「あの写真どこだっけ?」社内画像をAIで全文検索する仕組みをVibe Codingで自作
この記事の要点
- 画像検索の正体は、AIに写真の中身を説明させてテキスト化し、その文章を全文検索する仕組み
- Vibe Codingなら、自然言語の指示だけで検索アプリを非エンジニアでも自作できる
- 成否を分けるのは「ツール選び」より「タグ設計と運用ルール」と「機密画像の扱い」
「去年の展示会の写真、青いブースが写ってるやつ、どこに保存したっけ」。フォルダを30分掘っても見つからず、結局あきらめた経験はありませんか。
この記事では、社内にたまった大量の画像を「キーワードで一発検索」できる仕組みを、プログラミング未経験でもVibe Codingで自作する手順を解説します。完成形のイメージ、作る流れ、つまずきやすいポイント、そして「どこまで自前でやって、どこからプロに任せるか」の判断軸まで、現場目線でお伝えします。

Contents / 目次
結論。画像検索は「AIに説明文を書かせて全文検索する」のが近道
先に結論をお伝えします。社内画像をAIで検索できるようにする一番の近道は、「AIに1枚ずつ写真の中身を説明させ、その説明文をテキストとして保存し、後はそのテキストをキーワードで全文検索する」という仕組みです。
ここでいう全文検索とは、文章のあらゆる単語を対象に探せる検索のことです。つまり、画像そのものを直接探すのではありません。AIが書いた「青いブースの前で名刺交換をしている2人。屋内の展示会」といった説明文を探すことで、結果として目当ての画像にたどり着く、という発想です。
なぜこの方法を勧めるのか。画像のままでは検索できないからです。パソコンの検索はファイル名と更新日くらいしか見てくれません。「IMG_4821.jpg」という名前の写真は、中身が何であろうと検索に引っかかりません。そこで、画像という探しにくいデータを、検索しやすいテキストに変換しておくのが核心です。
この「画像をテキストに翻訳する」役割を担うのが、画像を見て内容を言葉にできるAI(画像対応の生成AI)です。そしてその仕組みを動かす小さなアプリを、コードを自分で書かずにAIに作らせるのがVibe Codingです。Vibe Codingとは、ひとことで言うと「作りたいものを自然な言葉でAIに伝えて、コードはAIに書いてもらう」やり方です。
取れる選択肢は大きく3つあります。自社の状況に合わせて選んでください。
| 方法 | 向いている会社 | 手間とコスト感 |
|---|---|---|
| 既製のエンタープライズ検索を導入 | 画像が数十万枚以上、機密性が高い、社内に管理者がいる | 初期構築は大きいが運用は安定。費用は規模で大きく変動 |
| Vibe Codingで自作(この記事の主役) | 画像が数百〜数万枚、まず小さく試したい、現場で改善したい | 小さく始められる。学習コストはかかるが内製ノウハウが残る |
| 手作業でタグ付け・命名ルール統一 | 画像が数百枚以下、AI導入のハードルが高い | ツール不要だが人の手間が継続的にかかる |
この記事は真ん中の「Vibe Codingで自作」を軸に進めます。いきなり全社向けの大きなシステムを目指すのではなく、まず1部署・数百枚で動くものを作り、手応えを確かめてから広げる。これが失敗しにくい順番です。社内アプリの自作全般の考え方はVibe Codingで社内限定アプリを自作する方法でも触れているので、あわせて読むと流れがつかめます。
具体的なやり方。5ステップで検索の仕組みを組み立てる
ここからは実際に手を動かす手順です。やることは大きく5ステップに分かれます。難しそうに見えますが、ひとつずつ進めれば形になります。

ステップ1。検索したい画像と「探し方」を決める
最初にやるのは、対象を絞ることです。いきなり全社の画像を相手にせず、「まずこの300枚が探せれば現場が楽になる」という範囲を1つ決めます。展示会の写真、商品の撮影データ、過去のチラシ画像など、よく探されるフォルダが候補です。
