リマーケティング広告とCookie規制の現在地|備え方の進め方
この記事の要点
- ChromeのサードパーティCookie全廃は撤回済み。リマーケティング広告は今も配信できる
- SafariとFirefoxでは以前からブロック済み。母数と計測の目減りは進行中
- 備えは3つ。同意管理・サーバー側計測・自社名簿化を5ステップで解説
「リマーケティング広告はもう廃止されるらしい」と社内で言われて、調べにこられた方が多いと思います。結論から言うと、2026年8月2日時点でリマーケティング広告は廃止されていませんし、Google広告でもYouTubeでも配信できます。
この記事は、Google広告やMeta広告を自社で回している、あるいは代理店に任せつつ自分でも中身を把握しておきたい中小企業の広告担当者・経営者に向けて書いています。読み終わる頃には、自社が今どれくらい影響を受けているかを数字で把握し、来月から着手する順番を決められる状態を目指します。
扱う範囲は、Cookie規制の現在地と、配信量・計測精度を守るための具体的な備え方です。配信頻度の決め方そのものは扱わないので、その部分はリマーケティング広告の頻度|嫌われない上限・除外・鮮度の決め方を先に読んでいただくと話が早いです。
Contents / 目次
「リマーケティング広告は廃止」は誤解。2026年8月時点の現在地
リマーケティング広告は廃止されません。廃止が予定されていたのは「Chromeのサードパーティ Cookie」であって、広告メニューそのものではありません。しかもその廃止計画自体が、Googleによって撤回されています。
時系列を整理します。一次情報はGoogleのPrivacy Sandbox公式サイトのニュース一覧で公開されているので、日付と原文はそちらで確認してください。
- Chromeでのサードパーティ Cookie:完全に廃止する計画は取り下げられ、既定では利用できる状態が続いています
個々の発表の日付と原文は、上のニュース一覧で必ず確認してください。方針は今後も変わりえます。
いま起きていること。サードパーティ Cookieは、廃止されるという話だったのにブラウザに残りました。ただしそれは、Safari・Firefoxでのブロックや法規制まで解けたという意味ではありません。

ブラウザごとの現在地を1枚で確認する
「使える/使えない」はブラウザによってまったく違います。自社の広告がどれくらい影響を受けるかは、訪問者がどのブラウザを使っているかで決まります。
| ブラウザ・環境 | サードパーティ Cookieの扱い | リマーケティングへの影響 |
|---|---|---|
| Google Chrome | 完全廃止は撤回。既定では利用可能(利用者が設定で制限は可能) | 従来どおり配信・計測しやすい |
| Apple Safari | ITP(Intelligent Tracking Prevention)によりブロック済み | 従来型のタグだけでは追えない。名簿型・サーバー側計測で補う |
| Mozilla Firefox | ETP(Enhanced Tracking Protection)で追跡目的のものを制限(詳細はMozilla公式サポートで確認) | Safariと同じ扱いで考える |
| スマホアプリ内(iOS) | アプリ間のトラッキングは利用者の許可が前提(Apple公式のApp Tracking Transparency) | アプリ経由の流入は計測が欠けやすい |
つまり、Cookieレスへの対応はすでに何年も前から半分始まっていて、Chromeの撤回でそれが巻き戻ったわけではないということです。「廃止が撤回されたから何もしなくていい」が、いま一番危ない誤解です。
リマーケティング広告とは。どこがCookieに依存しているのか
リマーケティング広告とは、自社サイトを訪問した人やアプリを使った人に対して、あとから別の場所で広告を配信する手法のことです。媒体によって「リマーケティング」「リターゲティング」と呼び方が分かれることがありますが、指しているものはほぼ同じです。自社が使う媒体での正式な名称は、各媒体の公式ヘルプで確認してください。
仕組みはシンプルです。サイトに設置したタグが「この端末はページAを見た」という印を残し、その印を持つ人にだけ広告を出す。お店で言えば、来店した人に渡した会員カードの番号を見て、後日ダイレクトメールを送るようなものです。
Cookieに依存しているのは、この「印」の部分です。印が消えれば、その人はリストから外れます。Safariでは追跡目的のCookieがブロックされるため、従来型のタグだけで訪問者を長期間追いかけることはできません。ITPの具体的な挙動はWebKit公式のTracking Prevention解説で確認してください。
