Notion AIでプレスリリースを自動生成する手順と失敗の防ぎ方
この記事の要点
- Notion AIは「取材メモを渡す→型に沿った下書きを出す→人が事実と熱量を仕上げる」の3工程で使う
- カギは完璧なプロンプトより、自社の型と確認ルールをワークスペースに固定すること
- 事実誇張・景表法・引用同意の最終チェックは人が必ず担う。ここを外すと配信後に取り下げになる
「プレスリリースを書くのに毎回半日かかる」「担当が私一人で、書き方が属人化している」。そんな悩みを抱える広報・経営者の方は多いはずです。
この記事では、Notion AI(ノーション エーアイ。Notion上で文章生成や要約を行うAI機能)を使って、取材メモからプレスリリースの下書きを短時間で作る具体的な手順を解説します。単なる「便利ですよ」という紹介ではなく、何を準備し、どう指示し、出てきた文章のどこを人がチェックするのかまで、現場目線で踏み込みます。
Contents / 目次
結論。Notion AIは「下書き役」に徹してもらうのが正解
先に結論をお伝えします。Notion AIでプレスリリースを自動生成するときの正しい使い方は、AIを「ゼロから完成品を作る人」ではなく「取材メモを整えて型に流し込む下書き役」として使うことです。最終的な事実確認と仕上げは、必ず人が担います。
なぜなら、AIはきれいに整った文章を作るのは得意ですが、放っておくと当たり障りのない凡庸な原稿になりがちで、しかも数字を盛りたがる傾向があるからです。ここを理解せずに「全部お任せ」にすると、人間味のない、あるいは事実が怪しいリリースが出来上がってしまいます。
押さえるべきことは、次の3つに集約されます。
- 材料を渡す:取材メモ・議事録・過去のリリースなど、AIに判断させる元情報をNotionに集約する
- 型で縛る:「背景→新規性→社会的意義→当事者の声」という4ブロックの型と、自社らしい文体ルールを指示に組み込む
- 人が仕上げる:事実・数字・法令・引用の同意を人が最終チェックし、熱量のある表現に手直しする
この役割分担を表にすると、どこをAIに任せ、どこを人がやるべきかが一目で分かります。
| 工程 | 主にAIがやること | 必ず人がやること |
|---|---|---|
| 情報整理 | 取材メモの要約・論点の抽出 | 何を一番伝えたいかの決定 |
| 下書き作成 | 型に沿った本文・タイトル案の量産 | 切り口の選別、独自性の付与 |
| 事実確認 | 表記ゆれや誤字の指摘 | 数字・固有名詞・日付の裏取り |
| 法令・権利 | 気になる表現の洗い出し(補助) | 景表法・薬機法・引用同意の最終判断 |
ポイント。AIの守備範囲は「整える・量産する」まで。「決める・裏を取る・責任を持つ」は人の仕事です。この線引きが曖昧なまま導入すると、かえって手戻りが増えます。
Notion AIでプレスリリースを作る具体的な手順
ここからは、実際に手を動かせるレベルで手順を説明します。難しいシステム連携の話は後回しにして、まずは「取材メモを入れたらリリース案が出る」という一番シンプルな形から始めましょう。

手順1。材料を1ページに集める
最初にやるのは、AIに渡す材料を1つのNotionページにまとめることです。AIは手元にある情報からしか文章を作れません。材料がスカスカだと、出てくる原稿も薄くなります。
具体的には、次のものを箇条書きで貼り付けておきます。
- 取材メモ・議事録:誰が・何を・いつ・なぜやるのかが分かる素材
- 数字や固有名詞:発売日、価格、機能名、人名、社名など(あとで裏取りする前提でOK)
- 当事者の声:開発者や社長のコメント、こだわった点、苦労した点
- 過去のリリース:自社の文体や型をAIに真似させるための見本
取材メモが音声しかない場合は、文字起こしや要約に対応したツールで文章化しておくと、そのまま材料にできます。どの機能が使えるかはツールやプランによって変わるため、最新の仕様は各サービスの公式ヘルプで確認してください。
手順2。「型」と「文体」を指示に組み込む
次に、集めた材料に対してAIへ指示(プロンプト)を出します。ここで一番大事なのは、長く凝った指示文を書くことではなく、プレスリリースの「型」を毎回同じように守らせることです。
いまのAIは、ざっくり頼んでも自分で指示を整えてくれます。だから完成された長文プロンプトを用意する必要はありません。次のような短いたたき台(出発点)を用意して、あとはAIと対話しながら自社の状況に合わせて詰めていくのが現実的です。
あなたは[自社の業種を入力]のプレスリリース作成を担当する広報です。
下記の取材メモをもとに、プレスリリースの下書きを作ってください。
【守ってほしい構成】
1. 背景(なぜ今これをやるのか)
2. 新規性(何が新しい・初めてなのか)