同時に、「どんな言葉で探したいか」を3〜5個書き出しておきます。たとえば商品写真なら「色」「商品カテゴリ」「屋内か屋外か」「人物の有無」などです。この“探し方の軸”が、後でAIに何を説明させるかの設計図になります。ここを最初に決めておかないと、AIの説明がバラバラになって検索しにくくなります。
ステップ2。AIに画像の説明文(キャプション)を書かせる
次が仕組みの心臓部です。画像対応の生成AIに写真を渡し、ステップ1で決めた軸にそって説明文を書かせます。このとき、ただ「説明して」と頼むより、出力の形をそろえる指示を出すのがコツです。形がそろっていると、後の検索精度が上がります。
AIに渡す指示(プロンプト)は、作り込まなくて構いません。いまのAIは、ざっくり頼めば自分で良い指示に整えてくれます。まずは次のようなたたき台から始めて、出てきた結果を見ながら自社向けに詰めてください。
あなたは社内の画像整理担当です。この写真を見て、
後で検索しやすいように内容を説明してください。
次の項目を必ず埋めてください。
・写っている主なもの(人物/商品/風景など)
・色や雰囲気のキーワード(例:青い、明るい、屋外)
・シーンや用途(例:展示会、商品撮影、社内イベント)
・画像内に文字があれば、その文字をそのまま書き出す
・検索用タグを5個(単語で、カンマ区切り)
[自社で重視したい軸があればここに追記する]
ポイントは「画像内の文字を書き出させる」一文です。チラシやスライド、看板の写真は、中の文字が検索ワードになることが多いからです。AIには文字を読み取る力(OCR、つまり画像から文字を抜き出す機能)があるので、これを説明文に含めておくと検索の網が一気に広がります。
ステップ3。説明文を「検索できる一覧」の形にためる
AIが書いた説明文は、1枚ずつバラバラのままでは検索できません。「ファイル名」と「説明文」をセットにした一覧表にためていきます。エンジニアでなくてもイメージしやすいのは、次のようなデータの並びです。
[
{
"file": "expo2025_034.jpg",
"caption": "青いブースの前で名刺交換する2人。屋内の展示会。",
"text_in_image": "新製品発表 2025",
"tags": "展示会, 青, ブース, 名刺交換, 屋内"
},
{
"file": "product_blue_12.jpg",
"caption": "白背景の青いボトル商品。明るい撮影。",
"text_in_image": "",
"tags": "商品, 青, ボトル, 白背景, 物撮り"
}
]
この一覧さえできれば、検索は「captionとtagsの文章の中に、入力した言葉が含まれるか」を探すだけです。難しい技術がなくても、文章の中から単語を探す処理は基本機能で実現できます。最初はこのシンプルな形で十分です。
ステップ4。Vibe Codingで検索画面を作る
ここでVibe Codingの出番です。CursorやClaude Code、ブラウザで使える開発支援ツールなどに、作りたいものを言葉で伝えます。
AIへの最初の指示は、たとえばこんな短いたたき台で構いません。
画像検索の社内ツールを作りたいです。
・用意した画像の説明データ(JSON)を読み込む
・検索ボックスに言葉を入れると、説明文やタグに
その言葉を含む画像のファイル名を一覧表示する
・できれば画像のサムネイルも並べて表示する
・社内のパソコンだけで動く、シンプルな1ページの作り
まずは動く最小版を作ってください。
わからない前提があれば質問してください。
あとはAIと対話しながら直していきます。エラーが出ても慌てる必要はありません。表示されたエラーメッセージをそのままAIに貼り付けて「これを直して」と頼むのが、Vibe Codingの基本動作です。デザインや機能も「検索結果を新しい順に並べて」「タグをクリックでも絞り込めるように」と言葉で足していけます。
ステップ5。少人数で試して、説明の質を調整する
最後は運用テストです。作った検索を現場の2〜3人に使ってもらい、「探したい言葉で本当に出てくるか」を確かめます。出てこない画像があれば、それはステップ2の説明文が足りていないサインです。プロンプトに項目を足してAIに説明を書き直させれば、検索精度は上がっていきます。
