広告のコンバージョンとは|BtoBで成果に数える行動の決め方
この記事の要点
- 主要コンバージョンは「営業が次に動ける行動」1つに絞る
- 資料ダウンロードは中間として数え、入札の最適化対象にしない
- 数え方の設定ミスでCPAは実態より良く見える。失敗例5つを本文で解説
広告のコンバージョンとは、広告をクリックした人が「これが起きたら成果だ」とこちらが決めておいた行動を完了したことです。ページを見た、スクロールした、は含みません。BtoBの場合、そこに何を入れるかで広告の成果が変わります。問い合わせを主要な成果にするのか、資料ダウンロードも同じ1件として数えるのか。この1つの決めごとが、自動入札の動き方とリードの質を左右します。
この記事は、広告を出しているか、これから出す予定で、「何をコンバージョンに設定すればいいか」で止まっている方に向けて書いています。読み終わる頃には、自社の主要コンバージョン1つと中間コンバージョンを紙に書き出し、設定前のチェックリストで確認できる状態を目指します。
扱うのは「何を成果に数えるかの決め方」です。タグやGTMを使った実装の手順そのものはフォーム送信をコンバージョン計測する設定手順|GA4とGTMで解説しているので、実装で詰まっている方は先にそちらをご覧ください。
Contents / 目次
広告のコンバージョンとは、営業が次に動ける行動のこと
広告のコンバージョンとは、広告経由で起きた「事業が一歩前に進む行動」を、こちらが定義して1件ずつ数えたものです。Google広告では、まず「この行動を成果とする」という単位(コンバージョンアクション)を管理画面に登録し、その行動が起きたことを計測タグが検知して件数を積み上げます。詳しい仕組みはGoogle広告ヘルプ「コンバージョン トラッキングについて」をご覧ください。つまり、自動的に決まるものではなく、こちらが決めるものです。
BtoBで判断に迷うのは、購入ボタンのような分かりやすい終点がないからです。問い合わせ、見積依頼、資料ダウンロード、ウェビナー申込、電話。どれも価値はありますが、価値の大きさがまったく違います。ここを同じ「1件」として扱うと、広告の数字は良く見えるのに商談が増えない状態になります。
判断の軸はひとつに絞れます。その行動が起きたとき、営業が次に何かを実行できるかどうかです。名前と会社名と連絡先が手に入り、翌日に電話をかける理由がある行動は主要コンバージョン。連絡先は取れるが、まだ電話をかけると早すぎる行動は中間コンバージョン。連絡先が取れない行動は、そもそも数えません。
| 区分 | 具体的な行動の例 | 広告での扱い方 |
|---|---|---|
| 主要コンバージョン | 問い合わせフォーム送信、見積依頼、無料相談・デモ申込、一定の長さ以上の電話 | 入札の最適化対象にする。原則1つに絞る |
| 中間コンバージョン | 資料ダウンロード、事例集ダウンロード、ウェビナー申込、料金ページからのメール登録 | 件数は計測して見るが、最適化対象には入れない |
| 数えない行動 | ページ表示、スクロール到達、電話番号のタップ、メールアドレスのクリック、送信ボタンのクリック | コンバージョンとして登録しない |
3行目を「数えない」に入れている理由を補足します。電話番号のタップも送信ボタンのクリックも、その先で実際に何かが完了した証拠にならないからです。タップしたけれど発信をやめた人、入力エラーで送信できなかった人まで1件として積み上がり、CPA(1件あたりの獲得単価)が実態より安く見えます。
この章の結論。成果に数えるかどうかは「営業が明日動けるか」で決めます。動ける行動は主要に1つ、動けないが連絡先が残る行動は中間に、証拠が残らない行動は数えません。用語そのものを一通り押さえたい方はWeb広告の基本用語一覧|CPC・CVR・ROASをお金の流れで理解もあわせてどうぞ。
成果に数える行動と、数えない行動の仕分け方
仕分けは、行動を1つずつ4つの問いにかけると決まります。感覚で決めると、あとで「これも成果だよね」と足していき、気づいたときには主要コンバージョンが5つ並んでいた、という状態になります。先に問いを固定してしまうのがおすすめです。
