広告運用代行の費用|固定と料率の違いと総額の出し方
この記事の要点
- 費用は手数料率ではなく、広告費・手数料・制作費・計測費の総額で比べる
- 固定と料率が入れ替わる分岐点は「固定額÷料率」で出せる。計算手順を本文で解説
- 媒体を増やすと実効料率が上がる。見積書で確認する8項目を掲載
広告運用代行の費用を比べるときに見るのは、手数料の「率」ではなく、広告費・手数料・クリエイティブ制作費・計測の初期費を足した1年分の総額です。料率20%と固定15万円のどちらが安いかは、固定額を料率で割った金額(この例なら月75万円)を境に入れ替わります。この1本の計算式を知っているだけで、見積書の比較は同じ土俵に乗ります。
この記事は、これから外注先を決める、あるいは今の代理店の費用が妥当か判断したい経営者・役員・事業責任者の方に向けて書いています。読み終わる頃には、手元にある複数の見積書を同じ土俵に並べて、どれが自社にとって安いかを自分で計算できる状態を目指します。
扱うのは複数の媒体をまとめて頼むときの総額の組み方です。Google広告1媒体だけの手数料の内訳を知りたい方はリスティング広告の運用代行の費用|手数料の内訳と総額の比べ方を先に読んでください。広告費そのものの決まり方はGoogle広告の費用の仕組み|日予算×30.4で決まる月額上限でまとめています。
Contents / 目次
広告運用代行の費用は4つの合計で出す
広告運用代行にかかる費用は、次の4つの合計です。このうち毎月必ず出ていくのは広告費と手数料の2つで、残りの2つは最初の3か月に集中します。
- 広告費:Google・Yahoo!・Meta・LINEなどの媒体に直接支払う金額。クリックや表示に応じて消費される
- 運用手数料:代理店に払う月額。固定額、広告費に対する料率、成果報酬、その組み合わせのいずれか
- クリエイティブ制作費:バナー、動画、ランディングページ(LP=広告の受け皿になる1枚もののページ)の制作費。月額に含む会社と、都度見積もりの会社がある
- 計測の初期費:コンバージョン計測、GA4連携、タグ設置など、成果を数える仕組みを作る費用。ここが抜けると成果を判断できません
見積書を比べるときに起きやすいのが、A社は「月額20万円・制作費込み」、B社は「料率15%・制作費別」と書かれていて、どちらが安いのか分からなくなる状態です。比較は必ず、12か月分の総額を1つの数字にしてから行います。
4つの料金体系の違いを一覧で比べる
手数料の体系は、大きく4種類です。それぞれ、費用が読めるかどうかと、代理店側の動機がどう働くかが違います。
| 体系 | 費用の決まり方 | 向いている状況 | 注意すべき点 |
|---|---|---|---|
| 手数料率型(コミッション型) | 広告費×料率。最低手数料(ミニマムチャージ)が併設されている契約もある | 広告費を機動的に増減させたいとき | 広告費を増やすほど代理店の報酬が増える。CPAが悪化しても増額を勧められる余地が残る |
| 固定報酬型(月額固定型) | 広告費の額にかかわらず定額 | 広告費が小さい、または毎月ほぼ一定のとき | 広告費を減らしても手数料は減らない。媒体追加が別料金のことがある |
| 成果報酬型 | コンバージョン1件あたりの単価×件数 | 1件の価値がはっきりしている通販・予約 | 何を1件と数えるかの定義次第で請求額が変わる |
| ハイブリッド型 | 固定の基本料+料率、または固定+成果連動 | 広告費の幅が大きく、下限も上限も抑えたいとき | 2つの条件が重なるので、実際いくらになるかを必ず試算してもらう |
先に押さえること。どの体系が優れているという答えはありません。決まるのは「自社の広告費がいくらで、今後1年で増える見込みがあるか」です。広告費が動かないなら固定型、増やしながら試すなら料率型かハイブリッド型が総額で有利になりやすい、という順番で考えます。
この章の結論として、比較の単位は「料率何%か」ではなく「12か月でいくら出ていくか」です。以降では、その金額を自分で出す手順を書きます。
固定と料率が入れ替わる分岐点の出し方
固定型と料率型のどちらが安いかは、固定額 ÷ 料率で出る広告費が分岐点になります。固定15万円と料率20%なら、15万円÷0.2=75万円です。広告費が月75万円より少なければ料率型が安く、多ければ固定型が安くなります。
