SEO内部対策の代行はどこまで頼むか|自社に残す作業の線引き
この記事の要点
- 内部対策の代行は一度きりの工事と毎月の運用に分けて発注する
- 自社に残すのは権限管理と公開判断。4分類の切り分け表を掲載
- 失敗の原因は実装担当の不在。発注メモと検収の項目も掲載
SEO内部対策の代行は、「一度やれば数年もつ技術工事」と「毎月手を動かす運用」に分けて発注すると、費用も責任範囲も一気に整理できます。自社に残すべきなのは、アカウントの権限管理、公開のゴーサイン、そして自社しか知らない言葉が要る作業の3つです。
この記事は、サイトの内部対策をどこまで外注すべきか判断できずに見積もりを取りあぐねている、社内にWeb専任者が1人いるかいないかの会社に向けて書いています。読み終わる頃には、どの作業を頼み、どの作業を手元に残し、見積もりの何を見て比べるかを、自分で決められる状態になっているはずです。
なお、この記事で扱うのは「内部対策の代行をどう発注するか」です。自社だけで手を動かす前提の項目リストはSEO内部対策チェックリスト|初心者がまず直すべき優先順位に、記事そのものの制作を外に出す話はコンテンツSEO外注の選び方|費用相場と失敗しない発注の手順にまとめています。
Contents / 目次
SEO内部対策の代行は「一度きりの工事」と「毎月の運用」に分けて発注する
内部対策の代行でまず決めるべきは、業者選びではありません。作業を性質ごとに4つに分けて、どこを外に出すかを先に決めることです。ここが混ざったまま相談に行くと、見積もりが「一式」になり、比較も検収もできなくなります。
SEO内部対策とは、検索エンジンがサイトを正しく巡回・登録・評価できるように、サイト側の構造やタグを整える作業のことです。中身は性質のまったく違う作業の寄せ集めで、片方は数年に一度しか発生せず、もう片方は毎週発生します。
下の表が、実際に発注範囲を切るときの分け方です。相談前にこの表へ自社の作業を書き込むだけで、見積もり依頼の解像度が変わります。
| 作業のかたまり | 具体例 | どちらに置くか | 理由 |
|---|---|---|---|
| ① 一度きりの技術工事 | URL正規化、301リダイレクトの設計、サイト構造とパンくずの設計、構造化データの初期実装、サイトマップとrobots.txtの整備 | 外注向き | 年に1回あるかどうか。間違えると影響が広く、社内で経験を積む機会もない |
| ② 毎月の技術監視 | インデックス未登録の増減チェック、表示速度の定点観測、リンク切れ・エラーの検出、CMS更新後の壊れ確認 | 外注でも自社でも可 | 手順さえ決まれば自社でも回る。時間が取れないなら月額の中に入れる |
| ③ 中身に触る内部施策 | タイトルタグと見出しの言葉選び、内部リンクの貼り先、画像の代替テキスト、FAQの中身 | 自社に残す | 商品の呼び方や顧客が使う言葉は社外の人には出せない。ここを外に出すと的外れになりやすい |
| ④ 権限と公開判断 | Search Console・アナリティクスのオーナー権限、CMSの管理者権限、公開のゴーサイン | 絶対に自社 | 契約が終わった瞬間にデータもサイトも取り戻せなくなる。ここだけは委譲しない |
最初に決めること。①をスポット(単発)で発注し、②を月額に入れるか自社でやるかを決め、③と④は自社に残す。この形にすると「何をいくらで頼んだのか」が後から検証できます。
逆に、よくある失敗の形が「内部対策一式を月額で」という契約です。①の工事はサイト規模や作業範囲によりますが、いずれ終わりが来ます。工事が終わったあとは②とレポート作成だけが残るため、払っている金額と作業量が合わなくなることがあります。契約書の作業項目を見て、①と②が分かれていない見積もりは、その場で内訳を聞き直してください。
この章の結論として、代行を検討する最初の一歩は業者探しではなく、自社サイトの作業を上の4分類に振り分けることです。振り分けが終われば、どの業者に何を聞けばいいかは自動的に決まります。
外注する範囲と自社に残す作業の線引き。4つの判断軸
