AIナレーションで動画の声を統一|ElevenLabs設定5ステップと注意点
この記事の要点
- 動画の声を揃える鍵は自社の声を1つ決めて仕組みにすること
- 声・設定値・台本ルールをレシピ化し誰でも同じ声を再生成できる体制
- 生成音声は固有名詞・間・数字の3点を人が必ず確認
会社紹介動画、製品説明、採用動画、SNSのショート。動画を作るたびにナレーションの声が違っていて、「同じ会社が作ったのに、なんだかバラバラだな」と感じたことはありませんか。
外注ナレーターは1本ごとに費用と日程がかかり、社内の人が録ると人によって声も滑舌も変わります。この記事では、AIナレーションで「自社の声」を一つ決めて、誰が作っても同じ声で揃う仕組みをつくる方法を、設定手順・失敗の防ぎ方・商用利用の注意点まで具体的に解説します。読み終えるころには、自社で何から手をつければいいかが見えているはずです。
Contents / 目次
結論。動画の声を統一する鍵は「自社の声を1つ決めて仕組みにする」こと

動画の声を統一したいなら、やるべきことは「自社の声を1つ決め、その声を誰でも同じ手順で呼び出せる状態にする」ことです。ツールを導入するだけでは声は揃いません。声の基準を決めて、台本ルールと一緒に運用に落とし込むことが本質です。
ここでいうAIナレーションとは、入力したテキストをAIが人間のように読み上げてくれる技術のことです。かんたんに言うと、台本を打ち込めば、いつでも同じ声・同じトーンでナレーション音声が出てくる仕組みです。代表的なツールが、音声生成プラットフォームのElevenLabs(イレブンラボ)です。多言語の読み上げに対応し、短い音声サンプルから声を再現できる点が特徴です(ElevenLabs公式サイト、2026年6月14日時点)。
大事なのは順番です。多くの会社が「ツールを契約する→とりあえず使う→やっぱり声がバラつく」という流れでつまずきます。先に「自社の声」という基準を決めてしまえば、あとは台本を流し込むだけで誰がやっても同じ声になります。下の表で、従来のやり方とAIナレーションで仕組み化したときの違いを整理しました。
| 項目 | 外注・属人的な録音 | AIナレーションで仕組み化 |
|---|---|---|
| 声の一貫性 | 担当者・ナレーターごとに変わる | 同じ声で常に統一できる |
| 修正・差し替え | 録り直し依頼が必要で時間がかかる | 台本を直して再生成するだけ |
| 制作スピード | 日程調整に数日〜数週間 | その場で数分 |
| 多言語展開 | 言語ごとに別のナレーターが必要 | 同じ声で多言語ナレーションが可能 |
| 向いている用途 | 感情の機微が重要な作品・CM | 定型的な説明・量産する動画 |
ここがポイント。「ツールを入れる」ではなく「自社の声という基準を決めて運用ルールに落とす」。この順番を守るだけで、誰が作っても声がブレない動画づくりができます。
具体的なやり方。自社の声を決めて仕組み化する5ステップ

自社の声を仕組み化する手順は、大きく5ステップです。ツールの画面ボタンは時期によって名前が変わるため、ここでは「何を・どの順番でやるか」という流れと、自分で決めるべき設定値を中心に説明します。
ステップ1。声の候補を3つに絞り、社内で聞き比べる
最初にやるのは「自社の声」の選定です。ElevenLabsには既成の音声ライブラリがあり、性別・年齢の印象・落ち着き具合などが異なる声が用意されています。 まずは自社のブランドに合いそうな声を3つほどに絞ってください。
選ぶときの基準は、好みではなく「どんな動画に一番使うか」で考えるのがコツです。製品説明が多いなら聞き取りやすく落ち着いた声、採用やSNSなら親しみのある声、というように用途から逆算します。同じ短い台本(30秒程度)を3つの声で読ませて、関係者で聞き比べると判断がブレません。
ステップ2。声の設定値を決めて「自社プリセット」として記録する
