不動産・賃貸仲介
不動産会社向け|深夜の問い合わせに3分で返して、内見の予約まで運ぶ
部屋探しの問い合わせは、何社かにまとめて飛んでいます。先に返した会社と話が進みます。最初の1通を自動で返し、在庫を見た回答と希望の聞き取りまで済ませて、翌朝に担当者が引き継ぎます。夜と休日に張り付かなくても、返信までの時間が短くなります。
夜の10時47分、物件サイトから問い合わせが入る。
営業時間はとっくに終わっています。翌朝9時に出社した担当が気づいて、そこから返信する。お客さまの手元に届くのは10時間後です。
その10時間のあいだに、お客さまは別の会社からの返信を読んでいます。
部屋探しをする人は、気になった物件を何社かにまとめて問い合わせます。先に返信が来た会社と話が進みます。 物件の良し悪しより前に、返信の速さでどの会社と話すかが決まっています。
ここを人の手だけで短くしようとすると、誰かが夜と休日にスマホを見続けることになります。それは長くは続きません。
最初の1通を自動で返して、そのあとを人が引き継ぐ。そういう仕組みを作ります。画面で順に説明します。
先にお伝えしておくこと
不動産は、表示のしかたに決まりが多い業種です。作るときに外さない線を3つ決めています。
- AIに「この物件がおすすめ」と言わせません。 条件に合うものを機械的に絞るだけです。おすすめの理由まで作文させると、それはもう営業トークです
- おとり広告にしません。 在庫と連動させて、申込が入った物件は自動で外します。「もう決まりました、代わりにこちらは」をやるための仕組みではありません
- 自動返信であることを隠しません。 最初の1通に「自動でお送りしています」と書きます。担当者が名乗るのは、人が返信するところからです
お客さま側の画面
1. 深夜でも3分で返す。ただし自動だと書く
問い合わせの3分後に、最初の返信が届きます。深夜でも休日でも同じです。
ただし、この1通が自動であることは隠しません。「担当者からは、明日9時以降にあらためてご連絡します」まで書きます。人が書いたふりをすると、翌朝の電話でだいたいばれます。最初から自動だと分かっていれば、「夜中なのに反応があった」という印象だけが残ります。
そして、いちばん大事なのは在庫と繋がっていることです。「本日時点で空室です」と言い切るために、返信する前に在庫を見ています。ここが繋がっていないと、翌朝に「実は埋まっていました」と謝ることになります。
深夜に電話はかけません。通知は届きますが、人からの連絡は翌営業日の朝です。

2. 希望は、その場で5つだけ聞く
翌朝までにやることが、もうひとつあります。希望を聞き取っておくことです。
聞くのは5つ。入居時期・入居人数・駐車場・車種・予算です。ほとんどをタップで答えられるようにして、1分で終わらせます。
年収・お勤め先・ご家族構成は、ここでは聞きません。 申込のときに必要になる情報で、部屋を絞るために今すぐ要るものではありません。最初の接触で聞くと、そこで返信が止まります。
翌朝、担当者は「何を求めている人か」が分かった状態で出社します。

3. 翌朝9時に、いま案内できる物件だけを送る
聞き取った条件で絞った物件を、翌朝に送ります。
絞り方は機械的です。 予算・間取り・駐車場・入居時期の4つで残ったものを、家賃の安い順に並べているだけです。順位づけをしません。
出すのは掲載中で、いま案内できる物件だけです。申込が入った物件は在庫から自動で外れます。ここを在庫と切り離して運用すると、意図していなくてもおとり広告と同じ状態になります。
そして、ここで人に交代します。「ここからは担当の三宅がご案内します」。担当者が名乗るのは、このタイミングからです。

4. 内見の枠は、押さえられる時間だけ出す
日程調整のやりとりは、たいてい3往復します。「土曜の午前は空いていますか」「あいにく埋まっています」「では日曜は」。
ここを、最初から押さえられる枠だけを出すことでなくします。
枠を出す条件は2つあります。担当者の予定が空いていることと、物件の鍵が空いていることです。鍵は1本しかないので、同じ物件を同じ時間に2組は案内できません。両方を見たうえで、お客さまの画面には押さえられる時間だけが並びます。
一緒に見たい物件も、同じ画面で足せます。同じ日にまとめて案内するほうが、お客さまも会社も楽です。

5. 前日に、集合場所と持ちものを送る
内見の無断キャンセルは、忘れているだけのことが多いです。前日にひとこと送るだけで変わります。
送るのは日時・物件・集合場所・持ちものの4つです。集合場所は地図で出します。「物件の前で」と文字だけで書いても、初めて行く人は迷います。
持ちもので効くのは車検証です。駐車場のサイズが合うかを当日その場で確認できるので、あとから「入りませんでした」が起きません。
「日時を変える」も同じ画面に置きます。変更しづらいと、連絡なしで来なくなります。

営業側の画面
6. 返信までの時間が、1件ずつ残る
反響の一覧です。反響というのは、問い合わせのことです。
見るのは3つ。一次返信までの時間・温度・何日ふれていないかです。
一次返信は自動なので、この列はほぼ全部が数分になります。深夜も休日も同じです。逆に、ここが遅い日があれば仕組みが止まっていたということで、それも1件ずつ残ります。
温度は「聞き取りに答えてくれたか」「内見に進んだか」で機械的に付けているだけです。AIが見込みを判定しているわけではありません。 ここを賢くしようとすると、当たらない予測に人が振り回されます。
3日ふれていない人がいれば、上に赤く出ます。この画面では上原さまの1件です。