4分類の表に自社の作業を当てはめようとすると、必ず「これはどっちだろう」という作業が出てきます。そのときは次の4つの判断軸を順番に当ててください。上から順に見ていけば、迷う作業はほぼ片づきます。
判断軸1。間違えたときに自分で戻せるか
自分で戻せない作業は外注する、が第一の線引きです。内部対策には、設定を1行間違えるとサイト全体が検索結果から消える種類の作業があります。
戻すのが難しい代表格が、robots.txtのDisallow、noindexタグ、canonicalタグ、301リダイレクト、URL構造そのものの変更です。これらは間違えても画面上は普通に見えるため、社内では誰も気づきません。気づくのは検索流入が落ちてからで、そこから戻しても検索側に反映されるまで待ち時間が発生します。
一方、タイトルタグ、メタディスクリプション、見出しの文言、記事内の内部リンクは、間違えても数分で元に戻せます。ここは自社で回した方が速く、外注すると修正のやりとりが往復する分だけ着手が遅れます。
判断軸2。その作業は年に何回発生するか
年1回以下の作業は外注、週1回以上の作業は自社、が第二の線引きです。発生頻度が低い作業は、社内で覚えても次にやる頃には忘れているため、教育コストが回収できません。
年1回以下の側に入るのは、サイト構造の再設計、リニューアル時の引き継ぎ、構造化データの実装、サーバー設定に関わる速度改善です。逆に、新しいページを作るたびに発生するタイトル付けや内部リンクは、週単位で発生するので自社で回した方が結果的に安く済みます。
判断に迷ったら、直近1年でその作業が何回発生したかを数えてください。年に数回しか発生しない作業なら外注、毎月のように発生する作業なら自社に置く、という程度の目安で構いません。
判断軸3。自社しか持っていない情報が要るか
自社の中にしかない情報が必要な作業は、外注しても品質が上がりません。これが第三の線引きです。
たとえばタイトルタグに入れる言葉は、お客さまが電話口で実際に使う言い方に寄せた方が反応が良くなります。「防水工事」と呼ぶのか「雨漏り修理」と呼ぶのか、この違いは営業と受付の人しか知りません。外部の担当者はキーワードツールの数字で選ぶしかないので、社内の実感とずれた語が並びます。
反対に、HTMLの記述ルールやタグの実装方法は、業界知識がなくても正しく書けます。ここは外注の得意分野です。実務では、言葉は自社が決めてリストで渡し、実装は代行がやる、という分担が最も事故が少なくなります。
判断軸4。権限とアカウントは誰の名義か
アカウントの所有権は、どんな契約形態でも自社に残します。ここだけは判断軸ではなく、例外なしのルールとして扱ってください。
具体的には、Google Search Console と Google アナリティクスは自社の会社用アカウントでオーナー(管理者)を持ち、代行会社には作業に必要な下位の権限を追加する形にします。WordPress も同様で、まずは編集者権限で始め、テーマファイルやプラグインを触る工程だけ期間を区切って管理者権限を渡します。どの権限グループで何ができるかは、WordPress 公式ドキュメントの権限グループと権限のページで確認してください。
- Search Console:オーナーは自社。代行には作業に必要な下位の権限だけを付与する(権限の種類はSearch Console ヘルプの権限に関するページで確認)
- Google アナリティクス:管理者は自社。代行には編集に必要な範囲までにとどめる(アナリティクス ヘルプのユーザー管理のページを参照)
- WordPress:管理者は自社。代行は編集者から始め、必要な期間だけ権限を上げる(権限グループと権限のページを参照)
- サーバーやFTP:共有アカウントを使い回さず、代行用に個別アカウントを作る。契約終了日に削除する
権限の名称や付与できる範囲は各サービスの仕様変更で変わることがあるため、実際に設定する前に上記の公式ヘルプで最新の権限レベルを確認してください。
