社内報のネタ切れをAIで解決!各部署のチャットから話題を自動収集
この記事の要点
- ネタ集めは「拾う」をAIに、「選ぶ」を人に、「整える」を分担する3分業が現実解
- 巡回するチャンネルの範囲・拾う型・頻度を先に決めるのが成否を分ける
- 機密チャンネルの除外と人の最終確認を仕組みに組み込むことが必須
毎月の社内報、「今月、何を載せよう」で手が止まっていませんか。各部署では日々いろんな出来事がチャットで飛び交っているのに、それを社内報にまとめる時間がなくて、結局いつも同じような内容になってしまう。これは多くの広報担当者が抱える悩みです。
この記事では、各部署のチャットからAIに話題のタネを自動で拾わせ、社内報のネタ切れを根本から解決する仕組みの作り方を解説します。ツールの画面操作ではなく、どの会社でも再現できる「設計の考え方・手順・判断軸」を中心にお伝えします。読み終えたとき、自社で何から始めればいいかが具体的に見えているはずです。
Contents / 目次
結論。AIには「ネタ集め」だけを任せ、面白さの判断は人が握る

結論から言います。社内報のネタ切れをAIで解決する近道は、作業を「拾う・選ぶ・整える」の3つに分け、一番面倒な「拾う」だけをAIに任せることです。AIはチャットの大量の投稿から候補を集めるのは得意ですが、「どれが社内報として面白いか」を決めるのは苦手だからです。
つまり、AIに全部を丸投げするのではありません。「ネタの下準備係」としてAIを使い、最終的な良し悪しの判断と仕上げの温度感は人が握る。この線引きが、続く仕組みと続かない仕組みの分かれ目になります。
3分業がすべての土台。この役割分担を最初に決めれば、あとの設計は自然と固まります。
- 拾う:AIがチャットから候補を集める
- 選ぶ:人が載せるネタを決める
- 整える:AIが下書きを作り、人が仕上げる
ここで「拾う・選ぶ・整える」の3工程を、誰が担当するのかを一覧にして整理します。役割があいまいなまま始めると、結局すべてを人が抱えるか、AIの出力をそのまま載せて事故るかのどちらかになりがちです。
| 工程 | やること | 主担当 | AIが向く理由・人が必要な理由 |
|---|---|---|---|
| 拾う | 各部署チャットから話題の候補を集める | AI | 大量の投稿を読む単純作業。人がやると時間がかかりすぎる |
| 選ぶ | 候補から実際に載せるネタを決める | 人 | 「面白い」「自社らしい」の判断は人にしかできない |
| 整える | 選んだネタを記事の下書きにする | AI+人 | AIが叩き台を作り、人が温度や事実を仕上げる |
この記事でこのあと解説する手順は、すべてこの3分業を土台にしています。まずは「拾う工程だけAIに渡す」と決めてください。それだけで、ネタ集めにかけていた時間は大きく変わります。
具体的なやり方。チャットから話題を自動収集する仕組みの作り方

仕組み作りでつまずく原因のほとんどは「いきなりAIに巡回させようとすること」です。先に決めるべきは設計です。ここでは、誰でも再現できる順番でお伝えします。
手順1。巡回するチャンネルの範囲を先に決める
最初にやるのは、AIに読ませるチャンネル(チャットの部屋)の範囲を決めることです。全部読ませればいいわけではありません。むしろ範囲を絞るほど、拾われる候補の質は上がります。
巡回させてよいのは、業務上の前向きな話題が流れる場所です。具体的には「全社共有」「各部署の業務報告」「日報」などが向いています。一方で、人事評価・給与・取引先の機密情報・個人的な相談が流れるチャンネルは、最初から対象に入れないこと。これは効率のためではなく、情報漏えいを防ぐための絶対条件です。
人事・給与・採用・取引先との個別交渉が流れるチャンネルは、便利そうでも巡回対象に入れないでください。社内報のネタは「みんなに共有していい話」だけで十分に集まります。
手順2。拾う「ネタの型」を言葉で定義する
次に、社内報に載せたい話題の「型」を、あらかじめ言葉で決めておきます。AIは「いい感じのネタを探して」では動けません。何を拾えばいいかを具体的に示すほど、精度が上がります。
拾う型の例として、次のようなものを用意しておくと、各部署から偏りなくネタが集まります。
