リスティング広告の運用代行の費用|手数料の内訳と総額の比べ方
この記事の要点
- 運用代行の費用は手数料率ではなく、6か月の支払総額で比べる
- 見積書で抜けやすい費目は6つ。確認する質問文を本文に用意
- 契約前の確認は、広告アカウントの所有者と管理者権限の2点
リスティング広告の運用代行の費用は、「広告費の何%か」だけでは比べられません。同じ料率でも、最低手数料の有無、制作費や計測費が含まれるかどうか、初期費用の額で、6か月に払う総額は大きく変わります。だから比べるべきは料率ではなく、期間を区切った総額です。
この記事は、複数社から運用代行の見積もりを取ったものの、費目がバラバラで比べようがない、という状態の方に向けて書いています。読み終わる頃には、見積書のどの費目を足せば総額になるのかが分かり、3社の見積もりを1枚の表に並べて「どこが一番高いのか」を自分で説明できる状態を目指します。
なお、この記事で扱うのは代行会社に払う手数料の話です。媒体に払う広告費そのものをいくらに設定するかはリスティング広告の費用相場|1クリック単価と予算の考え方で解説しているので、月の予算がまだ決まっていない方は先にそちらを見てください。
Contents / 目次
運用代行の費用は手数料率ではなく、6か月の総額で比べる
リスティング広告の運用代行を比べるときは、手数料率ではなく「6か月間に自社の口座から出ていく金額の合計」で比べてください。これが結論です。手数料率は総額を構成する要素の1つでしかありません。
運用代行の手数料は、代行会社の体制や依頼範囲によって大きく異なります。提示された率だけを見て「こちらは高い、こちらは安い」と判断すると、たいてい間違えます。
理由は3つあります。総額が率だけで決まらないからです。
- 最低手数料があるから:「広告費の◯%、ただし最低◯万円」という形で、下限額が設定されていることがあります。広告費が少ない会社ほど、実際に払っている割合(実効手数料率)は跳ね上がります。
- 含まれる作業範囲が違うから:広告文の作成本数、バナー制作、LPの改修、コンバージョン計測の実装。これらが手数料に含まれる会社と、すべて別請求の会社があります。
- 初期費用の重さが違うから:初期費用が0円で月額が高い会社と、初期費用が数十万円で月額が抑えめの会社では、契約期間が短いほど前者が有利、長いほど後者が有利になります。
料金体系は大きく3タイプに分かれます。どれが良い悪いではなく、総額を計算するときの見方が変わります。
| 料金体系 | 費用の決まり方 | 向いている状況 | 総額を見るときの注意 |
|---|---|---|---|
| 料率型 | 広告費に対して一定の割合 | 広告費の増減が読めない、まず小さく始めたい | 最低手数料の額と、広告費を増額したときの上限を先に決めておく |
| 定額型 | 広告費にかかわらず固定の月額 | 広告費が毎月ほぼ一定、予算を固定したい | 含まれる作業量(レポート回数・広告文の本数)の上限がどこかを確認する |
| 成果報酬型 | コンバージョン1件あたり、または売上の一定割合 | 成果地点の定義が明確で、計測が実装済み | 「成果」の定義と計測方法を契約書に書く。定義が曖昧だと請求額でもめる |
最初にやること。見積もりを取る前に、月の広告費・契約期間・成果地点(何をコンバージョンと呼ぶか)の3つを自社で決めて、全社に同じ条件を伝えてください。条件が揃っていない見積もりは、そもそも比較できません。
この章の結論です。比べる単位を「率」から「6か月の総額」に変えると、どの会社が高いのかが数字で言えるようになります。次の章から、その総額を構成する費目を1つずつ分解していきます。
手数料の内訳。見積書のどの費目を足すと総額になるのか
運用代行の見積書は、大きく6つの費目でできています。この6つを足したものが、あなたが実際に払う金額です。逆に言うと、見積書にこの6つのうち書かれていない項目があれば、それは「無料」ではなく「まだ決まっていない」だけの可能性が高いです。
