B2Bサイトリニューアルを社内で通す提案書の作り方|4ステップ
この記事の要点
- 決裁者が見るのはデザインではなく投資回収。問い合わせ数を売上と商談で語り直す
- 提案書は「現状の損失・目標KGI・費用対効果・運用体制」の4点で組む
- 意見の集約と企画書の下書きはAIで時短し、数字の前提と最終判断は人が握る
「サイトが古いから作り直したい」と社内で切り出したのに、決裁者の反応が薄かった経験はありませんか。リニューアルの必要性は現場ほど伝わりにくく、ここで止まる企画は本当に多いです。
この記事では、B2Bサイトのリニューアルを社内で通すために「決裁者に何を・どう伝えるか」を、提案書の組み立て方とそのまま使えるチェックリスト付きで解説します。AIを使った意見整理の進め方や、現場でよく見る失敗も率直にお伝えします。

Contents / 目次
決裁者を動かす鍵は「投資回収の言葉」に翻訳すること
結論から言うと、リニューアル提案が通らない一番の原因は、現場の言葉のまま決裁者に話していることです。決裁者が知りたいのは「デザインがきれいになるか」ではなく「いくら使って、いくら返ってくるか」です。ここを翻訳できれば、企画は一気に前に進みます。
決裁者は、クリック率やページビューといった指標にはほとんど反応しません。関心があるのは、増えた商談、増えた売上、投資した費用に対する回収(ROI)です。つまり、同じリニューアルでも「言葉の選び方」で承認率が変わります。
まずは、現場がよく使う言葉と、決裁者に響く言葉の違いを整理しておきましょう。
| 現場が言いがちな言葉 | 決裁者に響く言葉への翻訳 |
|---|---|
| デザインが古い・他社より見劣りする | 古い印象で失注している商談がある(機会損失の金額) |
| スマホで見にくい | 自社サイトのスマホ流入比率を確認し、取りこぼしているリードを示す |
| 更新が面倒で放置している | 更新工数が月◯時間。人件費に換算すると年◯万円 |
| 問い合わせが少ない | 問い合わせ→商談→受注の歩留まりと、目標受注額 |
| SEOで負けている | 検索からの見込み客の取りこぼしと、広告費の代替効果 |
このように、すべての訴えを「お金」と「成果」に置き換えるのが基本姿勢です。決裁者は課題ではなく、課題を放置したときの損失に反応します。
押さえる順番。「現状の損失 → 目標(KGI/KPI) → 費用対効果 → 運用体制」の順で語ると、決裁者の頭の中で投資判断が組み上がります。やるべきことはこの4点を埋めるだけです。
承認される提案書の作り方。4ステップで組み立てる
提案書は、難しい体裁よりも「決裁者が判断に必要な情報がそろっているか」が大事です。次の4ステップで組み立てれば、A4で2〜3枚でも十分に通る提案になります。

ステップ1。現状の課題を「損失の金額」に変える
最初にやるのは、いまのサイトが生んでいる損失を数字にすることです。感覚的な「使いにくい」では決裁者は動きません。
たとえば、問い合わせフォームの離脱が多いなら「月の訪問数 × 想定CV率の差 × 平均受注単価」で取りこぼし額の概算を出します。前提が荒くても構いません。大事なのは「放置するとこれだけ損をしている」と金額で見せることです。前提条件は必ず明記し、決裁者が後で検証できる状態にしておきましょう。
ステップ2。目標をKGIとKPIに分けて置く
次に「リニューアルで何を達成するか」を数値目標にします。KGIは最終ゴール(例。Web経由の受注額や商談数)、KPIはその手前の指標(例。問い合わせ数、資料ダウンロード数)です。
ここで重要なのは、問い合わせ数だけをゴールにしないことです。問い合わせが増えても、質の低いリードばかりでは商談につながりません。「問い合わせ → 商談化 → 受注」という流れで目標を置くと、決裁者は売上との関係をイメージしやすくなります。フォームの設計を見直すなら問い合わせフォームを5項目に減らすBtoBの設計も合わせて検討すると、CVの取りこぼしを減らせます。
ステップ3。費用対効果(ROI)をざっくり試算する
費用は「制作費」だけでなく「公開後の運用費」まで含めて出します。決裁者が嫌うのは、後から追加費用が雪だるま式に出てくることです。初期費用と月額の運用費を分けて示すと、判断がしやすくなります。
そのうえで「目標を達成したら何か月で回収できるか」を一行で添えます。仮に年間の追加受注が見込み額に届けば◯か月で投資回収、という形です。精緻さより「回収の道筋が見えること」が決裁者を安心させます。
ステップ4。公開後の運用体制まで描く
リニューアルはゴールではなくスタートです。決裁者は「作って終わり」を警戒します。誰が・どのくらいの頻度で更新し、成果をどう測るのかまで描いておくと、提案の説得力が一段上がります。
