開業税理士の集客方法|紹介以外で相談が来る検索対策の順番
この記事の要点
- 紹介以外の入口は、業務の絞り込み→サイトの型→検索対策の順で作る
- 費用が変わるのは4要素。見積書のどこを見るかを本文で解説
- 外注しても所長に残る作業がある。記事の本数に応じて確認時間を確保する
開業した税理士事務所が紹介以外から相談を受けるには、受任したい業務を3つ以内に絞り込み、その業務で相談直前に打たれる検索語に合わせたページを先に作り、そのあとで記事を増やします。順番を逆にして記事から始めると、アクセスは増えても顧問契約の相談は増えません。
この記事は、独立して1〜3年目の所長ご本人に向けて書いています。ご自身でSEOの作業をする方法ではなく、どこにいくら払うか、何を任せて何が手元に残るか、契約前に何を確認するかを判断できる状態を目指します。
扱うのは、自社サイトからの相談経路づくりです。すでにブログを書いていて反応が出ない方は税理士ブログがSEOに効かない原因と改善手順のほうが近い内容です。開業手続きそのものについては触れません。
Contents / 目次
紹介以外の入口は、3つの順番で作る
開業税理士の集客で最初に決めるのは、記事のテーマでもツールでもなく「どの業務で、誰から、月に何件相談を受けたいか」です。ここが決まっていないと、制作会社に見積もりを頼んでも比較できません。
順番は次の3段階です。上から順に進めます。
- 受任したい業務を3つ以内に絞り、1件あたりの生涯売上(顧問契約なら月額×継続年数)を計算する
- その業務の相談直前に打たれる検索語に合わせて、業務ページ・料金の考え方・所長のページを作る
- そのページに検索から人が来るように、周辺の疑問に答える記事を積む
多くの事務所が3から始めます。税務の解説記事は書けるからです。ただし解説記事にたどり着く人は「調べたい人」であって「頼みたい人」ではありません。2の受け皿がないまま記事だけ増やすと、アクセス数の割に問い合わせが立ち上がらない状態になります。
紹介・ポータル・自社サイトの違いを先に押さえる
相談が来る経路は、紹介、税理士紹介サイト(マッチングサイト)、自社サイトの3つです。このうち紹介以外の2つはコストの発生の仕方がまったく違うので、どちらか一方に決める話ではなく、開業からの時期で比重を変えるものだと考えてください。
| 経路 | 費用の発生の仕方 | 立ち上がりの早さ | 向いている時期 |
|---|---|---|---|
| 紹介(金融機関・士業・既存顧問先) | 直接の金銭コストは小さい。人に会う時間が原価 | 関係ができていれば早い | 開業直後から継続して |
| 税理士紹介サイト・ポータル | 成約時に紹介料、または月額の掲載料。1件ごとに費用が乗る | 登録すればすぐ相談が来る場合がある | 開業〜1年目の売上の空白を埋める間 |
| 自社サイトの検索対策 | 制作費と月々の運用費。件数が増えても1件あたりの費用は下がる | 数か月〜1年かかる | 1年目から着手し、2年目以降に効く |
判断の分かれ目。紹介サイト経由の成約が増えるほど、1件あたりのコストは下がりません。自社サイトは初期にお金がかかる代わりに、あとから来る相談の追加コストがほぼゼロになります。紹介料の年間合計が、サイトの年間運用費を上回り始めた時点が、自社サイトへ比重を移す現実的なタイミングです。
この章の結論として、進める順番は「業務を絞る→受け皿のページを作る→記事を積む」で固定してください。順番さえ守れば、あとで発注先を変えても作ったものは無駄になりません。
税理士のweb集客は何で費用が変わるか。見積書で見る4か所
税理士事務所のweb集客の費用は、次の4つでほぼ決まります。
- サイトを新しく作るか、既存を直すか
- 月に何ページ増やすか
- 記事を誰が書いて、誰が確認するか
- 地域ページを何本作るか
金額の総額だけを見比べても差が分からないので、見積書はこの4か所を分解して確認してください。
| 費用が変わる要素 | 安くなる条件 | 高くなる条件 | 見積書で確認する項目 |
|---|---|---|---|
| サイトの状態 | 既存サイトがWordPressで、ページ追加ができる | 更新できない作りで、ページ追加のたびに制作会社を通す | 初期費用に「サイト改修」が含まれるか、別見積もりか |