- その行動が起きたとき、会社名か個人の連絡先が手元に残るか
- 営業が24時間以内に連絡して、迷惑がられずに話ができるか
- その行動をした人のうち、過去に商談まで進んだ割合をおおまかにでも言えるか
- その行動が、広告を止めても自然に起きてしまう行動ではないか
1と2がどちらも「はい」なら主要コンバージョンの候補です。1が「はい」で2が「いいえ」なら中間コンバージョンです。1が「いいえ」なら、どれだけ件数が多くても数えません。
4つ目の問いは見落とされがちです。たとえば既存顧客向けのサポート窓口フォームや、採用の応募フォームが同じ「お問い合わせ」に統合されていると、広告とは無関係な送信までコンバージョンに混ざります。この場合は、フォームを分けるか、送信完了後のURLを分けて別々に数えられるようにします。
| 迷いやすい行動 | 仕分け | 理由 |
|---|---|---|
| 資料ダウンロード(ホワイトペーパー) | 中間 | 連絡先は残るが、この時点で電話をすると早すぎることが多い |
| ウェビナー申込 | 中間。ただし内容が個別相談型なら主要 | 「事例紹介セミナー」と「個別相談会」では温度がまったく違う |
| 電話 | 主要。ただし通話の長さで区切る | 間違い電話や1コールで切れた通話まで数えると件数が水増しされる |
| 採用の応募フォーム | 数えない | 広告の目的と別。混ざると媒体の評価を誤る |
| メルマガ登録 | 中間。件数が多すぎるなら数えない | 主要コンバージョンより件数が大幅に多いと、平均値が引きずられて判断を誤る |
| 料金ページの表示 | 数えない | 連絡先が残らない。関心の指標としてGA4側で見る |
「とりあえず全部コンバージョンにして、あとで見ながら決める」は、BtoBではおすすめしません。スマート自動入札は、最適化対象に登録した行動の件数や価値を目標に配信を調整します(Google広告ヘルプ「スマート自動入札について」)。あとで外しても、その間に集まったデータは戻りません。
この章の結論。4つの問いを紙に書いて、自社サイトでできる行動を1つずつ通してください。この作業を先にやっておくと、管理画面の設定画面で迷う時間がほぼなくなります。
コンバージョン設計の5ステップ
ここからは実際の手順です。管理画面のメニュー名やボタン名は更新されることがあるので、設定画面の操作そのものはGoogle広告ヘルプ「コンバージョン トラッキングについて」の最新の記載を見ながら進めてください。
ステップ1 いま起きている行動の棚卸し
最初にやるのは、サイト上で人が完了できる行動を全部書き出すことです。管理画面を開く前に、この一覧を作ります。
書き出すのは次の項目です。フォームの数だけ行が増えます。
| 行動の名前 | 置いてあるページ | 完了後にどうなるか | 直近3か月の件数 | そのうち商談になった数 |
|---|---|---|---|---|
| お問い合わせ | /contact/ | /contact/thanks/ に移動 | 18件 | 7件 |
| 資料ダウンロード | /download/ | 同じページに完了メッセージが出る | 63件 | 4件 |
| 電話 | 全ページのヘッダー | 記録が残っていない | 不明 | 不明 |
この表は説明のための仮定です。実際にやると「完了後にどうなるか」の列で必ず何かが引っかかります。同じページに完了メッセージが出るタイプのフォームは、URLが変わらないので通常のページ計測では検知できません。ここを最初に見つけておくと、あとで「数字が0のまま」と慌てずに済みます。
電話の記録が残っていないのもよくあります。件数が不明なら、その場で「不明」と書いてください。不明であることが分かっているのと、分かっていないつもりでいるのとでは、次の判断がまったく変わります。
ステップ2 主要コンバージョンを1つに絞る
棚卸し表の「そのうち商談になった数」を見て、割合がいちばん高い行動を主要コンバージョンにします。上の仮の表で計算すると、お問い合わせは18件中7件で約39%、資料ダウンロードは63件中4件で約6%です。これはあくまで説明のための数字なので、必ず自社の実数で計算してください。この例では、コンバージョン数そのものは資料ダウンロードのほうが多いのに、商談になった数はお問い合わせのほうが多くなっています。主要にするのはお問い合わせです。