声が決まったら、次は読み方の設定を固定します。ここが仕組み化の核心です。多くのAI音声ツールには、声の安定感や表現の強さを調整するつまみがあります。これを「だいたいこの数値」と決めて、社内で共有できるメモに残しておきます。
具体的に決めておくべき設定は次の通りです。ツールが変わっても考え方は同じです。
- 声の安定感(Stability):説明動画など落ち着かせたいときは高め、感情を出したいときはやや低め。社内では「説明用」「SNS用」の2段階を決めておくと迷わない
- 声の似せ具合(Similarity):選んだ声の特徴をどれだけ忠実に出すか。基本は中〜高で固定
- 話す速さ:速すぎると聞き取りにくくなるので、ゆっくりめを基本にする。社内で「聞き取りやすい」と感じる速さを一つ決めて固定しておくと、動画ごとのブレがなくなる
- 使うモデル:日本語の自然さを優先するか、生成の速さを優先するかで選ぶ。用途ごとに固定しておく
この「声+設定値」のセットが、あなたの会社の「自社の声」のレシピになります。レシピさえあれば、別の担当者が作っても同じ味(声)が再現できます。
ステップ3。AIが読みやすい台本ルールを作る
AIナレーションの品質は、実は声よりも台本で決まります。不明瞭な台本を渡すと、AIは単調になったり、変なところで区切ったりします。逆に、読みやすく整えた台本を渡せば、一気にプロっぽい仕上がりになります。
台本づくりで守るルールはシンプルです。専門用語や英語の略語にはふりがな的な読み(カタカナ表記)を添える、一文を短く区切る、間を取りたい場所には句読点や改行を入れる。これだけで読み上げの自然さが変わります。固有名詞(社名・製品名)は読み間違いが起きやすいので、最初に正しい読みを指定しておきましょう。
台本を整える作業そのものも、AIに手伝ってもらえます。Claude(クロード)やChatGPTに下のようなたたき台を渡せば、読み上げ向けに整えてくれます。なお、Claudeを日常的に使うなら、起動が速くファイルも扱いやすいデスクトップアプリ(Mac/Windows)がおすすめです。 ブラウザでも使えますが、毎日使う台本整えにはアプリのほうが快適です。
あなたは動画ナレーションの台本編集者です。
次の原稿を、AI音声で読み上げる前提で整えてください。
条件
- 一文を短く区切る(読点で息継ぎできるように)
- 専門用語・英略語はカタカナの読みを併記
- [社名・製品名を入力]の読みは「[正しい読み]」で統一
- 冗長な部分を削り、聞き取りやすいテンポに整える
原稿
[ここに元の原稿を貼る]
このプロンプトはあくまで出発点です。出てきた台本を見て「もっと柔らかく」「ここは強調したい」とAIと対話しながら、自社の動画に合う形に詰めていってください。完璧なプロンプトを最初から書く必要はありません。
ステップ4。生成して、人が3点だけチェックする
台本ができたら音声を生成します。ここで一番大事なのは「AIが作ったものを、人が必ず聞いて確認する」ことです。AIは生成は得意ですが、良し悪しの最終判断は人にしかできません。確認するポイントは次の3つに絞ると効率的です。
- 固有名詞の読み:社名・製品名・人名が正しく読まれているか
- 不自然な間・抑揚:変なところで区切ったり、棒読みになっていないか
- 数字と単位:「2026年」「3割」など、数字の読みが意図通りか
気になる箇所があれば、台本側を直して再生成します。録音と違って録り直しの予約がいらないので、納得いくまで何度でも調整できるのがAIナレーションの強みです。
ステップ5。レシピと台本ルールを1枚にまとめて共有する
最後に、ここまで決めた「声・設定値・台本ルール」を1枚のドキュメントにまとめます。これが社内の共有資産になり、属人化を防ぎます。次のチェックリストをそのまま雛形として使ってください。