運用手数料。最低手数料の有無で実効料率が変わる
運用手数料は、日々の運用作業に対する費用です。中身は次のような作業になります。
- キャンペーンの設定変更
- 入札調整
- 除外設定
- 検索語句の確認
ここに最低手数料が設定されているかどうかで、少額運用の負担が大きく変わります。
たとえば「広告費の20%、最低5万円」という条件だとします。ここでの数字はすべて計算例の仮定値です。広告費が月30万円なら手数料は6万円で、実効料率は20%です。ところが広告費を月10万円に絞ると、20%なら2万円のはずが最低5万円が適用され、実効料率は50%になります。
広告費を減らす可能性が少しでもあるなら、最低手数料の額は必ず聞いてください。ここを聞き忘れたまま契約し、予算を絞った月に請求書を見て驚く、というのが一番多いつまずきです。
初期費用。何が含まれて何回まで直せるのか
初期費用は、アカウントの初期構築にかかる一度きりの費用です。典型的な中身は次のとおりです。
- キーワードの選定
- キャンペーンとグループの設計
- 広告文の初回作成
- 計測タグの設置確認
確認したいのは金額そのものより「何が含まれるか」と「初回納品後の修正が何回まで含まれるか」です。初期費用が安くても、構築後の修正が1回きりで2回目から別料金なら、結局は同じか高くつきます。
制作費。広告文とバナーの本数上限を確認する
制作費は、次のような制作作業にかかる費用です。
- 広告文の作成
- レスポンシブ検索広告の見出しと説明文
- ディスプレイ用のバナー
- LPの改修
「手数料に制作費も込みです」と言われたときこそ、本数の上限を聞いてください。
実務では、月に広告文を数パターン、バナーを数本作ればそれで足りる月もあれば、季節商材で一気に差し替えたい月もあります。含まれるのが月2本までなのか10本までなのかで、繁忙期の請求額はまったく違うものになります。
計測の実装費。ここが別料金かどうかで総額が動く
計測の実装費は、次のような作業にかかる費用です。
- コンバージョン計測タグの設置
- Googleタグマネージャーの設定
- フォーム送信の計測
この費目が見積書に無い場合、「実装済み前提」で見積もられていることがあります。
自社でまだコンバージョン計測を入れていないなら、ここは必ず別途かかると考えてください。計測が無いまま運用が始まると、成果が測れないので改善の議論ができず、成果報酬型では請求額の根拠も作れません。フォーム送信の計測を自社でやってみたい方はフォーム送信をコンバージョン計測する設定手順|GA4とGTMで手順をまとめています。
レポートと定例会の費用
レポートと定例会は、手数料に含まれる会社が多い一方、「月次レポートは含む、隔週の定例会は別途」という切り分けをしている会社もあります。オンライン会議か訪問か、レポートが自動出力の共有か担当者のコメント付きかでも工数が違うためです。
ここは金額の大小より、自社が求める頻度と合っているかを見てください。月1回のレポートで足りる会社が、週次定例込みの高い見積もりを選ぶ必要はありません。
見落としやすい追加費用
見積書の下の方、または口頭でしか説明されないことが多いのが追加費用です。契約後に「それは別料金です」と言われがちな項目を挙げます。
- 媒体の追加:Google広告だけの見積もりに、途中からYahoo!広告を足すと手数料が別枠で増えるケース。
- キャンペーンの新設:既存の運用は月額に含むが、新しいキャンペーンの設計は初期費用扱いになるケース。
- 商品データの管理:通販でMerchant Centerの商品フィードを扱う場合、運用とは別作業として計上されるケース。
- 急ぎの対応:キャンペーンや在庫切れによる緊急停止・再開の依頼を、通常の営業時間外にお願いする場合。
- 解約時の費用:アカウントの引き継ぎ資料の作成や、データのエクスポート作業に費用がかかるケース。