| ページの追加本数 | 月1〜2本 | 月4本以上 | 1本あたりの単価と、含まれる文字数・図表の有無 |
| 執筆と確認の分担 | 所長が原案を口頭で話し、ライターが構成する | 税務の内容までライター側が調べて書く | 「監修」は誰の作業か。所長の確認時間が何分想定か |
| 地域ページ・業務ページの数 | 1拠点・業務3つ | 複数拠点、業務10種類を全部作る | ページ設計の一覧が提案書に付いているか |
いくらまで出していいかは、顧問料から逆算して決める
予算は相場から決めるのではなく、1件受任したときの売上から逆算します。計算は3行で終わります。ここでは数字を仮に置いて説明しますので、ご自身の平均顧問料に置き換えてください。
- 生涯売上:月額顧問料を仮に3万円、平均継続を仮に3年とすると、1件あたり108万円
- 粗利:記帳や決算の実務コストを差し引いて仮に6割とすると、約65万円
- 1件の獲得に出せる上限:粗利の3分の1を上限とするなら、約21万円
この上限を使って、年間の投資額から必要な受任件数を出します。1件に21万円まで出せるなら、年間のweb投資が仮に120万円のとき、120万円÷21万円で年6件受任できれば投資額を回収できる計算です。月換算すれば0.5件です。「毎月何件」ではなく「年に何件で元が取れるか」で見ると、判断がぶれにくくなります。
相続や事業承継のようなスポット業務が主軸なら、生涯売上ではなく1件あたりの報酬で同じ計算をしてください。単価が高いぶん、1件獲得に出せる上限も上がります。外注先ごとの見積もりの見方はコンテンツSEO外注の選び方と費用相場の見方でも詳しく扱っています。
総額が同じでも中身は大きく違います。「月◯万円・記事4本」の見積もりで、税務の内容確認をすべて所長が行う前提になっていることがあります。その場合、所長の確認時間が見積もりに書かれていない隠れコストになります。
この章の結論として、費用の妥当性は総額ではなく「1件受任に出せる上限」と「所長の稼働時間」を並べて判断してください。この2つを出せば、複数社の見積もりが同じ土俵で比べられます。
紹介以外で相談が来るまでの進め方。5つのステップ
ここからは実際の進め方です。発注する場合でも、この5つのうちステップ1と4は所長が決めないと先へ進みません。何を渡せばよいかまで書きます。
ステップ1。受任したい業務を3つ以内に絞る
最初にやるのは業務の絞り込みです。取扱業務を10種類並べたサイトは、どの検索語でも中途半端になります。次の表を埋めてから制作会社と話してください。
【受任したい業務の整理シート】
① 業務名(例:法人の顧問/個人の確定申告/相続税申告/開業支援)
② 想定する相手(例:創業2年以内の建設業、従業員5名以下)
③ 1件あたりの売上(顧問なら月額×想定継続年数)
④ 今の受任経路(紹介/ポータル/検索/なし)
⑤ 月に何件増やしたいか
※①〜⑤を3行分だけ埋める。4行目以降は今回は作らない業務として脇に置く
絞る基準は「利益が出て、かつ自分がもう一度受けたい仕事か」です。単価が低くて手間がかかる業務を入り口にすると、集客がうまくいくほど疲弊します。
ステップ2。相談の直前に打たれる検索語を洗い出す
検索語は、検索ボリュームの大きさではなく「相談する直前の人が打つ言葉かどうか」で選びます。税理士業では、次の4分類で並べると抜けが出にくくなります。
| 分類 | 検索語の例 | 相談までの距離 | 用意するページ |
|---|---|---|---|
| 地域+業務 | 「大分市 税理士 相続」「福岡 税理士 建設業」 | 近い | 業務ページ+地域の記述 |
| 費用・料金 | 「税理士 顧問料 相場 個人事業主」 | 近い | 料金の考え方ページ |
| 乗り換え・不満 | 「税理士 変更 タイミング」「税理士 連絡 遅い」 | 近い | 乗り換え手順の記事 |
| 手続き・制度 | 「インボイス 経過措置」「青色申告 承認申請 期限」 | 遠い | 解説記事(受け皿へ内部リンク) |
洗い出しは、Googleの検索窓に「税理士 」と打って出てくる候補(サジェスト)を書き出すところから始めてください。作業手順は次の4つです。