ここから使う数字(料率20%、固定15万円、最低手数料5万円)は、計算のしかたを説明するために置いた仮の値です。実際の水準は会社によって違うので、自社に届いた見積書の数字に置き換えて計算してください。
ステップ1 広告費の枠を、許容CPAから逆算して決める
最初に決めるのは広告費の枠です。「いくらまで出せるか」ではなく「1件の問い合わせにいくらまで払えるか」から逆算します。計算は3段階です。
- 1件の受注から残る粗利を出す(例:受注1件の粗利30万円)
- 問い合わせから受注に至る割合をかける(例:受注率20%なら、問い合わせ1件の価値は6万円)
- そのうち何割まで広告に使えるかを決める(例:3分の1なら、許容CPAは2万円)
許容CPAが2万円で、月に10件の問い合わせが欲しいなら、広告費の枠は月20万円が出発点になります。逆算のしかたは広告のコンバージョン単価の決め方|CPAを粗利と受注率で逆算で詳しく書いています。
この枠が決まっていないまま見積もりを取ると、代理店ごとに前提の広告費がバラバラになり、比較が成立しません。見積もり依頼の時点で「広告費は月◯万円で想定しています」と先にこちらから伝えるのが正解です。
ステップ2 手数料を「実効料率」に直して並べる
実効料率とは、その月に実際に払う手数料 ÷ 広告費で出る割合のことです。固定型も成果報酬型も、この形に直すと同じ軸で比べられます。
仮の数字で、広告費の額ごとに実効料率がどう動くかを並べます。
| 月の広告費 | 料率20%型の手数料 | 固定15万円型の手数料 | 料率型の実効料率 | 固定型の実効料率 |
|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 5万円(最低手数料が適用) | 15万円 | 25.0% | 75.0% |
| 30万円 | 6万円 | 15万円 | 20.0% | 50.0% |
| 75万円 | 15万円 | 15万円 | 20.0% | 20.0% |
| 150万円 | 30万円 | 15万円 | 20.0% | 10.0% |
表の1行目で、料率20%のはずが25%になっているのに気づいたでしょうか。最低手数料(ミニマムチャージ)が5万円に設定されているため、広告費20万円では料率どおりの4万円ではなく5万円が請求されるからです。広告費が小さい会社ほど、契約書の料率と実際の負担がずれます。
最低手数料が効く境目も計算できます。最低手数料 ÷ 料率で、5万円÷0.2=25万円です。広告費が25万円を下回る月は、ずっと最低手数料のほうが高くなります。
ステップ3 初期費と制作費を12か月で割って足す
初期費用とクリエイティブ制作費は、最初の月にまとまって出ていきます。これを月額に混ぜずに比べると、月額が安い会社が有利に見えてしまいます。12で割って月額に足してから並べてください。
足すのは次の4つです。見積書に書かれていなければ、書かれていないこと自体を確認します。
- 初期設定費:アカウント開設、キーワード設計、初回の入稿。1回限り
- 計測の構築費:コンバージョン計測、GA4との連携、タグの設置。ここが「別途お見積もり」のままだと、あとで費用が上乗せされることがあります
- クリエイティブ制作費:バナー、動画、LP。月に何点まで月額に含むかと、それを超えた場合の単価
- LPの改修費:既存ページを直す場合の費用。広告を出しても受け皿が弱いままだと成果が出ないので、ここを見ない見積もりは総額が読めません
ステップ4 総額を「実質CPA」に直して決める
最後に、手数料や制作費まで含めた総額を、見込みのコンバージョン数で割ります。これが実質CPAです。
広告費30万円・手数料6万円・制作費と初期費の月割り3万円で、月15件の問い合わせが取れる想定なら、(30+6+3)万円÷15件=2.6万円が実質CPAです。ステップ1で出した許容CPAが2万円なら、この条件では合いません。広告費を増やして手数料の実効料率を下げるか、制作の範囲を絞るか、そもそもこの媒体でいいのかを考え直す、という判断になります。
