工務店のインスタ集客|費用の内訳と外注前に決める3つ
この記事の要点
- 見積もりは総額でなく、含まれる作業時間で比べる。撮影の有無で中身が変わる
- 施工事例は概算費用・工期・対応エリアを書いた投稿だけが問い合わせに変わる
- 外注しても社内に残る作業は3つ。契約前の確認項目も本文に一覧で載せています
工務店のインスタ集客を外注するかどうかは、「月いくらか」ではなく「その金額に何時間ぶんの作業が入っているか」で判断できます。同じ月額でも、現場での撮影が含まれるかどうかで中身は大きく変わります。ここを見ずに総額だけを比べると、安いほうを選んだあとで素材が集まらず、投稿が続かなくなることがあります。
この記事は、注文住宅やリフォームを手がける工務店で、Instagram運用を外注するか自社でやるかを決める立場の方(経営者・役員・営業責任者)に向けて書いています。読み終わる頃には、見積書のどこを見るか、社内に残る作業は何か、契約前に何を確認するかが決まった状態を目指します。
投稿の操作手順そのものは扱いません。プロフィールやリンクの直し方はインスタで集客できない原因と問い合わせにつながる導線の直し方にまとめてあるので、担当者の方はそちらから読んでください。
Contents / 目次
工務店のインスタ集客で、外注前に決める3つ
外注先を探し始める前に、社内で決めておくことが3つあります。この3つが決まっていないと、どの会社に頼んでも同じところで止まります。逆に決まっていれば、見積もりの精度が上がり、比較もできるようになります。
- 誰に見せるか。施工エリア(車で何分の範囲か)と、主力の価格帯・工法・得意な間取りを1行で言えるようにする
- 誰が撮るか。完成現場の写真と動画を、いつ・誰が撮るのか。社内で撮るのか、撮影ごと外注するのか
- 誰が受けるか。DMと見学会予約が来たとき、最初に返信する人と、返信までの時間の上限
特に2番目が決まらないまま契約すると、運用代行が入っても投稿が作れません。工務店の場合、投稿の素材は必ず現場にあり、現場は社内にしかありません。企画を外に出せても、素材の供給元は社内に残ります。
任せられる作業と、社内に残る作業
結論から言うと、企画・編集・投稿・分析は外に出せますが、掲載許可・数字の確認・商談の判断は社内に残ります。どの運用代行会社を選んでも、この線は基本的に動きません。
| 作業 | 外注できるか | 社内に残る理由 |
|---|---|---|
| アカウントの方針決め・コンセプト設計 | 外注できる(社内ヒアリングは必要) | — |
| 完成現場・施工中の撮影 | 外注できる(別料金のことが多い) | — |
| リール編集・フィード制作・投稿 | 外注できる | — |
| 施主・元請けへの掲載許可の取得 | 外注できない | 契約関係があるのは工務店側だけ |
| 概算費用・工期・仕様の確認 | 外注できない | 間違えると見積もりの信頼を失う |
| DMの一次返信 | 一部は外注できる | 予算・土地の有無の判断は社内 |
| 見学会の予約対応・商談化 | 外注できない | 営業そのもの |
| 月次の数字の確認と次月の企画 | 外注できる(報告は受ける) | — |
ここが判断の分かれ目。「全部お任せください」と言われた場合は、掲載許可と数字の確認を誰がやる想定なのかを必ず聞いてください。ここを曖昧にしたまま進めると、施主への確認が誰からも行われないまま投稿が出ます。
任せる範囲と社内に残る仕事の一般的な線引きはSNS運用代行に依頼できる業務と自社に残る仕事の線引きでも解説しています。工務店以外の業種にも共通する部分はそちらを見てください。
この章の結論。エリアと価格帯、撮影担当、DMの受け手。この3つを紙に書いてから見積もりを取ると、会社ごとの提案の違いが比べられるようになります。
費用は何で変わるか。見積もりを作業時間で読み解く