- 集める:「税理士 」のあとに、地域名・業種名・「費用」「変更」「相談」を1語ずつ足して、出てきた候補をすべて書き出す。50〜100語になっても構わない
- 分類する:書き出した語を、上の表の4分類(地域+業務/費用・料金/乗り換え・不満/手続き・制度)に振り分ける。どれにも入らない語(求人・年収・試験・独立など、依頼者ではない人が打つ語)はこの時点で外す
- 絞る:ステップ1で絞った3業務に関係する語だけを残す。残す語の数は、更新と確認にかけられる時間で決めてください。1語につき1ページ作ることになるので、次のステップ3で決めるページ数を超えて語を残さないようにします
- 1語1ページで割り当てる:同じ意味の語(「税理士 変更」「税理士 乗り換え」など)は1ページにまとめ、意味が違う語は別ページにする
検索数の目安はGoogleキーワードプランナーのヘルプに使い方が載っています。ただし細かい数字は当てにせず、語の候補を集める用途で使うのが現実的です。有料ツールは、ページが20本を超えて管理が必要になってから検討すれば足ります。
優先順位。上の表で「近い」に分類した3つを先に作ります。手続き・制度の解説記事は数が多くなりがちですが、受け皿がない状態で増やしても相談にはつながりません。
ステップ3。サイトに置くページを決める
開業から2年目までに必要なページは、次の5種類です。すべて揃えてから記事に進みます。
- 業務ページ:ステップ1で絞った3業務それぞれに1ページ。トップページの中の1ブロックではなく、独立したURLで作る
- 料金の考え方ページ:金額を出せない場合でも、何で料金が変わるか(仕訳数・訪問頻度・記帳代行の有無)を書く
- 所長のページ:登録番号・所属税理士会・経歴・取扱業種。相談前にここを見る人は多い
- 相談の流れページ:初回相談の所要時間、持参物、費用の有無、その後の進み方
- 相談事例またはQ&Aページ:実名の事例が出せない開業直後は、匿名化した相談例か、実際に受けた質問への回答で代替する
ページを増やすとき、業務ごとにURLを分けるか1ページにまとめるかで迷う場面が出ます。判断の基準はキーワードカニバリゼーションの直し方(統合と削除の判断)にまとめてあります。
ステップ4。信頼の表記と、広告規定の確認を同時に済ませる
税務の情報は、読んだ人のお金に直接影響する分野です。書き手が誰かを示していないページは、相談者から見て内容の確かさを判断できません。次の5点は、記事を増やす前に全ページで揃えてください。
- 各ページの下部に、執筆者または監修者として税理士名・登録番号・所属税理士会を表示する
- 記事に「公開日」と「最終更新日」を両方表示する(税制は毎年変わるため、いつ時点の情報かが分からない記事は読まれない)
- 制度の説明では、国税庁のタックスアンサーなど一次情報の名称と、参照した時点を本文に書く
- 事務所の名称・住所・電話番号の表記を、サイト・Googleビジネスプロフィール・名刺で一字一句そろえる
- 掲載する表現を、所属する税理士会の会則および業務広告に関する規程と照らして確認する
5番目は税理士だけの制約なので、発注前に必ず制作会社へ伝えてください。確認先は、所属する税理士会が公表している会則・規程と、日本税理士会連合会が公表している資料です。どの文書のどの条項が該当するかは会によって異なるため、ご自身の所属会の事務局に「業務広告に関する規程の最新版はどれか」を直接確認するのが確実です。制作会社は一般の業種と同じ感覚で「地域No.1」「業界最安値」といったコピーを提案してくることがあるため、こちらから先に線を引いておくのが安全です。
「顧問料が地域最安」「必ず節税できます」「税務調査に強い日本一の事務所」といった表現は、確認が必要になるだけでなく、価格だけで比較する相談者を集めてしまいます。書くなら「対応できる業種」「初回相談で分かること」「連絡が取れる時間帯」のように、事実として確認できることに置き換えてください。
著者情報の具体的な作り方は著者ページと運営者情報の作り方(E-E-A-Tを示す実装手順)で手順化しています。
ステップ5。問い合わせの受け口と、数字の見方を決める
最後に相談の受け口です。開業直後の事務所ほど、ここが弱いまま記事だけ増えている状態になりがちです。決めるのは次の4つです。