今やるべきことは3つ
細かい技術論に入る前に、優先順位だけ先に示します。上から順にやってください。
- 同意の取り方を整える:訪問者から取得の同意を得て、その状態を計測タグ側にも伝える。法令対応と計測回復を同時に進める土台になります
- 計測をブラウザ任せにしない:コンバージョンAPIやサーバーサイドのタグ管理で、広告媒体へのデータ送信経路を1本増やす
- 自社の名簿を資産にする:問い合わせ・購入・会員のメールアドレスを整えて、カスタマーマッチやカスタムオーディエンスとして使える形にする
この3つは、どれもサードパーティ Cookieが残るか消えるかに左右されません。だから、Chromeの方針がまた変わっても無駄になりません。
今日から進める備え方。5ステップの手順
ここが記事の主役です。5つのステップに分け、各ステップで「何を・どこで・どう決めるか」まで落とします。ステップ1だけなら30分で終わります。
ステップ1。自社の被害額を先に測る(所要30分)
対策の前に、影響量を数字で押さえます。ここを飛ばすと、必要のない投資をしたり、逆に緊急度を見誤ったりします。
GA4で、ブラウザ別のセッション数とコンバージョン数を直近90日で並べてください。レポート画面の名称や項目の置き場所は変わることがあるので、実際の操作はアナリティクス ヘルプ「[探索]の概要」で確認してください。見るのは次の2点です。
- SafariとFirefoxの合計セッションが、全体の何%か。これがそのまま「従来型リマーケティングが届きにくい層」の規模です
- そのうちコンバージョンが何件あるか。件数が多いほど、対策したときに戻ってくる金額も大きくなります
比率が高いほど、サーバー側計測まで踏み込む価値が上がります。何%から着手すべきかという一律の基準はなく、広告費の規模とCV件数によって判断が変わります。比率が小さく月間の広告費も小さいなら、ステップ2と4だけでも十分に効きます。
ステップ2。同意の取得と、同意状態のタグ連携をつなぐ
Cookieや閲覧履歴を広告に使う場合、取得や外部送信について利用者に知らせ、必要な場面では同意を得ることが求められます。日本でも、外部へデータを送る際のルールが法令で定められています。制度は継続して見直されており、総務省の報道資料「改正電気通信事業法等の施行に伴う訓令及びガイドラインの改正」のように、訓令やガイドラインの改正も随時公表されています。自社に適用される条文は、所管省庁の公表資料と顧問弁護士で確認してください。
実務としてやることは2つです。
- 同意バナー(CMP)を設置する
- 取得した同意状態をGoogleのタグに伝える同意モードを設定する
ここを片方だけやると、バナーは出ているのに計測は全部止まる、という一番もったいない状態になります。
同意モードの初期値は、次のような形で読み込み前に指定します。CMPを導入している場合は、CMP側が同等の設定を自動で出すことが多いので、二重に書かないでください。下のコードはあくまで書き方のイメージです。パラメータ名・指定できる値・待ち時間の扱いはバージョンによって変わるため、実装するときは必ずGoogle公式の同意モードのリファレンスの記述に合わせてください。
// 前提:Googleタグ(gtag.js)を読み込む「前」に実行する
// CMPを入れている場合は、CMP側が同等の初期値を出力するので重複させない
// ※各パラメータの正式な名称・指定できる値は公式リファレンスで確認する
window.dataLayer = window.dataLayer || [];
function gtag(){dataLayer.push(arguments);}
// 既定値。まだ同意を得ていない状態
gtag('consent', 'default', {
'ad_storage': 'denied',
'ad_user_data': 'denied',
'ad_personalization': 'denied',
'analytics_storage': 'denied',
'wait_for_update': 500 // [同意バナーの応答を待つ時間。指定の単位と挙動は公式リファレンスで確認]
});
// 利用者が「同意する」を押したときに実行する
function onUserAccepted() {
gtag('consent', 'update', {
'ad_storage': 'granted',
