飲食店
飲食店向け|レジが合わない日に、誰も疑わずに原因へたどり着く
取り消し・まかない・値引きを、その場で1タップの理由つきで残します。締めで差が出た日は、理由が入っていない操作だけを古い順に並べます。原因はAIに言わせません。
閉店後、レジが1,200円合いません。
もう一度数えます。合いません。伝票をめくります。19時台に取り消しが1件。誰がやったのか、なぜやったのかは書いてありません。
ここで、店長は2つのうちどちらかを選ぶことになります。自分で1,200円を入れて終わらせるか、明日スタッフに聞くか。
どちらもよくありません。前者は毎月続きます。後者は、聞かれたほうが「疑われた」と受け取ります。そして次の日から、取り消しを避けるようになります。 伝票はもっと合わなくなります。
合わないこと自体は、たいした問題ではありません。合わない理由を、あとから誰も説明できないことが問題です。
その日のうちに理由を残して、締めのときに並べる。そういう仕組みを作ります。画面で順に説明します。
先にお伝えしておくこと
作るときに外さない線を3つ決めています。
- 差額の原因を、AIに言わせません。 理由が入っていない操作を、古い順に並べるだけです。「この操作が原因です」と書いた瞬間に、特定の従業員を指す画面になります
- 従業員ごとの取り消し件数を出しません。 並べると、疑われたくないので取り消しを避けます。伝票はもっと合わなくなります
- 理由を選ぶのは1タップで終わらせます。 打ち込む形にすると、忙しい日ほど空のまま流れます
1. 電話が鳴る時間を、ずらす
お客さま側から始めます。

予約の電話は、17時から19時に集中します。仕込みと開店準備がいちばん重なる時間です。
LINEで受けると、この時間を外して返せます。空いている時間だけを出して、選んでもらいます。
席は選ばせません。 お席の欄には「店内・当日ご案内します」と入っています。8名のグループが来る日にカウンター2席を先に押さえられると、その日の組み合わせが崩れます。席割りは店の仕事です。
2. 前日に、人数を動かせるようにする

前日の朝に、予約の内容が届きます。時間、人数、苦手な食材。地図もそこに入っています。
ここで4名が5名に変わりました。この1名が、仕込みの数に効きます。
当日の夕方に電話で言われると、もう仕込みは終わっています。前日の午前中に分かれば、まだ動かせます。返事にはこう書いてあります。
仕込みの数に入れますので、お気づきの点は17時までにお知らせください。
3. 理由を、その場で1タップ
ここから店側です。

炭火焼きを焼き台から落として、作り直しました。注文を取り消します。
理由が6つ並びます。作り直し/お客さまの都合/まかない/お店から/打ち間違い/その他。
タップ1回です。ひとことの欄は任意です。入力を必須にすると、金曜の20時にはやってもらえません。
誰が操作したかと時刻は、自動で入ります。ここを手で選ばせると、面倒なぶん他人の名前が入ります。
この6つは、あとで原価を分けるための区分でもあります。まかないと作り直しと廃棄は、意味が違います。 全部まとめて「ロス」にすると、どこを直せばいいのか分からなくなります。
4. 合わない日に、どこを見るかまで出す
閉店後です。

数えた現金が184,300円、レジの計算が185,500円。差が1,200円。
その下に出るのは、原因ではありません。
理由が入っていない操作が3件あります 古い順に並べています。ここから見ると早く見つかります。
「21時40分のおつりの訂正が原因です」とは書きません。 金額が1,200円で一致していても、書きません。
一致は根拠になりません。別々の理由が打ち消し合って、たまたま1,200円になっている日もあります。そして書いてしまえば、その操作をした人が犯人だという画面になります。
差額の数字も赤くしていません。琥珀までです。赤にすると、事故が起きた画面になります。
3件に理由が入るまで、締めは確定できません。止めているのは差額ではなく、理由の空欄のほうです。
5. 翌朝、店長が同じ画面を見る
ここからパソコン画面です。

上に、数えた現金とレジの計算と差が横に並びます。その下に操作が17件。
理由が入っていない3件が上に、入っている3件が下にあります。 下の3件には理由が書いてあります。「作り直し(焼き台から落とした)」「まかない」「お店から(お待たせした)」。
この並びが、そのまま話の順番になります。上の3件を、操作した本人に聞きます。聞かれるほうも、14件は理由が入っていることが見えています。 自分だけ疑われているわけではないと分かります。
その場で分からないときは「あとで確かめる」を選んで、翌朝に開きます。思い出せないことを、無理に選ばせません。
6. 売上は、時間で見る