- 連絡手段:電話・フォーム・LINEのうち2つまで。スマホでの表示時に電話番号がタップで発信できるか確認する
- 初回相談の条件:無料か有料か、所要時間、オンライン可否を明記する。書いていないと問い合わせ前に離脱される
- フォームの項目:必須項目は5つまで(会社名・氏名・連絡先・相談内容・希望連絡時間帯)。年商や仕訳数を必須にすると送信されません
- 計測:Googleアナリティクス(GA4)とGoogleサーチコンソールを入れ、フォーム送信を記録できる状態にしておく。手順は、送信完了ページの表示、またはフォーム送信の動作をGA4のイベントとして受け取り、そのイベントを管理画面で「重要なイベント」に指定する、という2段階です。設定画面の項目名はGA4のヘルプで現在の表記を確認してください
毎月見る数字は3つで足ります。「フォーム送信数」「電話タップ数」「業務ページの表示回数」です。順位や訪問数は動きが大きく、月次の判断材料になりにくいためです。アクセスがあるのに相談が来ない場合の切り分けはアクセスはあるのにCVが増えない原因の診断5ステップに手順があります。
この章の結論として、ステップ1(業務の絞り込み)とステップ4(信頼の表記と広告規定)は所長にしかできません。ここを先に片付けておけば、残りの3ステップは発注しても品質が落ちにくくなります。
相談が来るまでの期間と、途中で見るべき変化
検索から相談が来るまでには、早くても数か月かかります。開業と同時にサイトを立ち上げた場合、初年度は紹介とポータルで売上を作りながら、並行してサイトを育てる形になります。
ただし「1年間まったく何も分からない」わけではありません。途中で確認できる変化は、おおむね次の順で現れます。かかる期間は業務の内容・地域の競合状況・ページの本数によって大きく変わるため、以下は順番だけを示しています。
| 確認する順番 | 確認できる変化 | この時点での判断 |
|---|---|---|
| 1つ目 | サーチコンソールに、業務ページの表示回数が出始める | ページが検索対象になったかどうかだけを見る。順位は見ない |
| 2つ目 | 事務所名以外の検索語でのクリックが発生する | クリックされた検索語が、狙った業務と合っているかを見る |
| 3つ目 | フォーム送信・電話タップが出始める | 相談内容の質を見る。値段だけの問い合わせが多いなら料金ページを見直す |
| 4つ目 | 受任につながる相談が出てくる | ここで初めて、投資額と受任件数を突き合わせて継続を判断する |
成果が出ている事務所に共通しているのは、記事の本数ではなく受任したい業務が絞られていることです。取扱業務を並べたサイトより、「建設業の法人顧問」「相続税申告」のように相手が特定されているサイトのほうが、どんな相談が来るかを事前に想定しやすくなります。
開業の準備段階から事業計画を見直したい場合は、中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21の業種別開業ガイドのような公的な情報も、収支計画を組み立てる材料になります。
途中でやめる判断。半年ほど経っても業務ページの表示回数がほぼゼロなら、記事の量ではなく設計(業務の絞り込みかページ構成)に問題があります。記事を追加する前に、発注先へページ設計の見直しを求めてください。
この章の結論として、継続するかどうかは4つ目の段階まで見てから判断してください。表示回数もクリックも出ていない早い段階で「相談が来ない」と打ち切ると、投資した制作費だけが残ります。逆に、2つ目のクリックがまったく出ないなら、その時点で設計を疑うべきです。
開業税理士がやりがちな失敗と、その防ぎ方
ここでは、税理士事務所のサイトでよく起きる4つの失敗を挙げます。どれも「よくある一般的な失敗」ではなく、税理士業だから起きるものです。
失敗1。取扱業務を全部並べて、どの検索語にも当たらない
独立直後は仕事を選べないため、法人顧問・個人確定申告・相続・開業支援・記帳代行・国際税務まで、対応できるものをすべてサイトに書きます。すると1ページの中に業務名が10個並び、「相続税申告を頼みたい人」にも「創業融資の相談をしたい人」にも刺さらないページになります。
