製造業のホームページ制作|引き合いが増える掲載内容と費用
この記事の要点
- 引き合いが増えるのは、対応できる範囲を数値で載せたとき。加工範囲表の型を本文に掲載
- 費用が動く主因は製品ページの数と製品検索の有無。内訳を表で解説
- 制作会社に契約前へ聞く6つの質問と、成功事例の読み方まで掲載
製造業のホームページで引き合いが増えるかどうかは、デザインよりも「対応できる範囲が数値で書いてあるか」で決まります。材質、寸法、公差、対応ロット、納期の目安。この5つが書かれていないサイトは、発注側の候補リストに残りません。
この記事は、自社サイトの新規制作やリニューアルを、発注する立場で判断する方に向けて書いています。読み終わる頃には、載せる情報の一覧・費用が動く条件・制作会社に契約前に聞く質問が手元にそろい、見積もりを並べて比較できる状態を目指します。
扱うのは「何を載せ、いくらかかり、どこに頼むか」の判断材料です。すでにサイトがあって問い合わせが止まっている場合は、原因の切り分けを先にしたほうが早いので、問い合わせが来ないホームページの原因5つと改善手順から読んでみてください。
Contents / 目次
会社案内のままのサイトと、引き合いが来るサイトの違い
製造業のサイトで引き合いが来るのは、発注側が「この会社なら自分の案件を受けられる」と、問い合わせる前に判断できる状態になったときです。逆に言うと、会社概要・沿革・設備写真だけのページは、判断材料がないので候補から外れます。
調達担当や設計担当が何社を比べるかは案件によって違いますが、対応できるかどうかが分からない会社は、問い合わせる前の段階で候補から外れる可能性があります。その比較は電話ではなくブラウザの中で終わっています。
同じ会社・同じ設備でも、載せる情報を変えるだけで残る側に入れます。次の表は、公開した時点のままのサイトと、引き合い用に情報を足したサイトで、発注側が見る項目がどう変わるかを並べたものです。
| 発注側が見る項目 | 会社案内として公開した状態 | 引き合い用に情報を足した状態 |
|---|---|---|
| 加工・対応範囲 | 「精密板金加工」など分類名だけ | 材質・板厚・最大寸法・公差を数値の表で掲載 |
| 設備 | 工場全景の写真1〜2枚 | 機種名・台数・加工能力を一覧で掲載 |
| 実績 | 「大手メーカー様との取引多数」 | 用途・材質・工程・課題を、社名を伏せた形で1件ずつ掲載 |
| ロットと納期 | 記載なし | 試作1個から対応、量産は月◯個まで、標準納期の目安を明記 |
| 問い合わせ方法 | 氏名・会社名・本文のフォーム1つ | 図面添付ができる見積もり依頼と、技術相談の2経路 |
| 検索で当たる語 | 社名と業種名 | 材質+加工法+用途(例「SUS304 溶接 タンク」)の組み合わせ |
先に決めるのは制作方法ではなく掲載内容。WordPressか他のCMSか、デザインをどうするかは後から決められます。先に「対応範囲を数値で出せるか」を社内で確認したほうが、見積もりの精度も上がります。
この章で押さえるのは1つです。引き合いを増やす作業の中身は、デザインの刷新ではなく、社内にある数値を公開できる形にすることです。次の章で、その集め方を5つのステップに分けます。
掲載する情報のそろえ方。社内の材料を原稿にする5ステップ
掲載内容は、制作会社が取材だけで作れるものではありません。加工範囲も公差も、答えを持っているのは自社の現場です。ここでは、発注前または制作の初期に社内で進める作業を5つに分けます。かかる時間は、加工法の数・事例の本数・確認に入る部署の数で大きく変わります。
ステップ1。対応できる範囲を数値の表にする
最初に作るのは、加工・対応範囲の一覧表です。営業が電話口で毎回答えている内容を、そのまま表にします。次の列をそろえると、発注側が自分の案件と照らし合わせられます。
- 加工法・工程名:レーザー切断、曲げ、溶接、旋盤、マシニングなど、自社で行う工程
- 対応材質:SUS304、SPCC、A5052のように材質記号で書く(「ステンレス」だけにしない)
- 寸法の上限と下限:最大加工寸法、最小板厚、最大ワーク重量