複数の行動を主要にしたくなったら、ひとつ問いを足してください。「その2つの行動を、営業はまったく同じ手順で追いかけるか」。追いかけ方が違うなら、それは別の価値の行動なので、同じ枠には入れません。
例外は、主要コンバージョンの件数があまりに少ないときです。件数が少ないほど自動入札は判断材料を持てません。必要な件数の目安は入札戦略ごとに異なるので、使う入札戦略の推奨値はGoogle広告ヘルプ「スマート自動入札について」で確認してください。件数が足りない期間は、中間コンバージョンを一時的に最適化対象に入れて、主要が安定して出るようになったら戻す、という進め方をとります。入札戦略の選び方はGoogle広告の予算上限と入札戦略の決め方・設定手順でまとめています。
ステップ3 中間コンバージョンの置き場所を決める
中間コンバージョンは、登録はするけれど入札の最適化対象には入れない、という扱いにします。Google広告のコンバージョンアクションには、入札の最適化に使うかどうかを区分する設定があります。区分の名称、それぞれが入札にどう影響するか、切り替えの手順はGoogle広告ヘルプ「主要コンバージョン アクションとセカンダリ コンバージョン アクション」の現在の記載で確認してください。仕様も表記も変わることがあるので、この記事の説明ではなくヘルプ側を正としてください。
なぜ登録するかというと、主要コンバージョンが動かないときに、どこで止まっているかを切り分ける材料になるからです。中間も主要も両方ゼロなら、まず広告の入口(キーワードや配信面)を疑います。中間は出るのに主要がゼロなら、サイトと提案内容を疑います。ただし、これで原因が確定するわけではありません。主要コンバージョンの計測タグが動いていない、フォームがエラーで送信できない、商材と検索意図がずれている、といった別の原因でも同じ見え方になります。計測が正しく動いているかを先に確認したうえで、切り分けの手順はWeb広告で問い合わせが来ない原因|5層で切り分ける点検手順で1つずつ潰してください。
中間コンバージョンは、自社の営業が毎月1件ずつ中身を確認できる数だけに絞ってください。増えるほど一覧が読みにくくなり、結局どれも見なくなります。
ステップ4 カウント方法と1件あたりの価値を決める
コンバージョンアクションには、1回のクリックから同じ行動が複数回起きたときに全部数えるか、1回だけ数えるかを選ぶ設定があります。選択肢の表記、既定でどちらが選ばれるか、設定の変更手順はGoogle広告ヘルプ「コンバージョンのカウント方法を選択する」で確認してください。判断の考え方は決まっています。
- 問い合わせ・見積依頼・無料相談:1回だけ数える。同じ人が念のため2回送信しても、商談は1件だから
- 資料ダウンロード:1回だけ数える。1人が複数の資料を落とすとその回数だけ件数が増え、CPAが実態より安く見えるから
- ECの購入:すべて数える。2回買えば売上は2倍になるから
次に、1件あたりの価値です。BtoBは受注までに時間がかかるので、リードの段階で期待値を置きます。仮の数字で計算例を示します。
| 項目 | 仮の数値 |
|---|---|
| 受注1件あたりの粗利 | 50万円 |
| 問い合わせ→商談になる割合 | 20% |
| 商談→受注になる割合 | 25% |
| 問い合わせ1件の期待値 | 50万 × 0.2 × 0.25 = 2万5,000円 |
| 資料ダウンロード1件の期待値(商談化5%で計算) | 50万 × 0.05 × 0.25 = 6,250円 |
この数値は説明のための仮定です。実際の割合は業種と商材で大きく変わるので、自社の直近1年の実績で置き換えてください。この金額をコンバージョン値として設定しておくと、件数ではなく金額で広告を評価できるようになります。ROASでの見方は広告の費用対効果の出し方|ROAS計算と指標の見方・目安で解説しています。