ここが判断の分かれ目。媒体レポート上のCPA(広告費÷CV数)だけを見ていると、手数料と制作費が計算に入りません。上の例では媒体レポート上のCPAは30万円÷15件=2万円ですが、実質CPAは2.6万円です。どれだけ差が開くかは手数料の体系と制作費の組み方で変わります。事業として合うかどうかは、実質CPAでしか判断できません。
見積書を同じ土俵に並べる比較シート
手元の見積書を並べるときに、そのまま使える表の形です。表計算ソフトにコピーして、行ごとに埋めてください。空欄が残った行が、そのまま相手に聞く質問になります。
【広告運用代行 見積比較シート】想定広告費 月 万円
項目 A社 B社 C社
--------------------------------------------------
月の広告費(想定)
手数料の体系(固定/料率/成果/併用)
手数料の額(想定広告費のとき)
最低手数料(ミニマムチャージ)
実効料率 = 手数料 ÷ 広告費
--------------------------------------------------
初期設定費(1回)
計測構築費(1回・含む/別途)
バナー制作(月◯点まで含む/1点◯円)
動画制作(含む/1本◯円)
LP制作・改修(含む/別途)
--------------------------------------------------
初期費・制作費の月割り(÷12)
月の総額 = 広告費+手数料+月割り
12か月の総額
--------------------------------------------------
想定CV数(月)
実質CPA = 月の総額 ÷ 想定CV数
--------------------------------------------------
媒体追加時の追加手数料
最低契約期間/解約予告の期間
広告アカウントの名義(自社/代理店)
広告費の支払い先(媒体へ直接/代理店へ)
この章の結論です。比べるのは料率ではなく実質CPAで、そこに至る計算はステップ1から4までの4段階だけです。分岐点は固定額÷料率、最低手数料が効く境目は最低手数料÷料率。この2本の式だけ覚えておけば、見積書を見た瞬間にどちらが有利か見当がつきます。
媒体を増やすと総額はどう変わるか
媒体を1つ足したときに増えるのは広告費だけではありません。手数料の計算単位が媒体ごとになっている契約があります。ここが、単一媒体だけを前提にした費用の記事では抜け落ちる部分です。
媒体ごとに最低手数料がかかる契約かを確認する
Google広告だけで月60万円を使っていた会社が、Meta広告を月10万円分追加したとします。合算の広告費は70万円です。契約の書き方によって、手数料は次のように変わります。
| 契約の書き方 | 手数料の計算 | 手数料の合計 | 実効料率 |
|---|---|---|---|
| 合算した広告費に料率20% | 70万円×20% | 14万円 | 20.0% |
| 媒体ごとに料率20%・最低5万円 | Google 12万円+Meta 5万円(最低額が適用) | 17万円 | 24.3% |
| 基本料15万円+媒体追加1つにつき5万円 | 15万円+5万円 | 20万円 | 28.6% |
同じ70万円を使っていても、実効料率が20.0%から28.6%まで開きます。少額の媒体を足すときほど、最低手数料の影響が大きく出ます。月10万円のテスト配信をするために、毎月5万円の手数料が上乗せされる構造になっていないかを、追加する前に確認してください。
媒体を分散するか、1媒体に集中するかの判断
媒体を増やすかどうかは、自社の許容CPAと最低手数料から計算して決めます。判断のしかたは次のとおりです。
- 追加する媒体の広告費に対して、最低手数料の割合を出す:月10万円のテスト配信に最低手数料5万円がかかるなら、その媒体の実効料率は50%です。この負担を乗せても許容CPAに収まるかを先に計算します
- 収まらないなら、媒体は主力1つに絞る:広告費が小さいうちは、最低手数料の負担割合が大きくなるので、分散した分だけ実質CPAが悪化します
- 合算料率を交渉できるか聞く:媒体ごとの最低手数料が重なる契約は、媒体を増やすほど不利になります。合算した広告費に一律の料率をかける形にできるかを確認してください