この章の結論です。見積書を見るときは金額の合計欄ではなく、上の6費目が「含む・別途・記載なし」のどれなのかを1つずつ確認してください。「記載なし」は無料という意味ではなく、あとで請求される可能性がある項目です。
総額で比べる手順。3社の見積もりを1枚に並べる5ステップ
ここからが実際の作業です。3社の見積もりを1枚の表に並べ、6か月の支払総額と実効手数料率を計算するまでを5つのステップに分けます。慣れれば1〜2時間で終わります。
ステップ1。全社に同じ条件で依頼する
見積もりを取るときに条件がバラバラだと、後で何時間かけても比較できません。依頼のメールに、次のテンプレートをそのまま貼って使ってください。角カッコの中を自社の数字に置き換えるだけです。
【リスティング広告の運用代行のお見積もり依頼】
■ 前提条件
・媒体に払う広告費 月額[30万円]/想定期間[6か月]
・出稿したい媒体 [Google検索広告のみ/Yahoo!広告も含む]
・成果地点 [Webフォームからの問い合わせ1件]
・計測の状況 [未実装/GA4とGTMで実装済み]
・商材 [BtoBの◯◯サービス/単価は◯万円]
・エリア [全国/大分県内のみ など]
■ お見積もりに分けて記載いただきたい項目
1. 初期費用(内訳と、初回納品後の修正が何回まで含まれるか)
2. 月額の運用手数料(料率型か定額型か。最低手数料の有無と金額)
3. 制作費(広告文・バナーの月あたり本数と、超過時の単価)
4. 計測の実装費(手数料に含む/別途/実装済み前提のどれか)
5. レポートと定例会(頻度と、手数料に含まれるか)
6. 上記を合計した6か月間の支払総額(広告費を含む場合と、除いた場合の両方)
■ 契約条件として確認したい点
・最低契約期間と、中途解約時の条件
・広告アカウントの所有者(自社名義か、御社名義か)
・解約時のアカウント引き継ぎの可否と、その費用
ポイントは、最後の「6か月間の支払総額」を相手に計算させることです。自分で足し算すると費目の読み違いが起きますが、相手に出させれば、その数字がそのまま比較の土台になります。
ステップ2。比較シートの列を決める
返ってきた見積もりを、次の列で1枚の表にまとめます。スプレッドシートでも紙でも構いません。大事なのは、全社を同じ列で埋めることです。
| 比較する列 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 初期費用(税抜/税込を統一) | |||
| 月額の運用手数料 | |||
| 最低手数料の金額 | |||
| 制作費(本数上限/超過単価) | |||
| 計測の実装費 | |||
| レポート・定例会の扱い | |||
| 6か月の支払総額(広告費を除く) | |||
| 実効手数料率 | |||
| 最低契約期間・中途解約 | |||
| 広告アカウントの所有者 |
税抜と税込が混ざるのは本当によくある事故です。埋める前に、どちらかに統一すると決めてください。
ステップ3。実効手数料率と手数料込みCPAを計算する
実効手数料率とは、最低手数料や制作費まで含めて、広告費に対して実際に何%を払っているかを表す数字です。見積書に書かれた料率ではなく、この数字で比べます。
■ 実効手数料率(%)
= 月額の手数料合計(運用手数料+制作費+レポート費など)
÷ 月額の広告費 × 100
■ 6か月の支払総額(広告費を除く)
= 初期費用 + 計測の実装費 +(月額の手数料合計 × 6)
■ 手数料込みCPA(1件の問い合わせを取るのにいくら払ったか)
=(月額の広告費 + 月額の手数料合計 + 初期費用の月割)
÷ その月のコンバージョン数
数字を入れてみます。ここでの金額はすべて計算例の仮定値です。広告費が月20万円、運用手数料が「20%・最低5万円」、制作費が月2万円だとします。20%なら4万円ですが最低5万円が適用されるため運用手数料は5万円で、制作費と合わせた手数料合計は7万円。実効手数料率は35%になります。