もうひとつ決めるのが計測期間です。広告をクリックしてから何日以内に起きた行動を、その広告の成果として数えるかという設定です。BtoBは検討が長いので、既定のままだと検討期間より短いことがあります。設定できる範囲と既定値はGoogle広告ヘルプ「計測期間について」で確認したうえで、自社の「最初の接触から問い合わせまでの平均日数」より長く取ってください。
商談や受注まで広告に戻したい場合は、フォーム送信時にクリックIDを保存してCRMに引き継ぎ、商談化したタイミングで広告側に戻す方法があります。手順はオフラインコンバージョンのインポート手順|Google広告で商談計測にまとめています。
ステップ5 公開前チェックと月次の点検
設定したら、実際に自分でテスト送信してから広告費を使い始めます。ここを飛ばすと、1か月分の予算を「数えられていない状態」で使うことになります。
公開前に確認する項目です。
- テスト送信で1件だけ増えるか:自分で送信し、広告管理画面とGA4の両方で件数を確認する。2件増えたら二重計測
- 完了の合図が実際に出るか:サンクスページに移動するか、完了イベントが発火するか。同一URLで完了メッセージが出るフォームは要注意
- 社内からのアクセスが除外されているか:自社IPの除外、社内テストの分の削除
- 別目的の送信が混ざっていないか:採用応募、既存顧客のサポート依頼、営業電話のフォーム送信
- カウント方法が意図どおりか:問い合わせと資料ダウンロードは1回だけ数える設定になっているか
- 主要にしたコンバージョンが1つだけか:入札の最適化対象の一覧を開いて数える
- 計測期間が検討期間より長いか:平均検討日数を上回っているか
- 電話の扱いを決めたか:タップだけを数えていないか、通話の長さで区切れるか
- 同意管理で計測が止まる経路はないか:クッキー同意バナーの選択によって計測されない経路がある
二重計測が起きやすいのは、タグを直接埋め込んだ状態でGTMからも同じタグを配信しているケースです。実装側の防ぎ方はGoogle広告コンバージョン設定をGTMで実装|二重計測を防ぐ手順で扱っています。
月次では、コンバージョン数だけでなく「そのうち商談になった数」を営業に確認して、棚卸し表の右2列を更新します。この2列が更新され続けているかどうかが、コンバージョン設計が生きているかの分かれ目です。
仕分け作業をAIに手伝ってもらうなら、次の程度の短い指示から始めれば十分です。あとは返ってきた案を見ながら、対話で自社の事情を足していってください。
あなたはBtoBのWeb広告運用者です。
下の情報から、広告で成果として数える行動の候補を洗い出し、
「主要コンバージョン1つ」「中間コンバージョン」「数えない行動」の3つに仕分けてください。
仕分けた理由と、その行動が起きたとき営業が次に何をできるかも1行ずつ書いてください。
・商材と単価、受注1件あたりの粗利:[入力]
・受注までの平均期間と、社内で判断する人:[入力]
・サイト上で今できる行動の一覧:[入力]
・直近3か月の件数と、そのうち商談になった件数:[入力]
返ってきた案は、そのまま使わずに次の2か所を見てください。
- 主要コンバージョンの中身:「営業が動けない行動」が入っていないか
- フォームの用途:自社では別目的で使っているフォーム(採用や既存顧客窓口)が成果に混ざっていないか
AIは社内の事情を知らないので、この2つは必ず人が判断します。
この章の結論。棚卸し表を作り、商談化率がいちばん高い行動を主要に1つ選び、カウント方法と期待値を決め、テスト送信で1件だけ増えることを確認する。この順番なら、設定画面の名称が変わっても迷いません。
数える行動を変えたあとに動く数字
コンバージョンの定義を整えると、最初に動くのは「見た目のコンバージョン数」です。それも、多くの場合は減ります。資料ダウンロードを主要から外し、カウント方法を1回だけに変えれば、件数は下がってCPAは上がります。これは悪化ではなく、実態に近づいただけです。
説明のために、仮の数値で変更前後を並べてみます。広告費は月30万円で、前後とも変えていません。変わったのは、どの行動を成果として数えるかだけです。変更前は資料ダウンロードもすべて成果に数えていたため30件、変更後は問い合わせだけを数えたため6件になった、という想定です。
| 項目 | 変更前(全部を主要CVにしていた) | 変更後(問い合わせのみ主要) |