工務店のInstagram運用の見積もりは、会社によって金額に差が出ます。差が生まれる理由は、含まれる作業時間が違うからです。金額の総額だけを並べても比較になりません。見積書を受け取ったら、次の作業がそれぞれ月に何時間ぶん入っているかを聞いてください。
見積もりに入っているかを確認する作業項目
下の表は、工務店のアカウントを月に投稿12本前後で回す場合に発生する作業です。作業量は現場の数や編集の凝り方で大きく変わるため、時間はあえて書いていません。それぞれ何時間ぶん見ているかを運用代行会社に書き出してもらい、社内でやる場合の負担と並べて比べてください。
| 作業 | 中身 | 担当と確認の仕方 |
|---|---|---|
| 方針決め(初月のみ) | 商圏・価格帯・コンセプトの言語化、競合アカウントの確認、プロフィール文とハイライトの設計 | 初月に集中する。何時間見ているかを見積書に書いてもらう |
| 撮影 | 完成現場1件あたり、写真と動画素材の撮影。移動を含む | 1現場あたりの拘束時間と交通費の扱いを確認する |
| リール制作 | 素材の選定、カット、テロップ、書き出し | 1本あたりの制作時間と、修正が何回まで含まれるかを確認する |
| フィード・カルーセル制作 | 写真の補正、文字入れ、キャプション執筆 | 1本あたりの制作時間と、月に何本作るかを確認する |
| 数字の確認 | 概算費用・工期・延床・仕様をキャプションに載せる前に社内で確認 | 社内作業。誰がいつ確認するかを決める |
| ストーリーズ | 現場進捗や日常の投稿、質問スタンプの運用 | 含まれるかどうかと、週あたりの本数を確認する |
| DMの一次対応 | 返信、エリア・予算の聞き取り、見学会案内 | 社内作業。当番と返信までの時間の上限を決める |
| 月次レポートと次月企画 | インサイトの数値の確認と改善案 | 数字だけか、次月の企画案まで入るかを確認する |
この表を見ると、費用の差が生まれる場所がはっきりします。撮影が入っているかどうかで、月あたりの作業量が現場1件ぶんまるごと変わります。ここが「安い見積もり」と「高い見積もり」の中身の違いの大部分です。
安い見積もりで実際に起きること
撮影が含まれない契約では、素材の提供が工務店側の宿題になります。現場監督が引き渡し前の忙しい時期にスマートフォンで撮り、それが上がってこないと投稿が作れません。
素材が上がってこない状態が続くと、運用代行会社は手元にある素材、つまり過去の完成写真を使い回すようになります。同じ物件が形を変えて何度も出てくるアカウントは、たいていこの状態です。
見積もりを比べるときは、月額を「含まれる作業時間」で割ってみてください。撮影が入っていない安いプランは、その差のぶんを社内で引き受けることになります。何時間ぶんを誰が出すのかまで決めてから契約してください。
投稿単価と月額の考え方
月額の内訳を工数から見積もる考え方は、業種を問わず共通です。1投稿あたりの単価から積み上げる方法はSNS運用代行の相場を1投稿単価と月額の内訳から見積もる方法で詳しく書いているので、金額の目安を立てたい方はあわせて読んでください。
工務店で特に見落とされやすいのが、撮影の交通費と、施主宅での撮影に立ち会う社員の時間です。完成物件が商圏の端にあると、往復だけで半日が消えます。年間の棟数と現場の散らばり方から、撮影に出る回数を先に決めておくと予算が読めます。
この章の結論。見積書は総額ではなく、撮影の有無・投稿本数・レポートの3点を作業時間に換算して比べる。同じ月額でも、社内が引き受ける時間が違えば実質のコストは変わります。
施工事例の見せ方。保存で終わらせず問い合わせに変える4ステップ
施工事例の投稿で問い合わせにつながるかどうかは、写真の美しさよりも「検討に必要な数字が書いてあるか」で決まります。きれいな完成写真は保存されますが、保存されただけでは連絡は来ません。次の4ステップで組み立ててください。
ステップ1。撮影の日を工程表に入れる