防ぎ方は、サイトの表現と実際の受任範囲を分けることです。問い合わせがあれば全業務を受けるのは変えず、サイトで前面に出す業務だけを3つに絞ります。残りの業務は「その他の対応業務」として一覧で載せておけば、取りこぼしは起きません。
失敗2。税制改正の解説記事が、古い内容のまま残る
税務の解説記事は書きやすいので数が増えます。ところが税率・控除額・経過措置は毎年動くため、2年前の記事が古い数字のまま検索結果に出続けることになります。相談者がその記事を読んで誤った前提で相談に来ると、初回相談の最初の10分が訂正で終わります。
防ぎ方は、書く前に更新の担当を決めることです。記事ごとに「◯年◯月時点の制度に基づく」と本文に明記し、年に1回、確定申告期が終わった4〜5月に一括で見直す日をカレンダーに入れておきます。更新できる本数を超えて記事を増やさない、という上限を持つほうが安全です。
失敗3。制作会社が提案したコピーが、広告規定に触れる
一般の業種向けのコピーをそのまま持ち込まれ、「地域No.1の実績」「必ず税金が安くなります」といった表現がトップページに載ってしまうケースがあります。税理士の業務広告には所属する税理士会ごとの取扱いがあるため、掲載後に指摘を受けて作り直すことになります。
防ぎ方は、発注時点で確認が必要なことを伝え、公開前に所長がコピーを1行ずつ確認する工程を契約に含めることです。「デザイン確認」だけでなく「文言確認」を別工程として押さえてください。所属する税理士会の取扱いは改定されるので、公開前に最新版を確認します。
失敗4。確定申告期の3か月、サイトも問い合わせ対応も止まる
防ぎ方は次の2つです。
- 繁忙期に入る前に記事を数本まとめて用意し、予約投稿しておく
- フォームの自動返信に「確定申告期のため、返信までに3営業日いただきます」と実態を書いておく
返信が遅れる事実を先に伝えておけば、待ってもらえる確率は上がります。
この章の結論として、4つのうち3つは「書き始める前の決めごと」で防げます。業務を絞る、更新できる本数の上限を決める、文言確認の工程を契約に入れる。この3つを発注前に済ませてください。
任せてもうまくいかない条件と、現場の妥協点
率直に書きます。検索対策を外注しても、次の条件に当てはまる事務所では成果が出にくくなります。発注前に自分の状況と照らしてください。
所長の確認時間が取れない場合
税務の記事は、ライターが下書きを作っても内容の正誤を判断できるのは税理士だけです。確認にかかる時間は記事の内容によって大きく変わるので、契約前に「1本あたり何分の確認を見込むか」を発注先と決めて、実際に1本目を確認して実測してください。その時間が取れないなら、記事の本数を月1〜2本に落として、業務ページと料金ページの精度を上げるほうが結果につながります。
なお、下書きの作成にAIを使うと素材出しは速くなりますが、税制の適用関係や年度の数字を確認する工程は減りません。むしろ、もっともらしく書かれた誤りを見抜く分、確認時間は増えることがあります。AIをどこまで使うかはSEO内部対策の代行はどこまで頼むか(自社に残す作業の線引き)で扱っています。
値段で選ばれたくないのに、料金を一切書かない場合
料金を書かないサイトには、「まず見積もりだけ聞いてみよう」という問い合わせが集まります。結果として、電話で金額を聞いて終わる相談の割合が上がります。
金額そのものを出したくない事務所は多いので、妥協点として「料金が変わる条件」を書く方法があります。書くのは次の4項目です。
- 仕訳数の目安
- 訪問の頻度
- 記帳代行を含むかどうか
- 決算のみか、月次があるか
この4項目を書いておくと、金額を出さなくても相談者は自分がどの水準になるか見当がつきます。相談の前に自己判断してもらえるぶん、面談の中身が濃くなります。
商圏を広く取りすぎている場合
クラウド会計で遠隔対応ができるようになったため、「全国対応」と書く事務所が増えました。ただし、初回は対面で話したいという相談者もいます。また、全国を対象にしたページは競合する事務所が多くなるぶん、地域を絞ったページより上位に出るのが難しくなります。
商圏の範囲は、初回相談に自分が出向ける距離で決めてください。対面で会いに行ける範囲を主戦場として地域名入りのページを作り、遠隔対応は「可能です」と書き添えるだけにとどめます。地元の会社に頼むか県外の会社に頼むかで迷った場合の判断軸はSEO対策会社の選び方(地元と県外の判断軸と費用の見方)にまとめています。