この章の結論です。迷う作業が出たら「戻せるか」「年に何回か」「自社しか知らない情報が要るか」の3つで振り分け、権限だけは無条件で自社に残す。この判断ができれば、業者から提案された範囲をそのまま飲む必要がなくなります。
SEO内部対策の代行を頼むときの進め方5ステップ
発注範囲が決まったら、次は相談から検収までの進め方です。ここでの目的は、見積もりを比較できる状態にして、納品物を自社で検証できるようにすることです。順番に見ていきましょう。
ステップ1。相談前に自社で現状の数字を取る
相談に行く前に、自分で3つの数字を控えてください。これがあるかないかで、返ってくる提案の具体性がまったく変わります。
- Search Console のインデックス作成レポートで、登録済みページ数と未登録ページ数
- Search Console の検索パフォーマンスで、直近3か月の合計クリック数と合計表示回数
- PageSpeed Insights で、トップページと主要な下層ページ1枚ずつの計測結果
この3つを紙1枚にメモして相談に持っていくと、現状把握のために業者側が最初に行う調査の一部を省けます。何が問題かを共有した状態で話が始まるので、初回から具体的な作業項目の相談に入れます。
Search Console の見方が不安な方は、サーチコンソールの使い方|初心者が最初に見る4つの画面を先に開きながら進めると迷いません。
ここは生成AIが役に立つ場面でもあります。自社サイトのHTMLソースをコピーして貼り付け、見出しの階層がおかしくないか、タイトルタグが他ページと重複していないかを一次チェックさせると、相談で聞くべき論点が絞れます。
渡し方は、作り込んだ長文の指示は不要です。次くらいの短いたたき台から始めて、返ってきた出力を見ながら「もっと重大な順に並べて」などと会話で詰めていく方が早く着地します。
あなたはテクニカルSEOの担当者です。
以下は[自社サイトのページ名を入力]のHTMLソースです。
h1〜h3の階層の崩れ、titleとmeta descriptionの欠落・重複、
alt属性の欠落を洗い出して、影響が大きい順に一覧で出してください。
直し方の断定はせず、「確認が必要な箇所」として挙げてください。
[ここにHTMLソースを貼り付け]
出力をそのまま信じないことだけ注意してください。AIはソースに書かれていない事情(そのページを意図的にnoindexにしている、など)を知らないので、指摘された箇所を人が1件ずつ「意図的にそうしているか」で仕分けます。この仕分け結果が、そのまま業者への質問リストになります。
ステップ2。依頼範囲を1枚に書き出す
依頼内容は口頭で伝えず、テキスト1枚にまとめて全社に同じものを渡します。同じ紙を渡さないと、見積もりの金額差が「作業範囲の差」なのか「単価の差」なのか判別できません。
次のテンプレートをコピーして、[ ]の中を埋めるだけで発注メモになります。
■ 依頼の目的
[例:問い合わせフォームへの検索流入を増やしたい/リニューアル後に落ちた流入を戻したい]
■ サイト情報
URL:[ ]
CMS:[例:WordPress・テーマ名・主要プラグイン]
総ページ数:[ ]ページ(うち記事[ ]本)
サーバー:[例:エックスサーバー。管理は自社/制作会社]
■ 現状の数字(自社で計測済み)
インデックス登録済み:[ ]ページ/未登録:[ ]ページ
直近3か月のクリック数:[ ]/表示回数:[ ]
PageSpeed Insights の計測結果:[トップ /下層 ]
■ 今回お願いしたい範囲(一度きりの技術工事)
□ URL正規化とリダイレクトの設計・実装
□ サイト構造・パンくず・内部リンク設計の見直し
□ 構造化データの実装
□ サイトマップ/robots.txt の整備
□ 表示速度の改善(サーバー設定を含むか:含む/含まない)
■ 継続でお願いするか検討したい範囲(毎月の監視)
□ インデックス状況の監視 □ エラー・リンク切れの検出 □ 月次レポート(頻度: )
■ 自社で担当する範囲
タイトル・見出しの文言決定/記事執筆/公開のゴーサイン/各種アカウントの権限管理
■ 実装の担当