|---|---|---|
| コンバージョン数 | 30件 | 6件 |
| CPA | 1万円 | 5万円 |
| 商談になった数 | 3件 | 3件 |
| 商談1件あたりの費用 | 10万円 | 10万円 |
この表は説明のための仮定です。ここで言いたいのは、変更しても商談の数は変わらないということです。変わったのは、見ている数字が実態とどれだけ合っているかだけ。そして、実態と合った数字に切り替えたあとで初めて、改善の打ち手が正しく選べるようになります。
変更後に起きる実務上の変化は、次の3つです。
- 自動入札の配信先が変わる:資料ダウンロードが多い層ではなく、問い合わせが起きる層に寄っていく。学習に時間がかかるため、しばらくは結論を出さない
- 媒体・キャンペーンの評価が入れ替わる:件数が多くて優秀に見えていたキャンペーンが、商談ゼロだったと分かることがある
- 営業との会話が成立する:「先月の問い合わせ6件のうち、どれが良かったですか」と聞ける。件数が30件だと聞けない
3つ目が、実務上いちばん効きます。BtoBのリードは月に数件から数十件です。この規模なら、数字の平均を見るより、1件ずつ営業に確認したほうが早く正確です。件数が少ないうちは「率」で判断せず、個別に見てください。月に数件のコンバージョンで媒体別のCVRを比べても、1件の増減で率が大きく動くため、差が実力なのか偶然なのか判別できません。
広告以外の接点も含めて何が効いたか知りたい場合は、問い合わせフォームに「何で当社を知りましたか」の設問を足す方法もあります。設問文と集計の手順は広告の効果測定をアンケートで補う方法|設問と集計の手順にまとめています。
この章の結論。定義を整えるとコンバージョン数は減りますが、商談数は変わりません。減った数字に驚いて元に戻すのではなく、その数字で営業と話せるようになったことを成果と見てください。
BtoBのコンバージョン設定でよく起きる5つの失敗
設定そのものは難しくありません。難しいのは、間違っていることに気づけない点です。どの失敗も、管理画面上は正常に見えます。
失敗1 資料ダウンロードと問い合わせを両方とも主要にする
起きる状況は、「どちらも成果だから両方入れておこう」という判断です。悪意も手抜きもありません。
スマート自動入札は、最適化対象に登録した行動を目標に配信を調整します(Google広告ヘルプ「スマート自動入札について」)。両方を主要に入れると、資料ダウンロードの件数も同じ「成果」として学習に使われるため、意図した問い合わせ中心の配信にならないことがあります。コンバージョン数は伸びているのに商談が増えていない、という見え方になります。
防ぎ方は、主要を1つに絞ることです。それでも両方を最適化対象にしたい事情があるなら、キャンペーンを分けて、資料ダウンロード狙いと問い合わせ狙いで予算を別々に管理します。同じキャンペーンの中に2つの目標を同居させないのが要点です。
失敗2 送信ボタンのクリックをコンバージョンにする
起きる状況は、フォームの完了ページがなく、送信すると同じURLのまま完了メッセージが出るタイプのときです。ページ移動がないので通常の方法では検知できず、やむを得ずボタンのクリックで数えてしまいます。
結果として、必須項目の入力漏れでエラーになった人、送信に失敗した人、途中でやめた人まで1件として積み上がります。実際に届いたメールの数と、管理画面のコンバージョン数が合わなくなります。この差は、フォームの入力項目が多いほど大きくなります。
防ぎ方は2つです。
- 完了後の移動先を分ける:フォームの設定で、送信完了後に専用のURLへ移動させる
- 成功時だけのイベントを使う:送信が成功したときだけ発火するイベントで計測する
どちらも取れないフォームなら、届いたメールの数を毎月手で数えて、管理画面の数字との差を把握しておきます。差の大きさを知っていれば、少なくとも判断は誤りません。
失敗3 カウント方法の設定を確認しないまま運用する
起きる状況は、コンバージョンアクションを追加するときに、カウント方法の欄を見ないまま次へ進んでしまうことです。ここは設定画面の中でも見落としやすい箇所です。現在の選択肢と既定値はGoogle広告ヘルプ「コンバージョンのカウント方法を選択する」で確認してください。
