GEO対策ツールの選び方|AIO対策ツールを計測範囲で見分ける4観点
この記事の要点
- GEO対策ツールは機能数ではなく「計測できる範囲」で選ぶ
- 見分ける観点は4つ。対象AI・質問の作り方・計測頻度・自社データとの接続
- 契約前に無料でできる2週間の自己計測手順を6ステップで公開
GEO対策ツール(AIO対策ツール・LLMO対策ツールとも呼ばれます)を比べるときに見るべきなのは、搭載機能の数ではありません。そのツールが「何を、どのAIで、どのくらいの頻度で、どれだけ正確に測れるか」という計測範囲です。ここが自社の目的とズレていると、月額を払っても報告書に載る数字が増えるだけで終わります。
この記事は、GEO対策ツールの導入を検討していて「おすすめを1つ教えてほしいのではなく、自分たちで選べる基準がほしい」という広報・マーケティング担当者に向けて書いています。読み終わる頃には、候補ツールのデモで何を質問すればいいか、そして契約前に自社で2週間だけ試す計測手順が分かる状態を目指します。
なお、この記事では製品名の一覧や料金比較は扱いません。仕様も価格も数か月で変わるためです。測る指標そのものの決め方はAI検索の効果測定指標|月次レポートで迷わない3階層の選び方で解説しているので、指標づくりから始めたい方はそちらを先にどうぞ。
Contents / 目次
GEO対策ツールは「計測できる範囲」で見分ける。まず確認する4つの観点
結論から言うと、GEO対策ツールを比べるときに確認するのは次の4つです。この4つが自社の目的に合っていれば、あとの機能差は運用でどうにでもなります。
- 対象AIの範囲:ChatGPT、Gemini、Perplexity、Microsoft Copilot、GoogleのAI Overviews(AIによる概要)やAIモードのうち、どれを見ているか
- 質問の作り方と持ち方:計測に使う質問を誰が作るのか、何問まで登録できるのか、後から編集したとき過去と比較できるのか
- 計測頻度とサンプル数:1つの質問を何回・どの間隔で実行するのか。1回だけの結果を「順位」のように見せていないか
- 自社データとの突き合わせ:GA4やSearch Consoleの数字、問い合わせ件数とつなげられるか。生データをCSVで持ち出せるか
GEO(Generative Engine Optimization)とは、ChatGPTやGeminiのような生成AIの回答の中に、自社の情報が引用元として選ばれることを目指す取り組みのことです。従来のSEOが「検索結果で上に出ること」を目指すのに対し、GEOは「AIの答えの材料になること」を目指します。だから測る対象も、順位ではなくAIの回答文そのものになります。
ここが、GEO対策ツール選びが難しくなる原因です。検索順位は誰が調べても同じ答えが返りますが、AIの回答は同じ質問でも毎回少しずつ変わります。だから「測れているように見える数字」を作るのは簡単で、その数字が信用できるかどうかは計測設計にしか表れません。
4つの観点を、確認する質問と危ないサインの形にすると次の表になります。デモや無料トライアルの申し込み前に、この表をそのまま持っていってください。
| 観点 | 担当者に確認する質問 | 危ないサイン |
|---|---|---|
| 対象AIの範囲 | どのAIを、日本語・日本からのアクセスとして測っていますか。ログインしていない状態ですか | 「主要な生成AIに対応」としか答えられない。日本語での計測実績を示せない |
| 質問の作り方 | 質問は誰が作りますか。何問まで登録でき、追加すると費用は変わりますか | 質問はツール側が自動生成するのみで、こちらで固定・編集できない |
| 計測頻度とサンプル数 | 1つの質問を1回の計測で何回実行しますか。結果は割合で出ますか | 1問1回の結果を、そのまま「掲載あり/なし」と断定して表示する |
| 自社データとの接続 | 計測の生データをCSVで出せますか。解約後はどうなりますか | 画面のグラフしか出せない。エクスポートが上位プランのみ |