[代行会社が本番環境を直接編集する/指示書をもらい制作会社が実装する/自社が実装する]
■ 見積もりに記載してほしい項目
作業項目ごとの工数(人日)/担当者の職種/実装まで含むか提案までか/
契約期間と中途解約の条件/納品物の一覧と著作権の帰属
特に効くのが最後から2番目の「実装の担当」の欄です。ここが空欄のまま契約すると、後述する「提案書は届いたが誰も実装しない」という一番よくある事故が起きます。
ステップ3。相見積もりは同じ仕様書で3社に出す
比較は3社が現実的な上限です。それ以上は各社の説明を読み込む時間の方が高くつきます。同じ発注メモを渡したうえで、次の質問を全社に同じ言葉で投げてください。
Googleは検索セントラルで、SEO業者に依頼する前の考え方をまとめたページを公開しています。Google検索セントラルのSEO業者に関するページには、業者を選ぶときの考え方や質問の例が掲載されているので、相談前に一度目を通しておくと質問の軸がぶれません。
そのうえで、次の3点は自分の言葉で全社に同じように聞いてください。ここは公式ページの引用ではなく、発注側として最低限そろえておきたい確認事項です。
- 過去の作業事例を見せてもらえるか
- Google検索の基本事項に沿った手法か
- 何をもって成果とし、どう測るのか
そのうえで注意したいのが、順位を保証するという説明です。検索順位は Google 側のアルゴリズムで決まるため、外部の業者が上位表示を保証することはできません。掲載順位の保証や、Googleとの特別な関係をうたう勧誘をどう見るかについても、上記のページで解説されています。実際に依頼先を検討する前に、該当箇所を自分の目で確認してください。
「1位を保証します」「上位表示できなければ返金します」という提案を受けたら、その場で契約せず、何をもって成果とするかの定義を書面で確認してください。順位は Google のアルゴリズムで決まるため、外部の業者が約束できる指標ではありません。
ステップ4。権限は必要な分だけ、期限を決めて渡す
権限は「作業が始まる日に付与し、契約終了日に削除する」をセットで決めてから渡します。付与の手順より、削除の予定を先に決めることの方が重要です。
実務では、次の運用ルールをそのまま社内メモにして使えます。
- 付与日と削除日を先に書く:契約書または発注メールに「権限は◯月◯日に付与し、契約終了日の翌営業日に削除」と明記する
- アカウントは個別に作る:社内の共有アカウントを貸さず、代行担当者ごとにアカウントを作る。誰がいつ何を変えたかを追える状態にする
- 管理者権限は工程限定:テーマファイルやプラグインを触る工程だけ管理者に上げ、終わったら編集者に戻す
- 広告・決済系は分離する:SEOの作業に広告アカウントや決済情報へのアクセスは不要。同じGoogleアカウントで束ねない
ステップ5。納品を検収する。変更ログと戻し方をセットで受け取る
内部対策の納品物は目に見えないので、検収項目を先に決めておかないと「作業しました」の一言で終わってしまいます。次の6項目を納品条件として発注メモに書いておいてください。
- 変更した箇所の一覧(ファイル名・設定名・変更前と変更後)
- 301リダイレクトを設定した場合は、旧URLと新URLの対応表
- robots.txt と XMLサイトマップの、変更前後の中身
- 作業前と作業後の Search Console のインデックス状況のスクリーンショット
- 不具合が出たときの戻し方(誰が・どのファイルを・どう戻すか)
- 公開直後に確認する項目と、その担当者
5番の「戻し方」は、出せるかどうかを必ず確認してください。すぐに出てこない場合は、作業前のバックアップや復旧手順が決まっているかを追加で聞き、答えが曖昧なら本番環境を任せる範囲を絞ります。
特にURLが変わる作業を伴う場合は、公開後の数日が勝負になります。確認の順番はサイトリニューアルのSEO引き継ぎ手順|301と公開後72時間の確認で手順化しているので、検収チェックの型として流用してください。
