GPTsで問い合わせ対応ボットを作る手順と失敗回避
この記事の要点
- GPTsは「指示文」と「ナレッジ資料」の2つを整えれば非エンジニアでも作れる
- 成否を分けるのは資料の質と「資料外は答えない」という制約の書き方
- 作って終わりにせず、月1回の点検と有人対応への切り替え設計が必須
問い合わせ対応に追われて、本来やるべき仕事が進まない。同じ質問に何度も答えている。そんな悩みから、ChatGPTのGPTsで問い合わせ対応ボットを作れないか、と検索してこの記事にたどり着いた方が多いはずです。
この記事では、GPTsで問い合わせ対応ボットを作る具体的な手順を、非エンジニアの方にも分かるように順番に解説します。指示文のテンプレート、読み込ませる資料の準備、公開範囲の決め方、そして現場でつまずきやすいポイントの回避法まで、実際に完成まで持っていける粒度でお伝えします。

Contents / 目次
結論。GPTsの問い合わせボットは「指示文」と「資料」で決まる
最初に結論をお伝えします。GPTsで作る問い合わせ対応ボットの出来は、「指示文(Instructions)」と「読み込ませる資料(ナレッジ)」の2つでほぼ決まります。難しいプログラミングは要りません。
GPTsとは、ChatGPTを自分の目的専用にカスタマイズして作る「自分だけのAI」のことです。ひとことで言うと、汎用のChatGPTに「あなたはこの会社の問い合わせ担当です」という役割と、答えのもとになる社内資料を渡して、専用のアシスタントに仕立てる仕組みです。
やるべきことは、大きく次の3つに整理できます。
- 役割と禁止事項を決める:何に答えるボットか、答えてはいけないことは何か、口調はどうするかを言葉で指示する
- 答えのもとになる資料を用意する:FAQ、マニュアル、過去の問い合わせ履歴などを1つのファイルにまとめて読み込ませる
- テストと公開範囲の設定:実際の質問で試し、社内だけ・リンクを知る人だけ、など公開範囲を決めて共有する
ここで大事なのが、GPTsには「向く問い合わせ」と「向かない問い合わせ」があるという点です。ここを最初に線引きしておかないと、期待だけ膨らんで失敗します。下の表で、任せていい範囲とそうでない範囲を確認しておきましょう。
| 問い合わせの種類 | GPTsの向き不向き | 理由 |
|---|---|---|
| マニュアルやFAQに答えがある定型質問 | 向いている | 資料を読み込ませれば安定して答えられる |
| 言い回しがバラバラな自由記述の質問 | 向いている | 意味をくみ取って要点を返せるのがAIの強み |
| 在庫数や配送状況などリアルタイムのデータ照会 | そのままでは不向き | 在庫や配送状況は常に変化するため、あらかじめ外部システムと連携しておく必要がある |
| クレーム・契約・返金などの最終判断 | 不向き | 誤りが許されない領域は人が判断すべき |
なお、GPTsを作るにはChatGPTの有料プラン(Plus、Team、Enterpriseなど)への加入が必要です(2026年07月11日時点)。 プラン内容や利用条件は変わることがあるため、最新の対応状況はOpenAIの公式ヘルプセンターで確認してください。
GPTsで問い合わせ対応ボットを作る手順
ここからが本題です。実際に手を動かして作る流れを、ステップごとに解説します。画面のボタン名は今後変わる可能性があるため、ここでは「何を・どういう順番で・どう決めるか」という再現できる道筋を中心にお伝えします。

ステップ1。答える範囲と「答えないこと」を先に決める
最初にやるのは、ツールを開くことではなく紙に書き出すことです。このボットが何に答え、何には答えないかを決めます。ここが曖昧なまま作り始めるのが、一番多い失敗の入口です。
具体的には、次の項目を先に埋めておきましょう。
- 対象ユーザー:社員向けか、社外のお客様向けか
- 答える範囲:例「就業規則・経費精算・PCトラブルの3分野のみ」
- 答えないこと:例「給与の個別金額、法律の解釈、個人情報にかかわる質問」
- 迷ったときの逃がし先:例「分からない場合は総務(内線◯◯)へ、と案内する」
ステップ2。答えのもとになる資料(ナレッジ)を用意する
ボットの精度は、読み込ませる資料の質でほぼ決まります。GPTsには、資料としてファイルを読み込ませられます(対応するファイル形式は変わることがあるため、最新の対応状況はOpenAIの公式ヘルプセンターで確認してください)。 汎用のChatGPTではなく「自社専用」になるのは、この資料があるからです。
用意する資料の例としては、社内マニュアル、よくある質問と回答のリスト、過去の問い合わせ履歴、業務フロー、製品情報などがあります。ここで押さえたいコツは、資料を「1問1答の形」に整えておくことです。
だらだらとした説明文の資料より、次のような形にしておくとAIが答えを見つけやすくなります。
Q. 経費精算の締め日はいつですか
A. 毎月末日締めです。翌月5日までに経理へ提出してください。
