社内問い合わせを集計フォームで見える化|自作6ステップ

社内問い合わせを集計フォームで見える化|自作6ステップ

この記事の要点

  • 問い合わせ可視化は窓口集約・分類記録・定期分析の3点セット
  • 高機能AIボットより無料〜低コストの自作フォームで小さく始める
  • 対象を絞り選択式分類・自動データ化・月1振り返りが成否を分ける

総務や情シスに「あの書類どこですか」「経費精算ってどうやるんでしたっけ」という質問が毎日飛んできて、同じ説明を何度も繰り返していませんか。問題は、その質問が口頭やチャットで流れて消えてしまい、「何が、いつ、どれだけ来ているのか」が誰にも分からないことです。

この記事では、社内の問い合わせを1つのフォームに集約し、データとして溜めて見える化するやり方を、手順・失敗パターン・AIの使いどころまで具体的に解説します。市販ツールを買う前に、まず自分たちで小さく始める方法から見ていきましょう。

Contents / 目次
  1. 結論。問い合わせは「集約・記録・分析」の3点セットで見える化する
  2. 具体的な進め方。6つのステップで集計フォームを立ち上げる
  3. 取り組むとどう変わるか。工数削減と属人化の解消
  4. よくある失敗と、その防ぎ方
  5. 自作する前に知っておきたい、現場の本音と妥協点
  6. よくある質問(FAQ)
  7. まずは小さく試して、伸びそうなら相談を

結論。問い合わせは「集約・記録・分析」の3点セットで見える化する

社内の問い合わせ集計フォームを自作する。総務・情シスへの質問を「データ」で見える化する方法

先に答えをお伝えします。社内の問い合わせをデータで見える化するためにやるべきことは、たった3つです。難しい分析ツールは要りません。

  • 窓口を1つに集約する:メール・電話・チャット・口頭でバラバラに来る質問を、まず「フォーム」という1本の入口にまとめる
  • 質問を分類して記録する:「誰が・いつ・何について」聞いてきたかを、カテゴリ付きで自動的にデータ化する
  • 溜まったデータを定期的に振り返る:月に1回、どの質問が多いかを見て、マニュアル化や仕組み改善につなげる

ポイントは、いきなり高機能なAIチャットボットを導入しようとしないことです。質問の中身がデータで見えていない状態でツールを買っても、「結局どの質問を自動化すればいいのか分からない」となりがちです。まずは安く小さくフォームを作り、データを溜めるところから始めるのが、遠回りに見えて一番の近道です。

では、その「フォーム」をどう用意するか。やり方は大きく分けて次の4つがあります。自社の状況に合わせて選べるよう、表で整理しました。

やり方初期コスト集計のしやすさ向いている会社
メール・チャットで対応ほぼ0円×(履歴が流れて消える)問い合わせ件数がごく少ない会社
市販のFAQ・チャットボット月額数万円〜◎(分析機能つき)件数が多く予算も取れる会社
ノーコードツールで自作無料〜月数千円○(集計が標準装備)非エンジニアが社内で完結したい会社
AIで自作(Cursor等)ほぼ0円〜○(自由に設計可能)自社サイトや業務に合わせ込みたい会社

かんたんに言うと、件数が多くて予算もあるなら市販ツール、まずは試したい・自社に合わせたいならノーコードかAI自作、という分かれ方です。この記事では、お金をかけずに始められる「自作」を中心に進め方を解説します。

具体的な進め方。6つのステップで集計フォームを立ち上げる

社内の問い合わせ集計フォームを自作する。総務・情シスへの質問を「データ」で見える化する方法

ここからは、実際に問い合わせ集計フォームを立ち上げる手順を6ステップで説明します。読みながらそのまま進められるように、順番どおりに並べました。

ステップ1。対象を絞ってスモールスタートする

最初の失敗は「全社・全部署の問い合わせを一気に集めよう」とすることです。範囲が広すぎると設計が複雑になり、立ち上げる前に力尽きます。まずは「誰の負担を一番減らしたいか」を1つだけ決めるのがコツです。