ここが判断の分かれ目。どのツールも「AIがどう答えたか」は測れますが、「なぜそう答えたか」は測れません。AI側が判断の根拠を公開していないためです。だから改善提案の精度でツールを選ぶより、事実の記録がどれだけ正確かで選ぶほうが、あとで後悔しません。
この章の結論として、ツール選びは「どんな分析ができるか」ではなく「どんな事実を、どれだけ再現できる形で記録できるか」で決めてください。分析は人でもAIでも後からできますが、記録されていない事実は取り戻せません。
契約前にやる。無料でできるLLMO効果測定の2週間手順6ステップ
GEO対策ツールを契約する前に、まず自社で2週間だけ手動計測してみてください。これをやると、自社が本当に必要な計測範囲が数字で分かるので、ツール選びの精度が一気に上がります。必要なのはスプレッドシート1枚と、無料で使える生成AIのアカウントだけです。
ステップ1。AIに答えてほしい質問を30問つくる
最初にやるのは、自社が答えの中に出てきたい質問をリスト化することです。数は30問を目安にしてください。少なすぎると偶然に振り回され、多すぎると手作業が続きません。
内訳は、下の4種類で組みます。ここに挙げる問数は、この記事で説明を進めるための例です。検証データにもとづく推奨配分ではないので、そのまま採用せず、自社の状況に合わせて決めてください。指名検索が多い会社なら指名型を増やす、比較検討が長い商材なら比較型を増やす、といった具合です。
- 課題型(例:12問):「◯◯がうまくいかない原因」「◯◯を社内でやる方法」など、社名を含まない困りごとの質問
- 比較型(例:8問):「◯◯と△△の違い」「◯◯サービスの選び方」など、複数の選択肢を並べさせる質問
- 指名型(例:5問):「株式会社◯◯はどんな会社か」「◯◯の評判」など、自社名を直接含む質問
- 条件つき(例:5問):「従業員20人の会社が◯◯を導入するなら」「予算◯万円で◯◯をやるには」など、前提条件を足した質問
質問づくりは生成AIに手伝ってもらうのが早いです。作り込んだ長いプロンプトは不要で、次くらいの短いたたき台から始めて、返ってきた質問を見ながら対話で削っていくのが実務的です。
[業種・サービス名を入力]を検討している人が、ChatGPTやGeminiに実際に打ちそうな質問を30個つくってください。
内訳は、社名を含まない困りごとの質問12個、比較や選び方の質問8個、社名を含む質問5個、
条件(従業員数・予算・地域など)を足した質問5個にしてください。
検索窓に打つ短い単語ではなく、AIに話しかける長さの文で書いてください。
出てきた30問をそのまま使わないでください。実際に問い合わせで聞かれる言い回しに1問ずつ直すのが、ここで人がやる仕事です。営業担当に「先週お客さんに聞かれたことを5つ教えて」と聞いて混ぜると、精度が上がります。
ステップ2。質問台帳と記録シートを作る
質問が決まったら、質問IDを振って固定します。ここを固定しないと、翌月に比較できなくなります。記録シートの列は7つで足ります。
| 列 | 項目 | 入れる値 |
|---|---|---|
| A | 計測日 | 2026/08/08 のような日付 |
| B | AI名 | ChatGPT/Gemini など、表記を毎回そろえる |
| C | 質問ID | Q01〜Q30 |
| D | 自社言及 | 回答本文に自社名が出たら1、出なければ0 |
| E | 引用URL | 自社サイトのURLが出典として示されたら1、なければ0 |
| F | 文脈の正誤 | 紹介内容が事実として正しければ1、誤りがあれば0 |
| G | 競合名 | 回答に出てきた他社名をカンマ区切りで記録 |
D列とF列を分けているのが要点です。名前が出ても内容が間違っていれば成果ではありません。この2列を分けずに「掲載された回数」だけを数えると、誤った紹介が増えているのに数字が伸びて見えます。
ステップ3。条件をそろえて、週1回・同じ手順で聞く
AIの回答は条件で変わるので、毎回そろえる条件を先に決めます。ここが手動計測でいちばん崩れやすい場所です。