契約前に確認する8項目
最後に、発注先と契約する前に確認する項目を挙げます。そのまま質問として使えます。
- ページ設計の一覧(何を何ページ作るか)を、契約前に見せてもらえますか
- 記事の税務内容は、どちらが調べて、どちらが確認しますか
- 所長側に必要な作業は、月に何時間の想定ですか
- 税理士会の業務広告の取扱いを踏まえた文言確認の工程は、契約に含まれますか
- 成果として毎月報告される数字は何ですか(順位だけでなく、フォーム送信数が入っているか)
- サーチコンソールとアナリティクスの管理権限は、当方名義のアカウントで持てますか
- 契約を終了したとき、記事とサイトのデータはこちらに残りますか
- 最低契約期間と、途中解約の条件はどうなっていますか
6番と7番は特に確認してください。制作会社のアカウントでしか計測データを見られない契約や、独自のシステム上に記事があって解約すると消える契約があります。データと記事が手元に残らないと、次の会社に引き継げません。
この章の結論として、外注で失敗するかどうかは発注前にほぼ決まります。所長の確認時間、料金表記の方針、商圏の範囲。この3つを自分で決めてから見積もりを取ってください。
税理士紹介サイトに登録するのと、自社サイトの検索対策は、どちらを先にやるべきですか
開業1年目は両方です。紹介サイトは登録すればすぐ相談が来る可能性がある一方、成約ごとに紹介料がかかります。自社サイトは効果が出るまで数か月かかるので、売上を紹介サイトで支えながら並行して育てるのが現実的です。紹介料の年間合計がサイト運用費を上回ったら、比重を移す時期です。
開業したばかりで実績がなく、サイトに載せる事例が書けません
事例の代わりに「よくある質問への回答」を載せてください。前職や勤務時代に受けた相談を、企業が特定されない形で一般化した質問文にすれば十分に成立します。相談者が見ているのは実績数よりも、自分と同じ状況の話が書いてあるかどうかです。守秘義務に触れる固有情報は入れないでください。
顧問料をサイトに書くと、安いところと比べられて不利になりませんか
金額そのものを書かなくても構いません。ただし「料金が変わる条件」は書いてください。仕訳数、訪問頻度、記帳代行の有無、月次の有無の4つです。これがあると相談者は自分の水準を想像できるため、金額だけを聞く問い合わせが減り、面談で条件の話から始められます。
税制改正のたびに全記事を直すのは無理です。どうすればいいですか
更新できる本数を先に決めて、それ以上は増やさないのが現実的です。記事に「何年何月時点の制度に基づく」と明記し、確定申告期が終わった4〜5月に一括で見直します。制度そのものの解説より、手続きの流れや判断の考え方を書いた記事のほうが改正の影響を受けにくく、長く使えます。
地域名で検索すると税理士紹介の大手サイトばかりで、個人事務所が上に出る余地はありますか
「地域名+税理士」だけで大手ポータルの上に出るのは簡単ではありません。狙うのは業種や業務を足した検索語です。「地域名+税理士+建設業」「地域名+相続税申告」のように条件が増えるほどポータルの網羅性は効かなくなり、その分野に特化した事務所のページが選ばれやすくなります。
まず今日できることが1つあります。スマートフォンで自分の事務所名を検索して、最初に出てくるのが自社サイトか、税理士紹介サイトのプロフィールページかを確認してください。紹介サイトが先に出ているなら、その状態でどれだけ記事を書いても、指名で調べた人が他事務所と並べて比較される画面に着地しています。着手の順番を考えるうえで、ここが最初の判断材料になります。
ここまで読んで、順番は分かったけれど毎月の判断と実装まで自分で回すのは難しそうだと感じた方は、一度お話を聞かせてください。何から手をつけるかを毎月決めて実装まで進める税理士事務所のサイトを見直すSEO対策の伴走支援を行っています。判断の理由と手順を文書に残すので、事務所内で担当できる方ができた時点で引き継げます。いまの状況をうかがうだけでも大丈夫です。
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