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学習塾向け|「よく頑張っていました」を、報告と呼ばない

授業のあとの報告を、講師が書ける形にそろえます。できたことと、つまずいたこと。両方が書かれていないと保護者には送れません。AIがやるのは講師のメモを整えるところまでで、成績の見通しは書きません。

解決したい課題
授業の報告が講師によってバラバラ/面談の準備に時間がかかる
提供内容
AI業務システム化/LINE活用

「今日もよく頑張っていました」

授業のあとに届く報告です。読んだ保護者は、何が分かるでしょうか。

何も分かりません。 知りたいのは、うちの子がどこでつまずいているかです。

書ける講師は書きます。どこで止まったか、何ができるようになったかを、そのまま書きます。書けない講師は当たり障りのないことを書きます。同じ授業料をもらっているのに、届くものが違います。

個別指導の講師は、多くが大学生です。人柄も熱意もある人たちですが、「保護者に伝わる文章」を書く訓練は受けていません。書けないのは本人のせいではありません。

報告の書き方を、そろえます。画面で順に説明します。

先にお伝えしておくこと

作るときに、これだけは守ると決めていることが3つあります。

  • 見通しをAIに語らせません。 「必ず伸びます」「このままいけば合格できます」は書きません。学習塾は特定商取引法の特定継続的役務提供にあたり、効果について事実と違うことを告げたり、断定的なことを言ってはいけません
  • つまずいたことが空だと、報告として出せません。 できたことだけの報告は、報告ではありません
  • ほかの子と比べません。 順位や偏差値はテストを受けた会社の数字をそのまま出しますが、教室から「○○さんより」とは書きません

そして報告を速く書く話にはしていません。 書く時間を短くすると、中身も一緒に薄くなります。ここで変えるのは、書ける人と書けない人の差だけです。

保護者側の画面

1. できたことと、つまずいたことが必ず両方ある

授業が終わった日の夜に届きます。LINEです。

緑の欄ができたこと、オレンジの欄がつまずいたこと。この2色が並んで、初めて報告になります。

問題文から x と y が何かを決めるところです。3回とも同じところで止まっています。

「3回とも同じところ」。この一行が書けるのは、先週と先々週の記録が残っているからです。担当の講師も、自分が先週何を書いたかを毎回覚えてはいません。

おうちでのお願いも入れます。「教科書 p.98 の例題2を、式を立てるところまで一緒に読んでみてください(5分)」。何をすればいいかまで書かないと、保護者は動けません。

いちばん下に、講師の名前と、確認した教室長の名前が入ります。学生アルバイトが書いたものをそのまま送るのではなく、教室長が読んでから送っています。

保護者に届いた授業のレポート。できたことが緑、つまずいたことがオレンジの欄で並び、講師と教室長の名前が入っている
できたことと、つまずいたこと。両方が並んで初めて報告になります。

2. ほかの子とは比べない

3ヶ月分の記録です。授業24コマ、出席22、宿題の提出が82%。

単元ごとのようすが並びます。「一次関数の利用(文章題)」だけが、つまずき中で上にあります。 ほかの3つはできています。

下に教室のテストの点。72点、68点、61点と下がっています。ただ、同じところで止まっているのは 11/4 の授業から記録に出ていました。 点が出るより前です。

ここが、この仕組みでいちばん言いたいところです。成績は結果です。 結果を見てから動くと、もう1ヶ月遅れています。

いちばん下の但し書きも読んでください。ほかのお子さんとは比べません。順位や偏差値は、テストを受けた会社の数字をそのまま出すだけです。教室の中で順番を付けることはしません。

