AIエージェントを自社業務用に作る手順|Claude編

AIエージェントを自社業務用に作る手順|Claude編

この記事の要点

  • 成功の鍵はプロンプトより「観測→計画→実行→検証→反復」のループ設計
  • 任せる業務は1つに絞り、権限は読み取りから段階的に広げる
  • 止め方と人の最終確認を先に決めることが安全運用の前提

「Claudeで自社の業務に合わせたAIエージェントを作りたいが、どこから手をつければいいか分からない」という声をよく聞きます。この記事では、非エンジニアの担当者でも進められるように、任せる業務の決め方からループの組み方、権限の絞り方、公開前のチェックまで、実際の手順に落として解説します。

専門知識がなくても大丈夫です。現場でつまずきやすいポイントも率直にお伝えするので、読み終わったころには「まず何をやればいいか」がはっきりします。

Contents / 目次
  1. 結論。Claudeでエージェントを作る鍵は「プロンプト」より「ループ設計」
  2. Claudeで自社エージェントを作る具体的な手順
  3. 作ったエージェントで、どんな成果が見込めるか
  4. よくある失敗と、その防ぎ方
  5. 現場で見えた、使う側の落とし穴と妥協点
  6. よくある質問

結論。Claudeでエージェントを作る鍵は「プロンプト」より「ループ設計」

AIエージェントを自社業務用に作る手順|Claude編

先に結論をお伝えします。自社業務に合わせたAIエージェントづくりで成果を分けるのは、完璧な指示文(プロンプト)ではありません。AIが自分で動き続けるための「ループ設計」です。

AIエージェントとは、与えた目標に対してAIが自分で計画を立て、ツールを使い、途中で自己修正しながら作業を進める仕組みのことです。単発の質問応答(チャット)との違いはここにあります。チャットは1回答えて終わり、エージェントは目標に届くまで手を動かし続けます。

ひとことで言うと、エージェントは「観測して、計画して、実行して、検証して、必要ならやり直す」という輪をぐるぐる回します。この輪の質が成果を決めます。プロンプトは、その輪を回し始めるための出発点(たたき台)にすぎません。

だから、やるべきことは次の3つに整理できます。

  • 任せる業務を1つに絞る:あれもこれもではなく、範囲を狭く区切る
  • ループと権限を設計する:何を見て・どう判断し・どこで人が確認するかを決める
  • 小さく試して直す:いきなり本番投入せず、読み取りだけの安全な範囲から広げる

下の表で、ループの5要素を整理します。この5つを自分の業務に当てはめて考えるのが、設計の入口です。

ループの要素やること人の関与
観測今の状況・データ・前回の結果を読み取る何を見せるかを決める
計画目標に向けて次の一手を組み立てるゴールと制約を渡す
実行下書き作成・整理・集計などを行う使えるツールを絞る
検証出力が条件を満たすか自己チェックする合格基準を定義する
反復ダメなら直してもう一周する止める条件を決める

まず何をやるか、最初の1業務の決め方はAI導入は何から始める。中小企業が最初の1業務を決める手順でも詳しく解説しています。

Claudeで自社エージェントを作る具体的な手順

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ここからが記事の主役です。実際に手を動かせるように、7つのステップに分けて進めます。Claudeはブラウザでもデスクトップアプリでも使えるので、ファイルのやり取りが多い業務では、使いやすいほうを選んでください。対応する動作環境や提供状況は変わることがあるため、公式サイトで確認してください。

ステップ1。任せる業務を1つだけ決める

最初にやるのは、任せる業務を1つに絞ることです。範囲を広げすぎると、精度が安定せず、どこを直せばいいかも分からなくなります。

選ぶ基準はシンプルです。次の3つを満たす業務が向いています。

  • 毎週繰り返す
  • 手順がある程度決まっている
  • 間違えても大事故にならない

たとえば、問い合わせメールの下書き作成、議事録の要約、競合サイト更新のチェックなどです。

逆に、最終判断がその場の空気に左右される業務や、間違えると金銭・契約に直結する業務は、最初の1つには選ばないでください。

ステップ2。材料をそろえる

次に、AIに渡す材料をそろえます。ここが仕上がりを大きく左右します。人に仕事を引き継ぐときと同じで、判断のよりどころがないと、それらしいけれど的外れな結果が返ってきます。

そろえる材料は次の4種類です。

  • 判断基準:「こういうときはこう対応する」というルール
  • 過去の実物:良い出力の見本(過去のメール・議事録など)を数件
  • NG例:やってはいけない表現・対応の具体例
  • 用語・前提:自社の略語、商品名、社内ルールなど

この材料をテキストファイルにまとめておくと、以後ずっと使い回せます。ターミナル操作が不安な方はClaude Code内製化の始め方|ターミナルが怖い非エンジニアへもあわせて読んでみてください。