Q. 交通費は領収書が必要ですか
A. 1件1,000円以上は領収書が必要です。1,000円未満は不要です。
このQ&A形式のテキストをまとめて1つのファイルにし、これをボットの土台にします。情報が古いままだと誤った回答の原因になるので、アップロード前に内容が最新かを必ず確認してください。
ステップ3。指示文(Instructions)を書く
指示文は、ボットの「性格と行動ルール」を決める部分です。 ここに役割・口調・禁止事項を書きます。指示欄は長すぎると要点がぼやけるので、大事なルールから優先して簡潔に書きましょう。
指示文は、完璧な文章を最初から作り込む必要はありません。次のたたき台(出発点)を貼って、あとはAIと対話しながら自社に合わせて詰めていくのが効率的です。
あなたは[会社名]の社内問い合わせ対応アシスタントです。
【役割】
・アップロードした資料をもとに、社員からの質問に答える。
【回答のルール】
・必ずアップロードした資料の内容だけを根拠に答える。
・資料に書かれていないことは推測せず「資料内に該当がありません。
[総務・内線◯◯]へお問い合わせください」と案内する。
・回答は結論から先に、3〜5行で簡潔に。
・専門用語には短い補足をつける。
【禁止事項】
・給与の個別金額、法律の解釈、個人を特定する情報には答えない。
・資料にない数値や日付を創作しない。
「資料に書かれていないことは答えない」という一文は、必ず入れてください。これがないと、AIがもっともらしい嘘(ハルシネーション)を作ってしまいます。ハルシネーションが起きる仕組みと防ぎ方は生成AIのハルシネーションはなぜ起きる|業務での防ぎ方で詳しく解説しています。
ステップ4。会話の入口(質問例)を設定する
ユーザーが最初に何を入力していいか迷わないよう、質問の選択肢(会話のきっかけ)を設定します。 これがないと利用率が伸びません。「経費精算の締め日は?」「有給の申請方法は?」のように、よくある質問を3〜4個そのまま登録しておきましょう。
ステップ5。テストして、ずれを直す
公開する前に、実際の問い合わせでプレビュー動作を確認します。ここで完璧を目指さず、「答えられなかった質問」「間違えた質問」をメモしていくのが目的です。
ずれを見つけたら、原因に応じて直します。資料に情報がなかったなら資料に追記する、指示の解釈がずれたなら指示文を修正する、という切り分けです。最低でも実際に来そうな質問を10〜20個入れて、8割方まともに答えられる状態を目指しましょう。
ステップ6。公開範囲を決めて共有する
動作に納得できたら公開します。公開範囲は用途に応じて選べます。 社内利用なら、まずは限定的に一部の人へ共有して使ってもらい、問題がなければ広げるのが安全です。公開範囲の選択肢や条件はプラン・バージョンで変わることがあるため、詳細はOpenAIの公式ヘルプセンターで確認してください。
GPTsで問い合わせボットを作るとどう変わるか
問い合わせ対応ボットを導入すると、まず効くのは「同じ質問への繰り返し対応」がなくなることです。総務や情シス、カスタマーサポートが日々奪われている時間の多くは、実はマニュアルを見れば分かる定型質問への対応です。

問い合わせ対応にかかる時間をどれだけ減らせるかは、業種や質問の内容で大きく変わるため一概には言えませんが、「定型質問をボットに逃がし、人は判断が要る対応に集中する」という形が成果につながっています。
うまくいっている会社に共通するのは、いきなり全社展開せず、小さく始めている点です。特別なIT部門がなくても、身近な1業務から始められるのがGPTsの良さです。
成果を出す会社の進め方は、次のような順序になっています。
- 問い合わせの多い順にトップ20問を洗い出す
- その20問に確実に答えられるボットをまず作る
- 1つの部署で使ってもらい、答えられなかった質問を毎週集める
- 集めた質問を資料に足して、答えられる範囲を少しずつ広げる
問い合わせを種類ごとに振り分ける仕組みと組み合わせると、さらに効果が上がります。仕分けの考え方は問い合わせをAIで自動仕分け|クレーム・要望・質問を振り分ける手順も参考にしてください。
よくある失敗と回避法
ここでは、現場で実際にやりがちな失敗を紹介します。先に知っておくだけで、多くのつまずきは避けられます。

失敗1。資料が薄いまま公開して、間違った回答を連発する
指示文だけ立派に書いて、資料をほとんど入れずに公開してしまうケースです。こうなると、AIは自分の一般知識で埋めようとして、自社の実態とは違う回答を平気で出します。読んだ社員は「このボットは信用できない」と離れ、二度と使われなくなります。
防ぐには、公開前に「よくある質問トップ20」を実際に打ち込み、資料だけを根拠に正しく答えられるか確認します。答えられない質問があれば、その答えを資料に足してから公開する。この順番を守るだけで精度は大きく変わります。
失敗2。リアルタイムのデータ照会をボットに期待してしまう