自社の声レシピ・チェックリスト。①使う声の名前(ライブラリ上の名称)/②安定感と似せ具合の数値(説明用・SNS用)/③話す速さの目安/④使うモデル/⑤固有名詞の読み一覧/⑥台本の整えルール/⑦公開前チェック3項目。この7点が埋まっていれば、誰が担当しても同じ声の動画が作れます。
取り組むとどう変わるか。声の統一がもたらす効果

AIナレーションで声を仕組み化すると、まず変わるのは制作スピードと一貫性です。動画のオーディオ仕上げ(ポストプロダクション)にかかっていた手間を、台本の修正と再生成だけで進められるようになります。
短縮できる度合いは業種や使い方で大きく変わるため一概には言えませんが、考え方はシンプルです。これまでナレーター手配と録り直しに数日かかっていた工程が、台本修正と再生成だけで済むようになる。すると、動画を「作って終わり」ではなく「気づいたらすぐ直す」運用に切り替えられます。
成功している企業に共通するのは、AIナレーションを「コスト削減の道具」ではなく「ブランドの一貫性をつくる仕組み」として位置づけている点です。広告代理店が同じブランドボイスで多言語のプロモーション動画を作り、一貫したイメージを保つ、といった使い方が典型例です。声が揃うと、視聴者は無意識に「いつもの会社だ」と感じ、ブランドの記憶に残りやすくなります。
もう一つの効果が、多言語展開のしやすさです。同じ声のまま英語や中国語のナレーションを作れるため、海外向け動画でも「自社の声」を保てます。動画の字幕やテロップとあわせて整えると効果が高く、字幕の自動化については動画のテロップ入れを卒業。AIが喋りに合わせ字幕を自動生成するBtoB編集術でも詳しく解説しています。
よくある失敗と回避法。現場でつまずく3つのパターン

AIナレーションは便利ですが、現場でよく見かける失敗があります。ここでは代表的な3つを「どんな状況で起きるか→何が起きるか→どう防ぐか」の順で紹介します。先に知っておけば、ほとんどは避けられます。
失敗1。声を毎回その場で選んで、結局バラバラになる
急いで動画を作るとき、担当者がそのとき良さそうな声を適当に選んでしまう。これが一番多い失敗です。結果として、動画ごとに声が変わり、「会社としての声」が育ちません。せっかくAIを使っても、外注で人が変わるのと同じ状態になってしまいます。
防ぐには、前述の「自社の声レシピ」を先に作り、声を選べないルールにすることです。声は1〜2種類に固定し、新しい声を使いたいときは責任者の承認を必須にする。たったこれだけで一貫性が保てます。
失敗2。台本をそのまま流し込んで棒読みになる
WordやメールにあったテキストをそのままAIに貼り付けて生成すると、一文が長すぎたり、専門用語を読み間違えたりして、機械的で単調なナレーションになります。視聴者は数秒で「AIっぽいな」と感じ、内容が頭に入らなくなります。
回避策はステップ3の台本ルールです。一文を短く区切り、固有名詞の読みを指定し、間を取りたい場所に区切りを入れる。感情を出したい部分は、対応するツールなら抑揚を強める設定や、間を調整するタグ機能、またはIPA(国際音声記号)による発音指定など、表現の幅を広げるための機能を使うと自然さが増します。 台本を整えるひと手間が、品質の大半を左右すると思ってください。AIらしさを抑える考え方はAI感を消すルール作り|AI文章に自社らしさを注入するガイドも参考になります。
失敗3。商用利用の権利を確認せず公開してしまう
無料プランや一部の機能で作った音声を、確認しないまま会社の動画として公開してしまうケースです。プランや使い方によって商用利用の可否や条件が異なり、後から問題になる可能性があります。
ElevenLabsは無料・有料いずれもプランが用意されていますが、商用利用が認められるか、クレジット表記(帰属表示)などの条件が付くかは、利用するプランによって異なります。料金や権利の範囲は変わるため、会社の動画に使う前に、自分が利用するプランで商用利用が認められているか、どんな条件が付くかを必ず最新の公式の利用規約・料金ページで確認してください。