ステップ3。出発点となる指示(seed)を短く書く

指示文は最初から作り込みすぎなくて大丈夫です。まずは役割とタスクと埋める箇所が分かる程度の短い「たたき台」を用意し、そこからClaudeと対話しながら詰めていけば十分です。

たとえば、問い合わせ振り分けのエージェントなら、こんな出発点から始めます。

あなたは[自社名を入力]のカスタマーサポート担当です。
届いた問い合わせを「クレーム」「要望」「質問」の3つに分類し、
それぞれに返信の下書きを作ってください。

前提:添付の対応ルールとNG例に必ず従うこと。
判断に迷う場合は分類せず「要確認」として理由を書くこと。
出力形式:分類/要約(80字以内)/返信下書き/確認が必要な点

ポイントは、完璧を目指さないことです。この状態からClaudeと対話しながら、「この分類基準を足したい」「この言い回しは避けたい」と会話で詰めていきます。プロンプトは部品の1つであって、主役ではありません。

ステップ4。観測から反復までのループを設計する

ここが設計の核心です。ステップ3の指示に、ループの動きを組み込みます。具体的には、出力の前に「自己チェック」を挟むだけで、精度が一段安定します。

指示にこう1文を足してみてください。「下書きを出す前に、対応ルールとNG例に照らして自分で確認し、外れていたら直してから出すこと」。これだけで、実行の後に検証と反復が回るようになります。

ハルシネーション(AIがそれらしい嘘を作ること)が心配な業務では、参照元を明示させるのが有効です。仕組みと防ぎ方は生成AIのハルシネーションはなぜ起きる|業務での防ぎ方で詳しく触れています。

ステップ5。ツール接続と権限を「読み取りから」段階的に広げる

エージェントに外部のファイルやツールを触らせるときは、必ず読み取り専用から始めてください。いきなり書き込み・送信・削除を許すと、間違えたときに取り返しがつきません。

進め方は次の順番です。

  1. まずは資料を「読むだけ」で下書きを作らせる
  2. 問題なければ「下書きの保存」まで許可する
  3. 最後に「送信・反映」を許可するが、送信前に人が承認する形にする

Claude Code(AIがファイルやコマンドを操作するツール)のような開発ツールを使う場合は、AIに許す操作の範囲を最初から絞っておくのが安全です。どこまで自動で実行させ、どこから人の確認を挟むかは、使うツールの公式ドキュメントで確認しながら設定してください。具体的な機能名や設定画面は変わることがあります。

ステップ6。止め方と人の最終確認を決める

作り込みで見落とされがちなのが、止める条件です。AIは目標に向かって走り続けるので、「いつ止まるか」「どこで人に渡すか」を先に決めておかないと、暴走や無限ループの原因になります。

最低限、次の3つを決めておきましょう。

  • ゴール条件:何ができたら完了か
  • 上限:何回まで試すか
  • 人の承認ポイント:送信・公開の前で必ず止める

ステップ7。小さく試して直す

最後は、実際のデータ数件で試し、出力を人が見て直します。ここで大事なのは、直した内容をステップ2の材料に反映することです。NG例や判断基準を追記していくと、エージェントはどんどん自社仕様に育っていきます。

公開前チェックリストとして、次を確認してください。

  • 範囲:任せる業務が1つに絞れているか
  • 権限:送信・削除の前で人が止められるか
  • 検証:出力前の自己チェックが組み込まれているか
  • 記録:誰がいつ何を承認したか残るか

作ったエージェントで、どんな成果が見込めるか

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結論から言うと、狙いどころを正しく選べば、繰り返し業務の時間を大きく減らせます。特に「下書きを作る」「情報を集めて要約する」「一次仕分けをする」といった、人が最後に確認すれば済む業務は効果が出やすい領域です。

たとえば、問い合わせメールの一次対応を考えてみます。これまで1件あたり文面を考えるのに10分かかっていたとします。エージェントが分類と下書きまで用意し、人は内容を確認して微修正するだけになれば、1件あたりの作業は数分に縮みます。件数が多いほど、この差は効いてきます。

成果を出している企業には共通点があります。それは、最初から大規模導入を狙わず、効果が大きく範囲の狭い業務から始めていることです。これは「スモールスタート」と呼ばれる進め方で、必要なデータや課題が早く見え、精度を上げる方向もつかみやすくなります。

もう1つの共通点は、効果を測る指標を導入前に決めていることです。「対応にかかる時間」「人が手直しした割合」などを記録しておくと、投資を続けるかの判断がしやすく、社内への説明もスムーズになります。逆に、効果を測っていない会社は「なんとなく便利」で止まり、次の投資につながりません。

なお、安全に運用するうえでは、公的なガイドラインを参照しておくと判断の軸ができます。行政向けの内容ですが、デジタル庁が公開している生成AIの調達・利活用に係るガイドラインは、人による監視や利用範囲の考え方の参考になります。

よくある失敗と、その防ぎ方

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ここでは、現場で実際にやりがちな失敗を4つ紹介します。どれも「あるある」なので、先に知っておくだけで回避できます。