たとえば「情シスへのパソコン・システム関連の質問」だけ、あるいは「総務への備品・申請関連の質問」だけ、と絞ります。一番質問が多くて困っている窓口から始めれば、効果も見えやすく、社内に広げる説得材料にもなります。

ステップ2。集める項目を決める(フォーム設計)

フォームで集める項目を決めます。ここで欲張って項目を増やすと、入力が面倒になって誰も使ってくれません。最初は次の雛形くらいシンプルで十分です。

  • 質問者の部署:選択式(プルダウン)にして入力の手間をなくす
  • 質問カテゴリ:「PC・ネットワーク」「申請・経費」「人事・労務」など、あらかじめ用意した選択肢から選ぶ
  • 質問内容:自由入力。ここだけ手で書いてもらう
  • 緊急度:「急ぎ」「通常」の2択程度
  • 回答状況:未対応・対応中・完了(担当者側が更新する欄)

最大のポイントは「質問カテゴリ」を選択式にすることです。自由入力だけだと、後で集計しようとしても言葉の揺れ(「PC」「パソコン」「端末」)でバラけてしまい、数えられません。最初からカテゴリを決めて選んでもらうことで、月末に「PC関連が一番多かった」と一目で分かるようになります。

ステップ3。フォームを作る(ノーコード or AI)

項目が決まったら、いよいよフォームを作ります。プログラミングができなくても大丈夫です。やり方は2通りあります。

1つ目は、ノーコードツールを使う方法です。kintone(サイボウズ) やformrun のようなツールを使えば、画面上で項目を並べるだけでフォームと集計表が同時に出来上がります。回答状況をカンバン方式(未対応・対応中・完了をカードで動かす方式)で管理できるものもあり、対応漏れを防げます。

2つ目は、AIに作ってもらう方法です。最近はCursorのようなAIツールに「部署とカテゴリを選んで質問を送れる社内フォームを作って」と言葉で頼むだけで、自社サイトに置けるフォームのコードを作ってくれます。コードが読めなくても、対話しながら修正できます。自社サイトのデザインに合わせ込みたい、外部ツールにデータを預けたくない、という場合に向いています。具体的な作り方はCursorで「お問い合わせフォーム」を自作する手順でも詳しく解説しているので、あわせて読んでみてください。

ポイント。ツールのボタン名や画面は頻繁に変わります。細かい操作で迷ったら、各ツールの公式ヘルプを見るのが確実です。ここでは「何を、どの順番でやるか」という流れだけ押さえてください。

ステップ4。回答を自動でデータ化する

フォームの送信内容が、自動的に一覧表(スプレッドシートやデータベース)に溜まる状態にします。ノーコードツールなら最初からこの機能が付いています。AIで自作する場合も、Googleスプレッドシートに自動で書き込む仕組みを一緒に作ってもらえます。

ここを手作業の転記にしてしまうと、それ自体が新しい手間になり、ミスも増えます。「送信されたら勝手に表に並ぶ」状態を必ず作ってください。これがあるだけで、月末の集計がコピペ作業から解放されます。

ステップ5。分類とAI活用のルールを決める

溜まったデータをどう分類するかのルールを決めます。カテゴリ選択式にしていても、自由入力の質問内容には「実は同じことを聞いている」質問が混ざります。ここで生成AIが役立ちます。

たとえば1か月分の質問内容をAIに渡して、「この100件をテーマ別にグループ分けして、多い順に教えて」と頼めば、人が目視で読むより早く傾向をつかめます。さらに「よく来る質問トップ5の回答文も作って」と頼めば、そのままFAQやマニュアルの下書きになります。AIで質問を整理する具体的なやり方はAIで「FAQ」を自動生成する方法も参考になります。

ステップ6。月1で振り返り、改善につなげる

最後は運用です。月に1回、10分でいいので「今月どんな質問が多かったか」を見る時間を作ります。多い質問は、マニュアル化する・社内ポータルに載せる・そもそも質問が出ない仕組みに変える、のどれかで手を打ちます。これを繰り返すと、来月の問い合わせ自体が減っていきます。データを「見て終わり」にせず、必ず1つ改善アクションに変えるのが、見える化を成果に変える分かれ目です。

