介護・福祉
介護・福祉向け|声で入れた記録を、計画の目標につなぐ
ケアの合間に声で記録を入れて、その場で計画のどの目標に当たるかを職員が選びます。ひもづけはAIに決めさせません。記録が0件のまま残っている目標が、見直し日までの残り日数つきで出ます。
実地指導で最初に聞かれるのは、記録があるかどうかではありません。
「この目標に対して、どの記録が当たりますか」です。
計画には目標が4つ書いてあります。記録は毎日たまっています。それでも、目標2に当たる記録が今月1件も無いことは、その場で言われるまで誰も気づきません。
職員が手を抜いているわけではありません。記録は書いてあります。ただ、書いた記録がどの目標の話なのかを、誰もつないでいないだけです。
声で記録を入れて、その場で計画とつなぐ。そういう仕組みを作ります。画面で順に説明します。
先にお伝えしておくこと
作るときに外さない線を3つ決めています。
- どの目標に当たるかを、AIに決めさせません。 候補は出しますが、どれも選ばれていない状態で職員に渡します。ここを自動にすると、計画に沿った記録が勝手に揃います。実地指導でいちばん嫌われる形です
- 話した言葉を、そのまま残します。 整えた文だけを残すと、あとで「本当にそう言ったのか」を確かめられません
- ヒヤリハットは、声の記録とは別の入口から起票します。 日々の記録と同じ流れに混ぜると、事故の一歩手前が日常の中に埋もれます
1. 家族は、その日のうちに読む
ご家族が開く画面から始めます。夕方には、その日の記録が届いています。

上に事実が4つ並びます。体温、昼の食事、水分、入浴。下に職員が書いた一文が入ります。
この一文が、ご家族にとってはいちばん大きい情報です。数字だけでは、その日どう過ごしたのかが分かりません。
午後のレクで、塗り絵を最後まで仕上げられました。となりの席の方に色を貸してあげていました。
ここは職員が書きます。 音声から拾った数値は上の4つに入りますが、様子はAIに書かせません。見ていないことを書くからです。
2. 面会の前に、1か月を読み返す
ご家族が施設に来るのは月に1回か2回です。前日の夜に開くのが、この画面です。

棒が並んでいるのは、食事を全量とれた日です。18日のうち12日。下に「8日・9日は発熱でお休み」と書いてあります。
グラフを細かくしていません。毎日開いて数字の上下を追う画面にすると、ご家族が疲れます。 見たいのは、大きく崩れていないかどうかです。
その下に、職員が書いた一文が日付つきで並びます。面会の前にこれを読んでおくと、当日の話が「お変わりないですか」から始まりません。
3. 写真は、3つに分けて預かる
介護の現場で写真の扱いを一括の同意書で済ませると、あとで必ずもめます。

3つに分けています。職員が記録に使う/ご家族に見せる/施設の外に出す。
この画面では、外に出すぶんだけ切ってあります。記録に使うことと家族に見せることは許可されています。一括だと、この状態が作れません。 全部を許可するか、全部を断るかになります。
いま見られるご家族も名前で並びます。長男、長男の妻、長女の3人。いつから見られるようになったかも入っています。
4. 廊下で、30秒で入れる
ここから職員側です。

先に利用者を選んで、あとは話すだけです。画面を見なくても話せます。
これが夜勤帯にまとめて書く形だと、記憶で書くことになります。 4時間前の水分量を思い出して書いた数字は、記録として弱いものです。
拾ってほしい数値は、そのまま読み上げてもらいます。「水分は850」「体温36度4分」。言い直したときは、後のほうを残します。
5. 計画のどれに当たるかを、人が選ぶ
この事例でいちばん大事なのは、ここです。

いちばん上に、話した言葉がそのまま残っています。その下に、拾った数値が4つ。さらに下に、整えた記録が入ります。
そして、計画の目標が候補として3つ並びます。どれも選ばれていません。 選ぶまで「記録に登録する」は押せません。
ここを自動でひもづけると、どうなるか。計画に沿った記録が、毎日ひとりでに揃います。 帳票としては完璧です。中身は空です。
実地指導で見られているのは、計画と記録が形式的に合っているかではありません。その利用者に対して、計画したケアを本当にやったかです。そこを機械に判断させたら、この仕組みは書類を作る道具になります。
選ぶのは3秒です。候補が出ているので、探す手間はありません。3秒を残すか、自動にして全部を無意味にするか。ここは3秒を残します。
「どれにも当たらない」も選べます。日々の記録としてだけ残ります。全部を目標に結びつけようとしないためです。
6. その日の抜けが、その日に分かる
ここから事業所側のパソコン画面です。

