農産物直売所
農産物直売所向け|最後の1点が何時に売れたかを、出した人に返す
品目ごとに、最後の1点が何時に売れたかを記録して生産者に返します。明日の入荷予定の欄は、生産者に返す紙にも店の画面にも持ちません。委託販売なので、棚の品は店のものではないためです。
原木しいたけが、朝9時50分に売り切れました。
開店から50分です。10時に来たお客さんは、棚の空いたところを見て帰りました。
出した後藤さんは、それを知りません。夕方に受け取る精算の紙に書いてあるのは「12点・4,800円」だけです。全部売れたのだから、いい日だったと思って帰ります。
直売所は委託販売です。棚に並んでいる野菜は、店のものではありません。 売れ残りを持ち帰るのも生産者です。だから、売れ行きを返すのは親切ではなく、預かった側の務めになります。
最後の1点が何時に売れたかを、出した人に返す。そういう作りにします。画面で順に説明します。
先にお伝えしておくこと
- 明日の出荷を、店から書きません。 生産者に返す紙にも、店の画面にも、明日の入荷予定の欄を持ちません
- 値段は生産者が付けます。 同じ白ねぎが120円と160円で並びます。店ではそろえません
- 「無農薬」「減農薬」は、選択肢に置きません。 表示を止める場所は、店頭ではなく出荷登録の入力欄です
1. 出す前に、書けないものを止める

朝7時半、生産者が店の登録機で使う画面です。品名、産地、値段、袋の数を入れると、ラベルが刷れます。
産地が空のままだと、刷れません。 ボタンの下にこう書いてあります。
産地を入れると、押せるようになります
育て方の表示は選ぶだけです。並んでいるのは「節減対象農薬 5割減」「節減対象農薬 不使用」「とくに書かない」の3つ。「無農薬」も「減農薬」も、選択肢にありません。
「有機」には鍵がついています。有機JASの認証番号を登録した品でだけ選べます。
ここが、この仕組みでいちばん静かに効く場所です。 店頭でラベルを見つけて剥がすのは、もう遅いからです。刷れないようにしておけば、貼られません。
2. 帰りに、1枚だけ受け取る

精算機から出る紙です。品目ごとに、いくつ出していくつ売れたかと、最後の1点が売れた時刻が並びます。
金額は売価の合計です。手数料を引く前の数字だと、はっきり書きます。振り込む額は月末の精算書で出るので、ここでは混ぜません。
下半分は空白です。「気づいたこと」とだけ書いてあります。
この空白を、店は受け取りません。 生産者が自分の記録として書き込むためのものです。回収する形にすると、書く内容が店へのお伺いになります。
3. 1日を、横1本の帯で見る

9時から18時までを横1本にして、品目ごとに最後の1点が売れた時刻を点で置きます。
原木しいたけが9時50分。ほうれん草が10時40分。白ねぎが15時30分。かぼすが17時20分。干し柿は閉店まで残りました。
棒グラフにしていません。金額の軸も持ちません。 見たいのは、いくら売れたかではなく、何時まで棚にあったかです。
そして、早いほど良い数字としては扱いません。
早く売り切れた日は、足りなかった日でもあります。早いほど良い数字としては見ていません。
9時50分に売り切れたということは、その日の客のうち多くが買えなかったということでもあります。ここを「よく売れた」で終わらせると、次も12点しか出てきません。
4. 明日の欄を、どこにも持たない
ここが山場です。

朝の棚の画面です。品目ごとに、朝いくつ並んだか、いつ売り切れたか、何人が出したか、値段がいくらからいくらまでかが並びます。
明日の入荷予定の欄は、どこにもありません。 作れます。先週の売れ行きから「明日はしいたけを30点」と出すのは、むずかしくありません。
やらない理由は3つあります。
- 作るものを決めるのは生産者です。 しいたけは仕込みから収穫まで数か月かかります。明日30点にはできません
- 売れ残りを引き取るのも生産者です。 持ってこいと言った店が、売れ残りを引き取るわけではありません
- 数字で言うと、指示になります。 店と生産者は雇用の関係ではありません
出すのは、起きたことまでです。9時50分に売り切れた、朝は12点だった、出したのは1人だった。 ここまで見れば、後藤さんは自分で考えます。
白ねぎの行には6名が並んでいます。120円から160円まで。店では値段をそろえていません。 そろえた瞬間に、委託ではなく仕入れになります。
どのくらい効くか
棚の空いていた時間から計算します。
原木しいたけは9時50分に売り切れて、閉店まで8時間10分、棚が空いていました。1点400円で、1時間に2点売れていたペースです。この棚には、まだ売れる余地がありました。
ただし、ここは金額を出しません。後藤さんが明日12点を24点にできるとは限らないからです。 できるかどうかは、後藤さんしか知りません。
時間のほうは出せます。生産者からの「あれ、何時ごろ売れました?」という電話が、1日に5本ほど。1本3分として15分。月25日で6時間分です。
試算は、登録128名・1日の出荷128品目ほどの直売所を前提にしています。実際の効果は、生産者の人数と、いま何を返しているかで変わります。
ほかの業種でも同じです
- 道の駅・産直コーナー — 委託販売の形がそのまま同じ
- フリーマーケット・委託販売の雑貨店 — 出した人に売れ行きを返す構造が同じ
- 朝市・マルシェの主催 — 出店者に来場の動きを返す形が同じ
- コインロッカー式の無人販売 — 何時に空いたかが分かると、次の補充が変わる
- ギャラリー・作家の委託 — 預かった品が売れた時刻を作家に返す
「預かった品を並べていて、それが自分のものではない」商売は、考え方が同じです。
表示している会社名・店舗名・氏名・数値はダミーデータを挿入しています。