取り組むとどう変わるか。工数削減と属人化の解消

社内の問い合わせ集計フォームを自作する。総務・情シスへの質問を「データ」で見える化する方法

このフォームを回し始めると、現場はどう変わるのでしょうか。先に取り組んでいる会社に共通する変化を3つ紹介します。

まず、同じ質問の繰り返しが目に見えて減ります。多い質問がデータで分かれば、そこをマニュアル化したりFAQにしたりできるからです。実際、社内向けのチャットボットやFAQを整備した企業では、問い合わせ件数を大きく減らし、対応時間を半分近くまで短縮したという事例が複数報告されています。電話での問い合わせが3割減ったというケースもあります。

次に、対応の属人化が解消されます。これまで「あの人しか分からない」状態だった質問と回答が、すべて1か所に記録されます。担当者が休んでも、過去の対応履歴を見れば他の人が答えられます。マニュアル整備と業務の見える化を進めた結果、情報システム部門の教育期間が約3割短縮され、新人が独り立ちするまでの期間が1か月以上縮まった、という報告もあります。

3つ目は、改善の「根拠」が手に入ることです。「最近こういう質問が増えている」という感覚を、数字で示せるようになります。たとえば「経費精算の質問が毎月20件来ている」とデータで言えれば、申請ルールそのものを見直す動きにつなげられます。問い合わせ対応の効率化は、単なる時短にとどまらず、従業員の働きやすさ(従業員エクスペリエンス)の向上にも直結する、と近年は重視されています。

つまり、フォーム1つで「目の前の負担軽減」と「会社の仕組み改善」の両方が手に入る、ということです。社内の自己解決を促す仕組みづくりは、社内問い合わせをゼロへ近づけるAIチャットボット運用術でも掘り下げているので、次の一手として読んでみてください。

よくある失敗と、その防ぎ方

社内の問い合わせ集計フォームを自作する。総務・情シスへの質問を「データ」で見える化する方法

このフォーム運用は、作り方より「続け方」でつまずく人がほとんどです。現場でよく見かける失敗を4つ、防ぎ方とセットで紹介します。

失敗1。項目が多すぎて誰も使わない

「せっかくだから」と入力項目を10個も20個も並べてしまうケースです。質問する側からすると、急いでいるのに入力が面倒で、結局チャットや口頭に戻ってしまいます。こうなるとフォームは形だけ残って機能しません。

防ぐには、項目を必要最小限に絞ることです。最初は「部署・カテゴリ・質問内容」の3つでも十分です。入力の負担は、フォームが使われるかどうかを左右する一番大きな要素だと考えてください。

失敗2。集めて満足し、分析しない

フォームを作ってデータが溜まり始めると、それだけで達成感が出てしまい、肝心の振り返りをしなくなるパターンです。データは溜めるだけでは1円の価値も生みません。見て、手を打って、初めて成果になります。

防ぐには、ステップ6でお伝えしたように「月1の振り返りを予定として固定する」ことです。担当者のカレンダーに毎月の予定として入れてしまい、必ず1つは改善アクションを決める、というルールにすると続きます。

失敗3。窓口を一本化できず二重管理になる

フォームを作ったのに、これまで通りチャットや口頭でも質問を受け続けてしまうケースです。窓口が複数あると、同じ質問に2人が答えたり、逆に誰も答えず放置されたりします。集計データも一部しか溜まらず、見える化が中途半端になります。

防ぐには、社内に「質問はこのフォームから」と周知し、チャットで来た質問も「フォームに入れてくださいね」とやさしく誘導する運用を最初の1〜2か月だけ徹底することです。ここを乗り越えると習慣化します。

失敗4。分類カテゴリがバラバラで集計できない

カテゴリを自由入力にしたり、選択肢を細かくしすぎたりして、後から数えられなくなるパターンです。「PC」「パソコン」「端末」が別々にカウントされてしまうと、せっかくのデータが意味をなしません。