- 精度・公差:通常対応の公差と、条件付きで対応できる公差を分けて書く
- ロット:試作1個からか、最小ロットがあるか、量産の上限
- 納期の目安:見積もり回答までの日数と、標準的な製作期間
この表を作るときにいちばん多いつまずきは、「例外があるから書けない」という声が現場から出ることです。そこで止まらないよう、「条件付きで対応」の列を1つ作って逃がします。「A5052は板厚3.0mmまで、それ以上は要相談」と書けば、嘘にならず、しかも相談の入口になります。
ステップ2。設備一覧を機種名と台数まで書き出す
設備一覧は、製造業のサイトで最も手を抜かれやすく、しかも発注側が最も見るページです。工場の全景写真ではなく、文字の一覧表が必要です。
書き出すのは、次の5項目です。設備台帳や固定資産台帳のコピーがあれば、ほぼそのまま材料になります。
- 設備名:レーザー加工機、プレスブレーキ、マシニングセンタなどの機械の種類
- メーカー名:製造元の社名
- 型式:カタログや銘板に書かれている型番
- 台数:同一機種を複数持つ場合は台数も書く
- 加工能力:テーブルサイズ、加工可能寸法、トン数など
設備一覧を公開する前に、取引先との契約で開示が制限されている設備がないかを確認してください。特定の顧客専用ラインは、機種名を伏せて「専用ライン◯基」の表記にとどめる判断もあります。
ステップ3。守秘義務を守ったまま加工事例を出す形に変える
製造業サイトで事例が載らない理由としてよく挙がるのが、機密です。ただし、社名・図面・完成品の外観を出さなくても、事例ページは成立します。発注側が見たいのは相手の社名ではなく、自分と似た案件を通した経験があるかどうかだからです。
そこで、1件あたり次の6項目に置き換えて書きます。この型なら、社名も図面も出さずに済みます。
- 業界と用途(例「半導体製造装置向けの真空チャンバー部品」)
- 材質と主要寸法(例「SUS316L、φ300×高さ200mm」)
- 要求された精度や条件(例「シール面の平面度0.02mm、内面バフ研磨」)
- 難しかった点(薄肉のため溶接歪みが出やすい、など)
- どう解決したか(治具を自作、工程順を変更、など)
- 数量と納期(試作3個を2週間で、など)
写真は、完成品の全体ではなく「一部を切り取ったカット」や「加工中の手元」にすると、機密性を保ったまま技術力が伝わります。撮影は、稼働を止めずに済む時間帯を工場側と先に決めておくのが実務上のコツです。
ここがAIを使うと明確に速くなる場所です。過去の見積書、社内の作業日報、営業が客先に送ったメールをそのまま材料として渡し、上の6項目に振り分けた下書きを作らせます。ゼロから文章を書く作業が、下書きを直す作業に変わります。
出発点として渡す指示は、この程度の短さで十分です。あとは出てきた下書きを見ながら、AIと対話して自社の書き方に寄せてください。
あなたは製造業のBtoBサイトの原稿を書く担当です。
添付した見積書と作業メモから、加工事例の原稿を作ってください。
出力の形式は次の6項目。
1 業界と用途 / 2 材質と主要寸法 / 3 要求された精度や条件
4 難しかった点 / 5 どう解決したか / 6 数量と納期
条件
・顧客の社名、担当者名、製品名、金額は書かない
・資料に書かれていないことは推測で埋めず「未確認」と書く
・専門用語はそのまま使い、初出だけ1行で意味を添える
[ここに見積書や作業メモを貼り付ける]
出てきた原稿は、必ず次の3か所を人が確認します。
- 顧客が特定できる情報が残っていないか(用途と寸法の組み合わせで特定できてしまう場合があります)
- 公差や材質記号が資料と一致しているか
- 「未確認」と書かれた箇所を現場に聞いて埋めたか
この3点さえ押さえれば、事例は現実的な工数で増やせます。AIで作った原稿をサイトに載せるときの注意点はAIで作ったサイトがSEOで評価される|人が足すE-E-A-T3要素でも解説しています。
ステップ4。検索される言葉に合わせてページを割る
製造業の発注担当は、社名ではなく「材質+加工法」「部品名+加工」「地域+加工種別」で検索します。ところが多くの製造業サイトは、この語がトップページに全部詰め込まれ、1ページに集約されています。