資料ダウンロードが「複数回すべて数える」設定になっていると、1人が複数の資料を落とした分だけ件数が積み上がります。何本落とすかは人によって違うので、水増しの幅は事前に読めません。件数が増えたぶんCPAは実態より安く見えるので、その媒体を「効率がいい」と判断して予算を増やしてしまいます。
防ぎ方は、コンバージョンアクションの一覧を開いて、1つずつカウント方法の列を見ることです。月に1回、数分で終わります。同じタイミングで、意図せず増えているコンバージョンアクションがないか(別の担当者やツールが自動で作ることがあります)も確認してください。
失敗4 電話のタップだけを数える
起きる状況は、スマートフォンからの流入が多いサイトで、電話番号のリンクを押した回数をコンバージョンにするケースです。
タップは発信の証拠になりません。次の3つが全部1件として積み上がります。
- 指が当たっただけの誤タップ
- 番号を見ただけで発信しなかったケース
- かけたけれど1コールで切ったケース
さらに、通話がつながっても「求人の応募でした」「営業の電話でした」ということがBtoBでは珍しくありません。
防ぎ方は、通話の長さで区切ることです。設定できる条件と手順はGoogle広告ヘルプ「電話に関するコンバージョンのトラッキング」で確認してください。仕組みが使えない場合は、電話を主要コンバージョンから外し、着信記録を月末に手で集計して別管理にします。
失敗5 社内・既存顧客・採用の送信が混ざったまま数える
起きる状況は、問い合わせフォームが1本しかない会社です。新規の相談も、既存顧客のサポート依頼も、採用の問い合わせも、同じフォームから届きます。
広告のコンバージョンとして数えられるのは、そのうち広告経由の送信だけですが、社内の担当者が動作確認のために送った分や、既存顧客が検索して広告をクリックしてから送った分は混ざります。もともとの件数が少ない会社ほど、わずかな混入で全体の数字の見え方が変わります。
防ぎ方は、フォームの冒頭に「お問い合わせの種類」の選択項目を置き、選択によって完了後のURLを分けることです。分けたうえで、新規相談のURLだけをコンバージョンとして登録します。あわせて、自社IPの除外と、社内テスト分をメモしておく運用もセットにしてください。
この章の結論。5つとも「管理画面は正常に見えるのに数字が実態とずれる」失敗です。月に1回、コンバージョンアクションの一覧を開いてカウント方法と主要の数を見る。これだけで4つは防げます。
現場に残る妥協点と、進め方の折り合い
ここまでの設計をきれいにやり切れる会社は多くありません。実際に手を動かすと、必ずどこかで折り合いをつけることになります。先に知っておくと、つまずいたときに立ち止まらずに済みます。
過去のデータとつながらなくなる問題があります。コンバージョンの定義を変えると、変更前後で数字が比較できません。前年同月比も使えなくなります。実務上の対処は、旧定義のコンバージョンアクションを削除せず、最適化対象から外して残しておくことです。1〜2か月は新旧の両方が並んで見えるので、その間に社内の説明を済ませます。切り替えた日をカレンダーにメモしておくのも忘れずに。
自動入札の学習が実質的にやり直しになります。目標にする行動が変われば、機械が学んできた「良い人の特徴」も変わります。学習にかかる期間の目安はGoogle広告ヘルプ「スマート自動入札について」で確認してください。件数の少ないBtoBでは、目安より長くかかることもあります。この期間に慌てて入札戦略や予算を触ると、何が原因で数字が動いたか分からなくなります。変更は1回に1つ、が現実的な運用です。
営業と広告で「1件」の意味がずれます。営業が言う「案件」は、こちらが数えている「コンバージョン」より後ろの段階を指していることがほとんどです。この状態で「今月30件取れました」と報告すると、営業側は30件の商談が来ると受け取ります。対処はシンプルで、コンバージョン、リード、商談、案件の4語について、社内で1枚の定義表を作ることです。A4半分で足ります。