同じ条件で広告費を月10万円に絞ると、運用手数料はやはり最低額の5万円で、制作費と合わせて7万円。広告費が減った分だけ実効手数料率は70%まで上がります。広告費を減らすほど実効料率が上がるのが、少額運用の構造的な弱点です。
手数料込みCPAを出すには、コンバージョン計測が動いていることが前提です。計測が入っていない状態では、どの見積もりが割安かを成果側から判断できません。契約前に計測の実装だけ先に済ませておくと、比較の精度が上がります。
ステップ4。AIに見積もりを読ませて、総額の表に直してもらう
3社分の見積書をPDFで並べて手作業で転記するのは、地味に時間がかかるうえに転記ミスが出ます。ここはAIに任せると早いです。ClaudeやChatGPTにファイルを渡し、決めた列の表に直してもらいます。
ファイルを渡せるかどうか、どの形式に対応しているかは、プランやバージョンによって変わります。使う前にAnthropicの公式サイトなどで、自分の環境で何ができるかを確認してください。
指示は作り込む必要はありません。次くらいの短いたたき台から始めて、出てきた表を見ながら「この列も足して」と対話で詰めていくのが早いです。
これから[3社分]のリスティング広告 運用代行の見積書を渡します。
次の列で1枚の比較表にまとめてください。
初期費用/月額の運用手数料/最低手数料/制作費(本数上限と超過単価)/
計測の実装費/レポートの扱い/6か月の支払総額(広告費を除く)/
最低契約期間/中途解約の条件/広告アカウントの所有者
・見積書に書かれていない項目は「記載なし」と書いてください。
・推測で数字を埋めないでください。
・税抜か税込かが混在している場合は、その旨を注記してください。
最後に、各社に追加で確認すべき質問を5つ挙げてください。
AIが出した表は、そのまま信じずに次の3点だけ人が確認してください。ここを飛ばすと、間違った表をもとに会社を選ぶことになります。
- 「記載なし」と書かれた項目が、本当に見積書に無いか原本で確かめる(読み取り漏れが起きやすい)
- 金額の税抜・税込が揃っているか(AIは混在に気づかず合計することがある)
- 一度きりの費用と毎月の費用が混ざっていないか(初期費用を月額に足してしまう誤りが出やすい)
ステップ5。全社に同じ5つの質問をぶつける
表が埋まったら、残った空欄を埋めるために全社へ同じ質問を送ります。同じ質問だからこそ、答え方の違いが判断材料になります。
- 質問1:広告費を今の半分に減らした月、手数料はいくらになりますか。
- 質問2:広告文とバナーは月に何本まで制作費に含まれますか。超えた場合の単価はいくらですか。
- 質問3:コンバージョン計測の実装は、この見積もりに含まれていますか。含まれない場合の費用はいくらですか。
- 質問4:広告アカウントは弊社名義で作成できますか。契約終了後もそのまま使えますか。
- 質問5:広告費は弊社から媒体へ直接支払う形と、御社経由の形のどちらになりますか。
この章の結論です。5ステップを終えると、手元には「6か月の支払総額」と「実効手数料率」が並んだ表が残ります。この2つの数字が出せていれば、社内でどこに頼むかを説明できる状態になっています。
払った手数料が回収できているかを、どの数字で判断するか
手数料が妥当だったかどうかは、契約前ではなく運用開始後の数字で決まります。判断に使うのは、手数料込みCPAと、そこから逆算した許容ラインの2つです。
まず自社が1件の問い合わせにいくらまで払えるかを決めます。計算はシンプルです。
■ 許容できる手数料込みCPA
= 1件の受注から得られる粗利 × 問い合わせから受注に至る率
例(すべて仮定値です)
粗利30万円 × 受注率20% = 6万円
→ 問い合わせ1件あたり6万円までなら、広告費と手数料を足しても赤字にならない
この6万円というラインに対して、実際の手数料込みCPAがいくらだったかを毎月並べます。広告費と手数料を足した金額が月26万円で、問い合わせが5件なら、手数料込みCPAは5万2千円。ラインの内側です。