この章の結論です。5ステップの核心は、ステップ1で数字を持っていくことと、ステップ5で戻し方を受け取ることの2つです。この2つがあるだけで、代行との力関係が「お任せ」から「発注と検収」に変わります。
SEO対策の代行費用は何で決まるか。見積もりの読み方
同じ「SEO内部対策の代行」でも、見積もり金額は会社によって桁が変わります。理由は単価の差ではなく、見積もりに含まれている作業範囲がまったく違うからです。金額の大小より先に、料金体系のどれに当たるかを確認してください。
| 料金体系 | もらえるもの | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| スポット診断型 | 現状の診断レポートと改善提案の一覧 | 何が問題か分からず、優先順位だけ知りたいとき | 実装は含まれないことが多い。誰が直すかを別途決める必要がある |
| 月額運用型 | 診断・実装・監視・レポートを組み合わせた継続支援 | 社内に手を動かす人がいない、更新頻度が高いサイト | 数か月で工事が終わったあと、何に工数が使われるかを確認する |
| 成果報酬型 | あらかじめ決めた指標を達成したときだけ費用が発生 | 予算が読めず、まず小さく試したいとき | 何をもって成果とするかの定義が全て。順位の保証を前提にした契約には注意する |
見積もりの中身を読むときは、金額の総額ではなく次の4点を見てください。この4点が同じなら、金額は素直に比較できます。
- 実装まで含むか:提案だけか、本番環境の修正まで含むか。ここが最大の金額差になる
- 対象ページ数:全ページか、主要な数十ページか。ページ数で工数はほぼ比例して増える
- 工数の記載:作業項目ごとに何人日かかるか書かれているか。「一式」表記は比較できない
- レポートの頻度と粒度:月次レポートは作成工数が意外に大きい。四半期に落とせば、その分を実装に回せる
相場については、幅が非常に広いという前提で臨んでください。数十ページの会社サイトを1回だけ整える工事と、数千ページの通販サイトを毎月監視する契約では、必要な作業量がまったく違います。「相場より高い・安い」で判断せず、作業項目 × 人日 × 単価に分解できるかどうかで判断する方が確実です。
この章の結論です。見積もりは総額でなく内訳で比べる。実装込みかどうかと工数の記載があるかを確認すれば、極端に安い提案が何をやらない提案なのかが見えてきます。
内部対策の代行で何がどこまで変わるか。成果の見え方
内部対策の代行で確実に動くのは、検索エンジン側の「読み取り」に関する数字です。逆に、検索されている量そのものや、コンテンツの中身が足りていないことは、内部対策では解決しません。ここを混同したまま契約すると、成果があっても失敗に見えます。
先に見えるようになるのは、次の順番です。順位の前に、登録されるページ数と表示回数が動きます。
- Search Console のインデックス登録済みページ数が増える(未登録として除外されていたページが拾われる)
- 検索結果への表示回数が増える(読み取れるページが増えるので、当たる検索語が増える)
- クリック率が動くことがある(タイトルを整理した結果として。ただしメタディスクリプションは検索結果にそのまま使われるとは限らず、Googleが本文から自動でスニペットを作る場合があります)
- 順位と流入が動く(ここまでで時間がかかる。上の3つが動かないまま順位だけ動くことは基本的にない)
表示速度については、Googleが公開している明確な目標値があります。Core Web Vitals の指標は LCP・INP・CLS の3つで、それぞれに「良好」とされるしきい値が定められています。しきい値は改定されることがあるため、契約時に数値目標を置くときは、必ずweb.devのCore Web Vitalsの解説ページで現行の値を確認して、その値を書面に書いてください。
判定は1回の計測結果ではなく実ユーザーの計測値の分布で見るため、測り方の詳細も同ページで確認できます。なお、かつての指標だったFIDはINPに置き換わっているため、古い記事の数値をそのまま基準にしないでください。