防ぐには、カテゴリは5〜8個くらいの選択式にとどめ、迷う質問が出たら運用しながらカテゴリを足していくことです。最初から完璧な分類を目指さず、3か月ほど回して実態に合わせて整えるくらいがちょうどいいです。

自作する前に知っておきたい、現場の本音と妥協点

ここまで「自作」をおすすめしてきましたが、いいことばかりではありません。教科書には書かれない、現場で見えてくる限界も率直にお伝えします。これを知っておくと、自作か外注かの判断を間違えずに済みます。

まず一番難しいのは、技術ではなく「人をフォームに誘導すること」です。人は楽な方に流れます。隣の席の人に直接聞く方が早ければ、どんなに立派なフォームを作っても使われません。だからこそ、フォーム経由だと回答が早い・履歴が残る、といった「使うメリット」を体感してもらう設計が要ります。ツールを作る労力より、この習慣づけの方がよほど大変だと覚悟しておいてください。

次に、自作には保守とセキュリティの責任がついて回ります。フォームに社員の個人情報や社内の機密が入る以上、誰がデータを見られるか、どこに保存するか、を最初に決めておく必要があります。AIで手早く作れる時代だからこそ、見た目は動くけれど権限管理が甘い、というフォームが量産されがちです。公開前に「このフォームのデータを部外者が見られないか」は必ず確認してください。

無料ツールやAI自作は手軽ですが、「作って終わり」ではありません。カテゴリの見直し、項目の改善、セキュリティの点検など、運用し続けるための見えないコスト(担当者の時間)を見落とすと、半年後に放置されたフォームだけが残ります。

では、自作と外注はどう切り分ければいいのでしょうか。目安はこうです。1部署・数十件規模で、まず試したいだけなら、ノーコードやAIで自作するのが断然早くて安いです。一方、全社展開する・他のシステムと連携させる・個人情報を本格的に扱う、という段階になったら、設計とセキュリティをプロと一緒に固めた方が、後の作り直しを防げます。「小さく自作で試し、伸ばすときに相談する」という順番が、もっとも失敗が少ないやり方です。

正直に言えば、最初の1〜2か月で「自社だけで回し続けるのは難しそうだ」と感じる会社は少なくありません。それは能力の問題ではなく、本業で忙しい担当者が片手間でやるには、設計と運用の論点が意外と多いからです。そこで無理をせず、要所だけ外の手を借りるのは、十分に賢い選択です。

よくある質問(FAQ)

ExcelやGoogleスプレッドシートだけでも集計できますか

できます。むしろ最初はそれで十分です。Googleフォームで質問を受けてスプレッドシートに自動で溜める形なら、無料で今日から始められます。件数が増えて手作業がつらくなってから、専用ツールを検討すれば大丈夫です。

プログラミングができなくても自作できますか

大丈夫です。kintoneのようなノーコードツールなら画面操作だけで作れますし、AIに言葉で頼んで作る方法もあります。専門知識がなくても形にできる時代になっています。不安なら、まずノーコードから試すのがおすすめです。

立ち上げまでどれくらいかかりますか

1部署・シンプルな項目に絞れば、早ければ半日〜数日で動くものが作れます。時間がかかるのは作る作業より、社員に使ってもらう習慣づけの方です。完璧を目指さず、まず動かして直していくと早く立ち上がります。

個人情報やセキュリティが心配です

大切な視点です。フォームには「誰がデータを見られるか」の権限設定を必ず行い、機密情報は安易に外部の無料ツールへ預けない、という線引きが要ります。全社展開や本格運用の段階では、設計をプロと一緒に固めると安心です。

まずは小さく試して、伸びそうなら相談を

ここまで読んで、自作で始めてみたいけれど設計やセキュリティで自信が持てない、と感じた方もいるはずです。そんなときは、現状を整理するだけでも構いません。コレットラボのAI業務システム化支援では、フォームの自作から運用定着まで、御社の業務に合わせて一緒に設計します。まずは話を聞かせてください。AI業務システム化の詳細はこちらからお気軽にどうぞ。

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