SNS運用代行の相場|1投稿単価と月額の内訳を工数から見積もる
この記事の要点
- 相場は投稿本数ではなく工数で決まる。月額は7つの作業区分と実費に分けて読む
- 1投稿単価は「変動費÷本数」。自分で計算する5ステップを本文に用意
- 契約トラブルは4つ。特にアカウント権限の置き方で引き継ぎ事故が起きる
SNS運用代行の相場は、投稿の本数ではなく「月に誰が何時間動くか」で決まります。だから「1投稿いくら」という数字だけを他社と比べても、高いか安いかは判断できません。月額を7つの作業区分に分解し、そこに実費(広告費・素材や出演料・交通費)を別枠で足す。そのうえで1投稿あたりの単価を自分で計算してから見積書を並べる。これが一番早くて確実な比べ方です。
この記事は、SNS運用を外注しようか迷っている中小企業の経営者・広報・営業担当の方に向けたものです。読み終わる頃には、自社の適正な月額と1投稿単価を電卓で出せて、見積書のどこを質問すればいいかが分かる状態を目指します。
扱うのは外注費(人に払うお金)の話です。広告の出稿費(媒体に払うお金)の決め方はX広告の出し方|最小予算で始める初期設定とキャンペーンの作り方で別に解説しています。
Contents / 目次
SNS運用代行の相場は、投稿本数ではなく工数で決まる
結論から言うと、SNS運用代行の月額は「作業に何時間かかるか × 時間単価」でできています。投稿本数は、その工数を決める要素のひとつでしかありません。
同じ「月4投稿」でも、素材をもらって文章と加工だけやる場合と、店舗に撮影に行って動画を4本編集する場合では、かかる時間が数倍違います。だから相場表の金額がバラバラになるのは当然で、金額だけを横に並べても比較にならないのです。
見積書を読むときも同じです。「1投稿いくら」ではなく「月に誰が何時間動くか」に目を移すと、金額差の理由が見えてきます。
SNS運用代行とは何をどこまでやってくれるのか
SNS運用代行とは、企業や店舗のSNSアカウントについて、戦略の設計から投稿の企画・制作、コメントやDMへの対応、数値の分析までを、外部の会社や個人が代わりに担当するサービスのことです。
ただし「どこまで」は会社ごとにまったく違います。文章と画像加工だけの会社もあれば、撮影クルーが来て動画を作る会社もあります。ここを揃えずに見積を取ると、安い高いの議論が最後まで噛み合いません。
業界共通の区分があるわけではありませんが、この記事では作業を次の7つに分けて整理します。この形に当てはめると、見積書の中身が見えるようになります。
| 作業 | 中身 | 費用の性質 | 見積書で確認すること |
|---|---|---|---|
| ①戦略設計・初期構築 | ターゲット整理、アカウント設計、プロフィール文、投稿の型づくり | 初期費用または固定費 | 初月だけか、毎月見直すのか |
| ②企画・ネタ出し | 月間の投稿計画、構成案、台本 | 固定費+変動費 | ネタを出すのは自社か代行会社か |
| ③制作 | 撮影、動画編集、デザイン、原稿 | 変動費(本数に比例) | 1本に含まれる修正回数 |
| ④投稿・スケジュール管理 | 予約投稿、公開後の確認 | 変動費 | 投稿だけの代行か、企画込みか |
| ⑤コメント・DM対応 | 返信、問い合わせの一次対応 | 固定費(件数上限つきが多い) | 対応時間帯と、判断に迷う時の連絡先 |
| ⑥分析レポート・定例 | 数値集計、考察、次月の提案、報告会 | 固定費 | 数値の羅列か、次の打ち手まで書くか |
| ⑦広告運用 | 広告の設定、配信調整、レポート | 固定費または広告費の割合 | 代行費と広告費が分けて書かれているか |
この7つは、いずれも代行会社に払う人件費です。これとは別に、代行会社の取り分ではない実費が発生します。見積書に含まれていないことが多いので、最初に聞いておくと後で揉めません。
- 広告費:媒体(Meta社やX社など)に直接支払うお金。⑦広告運用を頼む場合、代行手数料とは別に発生します
