プレスリリースをAIで投げ分け|掲載率を上げる配信術
この記事の要点
- AIは「量産」ではなく媒体ごとの「投げ分け」に使うと掲載率が上がる
- 勝ち筋は情報整理→AI生成→人の検証→投げ分けの4ステップ
- AIの出力は下書きまで。事実確認と同意取りは人がやる
プレスリリースをAIで書けるようになったのに、なぜか掲載されない。配信数は増えたのに、記者から反応が返ってこない。そんなモヤモヤを抱えていませんか。
Contents / 目次
結論。AIは「量産」ではなく「投げ分け」に使う

先に結論をお伝えします。2026年のいま、プレスリリースでAIを活かす正解は、同じ原稿を大量に作ることではありません。1つのネタを、届け先ごとに最適な形へ「投げ分ける」ことです。
投げ分けとは、1つの発表ネタを業界専門メディア向け・Web配信向け・SNS告知向けに、それぞれ別の切り口で書き分けることです。AIは早く書けるので、つい全媒体に同じ文章をばらまきたくなります。ですが、それではどの記者にも刺さりません。
理由はシンプルです。AIで誰でも素早くリリースを書けるようになった結果、似たような文章がメディアに溢れています。検索すれば出てくる情報ばかりでは記者の目に留まりにくくなります。だからこそ、相手に合わせて切り口を変える一手間が効きます。
押さえるべきポイントは、次の3つに集約されます。
- 投げ分け:1ネタを媒体別に書き分ける。一斉送信をやめる
- 役割分担:AIは下書きと書き分け、人は事実確認と同意取りに集中する
- 明確さ:事実・数字・固有名詞をあいまいにせず明確に書き、記者が裏取りしやすい形にする
この3つを、従来のやり方と並べて整理すると違いが一目で分かります。
| 項目 | これまでのやり方 | AI時代の投げ分け型 |
|---|---|---|
| 原稿の作り方 | 1本作って全媒体に送る | 1ネタを媒体別に書き分ける |
| AIの役割 | 使わない、または丸写し | 下書き・書き分け・候補出し |
| 人の役割 | 全部を手作業で書く | 事実確認・同意取り・最終判断 |
| 狙う読み手 | 記者だけ | 記者+検索で調べる読み手 |
| 評価軸 | 配信本数 | 掲載率・反応の質 |
ポイント。AIで浮いた時間を「本数を増やす」ではなく「1ネタを丁寧に投げ分ける」に回すのが、掲載率を上げる近道です。
プレスリリースをAIで仕上げる4ステップの手順

具体的な進め方を見ていきましょう。AIを使う場合でも、流れは大きく4つのステップに分かれます。この順番を崩さないことが、後戻りを減らすコツになります。
- 情報整理
- AI生成
- 人による検証
- 媒体別の投げ分け
ステップ1。AIに渡す前に情報を整理する
最初にやるのは、AIに頼むことではありません。材料を集めることです。ここを飛ばすと、AIはそれっぽいけれど中身の薄い原稿を返してきます。
準備段階のチェックリストを用意しました。配信前にこの項目が埋まっているか確認してみてください。
- 主役:この発表で誰の生活・仕事が変わるか
- 新規性:これまでと何が違うのか、何が初めてか
- 数字:裏付けのある実数(盛らない、推測値は使わない)
- 当事者の声:引用コメントと、その本人の事前同意
- 背景:なぜ今このタイミングなのか
ステップ2。AIに下書きと案を量産させる
材料がそろったら、AIに下書きを作らせます。ここでのコツは、完成原稿を1本だけ作らせるのではなく、選べるように複数案を出させることです。
たとえば、次のように複数の案をまとめて出させて、人が選びます。この「量産して選別する」流れが効率的です。
- タイトル案:10本
- リード文:3パターン
- SNS告知文:3種類
本文は「背景→新規性→社会的意義→当事者の引用」の4ブロックの順で書くようAIに指定すると、素人っぽさが抜けて型が整います。
出発点として渡すプロンプトは、作り込む必要はありません。いまのAIは、ざっくり頼めば自分で整えてくれます。次のような短いたたき台から始めて、あとはAIと対話しながら自社の状況に合わせて詰めていくのがおすすめです。
あなたは経験豊富な広報担当です。以下の材料からプレスリリースを作ってください。
【材料】
・主役(誰の何が変わるか):[ここを入力]
・発表内容:[ここを入力]
・新規性:[ここを入力]
・数字(裏付けあり):[ここを入力]