ここで、社内に提案書を出す前のセルフチェックリストを用意しました。提出前に一つずつ確認してみてください。
- 損失の金額:いまのサイトが生んでいる取りこぼしを概算で出したか
- KGI/KPI:受注・商談まで含めた目標になっているか(問い合わせ数だけになっていないか)
- ROIの試算:初期費用と運用費を分け、回収の目安を示したか
- 運用体制:公開後の更新担当・頻度・効果測定の方法を書いたか
- リスク対策:SEOやセキュリティの引き継ぎ、関係部署の確認を盛り込んだか
- 代替案との比較:「やらない場合」「部分改修の場合」と並べて見せたか
意見の集約や企画書の下書きは、AIに任せると一気に楽になります。たとえば社内アンケートやヒアリングのメモをまとめて渡し、論点を整理してもらう使い方です。出発点として、次のような短い指示(seed)から始めて、あとはAIと対話しながら自社の事情に合わせて詰めていくのがおすすめです。
あなたはBtoBのWeb担当を支援するコンサルタントです。
以下は社内ヒアリングのメモです。
[ここにヒアリングメモを貼り付け]
これをもとに、決裁者向けリニューアル提案の骨子を作ってください。
・現状の課題(できれば損失の金額に換算する観点も)
・目標(KGIとKPIに分ける)
・費用対効果の考え方
・公開後の運用体制
の4項目で、箇条書きにしてください。
不足している前提があれば、私への質問として挙げてください。
AIの出力は、論点の抜け漏れチェックやたたき台として優秀です。ただし金額の前提や自社の数字は、必ず人が確認して差し替えてください。AIは「もっともらしい数字」を埋めてしまうことがあるので、ここは任せきりにしないのが鉄則です。要件整理の進め方はリニューアル要件定義をAIで整理する進め方でも詳しく解説しています。
提案が通ると何が変わるのか。成果のイメージ

うまく組み立てた提案が通ると、リニューアルは「コスト」ではなく「投資」として社内で扱われるようになります。これが一番大きな変化です。予算が付くだけでなく、成果を測る土台ができるからです。
B2Bサイトのリニューアルは、もはや特別なイベントではありません。実施の頻度や費用は業種・サイト規模によって大きく異なりますが、環境変化のスピードが速く、数年に一度の大改修から、こまめに手を入れる運用へと潮目が変わっています。
成果が出ている企業に共通するのは、リニューアル単体で考えていない点です。サイトを軸に、検索流入・広告・メール・ウェビナーといった他のチャネルとつなげ、見込み客を育てる流れまで設計しています。サイトは「24時間働く営業窓口」として位置づけられています。
具体的な変化のイメージとしては、次のようなものが期待できます。いずれも前提や運用次第で変わるため、自社の数字で試算し直してください。
- 商談の質が上がる:導入実績や事例を整理することで、検討度の高い相手から問い合わせが来やすくなる
- 営業がラクになる:担当者が決裁者に見せやすいページ(実績・料金の考え方・資料ダウンロード)がそろい、社内稟議が進みやすくなる
- 運用工数が減る:更新しやすいCMSに変えることで、外注待ちや手作業が減り、人件費の節約につながる
大切なのは、これらを公開前に「測れる形」にしておくことです。リニューアル前のデータ(問い合わせ数、流入数、商談化率)を控えておけば、公開後にビフォーアフターで成果を語れます。決裁者は次の投資判断のために、この比較を見たがります。
よくある失敗と、その防ぎ方

提案が通ったあとにつまずくケースには、ある程度パターンがあります。現場で実際によく見かける失敗を3つ取り上げ、防ぎ方とセットでお伝えします。
失敗1。デザイン刷新が目的になり、成果が落ちる
「見た目を新しくする」こと自体が目的になってしまうケースです。この状況では、顧客が探している情報の導線が後回しになり、リニューアルしたのに問い合わせが減るという最悪の結果が起きます。
防ぐには、デザインの前に「誰が・何を知りたくて来るか」を整理することです。B2Bの訪問者は課題解決の目的で来ています。論理的で分かりやすい情報設計を軸に置き、デザインはその器として考えると、成果を落とさずに刷新できます。
失敗2。SEOの引き継ぎを忘れ、検索流入が激減する
これは技術的なのに被害が大きい、典型的な失敗です。URLが変わったのにリダイレクト設定をしていない、評価の高かったページを削除した、テスト用のnoindexタグが残ったまま公開した、といったミスで検索流入が急落します。