- 表彰・受賞:社内表彰、資格取得、外部のアワード受賞など
- 新メンバー加入:中途・新卒の入社、異動での着任
- 顧客からの感謝の声:お客さまからのお礼メールや好意的なフィードバック
- 目標達成・改善の工夫:数字の達成、現場で生まれた小さな業務改善
- 部署をまたいだ協力:他部署を助けた、連携してうまくいった話
この「型」をAIへの指示文に組み込むと、AIは各チャンネルの投稿を読みながら「これは感謝の声の型だ」「これは改善の工夫の型だ」と仕分けして候補に挙げてくれます。
手順3。巡回の頻度とまとめるサイクルを固定する
頻度は「毎週金曜の朝に直近1週間分をまとめる」のように固定するのがおすすめです。毎日チェックするより、週に一度まとめて候補を受け取るほうが運用が続きやすく、担当者の負担も軽くなります。
ツールによっては、指定した時間に決まった作業を実行させるスケジュール機能を備えているものもあります。対応していれば「毎週金曜の朝、先週分のネタ候補を一覧にする」といった定期実行ができます。スケジュール機能の有無や設定手順はツールやプランによって異なるため、最新の対応状況は各ツールの公式情報で確認してください。対応していなければ、担当者が決まった曜日に手動でAIに投稿テキストを渡す運用でも十分に回ります。
手順4。チャットの投稿をAIに渡す方法を決める
「自動収集」とはいっても、やることは「チャットの投稿テキストを取り出し、AIに読ませる」だけです。難しく考えず、確実な方法から段階的に自動化していきます。つなぎ方は、手間と自動化の度合いに応じて大きく3通りあります。
- ① 手動でコピーして貼る(まず試す):対象チャンネルの直近1週間分の投稿を選択してコピーし、手順5で用意するAIの入力欄にそのまま貼り付けます。連携設定が一切いらず、どのチャットツールでも今日から試せます。週1回・数分の作業なので、まずはここで「拾う型」が機能するかを確かめます。
- ② エクスポート機能で書き出して渡す:ツールによっては、チャンネルの履歴をテキストやCSVで書き出せる場合があります。書き出したファイルをAIに読ませれば、コピペより広い範囲を一度に渡せます。エクスポートの可否・手順は各ツールの公式情報で確認してください。
- ③ 外部連携ツール(iPaaS)やAPIで自動取得する:ZapierやMakeに代表される外部連携ツール(iPaaS)やAPIを使えば、特定チャンネルの投稿を自動で取り出してAIに渡す仕組みを作れる場合があります。どこまで自動化できるかは各サービスやプラン、そしてチャットツール側がAPIやWebhookを公開しているかによって異なるため、導入前に各サービスの公式情報で確認してください。ここが唯一エンジニア的な設定を要する部分なので、自社で難しければ外部に伴走してもらうのが現実的です。
おすすめの進め方は、①で手応えを確かめてから②③へ広げる順番です。いきなり③の自動連携から作ろうとすると設定でつまずきやすく、肝心の「拾う型」の検証が後回しになります。まず手で回して型を固め、それから自動化に投資するほうが失敗しません。
手順5。AIへの指示文(たたき台)を用意する
AIに渡す指示文は、作り込んだ完成形を長々と用意する必要はありません。今のAIは、ざっくり頼めば自分で指示を整えてくれます。下のような短いたたき台から始めて、出てきた結果を見ながら自社向けに対話で詰めていくのが現実的です。
あなたは社内報の編集アシスタントです。
以下のチャット投稿の一覧を読み、社内報のネタ候補を抽出してください。
【拾う型】表彰・受賞/新メンバー加入/顧客からの感謝の声/
目標達成・改善の工夫/部署をまたいだ協力
【出力】候補ごとに次を1行でまとめる
・どの型か
・誰の・どの部署の話か(投稿に書かれている範囲で)
・一言サマリー(30字程度)
・元の投稿の日付
※個人の評価・給与・取引先の機密に触れる内容は候補から除外
※面白さの判断はしなくてよい。候補を幅広く挙げることに集中
[ここに対象チャンネルの投稿テキストを貼る/連携させる]
ポイントは、最後に「面白さの判断はしなくてよい」と明記していることです。AIに無理に取捨選択させると、当たり障りのない候補ばかりになります。判断は人がやる前提で、候補は広めに出させるのがコツです。