・当事者コメント:[ここを入力]
【依頼】
1. タイトル案を10本
2. リード文を3パターン(誰のどんな日常がどう変わるかを1行で)
3. 本文は「背景→新規性→社会的意義→当事者引用」の4ブロックで
数字は材料にある事実だけを使い、盛らないでください。
使うAIは、自分の広報業務に合うものを選んでください。 AIごとの使い分けはChatGPT・Gemini・Claudeの使い分け|1本に絞らない理由でも詳しく整理しています。
ステップ3。人が事実確認と同意取りをする
ここが一番大事な工程です。AIの出力をそのまま信じて配信するのは禁物です。AIは数字や日付をもっともらしく間違えますし、表現を盛りがちです。
確認するのは、次の3点です。
- 事実との一致:固有名詞・数字・日付が事実と合っているか
- 表現の適法性:景品表示法や薬機法に触れる言い回しがないか
- 引用の同意:引用コメントの本人から同意を得ているか
別のAIに「ファクトチェック専門家として、事実誤認・誇張・未確認の引用を指摘して」と読ませると、見落としを拾いやすくなります。ただし最後にOKを出すのは必ず人です。
ステップ4。媒体別に書き分けて配信する
仕上げが投げ分けです。同じネタでも、媒体ごとに切り口を変えます。
- 業界専門メディア向け:技術的な深さを出す
- Web配信向け:読みやすさを重視する
- SNS告知向け:短く目を引く一言にする
「この原稿を業界専門メディアの記者が読む前提で、専門性を強めに書き直して」とAIに頼めば、たたき台はすぐ出てきます。配信先の選定や名寄せをAIで効率化する流れはClaude Codeでメディアリストを爆速整理。AIが連絡先を賢く名寄せも参考になります。
取り組むと何が変わるのか

このやり方に切り替えると、まず下書きにかかる時間が大きく減ります。ゼロから書いていた作業を、整理した材料を渡すだけで初稿が返ってくる形にできます。削減できる幅は業務によって大きく変わりますが、空いた時間を投げ分けや関係づくりに回せるのが本当の価値です。
おすすめは、AIを「執筆マシン」ではなく「下ごしらえ係」として位置づけることです。AIに材料の整理と書き分けを任せ、人は記者との関係づくりや、刺さるネタの設計に時間を使う。この役割分担を最初に決めておくと、配信のたびに迷わず動けます。
もう一つの変化は、誰が読んでも誤解なく伝わる書き方が、これまで以上に大事になることです。検索結果のまとめだけで情報を得る場面も増えるなか、事実・数字・固有名詞をあいまいにせず明確に書いておくことは、記者が裏取りしやすく、内容を正確に伝えるうえで欠かせません。
ポイント。狙うべき指標は配信本数ではありません。掲載されたか、記者から反応があったか、という「質」で測ると、改善の方向が見えてきます。
効果測定そのものをAIに任せる発想もあります。配信後の掲載状況やSNSでの反応を自動でまとめる仕組みはAIエージェントがプレスリリースの効果を自動分析・レポート化で具体的に紹介しています。
よくある失敗と回避法

現場でよく見かける失敗を、具体的に挙げていきます。どれも「AIで早くなったからこそ」起きるものです。先に知っておけば避けられます。
失敗1。AIの数字を信じて配信してしまう
急いでいるときに起きがちです。AIが出した売上の数字や日付をそのまま使って配信し、後から誤りが発覚する。一度出たリリースは取り消せないので、訂正のお詫びに追われることになります。
防ぎ方はシンプルです。人による事実確認を「飛ばしてはいけない必須工程」としてフローに組み込むことです。チェック担当を決め、数字・日付・固有名詞には必ず元資料を突き合わせる。この一手間を省かない仕組みにしておきます。
失敗2。機密情報を無料のAIに入力してしまう
未発表の決算数字や個人情報を、手元の無料のAIに打ち込んでしまうケースです。サービスや設定によっては入力した内容が学習などに使われる場合があり、情報漏えいにつながりかねません。
回避策は2つあります。
- 業務利用に適したプラン・設定に切り替える:利用するサービスの公式情報で、入力データの取り扱い(学習に使われるかどうか、保存期間など)を確認したうえで選ぶ
- 社内ルールを先に決める:「何を入れてよくて、何はダメか」をあらかじめ取り決めておく
ルールづくりの進め方はAIに入力してはいけない個人情報|社内ルールの作り方でまとめています。