導入前に最低限そろえておきたいことを、チェックリストにまとめました。これを満たしてから現場に出すと、つまずきが減ります。
- 対象範囲:まず探せるようにする画像フォルダを1つに絞ったか
- 探し方の軸:よく使う検索ワードを3〜5個書き出したか
- 説明の形:AIの説明文の項目(色・シーン・画像内の文字など)をそろえたか
- 機密チェック:外部AIに渡してよい画像か、社内ルールを確認したか
- 検証担当:実際に使って改善する人を1人決めたか
社内データをAIで扱う土台の考え方は社内情報をAIで構築するRAG活用ガイドでも詳しく解説しています。検索の精度をさらに上げたくなったら参考にしてください。
効果のイメージ。探す時間が消えると、何が変わるか
この仕組みを入れると、まず「探す時間」がはっきり減ります。どれくらい効くのか、具体的な数字でイメージしてみましょう。

効果は会社によって大きく変わるため一概には言えませんが、仮に計算してみます。広報や営業の担当者が画像を探す回数を1日5回、1回あたり平均5分かけていたとすると、1日25分。月20営業日で約8時間、つまり1人あたり毎月まる1日分が「探す時間」に消えている計算になります。検索の仕組みで1回30秒に短縮できれば、その大半を取り戻せます。
効果は時間だけではありません。実務でよく見かける、次のような変化が起きます。
- 探し直しの撲滅:「見つからないから撮り直す」「作り直す」というムダな二度手間が減る
- 属人化の解消:「あの写真の場所はベテランしか知らない」状態から、誰でも探せる状態へ変わる
- 資産の再活用:過去の良い写真が掘り起こされ、SNSや資料に使い回せるようになる
探せないデータを探せる状態に戻すという発想は、会社の規模を問わず共通です。「探せないせいで価値を失っているデータを、探せる状態に戻す」という本質は、中小企業の画像整理でもまったく同じです。
成功している会社に共通するのは、最初から完璧を目指していない点です。まず一部署の数百枚で「探せて助かった」という小さな成功を作り、その実感を社内に見せてから対象を広げています。いきなり全社展開を狙って頓挫するより、この順番のほうが確実です。
よくある失敗と回避法。3つのつまずきパターン
自作にチャレンジした会社が、つまずきやすいポイントは決まっています。代表的な3つを、起きる状況と防ぎ方のセットで紹介します。

失敗1。AIの説明がバラバラで、検索に引っかからない
これは、AIへの指示をあいまいなまま大量の画像を処理したときに起きます。ある写真は「青いボトル」、別の写真は「ブルーの容器」と表現がそろわず、「青」で検索しても半分しか出てこない、という状態です。
防ぎ方は、ステップ2でお伝えした「出力の形をそろえる指示」と「タグを単語で出させる指示」です。表現の揺れは、タグを決まった単語(青・赤・屋内・屋外など)に寄せるだけで大きく減ります。本格運用の前に20枚ほどでテストし、説明がそろっているか目で確認してから全量を流すのが鉄則です。
失敗2。機密画像を、考えずに外部AIへ送ってしまう
もっとも気をつけたい失敗です。社員の顔写真、未発表の商品、契約書のスキャン画像などを、ルールなしに外部の生成AIサービスへ送ってしまうケースです。サービスによっては、入力した内容の扱いが学習対象になる可能性もあり、情報漏洩につながりかねません。
何を外部AIに渡してよいかは、作業を始める前に必ず社内で線引きしてください。顔・氏名・未公開情報・機密書類が写った画像は、原則として外部送信の対象から外すのが安全です。
回避策は2つあります。
- 外部に出してよい画像とダメな画像を最初に仕分けるルールを作る
- 機密性が高いなら社内だけで動くAI(オンプレミス型や、外部学習されない法人向けプラン)を検討する
AIに入れてはいけない情報の線引きはAIに入力してはいけない個人情報とAIセキュリティ社内ルールの作り方で整理しているので、着手前に一度目を通すことをおすすめします。
失敗3。作って満足し、誰も更新しなくなる
これは導入の数か月後にじわじわ効いてくる失敗です。最初は便利でも、新しく撮った写真がインデックス(検索用の一覧)に追加されないまま放置され、「最近の写真は結局このツールでは出てこない」と使われなくなっていきます。