18人のうち、記録が足りていないのが4人。いちばん下の三宅さんは、今日まだ1件も入っていません。
17時半の申し送りまでに埋めます。翌日に気づくと、もう思い出せません。
担当と、最後に記録が入った時刻も出ています。三宅さんは9時10分に送迎で着いています。そこから5時間、何も入っていないということです。
7. 記録が0件の目標が、赤で残る
山場の2つめです。

田村さんの目標が4つ並んでいます。目標1は15件、目標2は4件、目標3は7件。目標4は0件です。
そこだけ赤い枠で残ります。中にはこう書いてあります。
今月の記録が0件です 入浴は火曜と金曜です。次は11月22日。
次の見直しは12月10日。あと22日です。この22日のあいだに記録が1件も入らなければ、その目標は「立てただけ」になります。
いちばん下には、事業所ぜんぶで0件のまま残っている目標が並びます。今月は3つ。見直し日が近い順です。
この画面は、書類を作るためのものではありません。 目標4に記録が入らないのは、記録の問題ではなく、入浴のときにその介助をやっていないからです。やっていないなら、計画のほうを直します。
8. 1人ぶんが、1枚に収まる

左に最近の記録、右に計画の目標とご家族の設定。
11月9日の発熱が、取り消し線の入った形で残っています。かかりつけに連絡、ご家族へ電話が9時52分、夕方に36.9℃。この日は記録が少ない日ですが、消しません。
右下にはご家族の設定が出ています。写真を外に出さない設定になっていることが、職員側からも見えます。広報誌を作るときに、ここを見ればいいということです。
9. ヒヤリハットは、別の入口から

浴室の入口で足が滑りかけた件です。転倒はしていません。けがもありません。
それでも5つの項目で残します。何があったか、そのとき床はどうだったか、その場でやったこと、次から変えること、あげた人と確認した人。
これを声の記録と同じ流れに入れると、埋もれます。 1日の記録が62件あるなかに1件混ざっても、誰も気づきません。
今月あげたのは7件。先月の4件より増えています。増えているほうがいい数字です。
10. 少ないほうがいい数字を、置かない

4つ出しています。
- ケアが終わってから記録が入るまで — 6分(先月は4時間12分)
- 記録が0件のまま残っている目標 — 3つ(先月は11つ)
- ヒヤリハットをあげた職員 — 5人(先月は2人)
- 家族が「今日の様子」を開いた割合 — 78%(先月は61%)
出していないものも書いてあります。職員ごとの記録の件数、目標の達成率、ヒヤリハットの少なさ。
職員ごとに件数を並べると、短い記録が増えます。達成率を出すと、できた日だけ書くようになります。ヒヤリハットを「少ないほうがいい」ことにすると、あげなくなります。
どれも、数えた瞬間に現場が数字に合わせて動き始めます。だから置きません。
どのくらい効くか
時間のほうから計算します。
1人の記録を手で書くと、平均して4分ほどかかります。1日18人ぶんで72分。声で入れると1人30秒前後なので9分。差は1日あたり63分です。
月25日で 26時間分。職員の時給を1,200円とすると、月に31,200円分の手が空きます。
ただし、この事例で大きいのは時間ではありません。記録が0件のまま残っている目標が、先月の11から3に減っていることです。
実地指導で個別機能訓練加算や中重度者ケア体制加算の根拠を出せないと、返還を求められることがあります。金額は加算の種類と期間で変わりますが、月あたりの加算額の数か月分になります。 記録を書く時間より、こちらのほうが重い話です。
試算は、利用者18人・職員9人の通所介護を前提にしています。実際の効果は、利用者の人数、記録の項目、いま何分かかっているかで変わります。
ほかの業種でも同じです
この形が効くのは、介護だけではありません。
- 放課後等デイサービス・児童発達支援 — 個別支援計画と、日々の支援記録をつなぐ形が同じ
- 訪問介護・訪問看護 — 移動中に声で入れる。計画との突き合わせも同じ
- 障害者グループホーム — 支援計画と記録、それに家族への共有まで同じ
- 保育園・こども園 — 指導計画と保育日誌。保護者への共有も同じ形
- 訪問リハビリ・整骨院 — 目標を立てて、そこへの経過を残す構造が同じ
「計画を立てて、記録を残す義務がある」仕事は、考え方が同じです。
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