失敗3。全媒体に同じ原稿を一斉送信する
AIで早く書けるようになると、同じ原稿を全方位にばらまきたくなります。ですが、誰に向けたものでもない原稿は、結局どの記者にも刺さりません。配信数は増えても掲載はゼロ、ということが起こります。
防ぐには、ステップ4の投げ分けを習慣にすることです。最低でも「専門メディア向け」と「Web・SNS向け」の2系統には書き分ける。AIに切り口を変えさせるだけなので、手間は思ったほどかかりません。
失敗4。自社目線の「お知らせ」で終わる
「弊社は〇〇を開始しました」とだけ伝えても、記者は興味を持ちません。記者が見ているのは「それで誰のどんな日常が変わるのか」です。ネタの設計段階でこの視点を入れ、リード文に盛り込むこと。これだけで反応はかなり変わります。
使う側の落とし穴と、現場で見えた妥協点
ここからは、教科書には載りにくい本音をお伝えします。AIでプレスリリースを回そうとして、現場でつまずきやすいポイントです。
まず知っておいてほしいのは、AIの出力は完璧ではないということです。仕上がりには人の手直しが前提で必要だと考えるのが現実的です。
「全自動で広報が回る」と期待すると、必ずギャップにがっかりします。AIは下ごしらえまで、最後の味付けと責任は人、という線引きを最初に共有しておくと、チームの落胆を防げます。
次に、ツールを増やすことが目的化しやすい点です。PR系のAIツールは数多くありますが、ツールを増やすほど現場は迷い、かえって定着しません。大事なのはツールの数ではなく、自社の業務フローのどこにAIを差し込むかという設計です。「下書きだけAIに任せる」と決めるだけでも、十分に効果は出ます。
もう一つ、見落とされがちなのが「クローズドな情報の価値」です。AIで誰でも書ける時代になると、検索すれば出てくる情報は記者に響きにくくなります。企画の裏側や、公開できる範囲の詳しいデータなど、その媒体にしか渡さない一次情報を用意できるかが、掲載を左右する分かれ目になってきています。
AIで効率化した分の余力を、こうした「自社にしかない話」を作る側に回せるかどうか。ここが、外注と内製のどちらを選ぶ場合でも問われるところです。
内製でどこまでやり、どこをプロに任せるか。判断に迷ったら、まず「材料の整理と下書きは自社、フロー設計と仕組み化は相談」という切り分けから始めると、無理なく進められます。最初の1業務の選び方はAI導入は何から始める。中小企業が最初の1業務を決める手順も合わせて読んでみてください。
よくある質問
AIで書いたプレスリリースは、記者にバレて嫌がられませんか
下書きにAIを使うこと自体は問題ありません。嫌われるのは「中身が薄い」「どこかで見た文章」のときです。材料を人が整理し、媒体別に書き分け、当事者の変化を描けていれば、AI下書きでも十分に刺さります。
無料のAIでも大丈夫ですか
公開予定の情報を整える分には使えます。ただし未発表の数字や個人情報は、入力する前に、利用するサービスの公式情報で入力データの取り扱い(学習に使われるかどうか、保存期間など)を必ず確認してください。取り扱いはサービスやプランによって異なります。機密を扱うなら、業務利用に適したプランやAPI利用への切り替えと、社内ルールづくりをおすすめします。
配信サービスはどれを使えばいいですか
サービス選びより先に、ネタの設計と投げ分けを固めるのが先決です。どの配信サービスを使っても、刺さらない原稿は掲載されません。まずは1ネタを媒体別に書き分ける習慣を作り、配信先は自社のターゲットに合うものを選びましょう。
AIに任せれば広報の人手は減らせますか
下書きの時間は減りますが、人がゼロにはなりません。事実確認、同意取り、記者との関係づくりは人の仕事として残ります。AIで浮いた時間を、こうした人にしかできない仕事に回すと考えるのが現実的です。
まずは現状を整理するところから
ここまで読んで、やることは分かったけれど自社のフローにどう組み込むかは悩ましい、と感じた方もいるはずです。そんなときは、コレットラボのAI業務システム化支援にお声がけください。いきなり契約ではなく、いまの広報業務のどこにAIを差し込めるかを一緒に整理するだけでも大丈夫です。AI業務システム化の詳細はこちらから、まずは気軽にお話を聞かせてください。
30分の無料相談
現状をお聞きし、優先順位を一緒に整理します。
予約する →