- 素材・出演・交通費:モデル、有料素材、撮影のための出張交通費など
つまり月額は「7つの作業のうち依頼する分の合計(固定費と変動費)+実費」という構造です。以降はこの区分で読み進めてください。
この章の結論。見積書を見るときは、まず7つの作業のうちどれが入っていて、どれが入っていないかに印をつけてください。金額を見るのはその後です。
なお、外注ではなく社内で続けることも選択肢です。人手はあるが続かない、という状態であればSNS運用が続かない本当の原因|一人でも燃え尽きない仕組みの作り方を先に読んでいただくほうが早いかもしれません。
1投稿あたりの相場を自分で計算する5ステップ
1投稿あたりの単価は、月額を投稿本数で割っても正しく出ません。戦略設計やレポートは投稿本数が増えても時間があまり変わらない固定費だからです。正しくは変動費だけを本数で割ります。
ここでは、電卓とメモだけで自社の適正額を出す手順を5つに分けて説明します。かかる時間は、実測の1本を作る時間を除けば、ひと通り書き出して計算する程度です。
ステップ1。いまやっている作業を7つに棚卸しする
前の章の7項目を紙に書き出し、それぞれ「自社でやる」「外注する」「今はやっていない」の3つに仕分けます。外注する範囲がここで決まります。
この時点で、⑤コメント・DM対応と⑦広告運用を外すだけでも見積は大きく変わります。逆に、③制作に撮影が入るかどうかが最も金額を動かす分岐点です。
ステップ2。自社で1本だけ作って所要時間を実測する
相場を知る一番確実な方法は、自社で1本作って時計で測ることです。外注の見積が高いか安いかは、自分の作業時間という物差しがないと永遠に判断できません。
次のフォーマットをメモ帳にコピーして、リール(動画)とフィード(静止画)を1本ずつ作りながら記録してください。
■ 制作時間の実測メモ
投稿の種類(リール/フィード/ストーリーズ):
作った日:
企画・ネタ決め 分
台本・原稿づくり 分
撮影(移動時間も含む) 分
編集・デザイン 分
確認・修正 分
投稿作業 分
─────────────
合計 分
つまずいたところ(次回のために):
移動時間を記録から抜かないでください。店舗撮影がある案件では、移動時間が工数を押し上げます。代行会社の見積が高く見える理由の多くはこの移動時間です。
ステップ3。時間単価を決める
時間単価は、社内でやる場合と外注する場合の2通りで出します。式はどちらも単純です。
- 社内の時間単価 =(担当者の年収 + 会社が負担する社会保険料など)÷ 年間労働時間
- 外注の時間単価 = 見積の総額 ÷ 見積に書かれた想定工数
①に仮の数字を入れると、こう計算します。年収400万円、会社負担の社会保険料を年60万円、年間労働時間を1,800時間とすると、(4,000,000+600,000)÷1,800で1時間あたり約2,556円です。ここに置いた3つの数字はすべて計算の型を見せるための仮の値で、根拠のある実勢値ではありません。年収も、会社負担分の保険料も、年間労働時間も会社によって違うので、必ず自社の給与計算のデータから実額を拾って置き換えてください。ここで出た金額が社内の時間単価です。
外注の時間単価は、これとは別物として②の式で出します。たとえば見積の総額が16万円で、想定工数が月32時間と書かれていれば、160,000÷32で1時間あたり5,000円です。外注先の単価には、その会社の利益や間接部門の費用も乗っているため、社内の時間単価より高くなるのが普通です。
ここで大事なのは、②の式を逆に使うことです。見積書に工数が書かれていない場合は、「この金額は月に何時間の稼働を想定していますか」と聞いてください。答えられない会社は、社内でも工数管理をしていない可能性があります。
社内の時間単価は、この後の判断に使います。外注の時間単価が社内より大幅に高いなら「その差額を出してでも外に出す価値がある作業か」を、逆に近い金額なら「社内でやったほうが早いのでは」を検討する材料になります。
ステップ4。固定費と変動費に分けて月額を組み立てる
