広告の効果測定ツールの選び方|無料でできる範囲と比較の軸
この記事の要点
- まずは無料の3つ(GA4・タグマネージャー・Looker Studio)で足りる
- 有料が要るのは商談・受注・電話・来店までつなぐとき。比較の軸は7つ
- 数字が合わない原因は計上日の違い。失敗例5つと直し方を本文で解説
広告の効果測定ツールは、まず無料の3つ(Googleアナリティクス4・Googleタグマネージャー・Looker Studio)で始めて、足りなくなった軸だけ有料ツールを足すのが現実的です。媒体数が少なく、Web上のコンバージョンまでを見たい段階なら、無料の組み合わせで媒体をまたいだコンバージョン計測とレポートまで作れます。
有料を検討する合図ははっきりしています。次の3つのどれかに当てはまったときです。
- 問い合わせの先(商談・受注)まで一本でつなぎたい
- 電話や来店で決まる
- 媒体が増えて、手作業での集計が毎月の負担になっている
この記事は、広告費を自社で見ている経営者・Web担当者に向けて「どの道具を選ぶか」に絞って書いています。読み終わる頃には、自社に有料ツールが要るかどうかを判断でき、要件シートを埋めてトライアルに進める状態を目指します。測り方そのものの手順はWeb広告の効果測定のやり方|3ステップで始めるで扱っているので、そもそもの流れが曖昧な方は先にそちらを読んでください。
Contents / 目次
結論。無料3点で始めて、足りない軸だけ有料を足す
広告効果測定ツールとは、広告の表示・クリックからサイト内の行動、問い合わせや購入までを同じ基準でつなぎ、媒体ごとの投資対効果を判断できるようにする仕組みのことです。ツールを入れる目的は「レポートを作ること」ではなく、次にどの媒体へいくら出すかを決められる状態を作ることにあります。
いきなり有料ツールを比較する前に、自社が今どの段階にいるかを決めてください。段階を飛ばすと、機能の半分を使わないまま契約だけが残ります。
| 段階 | 使うツール | できること | ここで詰まったら次へ |
|---|---|---|---|
| レベル1 無料で始める | Googleアナリティクス4(GA4)/Googleタグマネージャー(GTM)/Looker Studio/各媒体の管理画面 | フォーム送信・電話タップなどのコンバージョン計測、媒体別のクリック数とCV数、月次レポートの自動更新 | 媒体が増えて、手集計の時間が無視できなくなった |
| レベル2 レポートを自動化する | 広告レポート自動作成ツール(複数媒体のデータを毎日ダッシュボードに集めるタイプ) | Google・Yahoo!・Meta・LINEなどの数値を1画面に集約、予算消化の管理、レポート作成工数の削減 | 「問い合わせは増えたが受注につながったか」が分からない |
| レベル3 成果の先までつなぐ | 統合型の広告効果測定ツール(アトリビューション分析や自社データとの連携に対応するタイプ) | 広告接触から商談・受注・売上までの紐づけ、間接効果の評価、CRM/SFAとの連携 | ここまで来たら道具ではなく体制の問題 |
判断の分かれ目。月の広告費より、ツールの費用と設定工数のほうが大きくなるなら、まだ有料の段階ではありません。広告費の数%に収まるかどうかを、最初のふるいにしてください。
この記事では「どの道具を選ぶか」だけを扱います。フォーム送信をコンバージョンとして計測する具体的な実装はフォーム送信をコンバージョン計測する設定手順|GA4とGTM、費用対効果の計算式は広告の費用対効果の出し方|ROAS計算と指標の見方・目安で解説しています。
この章の結論は、自社の段階を1つに決めてから比較を始めることです。段階が決まれば、見るべきツールの種類は3つのうち1つに絞れます。
無料でできる範囲。GA4とタグマネージャーとLooker Studioでどこまで測れるか
