広報AIツールを自作する手順|1業務の設計シートと失敗の避け方

広報AIツールを自作する手順|1業務の設計シートと失敗の避け方

この記事の要点

  • 最初の形は専用チャット。材料4点と指示文を入れればコードは不要
  • 1業務を6ステップで作り、8項目の確認表で下書きを毎回確かめる
  • 古い数字が混ざるなど、つまずきやすい4つの失敗と防ぎ方を本文で解説

広報AIツールの自作は、ChatGPTとClaudeのプロジェクト、GeminiのGemのような「指示文と資料を保存できるチャット」に、1つの業務用の材料4点と指示文を入れるところから始めます。最初はコードを書く必要はありません。過去の実例で試し、8項目の確認表で下書きを毎回確かめる流れまで決めておけば、公開前の誤りを社内で止められます。

広報を1〜3人で担当していて、プレスリリースや社内報の下書きに時間を取られている方に向けた記事です。読み終わる頃には、自社の1業務を選んで設計シートを埋め、2週間の試運転を始められる状態を目指します。

広報以外も含めた「会社として最初にどの業務にAIを入れるか」は、この記事では扱いません。そこから考えたい方は、先に中小企業がAI導入で最初に選ぶ1業務の決め方をご覧ください。

Contents / 目次
  1. 広報AIツールの自作は「専用チャット」と材料4点から
  2. 広報AIツールを自作する手順6ステップ
  3. 広報AIツールの自作でつまずく4つの失敗と防ぎ方
  4. 広報AIツールを自作すると変わること
  5. 自作する前に知っておきたい保守の手間と、市販ツールとの分かれ目
  6. よくある質問
  7. 今日できる最初の一歩と相談先

広報AIツールの自作は「専用チャット」と材料4点から

広報AIツールを自作するなら、最初の形は「専用チャット」で十分です。専用チャットとは、指示文と参考資料をあらかじめ登録しておき、それを前提に答えるよう設定したAIのチャットのことです。

ChatGPTのプロジェクト、GeminiのGem、Claudeのプロジェクトがこれにあたります(2026年10月10日時点)。ChatGPTのGPTsは、個人向けのプラン(Free・Go・Plus・Pro)では新しく作れません。作れるのは、設定と権限で認められたBusiness・Enterprise・Eduのワークスペースの利用者です。GPTsは提供を終え、「Plugins」へ移行する予定です。GeminiのGemもスキルへの移行が予定されています。Gemの提供が終わるのは、個人のGoogleアカウントでは2026年11月、WorkspaceのBusiness・Enterprise・Non-Profitでは2027年3月で、作ったGemは自動でスキルに移行されます。機能の名前や登録できる資料の範囲は各社・プランで違い、変わることもあるため、使う前にリンク先の各社の公式ヘルプで確認してください。

プレスリリースも社内報もSNS投稿も、流れは「材料を集める、下書きを書く、確認して修正する、公開する」の4段階です。このうち下書きを専用チャットに任せ、材料の用意と確認は社内で行います。広報担当者が時間を使う場所が、書く作業から確かめる作業に移ります。

自作するときに用意するのは、次の3つです。

  • 設計シート:選んだ1業務の流れを書き出し、AIが行う作業と社内で行う作業を分けたもの
  • 材料4点と指示文:過去の見本、表記ルール表、会社の基本情報、禁止事項と、それを使って下書きを作らせる短い指示文
  • 確認表:下書きの数字・固有名詞・表現を公開前に確かめる8項目

作り方は、専用チャットのほかに2つあります。違いは次の表のとおりです。

作り方作るもの必要な準備向いている条件
専用チャット(ChatGPTとClaudeのプロジェクト、Gem)指示文と資料を登録したチャット会社名義のアカウント、材料のファイル。利用できるプランは各社の公式ヘルプで確認使う人が1〜2人、1種類の文書の下書き
フォーム+AI(GoogleフォームとGAS、Difyなど)入力欄に書くと下書きが返る仕組み使うサービスの契約(仕組みによってはAIのAPIキーと従量課金の管理も要る)、簡単なスクリプト入力する人が3人以上、結果を一覧に貯めたい
専用画面(Cursor・Lovable・Claude CodeなどでVibe coding)社内用のWebアプリ公開場所、ログイン、保守の担当者複数の業務を1つの画面にまとめたい