ここで大事なのは、運用手数料を「経費」ではなく「CPAの一部」として扱うことです。手数料を別枠で見ていると、広告の成果は良いのに全体では赤字、という状態を見逃します。指標の考え方をもう少し詳しく知りたい方は広告の費用対効果の出し方|ROAS計算と指標の見方・目安を参考にしてください。
判断は、1か月分の数字だけで下さないでください。月ごとにコンバージョン数は上下しますし、設定を変えた効果が請求に反映されるまでにも時間がかかります。数か月分の手数料込みCPAを並べて、改善しているのか横ばいなのかを見てから決めるほうが、判断を間違えません。何か月分をそろえるかは、自社の月あたりコンバージョン数によって変わります。件数が少ない事業ほど、1か月の振れ幅が大きくなるためです。
うまく回っている会社に共通しているのは、代行会社に成果を任せきりにせず、自社側の数字を握っていることです。具体的には次の3つを毎月自社で確認しています。
- 問い合わせの中身:件数だけでなく、商談に進んだ件数を代行会社に伝えている。
- 検索語句の実物:月に一度、実際に検索された語句を自分の目で見て、自社と関係ない語を伝えている。
- 手数料込みの数字:広告費と手数料を足した金額でCPAを出し、許容ラインと並べている。
この章の結論です。手数料の妥当性は見積書ではなく、複数月分の手数料込みCPAで判断してください。許容ラインを先に決めておけば、「高いか安いか」の議論が「ラインの内か外か」の判断に変わります。
見積もりと契約でよくある失敗と、その防ぎ方
ここでは、運用代行の費用まわりで実際に起きやすい失敗を5つ挙げます。どれも「起きる状況」がはっきりしているものだけを選びました。
失敗1。最低手数料を確認せず、広告費を絞った月に実効料率が跳ね上がる
繁忙期を過ぎて広告費を月30万円から10万円に落とす。よくある判断です。ところが契約が「20%・最低5万円」だった場合、手数料は6万円から5万円にしか下がりません。実効料率は20%から50%になります。
防ぎ方は簡単で、契約前に「広告費を半分にした月の請求額はいくらですか」と数字で聞いておくことです。答えを見積書か契約書に書いてもらえば、あとから食い違いません。
失敗2。広告費を代行会社経由で払う契約にして、解約時に配信が止まる
広告費を代行会社にまとめて振り込む形は、経理が楽になる一方で、支払い経路が自社から見えなくなります。特に注意したいのが、代行会社のマネージャーアカウント(クライアントセンター、いわゆるMCC)が支払い元になっている場合です。
Google広告の公式ヘルプでは、マネージャーアカウントが月々の支払いを担っている状態でリンクを解除すると、支払い情報を先に変更しておかない限り広告の配信が止まると説明されています。 詳しくはクライアント センター(MCC)アカウントからのアカウントのリンク解除についてで確認できます。
防ぎ方は、契約時に支払い経路を決めておくことです。自社のクレジットカードや請求書払いで媒体に直接払う形にしておけば、代行会社を変えても支払いは切れません。代行会社経由にする場合は、解約時に支払い情報をいつ切り替えるかを手順として決めておいてください。
失敗3。「制作費込み」を本数無制限だと思い込む
「広告文もバナーも手数料に含まれます」と説明を受けて契約したが、実際には月2本まで。季節キャンペーンでバナーを6本作りたいと言ったら、超過分が1本あたり数万円で請求された、という流れです。
防ぎ方は、ステップ5の質問2をそのまま使うことです。本数上限と超過単価を先に文書で確認しておけば、繁忙期の制作を自社で巻き取るか、追加費用を払うかを事前に判断できます。バナーを自社で作る余地を残しておきたい方はCanvaバナー作成のコツ|広告で成果が出る量産の設計と作り方も参考になります。
失敗4。計測が未実装のまま成果報酬型で契約する
成果報酬型は一見リスクが低く見えます。ただし「成果」が何を指すのかと、それをどう数えるのかが決まっていないと、請求のたびに認識がずれます。