無料の3点セットで、媒体をまたいだコンバージョン計測と、毎日自動更新されるレポートまで作れます。有料ツールが独占している機能は思ったより少なく、実際に差が出るのは「複数媒体のデータを自動で1つにまとめる部分」と「問い合わせの先をつなぐ部分」の2か所です。
無料でできること
- コンバージョンの計測:Googleタグマネージャー(GTM)でタグを1回入れれば、フォーム送信、電話番号のタップ、資料ダウンロード、特定ページの到達をイベントとして記録できます。
- 媒体別の成果比較:広告のリンクにパラメータ(utm_source など)を付けておけば、GA4の集客レポートで媒体別のセッション数とCV数を並べて見られます。
- Google広告との連携:Google広告とGA4を連携すると、キャンペーン単位の費用と成果を同じ画面で確認できます。
- レポートの自動更新:Looker Studioを使えば、GA4とGoogle広告のデータをつないだダッシュボードを作れます。一度作れば以降は自動で最新になるので、毎月の手作業はなくなります。
- 生データの保管:GA4にはBigQueryへデータを書き出す機能があります。設定手順と条件はアナリティクス ヘルプのBigQuery Exportの案内ページで確認してください。将来ツールを乗り換えるときの保険になります。書き出し先のBigQueryは別サービスなので、費用が発生するかどうかはBigQueryの料金ページで最新の内容を確認してください。
無料だと必ず詰まる4つの場所
無料でどこまで行けるかを過大に書いても意味がないので、実際に手が止まる場所を挙げます。ここに当たったときが、有料を検討するタイミングです。
- Google以外の媒体データを入れる手段を調べる必要がある。Looker Studioにどのデータをどうつなげるかは、Looker Studio ヘルプのデータソース接続の案内ページで確認できます。自社が使っている媒体のデータを入れる手段があるか、費用はかかるかを、ツールを選ぶ前に1媒体ずつ調べてください。ここを調べずに「無料で全部できる」と考えると、結局は毎月の手作業が残ります。
- 過去との比較が途中で切れる。GA4にはイベントデータの保持期間の設定があります。どのレポートに影響するか、選択できる期間はいくつか、変更したときにどう扱われるかは、アナリティクス ヘルプのデータ保持期間の案内ページで最新の内容を確認し、導入したその日に設定してください。
- 細かい行が「(other)」にまとめられる。GA4のレポートには扱えるデータ量の上限があり、条件によっては細かい行が「(other)」という行にまとめられます。広告のパラメータを細かく振りすぎると、肝心のキャンペーン名がこの行に飲み込まれることがあります。どんなときに起きるのか、回避する方法は何かはアナリティクス ヘルプのデータ制限に関する案内ページで自社のプロパティの条件に当てはめて確認してください。
- 問い合わせの先が追えない。無料の組み合わせで分かるのは「問い合わせが何件来たか」までです。その中の何件が商談になり、いくらの受注になったかは、CRMや受注データと突き合わせないと分かりません。Google広告にオフラインの成果を戻す方法はオフラインコンバージョンのインポート手順|Google広告で商談計測で解説しています。
この章の結論は、無料でも計測は十分にでき、詰まるのは「他媒体の自動集約」と「成果の先」の2点だということです。自社がこの2つで困っていないなら、有料ツールを比較する必要はまだありません。
有料の広告効果測定ツールを比較する7つの軸
有料ツールの比較は、機能一覧を横に並べても決まりません。決め手になるのは次の7つの軸です。この順に自社の答えを書き出すと、候補は自然に2〜3社まで絞れます。
| 比較の軸 | 見るポイント | 商談でそのまま聞く質問 |
|---|---|---|
| 1. 対応媒体 | 今使っている媒体すべてに標準で対応しているか。対応していない媒体は手入力になる | 「弊社が使っている媒体名を挙げます。追加費用なしで自動連携できますか」 |