数値目標の置き方。代行の契約で成果指標を決めるときは、「順位◯位」ではなく「LCPを公式のしきい値以内に」「インデックス未登録ページを◯件から◯件へ」のように、公開された基準か自社で計測できる数字を使う。これなら達成・未達成が客観的に判定できます。
成果が出ている会社に共通しているのは、代行に渡した範囲と自社で回す範囲がはっきりしていて、月次で見る数字が3〜5個に絞られていることです。見る数字が多すぎると、動いた指標と動かない指標が同時に並んで、判断ができなくなります。指標の絞り方はSEOの効果測定は3層で見える化|無料ツールと5ステップで解説で整理しています。
この章の結論です。内部対策の成果は順位より前に、インデックス数と表示回数に出ます。契約時の成果指標をこの2つと表示速度に置いておくと、3か月目に「まだ順位が上がらない」で揉めることがなくなります。
SEO内部対策の代行でよくある失敗と回避法
ここで挙げるのは、内部対策を外に出したときにだけ起きる失敗です。どれも実際に現場で見かける形で、しかも社内の人には見えにくいものばかりです。
失敗1。テスト環境用のnoindexやDisallowが本番に残ったまま公開される
制作会社がテスト環境で使っていたnoindexタグやrobots.txtのDisallow設定が、本番公開時に外し忘れられるパターンです。サイトは普通に表示されるため、社内では誰も異常に気づきません。
結果として、新しいページがまったくインデックスされず、代行会社は「まだ評価期間です」と説明し、数か月が過ぎます。回避法は、次の2つを分けて確認することです。
- robots.txtのDisallow:ブラウザのアドレス欄に「自社ドメイン/robots.txt」と打ち込めば、中身をそのまま読める
- noindexタグ:robots.txtには出てこないので、ページのソースを表示して meta robots に noindex が残っていないかを見る
まとめて見たいときは Search Console のURL検査でそのページを調べてください。登録できない理由として、noindexもDisallowも表示されます。主要ページだけなら5分で終わります。
登録されていないページの見つけ方はサーチコンソールで除外を確認する手順|未登録の直し方にまとめています。
失敗2。内部リンクとURLの一括変更を、301の設計なしでやられる
「サイト構造の最適化」の名目で、URLの構造やカテゴリの持ち方をまとめて変更されるケースです。設計としては正しくても、旧URLから新URLへの転送(301リダイレクト)の対応表が作られていないと、それまで検索から流入していたページが一斉に消えます。
特に危ないのが、アクセスの大半を稼いでいた記事が別カテゴリに移動する場合です。回避法は、URLに触る作業を発注するときに「旧URLと新URLの対応表を納品物に含める」と発注メモに書いておくこと。作業前に対応表のドラフトを見せてもらい、流入上位20ページが漏れなく載っているかだけ自社で確認します。
失敗3。提案書は届いたが、実装する人が決まっていない
これが最も多い形です。代行会社が診断レポートと改善提案を出す、しかし本番のCMSを触れるのは制作会社で、制作会社は「聞いていない作業」なので動かない。結局、提案書だけが社内に残ります。
起きる原因は、契約時に「実装は誰が」を決めていないことです。回避法は発注メモの「実装の担当」欄を必ず埋めること。そして代行会社が実装しない契約なら、制作会社にも同時に「この指示書に沿った実装作業が来月発生します」と伝え、その工数の見積もりを先に取っておきます。
失敗4。構造化データやタグをテーマ本体に直接書き込まれる
構造化データや計測タグを、WordPressの親テーマのファイルに直接書き込まれるケースです。動いている間は問題ありませんが、親テーマのファイルを直接編集すると、テーマを更新したときに変更が失われます。この点はWordPress 公式ドキュメントの子テーマのページで説明されており、子テーマを使う理由もここにあります。構造化データや計測タグをどこに置くかも、この「更新で消えない場所に置く」という考え方で決めます。