3ヶ月の記録。単元ごとのようすと、教室のテストの点の推移が並んでいる
テストの点が下がる前から、記録のほうに出ています。

3. 面談の前に、聞きたいことを書いてもらう

面談の案内です。日程が決まったら、先に聞きたいことを3つまで書けるようにします。

面談は30分しかありません。その場で聞かれてから記録を探すと、それだけで半分が終わります。先に書いてもらえれば、材料をそろえてから座れます。

それに、その場では言いにくいこともあります。 「点が下がっているのが心配です」と面と向かって言うのは、保護者にとって簡単ではありません。書くほうが本音が出ます。

書いてもらったものは、当日の資料にそのまま載ります。読まずに座ることがないようにするためです。

面談の案内。日時と、保護者が先に聞きたいことを3つまで書ける欄
聞きたいことを先に書いてもらいます。面談は30分しかありません。

4. 当日のおやすみだけは、電話にする

おやすみの連絡です。理由はタップで選べます。振替の候補も出ます。

候補に出るのは、担当講師の空きと、教室の席が両方ある時間だけです。電話で「その時間は先生が空いていなくて」というやりとりが要りません。

いちばん上の赤い帯を見てください。

当日のおやすみは、お電話をお願いします

その時間、塾はお子さんを預かっています。来ていないときに「休みなのか、向かっている途中なのか」が分からないのは、いちばん困る状態です。ここだけは便利にしません。

おやすみの連絡画面。当日は電話をお願いする赤い帯と、振替の候補が並んでいる
当日のおやすみだけは、電話にします。ここは便利にしません。

塾側の画面

5. 報告が出ていないコマが分かる

今日の授業の一覧です。教室長が見ます。

32コマのうち終わったのが24。報告が出たのが18、書きかけが1、まだ出ていないのが5。誰の授業の報告が出ていないかが、人が数えなくても分かります。

ただし、ここから先は仕組みでは埋めません。「書けていない」のか「忘れている」のかは、声をかけないと分かりません。 自動で催促を送っても、書けない人は書けないままです。

塾側の今日の授業一覧。報告が出ていないコマが赤く表示されている
報告が出ていないコマが分かります。声をかけるのは人です。

6. つまずいたことが空だと、出せない

ここが1つ目の山場です。この画面だけ、講師が使います。

左のサイドバーを見てください。項目が3つしかありません。自分の授業、授業メモ、担当の生徒。教室全体の数字は、講師には見えません。 大学生のアルバイトに、ほかの生徒の成績まで見せる理由がないからです。

真ん中が入力欄です。「できたこと」に「今日もよく頑張っていました」と書いたところに、印が付いています。

何ができるようになったかが書かれていません

消すのではなく、書き足してもらいます。下に「たとえば」の例も出します。ダメ出しではなく、書き方を教えるための印です。

その下、「つまずいたこと」が空のままです。だから右下の「教室長に出す」が押せません。

これは書き忘れではありません。 できたことだけの報告は、保護者に届けても何も伝わらないからです。ここを「忙しいから」で外すと、元の「よく頑張っていました」に戻ります。

右のパネルも見てください。先週のメモが出ています。同じ単元が3回目だと分かるので、講師はその場で気づけます。「先週と同じことを書きそうになっていないか、読んでから書いてください」とも書いてあります。

講師の授業メモ入力画面。中身の無い文に印が付き、つまずいたことが空のため「教室長に出す」が押せない
つまずいたことが空のあいだは、出せません。書き忘れではありません。

7. 書かない言葉を、画面に並べる

2つ目の山場です。ここからは教室長の画面に戻ります。

左が講師のメモ、真ん中が保護者向けの下書きです。見比べてください。中身は同じです。 変わったのは言い方だけです。

「ヒントを出せば進む」という講師のメモは、下書きに入っていません。足したのは「おうちでのお願い」の一文だけで、それも宿題の範囲から作っています。メモに無いことは足しません。

右のパネルが、この画面の中心です。書かない言葉が並んでいます。

  • 必ず伸びます — 効果を断定する言い方
  • このままいけば○○高校に合格できます — 合否の見通しを告げる言い方
  • 地頭がいいので — 本人の性質を決めつける言い方
  • ○○さんより進んでいます — ほかの生徒と比べる言い方

学習塾は特定商取引法の特定継続的役務提供にあたります。効果について事実と違うことを告げたり、断定的なことを言ってはいけません。

それ以前に、合否や成績の見通しは、記録から自動で作れるものではありません。 作れないものを、それらしく書かせないための一覧です。

保護者向けレポートの下書き画面。左に講師のメモ、右に「書かない言葉」の一覧が並んでいる
書かない言葉を画面に並べます。見通しは書きません。

8. テストの点より先に、記録が出る

生徒カードです。3ヶ月の記録が1枚につながります。

真ん中の時系列を上から下へ見てください。11/18 のレポート、11/14 のテスト61点、11/11 のレポート、11/4 のレポート。

11/4 と 11/11 の時点で、同じところで止まっていると書いてあります。 テストで点が下がったのは、そのあとです。

個別指導は講師が入れ替わります。担当が代わるたびに保護者が一から説明し直すことにならないよう、記録のほうを残します。

右下も見てください。この画面が出さないものを書いています。志望校の合格可能性と、教室内の順位。どちらも、作ろうと思えば作れてしまうものです。 だから、作らないと決めて書いておきます。

生徒カード。3ヶ月の記録が時系列で並び、同じ単元のつまずきが3回続いていることが分かる
テストの点が出るより先に、記録のほうが出ています。

9. 保護者の質問に、答えではなく材料を並べる

面談シートです。左に、保護者が先に書いた質問が3つ並んでいます。

それぞれの下にあるのは答えではなく、材料です。「数学のテストの点が下がっているのが心配です」に対して、記録・テスト・宿題・出欠の4つが並びます。教室長は、この4つを見ながら自分の言葉で話します。