| 2. 計測できる深さ | クリックまでか、CVまでか、商談・受注・売上金額までか | 「受注金額まで紐づける場合、こちら側に何のデータが必要ですか」 |
| 3. 自社データとの連携 | CRM・SFA・基幹システムとつなげるか。CSVの取り込みで済むか、API連携が要るか | 「弊社が使っているシステム名で、連携実績はありますか」 |
| 4. オフラインの成果 | 電話・来店・郵送資料など、Web以外の接点を計測に含められるか | 「電話でのお問い合わせは、どう計測しますか。別途オプションですか」 |
| 5. 計測方式とCookie規制への対応 | 1st Party Cookieやサーバーサイド計測に対応しているか。ブラウザ側の制限で数字が落ちないか | 「iOSのSafariから来たユーザーは、どこまで追えますか」 |
| 6. 運用の手離れ | 初期設定を誰がやるか、設定変更のたびに開発が要るか、レポートは自動で届くか | 「新しいキャンペーンを追加したとき、こちら側の作業は何分かかりますか」 |
| 7. やめるときのこと | 解約後にデータを持ち出せるか、タグの撤去は誰がやるか、契約期間の縛りはあるか | 「解約するとき、蓄積したデータはどの形式で受け取れますか」 |
ツールの種類も整理しておきます。名前が似ていても役割が違うので、ここを混ぜると比較になりません。個別のサービス名は挙げず、タイプで押さえてください。実際の候補は、次の分類のどれに当たるかを各社の公式サイトで確認しながら集めます。
- 統合計測・アトリビューション型:広告接触から成果までを一本の線でつなぐタイプ。間接効果の評価や、自社データとの紐づけに強みがあります。
- レポート自動化型:複数媒体の数値を毎日集めて、ダッシュボードとレポートにするタイプ。レポート作成の工数を減らすのが主な目的です。
- BI型:広告以外のデータも含めて、自由な切り口で分析するタイプ。Looker Studioもここに含まれます。
- 運用自動化寄り:予算配分や入札の調整まで踏み込むタイプ。計測より運用の自動化が主目的です。
「アトリビューション分析ができます」という表現は各社が使いますが、中身は同じではありません。どの接点をどう評価するモデルを選べるのか、そのモデルを社内の誰が理解して使うのかまで確認しないと、機能があっても誰も触らないまま終わります。
この章の結論は、7つの軸に自社の答えを書いてから候補を探すと、比較サイトを何時間見るより早く絞れるということです。特に「4. オフラインの成果」と「7. やめるときのこと」は聞かれ慣れていない質問なので、回答の具体さで相手の実力も分かります。
選び方の手順。要件を1枚にしてから2週間のトライアルで決める
ツール選定は、要件シートを1枚作って、候補3社に同じ質問をして、実データで2週間試す。この流れで進めれば、担当者1人でも1か月以内に決められます。
ステップ1. 今わからないことを1行で書く
最初にやるのは、機能の洗い出しではありません。「今、社長に聞かれて答えられない質問」を1行で書くことです。
たとえば、次のようなものです。
- Meta広告から来た人が、何か月後にいくら受注しているか分からない
- Google広告とMeta広告のどちらを削るべきか判断できない
この1行が決まると、7つの軸のうちどれが最優先かが自動的に決まります。逆にここが曖昧なまま比較を始めると、機能が多いツールが良く見えてしまいます。
ステップ2. 要件シートを1枚埋める
次のテンプレートをそのままコピーして、社内で埋めてください。埋まらない欄があるなら、その項目はまだ要件ではありません。
■ 広告効果測定ツール 要件シート(記入日 2026年 月 日)
1. 一番知りたいこと(1行)
例)問い合わせのうち、どの媒体経由が受注につながっているか
2. 使っている広告媒体(すべて)
Google広告 / Yahoo!広告 / Meta広告 / LINE広告 / その他( )
3. 月の広告費合計 万円
