設計事務所・建築設計
議事録をAIが自動作成|録音から社内タスクとお礼メール下書きまで
打ち合わせを録音しておけば、議事録の作成・社内タスクの洗い出し・お礼メールの下書きまでを、AIが自動で対応します。いままで1件あたり70分ほどかかっていた作業が、内容を確認して直すだけの20分ほどに短縮されます。設計事務所のケースで、画面と試算をもとに説明します。
打ち合わせを録音しておけば、AIがその音声を文字にして、議事録の作成・社内タスクの洗い出し・お礼メールの下書きまでを自動で対応します。決まったことも、決まらずに残ったことも、AIが録音の中から拾います。決まったことには、誰のどの発言から来たのかを1件ずつ付けて並べます。
いままで1件あたり70分ほどかかっていた打ち合わせ後の作業が、内容を確認して直すだけの20分ほどに短縮されます。ここでは、住宅と店舗の設計をしている9人の設計事務所のケースで説明します。
何に困っているか
打ち合わせが1件終わるたびに、設計担当は3つのものを別々に作っています。議事録、社内タスクの割り振り、施主さまへのお礼のメールです。元になった話は同じでも、宛先も書く中身も違うので、手作業だと合わせて70分かかります。
| 作るもの | 宛先 | 中身 | 手作業だと |
|---|---|---|---|
| 議事録 | 出席した全員 | 決まったことと、決まらなかったこと | 40分 |
| 社内タスクの割り振り | 事務所の担当 | やること・担当・いつまで | 15分 |
| お礼のメール | 施主さま(Ccにご家族と工務店と事務所) | お礼・決まったこと・宿題をお返しする日・次回の日程 | 15分 |
| 合計 | — | — | 70分 |
困るのは時間だけではありません。この70分が後回しになると、次の3つが起きます。
- 決まらなかったことが、どこにも残りません。 議事録は決まったことを書く場所なので、「補助金の締切を調べてから」で止まった話は落ちます。次の打ち合わせで、また同じところから話し始めます
- 担当のいない仕事が宙に浮きます。「どなたか調べていただけますか」で終わった件は、誰の手元にも入らないまま忘れられます
- 言った言わないになります。 記憶をたどって書いた議事録は、施主さまの認識と食い違ったときに、戻って確かめる先がありません
どういう仕組みか
AIにやらせているのは2つだけです。1つめは、録音した音声を文字にすること。2つめは、その文字を読んで要点をまとめることです。
1つめの、音声を文字にする(文字起こし)ところは、いまは録音アプリにも付いています。この仕組みでAIがやるのは、話した人ごとに分かれた発言を文字にして、1つずつに時刻を付けるところまでです。あとから元の発言に戻れるのは、これがあるからです。
2つめが、要点をまとめるところです。AIが文字を最初から最後まで読んで、決まったこと・決まらなかったこと・社内のやること、の3つに仕分けます。議事録に載せるのは、元になった発言があるものだけです。
録音は、AIに全部読ませます。ここだけ読ませる、といった範囲を絞る仕掛けは入れません。読み飛ばした部分があると、議事録に載っていない話が、そもそも打ち合わせで出なかったのか、AIが読まなかっただけなのか、あとから区別できなくなるからです。
録音を始める前に、人がやることが1つあります。出席者を施主さま・工務店・事務所の3つに分けて登録します。この3分割で、お礼メールの宛先とCcと差出人が決まります。ご契約者が宛先、同席したご家族と工務店・事務所の代表がCc、書いた設計担当が差出人です。
| いつ | 誰が | 何をするか |
|---|---|---|
| 打ち合わせの前 | 設計担当 | 出席者を施主さま・工務店・事務所の3つに分けて登録し、録音を始めます |
| 打ち合わせの間 | 設計担当 | いつもどおり打ち合わせをします。画面の操作は要りません |
| 録音を止めた直後 | AI | 音声を文字にして、決まったこと・決まらなかったこと・社内のやることに仕分けます |
| 会議室を出る前 | 出席した全員 | 決まったことを画面で確かめ、違うところをその場で直します |
| 打ち合わせが終わったあと | AI | 議事録・社内タスクの一覧・お礼メールの下書きを作ります |
| 送る前 | 設計担当 | 下書きを読んで直し、送信ボタンを押します |
必要な機材と環境
新しい機械もネットワーク工事も要りません。事務所側の画面はブラウザで動くので、いま使っているパソコンでそのまま開けます。
- 録音するもの。 スマートフォンで録音できます。ICレコーダーや、オンライン会議の録画からでも動きます。条件は「話した人ごとに発言が分かれて記録されること」の1つだけです
- 音声の置き場所。 事務所のサーバーにだけ置き、90日で消します。文字にしたものと議事録は、案件のフォルダに残ります
- 事務所のパソコン。 ブラウザが動けば大丈夫です。専用のソフトを入れる必要はありません
できること
画面は3か所に分かれます。打ち合わせの席でその場に見るもの、打ち合わせのあとに読んで直すもの、代表が見るものです。
| 機能 | 使う人 | 何が起きるか |
|---|---|---|
| 決まったことの確認 | 出席した全員 | 録音を止めた直後に、決まったことと決まらなかったことが分かれて並びます。時刻を押すと、その発言まで戻れます |
| 議事録の下書き | 設計担当 | AIが発言を読んで議事録にまとめます。1行ごとに、元になった発言の時刻と話した人が付きます |
| 社内タスクの洗い出し | 設計担当・代表 | やること・担当・いつまで・元になった発言が一覧になります。担当が入るのは、打ち合わせで名前が出たものだけです |
| 自分のやることの受け取り | 割り振られた人 | 自分の担当分だけが期限つきでスマートフォンに届きます。担当が決まっていないものは、その下にまとめて出ます |
| お礼メールの下書き | 設計担当 | AIが宛先・Cc・差出人・件名・本文まで作ります。送信ボタンは人が押します |
| 持ち越しの追跡 | 代表 | 決まらないまま次に回ったことが、何回めの持ち越しかとセットで並びます |
| 月ごとの数字 | 代表 | 打ち合わせの回し方を見る4つの件数を、先月と並べて出します |
画面で見る
森下さま邸 新築の第5回打ち合わせを例に見ていきます。2026年11月20日(金)の14時から15時10分まで、事務所で行う70分の打ち合わせです。出席は施主のご夫妻2名、工務店1名、事務所から2名の5人です。
打ち合わせの席で見る画面
録音を始める前の画面です。上に、この打ち合わせから出るものが議事録・やること・お礼のメールの3つで並びます。その下に出席している5人が施主さま・工務店・事務所の3つに分かれ、右端に宛先・Cc・差出人が出ています。音声の置き場所と、90日で消えることも同じ画面に書いてあります。