実測した時間と時間単価が出たら、月額を組み立てます。ここでは計算の型を見せるための仮の数字を置きます。時間単価5,000円という数字にも根拠はなく、あくまで計算例です。実際は、ステップ3で出した外注の時間単価に置き換えて計算してください。
| 項目 | 実測時間(仮) | 時間単価(仮) | 金額 |
|---|---|---|---|
| リール1本(企画0.5h+台本0.5h+撮影1h+編集2h+投稿0.5h) | 4.5時間 | 5,000円 | 22,500円 |
| フィード1本(企画0.5h+制作1h+投稿0.5h) | 2時間 | 5,000円 | 10,000円 |
| 固定費(戦略見直し2h+レポート3h+定例1h) | 6時間 | 5,000円 | 30,000円 |
これでリール4本・フィード4本の月額を出すと、22,500円×4=90,000円、10,000円×4=40,000円、固定費30,000円。合計160,000円になります。想定稼働は月32時間です。
そして比較に使える1投稿単価は、変動費の130,000円を8本で割った16,250円です。月額160,000円を8で割った20,000円ではありません。この差が、レポートや戦略設計にかかっている固定費の分です。
ステップ5。同じ条件で相見積もりを取る
最後に、3社に同じ条件で見積を依頼します。条件を揃えずに取った見積は、比べた気になるだけで判断材料になりません。
次の文面をそのままメールに貼って、[ ]の中を自社の情報に書き換えて送ってください。
件名:SNS運用代行のお見積り依頼(条件を揃えてお願いしたいです)
お世話になっております。[会社名]の[担当者名]と申します。
Instagramの運用代行をご相談したく、下記の条件でお見積りをお願いします。
他社様にも同条件でお願いしており、中身を比較したいと考えています。
【対象】Instagram 1アカウント([アカウント名])
【目的】[例:来店予約を増やしたい/採用応募を増やしたい]
【月間本数】リール4本、フィード4本、ストーリーズ週2回
【撮影】月1回、[所在地]に来ていただく想定(半日)
【素材】ロゴと商品写真はこちらで用意できます
【コメント・DM対応】[依頼する/自社でやる]
【広告運用】[依頼する/依頼しない]
【契約期間】[希望する期間]
お見積りには、次の3点を分けて記載していただけると助かります。
1. 毎月固定でかかる費用(戦略設計・レポート・定例MTG)
2. 制作1本あたりの費用と、1本に含まれる修正回数
3. 実費(交通費・素材費・広告費)
あわせて、下記もご回答ください。
・月の想定稼働時間と、実作業を担当される方の役割
・レポートに含まれる項目
・契約終了時のアカウント権限と制作データの取り扱い
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
返ってきた見積は、次のチェックリストで確認します。1つでも「書かれていない」があれば、契約前に必ず質問してください。
- 工数:月の想定稼働時間が数字で書かれている
- 修正回数:1本あたり何回まで無償かが明記されている
- 撮影:回数、時間、交通費の扱いが分かれて書かれている
- 広告費:代行手数料と媒体に払う広告費が別行になっている
- 担当者:提案してくれた人と、実際に手を動かす人が同じか分かる
- 終了時:アカウント権限と制作データを自社に残せると書かれている
この章の結論。自社で1本作って時間を測れば、見積の金額を「月に何時間分の仕事か」に翻訳できます。ここまでやれば、値段交渉ではなく作業範囲の交渉ができるようになります。
見積書の金額差はどこで生まれるのか
金額差が最も大きく出るのは、撮影の有無と動画の本数です。文章や画像加工の差はそこまで大きくありません。安い見積と高い見積を並べたとき、まずこの2点を確認してください。
安さの理由は、悪いことばかりではありません。素材を自社で出せるなら、撮影を含まない安い見積のほうが合理的です。問題は、理由を知らないまま安いほうを選ぶことです。