4. コンバージョン地点(複数可)
フォーム送信 / 電話 / LINE友だち追加 / 資料DL / 来店 / 購入
5. 成果をどこまでつなぎたいか
□ CVまで □ 商談まで □ 受注金額まで
6. 連携したい社内データ(システム名を書く)
例)kintone の案件管理テーブル
7. 毎週このレポートを見る人(役職と名前)
(見る人がいない場合は導入を保留)
8. 初期設定を担当できる人/依頼先
□ 社内( ) □ 制作会社 □ 代理店 □ 未定
9. 月あたりに出せる上限額(広告費の何%か)
広告費 万円 × % = 円まで
10. 導入して3か月後に「入れてよかった」と言える状態(1行)
ステップ3. 候補を3社に絞る
候補の集め方は、比較記事を読み漁るより、要件シートの「2. 使っている媒体」と「6. 連携したい社内データ」で公式サイトを検索するほうが早いです。対応媒体一覧に自社の媒体が全部載っているか、連携実績に自社のシステム名があるかで、ほとんどが落ちます。
絞る基準は次の3つです。
- 対応媒体が全部そろっていること
- 上限額の範囲に収まること
- 初期設定を代行してもらえるかがはっきりしていること
ここで4社以上残るなら、要件シートの1行目がまだ曖昧です。
ステップ4. 2週間のトライアルで「ズレ率」を測る
ここが選定で一番大事な工程です。デモ画面を見せてもらうだけでは決めないでください。自社の実データを1週間分入れて、媒体の管理画面が出している数字とツールが出す数字を突き合わせます。
- 直近で配信が安定していた1週間を選ぶ(キャンペーンを変更した週は避ける)。
- 媒体の管理画面から、媒体別のクリック数・費用・コンバージョン数を書き出す。
- 同じ期間をツール側で表示し、同じ3項目を書き出す。
- 項目ごとに「(ツールの値 − 管理画面の値)÷ 管理画面の値」を計算する。これがズレ率。
- ズレが出た項目について、担当者に「なぜズレるのか」を説明してもらう。
費用とクリック数はほぼ一致するはずなので、ここが大きくズレるなら連携設定を疑ってください。問題はコンバージョン数です。これは仕組み上ズレるのが正常で、大事なのはズレる理由を担当者が即答できるかどうかです。集計の基準がどう違うから何件の差が出ているのかを、公式の説明を示しながら答えられる相手なら信用できます。曖昧な答えしか返ってこないなら、導入後のトラブル対応も同じ品質になります。
ステップ5. 運用ルールを決めてから契約する
契約前に決めておくのは次の4つです。ここを空欄のまま契約すると、3か月後に誰も開かないダッシュボードが残ります。
- 見る人と頻度:毎週何曜日の何時に、誰が15分見るか。会議体に組み込む。
- 判断の閾値:どの数字がどうなったら配信を止める・増やすかを、自社の目標CPAをもとに決めて数字で書いておく。
- タグの管理権限:GTMとGA4の管理者アカウントは自社のメールアドレスで持つ。代理店には編集権限を渡す。
- 解約時の手順:データの書き出し形式と、サイトに入れたタグを誰が撤去するか。
AIに任せていい部分と、任せない部分
この選定作業のうち、生成AIが役に立つのは次の3つです。
- 要件シートの下書き
- 候補ツールの公式サイト情報を項目別に整理する
- レポートの考察文の下書き
反対に、どのツールを選ぶかの最終判断と、ズレ率の原因調査はAIに投げても答えが出ません。実データと社内事情を知っているのは人だけだからです。
長いプロンプトを作り込む必要はありません。次くらいの短い出発点から始めて、あとは対話しながら自社の状況を足していけば十分です。
あなたはBtoBのWeb広告運用に詳しい担当者です。
以下の状況で、広告効果測定ツールを選ぶときの要件を整理してください。
・業種[ ]/月の広告費[ ]万円/媒体[ ]
・今わからないこと[ ]
出力は「必須要件」「あると良い要件」「今回は不要」の3つに分けてください。
不足している情報があれば、先に質問してください。
