受付アプリの自作|Vibe Codingで展示会の来場者管理を自動化
この記事の要点
- 受付アプリの自作は「データの形」を最初に決めるかどうかで成否が分かれる
- Vibe Codingなら事前登録・QR受付・自動集計までを数日で試作できる
- 本番は紙併用とネット環境の備えが必須。AI生成コードは人の検証が前提
展示会の受付で、紙の名簿に手書き、エクセルへの転記、終わってからのお礼メール送信に追われていませんか。来場者リストを営業に渡すころには、もう熱が冷めている。そんな悩みはよく聞きます。
この記事では、受付アプリを既成サービスに頼らず自作する方法を、Vibe Coding(AIに自然な言葉で指示して作る開発)を使って具体的に解説します。事前登録からQR受付、自動集計、お礼メールまで、何を準備し、どの順で作り、どこを人が確認すればいいか。現場でつまずくポイントも含めてお伝えします。

Contents / 目次
受付アプリの自作は「データ設計」から始めると失敗しない
結論から言います。受付アプリ自作の成否は、見た目やQR読み取りの技術ではなく、「どんなデータを、どの形でためるか」を最初に決めることにかかっています。ここがブレなければ、画面や通知は後からいくらでも直せます。
Vibe Codingとは、自然な日本語でAIに「こういうものを作りたい」と伝え、AIがコードを書き、それを実行・修正しながら仕上げていく開発のやり方です。専門知識がなくても作りたいものに近づけるのが特徴です。
ただし「話しかければ完成する」わけではありません。AIに丸投げすると、データの持ち方がバラバラなアプリができあがり、後で集計できないという事態になります。だからこそ、人間が先に「全体の設計図」を持っておくことが大事です。
展示会の受付アプリで押さえるべき機能は、次の4つに整理できます。
- 事前登録:来場者が氏名・会社名・連絡先を入力し、QR付きの受付票を受け取る
- QR受付:当日、スタッフがスマホやタブレットでQRを読み取り、来場を記録する
- リアルタイム集計:来場者数や属性を、その場で一覧で確認できる
- 事後フォロー:来場者データをCSVで書き出し、お礼メールや営業へ渡す
自作する前に、そもそも「自作・既成サービス・紙運用」のどれが自社に合うのかを冷静に見ておきましょう。下の表で違いを整理します。
| 比較軸 | 自作(Vibe Coding) | 既成サービス | 紙・エクセル運用 |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 低い(AI利用料が中心) | 中〜高(規模で変動) | ほぼゼロ |
| 自由度 | 高い。自社の流れに合わせられる | 提供機能の範囲内 | 低い |
| 準備期間 | 数日〜(試作は早い) | 申込〜設定で数日〜数週間 | すぐ |
| 集計・分析 | 自分で設計すれば自由 | 標準機能で充実 | 手作業で重い |
| 注意点 | 品質と安全は自分で担保 | カスタマイズに限界 | 転記ミス・遅さ |
判断の目安。来場者が数十〜数百人規模で、自社独自の項目や運用フローがあるなら自作が向きます。数千人規模や決済・チケット販売が絡むなら、既成サービスを軸に検討した方が安全です。
受付アプリを自作する手順。準備から本番までの流れ
ここからは実際の作り方です。Vibe Codingでの開発は「生成→実行→修正」を短く繰り返すのが基本ですが、その前後に人間がやるべき準備と確認があります。全体の流れを順番に見ていきましょう。

ステップ1。ためるデータの「項目」を紙に書き出す
最初にやるのは、コードを書くことではありません。受付でどんな情報を集め、後で何に使うかを書き出すことです。これがアプリの土台になります。
具体的には、次のような項目を1人分(1行分)として決めます。
- 氏名
- 会社名
- 部署
- メールアドレス
- 電話番号
- 来場区分(出展者・一般・VIPなど)
- 受付時刻
- 興味のある製品
この「1行に何を入れるか」が固まると、AIへの指示が一気に明確になります。
ここがコツ。「後で営業がどう使うか」から逆算して項目を決めます。たとえば訪問フォローをするなら、興味製品と受付時刻は必須になります。集めない情報は最初から持たないのが、個人情報を守るうえでも正解です。
ステップ2。AIに渡す「たたき台の指示」を用意する
項目が決まったら、AIに渡す出発点の指示(seed)を短く用意します。完璧な指示文を作り込む必要はありません。今のAIは、ざっくり伝えれば自分で良い指示に整えてくれます。大事なのは「何を作り、どんなデータを持つか」を伝えることです。
たとえば、こんな短いたたき台で十分です。あとはAIと対話しながら、自社の状況に合わせて詰めていきましょう。
あなたはWebアプリ開発を手伝うエンジニアです。
展示会の受付アプリを一緒に作ってください。
【作りたいもの】
- 来場者が事前にフォームから登録し、QRコード付きの受付票を受け取る