防ぎ方は、運用の担当と頻度を最初に決めておくことです。「月末に新しい画像をまとめてAIに説明させ、一覧に追加する」といった更新の段取りを、誰が・いつやるか決めておきます。ここを決めずにツールだけ作ると、ほぼ確実に形骸化します。仕組みは作って終わりではなく、回し続けて初めて価値が出ます。
使う側の落とし穴。自作の限界と、任せどころの本音
ここまで「自作できます」とお伝えしてきましたが、現場を見てきた立場として、率直に限界もお伝えします。ここを知っておくと、無理して時間を溶かさずに済みます。
まず、Vibe Codingで作る検索は、数百〜数万枚の規模でこそ気持ちよく動きます。これが数十万枚を超えてくると、検索の速度や安定性、複数人での同時利用といった課題が出てきて、シンプルな自作では荷が重くなります。この規模になったら、既製のエンタープライズ検索や、専門家と組んだ本格構築を検討するタイミングです。
次に、見落とされがちなコストの話です。自作は「無料でできる」と思われがちですが、実際にはAIに画像を説明させる処理の利用料がかかります。1枚あたりはわずかでも、数万枚を一気に処理すれば相応の金額になります。また、作る人の学習時間も立派なコストです。「人件費に換算したら外注したほうが安かった」という逆転も、現場ではよく起こります。
では、内製と外注をどう切り分けるか。判断の目安はこうです。
- 自作が向く:画像が数千枚規模、社内に試行錯誤を楽しめる人がいる、まず小さく効果を確かめたい
- 相談したほうが早い:画像が膨大、機密性が高い、社内に手を動かせる人がいない、全社で本格運用したい
正直に言えば、最初のひとつを自作して感触をつかむのは、誰にとっても大きな学びになります。一方で、最初から全社・大規模・機密ありを一人で背負うのは、おすすめしません。「どこまで自分でやって、どこから手を借りるか」を見極めることそのものが、AI導入で失敗しないいちばんのコツです。
よくある質問(FAQ)
プログラミングが全くできなくても本当に作れますか
小さな規模なら作れます。Vibe Codingは作りたい内容を言葉で伝え、コードはAIに書かせる方法です。エラーもそのままAIに貼って直してもらえます。ただし「動く理由」を理解せず進むと改善で詰まりやすいので、まず数百枚の小さな範囲で試すのがおすすめです。
画像が数万枚あるのですが、自作で対応できますか
数千枚から数万枚くらいまでなら、工夫すれば自作の範囲です。ただし数十万枚を超えると検索速度や同時利用の安定性が課題になります。その規模では既製の検索システムや専門家との構築を検討したほうが、結果的に早くて安全です。
社外秘の写真をAIに読ませて大丈夫ですか
無条件には大丈夫とは言えません。サービスによっては入力内容の扱いが異なるため、顔写真や未公開情報、機密書類の画像は外部送信の対象から外すのが安全です。機密性が高い場合は、外部に学習されない法人向けプランや社内完結型のAIを検討してください。
検索しても目当ての画像が出てこないときは
多くは、AIが書いた説明文に必要な言葉が入っていないことが原因です。説明文の項目(色・シーン・画像内の文字など)を増やし、AIに説明を書き直させると改善します。タグの表現を決まった単語にそろえるのも効果的です。
まとめ。まず一部署の数百枚から始めてみませんか
社内画像のAI検索は、「AIに中身を説明させてテキスト化し、それを全文検索する」というシンプルな発想で実現できます。Vibe Codingを使えば、その仕組みを非エンジニアでも小さく自作できます。
ここまで読んで「やることは分かったけれど、機密画像の扱いや本格運用まで自社だけで進めきれるか不安」と感じた方は、無理に一人で抱えなくて大丈夫です。コレットラボのAI業務システム化支援では、どこまで内製してどこから任せるかの整理だけでも承っています。まずは現状の画像の困りごとを聞かせてください。AI業務システム化の詳細はこちらからお気軽にどうぞ。
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