1ページに10種類の加工を詰め込むと、1つあたりに割ける文字数が減り、どの加工の説明も浅くなります。加工法ごと・材質ごと・用途ごとにページを分けると、その語で検索した人に向けた説明を、それぞれのページで深く書けます。目安として、主要な加工法が5つあるなら、最低5ページに割ります。
ページを割るときの決め方は単純です。その語で検索した人に見せたい内容が、他のページとほとんど同じなら1ページにまとめる。見せたい材質・寸法・工程・写真が入れ替わるなら分ける。この見方で迷う場面はほぼなくなります。
ステップ5。問い合わせの受け口を2本用意する
製造業の問い合わせは、温度感が2種類に分かれます。図面が手元にあってすぐ見積もりが欲しい人と、まだ実現できるか分からず相談したい人です。この2つを1つのフォームで受けると、どちらも書きにくくなります。
見積もり依頼フォームの項目は、次の6つが実務的な最小構成です。
- 会社名:必須
- お名前:必須
- メールアドレス:必須
- ご依頼内容:選択式で「見積もり依頼/技術相談/その他」
- ファイル添付:受け付ける拡張子(PDF・DXF・ZIPなど)と、1ファイルあたりの上限サイズを決めて明記する。上限の数値は制作会社に確認して出してもらう
- ご要望:自由記入。数量・希望納期・材質を書く欄だと分かる案内文を添える
電話番号を必須にすると、まだ社内検討中の担当者が離脱します。必須にするかどうかは、営業体制と相談して決めてください。項目数の考え方は問い合わせフォームは5項目に絞る|BtoBの入力設計と問い直しにまとめています。
この章で押さえるのは、掲載内容の材料は制作会社ではなく自社にあり、集める順番は「対応範囲→設備→事例→ページ分け→受け口」だということです。この5つが手元にあれば、どの制作会社に頼んでも中身のあるサイトになります。
製造業のホームページ制作費用は何で変わるか。内訳での見方
製造業サイトの費用が他業種より上がりやすい理由は、はっきりしています。製品・加工のページ数が多いことと、製品検索や絞り込みの仕組みが必要になることの2つです。デザインの豪華さではありません。
次の表は、見積書を比較するときに見る内訳項目と、費用が動く条件です。金額は会社や要件によって大きく変わるため、ここでは金額そのものではなく、何をしたときに費用が動くかを並べています。
| 内訳項目 | 含まれる作業 | 費用が動く条件 |
|---|---|---|
| 設計・構成 | ヒアリング、サイト構成の設計、ページ一覧の作成 | 関係部署の数、既存サイトのページ数 |
| デザイン | トップと下層ページのデザイン制作 | デザインを作る画面の種類数、スマホ専用設計の有無 |
| 実装 | CMS構築、ページの組み込み、フォーム設置 | ページ数、社内で更新できる範囲の広さ |
| 製品データベース | 製品情報の一覧化、材質や寸法での絞り込み検索 | 製品点数、検索条件の数、既存データの形式 |
| 原稿・撮影 | 取材、原稿執筆、工場・製品の撮影 | 取材日数、撮影拠点数、事例の本数 |
| 多言語 | 翻訳と、言語切り替えの実装 | 翻訳するページ数、技術用語の監修を誰が行うか |
| 公開後の保守 | サーバー・CMSの更新、バックアップ、軽微な修正 | 更新代行を含むか、対応時間の取り決め |
合計の水準は、ページ数と製品情報の扱い方で大きく動きます。同じ「製造業サイト」でも、製品検索を作るかどうかで見積もりの合計は大きく変わります。実際の金額は各社の見積もりで確認してください。
だから見積もりを比べるときは、総額ではなく上の内訳の粒度で並べてください。総額だけが安い見積もりは、原稿と撮影が「お客様支給」になっていることが多く、その分の作業が社内に戻ってきます。業種ごとの相場の考え方は業種別ホームページ制作費用の相場|クリニック歯科士業の目安、見積書の妥当性を確かめる手順はホームページ制作費用の相場|見積りの妥当性を見抜く手順で解説しています。
見積もり比較の実務。3社に依頼するとき、こちらから「上の7項目に分けて金額を出してください」と伝えると、比較できる形の見積書が返ってきます。フォーマットを指定しない限り、各社バラバラの粒度で出てきます。