'ad_user_data': 'granted',
'ad_personalization': 'granted',
'analytics_storage': 'granted'
});
}
つまずきやすいのは、同意バナーのスクリプトがGoogleタグより後に読み込まれてしまうケースです。この順番が逆だと初期値が効かず、同意前のデータが送られてしまいます。実装の全体像とGTMでの組み方は同意モードの設定手順|CMPとGTMで計測もれを防ぐ実装の全体像で詳しく書いています。
ステップ3。計測経路をブラウザの外にもう1本つくる
ブラウザのタグ1本に頼らず、自社のサーバーから広告媒体へ直接コンバージョンを送る経路を追加します。MetaのコンバージョンAPIや、Googleのサーバーサイド タグ設定がこれにあたります。仕様は更新されるので、実装前に必ず各公式ドキュメントを開いてください。
効果は「精度が上がる」というより「取りこぼしが減る」です。ブラウザ側でブロックされたぶんを、サーバー側が拾い直すイメージだと考えてください。
進め方の順番は次のとおりです。どちらから着手するかは、自社が使っている媒体と、社内で触れる環境によって変わります。両方を同時に始めず、1媒体ずつ進めてください。
- 広告費を多く使っている媒体から1つだけ選んで着手する。同時に複数を触ると、数字が動いた原因が分からなくなる
- ブラウザ側のピクセルは止めずに併用する。止めると比較ができなくなる
- ブラウザ側とサーバー側に同じ識別子を持たせて重複を除外する。具体的な項目名と手順は上のMeta公式ドキュメントで確認する。ここを抜かすとCV数が二重に増え、CPAが実態より良く見える
- 数値が落ち着くまで運用したうえで、管理画面のCV数と自社の実件数(問い合わせフォームの受信数など)を突き合わせる
具体的な設定の流れはMeta広告コンバージョンAPIの設定手順|4ステップと重複除外にまとめています。BtoBで商談化まで見たい場合は、オフラインコンバージョンのインポート手順|Google広告で商談計測と組み合わせると、入札AIに渡す情報の質が変わります。
ステップ4。自社の名簿を、広告に使える形に整える
Cookieが消えても消えないのが、自社で持っているメールアドレスと電話番号です。これを媒体に取り込んで配信する機能が、Google広告のカスタマーマッチと、Meta広告のカスタムオーディエンスです。利用条件・必須項目・ファイル形式は媒体側で更新されるので、着手前に各公式ヘルプを開いてください。
作業の中身は、ほぼデータの整形です。次の形をたたき台に使ってください。実際のヘッダー名・必須項目・電話番号や氏名の表記ルールは媒体ごとに違うので、最終的な形は上の公式ヘルプに合わせてください。
# 顧客リストを媒体へ渡す前の整形テンプレート(ExcelでもGoogleスプレッドシートでも可)
email,phone,first_name,last_name,country,zip
taro.yamada@example.co.jp,+819012345678,太郎,山田,JP,8700036
# 整形の決まりごと
# 1. メールは前後の空白を削除し、すべて小文字にそろえる
# 2. 電話番号の書き方(国番号の要否・記号の扱い)は媒体の公式ヘルプに従う
# 3. 配信停止・退会の人は行ごと削除する。ここが一番の事故ポイント
# 4. 「返信不要」「テスト用」など社内用のアドレスも先に落とす
# 5. リストが有効になる件数の条件は媒体ごとに違うので、各媒体の公式ヘルプで確認する
整形と分類は、AIに下ごしらえさせると速いです。ざっくり頼めば手順は向こうが整えてくれるので、出発点はこの程度の短い指示で十分です。
あなたはBtoBの広告運用担当です。添付のCSVは自社の顧客リストです。
[業種を入力]の会社で、[商材を入力]の再アプローチに使います。
1. メール・電話・氏名の表記ゆれを整え、重複行をまとめてください
2. 「既存顧客」「失注」「商談中」に分ける案を出してください
3. 分類に必要な列が足りない場合は、何の列を足すべきか指摘してください
※あとは対話しながら、自社の実データに合わせて詰める
実際の顧客データをそのままAIに貼る前に、社内の取り扱いルールを必ず確認してください。判断がつかない場合は、氏名やメールをダミーに置き換えたサンプル数十件で処理の型だけ作り、本番データは同じ手順を人が実行するのが安全です。
ステップ5。Cookieに依存しない配信面を1つ足す
リマーケティングだけに戻り客の獲得を任せている状態は、規制の変化に弱いです。行動履歴ではなく、閲覧中のページ内容に合わせて配信するコンテキストターゲティングを、予算の一部を割いて並走させてください。