少額での媒体選びは月5万円のBtoB広告は検索1本に集中|媒体選びと初動3ステップに書いています。媒体ごとの費用対効果を数字で比べる方法は費用対効果の高い広告媒体の選び方|ROASで比べる手順と指標が参考になります。
媒体に払う広告費そのものの仕組みも押さえておく
手数料を比べる前提として、広告費が何に対して発生するかも確認しておきます。媒体ごとの課金の条件や、請求がいつ確定するかは契約中のアカウントの管理画面で確認できるので、代理店任せにせず自社でも見られる状態にしておいてください。
請求書の見方や消費税・インボイスの扱いはGoogle広告の費用の確認方法|請求明細と消費税・インボイスにまとめました。ここを代理店任せにすると、広告費と手数料のどちらが増えたのかが分からなくなります。
この章で押さえるのは、媒体を増やす判断は「その媒体に効果がありそうか」だけでは決められない、ということです。追加で発生する手数料を含めた実質CPAが許容CPAに収まるかどうかで決めてください。
契約前に確認する8項目
金額が合っていても、契約の条件次第で総額は後から変わります。見積書を受け取った時点で、次の8つを文書で確認してください。口頭の回答をそのまま信じないためのリストです。
- 最低手数料の額と、それが適用される広告費の水準。「広告費が◯万円を下回る月は◯万円」と書いてもらう
- 媒体を追加したときの手数料の計算方法。合算料率か、媒体ごとか、追加料金か
- 広告費の支払い先。自社のクレジットカードで媒体へ直接払うのか、代理店へ払うのか
- 広告アカウントの名義と、解約時の引き継ぎ。自社名義で開示されるか、解約後もデータが残るか
- 月額に含まれる制作の範囲。バナー何点まで、修正何回まで、超えた場合の単価
- 計測環境の構築が含まれるか。コンバージョン計測とGA4連携が別途なら、その金額
- 最低契約期間と解約予告の期間。6か月縛りなら、その間の総額が確定費用になる
- レポートの中身と定例の頻度。媒体の数字だけか、改善の切り口まで入るか
そのまま送れるメール文面の形にしておきます。「見積もりを比べたいので」と前置きすれば、失礼にはなりません。
お世話になっております。[自社名]の[担当者名]です。
お見積もりをありがとうございました。社内で比較するにあたり、
下記の4点を文書でご回答いただけますでしょうか。
1. 広告費が月[ ]万円を下回った場合の手数料の扱い
(最低手数料の設定があればその額)
2. 媒体を追加した場合(例:Meta広告を月[ ]万円)の手数料の計算方法
3. 月額に含まれる制作物の点数と修正回数、超過した場合の単価
4. コンバージョン計測とGA4連携の構築費が、初期費用に含まれるか
あわせて、最低契約期間と解約予告の期間、
広告アカウントの名義についてもご教示ください。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
回答に金額の根拠まで添えられているか、いつまでに返ってくるかは、そのまま判断材料になります。見積もりの回答は、運用が始まった後のやり取りの見本だと思って読んでください。
手数料まわりでよくある失敗と防ぎ方
費用の決め方でつまずくのは、金額の高さそのものではなく、契約の構造を見落としたときです。実際に相談として持ち込まれやすい5つを挙げます。
失敗1 料率型のまま、広告費だけが積み上がる
起きる状況は、料率型で契約して半年ほど経ち、成果が伸び悩んできたときです。改善提案として出てくるのが「予算を増やしましょう」ばかりになり、CPAが悪化しているのに広告費だけが増えていきます。料率型では、広告費が増えると代理店の報酬も自動的に増えるからです。
防ぎ方は、契約時に次の2つを決めておくことです。
- 手数料の上限額:「広告費が◯万円を超えた分は料率を下げる、または定額に切り替える」と書きます
- 増額の条件:「目標CPAを◯円以内で達成している月に限り増額を検討する」と決めておけば、悪化したまま増やす提案が出てこなくなります
失敗2 最低手数料を見落として、実効料率が契約書の料率を上回る
ここからの数字は、前の章とは別の仮の例です(料率15%・最低手数料5万円)。起きる状況は、この条件で契約したあと、広告費を月40万円から20万円に下げたときです。