Vibe coding(バイブコーディング)とは、作りたいものを日本語で伝え、AIにコードを書かせる作り方です。便利ですが、APIキーの管理や公開後の保守まで自社で持つことになります。

専用チャットなら、うまくいかないときに修正するのは指示文と材料だけで済みます。まず専用チャットで1業務を回し、足りない点がはっきりしてから次の形に移るのが、手戻りの少ない順番です。

広報での生成AIの利用は、すでに当たり前になりつつあります。日本広報学会が国内の企業・団体の広報担当者などから104件の有効回答を得た調査の第2回 広報における生成AIの活用実態調査 報告書は、「導入済み層は77.0%に達した」とまとめています。同じ報告書によると、前回(2024年)の調査では37.2%でした。

同じ報告書では、利用の中心はプレスリリース作成やコピー案出し、企画の壁打ちといった「書く」「考える」業務で、不安は正確性、機密性、知財侵害に集中していると報告されています。自作ツールで確認表と入力してよい情報を先に決めておくのは、この正確性と機密性の2つに、毎回同じ手順で対応するためです。

材料4点のうち、表記ルール表と確認表は、書き慣れていないと何を書けばいいか迷う部分です。広報が1人で社内に相談できる人がいない場合は、講師と1対1で学ぶ広報のAI活用研修(オンライン)で、自社の広報業務を題材に下書きから振り返りまでを進める方法もあります。

この章の結論。最初の広報AIツールは、専用チャットに材料4点と指示文を入れる形で作ります。フォームや専用画面に移るのは、1業務が回り、足りない点が分かってからで間に合います。

広報AIツールを自作する手順6ステップ

1業務を選ぶところから試運転の判定まで、次の6ステップで進めます。

  1. 任せる1業務を選ぶ
  2. 設計シートで、AIが行う作業と社内で行う作業を分ける
  3. 材料4点をそろえる
  4. 指示文を書き、専用チャットに登録する
  5. 過去の実例で試し、確認表で採点する
  6. 本番で2週間試運転し、続けるかを判定する

ステップ1 任せる1業務の選び方

最初の1業務は、同じ型の文書を月に何本も書いていて、誤りがあっても公開前に社内で止められるものから選びます。選ぶ条件は次の4つです。

  • 回数:同じ型の文書を月2本以上書いている
  • 材料:下書きに必要な情報が、取材メモや企画書など文字の形でそろう
  • 見本:「これは良かった」と言える過去の文書が3本ある
  • 影響:誤りがあっても、公開前に社内の確認で止められる

広報の主な業務を、この4つの条件に当てはめると次のようになります。

業務最初の1業務に理由
取材メモから社内報の記事の下書き向いている材料が文字でそろい、公開先が社内
1本の告知文からSNS媒体ごとの投稿文を書き分ける向いている元の文章がそのまま材料になり、型が決まっている
取材依頼・問い合わせへの返信文の下書き向いている過去の返信がそのまま見本になる
プレスリリースの下書き2つ目以降に社外に出るので確認が重い。確認表の運用に慣れてからのほうが安全
メディアリストの更新専用チャットでは不向き記者の異動など最新の情報はAIの記憶に無く、別の仕組みが要る
効果測定レポートの集計専用チャットでは不向き数値の計算は表計算で行い、AIには集計結果の文章化だけを任せる
不祥事や炎上時の声明文向かない1文ごとに経営判断が要り、下書きより確認に時間がかかる

ステップ2 設計シートで「AIが行う作業」と「社内で行う作業」を分ける

業務を選んだら、その業務の流れを1行ずつ書き出し、AIが行う作業と社内で行う作業に分けます。ここを飛ばすと、誰が確認するのかが決まらないまま、下書きだけが増えていきます。

次の設計シートをコピーして、社内報の例を自社の業務に書き換えて使ってください。

【業務名】取材メモから社内報の記事の下書きを作る
【今の手順と時間】(例)取材30分 → メモの清書20分 → 記事の執筆2時間 → 上長の確認
 ※時間は次の1本で実際に測って書く
【AIが行う作業】取材メモから見出し案と本文の下書きを作る。材料に無い点を一覧にする
【社内で行う作業】取材とメモ作成/確認表での確認/取材した本人への確認/公開
【材料】取材メモ、過去の良い記事3本、表記ルール表、会社の基本情報
【入力しない情報】公表前の人事、個人の連絡先、取引先との契約条件
【確認する人】(名前)
【うまくいったと判断する基準】下書きの修正にかかる時間が、一から書く時間より短い
【試運転の期間】2週間