やり方は難しくありません。既存のディスプレイキャンペーンをもとに、ユーザー属性や行動でのオーディエンス指定を使わず、自社商材と関連の深いテーマ・トピックでの指定に置き換えます。管理画面のメニュー名や設定場所は変わることがあるので、実際の操作手順はGoogle広告ヘルプで確認してください。数値が落ち着くまで運用したうえで、リマーケティングと比べたCPAの差を見ます。
着手前チェックリスト
- 影響量:GA4でSafari・Firefoxのセッション比率とCV数を出したか
- 同意:バナーが表示され、かつタグ側に同意状態が伝わっているか
- 読み込み順:同意用スクリプトがGoogleタグより先に読み込まれているか
- 二重計測:ブラウザ側とサーバー側の両方を送っていて、重複除外ができているか
- 名簿:広告に使える顧客リストが、整形済みのCSVで手元にあるか
- 突き合わせ:管理画面のCV数と、自社で数えた実件数を月1回比べる担当者を決めたか
Google広告とYouTubeでのリマーケティングはどうなっているか
結論として、Google広告のリマーケティングもYouTubeでのリマーケティングも、2026年8月2日時点で通常どおり利用できます。 ただし、リストの集まり方には媒体ごとに差が出ています。

Google広告のリマーケティングで今起きていること
Google広告のリマーケティングは、サイトタグで集めた訪問者リストを使って、検索・ディスプレイ・YouTubeなどに配信する仕組みです。 ここで起きている変化は「配信できなくなった」ではなく「リストに入る人数が以前より減る」です。
SafariとFirefoxからの訪問者は最初からリストに入りにくく、同意を得られなかった訪問者も対象外になります。結果として、以前と同じ設定でも、リストのサイズが数か月かけてじわじわ縮みます。
リストのサイズが小さいと、そのリストを配信に使えるかどうかは媒体側の条件次第になります。管理画面のオーディエンス一覧でリストのサイズを月1回見る習慣を作り、配信に使うための条件はGoogle広告ヘルプ「データセグメントについて」など、各媒体の公式ヘルプで確認してください。
YouTubeのリマーケティングは相対的に強い
YouTubeでのリマーケティングは、サイト訪問者リストのほかに、動画の視聴者・チャンネル登録者などをもとにしたリストを使えるのが特徴です。Google広告アカウントとYouTubeチャンネルを連携させると、こうしたリストが使えるようになります。使えるリストの種類と連携の条件はGoogle広告ヘルプ「YouTubeチャンネルをGoogle広告アカウントにリンクする」で確認してください。
動画視聴者リストは、サイトに設置したタグとは別の仕組みで作られます。そのため、サイトタグ由来のリストが痩せていく局面でも、配信の受け皿をもう一つ持てるという意味があります。
使える動画がないという場合でも、スマホで撮った3分程度の商品説明や、既存のセミナー録画の切り出しで十分に成立します。まずは視聴者を貯めるところから始める、という順番で考えてください。
リマーケティング広告の効果はどう変わったか。見るべき指標
効果の出方は変わりました。ざっくり言うと、リマーケティングは「安く戻り客を拾える魔法の枠」ではなくなり、「名簿の質がそのまま成果に出る枠」に変わっています。

まず押さえてほしいのは、媒体管理画面のコンバージョン数が、実際の件数より少なく出るケースが増えたという点です。計測できなかったぶんは記録に残らないので、CPAが実態より悪く見えます。
ここで判断を誤る会社がとても多いです。実際には問い合わせが来ているのに、管理画面の数字だけを見て「効いていない」と判断し、広告を止めてしまう。止めたあとに問い合わせが減って初めて気づく、という流れです。
毎月やる突き合わせ。管理画面のCV数と、自社で数えた実件数(フォーム受信・電話・チャットの合計)を並べて記録してください。この2つの差が計測欠損の目安になります。差が大きいと感じたら、ステップ3のサーバー側計測を優先してください。
数字のイメージを、例示として置いておきます。仮に月20万円の広告費で、管理画面のCVが10件(CPA2万円)と表示されていたとします。実際のフォーム受信が14件あるなら、実質のCPAは約1万4,000円です。この差を把握していれば「止める」ではなく「もっと出す」が正しい判断になります。数値は業種と単価で大きく変わるので、この計算式だけを持ち帰ってください。