この章の結論は、要件シート1枚と2週間のズレ率検証で、機能比較より確実に選べるということです。ステップ4で担当者の説明が曖昧だった候補は、その時点で落として構いません。
導入すると何が変わるか。工数とムダ打ちの減り方を自分で計算する
ツールを入れて最初に変わるのは、成果ではなくレポート作成の時間です。ここは他社の事例を見るより、自社の数字を入れて計算したほうが正確です。
計算式はこれだけです。「今のレポート作成時間(時間/月)× 担当者の時給 = 毎月かけている見えないコスト」。作業時間も時給も会社ごとに違うので、実際にかかっている時間をストップウォッチで1か月測って入れてください。この金額がツールの月額を上回るかどうかが、費用対効果の第1判定になります。
2つ目の変化は、判断のスピードです。媒体ごとの数字が同じ画面にそろうと、「今月Meta広告のCPAが跳ねている」に気づくまでの日数が短くなります。月末にまとめて気づく運用と、週1で気づく運用では、同じ予算でもムダ打ちの量が変わります。
運用が回っている状態をつくる3つの決めごと
- 毎週見る指標を絞る:費用、CV数、CPA、商談数、受注額のように、判断に直結する指標だけを最初の画面に置きます。指標を並べるほど、どれを見て決めるかが毎回ぶれます。
- 数字のズレを許容範囲として先に決めておく:媒体管理画面とツールでCV数が何%違うまでは正常とみなすかを社内で合意しておくと、毎回の説明が要らなくなります。
- 広告以外の数字も同じ画面に置く:問い合わせ後の商談化率や受注率を並べておくと、「広告が悪いのか、その後の対応が悪いのか」の切り分けがすぐ終わります。
効果測定まわりは、数字を集めて整えるところまでが自動化されていく流れにあります。だからこそ、これから人が価値を出せるのは「集まった数字を見て何をやめるか決める」部分です。
この章の結論は、ツールの効果はまず工数で回収し、成果はその後に付いてくると考えることです。導入初月に売上が伸びる前提で稟議を書くと、3か月目に説明できなくなります。
よくある失敗と回避法。広告効果測定ツール特有の5つ
ここで挙げるのは、効果測定ツールを入れたときにだけ起きる失敗です。どれも導入した直後の時期に集中して起きます。
失敗1. 媒体の管理画面とツールでCV数が合わず、社内で犯人探しが始まる
どういう状況で起きるかというと、導入した翌月の定例会議で、代理店が出す媒体レポートのCV数と、新しいツールのCV数が違うことに誰かが気づいたときです。
こうなると「どっちが正しいのか」「ツールが壊れているのでは」という話に時間を取られ、肝心の改善の議論が消えます。ツールが違えば集計の仕組みも違うため、数字が完全に一致することはありません。それぞれのツールが何をどう数えているかは、次の公式の説明で確認してください。
防ぎ方は、導入前に「どの数字を社内の正とするか」を1つ決めて、議事録に残すことです。あわせて許容するズレ幅も決めておくと、毎回の説明が不要になります。
失敗2. 古いタグを残したまま新しいツールを入れて、二重計測になる
過去に別の会社が設置したタグや、テーマファイルに直書きされた計測コードが残っているサイトで起きます。新しいツールのタグを追加すると、1件の問い合わせが2件としてカウントされ、CPAが実際の半分に見えます。
この状態でCPAが良いと判断して予算を増やすと、実際の獲得単価は倍のまま広告費だけが増えます。
防ぎ方は、ツールを入れる前にGoogleタグマネージャーの公開済みタグ一覧と、サイトのソースに直書きされているタグの両方を棚卸しすることです。1つずつ「これは何を測っているタグか」を書き出し、答えられないタグは一時停止して1週間様子を見ます。数字が変わらなければ不要なタグです。二重計測を避ける実装の考え方はGoogle広告コンバージョン設定をGTMで実装|二重計測を防ぐ手順にまとめています。
失敗3. Looker Studioで作るつもりが、データを入れる手段と作業時間を見落とす