録音を止めた直後の画面です。決まったこと4件と、決まらなかったこと2件が分かれて並びます。決まったことの各行には録音の時刻と「直す」が付き、決まらなかったことには、次に何を待っているかが添えられています。

社内タスクを振られた人に届く画面です。設計担当の若林さんの担当3件が、期限と、元になった発言つきで並びます。その下に、担当が決まっていない1件が「わたしがやります」と一緒に出ています。

事務所のパソコンで見る画面
議事録の下書きです。左に話した順の発言、右にAIがまとめた議事録が並び、右の1行ずつに元になった発言の時刻と話した人が付いています。上には、録音70分・発言118・話した人5という数と、決まったこと4件・決まらなかったこと2件が出ています。

社内タスクの一覧です。この打ち合わせから出た6件が、やること・担当・いつまで・元になった発言の4つの列で並びます。担当が入っているのは5件で、残る1件は担当の欄が「名前が出ませんでした」、期限が「未定」のまま出ています。

お礼メールの下書きです。宛先・Cc・差出人・件名と本文ができていて、右側に、本文のまとまりごとにどこから来たかが4行で並びます。その下には送る前に確かめることが3件出ていて、平面図の日付が事務所の予定と合っているかの1件だけが「未」で残っています。

代表が見る画面
決まらないまま次に回ったことの一覧です。左に、何回めの持ち越しかが出ます。太陽光を載せるかどうかは3回めで、補助金の締切が分からないまま止まっています。各行から、次回の議題に入れられます。

月ごとの数字です。決まらずに持ち越した件数、担当が決まらなかった件数、打ち合わせの席で直された議事録の件数、期限が入っていないやることの件数の4つが、先月の数と並びます。下に月末に残っていた持ち越しの推移、右に出していない数字が3つ、出さない理由つきで置いてあります。

