歯科・クリニック
歯科医院向け|キャンセルが出た瞬間に、条件の合う方へ声をかける
キャンセル待ちを「名前」ではなく「来られる条件」で預かります。空いた瞬間に条件の合う方だけへ案内が届き、先に押した1名で確定します。受付が電話をかけ続ける時間と、埋まらないまま消える枠を減らします。
16時の予約がキャンセルになった。
受付が予約表を見て、キャンセル待ちのメモを探して、上から順に電話をかける。1人目は出ない。2人目は仕事中。3人目でやっとつながるけれど、その頃には15時を回っている。
結局その枠は空いたままです。
ユニットが空くというのは、その時間の売上がそのまま消えるということです。1日1枠でも、月に20枠を超えます。
予約台帳を中心に置いて、キャンセルが出た瞬間に条件の合う方へ声をかける。そういう仕組みを作ります。画面で順に説明します。
先にお伝えしておくこと
歯科は、扱う情報が重い業種です。作るときに外さない線を3つ決めています。
- AIに診断はさせません。 この仕組みが担当するのは、予約枠の管理と連絡だけです。症状から病名を推測するようなことはしません
- 治療の内容をトークに書きません。 通院歴や病名は、取り扱いに配慮が必要な個人情報です。スマホの通知から見えてしまう場所には置きません
- 効果を約束する表現は使いません。 医療広告には決まりがあります。案内の文面は「空きが出ました」「時期が来ました」までにします
患者さん側の画面
1. 前日のお知らせに、治療の内容は書かない
無断キャンセルを減らすいちばん確実な方法は、前日にひとこと送ることです。
ただし、書くのは日時と担当だけにします。「歯周病の処置」と書いてしまうと、ロック画面の通知に出ます。家族に見られることもあります。
ここを分かっていない仕組みが、けっこうあります。診療の記録は、本人だけが開ける画面に置きます。
「前日までにご連絡いただけると、空いた時間をお待ちの方にご案内できます」の一文も添えます。理由が分かると、連絡してもらえる率が変わります。

2. キャンセル待ちは、条件つきで登録してもらう
「空いたら連絡してください」と言われて、受付のメモに名前が並んでいく。あの運用を置き換えます。
大事なのは、名前ではなく条件を預かることです。
- 来られる曜日と時間帯
- どのくらい前なら来られるか(当日でも/2時間前まで/前日まで)
この2つがあるだけで、空きが出たときに「誰に送ればいいか」が計算できます。名前だけのメモでは、結局電話して聞くことになります。

3. 空いた瞬間に届いて、押した人で決まる
ここが仕組みの中心です。
条件の合う方に同時に届き、先に押した1名で確定します。何名に送っているかも正直に書きます。隠すと、あとで押せなかった人が嫌な思いをします。
確定すると、もともと入っていた先の予約は自動で取り消されます。そこも空き枠として台帳に戻ります。 手で消す作業が残ると、いつか消し忘れて二重予約になります。

4. 定期検診の案内は、前回の内容を添えて
「そろそろ検診の時期です」だけだと、読まれません。前回いつ、何をしたかを添えると変わります。
空いている日時も一緒に出します。予約の電話をかけ直す手間があると、そこで止まります。
配信を止める方法も同じ画面に書きます。ここを隠すと、そのうちブロックされます。

5. 治療の記録は、本人だけが開ける場所に
何をされたのか分からない。歯科でいちばん多い不満がこれです。
処置の内容、衛生士からのひとこと、お口の中の写真、次回の目安。これを本人だけが開ける画面に置きます。
「右上の奥歯にみがき残しが多いので、そこだけ意識してみてください」。診療室で言われても忘れます。あとから読み返せる場所にあると、次の検診のときに変わっています。

医院側の画面
6. 予約台帳は、ユニットの縦軸で見る
ユニットごとの列に、時間を縦に並べます。紙の台帳と同じ見え方にします。
処置ごとに必要な時間と担当(歯科医師か歯科衛生士か)を登録しておくと、予約を入れるときに枠の長さとユニットが自動で決まります。受付が毎回「これは30分だっけ、60分だっけ」と考える必要がなくなります。
キャンセルが出た枠は赤く空きます。この画面では、16:00 の枠が13時42分に空いています。