| 差が出る項目 | 安い見積に多い条件 | 高い見積で増えている中身 |
|---|---|---|
| 撮影 | 素材は発注側が提供。撮影に来ない | 月1〜2回の現地撮影と移動時間 |
| 動画の本数と長さ | 静止画中心。動画は月1本以下 | リール中心。編集に1本2時間以上 |
| 企画 | テンプレートに当てはめる | 毎月のネタ出しと、社内取材 |
| 修正 | 回数の記載なし(実質1回) | 2回まで無償など明記あり |
| レポート | インサイトの数値をそのまま貼る | 数値の理由と、次月にやめる企画まで書く |
| 体制 | 担当1名が全部やる | ディレクターと編集者など複数名 |
もうひとつ、見積の比較で必ず混乱が起きるのが広告です。広告運用を頼むと、代行会社に払う「運用手数料」と、媒体に払う「広告費」の2つが発生します。この2つが1行にまとまっている見積は、実際に配信に使われる金額が分かりません。
広告費そのものの決め方や最小予算での始め方はX広告の出し方|最小予算で始める初期設定とキャンペーンの作り方で解説しています。手数料と出稿費は必ず別々に管理してください。
レポートの質も見積の差になります。数値の羅列だけのレポートは、続けるか止めるかの判断に使えないので、結果的にお金だけが出ていきます。報告資料の組み立て方はSNSのROIを上司に伝える報告書の作り方|3層指標で商談化まで示すにまとめています。
この章の結論。安い見積を見たら「何が入っていないか」を、高い見積を見たら「何時間分増えているか」を確認してください。どちらも悪い見積ではなく、条件が違うだけです。
払った費用は、何で回収するのか
SNS運用代行の費用が妥当かどうかは、相場より「回収に必要な件数」で判断するほうが確実です。月額を1件あたりの粗利で割れば、月に何件増えれば元が取れるかがすぐ出ます。
計算式は「月額 ÷ 1件あたりの粗利 = 月に必要な件数」です。客単価も粗利率も業種と店舗によって大きく変わるので、必ず自社の実績値を入れてください。
計算の型を見せるための仮の数字で書きます。1来店あたりの粗利を2,400円、月額を15万円と置くと、150,000÷2,400で月およそ63人です。月30日で営業するなら1日あたり約2.1人、週1回休むなら1日あたり約2.5人になります。1日何人かは営業日数で変わるので、自社の営業日で割り直してください。なお粗利2,400円は実勢値ではなく計算例の数字です。
この数字が出ると、判断が具体的になります。1日2人なら現実的だと思えるなら進めばいいし、うちの立地では厳しいと感じるなら、外注の範囲を狭めるか、SNS以外の手を先に打つべきです。
BtoBの場合は件数が小さくなります。1件の受注で粗利30万円なら、3か月契約で45万円の代行費に対して必要なのは2件です。ただし商談化までの期間が長いので、3か月では判断できません。ここは業種によって見る期間を変える必要があります。
回収できているアカウントに共通していること
費用を回収できているアカウントには、運用の上手さ以前に共通する条件があります。派手なテクニックではなく、地味な仕込みの話です。
- 計測の導線がある:プロフィールのリンク先を専用ページにする、来店時に「どこで知りましたか」を聞くなど、SNS経由が数えられる状態になっている
- 社内に素材の出し手がいる:現場の写真や新商品の情報を、月1回まとめて渡す担当が決まっている
- 捨てる企画を決めている:3か月で反応が出なかった企画をやめ、伸びた型に寄せる判断を定例でしている
- 指標が売上側につながっている:フォロワー数ではなく、保存数やプロフィール経由の遷移、予約数まで見ている
この章の結論。契約前に「月に何件増えれば元が取れるか」を1回だけ計算してください。その数字が現実的に見えないなら、金額の交渉より前に、依頼する範囲を見直すほうが先です。
AIで単価は下がるのか。代行費で下がる項目と下がらない項目