撮影日を工程表に書き込むところから始めます。思い立ったときに撮ろうとすると、家具が入り、生活が始まり、撮れる状態ではなくなります。
撮影に適したタイミングは、次の3つの段階です。すべての現場で3段階とも撮る必要はなく、年間の棟数に合わせて優先順位をつけてください。
- 構造・造作の段階:断熱材、金物、造作家具の加工中など。完成後は見えなくなる部分で、技術を見せる投稿になります
- 養生を外した直後:家具も生活用品も入っていない状態。いちばん撮りやすく、後から撮り直せません
- 入居後(施主の許可が取れた場合):暮らしが見える写真。共感を得やすい反面、許可のハードルが高くなります
現場でスマートフォンで撮るときのチェックリストを載せます。撮影を外注する場合も、この項目が満たされているかは社内で見てください。
- 照明を全部つける:昼でもダウンライトを点灯させると、天井と床の色が沈みません
- カメラを腰の高さで水平に:目線の高さで撮ると天井が写りすぎて狭く見えます
- 縦と横を両方撮る:リールは縦、フィードは正方形か横。後から切ると端の造作が欠けます
- 同じ場所で動画も10秒:ゆっくり歩いて回る映像があると、リール素材が一気に増えます
- 窓の外を確認:隣家、表札、車のナンバー、通行人が写っていないか。この確認は現場でやるほうが早いです
ステップ2。掲載許可を書面で取る
撮影より先に、掲載許可の取り方を決めてください。口頭の了解だけで投稿を出すと、後から取り下げを求められたときに、反応の良かった投稿ごと消すことになります。
工事請負契約と一緒に、掲載に関する同意書を交わすのがいちばん確実です。同意書に入れる項目を挙げます。文面は自社の顧問弁護士や書式に合わせて調整してください。
【施工事例の掲載に関する同意書】に入れる項目
1. 掲載する媒体(自社ホームページ/Instagram/Facebook/チラシ/雑誌 など)
※媒体を限定すると後で使えなくなるため、想定する媒体は先に列挙しておく
2. 掲載する内容(外観/内観/間取り図/概算金額の範囲/延床面積/工期)
3. 掲載しないもの(住所の詳細/表札/お名前/人物の顔)
4. 掲載期間(例:期間を定めず、申し出があった時点で取り下げる)
5. 取り下げの連絡先と、取り下げまでの目安日数
6. 第三者への二次利用の可否(住宅系ポータルサイトへの転載など)
7. 同意日・施主署名
下請けや協力業者として入った現場は、施主だけでなく元請けの許可も必要です。元請けとの基本契約に守秘義務条項があることが多いので、投稿する前に契約書を確認してください。ここを飛ばした投稿が一度でも出ると、元請けとの取引そのものが止まることがあります。
ステップ3。キャプションに検討材料を書く
キャプションには、施主が次に必ず知りたくなる情報を先に書きます。書くのは概算費用の帯、延床面積、工期、対応エリアの4つです。この4つがないと、良い写真ほど「素敵ですね」で終わります。
コピーして使えるキャプションの型を載せます。[ ]の中を自社の情報に置き換えてください。
[30代ご夫婦+お子さま2人]の平屋|[〇〇市]
▼ この家のポイント
・[LDKと土間続きの家事動線]
・[造作カウンターは〇〇材]
・[断熱等級〇/耐震等級〇]
▼ 検討中の方へ
延床|[28坪]
工期|[着工から〇か月]
概算|[本体〇〇〇万円台](付帯・外構は別途)
エリア|[〇〇市・〇〇町・〇〇郡](車で〇分圏内)
同じ間取りで金額の目安を知りたい方は、
DMに「平屋」とだけ送ってください。
概算の出し方をお送りします。
#[〇〇市]工務店 #平屋 #[自社の特徴]
概算金額は幅で書いてかまいません。「〇〇〇万円台から」と書くだけでも、予算の合う方と合わない方が自分で判断しやすくなります。金額を出すのが怖い場合は、載せる範囲を社内で決めてから始めてください。
ハッシュタグには地域名を入れる。工務店の場合、商圏の外に届いても来場にはつながらないため、施工エリアの地名を含むタグを入れてください。
ステップ4。1つの現場を複数の投稿に分ける