実際にもめるのは、次のような境目です。
- 電話問い合わせを成果に数えるかどうか
- 同一人物から複数回送信があったときの数え方
- 資料請求と見積依頼を同じ1件として扱うかどうか
計測が実装されていない状態では、どちらの言い分が正しいかを示すデータがありません。
防ぎ方は、契約書に成果の定義と計測方法を書くことです。「Webフォームからの送信完了ページ到達をGoogle広告のコンバージョンとして計測したもの。同一メールアドレスからの重複は1件と数える」という粒度まで書いておけば、後で数字を突き合わせられます。
失敗5。広告費の増額提案を、根拠を聞かずに受け入れる
料率型では、広告費が増えると手数料も増えます。だから増額提案そのものが悪いのではなく、根拠を確認しないまま受けるのが問題です。
増額提案を受けたら、次の2つを聞いてください。
- 質問1:今の予算で1日のうち何%の時間、広告が表示できていない状態ですか。
- 質問2:増額分をどのキャンペーンに配分し、CPAはいくらを見込みますか。
この2つに数字で答えられる提案なら、根拠があります。答えが「もっと露出を増やすため」だけなら、いったん保留にして構いません。
この章の結論です。5つの失敗は、どれも契約前の質問1つで防げます。金額を値切る交渉より、条件を文書に書いてもらう交渉のほうが、結果的に総額を抑えます。
契約前に押さえておきたい、現場で見えるコストと限界
運用代行を検討するとき、見積書には出てこないのに後で効いてくるものがあります。ここでは特に相談が多い4点を率直に書きます。
広告アカウントの所有者と、自社が持つべき権限
最初に決めるべきは、広告アカウントを自社名義で作るかどうかです。代行会社名義のアカウントで運用してもらうと、契約が終わったときに過去の運用データや学習の蓄積を引き継げないことがあります。
Google広告のアカウントには、権限の強さが異なる複数のアクセス権レベルがあります。最上位が管理者権限で、ユーザーの追加やマネージャーアカウントとのリンクの承認・解除まで行えます。レベルの種類と、それぞれで何ができるかはGoogle 広告アカウントのアクセス権の概要で確認してください。表記や区分は変更されることがあるので、契約前に最新の内容を見るのが確実です。
ここだけは譲らない。自社名義でアカウントを作り、自社の誰か1人が管理者権限を持つ。この2点を契約条件に入れておけば、代行会社を変えるときの選択肢が残ります。
乗り換えのときに、何が残って何が消えるのか
代行会社を変えるときに気になるのが、これまでのデータです。Google広告の公式ヘルプは、マネージャーアカウントからリンクを解除しても「その Google 広告アカウントの履歴が失われることはありません」と明記しています。 過去の実績データ自体は残るということです。
一方で、マネージャーアカウント側で共有していた設定やデータの扱いは、解除によって変わることがあります。何が引き継がれ、何が使えなくなるかはクライアント センター(MCC)アカウントからのアカウントのリンク解除についての「リンクを解除するとどうなるか」の説明に書かれています。自社の環境で何が切れるかは、解除前に必ず原文を読んで確かめてください。
つまり、乗り換えには「データは残るが、共有していた設定の引き継ぎは自動ではない」というコストがあります。切り替えのタイミングは、繁忙期の直前ではなく、閑散期に寄せるのが現実的です。
少額だと担当が薄くなる現実
広告費が小さい案件は、料率型では代行会社が得られる手数料も小さくなります。月10万円の広告費に対して、毎週の入札調整と月次の詳細レポートを求めるのは、費用構造として無理があります。かけられる工数と手数料が見合うかを、契約前に率直に確認してください。
広告費が小さいうちは、代行に全部を渡すより、自社で回せる部分を持ちながら要所だけ外に出す形のほうが総額を抑えられます。役割の分け方は内製化と外注のハイブリッド戦略|Web広告の役割分担5モデルで整理しています。