3. 社会的意義(誰のどんな課題が解決するのか)
4. 当事者の声(開発者や代表のコメント)
【文体ルール】
・専門用語は避け、業界外の記者にも伝わる言葉で
・誇張表現や根拠のない最上級(業界No.1など)は使わない
・1文は短く、結論から書く
【取材メモ】
(ここに手順1で集めた材料を貼る)
このたたき台のうち、文体ルールの部分は一度自社用に決めてしまえば毎回使い回せます。過去のリリースを見本として一緒に渡し、「この文体に合わせて」と添えると、自社らしさが安定します。
手順3。タイトルとリードを別途10案出させる
本文ができたら、タイトルとリード(冒頭3行)だけを切り出して、別途10案ほど量産させます。これは、記者は多くのリリースに目を通すため、タイトルとリード(冒頭の数行)で読むかどうかを判断する場面が少なくないと考えられるからです。ここが弱いと、本文がどれだけ良くても読まれません。
「この内容で、記者が思わずクリックしたくなるタイトルを10案、切り口を変えて出して」と頼みます。出てきた案から、自社目線の「お知らせ」ではなく、読み手の関心に翻訳できているものを人が選びます。
手順4。人が事実と熱量を仕上げる
最後は人の仕事です。AIの下書きをそのまま外に出してはいけません。次のチェックリストに沿って仕上げます。
- 事実確認:日付・価格・機能名・人名・実績の数字を一次情報で裏取りする
- 誇張の除去:「業界初」「No.1」など根拠が要る表現は、根拠がなければ削る
- 法令チェック:景表法・薬機法に触れる言い回しがないか確認する
- 引用の同意:コメントを載せる本人・関係先に内容確認と同意を取る
- 熱量の付与:当事者のこだわりや想いが伝わる一文を、人の言葉で足す
AIは整った文章を作る代わりに、事実を都合よく丸めたり、数字を大きく見せたりすることがあります。このチェックを飛ばすと、配信後に訂正・取り下げという最悪の事態につながります。
取り組むとどう変わるか。期待できる効果
この仕組みを回せるようになると、広報業務の時間配分が大きく変わります。これまで原稿執筆に消えていた時間を、メディアとの関係づくりや企画に振り向けられるようになります。

実際、AIエージェントを広報業務に導入した企業では、プレスリリース関連の作業時間を大幅に短縮した事例が報告されています。たとえばJAPAN AI株式会社は、自社開発のAIエージェントによってプレスリリースの作業時間を約80%削減したと発表しています(JAPAN AI株式会社の公式ニュースリリース)。 ツールや体制は各社で異なりますが、「下書きの初速」をAIに任せることで作業時間が縮む、という方向性は共通しています。
成果を出している企業に共通するのは、次のような状態を作れていることです。
- 初稿が数分で出る:半日〜1日かかっていた下書きが、材料さえあれば短時間で形になる
- 品質がブレない:型と文体ルールを固定したことで、誰が書いても一定水準になる
- 情報が資産になる:過去の取材メモや原稿がNotionに溜まり、検索して使い回せる
特に効果が大きいのは「属人化の解消」です。これまで担当者一人の頭の中にあった書き方のコツが、プロンプトと型という形で誰でも使える状態になります。新入社員や他部署の人でも、取材メモを入れれば一定品質の原稿が出せるようになります。属人化をAIに引き継ぐ進め方は、広報の属人化業務をAIに継承する3ステップ。残業ゼロのAXロードマップでも詳しく解説しています。
なお、生成AIの業務活用は、個人レベルでは試せても、組織として定着させるには別の難しさがあります。効果を持続させるには、社内情報をAIが使える形に整える「情報基盤づくり」が欠かせません。
よくある失敗と回避法
導入の現場でよく見かける失敗を、3つに絞って紹介します。どれも「あるある」なので、先に知っておくだけで回避できます。

失敗1。いきなり完璧なシステムを作ろうとする
これが一番多い失敗です。最初から「顧客管理と連携して、配信まで全自動で」と欲張ると、設計が複雑になりすぎて、誰も使わないまま頓挫します。
回避法はシンプルで、まず「取材メモを入れたらリリース案が出る」という1機能だけで始めることです。これが回り始めてから、データベース管理や外部ツール連携を少しずつ足していきます。小さく始めて育てるのが定着の鉄則です。
失敗2。AIに任せすぎて凡庸な原稿になる
AIの出力は、整ってはいるけれど当たり障りのない文章になりがちです。これをそのまま出すと、記者の心に何も残らず、記事化されません。
こうなる原因は、材料に「当事者の熱量」が入っていないことが多いです。回避法は、取材メモの段階で「開発者が一番こだわった点」「苦労したエピソード」を必ず拾っておき、最後に人の言葉でその想いを一文足すことです。事実だけでなく感情を残すと、原稿に体温が宿ります。