1つの現場を1投稿で使い切らないでください。撮影が半日かかる以上、そこから何本作れるかが運用コストを決めます。1現場から作れる投稿を分けます。
- 完成のルームツアー(リール)
- 間取りの解説カルーセル(図面+写真3〜5枚)
- 造作や納まりのアップ(施工の技術が伝わる1点)
- ビフォーアフター(リフォーム案件の場合)
- 施主の要望と、それにどう応えたかの解説
AIの使いどころもここにあります。撮影メモと仕様書を渡してキャプションの下書きを作らせると、執筆時間は短くできます。ただし金額・工期・仕様の数字は必ず社内の人が原本と突き合わせて直してください。AIと人の線引きをもう少し詳しく知りたい方は生成AIのSNS投稿量産で読まれない原因とAI・人の線引きを読んでください。
この章の結論。撮影日を工程表に入れ、掲載許可を書面にし、キャプションに金額と工期とエリアを書く。この3つがそろって初めて、施工事例の投稿は問い合わせの材料になります。
問い合わせの受け方。DMと見学会予約を取りこぼさない
Instagram経由の問い合わせは、「ちょっと聞いてみたい」の段階で届くことが多く、返信が遅いとそのまま消えます。受け口の設計で決めることは3つです。
返信までの時間と、当番を決める
DMの返信は、営業時間内なら当日中を目安にしてください。何時間以内かを社内で決めて、担当を1人に固定するか当番制にします。複数人で見ると「誰かが返しただろう」で放置されます。
返信の1通目は営業しないでください。聞くのは3つだけです。
- 建てたいエリア:施工エリア内かどうかで、その後の案内が変わります
- 土地の有無:土地探しからか、所有地があるかで検討期間がまったく違います
- 検討の時期:今年か、2〜3年先か。急かさないために聞きます
1通目の文面例です。自社の言葉に直して、返信テンプレとして保存しておいてください。
DMありがとうございます。[会社名]の[担当者名]です。
[投稿名/平屋の事例]をご覧いただいたとのこと、
うれしいです。
もしよろしければ、
・お考えのエリア
・土地はお探し中でしょうか、それともお持ちでしょうか
・ご検討はいつ頃を目安にされていますか
この3点だけ教えていただけますか。
それに合わせて、費用の目安の出し方をお送りします。
まだ情報収集の段階でも大丈夫です。
その場合は、資料をお送りするだけにしますので
お気軽にお答えください。
エリア外の問い合わせにどう返すか
施工エリア外からの連絡は必ず来ます。断り方を決めておかないと、担当者が返信に迷って全体の対応が遅れます。
丁寧に対応できないなら受けない、と決めるのが結局いちばん親切です。「申し訳ありませんが、施工は〇〇市から車で〇分の範囲に限らせていただいています」と最初に書き、その上で参考になる情報を1つ添えて終わります。
DMからその先へつなぐ受け皿
DMのまま商談を進めると、履歴が個人のスマートフォンに埋もれます。ある程度やり取りしたら、社内で共有できる場所へ移してください。移す先は次のどれかです。
- 見学会・相談会の予約フォーム:日程が決まる分、いちばん商談に近い受け皿です
- 資料請求フォーム:まだ時期が先の方向け。住所が取れると郵送での追客ができます
- LINE公式アカウント:数年かけて検討する層を寝かせておく場所として機能します
プロフィールに置くリンクは、ホームページのトップに飛ばすより、「見学会の予約」か「資料請求」のどちらか、いま最も取りたい行動のページへ直接つなぐほうが動線が短くなります。
この章の結論。返信の時間の上限と当番、エリア外の断り文、DMから移す先の3つを決めれば、問い合わせの取りこぼしはほぼ止まります。
何がどう変わるか。3か月・6か月・12か月で見る数字
注文住宅は、土地探しや設計の打ち合わせが入るぶん、問い合わせから引き渡しまでの期間が長くなります。そのため、Instagramの成果を3か月の受注数で判定すると、ほぼ確実に「効果なし」と結論が出ます。見る数字を期間ごとに分けてください。
