AIプレゼン資料作成の4ステップ|構成から仕上げまで自動化
この記事の要点
- 構成を文章で先に決め、スライドにするのはその後
- 見出しは主張の1文で指示する。指示文の型と出力例を本文に掲載
- 数字・社名・画像は、確認表の8項目でご自身で確かめてから提出
AIでプレゼン資料を作るときは、スライド生成ツールにいきなりテーマを入れないでください。先に「誰に何を決めてもらう資料か」を書き出し、対話AIでスライドごとの主張を決めてから、スライドの形にします。AIが速く進めてくれるのはレイアウトと文章の下書きです。何を言う資料なのかは、先に自分で決めておく必要があります。
この記事は、社内報告や営業提案の資料を月に何本も作っていて、作業時間を減らしたい方に向けたものです。読み終わると、今日の資料から使える設計メモ、構成を作る指示文、提出前の確認表がそろいます。
無料ツールの比較はAI資料作成のパワポ無料ツール|おすすめの選び方と注意点で解説しています。この記事では、どのツールを使っても変わらない進め方を扱います。
Contents / 目次
4ステップの全体像とAIに任せる範囲
AIでプレゼン資料を作る手順は、設計メモ、構成、スライド化、仕上げの4つです。4つとも、AIに任せる作業とご自身で決める作業がはっきり分かれます。この境目を決めておかないと、見た目はきれいでも中身の薄い資料になります。
| ステップ | AIに任せること | ご自身で決めること | できあがるもの |
|---|---|---|---|
| 1. 設計メモ | 抜けている項目の指摘 | 目的・聞き手・結論・使ってよい材料 | 6行の設計メモ |
| 2. 構成づくり | スライドごとの見出しと本文の案 | 主張の順番、削るスライド | 枚数分のアウトライン |
| 3. スライド化 | レイアウト・配色・図の配置 | 使うテンプレート、図の種類 | スライドのファイル |
| 4. 仕上げ | 誤字や文字量の多さの指摘 | 数字・固有名詞・画像の権利・発表時間 | 提出する版 |
ステップ3でどのツールを使うかは、資料を最後にどの形式で提出するかで選びます。社内テンプレートのPowerPointで出す必要があるのに、Web上で完結するツールで作ると、あとで移し替える手間がかかります。
| 形にする方法 | 向いている条件 | 気をつけること |
|---|---|---|
| PowerPointのCopilot(Microsoft 365 Copilot) | 社内テンプレートのPowerPointで提出する | 使えるかどうかを、自社の契約内容で先に確認 |
| GoogleスライドとGemini | Google Workspaceで資料を共有している | 同上 |
| スライド生成サービス(Gamma、Canvaなど) | 社外向けで、デザインの型がまだ無い | PowerPoint形式に書き出すとレイアウトが変わる場合がある |
| 対話AIとMarkdown(Marp)やHTML | 月次報告など、同じ形を繰り返す資料 | デザインの自由度は低い。修正は文章で指示する |
この章で決めておくのは、4ステップのどこを任せるかと、最後にどの形式で提出するかの2つです。提出形式が決まれば、ステップ3のツールは表から選べます。
4ステップの進め方と指示文の型
ステップ1。目的・聞き手・結論を6行の設計メモに書く
最初に、資料の前提を6行で書き出します。設計メモとは、AIに渡す前に決めておく資料の前提のことです。ここが空欄のままだと、AIは一般的な聞き手を想定して、誰にも当てはまらない構成を返します。
目的:この資料を見た人に、何を決めてもらうか
聞き手:誰が見るか(役職と、前提として知っていること)
時間と枚数:発表[◯]分/スライド[◯]枚まで
結論:いちばん伝えたいことを1文で
使ってよい材料:社内資料・数字(出典の資料名も書く)
使わない情報:顧客名・見積額・個人名など
6行目の「使わない情報」は、ステップ2でAIに貼り付ける前に消す情報の一覧です。社員が個人でAIを使い始めていて、入力してよい情報がまだ決まっていない場合は、経営者と社員が一緒に受ける120分のAI研修・生成AIセミナーで、外部のAIに入力してよい情報と確かめる設定を学び、扱う情報を先に決める進め方もあります。
ステップ2。対話AIで1スライド1主張の構成を作る
設計メモを対話AIに渡し、スライドごとの見出しと本文の案を作らせます。見出しを「現状」「課題」のような名詞ではなく、主張の1文で書かせることが大事です。見出しだけを読んでも話が通じる資料になります。
ChatGPT、Gemini、Claudeのどれでも進められます。指示文は出発点として次の程度で足ります。あとはAIとやり取りしながら、自社の資料に合わせて詰めてください。
あなたはプレゼン資料の構成担当です。
次の設計メモをもとに、スライドの構成案を作ってください。
・1枚につき主張は1つ。見出しは「〜です」「〜します」で終わる1文にする
・各スライドに、本文の箇条書き(3つまで)、根拠にする材料、入れる図の種類を書く
・設計メモに無い数字や事例は作らず、[要確認]と書く
・結論は2枚目までに入れる
・枚数は[◯]枚まで
[設計メモを貼り付け]