手順6。出てきた候補を人が確認し、整える
AIが出した候補一覧から、人が「これを載せよう」と数件を選びます。ここが3分業の「選ぶ」工程です。選んだら、改めてAIに「この出来事を、社内報向けの200字程度の読み物にして」と頼めば、下書きができます。
下書きを受け取ったあと、人が必ず確認するのは次の3点です。
- 事実の正確さ:人物名・数字・日付が投稿どおりか
- 関係者への配慮:出していい話か、当事者が嫌がらないか
- 自社らしい言葉づかい:社内報のトーンに合っているか
AIの下書きはどうしても無機質になりがちなので、最後に「人の温度」を一筆入れることで、読まれる社内報になります。社内のナレッジを整理してAIに渡す土台づくりについては、社内情報をAIで構築するRAG活用ガイドもあわせて参考になります。
効果・成果イメージ。ネタ集めの時間がどう変わるか

この仕組みを回すと、最も変わるのは「ネタを探してチャットを延々とさかのぼる時間」です。これまで担当者が各部署に「何かネタありませんか」と聞いて回っていた手間が、週1回の候補一覧を眺める時間に置き換わります。
成果のイメージを具体的にお伝えします。たとえば毎月の社内報で、ネタ集めに2〜3時間かけていたとします。
そのうちチャットを読み返して候補を洗い出す「拾う」工程が大半を占めているなら、その部分をAIに任せることで、人が手を動かすのは「選ぶ・整える」だけになります。
減るのは作業時間だけではありません。「今月もネタがない」という心理的なプレッシャーが軽くなることも、ネタ集めを仕組み化するねらいの一つです。
社内報そのものの質も変わります。担当者が普段は見ていない他部署のチャットからも候補が上がってくるため、いつも同じ部署・同じ人ばかり登場する偏りが減ります。結果として「自分の部署のことも載った」と感じる社員が増え、読まれる社内報に近づきます。
「日々の情報を探す・まとめる」という定型作業は、AIと相性がよい領域です。社内報のネタ集めはその一例にすぎませんが、探す・まとめる手間をAIに任せると、その分の時間を「選ぶ・仕上げる」という人にしかできない作業に振り向けられます。
うまくいく会社の共通点。最初から完璧を目指さず、1部署・1週間の小さな範囲で試し、出てきた候補の質を見ながら「拾う型」を少しずつ調整しています。スモールスタートが定着の近道です。
よくある失敗と回避法。現場でつまずく3つのパターン

この仕組みは難しくありませんが、つまずきどころは決まっています。現場でよく見かける失敗を3つ、防ぎ方とセットで紹介します。
失敗1。目的を決めずにツール導入だけが目的化する
「AIで社内報を効率化しよう」と号令だけかけて始めると起こります。何を解決したいのかが曖昧なまま動かすため、出てきた候補をどう使えばいいか分からず、いつのまにか誰も見なくなります。
これを防ぐには、始める前に「ネタ集めの時間を月◯時間減らす」「毎号、他部署の話題を最低1本載せる」のように、達成したい状態を1つか2つ、数字や具体的な形で決めておくことです。目的が一行あるだけで、仕組みは続きます。
失敗2。AIの出力をそのまま社内報に載せてしまう
AIの下書きを確認せずに公開すると起こります。AIは事実を取り違えたり、実際には起きていない出来事をもっともらしく書いたりすることがあります。これをハルシネーション(AIがそれらしい誤情報を作ること)と言います。社内報で人物や数字を間違えると、信頼に直結する事故になります。
回避策はシンプルで、人による確認を仕組みに組み込むことです。「AIの下書きは必ず担当者が事実確認してから公開する」というルールを最初から決め、確認しないまま出せない流れにしておきます。AIを使った文章のダブルチェックの考え方はAI校正で危ない表現を自動検出するダブルチェック術でも詳しく解説しています。
失敗3。利用ルールがないまま機密チャンネルまで読ませる
「とりあえず全部のチャンネルを読ませれば賢くなる」という誤解から起こります。人事評価や取引先との交渉が流れるチャンネルまで巡回対象に入れてしまい、本来社内報に出してはいけない情報が候補に混ざる。最悪の場合、情報漏えいにつながります。