この章で押さえるのは、費用の差はデザインではなく製品情報の扱い方から生まれること、そして内訳の粒度をこちらから指定すれば、3社の見積もりを同じ土俵で比べられるということです。
製造業のホームページ制作会社を選ぶとき、契約前に確認する6つ
制作会社を選ぶ基準は、製造業の実績本数ではありません。公開後に誰が製品ページを増やすのかを、契約前にはっきりさせられるかどうかです。ここが曖昧なまま契約すると、公開直後に更新が止まります。
打ち合わせでそのまま聞ける形にしました。6つとも、答えが返ってこない会社は避けたほうが無難です。
- 「製品ページを1ページ追加するとき、社内でできますか。できない場合、御社への依頼費用はいくらですか」
- 「加工範囲や設備の数値を、誰がどうやって聞き取りますか。取材は何回、何時間の想定ですか」
- 「工場と製品の撮影は含まれますか。含まれる場合、撮影は何拠点・何時間で、稼働を止める必要はありますか」
- 「公開後、検索でどの語を狙うかの一覧はもらえますか。その語は誰が決めますか」
- 「制作したデータとドメインの管理権限は、こちらの名義になりますか。他社へ移すときに必要な作業を教えてください」
- 「今回作ったページのうち、こちらが編集できる範囲とできない範囲を、公開前に一覧でもらえますか」
特に5番目は、後から効いてきます。ドメインやサーバーの契約が制作会社名義のままだと、担当者の退職や会社の廃業でサイトごと止まることがあります。この確認は数分で済むので、必ず聞いてください。
製造業に強い会社かどうかを見るなら、実績サイトの「加工事例ページ」を開いてみるのが早い方法です。事例が写真と一言だけで、材質・公差・工程が書かれていないなら、その会社は技術の中身を聞き出す取材をしていません。
選定基準をもう少し広く見たい場合は、ホームページ制作会社の選び方|費用相場と失敗しない判断軸に、業種を問わない判断軸をまとめています。
この章で押さえるのは、確認すべきは実績の見た目ではなく「公開後に自社が何をできて、何をできないか」だということです。6つの質問への回答を3社分並べれば、判断はほぼつきます。
製造業のホームページ成功事例。どこを見て自社に当てはめるか
「製造業 ホームページ 成功事例」で出てくる紹介記事は、デザインの見た目を評価したものが大半です。発注を決める立場で見るなら、見る場所は3つに絞ってください。
- ページの割り方:加工法・材質・用途でページが分かれているか。分かれているほど、それぞれの語で探している人に向けた説明が書かれています
- 数値の密度:加工範囲や設備能力が数字で書かれているか。形容詞(高精度、短納期)だけなら参考になりません
- 更新の痕跡:お知らせや事例の最終更新がいつか。半年以上止まっているサイトの体制は、真似しても続きません
製造業のサイトで参考になりやすいのは、製品ページを膨大に持ち、スペックと選定条件をそろえて公開している大手メーカーのサイトです。ページ数の規模は真似できませんが、「1製品1ページ、スペックは表、資料はその場でダウンロード」という構造は、10製品でも100製品でも同じように作れます。
公開後、どこを順番に見ていくか
公開後に見る指標は、時期によって変わります。順位や表示回数がいつどう動くかは、競合状況や検索エンジン側の判断で決まるため、時期を区切って保証はできません。まずは次の順で、見る指標だけを決めておいてください。
| 見る順番 | 確認すること | 見る指標 |
|---|---|---|
| 1番目 | 作ったページが検索エンジンに登録されているか | インデックス登録されたページ数 |
| 2番目 | 加工法・材質の語で表示されているか | 検索での表示回数、クリック数 |
| 3番目 | 問い合わせの中身が変わっているか | 問い合わせ件数と、図面添付ありの割合 |
| 4番目 | 足した事例ページが読まれているか | 事例ページごとの流入数 |
ここで大事なのは、件数より「問い合わせの中身」を先に見ることです。件数が横ばいでも、図面が添付された見積もり依頼の割合が増えていれば、掲載内容は効いています。営業の初回対応時間が短くなるので、成果としては十分に説明できます。