失敗3。数字を盛って後で信頼を失う
AIは表現を大きく見せたがる傾向があり、「大幅に向上」「業界トップクラス」のような根拠の曖昧な言葉を勝手に足してくることがあります。これに気づかず配信すると、後で事実と違うことが分かり、取り下げや謝罪に発展します。
回避法は、事実誇張・景表法・薬機法・引用同意の4点を「人による最終チェック必須項目」として運用ルールに固定することです。AIの出力に数字や最上級表現が出てきたら、必ず一次情報と照らし合わせる。この一手間が信頼を守ります。AIによる校正で危ない表現を先に洗い出す方法は、AI校正で危ない表現を自動検出するダブルチェック術も参考になります。
もう一つ注意したいこと。AIに依頼した直後は、内容が意図せず書き換わっていないかをすぐ確認しましょう。生成のやり直しで重要な記述が消えてしまうことがあります。こまめな確認が安全です。
使う側の落とし穴と、現場での妥協点
ここからは、教科書的な解説では語られにくい「現場で見えた本音」をお伝えします。Notion AIでのリリース自動生成は便利ですが、万能ではありません。導入前に知っておくべき妥協点があります。

まず、機密性の高い情報の扱いです。次のような情報は、社内ルールで「AIに入力してよいか」を必ず確認してください。
- 未発表の新製品情報
- 決算前の数字
- 人事情報
プレスリリースは公開前提の情報とはいえ、解禁日前の情報は社外秘です。何をAIに入れてよいかの線引きは、AIに入力してはいけない個人情報|AIセキュリティ社内ルールの作り方で整理しています。組織として使うなら、行政のデジタル庁による「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」のような公的な指針も、自社ルール作りの参考になります。
次に、料金とプランの落とし穴です。Notion AIは、契約するプランによって使える機能や利用量の範囲が異なります。お試し感覚で始めると「思った機能が使えない」となりがちです。プランや料金は改定されるため、契約前に必ずNotionの公式サイトで最新の条件を確認してください。
そして、内製と外注の切り分けです。「取材メモを入れたらリリース案が出る」だけなら、社内で十分作れます。一方で、SlackやGoogle Driveなど外部ツールと連携させ、特定の業務フローを自動で回すエージェントを組むとなると、設計や検証の知識が要ります。
ここが正直な妥協点です。AIで楽になる範囲は確実に広がっていますが、「どこまで自分たちでやり、どこからプロに任せるか」の見極めを誤ると、かえって時間を溶かします。判断の目安は次の通りです。
- 自社で十分なケース:取材メモから下書きを作る、タイトル案を量産する、過去原稿を検索する
- プロと一緒が早いケース:外部ツール連携、配信・効果測定までの自動化、社内情報基盤の構築
「まず1機能から内製で始めて、複雑な自動化は専門家と組む」。この組み合わせが、もっとも失敗が少なく、コストにも見合うやり方だと現場で感じています。
よくある質問
Notion AIで作ったプレスリリースは、そのまま配信していいの?
そのままはおすすめしません。AIの下書きは整っていますが、数字を盛ったり凡庸になったりしがちです。事実・法令・引用の同意を人が最終チェックし、当事者の熱量を一文足してから配信しましょう。
専門知識がなくても始められますか?
大丈夫です。「取材メモを貼って、型に沿って下書きを作って」と頼むだけなら、非エンジニアの方でも始められます。外部ツール連携など複雑な自動化だけは、慣れた人と進めると安心です。
どのくらい時間を短縮できますか?
材料の質や慣れによって差は出ますが、下書きの初速は大きく縮みます。半日かかっていた初稿が短時間で形になり、その分をメディア対応や企画に回せた、という声が多いです。
無料プランでも使えますか?
プランによって使える機能や利用量が変わります。料金やプランは変わるため、契約前に必ずNotionの公式サイトで最新の条件を確認してください。
まとめと相談のご案内
Notion AIでのプレスリリース作成は、「材料を渡す→型に流す→人が仕上げる」の3工程が基本です。まずは下書きを作る1機能から小さく始め、人による事実チェックのルールを必ず添えてください。
ここまで読んで「下書きまでは自社でできそうだが、外部ツール連携や情報基盤づくりまで手が回らない」と感じた方は、一度ご相談ください。コレットラボのAI業務システム化支援では、いきなり契約ではなく、現状の業務を整理するところから一緒に考えます。AI業務システム化の詳細はこちらから、お気軽にお話を聞かせてください。
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