防ぐには、巡回してよいチャンネルとダメなチャンネルを文書化し、全社で共有することです。あわせて「AIに何を入力してよいか」の社内ルールも整えておくと安心です。この点はAIに入力してはいけない個人情報|社内ルールの作り方で具体的なルールの作り方を紹介しています。
3つの失敗に共通するのは「目的・確認・ルールを決めずに走り出すこと」です。技術より、この3点の合意のほうが成否を分けます。
使う側の落とし穴。きれいごとでは済まない現場の妥協点
ここまで読んで「やってみよう」と思った方に、正直にお伝えしておきたい現場のリアルがあります。教科書には書かれない、でも実際にやると必ずぶつかる妥協点です。
まず、AIは「面白いネタ」を見つけるのは本当に苦手です。AIが拾えるのは、チャットに言葉として書かれた出来事だけです。たとえば「お客さまにすごく喜ばれた」とは書かれていないけれど、現場では大きな手柄だった——そういう行間の話題はAIには拾えません。
だから「AIに任せればネタが湧いてくる」と期待しすぎると、必ずがっかりします。AIはあくまで候補出しの下準備係であって、編集者ではない。この割り切りができるかどうかが、運用が続くかの分かれ目です。
次に、巡回の精度は「拾う型」の言葉づかい次第で大きく変わります。最初の数週間は、出てきた候補を見て「この型は広すぎた」「この言い方だと拾えない」と調整する手間がかかります。
導入した翌週から完璧に回る、ということはまずありません。むしろ最初の1か月は、AIに任せた分だけ調整作業が増える時期だと考えておくほうが現実的です。
内製と外注の切り分けも悩みどころです。「拾う型の設計」や「社内ルールづくり」は、一度きちんと作れば自社の資産になるので、ここは社内で固めたいところです。
一方で、チャットツールと生成AIをどうつなぐかという技術的な連携部分は、自社にエンジニアがいないと止まりがちです。ここで何週間も詰まるくらいなら、最初の仕組み作りだけ外部に伴走してもらい、運用は自社で回す、という分担が現実的なことも多いです。
そして見落とされがちなのがコストです。コストには2つの種類があります。一つは生成AIの月額料金。もう一つは「拾う型を調整する人の時間」「下書きを確認・仕上げる人の時間」です。後者も立派なコストです。
ここを誰がやるのかを決めずに始めると、結局広報担当者の隠れ残業になってしまいます。仕組み化とは、作業をAIに移すことと同時に、「人がやる作業を誰の時間で確保するか」を決めることでもあるのです。
よくある質問
専門知識がなくても、この仕組みは作れますか
拾う型の設計や社内ルールづくりは、専門知識がなくても作れます。難しいのはチャットツールと生成AIをつなぐ技術的な連携部分だけです。まずは手作業でチャットをコピーしてAIに渡すところから始め、慣れてきたら自動化を検討する、という順序が安全です。
小さな会社でもネタは集まりますか
集まります。むしろ人数が少ない会社ほど、一人ひとりの出来事が埋もれやすいので、AIに拾わせる効果は大きいです。最初は1部署・1週間の小さな範囲で試し、どんな候補が上がるか見てから広げるのがおすすめです。
AIが間違ったことを書いてしまわないか心配です
AIは事実を取り違えることがあるため、出力をそのまま載せるのは禁物です。「人が必ず事実確認してから公開する」というルールを最初に決めておけば防げます。AIは候補出しと下書きまで、最終チェックは人、と役割を分けるのが安全です。
どのチャットツールでも使えますか
社内で使っているチャットの投稿テキストを取り出せれば、基本的な考え方はどのツールでも共通です。自動連携の可否や手順はツールごとに異なるため、正確な対応状況は各ツールの公式情報で確認してください。まずは手動でテキストを渡す形からでも始められます。
ここまで読んで、仕組みの考え方は分かったけれど、自社のチャットツールとの連携や社内ルールづくりまで一人でやり切るのは大変そうだと感じた方もいるかもしれません。コレットラボのAI業務システム化支援では、「拾う型」の設計から運用ルールづくり、自社で回せる体制づくりまで、現場に伴走しながら一緒に整えています。まずは現状を整理するだけでもかまいません。AI業務システム化の詳細はこちらから、気軽にお話を聞かせてください。
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