AIに決めさせないこと
AIに決めさせないことを、2つ決めてあります。どちらもAIに埋めさせようと思えば埋まりますが、出てくるのは打ち合わせで決まった内容ではありません。
| 決めさせないこと | どうするか | 決めさせるとどうなるか |
|---|---|---|
| 社内タスクの担当 | 打ち合わせで名前が出たものだけ入れます。出なかったものは空のまま、事務所の全員に見えるところへ置きます | 打ち合わせで決まっていない割り当てが、決定として本人に届きます |
| 決まらなかったことの結論 | 空欄のまま議事録に載せ、次の打ち合わせの議題に運びます | 話し合いの途中で出た案が、決まったこととして施主さまに届きます |
たとえば社内タスク6件のうち1件は、「太陽光の補助金の締切って、どなたか調べていただけますか」という施主さまの発言から作られます。名前が出ていないので、担当は空のままです。決まらなかった2件も、結論を空欄にしたまま議事録に載ります。
送信も人がやります。お礼のメールはAIが宛先・Cc・本文まで作りますが、送信ボタンは設計担当が読んでから押します。宛先の間違いはあとから取り消せないので、最後の1手は人に残しています。
導入するとどう変わるか
打ち合わせ1件あたりの作業が、70分から20分になります。減るのは、ゼロから書き起こす時間です。残る20分は、AIが作った下書きを読んで直す時間です。
| かかる時間 | 手作業だと | 導入後 |
|---|---|---|
| 打ち合わせ1件あたり | 70分 | 20分 |
| 社外の打ち合わせが月16件 | 18時間40分 | 5時間20分 |
計算は次のとおりです。社外の打ち合わせが週4件ある、9人の設計事務所を前提にした試算です。
- 1件あたりの差は50分です。70分 − 20分 = 50分
- 週4件なら月16件です。50分 × 16件 = 800分 = 月13時間20分
- 設計担当の1時間を3,000円とすると、13時間20分 × 3,000円 = 月に約4万円分
時間のほかに、代表の画面が毎月4つの件数を数えます。決まらずに持ち越した件数、担当が決まらなかった件数、打ち合わせの席で直された議事録の件数、期限が入っていないやることの件数です。どれも先月の数と並んで出るので、増えたのか減ったのかがその場で分かります。
実際の効果は、社外の打ち合わせの件数と、議事録に何をどこまで載せるかの決め方によって変わります。
導入の進め方
期間の目安は1〜2ヶ月です。用意するものは多くありません。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 用意するもの | 録音できるスマートフォンか、ICレコーダー。パソコンはいまのままで大丈夫です |
| 作る画面 | 打ち合わせの席で使う画面、事務所で使う画面、代表が見る画面 |
| 決めること | 議事録に何を載せるか。誰がどこまで確認してから送るか。出席者をどの3つに分けるか |
| 期間の目安 | 1〜2ヶ月 |
いちばん時間を使うのは、機械の用意ではありません。議事録に何を載せるかと、誰がどこまで確認してから送るかを決めるところです。代表が全部読んでから出す事務所と、設計担当が読んで出す事務所では、画面の作りも変わります。
ここを決めずに動かすと、AIが作った下書きを毎回ゼロから書き直すことになり、手作業のときと時間が変わりません。最初の1件か2件は、いままでどおり手で書いたものと見比べて、載せる中身をすり合わせます。
ほかの業種でも同じ仕組みが使えます
外の人と話して決めたことを、そのあと社内と社外に書き分けて配っている仕事なら、同じ仕組みが使えます。工務店の現場定例、税理士事務所の月次の打ち合わせ、リフォーム会社の現地調査、士業の面談、代理店の提案打ち合わせも、あとに残る作業は議事録・社内タスク・お礼メールの3つです。
必要なものは3つだけです。誰が出席したか、何が決まって何が決まらなかったか、誰がいつまでに何を返すか。この3つが揃う打ち合わせなら、業種が変わっても同じ形で作れます。変えるのは、議事録に載せる項目と、出席者の分け方と、社内タスクの回し方です。
まずは、いま出している議事録を1本お見せください。打ち合わせの件数と、議事録やお礼メールにかけている時間もあわせてうかがえれば、どこまでAIに作らせて、どこは人が決めるかを一緒に切り分けます。
表示している会社名・店舗名・氏名・数値はダミーデータを挿入しています。