- 当日、スタッフがスマホでQRを読み取ると来場済みとして記録される
- 管理画面で来場者数と属性をリアルタイムに確認できる
- 来場者データをCSVで書き出せる
【1人分のデータ項目】
氏名 / 会社名 / 部署 / メール / 電話 / 来場区分 / 受付時刻 / 興味製品
【前提】
- [利用するツール名を入力。例:Replit / Cursor など]で作る
- 非エンジニアなので、専門用語は補足しながら進めてほしい
- まず一番小さく動く形(事前登録とQR受付)から作りたい
まず全体の構成案と、最初に作る範囲を提案してください。
このように「まず一番小さく動く形から」と伝えるのが重要です。最初から全機能を狙うと、どこかでつまずいたときに原因が分からなくなります。事前登録とQR受付という芯の部分が動いてから、集計やメール送信を足していきましょう。
ステップ3。AIの出力を「動かしながら」確認・修正する
AIがコードを出してきたら、すぐに動かして確かめます。ここが一番価値のある工程です。AIは生成は得意ですが、良し悪しの最終判断は人がやる必要があります。
確認するのは、難しい技術の中身ではありません。「自分が想定した通りに動くか」という使い手の視点です。次のような点を、実際に触って確かめます。
- 登録フォーム:必須項目を空のまま送れてしまわないか。メール形式が変でも通らないか
- QR読み取り:同じQRを2回読んだとき、二重で記録されないか
- 集計画面:表示される人数が、実際に登録した数と合っているか
- CSV出力:書き出したファイルの項目が、ステップ1で決めた形と一致しているか
うまく動かない部分があれば、「QRを2回読むと二重に記録されてしまうので、一度受付済みになった人は再受付できないようにして」のように、症状をそのまま日本語でAIに伝えます。エラー文が出たら、その文をコピーして貼るだけでも、AIが原因を特定して直してくれることが多いです。
ステップ4。本番前のリハーサルで「当日の流れ」を通す
アプリが動いたら終わり、ではありません。本番と同じ条件でリハーサルをします。受付開始から終了後のデータ書き出しまで、一連の流れを実際に通してみることが、当日のトラブルを防ぐ最大の対策です。
リハーサルでは、わざと「うまくいかない状況」を試すのがポイントです。たとえば、次のような場面で紙の名簿や手入力でカバーできるかを確認しておきます。
- QRを忘れた来場者が来たとき
- 電波が弱くて読み取りが遅いとき
- 同じ会社から複数人が同時に受付したとき
受付アプリの自作で得られる効果と成果イメージ
受付アプリを自作すると、得られる効果は大きく次の3つです。順番に、現場でどう変わるかをお伝えします。
- 受付時間の短縮
- データ転記の手間ゼロ
- フォローの即時化

まず受付スピードです。紙の名簿で名前を探して書き込む方式だと、混雑時には行列ができます。QR受付なら読み取りは一瞬で、待ち時間がぐっと減ります。来場者の第一印象にも直結する部分です。
次にデータ転記の手間です。紙やエクセルの場合、展示会後に名刺やアンケートを1枚ずつ入力する作業が発生します。この作業にかかる時間は来場者数によって大きく変わります。
自作アプリなら受付の瞬間にデータ化されるため、この転記作業がまるごと消えます。
そしてフォローの即時化です。来場者データがその日のうちにCSVで手元にあれば、翌営業日にはお礼メールを送り、営業へリストを渡せます。展示会の成果は「どれだけ早く動けるか」で決まるため、ここの速さは商談化に効いてきます。
成功している企業の共通点。受付を「入場の手続き」ではなく「データ取得の入口」と捉えています。来場区分や興味製品をその場で記録し、後の営業活動につなげる設計にしているのが特徴です。
業務の複雑さによって期間は変わりますが、「数千万かけて大きなシステムを入れないと無理」という時代ではなくなっています。来場者データの活用法については、展示会アンケートをAIで一括分析する方法もあわせて読むと、受付後の動きまでイメージしやすくなります。
受付アプリの自作でよくある失敗と回避法
ここでは、現場で実際にやりがちな失敗を4つ挙げます。どれも「あらかじめ知っていれば防げる」ものばかりです。それぞれ、どんな状況で起きて、どうなって、どう防ぐかをセットでお伝えします。

失敗1。データ設計を後回しにして集計できなくなる
見た目から作り始め、データの形を決めないまま進めると起きます。受付は動くのに、いざ集計しようとすると会社名の表記がバラバラ、来場区分が記録されていない、といった状態になります。こうなると後から直すのは大変です。
防ぐには、この記事のステップ1の通り、最初に「1行に何を入れるか」を紙に書き出すことです。データの形さえ固めておけば、画面は後からいくらでも変えられます。
失敗2。ネット環境を確認せず当日に読み取れない