「今の手順と時間」は記憶で書かず、次の1本で実際に測ってください。ここが空欄だと、試運転のあとに時間が減ったのかどうかを比べられません。

ステップ3 材料4点のそろえ方

専用チャットに登録する材料は、次の4点です。

  • 過去の見本3本:社内で評価の高かった文書。日付・数字・人名・製品名は「[日付]」「[製品名]」のように伏せ字にしてから入れる
  • 表記ルール表:使わない言葉と置き換え先、統一する表記の一覧(例は失敗の章で紹介します)
  • 会社の基本情報:正式社名、事業内容、拠点、製品名の正式表記、問い合わせ先。ファイルの先頭に「〇年〇月〇日時点」と書いておく
  • 禁止事項:書かない表現(根拠の無い「業界初」など)と、入力しない情報の一覧

見本を伏せ字にするのは、AIが見本の数字や製品名を新しい下書きに写してしまうのを防ぐためです。見本から学ばせたいのは構成と言い回しだけなので、数字と固有名詞は最初から見せないようにします。

材料を入れるアカウントは、個人のものではなく会社名義にしてください。入力した内容がAIの改善に使われるかどうか、管理者が履歴を確認できるかどうかは、使うサービスとプランの利用規約や公式ヘルプで確認してください。考え方はAIの法人プランと個人プランの違いで解説しています。

ステップ4 指示文の書き方と専用チャットへの設定

指示文には、役割、作る文書、材料の使い方、表記、材料に無いときの扱い、出力の形が入っていれば十分です。長く作り込む必要はありません。出発点のたたき台として、次の文面を使ってください。

あなたは[会社名]の広報担当の下書き係です。
【作る文書】社内報の記事(800〜1,200字)
【材料】このあと貼る取材メモだけを使う。見本の記事は構成と言い回しの参考にし、数字と固有名詞は見本から取らない。
【表記】登録した表記ルール表に従う。
【材料に無いこと】推測で書かず「[要確認:〇〇]」と書いて残す。
【出力】見出し案3つ → 本文 → 材料に無かったため確認が要る点の一覧

このたたき台を専用チャットに登録したら、あとはAIと対話しながら自社の業務に合わせて詰めてください。いまのAIは、「この指示文をもっと分かりやすく直して」と頼めば自分で書き直してくれます。大事なのは文面の完成度より、次のステップで出力をどう確かめるかです。

専用チャットの作り方と画面の名前は各社で違い、変更もあるため、正確な手順は各社の公式ヘルプで確認してください。流れをつかみたい方は、Gemini Gemで社内AIアシスタントを作る手順が参考になります。

ステップ5 過去の実例での試験と8項目の確認表

本番の前に、すでに公開した文書の材料を使って試します。正解の記事が手元にあるので、下書きの良し悪しを比べられます。たとえば、次のような取材メモを渡します。

【取材メモ(例)】
・話した人 製造部 山田さん(入社3年目)
・部内で新しい検品の手順を作った
・不良の見逃しが減った(件数は部長に確認中)
・来月から他の工場にも広げる予定

指示文が効いていれば、次のような形で返ってきます。

【見出し案】
1. 入社3年目が見直した、製造部の検品手順
2. ……
【本文(冒頭)】
製造部の山田さんは入社3年目。部内で使う検品の手順を、自分たちで見直しました。……
【確認が要る点】
・[要確認:不良の見逃しが減った件数]部長に確認中のため、数字は入れていません
・[要確認:他の工場に広げる時期]「来月」が何月かを確認

このとき、本文に「見逃しが半分に減った」のような材料に無い数字が入っていたら、指示文がまだ効いていません。出てきた下書きは、次の8項目の確認表で1つずつ確かめます。

  • 数字:日付・価格・人数・割合が、すべて今回の材料にあるか
  • 固有名詞:社名・製品名・人名・役職が、材料と1字ずつ一致しているか
  • 足された主張:「業界初」「No.1」のように、材料に無い根拠が要る表現が足されていないか
  • 表記:表記ルール表の置き換えが守られているか
  • 見本の混入:過去の見本の日付や製品名が混ざっていないか
  • 読み手:記者・社員・お客さまなど、向けた相手に合った言葉になっているか
  • 公表範囲:公表前の情報が、今回出してよい範囲だけになっているか
  • 本人の確認:社員や取材先の名前・発言を載せる場合、本人の確認が取れているか