| 時期 | 見る数字 | この時期に見ても意味がない数字 |
|---|---|---|
| 1〜3か月 | 投稿の保存数、プロフィールへのアクセス数、リンクのタップ数 | 受注数、契約金額 |
| 4〜6か月 | DMの件数、見学会・資料請求の件数、エリア内からの反響の割合 | 受注数(新築の場合) |
| 7〜12か月 | 商談化した件数、Instagram経由と答えた来場者の数 | — |
初回接客のときに「どこで知りましたか」を必ず聞き、選択肢に「Instagram」を入れておいてください。この1問がないと、12か月経っても効果が測れません。
ホームページ経由で来た方が、実はInstagramで最初に知っていた、ということもあります。1問あるかどうかで、Instagramの貢献が数字に残るかが変わります。
投資が見合うかを、自社の数字で計算する
成果の目安は会社ごとに違うので、他社の事例より自社の数字で計算するほうが早いです。次の式に自社の値を入れてみてください。
年間の運用費(外注費+社内の人件費相当)
÷ 1棟あたりの粗利額
= 年間で何棟受注すれば元が取れるか
例)年間の運用費を仮に150万円、
1棟あたりの粗利額を仮に300万円とすると
150 ÷ 300 = 0.5棟
→ 2年に1棟受注できれば費用は回収できる計算になります
※ 金額はあくまで計算例です。自社の実数を入れてください
1棟あたりの単価が大きい業種なので、必要な受注棟数そのものは小さい数字になります。ただし、これは受注が1棟でも取れた場合の話で、素材が上がらず投稿が止まれば0棟になります。回収できるかどうかを分けるのは費用の額ではなく、続けられる体制があるかどうかです。
うまくいっている工務店に共通すること
成果が出ているアカウントに共通するのは、投稿の量ではなく「誰に向けたアカウントか」が1行で言えることです。平屋専門、自然素材、性能重視、リノベーション。絞ったアカウントほど、フォロワー数が少なくても問い合わせが来ます。
もう1つの共通点は、社内に「この現場、撮っておいて」と言える人がいることです。役職は問いません。工程会議でその一言が出るかどうかで、素材の量が変わります。
この章の結論。3か月では保存数とプロフィールアクセス、6か月ではDMと見学会予約、12か月で受注を見る。判定の時期を間違えなければ、途中でやめる判断を避けられます。
工務店だから起きる失敗と、その防ぎ方
ここで挙げるのは、他業種では起きにくく、工務店で繰り返し起きている失敗です。どれも投稿の作り方ではなく、現場と契約に関わるところで起きます。
失敗1。口頭の許可だけで施主宅を投稿する
こういう状況で起きます。引き渡しの日に「写真、SNSに載せてもいいですか」と聞き、施主が「いいですよ」と答える。その場では問題なく進みます。
こうなります。数か月後、親族や知人から「この家、あなたの家じゃない?」と言われた施主が、取り下げを申し出てきます。反応の良かった投稿ほど拡散しているので、取り下げるダメージも大きくなります。ここまで育てた保存数とコメントも一緒に消えます。
こう防ぎます。工事請負契約の時点で、掲載に関する同意書を交わします。項目は前の章に挙げたとおりです。「載せない項目」を先に決めて示すと、施主の側も安心して同意しやすくなります。
失敗2。完成写真から家の場所が分かってしまう
こういう状況で起きます。外観写真を広角で撮ると、隣家、電柱の住所表示、道路の路面標示、駐車中の車のナンバーが一緒に入ります。撮影時は完成した建物しか見ていないので気づきません。
こうなります。特定できる情報が出ると、施主から不安の連絡が入ります。防犯上の問題なので、信頼の失い方が他の失敗と違います。紹介が主な受注経路の工務店ほど影響が大きくなります。
こう防ぎます。撮影時に「窓の外・背景・足元」の3点を確認し、投稿前にもう一度、投稿する人とは別の人が見ます。地域タグは市区町村までにとどめ、町名や字名までは入れないと決めておいてください。