その日の売上が312,400円、62名、48組。お一人あたり5,038円。
時間ごとの棒を見ると、19時台が92,100円で山です。22時台は17,800円で、3組しか残っていません。
この形が毎週続くなら、22時台に人を2人置く必要はありません。 ラストオーダーを30分早めた日と比べられるようにしてあります。
下によく出たものが並びます。数と売上だけでなく、原価率も一緒に出します。刺身の盛り合わせは46%です。
7. 出していないぶんが、理由ごとに積み上がる

今月の仕入れが2,184,000円。売上に対して31.8%。
そのうち96,400円が、お客さまに出していないぶんです。これはS3で選んだ理由から、そのまま積み上がっています。
まかない42,600円、お店から28,900円、作り直し19,800円、閉店までに出なかったもの5,100円。
ここで初めて、直せる場所が出ます。
作り直しの37件のうち、24件が炭火焼き 盛り合わせです 10月は9件でした。焼き台を1台入れ替えたのが10月28日です。
これは人の問題ではなく、焼き台の問題です。 「ロス」でまとめていたら、この1行は出てきません。
8. 席は、人が組む

今夜の予約が27組、47名。28席の店です。
18時30分の大和田さま8名に、要確認がついています。下にはこう出ます。
大和田さま 8名は、4人がけを2つ並べると入ります 18:30 から2時間。同じ時間に11番(2名)が入っています。並べる場合は11番を6番へ移します。
組み合わせは出しますが、動かすのは人です。 11番の2名が常連さんで、いつもその席に座ることは、機械には分かりません。
20時30分の浜口さまは未確認です。前日のご案内が届いていません。電話予約でLINEを登録していない方です。
9. 仕込みの数は、店長が入れる

明日の予約が31組、54名。先週の土曜は48組、62名でした。
先週の同じ曜日に何皿出たかが、左に出ます。右の欄は空です。入れる数を決めるのは店長です。
刺身の盛り合わせだけ、数字も出していません。「市場で入れる」とだけ書いてあります。水揚げ次第のものに、先週の数から目安を出しても意味がないからです。
出している数字が何から出ているかも書いてあります。先週の同じ曜日と、予約の人数。仕入れの都合と天気は入っていません。 そこは人が足します。
10. 差額の回数を、数えない

4つ出しています。
- 理由が入っていない操作 — 3件(先月は41件)
- 締めにかかる時間 — 9分(先月は34分)
- お客さまに出していない仕入れ — 4.4%(先月は6.1%)
- 予約がLINEから入った割合 — 67%(先月は41%)
出していないものも書いてあります。従業員ごとの取り消し件数、差額が出た日の回数、まかないの少なさ。
差額が出た日を数えると、どうなるか。合わせるために、誰かが自分の財布から出します。 数字はきれいになり、店では何も分からなくなります。
まかないを減らすと、食べずに働く人が出ます。金額は見ますが、目標にはしません。
数えるのは理由が入っていない操作の数だけです。これは人を並べる数字ではありません。店の仕組みが回っているかどうかの数字です。
どのくらい効くか
締めの時間から計算します。
レジを閉めてから確定まで、いま34分。理由がその日のうちに入っていれば9分で終わります。差は25分です。
月26日営業で 10.8時間分。店長の時給を2,000円とすると、月に21,600円分になります。
ただし、この事例で大きいのは原価のほうです。お客さまに出していない仕入れが6.1%から4.4%に下がっています。月の仕入れ2,184,000円に対して1.7%で、37,000円分です。
これは節約したのではありません。作り直しが炭火焼きに集中していることが見えて、焼き台を直したからです。理由を分けて残していなければ、この1行は出ません。
試算は、28席・月商800万円ほどの居酒屋を前提にしています。実際の効果は、席数、営業日数、いま締めに何分かかっているかで変わります。
ほかの業種でも同じです
この形が効くのは、居酒屋だけではありません。
- カフェ・ベーカリー — 廃棄と試作とまかないを分ける。閉店後の締めも同じ
- 小売店・物販 — 返品・値引き・破損を理由ごとに残す構造が同じ
- 美容室・サロン — 割引と技術補償を分けて残す。レジの締めも同じ
- ガソリンスタンド・コインランドリー — 現金を扱い、人が入れ替わる。同じ形
- ホテル・旅館のフロント — 部屋の変更とお詫びの値引きを、理由つきで残す
「現金を扱っていて、複数の人が触る」商売は、考え方が同じです。
表示している会社名・店舗名・氏名・数値はダミーデータを挿入しています。