確認表で見つけた誤りは、下書きを修正して終わりにせず、原因の場所に戻して直します。そうしないと、次の下書きでも同じ誤りが出ます。戻す先は次の表で決めてください。

出た誤り戻す先直し方の例
材料に無い数字が入った指示文「材料に無い数字は書かず[要確認]にする」を指示文の先頭に移す
見本の古い製品名が入った見本見本の製品名を伏せ字にする
表記がそろわない表記ルール表置き換えを1行足す
文体が硬すぎる、軽すぎる見本目指す文体に近い見本と入れ替える
構成が毎回違う指示文見出しの順番を指定する

ステップ6 2週間の試運転と続けるかの判定

試験で確認表の8項目がおおむね通るようになったら、本番の文書で2週間試運転します。1本ごとに、次の記録表に1行書いてください。

日付文書下書きの修正にかかった時間直した箇所の種類戻した先
(例)9/10社内報 製造部の記事35分固有名詞、表記表記ルール表に1行追加

2週間たったら、記録表を見て次の3つのどれに当たるかを決めます。

  • 続ける:修正にかかった時間が、設計シートに書いた「一から書く時間」より短い回が半分以上ある
  • 直してもう2週間:同じ種類の誤りが3回以上出ている。戻す先を直してから、もう一度試運転する
  • 業務を変える:数字や固有名詞の誤りが毎回出て、確認のほうが一から書くより時間がかかる

この章の結論。手順の中心は、ステップ5の確認表と「誤りを戻す先の表」です。下書きを修正するたびに原因を指示文か材料に戻していけば、2週間の記録で続けるかどうかを判断できます。

広報AIツールの自作でつまずく4つの失敗と防ぎ方

広報AIツールの自作でつまずくのは、材料の入れ方とアカウントの扱いです。どれも作った直後は気づきにくく、公開後や担当交代の日に表に出ます。

過去のプレスリリースを見本に入れると、古い数字や製品名が新しい下書きに混ざる

過去のプレスリリースを、そのまま専用チャットの資料に入れた場合に起きます。AIは見本の文章を参考にするので、前回のリリースにあった従業員数、旧製品名、前任の担当者名を、新しい下書きにもっともらしく書き込むことがあります。

数字も固有名詞も文章として自然なので、読み返しても違和感がありません。そのまま配信すると、訂正のリリースを出すことになります。

防ぐには、ステップ3のとおり見本の数字と固有名詞を伏せ字にしてから入れます。そのうえで、確認表の「数字」「固有名詞」「見本の混入」の3項目を、毎回材料と突き合わせてください。

「自社らしい文体で」とだけ指示すると、どの会社でも書ける広報文になる

指示文に「自社らしいトーンで」「親しみやすく」とだけ書いた場合に起きます。AIは「自社らしさ」を知らないので、「革新的な」「〜を実現します」のような、どの会社のリリースにもある言い回しで埋めてきます。

防ぐには、形容詞で頼むのをやめ、置き換えの一覧として渡します。表記ルール表は、たとえば次のような形です。

使わない・統一する言葉置き換え理由
「革新的な」「画期的な」何が新しいのかを具体的に書く根拠の無い形容になる
「お客様」と「お客さま」の混在「お客さま」に統一(例)表記ゆれを防ぐ
「〜を実現します」「〜できるようになります」何が変わるのかが伝わらない
「業界初」「No.1」根拠資料があるときだけ、出典を添えて使う根拠の確認が要る表現
代表者の呼び方「代表取締役 〇〇」に統一記事ごとに役職の書き方が変わる

表記ルール表の作り方は、AI感を消す文章の書き方とスタイルガイドでも詳しく解説しています。

公表前の情報を個人アカウントの専用チャットに入れると、会社が管理できない場所に残る

発売日・価格・提携先の名前が入った企画書を、担当者が個人で契約したアカウントの専用チャットに入れた場合に起きます。会社は、その資料がどこに保存され、誰と共有されているかを確認できません。