社内提案「問い合わせの一次対応をチャットにする」で使う例です。設計メモの「使ってよい材料」に、「問い合わせは納期・見積もり・在庫・支払い方法・返品の5種類が中心で、既存のFAQで答えられる内容が多い」と書いてあった場合、たとえば次のようなスライドが返ってきます。種類別の件数は設計メモに書いていないので、[要確認]になっています。
スライド3
見出し:問い合わせの多くは、同じ5種類の質問です
本文:・納期、見積もり、在庫、支払い方法、返品
・種類別の件数は[要確認]
・既存のFAQで答えられる内容が中心
根拠:過去3か月の問い合わせ記録
図:棒グラフ(質問の種類別の件数)
返ってきた構成は、次の4点を確かめてから次のステップに進みます。
- 見出しの流れ:見出しだけを上から読んで、結論まで話が通じるか
- 結論の位置:1〜2枚目に結論があるか
- [要確認]の箇所:すべて社内の資料で数字を埋められるか。埋められないスライドは削る
- 枚数:発表時間に対して多すぎないか
指示文の書き方をもっと細かく知りたい方は、AI資料作成のプロンプト|パワポの構成を任せる指示の型と例文もあわせてご覧ください。
ステップ3。構成をスライド生成AIやCopilotで形にする
ステップ2で確かめた構成を、提出形式に合ったツールに貼り付けます。貼り付けるときに「見出しと本文は変えない」「社内テンプレートの配色とフォントを使う」と書き添えてください。形にした後は、見出しが主張の1文のまま残っているかを確かめます。
月次報告のように同じ形を毎月作る資料は、Markdown形式でスライドを書けるMarpが向いています。構成の文章がそのままスライドになるので、翌月は数字を入れ替えれば済みます。次の内容を拡張子「.md」のファイル(例:report.md)で保存すると、1枚目が表紙、2枚目と3枚目が本文のスライドになります。
---
marp: true
theme: default
paginate: true
---
# 問い合わせの一次対応をチャットにする提案
営業部 [日付を入力]
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## 問い合わせの多くは、同じ5種類の質問です
- 納期、見積もり、在庫、支払い方法、返品
- 種類別の件数は過去3か月の記録から集計
- 既存のFAQで答えられる内容が中心
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## 一次対応をチャットにし、担当者は個別の見積もりに集中します
- チャットで答えるのは、FAQにある質問だけ
- 見積もりと返品は、これまでどおり担当者が対応
「—」がスライドの区切りです。Marp for VS Code(エディタのVS Codeの拡張機能)やMarp CLIを使うと、PDFやPowerPoint形式に書き出せます。
書き出したPowerPointで文字を編集できるか、社内テンプレートに合わせられるかは、書き出し方によって変わります。対応している形式と設定は、Marp CLIの説明(GitHub)で確認してください。社内テンプレートのPowerPointで提出する資料には、PowerPoint側で作る方法を選んでください。詳しい導入手順はMarpの公式サイトで確認できます。
HTMLで作ってあとから何度でも修正する方法は、AIの資料作成はHTML/CSSで作る|あとから何度でも直せる方法で解説しています。
ステップ4。確認表の8項目で仕上げる
AIが作ったスライドは、提出する前に次の8項目をご自身で確かめます。特に数字と固有名詞は、AIがもっともらしい値を補っていることがあるため、元の資料と1つずつ照らし合わせます。
- 数字:元の資料と1つずつ照らし合わせ、出典をスライドの下に書く
- 固有名詞:社名・製品名・人名の表記が正式名称と合っているか
- 見出し:ツールが主張の文を名詞に言い換えていないか
- 文字量:声に出して読み、1枚を発表時間の中で説明しきれるか
- 図とグラフ:軸の単位と数値が本文の数字と一致しているか
- 画像:AIが入れた画像が主張と関係あるか。利用規約で商用利用の範囲を確認したか
- テンプレート:ロゴ・配色・フォントが社内の決まりどおりか
- 書き出し後のファイル:PowerPointやPDFに書き出したファイルを開き、文字の位置やフォントが変わっていないか
この章でそろうのは、設計メモ、構成の指示文、確認表の3つです。最初の1本は、ステップ2の確認とステップ4の照合に時間をかけてください。2本目からは設計メモを使い回せるので、作業時間が短くなっていきます。
AIでプレゼン資料を作るときの失敗と防ぎ方
AIでプレゼン資料を作るときの失敗は、ほとんどが「構成を決めないまま形にした」か「AIが補った内容を確かめなかった」のどちらかから起きます。代表的な4つと防ぎ方を挙げます。
テーマだけ入れて生成し、見出しが目次になる
スライド生成ツールに「DX推進の提案資料」のようなテーマだけを入れると、見出しが「背景」「現状の課題」「解決策」「まとめ」と並んだ資料が返ってきます。見た目はそれらしくても、聞き手はどのスライドを見ても自社に何が起きるのかが分かりません。ステップ1とステップ2を飛ばさず、主張の1文をツールに渡すことで防げます。
AIが補った数字やグラフが出典のないまま残る