失敗1。エージェントに何でも任せようとする

最初の失敗は、1つのエージェントに広い責任を持たせすぎることです。「うちの業務全部を見てほしい」と欲張ると、動作が定義しきれず、精度が安定しません。

こうなると、どこがうまくいっていないのか切り分けられず、直しようがなくなります。防ぐには、範囲を狭く区切り、動いてほしい動作を具体的に定義することです。1業務うまく回ってから、次を足す。この順番を守ってください。

失敗2。いきなり大規模に導入する

2つ目は、最初から全社・全業務に一気に広げようとすることです。導入自体は進んでも、運用フェーズで課題が噴き出し、現場の負担が増えます。

結果として、改善ポイントを把握できないまま「使われないツール」になりがちです。スモールスタートを徹底し、1つの業務で手応えを確かめてから広げましょう。

失敗3。試作(PoC)で止まってしまう

3つ目は、試作はできたのに本番で使われない状態です。小さなテストを飛ばしたり、人による確認を省いたり、既存の業務フローとつながっていなかったりすると、ここで止まります。

防ぐには、選定の段階から「本番でどう運用するか」を見据えることです。人の確認を最初から組み込み、今使っている業務の流れに無理なく差し込める形で設計します。本番化の壁の正体はPoCで終わる会社が見落とす本番化の壁の正体と越え方で掘り下げています。

失敗4。権限とリスク対策が甘い

4つ目は、エージェント特有のリスクへの備えが足りないことです。外部から届いた文章に紛れた指示にAIが従ってしまう「プロンプトインジェクション」など、従来のAIにはなかった危険があります。

現場で見えた、使う側の落とし穴と妥協点

ここは、教科書には載りにくい本音の部分です。自作エージェントに前向きな方ほど、知っておいてほしい現実があります。

まず、AIエージェントは「作って終わり」ではありません。むしろ、育て続ける運用のほうが本番です。業務のルールは変わりますし、NG例も増えていきます。この手入れをやめた瞬間、精度はじわじわ落ちます。作る労力の何倍もの価値が出るかは、作った後に材料を更新し続けられるかで決まります。

次に、内製と外注の切り分けです。範囲の狭い定型業務なら、ここまでの手順で自分たちだけでも十分作れます。一方で、既存の基幹システムとつなぐ、機密データを扱う、権限設計を厳密にする、といった段階になると、専門的な判断が必要になります。ここを独学で押し切ると、セキュリティの穴を見落としがちです。

コストの見落としもよくあります。AIの利用料そのものより、材料をそろえる時間、確認する人の工数、ルールを更新する手間のほうが、実は大きな負担です。運用コストの見える化はAI内製ツールの運用コストを見える化|月額の落とし穴と試算手順が参考になります。

「自分たちで全部やり切る」か「一部だけプロと組む」かは、扱うデータの重さで判断してください。社外に出せない機密や、間違うと契約に響く業務が絡むなら、最初の設計だけでも第三者の目を入れたほうが、結局は早くて安全です。

率直に言えば、Claudeでのエージェントづくりは、非エンジニアでも「入口」までは十分たどり着けます。ただし、権限設計とリスク対策の「詰め」の部分は、経験の差が出やすいところです。ここを軽く見ないことが、安心して任せられるエージェントへの分かれ道になります。

よくある質問

プログラミングができなくても自社エージェントは作れますか

範囲の狭い定型業務なら、非エンジニアでも作れます。Claudeに材料と短い指示を渡し、出力を確認して直すだけで動き始めます。ただし基幹システム連携や機密データを扱う段階になると、専門的な設計が必要になります。

完璧なプロンプトを作らないと成果は出ませんか

いいえ。短いたたき台を用意し、対話で詰めていけば十分です。それより「観測・計画・実行・検証・反復」のループと、人の確認をどこに置くかの設計が成果を左右します。

どの業務から始めるのがいいですか

次の3つを満たす業務がおすすめです。

  • 毎週繰り返す
  • 手順が決まっている
  • 間違えても大事故にならない

メールの下書きや議事録の要約などが向いています。まず1つに絞り、うまく回ってから次を足しましょう。

情報漏えいや誤送信が心配です

権限を読み取りだけから始め、送信や削除の前で必ず人が承認する形にすれば、大きな事故は防げます。誰が何を承認したかの記録も残しましょう。正確な権限設定の方法は公式ドキュメントで確認してください。

ここまで読んで、「入口までは自分でやれそうだが、権限設計やデータの扱いは不安が残る」と感じた方は、無理に一人で抱え込まなくて大丈夫です。株式会社コレットラボ(大分・福岡のAI業務システム化支援)では、任せる業務の切り出しから運用ルールづくりまで一緒に整理できます。まずは現状を棚卸しするだけでも構いませんので、AI業務システム化の詳細はこちらから気軽にご相談ください。

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