AIを使っても、撮影と移動の時間は減りません。ここは現場に人が行く作業だからです。だから「AIを使っているので安いです」という説明を受けたら、どの作業が何時間減ったのかを聞いてください。工数の話に落とせば、値引きの根拠があるかどうかはすぐ分かります。
先ほどの計算例で見ると分かりやすいです。リール1本4.5時間のうち、企画0.5時間と台本0.5時間はテキストを作る作業なので、AIで初稿を出せば短縮の余地があります。一方、撮影1時間と編集2時間は現場と手作業が残ります。
つまり、撮影のある案件で削減できるのは、テキストまわりの一部だけです。文章と画像だけで完結する運用なら削減幅はもっと大きくなりますが、「AI導入で半額」という説明は、撮影込みの案件では成り立ちにくいと考えたほうが安全です。
作業ごとに、AIで短縮できるかどうかを整理すると次のようになります。判断の基準は単純で、テキストを大量に作る作業は短縮しやすく、人が現場に行く作業や責任を伴う判断は短縮できません。
| 作業 | AIで短縮できるか | 理由 |
|---|---|---|
| 企画・ネタ出し | 短縮しやすい | 候補を大量に出す作業だから |
| 原稿・キャプション | 短縮しやすい | 初稿づくりが速い。人は事実確認と語尾の調整だけ |
| 字幕・切り抜き | 一部は短縮できる | 文字起こしの下書きは作れるが、固有名詞の直しは人が残る |
| レポートの下書き | 短縮しやすい | 数値の要約は任せられる。考察と次の打ち手は人 |
| 撮影・移動 | 短縮できない | 現場に行く時間は圧縮できない |
| 出演交渉・許諾 | 短縮できない | 人と人の調整が必要 |
| コメント対応の判断 | 短縮できない | クレームか要望かの見極めは責任が伴う |
ここで注意したいのは、AIで浮いた時間の使い道です。安くなった分を「投稿本数を増やす」に使うと、1本にかける確認や企画の時間が減ります。浮いた時間は、企画の選択肢を増やす、撮影に1本多く行く、といった方向に振り向けるほうが、中身の質を保てます。
AIで量産したときに何が起きるかは生成AIのSNS投稿量産で読まれない本当の原因とAI・人の線引きで詳しく書いています。見積の交渉材料としてAIを持ち出すときは、本数ではなく質の話に持っていってください。
この章の結論。AIで値下げできるのは企画・原稿・レポート下書きの部分だけです。半額を約束する提案が来たら、撮影と編集をどう減らすつもりなのかを確認してください。
相場どおり払っても失敗する。SNS運用代行の契約トラブル4つ
金額が妥当でも、契約の書き方でつまずくケースがあります。ここでは、SNS運用代行に固有の失敗を4つ挙げます。どれも契約前の10分で防げるものです。
失敗1。1投稿◯円で契約したら、月額が想定の倍になった
「1投稿5,000円」のような単価契約は分かりやすく見えます。ところが実際に始まると、撮影は別料金、出演者の手配は別料金、修正は2回目から別料金と積み上がり、請求書を見て驚くことになります。
起きる理由は単純で、単価に含まれる作業範囲が定義されていないからです。「1投稿」という言葉が指す中身が、発注側と代行会社でずれているのに、契約書にはその定義が書かれていません。
防ぐには、見積依頼の時点で「1本に含まれる作業と、無償の修正回数」を書いてもらってください。そのうえで、月の上限金額を契約書に入れておくと安心です。
失敗2。アカウントの権限を渡しすぎて、解約時に取り戻せない
これが最も損害の大きい失敗です。代行会社にアカウントを作ってもらい、二段階認証の電話番号やメールアドレスも代行会社のものにしたままにすると、契約が終わったときに自社側にログイン手段が何も残りません。
過去の投稿もフォロワーも、事実上ゼロからやり直しになります。関係が円満でも、担当者の退職や会社の解散が起きれば同じことです。
防ぎ方は、自社の管理者アカウントを最上位に置き、代行会社には権限を付与する形で参加してもらうことです。二段階認証の連絡先は必ず自社のものにしてください。権限の付け方や名称、認証情報の変更手順は各SNSで異なり変更もあるため、契約前にMetaビジネスヘルプセンターやXヘルプセンターなど、各SNSの公式ヘルプで最新の仕様を確認してください(2026年08月07日時点)。