防ぐには、公開前に「URLの変更一覧」と「リダイレクトの対応表」を作り、リニューアル後にインデックス状況を確認することです。検索からの流入は広告費の代替にもなる資産なので、ここは制作会社任せにせず、社内でもチェックリストを持っておきましょう。検索の状況確認はGoogleサーチコンソール徹底活用術が参考になります。
失敗3。関係部署への確認が遅れ、公開が遅延する
情報システム部門や法務のチェックを後回しにすると、公開直前にセキュリティ要件や表現の修正が入り、スケジュールが大きくずれます。決裁者にとって「予定どおり進まない」のは信頼を失う材料です。
防ぐには、計画の初期段階で関係部署に必要要件(セキュリティ診断の要否・期間・コスト、個人情報の扱い)を確認し、スケジュールと予算に組み込むことです。後から差し込むのではなく、最初から座組みに入れておくのがコツです。
広告費などを「最初から全額投入」するのも危険です。最初の仮説が外れたときにリカバリーできません。反応を見ながら段階的に投資する前提で、提案にも「検証フェーズ」を一行入れておくと、決裁者の不安が減ります。
現場で見える落とし穴と、正直な妥協点
ここからは、教科書には書かれにくい「実際にやってみると詰まるところ」を率直にお話しします。提案を通すうえで、知っておくと武器になる視点です。
まず、決裁者は「他社事例」を求めがちですが、これは諸刃の剣です。事例は説得材料になる一方、「うちは業種が違う」と一蹴される口実にもなります。だからこそ、他社事例よりも自社の損失データを主役にするほうが効果的です。自社の数字には、誰も反論できないからです。
次に、内製と外注の切り分けです。AIツールが進化したことで、ページの文章やデザイン案、簡単なLPは社内でも作りやすくなりました。「自分たちでできそう」と感じる場面は確実に増えています。ただし、ここに落とし穴があります。
- AIで作りやすい部分:原稿のたたき台、構成案、デザインの方向性出し、社内向け資料の整理
- 人とプロが要る部分:URL設計とリダイレクト、SEOの引き継ぎ、CMSの設計、セキュリティ、公開後の運用ルール
つまり、見えるところ(見た目・文章)はAIで内製しやすく、見えないところ(土台・引き継ぎ)こそ専門知識が要る、という構図です。ここを取り違えて「全部自分たちでできる」と判断すると、公開後にトラブルが噴き出します。AIで作ったサイトが数か月後に詰まる理由はVibe codingのサイトが3か月後に詰む前の更新設計でも触れています。
最後に、コストの見落としです。提案では制作費に目が行きがちですが、実際にお金と手間がかかるのは公開後です。公開後にかかる主なコストは、次の3つに分けて提案に入れておきましょう。
- 更新の人件費:誰がどのくらいの頻度で更新するか
- ツールの月額:CMSや各種ツールの利用料
- 改善のための分析:データを見て手を入れる工数
ここを提案に入れておかないと、「思ったより手間がかかる」と後で言われ、次の投資が止まります。正直に言えば、リニューアルで一番難しいのは作ることではなく、続けることです。だからこそ、運用まで一緒に考えてくれる相手を選ぶのが、結果的に一番安く済みます。
よくある質問
決裁者に提案する前に、まず何から準備すればいい?
まずは現状の数字を集めることから始めましょう。問い合わせ数、流入数、商談化率などの今のデータがあると、「放置するといくら損か」を語れます。きれいな提案書より、判断できる数字が先です。
費用対効果を正確に出すのが難しいのですが?
正確さより「回収の道筋が見えること」が大事です。前提を明記したうえで概算で構いません。「目標が達成できれば何か月で回収」という一行があるだけで、決裁者の判断はぐっとしやすくなります。
提案書づくりにAIを使っても大丈夫?
骨子づくりや意見整理には大いに役立ちます。ただし金額や自社の数字は必ず人が確認してください。AIはもっともらしい数字を埋めることがあるので、たたき台として使い、最終判断は人が握るのが安全です。
リニューアルは何年ごとにやるのが普通?
適切な頻度は業種やサイトの規模によって大きく異なります。頻度そのものより「成果が出ているか」が大事です。大改修を待つより、こまめに改善する運用前提で考えるのがおすすめです。
まずは現状の整理から、お手伝いします
ここまで読んで、「やることは分かったけれど、社内の数字集めや提案書づくりまで手が回らない」と感じた方も多いはずです。コレットラボのAI業務システム化支援では、現状データの整理から決裁者向け提案の組み立て、AIを使った内製化の伴走まで、御社の体制に合わせてお手伝いします。いきなり契約ではなく、現状を一緒に整理するだけでも大丈夫です。気軽にお話を聞かせてください。AI業務システム化の詳細はこちらからどうぞ。
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