2つ目の「冬期講習は取ったほうがいいですか」を見てください。出しているのは、いま受けている科目と、同学年の標準のコマ数と、空いている枠だけです。

「取ったほうがいい」とは書きません。 右下にもそう書いてあります。

記録は、講習をすすめるための材料ではありません。話すことは教室長が決めてください。

ここは商売としては損に見えるところです。それでも外しません。「つまずいています」という報告が、講習を売るための前振りに見えた瞬間、この仕組み全体が信用を失います。

面談シート。保護者からの質問3件それぞれに、答えではなく記録の材料が並んでいる
出すのは答えではなく材料です。話すのは人がやります。

10. 成績の伸びを、指標にしない

数字の画面です。ここも、見る指標の選び方そのものが提案です。

出しているのは4つ。報告できた割合、保護者が開いた割合、面談の下ごしらえが済んだ人数、そして3週続けて同じところでつまずいている生徒の数

グラフを見てください。コマ数はほとんど変わっていません。変わったのは、そのうち何コマ分の報告が出たかです。11/5〜11/11 の週は144コマのうち42コマ分が出ていません。42家庭に何も届いていなかったということです。

右の一覧が、この記事の中心です。3週続けて同じつまずきの生徒が7名。 中2の一次関数、中3の相似の証明、高1の三角比、小6の割合の文章題。

この7名は、講師1人には見えません。 担当が違えば、同じ子の先週を知りません。教室を横に見て初めて出てきます。

そして、成績の伸びも合格実績も出していません。塾のシステムが成果を名乗り始めると、記録が都合よく歪みます。 「伸びた」と出したい力が働くと、書く内容がそちらに寄ります。

教室の数字。報告できた割合の推移と、3週続けて同じつまずきの生徒7名の一覧
成績の伸びは出しません。返せているかと、止まっている子だけ数えます。

どのくらい効くのか

計算で出せるところを出してみます。

面談の下ごしらえ。 1人30分 × 62名で31時間です。記録が最初からそろっていれば1人15分で、62名で15時間30分。面談期ごとに15時間30分が浮きます。

教室長は面談も授業も入っています。ここが空くと、その時間は生徒に向けられます。

届かなかった報告。 前の7日は144コマのうち42コマ分が出ていません。今週は148コマのうち9コマ分だけです。33家庭に届く量が増えました。

時間の話より、こちらのほうが大きいと思っています。塾を替えるかどうかは、成績が下がったときに決まるのではありません。 何をしてくれているか分からない状態が続いたときに決まります。

ただし、退塾が減るとは書きません。実際に測っていないからです。

ここに挙げた数字は、生徒60名ほどの個別指導教室を前提にした試算です。実際の効果は、生徒数・講師の人数・面談の回数によって変わります。

導入について

保護者側にアプリは入れません。 LINE の友だち追加だけです。すでに連絡がLINEで来ている家庭に、別のアプリを覚えてもらう理由がありません。

講師側もブラウザです。 教室のパソコンでも、自分のスマホでも開けます。ただし見えるのは自分の授業と担当の生徒だけです。

塾の管理システムは置き換えません。 生徒名簿も、月謝の管理も、時間割もこれまでどおりです。担当するのは、授業のあとの報告と、面談の下ごしらえだけにします。

期間の目安は2〜3ヶ月です。 いちばん時間を使うのは、単元の一覧を作るところです。「一次関数の利用」「相似の証明」のような区切りを、その教室の教材に合わせて決めます。ここが合っていないと「3週続けて同じ」が出てきません。

書き方のルールも一緒に決めます。 どこまで書いていいか。何を書かないか。ここを決めずに入力欄だけ渡すと、講師が困ります。 困った講師は、当たり障りのないことを書きます。

同じ仕組みが効く業種

担当者が入れ替わって、その人の書いたものがそのままお客さまに届く商売なら、そのまま応用できます。

  • ピアノ・そろばん・スイミングなどの教室 — 同じく、できたことと、まだのことの両方を伝える
  • 家庭教師の派遣 — 先生が家庭に入るので、事務所側は報告でしか様子を知れない
  • 訪問介護・訪問看護 — ご家族に伝える記録。書ける人と書けない人の差が同じように出る
  • 保育園・学童 — その日のようすを保護者に返す。連絡帳が同じ問題を抱えている
  • 整体・リハビリ — 通い続けてもらう商売で、経過の説明が施術者ごとに違う

「担当者の文章力で、お客さまに届くものが変わってしまう」商売は、考え方が同じです。

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