公開後の効果測定を自社で見るなら、アクセス解析の設置は最初に済ませておいてください。手順はGA4をWordPressに設置する手順|GTM経由の計測設定までにあります。
この章で押さえるのは、事例を見るときは見た目ではなくページの割り方と数値の密度を見ること、そして成果の判定は「問い合わせの中身」で行うということです。
製造業サイトで実際に起きる失敗4つと、防ぎ方
ここで挙げるのは、製造業の案件でだけ繰り返し起きるものです。どれも公開前に手を打てます。
失敗1。守秘義務を理由に事例がゼロのまま公開される
取引先との契約で開示できないため、事例ページが「準備中」のまま公開されることがあります。結果として、技術力を判断する材料がサイトに1つもない状態になります。
防ぎ方は、制作の初期に法務や営業と一緒に「出せる情報の線」を決めてしまうことです。社名なし・図面なし・完成品の全体写真なしという条件なら、ほとんどの案件は前述の6項目に書き換えられます。公開前に、その線引きを1枚のメモにして社内で共有しておくと、公開後も事例を足し続けられます。
失敗2。社内の型番・略称だけでページを作り、検索と当たらない
自社の製品分類(シリーズ名や社内呼称)でページを作ると、その語で検索する人が社外にほとんどいないため、検索から誰も来ません。「◯◯シリーズ」「type-K」といった見出しばかりのサイトがこれに当たります。
防ぎ方は、見出しに「社外の人が使う言葉」を必ず1つ入れることです。「◯◯シリーズ」ではなく「◯◯シリーズ|SUS304製の耐圧タンク」。社内呼称を消す必要はなく、一般名を添えるだけで十分です。判断に迷ったら、営業がお客様から受けた最初の一言を思い出してください。それが検索語です。
失敗3。図面を添付できないフォームで、見積もり依頼が電話に戻る
フォームがテキスト入力だけだと、発注側は結局メールか電話を使います。せっかくサイトを見てもらっても、問い合わせがサイト経由の記録として残らず、効果も測れません。
防ぎ方は、ファイル添付欄を必ず付けることと、受け入れる拡張子とサイズ上限を明記することです。DXFやSTEPをそのまま添付できるか、ZIP圧縮が必要かを制作会社に確認し、決まった条件を案内文に書いておくと実務が回ります。送信後にファイルがサーバーのどこに保存されるかも、機密の観点から必ず確認してください。
失敗4。採用と受注をトップページ1枚で奪い合う
製造業サイトは、発注担当と求職者という性格の違う訪問者が同時に来ます。両方に応えようとして、トップページに「技術力」「働く人の声」「設備」「福利厚生」が並び、どちらの人も欲しい情報にたどり着けない状態になりがちです。
防ぎ方は、トップページの上部で行き先を2つに分けることです。「製品・加工をお探しの方」「採用情報をお探しの方」と入口を明示し、それぞれの先で内容を作り込みます。トップページで両方を説明しきろうとしないのが、いちばん確実な対処です。
この章で押さえるのは、製造業サイトの失敗は制作の腕ではなく、「出せる情報の線引き」「社外の言葉」「添付の受け口」「訪問者の入口分け」の4つを公開前に決めていないことから起きるという点です。
発注してから分かる、製造業サイトの妥協点
ここは、見積書にも提案書にも書かれないけれど、実際に進めると必ずぶつかる部分です。先に知っておくと、社内調整の段取りが変わります。
撮影は、思ったより日程が取れません。工場撮影は、稼働を止める時間、安全管理者の立ち会い、他社製品が写り込まないカメラ位置の調整が必要です。撮影そのものが半日で終わる見積もりでも、日程を決めるための社内調整には別途時間がかかります。制作開始と同時に撮影日を押さえるのが現実的です。
技術情報の確認は、現場の繁忙期を避けられません。公差や加工条件の確認は、現場の責任者にしか答えられません。ところが、その人はいちばん忙しい人でもあります。原稿確認に何日かかるかを現場の責任者と先に決めて、その日数を積み上げて公開日を逆算してください。公開日が動く要因は制作作業だけでなく、社内確認が止まっている時間も含まれます。