会場のWi-Fiが弱い、または使えない状況で起きます。QR読み取りやデータ送信がその場で止まり、受付に長い行列ができてしまいます。展示会場は電波が混み合いやすく、想像以上につながりにくいことがあります。
防ぐには、事前に会場のネット環境を主催者に確認し、不安があればモバイルWi-Fiを用意します。あわせて、QRを提示できない来場者向けに紙の受付も併用できるようにしておくと安心です。デジタルと紙の二段構えが現場では効きます。
失敗3。AIが書いたコードを検証せずそのまま使う
「動いたからOK」とAIの出力をそのまま本番に出すと起きます。見た目は動いていても、個人情報の扱いが甘かったり、誰でもデータを見られる状態になっていたりするリスクがあります。Vibe Codingの便利さの裏側にある、一番注意すべき点です。
防ぐには、AIに「このアプリで個人情報を扱ううえで、危ない箇所があれば指摘して」と確認させ、人の目でも見直します。特に、来場者データに誰がアクセスできるか、外部から見えてしまわないかは必ずチェックします。自社で品質と安全のルールを決め、更新し続けることが成功につながります。
失敗4。導入の目的があいまいで使われなくなる
「便利そうだから」だけで作り始めると起きます。多機能なアプリができても、当日スタッフが使いこなせず、結局いつもの紙運用に戻ってしまう、という結末になりがちです。
防ぐには、「受付時間を短くしたい」「データ転記をなくしたい」など、解決したい課題を1つに絞ります。目的が明確なら機能も絞れて、誰でも使えるシンプルなアプリになります。社内向けアプリ全般の作り方はVibe Codingで社内限定アプリを自作する記事でも詳しく解説しています。
自作する前に知っておきたい現場の落とし穴と妥協点
ここまで自作のメリットを中心にお伝えしてきましたが、率直に「自作が向かない場面」もあります。教科書には書かれない、現場で見えてきた限界と妥協点をお話しします。これを知ったうえで判断するのが、結局いちばん失敗しません。
まず、規模が大きい展示会では自作は慎重になるべきです。たとえば、次のようなケースが当てはまります。
- 数千人が一気に来場する
- 有料チケットの決済が絡む
- 複数の入口で同時に受付する
こうしたケースは、トラブルが起きたときの影響が大きく、実績ある既成サービスに任せた方が安全です。自作は「数十〜数百人規模で、自社の流れに合わせたい」場面でこそ光ります。
「AIで全部作れる」と過信しないことが大切です。Vibe Codingは試作や小規模運用には強力ですが、生成されたコードの品質管理やセキュリティ、長く使ううちにたまる技術的負債は、人間が責任を持って見る必要があります。
もう一つの妥協点は、内製と外注の切り分けです。「画面を作る」「データを集める」までは社内でも十分できます。
一方で、本番でトラブルが許されない部分、個人情報を安全に守る設計、他システムとの連携は、知見がないまま進めると後で痛い目を見ます。ここは無理に内製にこだわらず、要所だけプロに見てもらうのが現実的です。
コスト面でも見落としがあります。AIの利用料そのものは安くても、本番で安定して動かすための環境費用や、当日トラブルに対応する人の時間は別途かかります。
「タダで作れる」ではなく「小さく安く始められる」と捉えるのが正しい認識です。この線引きを最初に握っておくと、社内の期待値もずれません。
よくある質問
プログラミングの知識がなくても本当に作れますか
小規模なものなら作れます。Vibe Codingは日本語でAIに指示して進める方法なので、コードを書く力より「何を作りたいか」を整理する力が大事です。ただし本番運用では、データの安全性などを人が確認する前提で進めてください。
どれくらいの期間で作れますか
事前登録とQR受付だけの小さな形なら、数日で試作できることもあります。ただし機能を増やすほど時間はかかります。まず一番小さく動く形を作り、リハーサルで確認してから機能を足すのが安全です。
来場者の個人情報の管理が不安です
必要な情報だけを集め、誰がアクセスできるかを限定するのが基本です。集めない情報は最初から持たないのが安全です。設計に不安があれば、その部分だけ専門家に確認してもらうことをおすすめします。
既成の受付サービスと自作はどう使い分ければいいですか
数千人規模や決済が絡むなら既成サービス、数十〜数百人で自社独自の流れに合わせたいなら自作が向きます。まず自社の規模と目的を整理し、合わない方を無理に選ばないことが大事です。
まずは小さく試すところから始めてみませんか
ここまで読んで、自作の道筋は見えたけれど社内のリソースや個人情報の設計が不安、と感じた方もいるはずです。そんなときは、AI業務システム化の詳細はこちらからお気軽にご相談ください。コレットラボでは、AIで業務を自作したい会社の伴走支援をしています。いきなり依頼ではなく、現状を整理するだけの相談でも歓迎です。お話を聞かせてください。
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