失敗3。下請け・協力施工の現場を無断で出す
こういう状況で起きます。自社が施工した部分は自社の実績だという感覚で、ハウスメーカーや元請けから受けた現場の写真を投稿してしまいます。悪意はありません。
こうなります。元請けとの基本契約に守秘義務条項があると、契約違反になります。取引の縮小や停止につながることがあり、Instagramで得られる反響とは比べものにならない損失になります。
こう防ぎます。元請け案件は「投稿しない」を初期設定にします。どうしても出したい場合は、元請けの担当者に書面で確認します。技術を見せたいなら、意匠が特定できない部分(納まりのアップ、工具、作業の手つき)に限定する方法もあります。
失敗4。完成写真だけを並べて、金額を一切書かない
こういう状況で起きます。金額を出すと安売り競争になる、条件で変わるから書けない、という理由でキャプションから金額を外します。写真は美しいので保存数は伸びます。
こうなります。保存は集まるのにDMが来ません。来たとしても予算が大きくずれた方からの連絡が混ざり、初回接客の時間が消えていきます。予算感が分からないままでは、見る人が自分で判断する材料がありません。
こう防ぎます。本体価格の帯(「〇〇〇万円台から」)と、付帯工事・外構が別であることを1行で書きます。幅で書けば安売りの印象にはなりません。金額を書いたあとに、DMの内容がどう変わったかを社内で記録しておくと、次の判断材料になります。
失敗5。反響が増えた分の対応工数を計算していない
こういう状況で起きます。投稿が伸びてDMが増え、営業担当が返信に追われます。返信のうち商談になるのは一部で、大半はエリア外か情報収集段階です。
こうなります。「SNSは手間ばかりかかる」という評価が社内に生まれ、続ける理由がなくなります。実際には手間の設計をしていないだけなのですが、疲れている担当者には区別がつきません。
こう防ぎます。まず自社でDM1件に何分かかっているかを1か月測り、その実測値から月に何件までなら対応できるかを決めます。その件数を超えたら、返信テンプレを増やすか、資料請求フォームへ先に流す運用に切り替えます。
この章の結論。工務店の失敗は投稿の質ではなく、許可・写り込み・元請け・金額・対応工数の5か所で起きます。どれも運用を始める前に決めておけるものばかりです。
任せてもうまくいかない条件と、契約前に確認すること
率直に書きます。Instagram運用を外注しても成果が出にくい工務店には、共通する条件があります。当てはまる場合は、先にそこを解決するほうが結果的に早く進みます。
- 年間の完工棟数が少なく、撮れる現場が半年に1件以下:素材が枯れます。この場合はリフォーム・小工事や、OB宅の再訪問を素材源にする設計が先です
- ホームページに施工事例が載っていない:Instagramから飛んだ先で情報が途切れます。受け皿を作るのが先です
- 施主に掲載許可を求める習慣がない:過去の物件を使うには施主へ許可を取り直すところから始めることになり、投稿を出せるまでに時間がかかります
- 商圏の世帯数が少なく、指名検索がすでに強い:Googleビジネスプロフィールの整備のほうが先に効くことがあります
- 社内に写真を送れる人が誰もいない:撮影込みの契約にするか、当面は見送るほうが損が小さいです
Instagram自体が自社に向いているかを先に判断したい場合は、インスタ集客が向く業種と商材の判断基準もあわせて読んでみてください。
契約前に必ず聞く7項目
運用代行会社と話すときに、この7つを聞いてください。答えが曖昧な項目があるほど、後で社内の負担が増えます。
- 撮影は含まれるか。含まれる場合、月に何回・何時間か。交通費は別か
- 素材を社内で用意する場合、どのくらいの量と質が必要か(写真何枚、動画何秒)
- 掲載許可の確認は誰の担当か。同意書の雛形は用意してもらえるか
- キャプションの金額・工期・仕様は、誰がいつ確認する運用にするか