もう一点、声の権利にも注意が必要です。実在する人物(社長や社員)の声をクローン(再現)して使う場合は、本人の明確な同意を取ること。許可なく他人の声を使うのはトラブルのもとです。AIの肖像・声まわりの考え方はAI肖像権の新常識。自社サイトにAIモデルを採用する際のメリットと注意点でも整理しています。
使う前に知っておきたい落とし穴と、現場での妥協点
ここまで読むと「全部AIに任せればいい」と思うかもしれません。でも正直にお伝えすると、AIナレーションには得意・不得意があります。ここを分かったうえで使うかどうかで、満足度が大きく変わります。
まず、AIが苦手なのは「深い感情表現」です。ブランドストーリーや感動を狙う動画、繊細な間が命のCMでは、今でもプロのナレーターのほうが優れている場面があります。AIは説明・案内・量産する定型動画では圧倒的に強いですが、心を動かす一本勝負の作品では人の声を検討する。この線引きが現場の妥協点です。
次に、AIと人の録音を混ぜるときの落とし穴です。AIナレーションに、人が録ったインタビュー音声を混ぜると、音量レベルや音質の差が目立ってしまいます。混ぜる場合は、音量を揃え、録音環境(マイク・ノイズ)を整える編集のひと手間が必要です。「AIだから編集ゼロ」とはいきません。
そして、内製と外注の切り分けです。最初のレシピ作り(声の選定・設定値の決定・台本ルールの整備)は、一度きちんと作れば後がとても楽になる工程です。ここを自己流で曖昧に始めると、後でやり直しになりがちです。逆に、レシピさえ固まれば日々の生成は社内の誰でもできます。「最初の設計はしっかり、日々の運用は内製」が、コストと品質のバランスが取れる現実的な落とし所です。
もう一つ見落としがちなのが、声のセキュリティです。AI音声クローンは、なりすましなどに悪用されるおそれがあります。 社内では、お金や機密に関わる連絡を音声だけで判断しないルールを決めておくと安心です。便利さと一緒に、こうしたリスク管理もセットで考えるのが、現場を分かった使い方です。動画制作全体の効率化の視点は「AIボイス」で動画ナレーションをプロ品質に|自社紹介も効率化もあわせてどうぞ。
よくある質問
AIナレーションって、聞いてすぐ「AIだ」とバレませんか
台本を整えれば、かなり自然になります。バレる原因のほとんどは、声そのものより台本の不自然さです。一文を短く区切り、固有名詞の読みを指定し、間を入れるだけで一気に人らしくなります。逆に原稿をそのまま流すと棒読みになりやすいです。
パソコンが得意な人がいなくても運用できますか
大丈夫です。難しいのは最初の「声と設定値を決める設計」だけで、ここさえ作れば日々の作業は台本を入れて再生するだけです。非エンジニアの担当者でも回せます。最初の設計に不安があれば、その部分だけ専門家に手伝ってもらうのが効率的です。
社長や社員の声を再現して使ってもいいですか
本人の明確な同意があれば使えます。許可なく他人の声を再現するのはトラブルのもとなので避けてください。また、お金や機密に関わる連絡を音声だけで判断しない社内ルールも、なりすまし対策として決めておくと安心です。
無料で試したものを会社の動画に使えますか
商用利用が認められるかどうかは、利用するプランや条件(クレジット表記の要否など)によって異なります。料金や権利の範囲は変わるため、会社の動画に使う前に、自分が利用するプランで商用利用が認められているか、どんな条件が付くかを必ず最新の公式の利用規約・料金ページで確認してください。
動画の声がバラバラで会社らしさが伝わらない、でも自社で仕組みを作りきる時間がない。そう感じた方は、一度ご相談ください。コレットラボのAI業務システム化支援では、自社の声のレシピづくりから運用ルールの整備まで、現状を整理するだけでも歓迎です。気軽にお話を聞かせてください。AI業務システム化の詳細はこちら。
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