成果が出ている会社に共通しているのは、名簿を持っていることです。訪問履歴だけに頼らず、資料ダウンロード・セミナー参加・過去の取引先といった自社データを広告に接続できているかどうかで、Cookie規制の影響の受け方がまるで違います。
実務の現場から見た所感を、率直に一つ書いておきます。「Cookie規制で困っている会社の大半は、規制そのものではなく、自社の顧客名簿が広告に使える形になっていないことで困っています」。これは弊社(株式会社コレットラボ/大分・福岡でAI業務システム化とWeb集客を支援)が支援先で繰り返し見ている状況です。
なお、広告の品質や取引の健全性という観点では、業界側の整備も進んでいます。日本インタラクティブ広告協会が公表するJICDAQ宣言では、広告関係3団体がデジタル広告品質認証機構(JICDAQ)を設立した趣意が示されています。 媒体や代理店を選ぶ際の一つの視点として知っておいて損はありません。
よくある失敗と回避法
ここからは、実際の現場でよく見る失敗です。どれも「知っていれば防げた」類のものばかりです。

失敗1。撤回のニュースを見て、対応を全部止めてしまう
起きる状況は、経営会議で「Cookie廃止は中止になったらしい」という話が出て、進めていたCMP導入や計測改修が予算ごと消えるパターンです。
その結果どうなるかというと、SafariとFirefoxからの訪問者は相変わらず追えないまま、同意取得の整備だけが遅れます。半年後に法令対応の必要が出たとき、慌てて短納期で入れることになり、かえって高くつきます。
防ぎ方は、ステップ1の数字を出して共有することです。「Safari比率が◯%で、そこからのCVが月◯件ある」と示せば、廃止の有無とは関係のない話だと伝わります。感覚論で押し返さず、自社の数字で説明してください。
失敗2。同意バナーを入れただけで、計測が丸ごと止まる
起きる状況は、法務主導でCMPだけ先に導入し、広告タグ側との連携が行われないケースです。
結果として、同意していない訪問者のデータが完全に送られなくなり、コンバージョン数が急に落ち込みます。入札AIは学習データが減った状態で判断するため、CPAが不安定になります。
防ぎ方は、CMPの導入と同意モードの設定を同じプロジェクトとして進めることです。担当が分かれるなら、公開前にテスト環境で「同意前・同意後」の両方でタグの発火を確認する工程を必ず入れてください。
失敗3。サーバー側計測を入れて、コンバージョンが二重に増える
起きる状況は、ブラウザ側のタグとサーバー側の送信を併用したのに、重複除外の設定が抜けているケースです。
結果は分かりやすく、同じ1件が2件として記録され、CV数が水増しされます。CPAも実態より良く見えます。良くなったと勘違いして予算を増やし、あとで実件数と合わずに混乱します。
防ぎ方は、導入直後の3日間、必ず自分でテスト送信して1件が1件として記録されるかを確認することです。重複除外用の識別子が両方の経路に入っているかをチェックしてください。フォームまわりの計測設計はフォーム送信をコンバージョン計測する設定手順|GA4とGTMを参考にしてください。
失敗4。リストが痩せているのに、同じ設定で回し続ける
起きる状況は、半年前に作ったリマーケティングのリスト設定を、そのまま放置しているケースです。有効期間を長めに設定していると、名目上の人数は多く見えます。設定できる期間の上限は媒体とリストの種類で違うので、自社の設定値は管理画面と各媒体の公式ヘルプで確認してください。
結果として、実際に配信が届く人はどんどん減っているのに、管理画面上は問題なさそうに見えます。表示回数が静かに落ち、気づいたときには成果もゼロに近づいています。
防ぎ方は、月次でリストのサイズを記録することです。前月より目に見えて減っていたら、名簿型のリストを追加するか、新規流入を増やす施策に予算を振り分けてください。配信の頻度と除外の考え方はリターゲティング広告がうざいを防ぐBtoBの頻度設定と除外術も併せてどうぞ。
現場で見えた落とし穴と、正直な妥協点
ここからは、教科書には書かれない部分です。相談を受けていて「先に言っておけばよかった」と思うことを率直に書きます。
サーバー側計測は、入れれば終わりではない
サーバーサイドの計測は強力ですが、維持コストが発生します。サーバーの利用料が毎月かかりますし、媒体側の仕様が変われば設定の見直しも要ります。「一度作れば放っておける」ものではありません。
正直な線引きを言うと、広告費の規模が小さいうちは、まずは同意モードの正しい実装と、コンバージョンAPIによる送信経路を1媒体だけ整えるところまでで十分な効果が得られることが多いです。そこから先は、毎月のサーバー費用と見込める回収額を見比べて判断してください。