専用チャットは、作った人が他の人と共有できる場合があります。共有の範囲を確かめないまま広げると、公表前の資料ごと見られる人が増えます。

防ぐには、会社名義のアカウントで作り、共有するときは公開範囲が社内に限られているかを公式ヘルプで確かめます。公表前の情報は、発表日が決まるまで「[提携先]」のような伏せ字で入れ、最後に人が書き入れてください。

指示文と材料が作った人のアカウントの中にしか無いと、担当が変わった日に使えなくなる

広報担当者が1人で専用チャットを作り、指示文も材料もそのチャットの中にしか置いていない場合に起きます。担当者の異動や退職でアカウントが止まると、専用チャットごと使えなくなり、何を入れていたのかも分かりません。

防ぐには、設計シート・指示文・材料4点・確認表を社内の共有フォルダに置き、専用チャットはそこから作る形にします。作った人以外の1人に、1本だけ下書きを作ってもらう引き継ぎテストも行ってください。そこで迷った箇所が、設計シートに書き足すべき部分です。

この章の結論。4つの失敗のうち2つは材料の入れ方、2つはアカウントと置き場所の問題です。見本は伏せ字にし、文体は置き換え表で渡し、すべての材料を会社の共有フォルダに置けば防げます。

広報AIツールを自作すると変わること

変わるのは、下書きを書く時間が確認の時間に置き換わることと、書く人が変わっても同じ表記と構成で出せることです。どのくらい変わるかは業務と文書の長さで違うので、ステップ6の記録表で自社の数字を出します。

仮に、社内報の記事1本を一から書くのに2時間かかっていて、専用チャットの下書きを確認・修正する時間が40分になったとします。月4本なら、8時間かかっていた作業が約2時間40分になり、月に5時間強が空く計算です。あくまで仮の数字なので、実際の差は記録表で確かめてください。

表記も変わります。表記ルール表が材料に入っているので、担当者が休んだ日に別の人が下書きを作っても、「お客さま」の書き方や代表者の呼び方がそろいます。確認する側も、毎回同じ8項目を見ればよくなります。

記録表があると、経営者への報告も数字でできます。「2週間で何本、修正に平均何分」と言えれば、次の業務に広げるかどうかを判断してもらいやすくなります。削減時間の出し方はAI業務効率化の効果を数字で出す方法で解説しています。

2つ目の業務に広げるときは、会社の基本情報と表記ルール表をそのまま使えます。新しく用意するのは、その業務の見本、禁止事項、確認表の差分だけです。1つ目より短い期間で試運転に入れます。

変わらないのは、何を発信するかを決めること、取材をすること、記者や社員との関係を作ること、公開してよいかを最終判断することです。AIに任せる範囲と人に残る仕事の分け方は、AI広報の自動化で人に残る仕事で詳しく解説しています。

自作する前に知っておきたい保守の手間と、市販ツールとの分かれ目

自作の広報AIツールには、作ったあとも材料を差し替える手間がかかります。この手間と、使う人数・業務の中身によって、専用チャットのままでよいか、別の形や市販ツールに移るかが決まります。

保守は材料の差し替え。見積書にも請求書にも出てこない

専用チャットに登録した資料が、元のファイルの更新に合わせて変わるかどうかは、登録の方法(ファイルをアップロードしたか、Google ドライブなどから連携したか)と製品・プランによって違います。使っている形での扱いを、各社の公式ヘルプで確認してください。新製品の発売、役員の交代、拠点の移転、表記ルールの変更があったのに登録した資料が古いままだと、AIはその古い情報を前提に下書きを作ります。

この差し替えは、外注の見積書にも、ツールの請求書にも出てきません。かかるのは担当者の時間です。

設計シートに「材料を差し替える人」と「差し替える時期」を書き足してください。時期は、人事や製品の発表があった日と、四半期に1回の見直しの2つにしておくと漏れにくくなります。

専用チャットからフォーム型・専用画面に移るタイミング

専用チャットで1業務が回ったあと、次のどれかに当てはまったら、フォーム+AIや専用画面への移行を考えます。

  • 入力する人が増えた:3人以上が同じ材料を毎回貼っていて、貼り忘れや古いファイルの取り違えが出ている
  • 結果を貯めたい:下書きと確認結果を一覧に残し、あとで検索や集計をしたい
  • ほかの仕組みとつなげたい:社内の申請フォームや共有フォルダへの保存から、自動で下書きを作らせたい