「BIツールは無料だから」と決めたあとに、Meta広告やLINE広告の費用データを入れる段になって気づくパターンです。Googleのサービス以外のデータをどうやって入れるかは、媒体ごとに調べないと分かりません。手段が見つからなければ、毎月CSVを書き出してスプレッドシートに取り込む運用が残ります。
結果として、無料のはずが追加の費用と、ダッシュボードを組む作業時間が発生します。
防ぎ方は、Looker Studioを選ぶ前に「Google以外の媒体が何個あるか」を数え、それぞれのデータを入れる手段と費用を先に調べることです。媒体が増えるほど手作業も設定も膨らむので、その時点でレポート自動化型のツールと費用を比べたほうが早く決まります。
失敗4. データ保持期間の初期設定を変えず、1年前と比べられない
GA4を導入したときに、データ保持期間の設定を触らないまま運用を始めると起きます。設定を確認しないまま1年が過ぎ、前年同月と比較しようとした時点で、初めて振り返れる範囲に気づきます。
防ぎ方は、GA4を作った当日に管理画面のデータ保持設定を開き、そこで選択できる期間のうち一番長いものを選ぶことです。何が選べるか、どのレポートに影響するか、変更したときにどう扱われるかはアナリティクス ヘルプのデータ保持期間の案内ページで確認し、自社の管理画面に表示される選択肢を見て決めてください。あわせて、長期で残したいなら早い段階でBigQueryへの書き出しを設定しておきます。
失敗5. 同意管理の実装を後回しにして、数字が落ちたのをツールのせいにする
Cookieの同意バナーを後から入れた会社で起きます。同意を取っていない訪問者のデータが計測されなくなり、導入前と比べてCV数が減って見えます。これをツールの不具合と勘違いすると、原因の切り分けに数週間かかります。
防ぎ方は、同意管理の仕組みと計測ツールを同じタイミングで設計することです。何をどう実装するかの全体像は同意モードの設定手順|CMPとGTMで計測もれを防ぐ実装の全体像で解説しています。Cookie規制そのものの現在地はリマーケティング広告とCookie規制の現在地|備え方の進め方を参照してください。
この章の結論は、導入直後の数字の変化は、ほとんどが仕様か設定の残骸だということです。まず古いタグと同意設定を疑ってから、ツールの不具合を疑ってください。
ツールを入れても解決しないこと。契約前に知っておく妥協点
効果測定ツールには、営業資料に書かれない前提がいくつかあります。ここを知らずに契約すると「思っていたのと違う」になるので、率直に書きます。
数字は、どのツールを使っても完全には一致しません。媒体ごとに集計の基準もアトリビューションの考え方も違うため、複数のソースをそろえること自体が不可能です。統合型のツールが提供しているのは「一致させること」ではなく「同じ基準で並べ直して比較できるようにすること」です。この違いを社内に説明できないまま導入すると、毎月の会議が数字の照合作業で埋まります。
アトリビューション分析は、CV数が少ないと判断材料になりません。コンバージョン件数が少ない状態で「どの接点がどれだけ貢献したか」を数値化しても、1件増減しただけで順位が入れ替わります。自社の月間CV数を見て、1件の増減で結論が変わるようなら、高度な分析機能にお金を払うより、CV数そのものを増やす施策に回したほうが確実です。
計測が正確になっても、コンバージョンポイントが弱い問題は直りません。ツールが教えてくれるのは「どこで人が減っているか」までです。フォームの項目が多すぎる、電話番号がスマホでタップできない、といった原因は人が直します。広告からの流入はあるのに問い合わせが来ない場合の切り分けはWeb広告で問い合わせが来ない原因|5層で切り分ける点検手順にまとめています。
アカウントとタグの管理権限は、必ず自社で持ってください。代理店に運用を任せている場合、GA4・Googleタグマネージャー・各広告アカウントの管理者が代理店側になっているケースが少なくありません。この状態だと、契約を切り替えるときに過去データもタグも引き継げず、計測をゼロから作り直すことになります。管理者は自社のメールアドレス、代理店には編集権限、という分け方が基本です。任せ方の設計は内製化と外注のハイブリッド戦略|Web広告の役割分担5モデルで整理しています。