- 毎回、新しいチャットを開いてから質問する
- 可能ならログアウト状態、またはシークレットウィンドウで実行する
- 質問文はコピー&ペーストし、1文字も変えない
- 曜日と時間帯を固定する(毎週火曜の午前など)
- 同じ質問を3回続けて実行し、3回分すべてを記録する
1つ目と2つ目は、計測条件を毎回そろえるための社内ルールです。会話履歴やアカウント情報が回答にどう使われるかは各サービスの設定次第で、たとえばChatGPTのメモリー機能はOpenAIヘルプセンター(Memory FAQ)で仕様と無効化の方法が案内されています。仕様は変わりますし、こちらから完全には把握できないので、「毎回まっさらな状態から聞く」と決めて手順を固定するほうが確実です。
5つ目が特に大事です。1回だけだと、たまたま出た・出なかったの区別がつきません。3回実行して「3回中2回で言及あり」と割合で持つと、翌月との比較に耐えます。1回の計測は30問×2つのAI×3回で180回になります。1回にかかる時間は質問の長さや回答の読み込みで変わるので、まず10回だけ実測して自社の所要時間を出してください。いずれにせよ1日で終わる量ではないので、2〜3日に分けて進めるのが現実的です。
ステップ4。集計してスコアにする
4週間ためたら集計します。Googleスプレッドシートなら次の式をコピーして使えます。シート名は「計測ログ」を想定しています。
※ 前提:Googleスプレッドシートのシート名を「計測ログ」にし、A〜G列を上の表のとおりに作る
※ [ ]の中は自社の値に変更する
■ ChatGPTでの言及率(回答に自社名が出た割合)
=COUNTIFS(計測ログ!B:B,"ChatGPT",計測ログ!D:D,1)/COUNTIFS(計測ログ!B:B,"ChatGPT")
■ 8月分の「引用URLあり」の件数
=COUNTIFS(計測ログ!A:A,">="&DATE(2026,8,1),計測ログ!A:A,"<="&DATE(2026,8,31),計測ログ!E:E,1)
■ 言及はあったが内容が誤っていた件数(ここが放置されやすい)
=COUNTIFS(計測ログ!D:D,1,計測ログ!F:F,0)
■ 特定の競合が回答に出てきた回数
=COUNTIF(計測ログ!G:G,"*[競合社名を入力]*")
※ 1つ目の式は、分母が0だと #DIV/0! になります。計測開始週は表示エラーが出ても問題ありません
最後の式は、G列に「A社, B社」のようにカンマ区切りで入れている前提で、社名の前後に他の名前が入っていても数えられるようにアスタリスクで挟んでいます。この書き方が意図どおり動くかは、実際に数件入力して手で数えた件数と一致するかを必ず確かめてください。社名に記号が入る場合や、他社名の一部に自社名が含まれる場合は、正しく数えられないことがあります。関数の詳しい仕様はGoogleスプレッドシート ヘルプ(COUNTIF)で確認できます。
ステップ5。AIの誤りを、自社サイトの修正作業に変える
F列が0になった回答は、そのまま改善タスクになります。AIが間違えるのは、たいてい自社側の情報が古い・複数ページで食い違っている・そもそも書いていないかのどれかです。
誤りを見つけたら、その内容が自社サイトのどのページに書かれているかを探し、書かれていなければ書き足します。ここでどこを直すか迷ったら、生成AIに自社の一次情報を正しく渡す方法|AIの嘘を防ぐ手順で、情報の置き場所と書き方の整え方を解説しています。
ステップ6。ツールに払う価値があるかを判断する
4週たったら、次の3点で判断します。ここまでやると、ツールのデモを見ても惑わされなくなります。
- 手作業の時間:ステップ3で実測した1回あたりの所要時間から、週1回×4週分の合計時間を出す。それを自社の人件費に換算した金額と、ツールの月額を比べる
- 測りたい範囲:2つのAIで足りたか、5つ以上見たくなったか。増やしたいなら手作業の限界なのでツール化の理由になる