- 広告費40万円のとき:手数料は料率どおりの6万円。実効料率は15%です
- 広告費20万円のとき:料率どおりなら3万円ですが、最低手数料5万円が適用されて実効料率は25%になります
広告費を減らしたのに、負担割合は増えています。
防ぎ方は、契約前に最低手数料 ÷ 料率で境目の金額を出し、その水準を下回る運用をする可能性があるかを考えることです。この例(料率15%・最低5万円)なら5万円÷0.15=約33万円で、広告費がこれを下回る月はずっと最低手数料が効きます。季節で広告費が大きく変動する業種(イベント、受験、引っ越し、行楽など)は、閑散期の広告費で試算してください。
失敗3 広告費を代理店経由で払い、解約時の精算でもめる
起きる状況は、広告費を代理店にまとめて振り込む形で契約し、途中解約や配信停止をしたときです。未消化分の精算、媒体からの返金の扱い、消費税の処理が契約書に書かれていないと、金額の確認だけで時間がかかります。代理店側から見ても、立て替えたまま入金が止まるリスクがあるので、お互いにとって重い仕組みです。
防ぎ方は単純で、広告費は自社のクレジットカードで媒体に直接支払う形にすることです。媒体の管理画面で使った金額をいつでも自分で確認でき、手数料と広告費が混ざりません。代理店請求しか選べない場合は、月次で媒体の請求明細の写しをもらう約束にしてください。
失敗4 成果報酬型で、数える「1件」の定義がずれている
起きる状況は、成果報酬型でフォーム送信1件あたりいくら、という契約をしたときです。採用応募、営業メール、いたずら送信、既存顧客からの問い合わせまで含めて課金対象になり、商談にならない件数に費用を払うことになります。件数は増えるのに受注は増えない、という形で現れます。
防ぎ方は、契約時にコンバージョンの定義を文章で決めることです。「新規の見込み客からの、サービスに関する問い合わせ」と書き、あわせて除外する条件を列挙します。
- 採用応募
- 取引先からの連絡
- 同一人物の重複送信
- スパム判定分
そのうえで、月次で除外件数を報告してもらい、翌月の請求から差し引く運用にします。何を成果に数えるかの決め方は広告のコンバージョンとは|BtoBで成果に数える行動の決め方で整理しています。
失敗5 制作費が「含む」と言われたが、修正回数の上限がない
起きる状況は、「バナー制作は月額に含みます」という説明で契約し、実際に配信を始めてから差し替えを依頼したときです。月に含まれるのは初回の1セットだけで、2回目以降は1点ごとに追加、という扱いになっているケースがあります。広告は素材を差し替えながら伸ばしていくものなので、ここが有料だと改善の速度がそのまま費用になります。
防ぎ方は、「月◯点まで新規制作、修正は◯回まで」と点数と回数で書いてもらうことです。あわせて、素材の所有権も確認します。制作したバナーやLPのデータを解約後に使えるかどうかで、次の会社に移るときの費用が変わります。
この章の結論です。費用のトラブルは、金額ではなく「条件が書かれていない」ことから起きます。上の5つはすべて、契約書か仕様書に1行足せば防げるものです。見積もりの段階で聞いて嫌がられるなら、その時点で判断材料が1つ増えたことになります。
手数料の中身が変わってきた。何に払っているのかを見る
運用代行の手数料が何の対価なのかは、契約によって差があります。入札や配信先の調整をどこまで代理店が手で行い、どこから媒体側の機能に任せるかで、人が手を動かす範囲が変わるからです。手を動かす範囲が変わっても残る価値は、次の3つです。
- 計測設計:何を成果に数え、どう測るかを決める。ここがずれていると、後続の改善判断がすべて間違った数字の上で行われます
- 素材の供給:配信に使う広告文・画像・動画を、質を保ったまま量産し続ける
- 除外と検証:無駄な配信面や検索語句を止め、商談につながった件数まで追いかけて判断する
これが費用の判断にどう効くかというと、「毎日入札を見ています」を根拠にした手数料の説明だけでは、中身が分からないということです。見積もりを受けるときは、上の3つについて月に何をするのかを聞いてください。「週次でレポートを出します」だけの回答なら、その手数料は報告書の作成費に近いことになります。