自動化が進んでも、手数料の判断基準は変わらない
入札の自動化やP-MAX(パフォーマンス最大化キャンペーン)のように、配信面や入札の判断を自動化する仕組みが増えました。P-MAXがどのように配信先を決めるのかはGoogle広告の公式ヘルプ「P-MAX キャンペーンについて」で確認できます。それでも代行会社の作業がなくなるわけではありません。手動での細かい調整の余地が減るぶん、自動化に何を渡すかを決める作業の比重が上がります。
具体的には、次のような設定です。
- コンバージョンの定義
- 除外の設計
- アセットの入れ替え
- 商品データの整備
仕組みの全体像はP-MAXとは|AIが全枠へ自動配信する仕組みと始め方・除外の要点で解説しています。
だから見積もりを比べるときは「作業量に対して高いか」ではなく、「その手数料で、上の4つまで見てもらえるか」を聞いてください。日々のレポート作成や広告文のたたき台づくりは自社でAIを使えばかなり巻き取れます。ただし何をコンバージョンと定義するか、どこを除外するかという判断は、事業の中身を知らないと決められません。この線引きが、手数料を払う価値がある部分です。
この章の結論です。契約前に確認するのは金額より条件で、優先順位が高いのはアカウントの名義と管理者権限、そして支払い経路です。この3つを押さえておけば、合わなかったときにいつでも組み替えられます。
リスティング広告の運用代行の費用に関するよくある質問
広告費が月5万円でも運用代行は頼めますか
受けてくれる会社はありますが、最低手数料が効いて実効料率がかなり高くなります。広告費5万円に対して最低手数料が5万円なら、実効料率は100%です。この規模なら、初期構築だけスポットで依頼して日々の運用は自社で回す形のほうが、支払総額に対する成果は出しやすくなります。
手数料が広告費の20%を超えたら高すぎますか
率だけでは判断できません。20%に制作費と計測実装まで含まれているなら、15%で制作費が別請求の会社より総額は安くなることがあります。判断は6か月の支払総額と、手数料込みCPAが自社の許容ラインに収まるかどうかで行ってください。
広告費は代行会社に預ける形と、自社カードで直接払う形のどちらがいいですか
迷ったら自社で直接支払う形をおすすめします。経理の手間は増えますが、媒体の管理画面で実際の消化額をいつでも確認でき、代行会社を変えても支払いが切れません。預ける形にする場合は、媒体の請求明細を毎月共有してもらう取り決めを契約時に入れておきましょう。
成果報酬型の見積もりは、他の料金体系とどう比べればいいですか
想定するコンバージョン数を3パターン置いて計算します。月3件・10件・30件と仮定して6か月の総額を出せば、料率型や定額型と同じ土俵に並びます。成果が伸びるほど成果報酬型は割高になりやすいので、上限額の設定があるかも確認してください。
契約期間の途中で解約すると違約金はかかりますか
会社によって条件が違います。最低契約期間が設定されていて、残期間の手数料相当を請求されることもあります。見積書の金額だけで判断せず、最低契約期間と中途解約時の条件をセットで確認してください。
最後に、今日できることを1つだけ。直近3か月の広告費の請求書と、代行会社からの請求書を並べて、実効手数料率(手数料合計 ÷ 広告費 × 100)を計算してみてください。5分で終わります。この数字が想像より高ければ、契約条件を見直す余地があります。
広告費そのものの設定額から考え直したい方は、リスティング広告の費用相場|1クリック単価と予算の考え方を続けて読んでみてください。手数料の話と予算の話がつながると、総額の見通しが立てやすくなります。
見積書を並べたけれど、どれが自社に合っているか判断がつかない。そんなときは、その見積書を持ったままでかまいませんので、一度お話を聞かせてください。現状の整理だけでも構いません。
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