- DMの一次返信は含まれるか。含まれない場合、社内の想定作業時間はどれくらいか
- アカウントの所有権とログイン情報は自社が持てるか。解約時に投稿データはどうなるか
- 月次の報告で何を見せてもらえるか。数字だけか、次月の企画案まで入るか
6番目は特に確認してください。誰の名義でアカウントを作り、解約時にログイン情報と投稿データをどう引き継ぐかを、契約書に書いてもらってください。口頭の約束だけにしないでください。
担当者が辞めたときに止まらない形にする
工務店のSNS運用でよく見かけるのが、事務や広報の1人が全部やっていて、その人が辞めた瞬間に止まるパターンです。外注していても、社内の窓口が1人なら同じことが起きます。
撮影のタイミング、掲載可否の判断基準、返信の文面、ログイン情報の保管場所。この4つを1つのドキュメントに書き出しておくだけで、引き継ぎの負担がかなり下がります。書き方はSNS運用の属人化を解消する引き継ぎノートと投稿テンプレの作り方を参考にしてください。
この章の結論。撮れる現場があるか、受け皿のホームページがあるか、社内の窓口が1人になっていないか。この3点が満たせない状態で契約すると、費用の多寡にかかわらず止まります。
よくある質問
施工事例は、引き渡し前と入居後のどちらを載せるといいですか
まず引き渡し前を撮ってください。家具も生活用品もない状態は後から撮り直せないうえ、掲載許可のハードルも低いです。入居後の写真は暮らしが伝わって反応が良い反面、施主の生活が写るため許可が難しくなります。引き渡し前を基本にして、協力してもらえる施主にだけ入居後をお願いする形が現実的です。
下請けで入った現場も投稿していいですか
元請けの許可がない限り、投稿しないのが原則です。基本契約に守秘義務条項が入っていることが多く、無断掲載は契約違反になります。どうしても技術を見せたい場合は、物件が特定できない範囲(納まりのアップ、作業の手元など)に限定したうえで、元請けの担当者にメールなど記録の残る形で確認してください。
商圏の人口が少ない地域でも、インスタ集客は成り立ちますか
成り立ちます。工務店が受注できる棟数には限りがあるため、必要なのはフォロワーの多さではなく、商圏内で家を検討している方に届くことです。施工エリアの地名を投稿とハッシュタグに入れて、届く範囲を商圏に寄せてください。フォロワー数を目標にせず、見学会の予約数で判断してください。
社長個人のアカウントと会社のアカウント、どちらで発信すべきですか
会社アカウントを主にしてください。個人アカウントは人柄が伝わる強みがありますが、社長が動けない月に完全に止まり、事業承継や退任のときに資産が残りません。会社アカウントを軸にして、社長やスタッフはストーリーズで顔を出す形が、続けやすく引き継ぎもできます。
新築とリフォームで、アカウントを分けたほうがいいですか
投稿の本数を確保できないうちは、分けないでください。アカウントを2つ持つと必要な素材も投稿も倍になり、どちらも更新が止まりがちです。まずは1つのアカウントで、ハイライトを「新築」「リフォーム」に分けて見せる形にします。どちらかの反響が明確に増えて、専任の担当を置ける段階になってから分けても遅くありません。
今日できる最初の一歩
まずは直近3件の完成物件について、施主から掲載許可を取っているかを確認してください。1件でも取れていれば、そこから撮影と投稿の計画が組めます。数字の見方から先に固めたい方は、商談貢献が伝わるSNSのKPI設計と報告の仕方を続けて読んでみてください。
ここまで読んで、撮影の体制や社内の窓口をどう作るかで迷っている方は、一度お話を聞かせてください。コレットラボでは、施工事例の見せ方から見直すインスタ運用代行として、現場の撮影計画からDMの受け方まで一緒に決めていきます。初回のご相談は無料です。いまの棟数と社内の人数をうかがうだけでも大丈夫です。
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