失敗3。承認フローを決めずに始めて、投稿が止まった
代行会社から投稿案が上がってきても、社内で誰が承認するか決まっていないと、確認待ちのまま日が過ぎます。結果、契約した本数を消化できないのに費用は満額発生します。
これは代行会社側では防げません。発注側の宿題です。承認者を1名に決め、回答期限と、期限を過ぎたときにどうするかを契約時に決めておいてください。期限は自社の決裁の速さに合わせます。承認者が毎日出社するなら1営業日、週に何度か不在があるなら2営業日、というように、実際に返せる長さで置くのが大事です。期限を過ぎたら代行会社の判断で公開してよいのか、投稿を止めるのかまで決めておくと、止まったときに誰の責任かで揉めません。
承認者が複数いると必ず遅れます。社長・広報・現場の3人が確認する体制にしたい場合は、「意見は出すが、最終判断は1人」と決めるだけで動き方が変わります。
失敗4。レポートがフォロワー数だけで、続けるか止めるか判断できない
毎月フォロワー数とリーチ数だけが並んだレポートを受け取っていると、半年後に「増えてはいるが、売上にどう効いたか分からない」という状態になります。そして、なんとなく解約します。
これを防ぐには、契約の初月に「来店や問い合わせにつながる指標を1つ」決めて、計測できる状態を作っておくことです。プロフィールのリンク先を専用ページにする、来店時のアンケートに1行足す、といった小さな仕込みで足ります。
指標の作り方はSNSのKPI設計|商談貢献が伝わる指標ツリーの作り方と報告術にまとめています。代行会社に丸投げせず、自社側で「何が増えたら成功か」を決めてから発注するのがコツです。
この章の結論。契約書に入れるべきは、1本の作業範囲・アカウント権限の所在・承認の期限・成功指標の4点です。金額よりこちらのほうが後で効いてきます。
発注側が見落とす費用と、代行会社が言いにくいこと
最初にはっきり書きます。SNS運用代行を頼んでも、自社の作業はゼロになりません。素材の提供、内容の確認、撮影の立ち会いで、発注側にも毎月数時間の作業が残ります。
ここを見込まずに「丸投げできる」と思って契約すると、素材が出ないまま投稿が止まり、費用だけが流れます。素材の提供と確認が滞ると、代行会社の手が空いていても運用は前に進みません。
提案してくれた人が、作業する人とは限らない
提案の場に来るのは経験豊富なディレクターでも、実際に毎月動かすのは別の担当者ということがあります。良し悪しの話ではなく、契約前に確認しておけば防げる認識のずれです。
だから聞くべきは「担当者は誰ですか」ではなく、「毎月、どの役割の人が何時間動きますか」です。ディレクター2時間、編集者20時間、といった形で答えが返ってくれば、体制が実在しています。
フォロワー保証と成果報酬型は、条件をよく読む
「フォロワー◯人保証」といったプランは魅力的に見えますが、どうやって増やすのかを必ず確認してください。相互フォローや、自社の商品に興味のないアカウントで数だけ増やしても、投稿を見て動いてくれる人は増えません。フォロワー数と、来店や問い合わせにつながる反応は別物だと考えてください。
成果報酬型も、何を成果と数えるかで意味が変わります。フォロワー1人あたりいくら、という設計は、売上と結びつかない数字を買うことになりがちです。
個人・フリーランスに頼むときは、発注側にも義務がある
SNS運用は個人に依頼するケースも多い領域です。公正取引委員会「フリーランスの取引適正化に向けた取組」のページには、個人に業務委託をする発注事業者について、取引条件の明示や報酬の支払期日などのルールが示されています。自社が義務の対象になるかどうか、どこまでの義務がかかるかは、発注側の体制や取引の形によって変わるため、必ずこのページの条文と解説で確認してください(2026年08月07日時点)。