7. 全員に送らない
キャンセル待ちが17名いても、送るのは3名です。
曜日・時間帯・直前の連絡が可能かどうか。この3つで絞ると、残りの14名には送りません。行けない人に通知を送り続けると、そのうち誰も反応しなくなります。
この画面では、13時42分にキャンセルの連絡が入り、13時45分に3名へ送信、13時47分に確定しています。空いてから5分です。
受付は、この間に別の仕事をしています。

8. 空いてから埋めるのではなく、空きそうな日に声をかける
1週間分の空き枠を、ユニットごとに並べます。
この画面では、8/4(火)が15枠空いています。ここが分かっていれば、リコールの案内をその日に寄せられます。
キャンセルの穴埋めは受け身の対応です。こちらは攻めのほうです。両方あって、はじめて稼働率が動きます。

9. 2回送って反応がなければ、止める
最終来院からの経過が長い順に並びます。時期が来た方が毎朝そろっている状態になります。
ここで大事なのは、送るのをやめる判断も仕組みに入れることです。
2回送って反応がない方には、それ以上送りません。そこから先は電話をかけるかどうかを人が決めます。届かないお知らせを繰り返すと、届く人にも読まれなくなります。

10. 通ってくれている理由が、記録に残る
来院の履歴、処置の内容、送ったお知らせとその結果。これが1人分つながって残ります。
左下の「来院の間隔」を見てください。この方はずっと6ヶ月ペースで、今回もそれを保てています。8/24 の予約のままだと196日空くところが、キャンセル枠に入ったことで175日に戻りました。
キャンセル待ちは、空いた枠を埋めるだけの機能ではありません。通ってくれている方のペースを守る機能でもあります。

11. 見るべき数字は4つ
ユニット稼働率、キャンセル率、キャンセル枠を埋められた割合、リコール率。
この4つが動いているかどうかで、仕組みが効いているかが分かります。レポートを作る作業をなくすのも目的のひとつです。

どのくらい効くのか
計算で出せるところを出してみます。
キャンセル枠の穴埋め。 月に21枠のキャンセルが出て、そのうち6割が埋まったとします。13枠です。1枠の診療単価を5,000円とすると、月に65,000円分。埋まらなければ、そのまま消えていた枠です。
電話の時間。 キャンセル1件につき、電話をかけて話して記録するまでに15分ほどかかります。月21件なら5時間15分。この時間が受付から戻ります。
無断キャンセル。 これは時間ではなく、連絡が来るかどうかの問題です。前日にひとこと届くだけで、来られない方から先に連絡が入るようになります。連絡さえもらえれば、その枠は埋められます。
リコールの声かけ。 時期が来ている方が38名いて、そのうち11名は目安を過ぎています。この11名は、仕組みがなければ誰も数えていません。数えられて初めて、電話をかけるかどうかを選べます。
ここに挙げた数字は、一般的な医院規模を前提にした試算です。実際の効果は、ユニット数・患者数・診療内容によって変わります。
導入について
患者さん側にアプリは入れません。 LINE の友だち追加だけです。診療の記録を見るときだけ、本人確認をして専用の画面を開きます。
受付側はブラウザです。 いまお使いのパソコンでそのまま開けます。
いまのレセコン(レセプトコンピュータ)は置き換えません。 保険請求はこれまでどおりです。この仕組みが担当するのは、予約枠とキャンセル待ちと連絡だけにします。全部を入れ替えようとすると、移行に半年かかって現場が止まります。
期間の目安は1〜2ヶ月です。 いちばん時間を使うのは、処置ごとの所要時間と担当区分を決めるところです。ここは医院ごとに違うので、既製品では合いません。
運用ルールも一緒に決めます。 何分前まで穴埋めの案内を出すか、何回送って止めるか、電話に切り替える基準はどこか。ここを決めずにツールだけ渡すと、使われずに止まります。
同じ仕組みが効く業種
予約枠に上限があって、空くとその分の売上が消える商売なら、そのまま応用できます。
- 整骨院・鍼灸院 — ベッド数と施術者の組み合わせで枠が決まる
- 動物病院 — 診察室と獣医師の割り当て、ワクチンの時期案内
- エステ・脱毛 — 個室数と担当者、回数券の消化ペース
- 整備工場 — リフトの空きと車検の時期
- レッスン教室 — 講師とスタジオの枠、振替の調整
「席が空いたら、その時間はもう売れない」商売は、考え方が同じです。
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