CMPは「入れる」より「誰が運用するか」で詰まる
同意管理のツールは導入自体はそれほど大変ではありません。詰まるのは、そのあとです。同意の文言を誰が決めるのか、タグを追加したときに誰が分類を更新するのか、この担当が決まっていない会社がとても多いです。
結果として、新しく追加した広告タグが同意管理の対象から漏れ、バナーはあるのに実態が伴っていないという状態になります。導入時に「タグを追加したら必ず分類を見直す」というルールを、運用マニュアルの1行として書き残してください。
代理店に任せる場合、確認すべきは1点だけ
代理店選びで見るべきは、提案書の分厚さではありません。「管理画面のCV数と、御社の実際の問い合わせ件数を毎月突き合わせていますか」と聞いてみてください。
この質問に対して、突き合わせの実績や方法をすぐ答えられる担当者は、計測の欠損を前提に運用している人です。逆に「管理画面の数字で問題ありません」で終わる場合は、Cookie規制の影響を見ていない可能性があります。
内製と外注の切り分け
| 作業 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| GA4でのブラウザ別確認 | 内製 | 30分で終わり、判断の起点になるため自社で持つべき |
| 顧客リストの整形・アップロード | 内製 | 個人情報を外に出す回数を減らせる。AIで下ごしらえも可能 |
| 同意モードとCMPの実装 | 相談推奨 | 読み込み順や分類の抜けが起きやすく、公開後に気づきにくい |
| サーバー側計測の構築 | 外注または伴走 | 初期構築と重複除外の検証に専門知識が要る |
| 月次の数字の突き合わせ | 内製 | 実件数を数えられるのは自社だけ。ここは外注できない |
役割分担の考え方全体は内製化と外注のハイブリッド戦略|Web広告の役割分担5モデルで整理しています。
よくある質問
リマーケティング広告は結局いつ廃止されるの?
廃止の予定はありません。廃止が検討されていたのはChromeのサードパーティ Cookieで、その計画自体が撤回されています(2026年8月2日時点)。 ただしSafariとFirefoxでは以前からブロックされているため、届く人数が減る流れは続きます。
対策には全部でいくらくらいかかりますか?
やる範囲で大きく変わります。GA4での確認と顧客リストの整形は自社の工数だけで済みます。同意管理ツールの費用はサービスによって幅があるので、候補を2〜3社ならべて公式サイトの料金ページで確認してください。サーバー側計測は毎月のサーバー費用が発生します。まずは費用ゼロでできるステップ1と4から始めるのが現実的です。
効果が出るまでどれくらいかかりますか?
計測の改善は設定した翌日から数字に現れます。ただし、入札AIが新しいデータで学習し直すまでは数字が動くので、設定直後の数日で良し悪しを決めないでください。どれくらいで落ち着くかは配信量とCV件数によって変わります。顧客リストの配信は、アップロード後に照合が終われば数日で動き始めます。
BtoBでリストの人数が全然足りない場合はどうすれば?
訪問者リストで人数を稼ぐより、資料ダウンロードや過去の名刺データを名簿化する方が早いです。成約に近い層が集まっていれば、人数が少なくても機能します。それでも足りない場合は、リマーケティングにこだわらず検索広告に予算を集中させる判断も有効です。
同意バナーを出すと、コンバージョンは減りますか?
計測できる件数は一時的に減ることがあります。同意を得られなかったぶんの扱いは媒体側の仕組みによるので、自社の場合にどうなるかはGoogle広告ヘルプ「コンバージョン モデリングについて」で確認してください。バナーだけ入れて連携を怠ると減り幅が大きくなるので、必ずセットで実装してください。
まずはGA4を30分だけ開いてみてください
今日できる最初の一歩は、GA4でブラウザ別のセッションとコンバージョンを見ることです。SafariとFirefoxの合計比率が分かれば、自社が急ぐべきかどうかがその場で判断できます。ここまで読んで手を動かす気になった方は、続けて同意モードの設定手順|CMPとGTMで計測もれを防ぐ実装の全体像を開くと、そのまま実装まで進めます。
数字を出してみて「思ったより影響が大きいけれど、社内で誰がやるか決まらない」となった方は、状況を整理するところからでもお手伝いできます。何をどの順番でやるべきか、御社の広告費と体制に合わせて一緒に考えますので、気軽に声をかけてください。
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