構成の段階で数字を渡していないと、AIはグラフを描くために仮の数字を入れることがあります。その数字が社内会議で引用されると、後で出どころを説明できません。指示文に「設計メモに無い数字は[要確認]と書く」と入れ、確認表で元の資料と照らし合わせます。AIがもっともらしい誤りを書く理由は生成AIのハルシネーションはなぜ起きる|業務で減らす5つの手順で解説しています。
顧客名や見積額を入れたまま個人アカウントに読み込ませる
過去の提案書をそのままスライド生成ツールに読み込ませると、顧客名や見積額も一緒に外部のサービスへ送られます。個人向けプランでは、入力した内容がサービスの改善に使われる設定になっている場合があります。
設定の確認方法は、ChatGPTはOpenAIのヘルプ「ChatGPT のデータ管理」、GeminiはGeminiアプリのプライバシー ハブで公開されています。
設計メモの「使わない情報」を消してから渡すか、会社で契約した法人プランを使います。違いはAIの法人プランと個人プランの違い|学習利用と管理機能で選ぶで確認できます。
Web完結型のツールで作り、社内テンプレートへ移すと崩れる
Web上で完結するツールで作った資料を、最後に社内テンプレートのPowerPointへ移そうとすると、テキストボックスの分割やフォントの置き換えが起きることがあります。その場合は、1枚ずつ修正する作業が発生します。社内テンプレートで出すことが決まっているなら、最初からPowerPoint側で作ります。ツールを選ぶ前に、提出する形式を決めておいてください。
4つとも、ステップ1で提出形式と使わない情報を決め、ステップ2で数字を[要確認]にしておけば防げます。失敗の多くは、スライド化より前の段階で決めていなかったことが原因です。
定型の資料を自動化できる範囲
毎月同じ形で数字だけが変わる資料は、構成からスライド化までを仕組みにできます。1回きりの提案資料は、ステップ2の主張決めとステップ4の確認を毎回ご自身で行う必要があるため、自動化できるのはスライド化の部分だけです。
| 資料の種類 | 自動化できる範囲 | 毎回ご自身で行うこと |
|---|---|---|
| 月次報告・週次報告 | 数字の集計からスライド化まで(Marpなどの型を使う) | 数字の照合と、前月と比べた考察の1文 |
| 営業提案 | 設計メモの使い回し、スライド化 | 顧客ごとの主張と、見積額の記入 |
| 社内研修の資料 | 既存マニュアルからの構成案 | 社内ルールと合っているかの確認 |
| 講演・登壇 | スライド化と話す内容の下書き | 主張、エピソード、発表時間の調整 |
効果を確かめるには、AIを使う前と後で1本あたりの作業時間を記録します。仮に、週次報告のスライド化に毎回2時間かかっていて、型を使って30分になれば、月4本で6時間の差です。記録の取り方はAI業務効率化の効果を数字で出す方法|削減時間の測り方にまとめています。
自動化を考えるべきなのは、同じ形の資料を繰り返し作っている場合です。先に、社内で繰り返し作っている資料を1つ選んでください。
AIプレゼン資料作成のよくある質問
社内のPowerPointテンプレートを使ったまま、AIで資料を作れますか?
作れます。構成は対話AIで作り、スライドにする作業は最初から社内テンプレートのPowerPointで行う方法が確実です。Web完結型のツールで作ってから移すと、フォントや配置の修正が必要になります。PowerPointのCopilotを使う場合は、使えるかどうかを自社の契約内容で先に確認してください。
Gammaで作った資料をPowerPointで開くと、レイアウトが変わることはありますか?
書き出したファイルは、Gamma上の見た目と同じになるとは限りません。PowerPointで提出する予定なら、書き出したファイルを必ず開いて確認し、修正が多い場合は最初からPowerPoint側で作ってください。
AIがスライドに入れた画像やアイコンを、社外向けの提案資料に使っても大丈夫ですか?
各ツールの利用規約で、商用利用が認められているかを確認してから使ってください。認められていても、既存のキャラクターやロゴに似た画像は避けます。主張と関係の薄い画像は、無いほうが資料の内容が伝わりやすくなります。
スライドに合わせた発表原稿もAIに作らせてよいですか?
下書きとしては便利です。スライドごとに話す内容を、ノート欄に入れる長さで作らせます。そのまま読むと話し言葉として不自然になりやすいので、声に出して読み、自社の事例や数字を足してください。話す時間を測ると、スライドの枚数が多すぎないかも確かめられます。
まずは、次に作る予定の資料について、設計メモの6行を埋めてみてください。埋めた6行は、そのまま対話AIに貼り付けられます。指示文をさらに細かく詰めたい方は、AI資料作成のプロンプト|パワポの構成を任せる指示の型と例文が次に読む記事としておすすめです。
月次報告や提案書のように社内で繰り返し作る資料を、部署の誰が作っても同じ品質になる形にしたいときは、コレットラボのAI導入支援・DX支援をご検討ください。開発を含む業務システム化のプランでは、業務に合う入力画面と、AIに任せる作業と担当者が判断する箇所をまとめた社員向け手順書を作ります。対象の業務や作るシステムが決まる前から、ご相談いただけます。
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