7. 何を聞いて、何を送ったかが1人分つながる
お客さまカードです。問い合わせから内見の予約まで、時刻つきで並びます。
担当が代わっても引き継げます。 「聞き取った希望」と「お送りした物件」が同じ画面にあるので、前の担当に聞かなくても続きから話せます。
下に並んでいる3件を見てください。条件で絞っただけの3件で、並び順は家賃の安い順です。「この物件がいちばんのおすすめです」とは書きません。順位をつけた瞬間に、その理由を説明する責任が生まれます。 そこは人がやることです。

8. 担当と鍵、両方の空きを見る
内見のスケジュールです。担当者を横に並べて、1時間単位で見ます。
この日の内見は7件で、そのうち5件はお客さまが自分で予約したものです。日程調整のやりとりは、この5件分だけ発生していません。
鍵の持ち出しも同じ画面で数えます。同じ物件の鍵が重なる時間には枠を出していないので、当日「鍵がない」が起きません。

9. 送るのをやめる判断も、仕組みに入れる
追客の画面です。ふれていない期間が長い順に並びます。
自動で送るのは「ご希望に合う新着が出たとき」だけです。用のないお知らせを定期的に送るのは、追客ではなく催促になります。
そして、2回送って反応がなければ止めます。 そこから先は、電話をかけるかどうかを人が決めます。送るのをやめた方には、二度と送りません。
この画面では18件を追客中で、4件は送信を止めています。止めた件数が見えていることが大事です。 見えていないと、いつのまにか全員に送る運用に戻ります。

10. 見るのは件数ではなく、内見まで進んだ割合
数字の画面です。一次返信の中央値、24時間以内の返信率、反響から内見に進んだ割合、3日以上ふれていない件数。
右側の、流入元ごとの内見化率を見てください。物件サイトが58%、自社サイトが43%、電話が29%です。
件数だけ見ると、物件サイトが38件で他を引き離しています。ただ、自社サイトも14件のうち43%が内見に進んでいます。ここはまだ手を打てていない、という読み方ができます。
数字を出す目的は、報告書を作ることではありません。来月どこにお金と時間を寄せるかを決めるためです。

どのくらい効くのか
計算で出せるところを出してみます。
返信までの時間。 一覧に出ている6件のうち、5件は営業時間の外に届いています。夜の7時台から10時台と、朝の8時台です。人の手で返すなら、いちばん早くて翌朝9時。深夜0時の問い合わせなら9時間後です。この仕組みなら3分です。
日程調整のやりとり。 内見1件につき、メッセージの往復が3回、1往復5分として15分。8/15の7件のうち5件はお客さまが自分で予約しているので、5件分の1時間15分が担当者の手元に戻ります。内見は土日に集中するので、いちばん忙しい日の時間が空きます。
取りこぼし。 3日以上ふれていない反響が、前月の7件から1件に減っています。放置された6件は、何も起きなければそのまま消えていたはずのものです。賃貸の仲介手数料は家賃の0.5〜1ヶ月分なので、1件拾えるかどうかで金額がはっきり変わります。
夜の当番。 これは時間の話ではなく、続くかどうかの話です。反響に早く返すために担当者が夜と休日にスマホを見る運用は、たいてい2〜3ヶ月で崩れます。仕組みが返すなら、担当者は朝いちばんに見ればよくなります。
ここに挙げた数字は、一般的な賃貸仲介の店舗規模を前提にした試算です。実際の効果は、反響数・扱う物件・広告の出し方によって変わります。
導入について
お客さま側にアプリは入れません。 LINE の友だち追加だけです。物件サイトからの反響はメールで届くので、メールと LINE の両方を入り口にします。
営業側はブラウザです。 いまお使いのパソコンでそのまま開けます。
在庫との繋ぎこみが、いちばん大事なところです。 空室かどうかが繋がっていないと、この仕組みは「おとり広告を自動で出す装置」になります。ここだけは手を抜きません。
重要事項説明はやらせません。 この仕組みが担当するのは、情報をお伝えして日程を押さえるところまでです。契約に関わる説明は宅地建物取引士が行います。
期間の目安は1〜2ヶ月です。 いちばん時間を使うのは、在庫の繋ぎこみと、聞き取りの5問を決めるところです。何を聞いて何を聞かないかは会社ごとに違うので、既製品では合いません。
運用ルールも一緒に決めます。 何時から何時までは人が返すか、何回送って止めるか、電話に切り替える基準はどこか。ここを決めずにツールだけ渡すと、使われずに止まります。
同じ仕組みが効く業種
問い合わせが同時に何社かへ飛んでいて、先に返した会社と話が進む商売なら、そのまま応用できます。
- リフォーム・住宅設備 — 見積り依頼への一次返信と、現地調査の日程調整
- 工務店・注文住宅 — 資料請求からモデルハウス見学まで間が空きやすい
- 結婚式場・宴会場 — 空いている日と、見学枠の案内
- トランクルーム・月極駐車場 — 空きと連動した問い合わせ対応
- 保険の相談窓口 — 相談の予約と、担当者の割り当て
「返すのが遅れた時点で、もう選ばれていない」商売は、考え方が同じです。
表示している会社名・店舗名・氏名・数値はダミーデータを挿入しています。