伝わっているか	○／×

○が多いほど、「見つけられ・選ばれ・予約される」確率が高くなる。
逆に×が多ければ、それだけ来店のチャンスを逃しているということ。

まとめ

検索行動が地図中心になった今、Googleマップでの“発見”からホットペッパーでの“予約”へとつなぐ導線を整えることは、集客効率を最大化するために欠かせない視点になっている。

特に地方の店舗では、周辺競合が少ない分、MEOが効くスピードも早い傾向がある。
「どうせローカルだから意味ない」ではなく、「ローカルだからこそ早く効く」ことに気づいた者勝ちだ。

ホットペッパーは“辞める”ものではなく、“活かす”もの。
そして、MEOはそれを支える“仕組みの土台”だ。

広告を打つ前に、“見つけられる準備”ができているか？
まずはそこから始めてみてほしい。