オフラインコンバージョンの連携は、続けるほうが難しいです。仕組みとしては、フォーム送信時にクリックIDを保存し、CRMに引き継ぎ、商談化したタイミングで広告に戻す、という流れです。技術的には作れます。止まる理由はほぼ運用側で、営業がCRMのステータスを更新しなくなると、その瞬間からデータが流れなくなります。最初から自動化を目指すより、月1回、担当者が商談化リストをCSVにまとめて手でインポートするところから始めたほうが続きます。
計測できる数は、実際に起きた数より少なくなります。クッキーの同意を得られなかった経路や、ブラウザ側の制限で、コンバージョンの一部は計測から漏れます。ここは完璧にできません。同意の取得と計測の折り合いについては同意モードの設定手順|CMPとGTMで計測もれを防ぐ実装の全体像で扱っています。実務では、管理画面の数字を絶対値ではなく「前月と比べてどうか」の相対値として使い、絶対値は営業側の受注記録で確認する、という二本立てにします。
この章の結論。完璧な計測を目指さず、「広告管理画面は相対比較、絶対値は営業の記録」と割り切ると運用が回ります。変更は1回に1つ、切り替えた日をメモしておくこと。この2つだけ守ってください。
よくある質問
Google広告のコンバージョン数とGA4の数が合いません。どちらを見ればいいですか
ズレるのが正常です。両者は成果を数える日付の付け方も、成果をどの接点に割り当てるかの考え方も違います。それぞれの現在の仕様はGoogle広告ヘルプ「コンバージョン トラッキングについて」とアナリティクス ヘルプ「コンバージョンについて」で確認してください。実務では、広告の予算判断は広告管理画面、サイト全体の動きはGA4、と用途で使い分ければ十分です。
資料ダウンロードをコンバージョンにすると問い合わせが減ると聞きました。本当ですか
自動入札の最適化対象に入れた場合は、資料ダウンロードも同じ成果として学習に使われます。ただし「計測すること」自体は問題ありません。最適化対象からは外し、参考の数字として件数だけ見る形にすれば、問い合わせを狙いながら中間の動きも把握できます。
問い合わせが月2〜3件しかなくても、コンバージョン設定する意味はありますか
あります。件数が少ないほど、どのキーワードから来た1件かを個別に追う価値が大きくなります。自動入札の学習には足りないので、その期間は入札を手動寄りにするか、中間コンバージョンを一時的に最適化対象にして件数を確保する進め方をとってください。
同じ人が資料をダウンロードしたあと問い合わせもした場合、2件と数えますか
資料ダウンロードと問い合わせを別々のコンバージョンアクションとして登録していれば、それぞれの行動として別に集計されます。主要コンバージョンを問い合わせだけに絞っておけば、入札とCPAの判断に使われるのは問い合わせのほうです。集計と入札への反映のされ方はGoogle広告ヘルプ「主要コンバージョン アクションとセカンダリ コンバージョン アクション」の現在の記載で確認してください。管理画面では合計欄の数字だけを見ないようにしてください。
コンバージョンの定義を運用の途中で変えても大丈夫ですか
変えて構いません。ただし変更日を記録し、前後の期間を混ぜて比較しないでください。自動入札は学習し直しになるため、数字が動いてもしばらくは判断を保留します。旧定義は削除せず、最適化対象から外して残しておくと社内説明がしやすくなります。
今日の最初の一歩
まずは広告管理画面のコンバージョンアクション一覧を開いて、最適化対象になっている行動がいくつあるか数えてください。1分で終わります。2つ以上あれば、この記事のステップ2に戻って、どれを主要にするか決めるところから始められます。
決めたあとの毎週の見方については、Google広告の運用方法|毎週見る数字と直す順番の考え方が続きになります。
自社だけで棚卸しから設定変更まで進めるのが難しそうだと感じた方は、現状をうかがうだけでも一緒にやらせてください。いま何を成果に数えていて、そこに何が混ざっているかを見るだけでも、次に手を入れる場所ははっきりします。お問い合わせフォームから、気軽に声をかけていただければと思います。
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