逆に、手を動かす場面が減っているから手数料は安くていいはずだ、とも言い切れません。素材の量産と計測設計は、どちらも代わりが効かない領域です。安いところを探すより、この3つを実際にやるかどうかで選ぶほうが、総額では合います。
社内に残る作業を先に数えておく
外注しても、社内から完全に作業が消えるわけではありません。実際に社内に残るのは次の4つで、どれも代理店側では代われません。
- 商品やサービスの情報提供。価格改定、在庫、繁忙期、対応できないエリアの共有
- 問い合わせが商談になったか、受注になったかのフィードバック。ここが返らないと改善が止まります
- 広告表現の確認。業界の規制や、言ってはいけない表現の最終チェック
- LPやサイトの修正の意思決定と、社内での手配
月に1〜2時間で済む会社もあれば、定例会の準備だけで半日かかる会社もあります。この時間も費用のうちです。どこまで任せてどこを社内に残すかの組み方は内製化と外注のハイブリッド戦略|Web広告の役割分担5モデルで5つの型に分けています。
この章で判断できるようになるのは、手数料の妥当性です。金額の高い安いではなく、計測設計・素材供給・除外と検証の3つを実際に誰がやるのかで見てください。
よくある質問
広告費20万円で最低手数料5万円と言われました。実効料率はいくらになりますか
5万円÷20万円で25%です。契約書に書かれた料率が20%でも、最低手数料が効く水準では実際の負担がそれを上回ります。最低手数料÷料率で出る金額(この例なら25万円)を広告費が下回る月は、ずっと最低額が適用されると考えてください。
Google広告とMeta広告を1社にまとめて頼むと、手数料は合算料率になりますか
会社によって違います。合算の広告費に一律の料率をかける契約もあれば、媒体ごとに最低手数料がかかる契約もあります。後者だと、少額のテスト媒体を足すだけで実効料率が数ポイント上がります。見積もりの段階で「媒体を追加した場合の計算方法」を必ず文書で確認してください。
入札の手間が減ったのに、手数料率が変わらないのはおかしくないですか
率だけでは判断できません。入札調整に使う時間が減っても、素材の量産と計測設計の負荷は残るためです。判断の材料は率ではなく中身で、月に何点の素材を作り、どの数字まで追いかけるかを聞いてください。報告書の提出だけなら、その手数料は割高です。
手数料に消費税はかかりますか。広告費とは別に請求されますか
請求の内訳は契約によって違うので、まず見積書で広告費と手数料が別項目になっているかを確認してください。
- 広告費を媒体に直接支払う形:媒体からの請求と、代理店からの手数料請求が別々に届きます
- 代理店経由でまとめて払う形:内訳が見えにくくなるので、媒体の請求明細の写しをもらう約束にしておくと安全です
税区分や仕入税額控除の扱いは、顧問税理士に確認してください。
6か月の最低契約期間を提示されました。受けてもいいですか
期間そのものより、その6か月分が確定費用になることを踏まえて総額を出してください。成果が出るまでにかかる期間は、業種・競合状況・広告費の規模によって大きく変わります。あわせて、期間中に媒体や予算を変えられるか、解約予告は何か月前かを確認しておきます。
今日できる一歩
手元に見積書が1通でもあるなら、まず最低手数料の額を探して、それを料率で割ってみてください。出てきた金額を自社の広告費が下回るなら、書かれている料率は実際の負担と違います。この割り算1回で分かります。
すでに代理店に任せていて、成果が伸びていない状態なら、費用の見直しより先に数字の確認から入るほうが早いことがあります。順番は広告運用代行で成果が出ない|数字の確認と広告代理店の変更判断にまとめました。
ここまで読んで、見積書の条件を1つずつ確認していく時間が社内で取れそうにないと感じた方は、一度お話を聞かせてください。毎月どこに手をつけるかを一緒に決めて、実装まで進める配信設計から見直す広告運用の支援を行っています。判断の理由と手順は文書に残すので、社内で回せる方ができた時点で引き継げます。今の見積書を見せていただくだけでも大丈夫です。
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