フォーム型では、組み方によってAIのAPIキーの管理や従量課金が必要になります。月額プランで使えるサービスもあり、料金の形はサービスとプランで違うので、各社の公式の料金ページで確認してください。

APIを使う場合に月にいくらかかるかは、AI内製ツールの運用コストの内訳と試算手順で見積もれます。Vibe codingで専用画面まで作る場合の進め方と注意点は、Vibe Codingで広報がツールを自作する手順で解説しています。

市販の広報特化ツールと自作の分かれ目

広報向けをうたう市販のAIツールもあります。機能や、何のデータを元に答えるかは製品ごとに違うので、比べるときは各社の公式ページで確認してください。

自作の専用チャットが持っているのは、自社の過去の文書と表記ルールだけです。他社のリリースやメディア掲載の傾向は知りません。そのため、社内報、SNS投稿、問い合わせへの返信のように、自社の言葉づかいに合わせたい文書が月に何本もあるなら自作が向いています。

反対に、プレスリリースが月1本未満で、知りたいのが「この内容で記者に取り上げてもらえるか」なら、自作では答えられません。そうした評価ができる市販ツールがあるかを調べるか、広報の経験者にレビューを依頼するほうが早く答えが出ます。

この章の結論。自作を続けるには、材料を差し替える担当と時期を先に決めておく必要があります。使う人数と、自社の言葉づかいに合わせたい文書の本数を見れば、専用チャットのままか、別の形か、市販ツールかを判断できます。

よくある質問

GPTs、Gem、Claudeのプロジェクト、広報AIツールを自作するならどれがいい?

3つとも、指示文と資料を登録して使う仕組みです。登録できる資料の量や共有の範囲は各社・プランで違い、変わることもあるので、公式ヘルプで確認してください。なお、ChatGPTのGPTsは個人向けのプラン(Free・Go・Plus・Pro)では新しく作れず、提供を終えて「Plugins」へ移行する予定です。個人向けのプランで作るなら、ChatGPTのプロジェクトを使います。GeminiのGemも、個人のGoogleアカウントでは2026年11月にスキルへ移行する予定です。選ぶときは機能の差より、会社名義の契約があるか、入力内容の扱いを管理者が確認できるかを見てください。社内ですでに使っているものに合わせるのが早道です。

過去のプレスリリースは何本入れればいい?全部入れたほうが精度は上がる?

最初は、社内で評価の高かった3本で十分です。本数を増やすほど、古い製品名や数字が混ざる原因も増えます。文体の見本が足りないと感じたときだけ1本ずつ足し、確認表の結果が良くなるかを見て判断してください。

取材メモに社員や取引先の名前が入っているけど、そのまま広報AIツールに入れていい?

会社で決めた入力ルールの範囲内なら入れられます。次の順番で確かめてから使ってください。

  • ルールが無いまま個人のアカウントに入れず、会社名義のアカウントを使う
  • 会社名義のアカウントで、入力内容の扱いを確かめる
  • 取引先名は、必要なときだけ入れると決める
  • 社外に出す前に、名前を載せる本人の確認を取る

作った広報AIツールをSNS担当や営業にも使ってもらっていい?

使ってもらえますが、業務が変わると材料も確認表も変わります。広報用の専用チャットをそのまま渡すより、設計シートの型をコピーし、その業務用に見本・禁止事項・確認する人を決め直してください。会社の基本情報と表記ルール表は、共通のものを使えます。

今日できる最初の一歩と相談先

まずは、この1か月に広報として書いた文書を書き出し、同じ型の文書が何本あったかを数えてください。本数が多く、公開先が社内の型が、最初の1業務の候補です。

設計シートの「入力しない情報」を書く前に、会社としての入力ルールも決めておきたい方は、A4一枚12項目の生成AI社内ルールのひな形を先に読んでおくと、ステップ3の禁止事項がそのまま書けます。

設計シートを埋めてみて、どの業務から始めるか決めきれない、あるいは確認の手順まで社内で作るのは難しいと感じた場合は、コレットラボのAI導入支援・DX支援にご相談ください。広報文書づくりのような業務を1つ選び、AIが行う作業と社内で確かめる作業に分けて、業務専用の入力画面と社員向け手順書まで作ります。今の広報業務の流れを伺うところからで大丈夫です。

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