高機能なツールほど、初期設定を外部に依頼する前提で作られています。設定費用と、設定を変えるたびに発生する依頼のリードタイムを、月額とは別に見積もっておいてください。どのくらいで対応してもらえるかは契約先によって違うので、商談の時点で「設定変更を依頼してから反映まで何日かかりますか」と聞いて、書面で残してください。
なお、レポートの下書きや考察の文章づくりをAIに任せるのは有効ですが、どの媒体を止めるかの判断は人が持つのが前提です。この線引きの詳細はテーマが変わるので、ここでは踏み込みません。
この章の結論は、ツールが解決するのは「見えない」問題であって「弱い」問題ではないということです。見えるようになった後に誰が直すのかまで決めてから契約してください。
無料の広告効果測定ツールだけで、Google広告とMeta広告をまとめて見られますか
見られますが、Meta広告の費用データを自動で入れるには工夫が要ります。GA4なら両方の流入とコンバージョンを並べられます。ただしLooker Studioに費用まで入れるとなると、データを入れる手段を媒体ごとに調べる必要があります。媒体が増えて手作業が負担になってきたら、自動化ツールを検討する目安です。
広告効果測定ツールとGA4は何が違うんですか。両方必要ですか
GA4はサイト内の行動を見るツール、広告効果測定ツールは媒体をまたいで広告の貢献を評価するツールです。役割が違うので、有料ツールを入れてもGA4は残すのが一般的です。両方の数字が違うのは正常で、どちらを社内の正とするかを先に決めておくと混乱しません。
導入してから、判断に使える数字がそろうまでどのくらいかかりますか
かかる期間は、タグ設置と初期設定を誰がやるか、コンバージョン地点がいくつあるかで変わります。作業が終わってからも、判断できる件数がたまるまで待つ時間が要ります。過去データは基本的にさかのぼって取得できないため、導入した日からしか蓄積されません。前年比較をしたいなら、繁忙期の前に入れておくのが得策です。
電話や来店で決まる商売でも、広告効果測定ツールは役に立ちますか
役に立ちますが、選ぶツールが変わります。サイト上の電話番号タップは無料の組み合わせでも計測できますが、実際に通話につながったか、来店したかまでを含めるには、電話計測や来店計測に対応したツールが必要です。比較の軸4番として、最初に確認してください。
代理店に運用を任せている場合、ツールは自社で契約したほうがいいですか
自社契約をおすすめします。代理店名義だと、契約を見直すときに過去データが引き継げません。少なくともGA4とGoogleタグマネージャーの管理者アカウントは自社のメールアドレスで作り、代理店には編集権限を渡す形にしておくと、乗り換えのときに困りません。
今日の最初の一歩
まずは1分でできることから始めてください。GA4の管理画面を開いて、データ保持期間の設定が初期値のままになっていないかだけ確認しましょう。ここが短い期間のままなら、その場で選べる中の一番長い期間に変えるだけで、1年後の比較ができるようになります。
そのうえで測り方の型から整えたい方は、Web広告の効果測定のやり方|3ステップで始めるを続けて読むと、道具選びと運用がつながります。
要件シートを埋めてみたものの「うちの場合はどこまで必要なのか」が判断しづらい、設定を触れる人が社内にいない、という状態であれば、現状を整理するところからご相談ください。今使っている媒体と、いま見られていない数字を教えていただければ、有料ツールが要るのかどうかの判断だけでもお手伝いできます。お問い合わせフォームから、お気軽にお声がけください。
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