もう一つの形が二重実装です。プラグインが自動で出力している構造化データに気づかず、代行会社が手書きで追加してしまい、同じ情報が2つ出力される状態になります。回避法は、実装場所を発注時に指定すること。「子テーマ、プラグイン、タグマネージャーのいずれで実装するか」を先に決め、納品時に既存の出力と重複していないかをテストツールで確認します。
確認の手順は構造化データのエラー確認と直し方|テストツール手順にあります。作業を依頼する側でも、この確認だけは自分でできるようにしておくと安心です。
失敗5。契約が終わったら、アカウントもレポートも手元に残らない
Search Console やアナリティクス、タグマネージャーを代行会社の名義で作られていた場合、契約終了と同時に過去データへのアクセスを失います。次の会社に引き継ぐときに、過去1年何をやったか誰も分からない状態から始めることになります。
回避法は前述のとおり、すべてのアカウントを自社名義で作り、代行にはユーザー追加で入ってもらうことです。すでに代行名義で作られている場合は、契約中に自社アカウントをオーナーとして追加してもらってください。契約終了後に依頼しても応じてもらえないことがあります。
この章の結論です。5つの失敗はどれも「作業の巧拙」ではなく「決めていなかったこと」から起きています。実装の担当、URL対応表、実装場所、アカウント名義。この4つを契約前に文字にしておけば、大半は起きません。
代行に出しても解決しないこと。現場で詰まる場所
SEO内部対策の代行には、契約書に書かれない構造的な詰まりどころがあります。ここを知らずに発注すると、「業者は悪くないのに前に進まない」という一番もどかしい状態になります。
三社の間で作業が止まる
中小企業のサイトでは、サーバー会社・制作会社・SEO代行会社の3者がバラバラなことがほとんどです。SEO代行は改善案を出せますが本番を触れず、制作会社は指示がないと動かず、サーバー設定は契約名義の会社しか変更できません。
この構造で止まると、1つの修正でも会社間の連絡待ちが積み重なり、着手までの時間が延びます。現実的な妥協点は、代行に「指示書の粒度」を上げてもらうことです。「表示速度を改善してください」ではなく「このファイルのこの記述を、こう変更してください」というレベルまで書いてもらい、それを制作会社にそのまま転送できる形にします。発注時に「制作会社が実装できる粒度の指示書がほしい」と伝えるだけで、納品物の形が変わります。
月額の中身が、いつの間にかレポート作成に消える
月額契約を続けていると、どこかの時点で一度きりの工事は終わります。その後も同じ金額を払い続けると、工数の多くがレポート作成と定例会の準備に使われます。
悪意があるわけではなく、契約上そうならざるを得ない構造です。妥協点として現実的なのは、半年時点で「診断項目のうち、消化済みが何件で未着手が何件か」を出してもらい、未着手が数件しか残っていなければ月額をスポット契約に切り替える交渉をすることです。この話は最初の契約時に「半年で棚卸しをしたい」と伝えておくと、後から言い出すより角が立ちません。
制作会社が本番環境を触らせてくれない
「保守契約があるので他社に触らせられない」と言われるケースは珍しくありません。制作会社の立場としては、他社の変更で不具合が出たときに責任の所在が曖昧になるため、当然の判断でもあります。
ここでの妥協点は3つあります。
- 子テーマの範囲だけ代行に触ってもらう
- プラグインやタグマネージャー経由で実装する
- ステージング環境で代行が作り、制作会社が本番に反映する
どれを選ぶかは制作会社との関係次第ですが、「触らせない」を理由に内部対策を諦める必要はありません。
内部対策には天井がある
率直に言うと、内部対策で改善できる範囲には上限があります。すでに構造が整っているサイトで、さらに内部を磨いても、伸びしろはほとんど残っていません。