回避策は、最初にステップ1で決めた「答えない範囲」にこうした質問を入れておくことです。そのうえで「在庫や配送状況は◯◯システムでご確認ください」と案内させれば、誤答を防げます。どうしても連携が必要なら、外部システムとつなぐ本格的な仕組みが必要になり、これは専門的な領域になります。
失敗3。作って終わりにして、いつの間にか精度が落ちる
一度作って満足し、放置してしまうケースです。問題は2つあります。
- 社内ルールや商品が変わっても資料が古いままになること
- AIの土台となるモデル自体がアップデートされ、以前と回答の傾向が変わることがある点
これを防ぐには、月1回の「健康診断」を仕組み化します。あらかじめ用意した10問ほどのテスト質問を毎月同じように投げて、答えが崩れていないかを確認する。資料の更新も同じタイミングで行う。担当者を1人決めてカレンダーに入れておくだけで、精度は保てます。
失敗4。機密情報の扱いを決めずに使わせる
公開範囲やアップロードする資料のルールを決めないまま使わせると、本来入れてはいけない個人情報や機密情報が資料や会話に混ざるリスクがあります。特に社外のお客様向けに公開する場合は、資料に社内限定の情報が含まれていないか、一枚ずつ確認が必要です。
回避策は、資料に載せてよい情報の範囲と、利用者が入力してよい情報のルールを先に決めておくことです。社内でのAI利用ルールの作り方はAIに入力してはいけない個人情報|社内ルールの作り方にまとめています。
使う前に知っておきたい、GPTsの落とし穴と妥協点
ここは、教科書には書かれにくい現場の本音です。GPTsは手軽で強力ですが、万能ではありません。導入前に知っておくと、後悔を減らせます。
まず、GPTsを使うには利用者側にもChatGPTのアカウントや対応プランが必要になる場合があります。社外の不特定多数のお客様に、Webサイト上でそのまま使ってもらう窓口としては、必ずしも一番向いた形ではありません。この用途は、自社サイトに埋め込めるチャットボットの方が適していることも多いです。
判断の目安。社内の問い合わせ効率化ならGPTsは有力な第一候補。不特定多数の顧客がサイト上で使う窓口なら、埋め込み型のチャットボットも比較検討する価値があります。
次に、コストの見落としです。GPTs自体はプラン内で作れますが、本当のコストは「作る時間」と「育てる時間」にかかります。資料を整え、テストし、毎月点検する担当者の工数を見込んでおかないと、「作ったけど誰も面倒を見ない」状態になりがちです。
内製と外注の切り分けも悩みどころです。小さな社内ボットなら、担当者が自分で作るのが一番早く、ノウハウも社内に残ります。一方で、外部システムとの連携や、全社規模での運用ルール策定、セキュリティの担保まで含めると、途端に専門知識が必要になります。「作る」は自社で、「仕組みとして回す設計」は相談するという切り分けが、現実的な落としどころです。
どのAIツールで作るかも一度考える価値があります。ChatGPT以外にも同様の仕組みはあり、比較の視点はGemini Gemで社内AIアシスタントを作る手順と注意点や、社内問い合わせを減らすAIチャットボットの自作・運用術もあわせて読むと整理しやすくなります。
よくある質問
プログラミングができなくても本当に作れますか
作れます。GPTsは文章で指示を書き、資料を読み込ませるだけで作れる仕組みです。 コードは一切書きません。まずは質問トップ20に答えるだけの小さなボットから始めるのがおすすめです。
無料のChatGPTでもGPTsは作れますか
GPTsを作るには、原則としてChatGPTの有料プラン(Plus、Team、Enterpriseなど)が必要です(2026年07月11日時点)。 プランの条件は変わることがあるので、最新の状況はOpenAIの公式ヘルプで確認してください。
間違った回答をされないか心配です
完全にゼロにはできませんが、大きく減らせます。指示文に「資料に書かれていないことは答えない」と明記し、答えのもとになる資料を正確に整えることが最大の対策です。クレームや契約など重要な内容は、AIに任せず人が確認する運用にしておくと安心です。
作ったあと、どのくらい手間がかかりますか
目安は月1回の点検です。テスト質問を投げて回答が崩れていないか確認し、変わったルールや商品情報を資料に反映します。担当者を1人決めておけば、1回あたり数十分程度で回せます。放置すると精度が落ちるため、この点検だけは仕組みにしておきましょう。
ここまで読んで、「自分たちでも作れそうだが、社内ルールや資料整備まで含めると自信がない」と感じた方もいるはずです。コレットラボのAI業務システム化支援では、問い合わせボットの内製から運用の仕組みづくりまで、御社の状況に合わせて一緒に整理します。まずは現状を聞かせてもらうだけでも大丈夫です。AI業務システム化の詳細はこちらから、お気軽にご相談ください。
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