いずれにしても「毎月なんとなく口頭で頼む」という進め方は、法令の面でもトラブルの面でも避けたほうがいいということです。依頼する内容、金額、支払日を書面かメールで残すところから始めてください。
最初の2か月は、学習の期間だと見ておく
代行会社が入っても、いきなり最適な投稿が出てくるわけではありません。業界の言葉を覚え、社内の素材の癖をつかみ、反応の出る型を見つけるまでに時間がかかります。
そのため、3か月契約で判断すると、学習期間だけ払って終わる可能性があります。短期で試したいなら、判断する指標を「売上」ではなく「型が見つかったか」に置くのが現実的です。
また、契約が終わっても社内にノウハウを残したいなら、投稿の型や運用ルールをドキュメントで受け取る約束をしておいてください。引き継ぎ資料の作り方はSNS運用の属人化を解消|引き継ぎノートと投稿テンプレの作り方が参考になります。
全部込みで極端に安い見積を見たら、撮影に来るのか、企画はテンプレートに当てはめるのかを個別に確認してください。安いこと自体が問題なのではなく、何が省かれているかを知らないまま契約するのが問題です。
この章の結論。外注しても自社の作業は残ります。素材を出す担当と、承認する人を先に決められるかどうかが、代行費が生きるかどうかの分かれ目です。
SNS運用代行の相場についてよくある質問
SNS運用代行って、撮影も込みでやってくれるものですか
込みの会社と、別料金の会社の両方があります。撮影は移動時間も含めて工数が大きいので、含まれるかどうかで金額が最も変わる項目です。見積依頼の段階で「月◯回、現地に来ていただく想定」と条件を書いて出すと、比較できる見積が返ってきます。
1投稿◯円のプランと月額パックは、どちらが安く済みますか
一般には、本数が少ないうちは1投稿単価型、本数が増えるほど月額パックが有利になりやすいです。理由は、戦略設計やレポートといった固定の作業が、本数を増やしても大きく変わらないためです。分かれ目は各社の固定費と単価で変わるので、本数を決めたうえで両方の形式で見積を取り、総額を比べてください。
知恵袋などで「SNS運用代行は意味がない」と書かれているのを見ました。実際どうなんですか
意味がなかったケースの多くは、成果指標をフォロワー数だけにしていた場合です。来店や問い合わせを数える導線を作らずに始めると、増えても効果が確認できず「意味がない」という感想になります。契約前に測る指標を1つ決めるだけで、判断は変わります。
解約したら、アカウントと過去の投稿はこちらに残りますか
権限の持ち方しだいです。自社の管理者アカウントを最上位に置いていれば残りますが、代行会社が作ったアカウントをそのまま使い、二段階認証の連絡先も先方のままだと、取り戻せないことがあります。契約前に権限の所在を必ず確認してください。
最低契約期間は何か月が普通ですか。3か月で判断してもいいですか
最低契約期間は会社ごとに違うので、見積依頼のときに必ず確認してください。3か月で判断するなら、売上ではなく「反応の出る投稿の型が見つかったか」を基準にしてください。最初の2か月は業界と素材を理解する期間になるため、売上で切ると判断を誤りやすくなります。
まず今日、直近1か月の自社の作業時間を書き出す
今日できる最初の一歩は、直近1か月にSNSへ使った時間を、思い出せる範囲で紙に書き出すことです。5分で終わりますし、この数字がないと、どんな見積も高いか安いか判断できません。
そのうえで実際の投稿づくりまで進みたい方は、インスタグラム集客のやり方|飲食店とホテルが来店を増やす手順を続けて読んでみてください。外注する場合でも、依頼内容を書くときの材料になります。
ここまで読んで、「工数の計算はできたけれど、自社の場合どこまで外に出すべきか迷う」と感じた方は、一度お話を聞かせてください。コレットラボのInstagram運用支援では、フォロワー数を追うのではなく、集客につながる形にアカウントを設計するところから伴走しています。Instagram運用支援の詳細はこちらからご覧いただけます。
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