その状態で流入が伸びない場合、原因はたいてい「そのテーマで検索している人の数」か「コンテンツの中身」の側にあります。内部対策の代行に月額を払い続けても解決しないので、契約を延長する前に、どちらの問題なのかを切り分けてください。切り分けの考え方はコンテンツSEOとテクニカルSEOの違い|やり方と優先順位で整理しています。
なお、生成AIの普及で、以前は外注しないと分からなかった一次診断(見出しの階層、タイトルの重複、alt属性の欠落)は自社でもかなり見えるようになりました。ただし出力の仕分けと本番への反映判断は人がやる領域です。自社でどこまで手を出せるかはSEO内部対策チェックリスト|初心者がまず直すべき優先順位と照らし合わせて決めてください。
この章の結論です。代行に出しても、三社間の調整・実装の権限・内部対策の天井という3つの壁は残ります。契約前にこの3つの想定を持っておくと、進まない原因を業者のせいだけにせずに済み、次の一手が打てます。
よくある質問
制作会社にSEO内部対策も込みで頼んでいるのに、順位が変わりません。別に代行を頼むべきですか
まず「込み」の中身を確認してください。制作時の内部対策は、公開時点でタグや構造を整える一度きりの作業を指すことが多く、公開後の監視や改善は含まれていない契約が大半です。保守契約の作業範囲を見て、インデックス監視や改善提案が入っていなければ、その部分だけを別に頼む形が無駄がありません。
WordPressのSEOプラグインを入れれば、内部対策の代行は要らないですか
プラグインが担うのは、タイトルやメタディスクリプションを入力できるようにする、サイトマップを自動生成するといった「入れ物」の部分です。中に入れる言葉を決めることと、サイト構造やリダイレクトの設計は人の仕事として残ります。プラグインを入れたのに変わらないという場合、入れ物だけ用意して中身が空のままになっていることが多いです。
代行会社にWordPressの管理者権限を渡すのが不安です。編集者権限だけでも作業できますか
記事やページのタイトル・見出し・内部リンクの修正なら編集者権限で足ります。テーマファイルの編集やプラグインの追加が必要な工程だけ、期間を区切って管理者に上げるのが安全です。各権限グループでできることの一覧はWordPress 公式ドキュメントの権限グループと権限のページで確認できます。付与する前に「いつ戻すか」を作業依頼のメールに書いておくと、戻し忘れを防げます。
内部対策の代行と記事制作の外注、どちらを先に頼むべきですか
インデックスされていないページが多い状態なら、内部対策が先です。読み取ってもらえない状態で記事を増やしても、増えた分が検索結果に出てきません。逆にインデックスは正常で表示回数も出ているのに流入が少ない場合は、記事側の問題なので順番が逆になります。Search Consoleの登録済みページ数で判断できます。
代行の契約を途中でやめたら、やってもらった内部対策は元に戻ってしまいますか
実装済みの設定はサイト側に残るので、解約しても元には戻りません。ただし、代行会社の名義で作られたアカウントや、外部サービスに依存した実装があると、そこは失われます。契約前に納品物の一覧と権限の名義を確認しておけば、解約しても手元に資産が残ります。
今日この記事を閉じたあと、最初の1分でできることが1つあります。Search Console を開いて「インデックス作成」のページを表示し、登録済みと未登録のページ数をメモしてください。この2つの数字だけで、内部対策を急ぐべきかどうかの見当がつきます。もし流入が最近落ちているなら、検索順位が急に下がった原因の切り分け|SEO変動の確認手順を先に読んでから相談先を探した方が、話が早く進みます。
ここまで読んで、切り分けはできそうだけれど実装まで自社で回すのは厳しそうだと感じた方は、一度お話を聞かせてください。どこを外に出してどこを残すか、現状のサイトを見ながら整理するだけでも構いません。お問い合わせフォームから、気軽にご相談ください。
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