CADデータの公開は、いいことばかりではありません。3Dデータを公開すると、設計者は自分のCAD上で組み込みを確認できます。一方で、そのデータがそのまま他社に持ち込まれる可能性も生まれます。判断が分かれる論点なので、「公開する製品」と「問い合わせ後に個別に渡す製品」を分けるのが妥協点になります。全部公開か全部非公開かで考えないでください。
多言語は、翻訳より運用が重いです。英語ページを作ると、海外からの問い合わせが英語で届きます。誰が読み、誰が返信するかを決めずに公開すると、返信されないまま溜まります。まずは会社概要と加工範囲の2ページだけ英語にして、フォームの返信体制ができてから広げる進め方が現実的です。
製造業ポータルへの掲載と自社サイトは、役割が違います。製造業向けのポータルサイトは、掲載すればその中で見つけてもらえます。ただし、そこで興味を持った人が次に自社サイトを見に来ることもあります。ポータル経由の引き合いを取りこぼさないためにも、着地する自社サイト側の情報密度が必要になります。
公開後に更新が止まる原因と、担当と頻度の決め方は更新されないサイトの信用低下を直す更新体制の作り方|担当と頻度にまとめています。
この章で押さえるのは、製造業サイトの進行を遅らせるのは制作作業ではなく、撮影日程と現場確認という社内側の工程だということです。ここに人と時間を先に割り当てておくと、公開日は守れます。
製造業のホームページ制作でよくある質問
守秘義務で加工事例がまったく出せません。何を載せればいいですか。
社名も図面も出さずに、業界・用途・材質・寸法・要求精度・工夫した点の6項目で書けば事例として成立します。発注側が見たいのは取引先の社名ではなく、自分と似た条件を通した経験があるかどうかです。写真は完成品の全体ではなく、加工面の一部を切り取ったカットにしてください。
図面を添付できる問い合わせフォームは作れますか。データの扱いが心配です。
作れます。受け付けられる拡張子とサイズの上限は、制作会社に数値を出してもらってください。心配な点は、送信されたファイルがどこに保存されるかで、サーバー上に残る設定か、メール添付だけで残らない設定かを確認してください。保存する場合は、保存期間と閲覧できる人を社内で決めておくと安全です。
製造業向けポータルに出しているので、自社サイトは簡単でいいですか。
ポータルで興味を持った人が、その後に社名で検索して自社サイトを見に来ることがあります。そこで加工範囲や設備が分からないと、比較から外れます。ポータルは接点を増やす場所、自社サイトは判断してもらう場所と役割が違うので、掲載内容の密度は自社サイト側に必要です。
社内にサイトを更新できる人がいません。製品ページは増やせますか。
増やせます。決め方は2つで、CMSで社内が入力する形にするか、原稿だけ社内で書いて掲載作業を保守契約に含めるかです。後者なら、必要なのは文章と写真をまとめて送る作業だけになります。契約前に「1ページ追加の費用と納期」を数字で確認しておいてください。
リニューアルすると、今ある取引先向けのページのURLは変わりますか。
多くの場合は変わります。旧URLと新URLの対応表を作り、転送設定を制作会社に依頼してください。既存のURL一覧と転送先の対応表を作る作業なので、見積もりに含まれているかを契約前に確認してください。ここが抜けると、公開直後に取引先から「ページが見つからない」と連絡が来ます。
まず1つだけ、今日できること
今日のうちにできるのは、自社サイトを開いて「材質・寸法・公差・ロット・納期」の5つが数値で載っているかを見ることです。1つでも欠けていれば、そこが最初に足す情報になります。社内でリニューアルの承認を取る段階なら、B2Bサイトリニューアルを社内で通す提案書の作り方|4ステップが次に読む1本として役に立ちます。
ここまで読んで、掲載内容の線引きや社内での材料集めを自社だけで進めるのは難しそうだと感じた方は、一度お話を聞かせてください。何を載せ、どのページを何本作るかを一緒に決めるところから始められます。製品情報まで載せるホームページ制作のページに、進め方と対応範囲をまとめています。いまのサイトの状態をうかがうだけでも大丈夫です。
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