- 数字の使い道:集計結果を見て、実際に直したページが1つでもあったか。1つも無いなら、ツールを入れても報告書が増えるだけで終わる
2週間や1か月の計測で「増えた・減った」を判断しないでください。この期間で分かるのは、現状の位置と、自社の運用に何が足りないかだけです。当社では、変化を語るなら数か月分の記録がたまってからと決めて運用しています。
この章の結論です。自己計測を1か月やれば、ツールに求める要件が「対象AIを◯個、質問を◯問、月◯回」という具体的な数字になります。この数字を持たずにデモを見ると、機能の多さで選んでしまいます。
4つの観点をデモでどう確かめるか。合格ラインの決め方
自己計測で要件が固まったら、候補ツールを4観点で確かめます。ここでは各観点で具体的に何を聞き、どう判断するかを書きます。
観点1。対象AIの範囲は「数」ではなく「自社の客が使うAI」で見る
対応AIの数が多いツールが良いわけではありません。どのAIを優先すべきかは業種や客層で変わるので、一般論で決めず、自社のGA4でどのAIのドメインから実際に流入があるか、そしてステップ1〜4の自己計測でどのAIに自社が出ているかを見て決めてください。この2つを見れば、優先順位は自社のデータで説明できます。
確認するのは、対応リストの長さではなく取得条件です。「日本語で、日本からのアクセスとして、ログインしていない状態で取っているか」を聞いてください。答えが曖昧なら、自己計測の数字と突き合わせて検証します。自分が手で計測した結果と、ツールの初期計測結果が大きく食い違うなら、条件が違うということです。その差の理由を説明できるかどうかが、そのツールの計測設計の質を表します。
観点2。質問を自分で決められて、過去と比較できるか
質問リストは、GEO計測における「測定の物差し」です。物差しが毎月変わったら、比較は成立しません。次の3つを確認してください。
- 自社で作った30問を、そのまま登録できるか(自動生成された質問しか使えない仕様になっていないか)
- 質問を追加・削除したとき、過去のデータが質問ID単位で残るか
- 登録できる質問数の上限と、超えたときの費用の変わり方
3つ目は見落とされがちです。質問数で課金が変わる設計だと、費用を抑えるために測りたい質問を削ることになります。それでは何のための計測か分かりません。契約前に「自社が測りたい30問を全部入れたらいくらか」を確かめてください。
観点3。計測頻度は日次より「1問を複数回」を優先する
毎日測れることを売りにするツールがありますが、GEOの計測では頻度を上げるより、1つの質問を1回の計測で複数回実行するほうが数字は安定します。同じ質問でも回答が毎回変わるためで、1回だけの結果は「その瞬間そう答えた」以上の意味を持ちません。
だから聞くべきは「何日おきに測りますか」ではなく「1つの質問を1回の計測で何回実行し、結果を割合で出せますか」です。1問1回の結果を、検索順位のように断定して見せるツールは、数字の読み方を誤らせます。
自社サイトの更新が月に数回なら、計測は週1回で十分です。日次計測が要るのは、キャンペーンや発表のタイミングで回答がどう変わるかを追いたいときくらいで、その必要が無いなら頻度にコストを払う意味はありません。
観点4。GA4・Search Consoleとつなげて、生データを持ち出せるか
ツールが出す「AI上での露出」と、自社サイトに実際に来た人の数は別ものです。両方を並べて初めて、施策の判断ができます。
AI経由の流入は、GA4の参照元(リファラー)を手がかりに集計します。どのドメインが参照元として記録されるかはサービス側の実装に依存し、参照元が送られない場合もあるため、まずは自社のGA4で実際に記録されているドメインを確認してください。参照元がどう扱われるかの前提はアナリティクス ヘルプ(デフォルトのチャネルグループ)で確認できます。設定手順はGA4でChatGPT流入を可視化する手順|カスタムチャネル設定にまとめています。ツールを入れなくても、この設定は今日できます。
Search Console側は事情が違います。AI経由の表示やクリックがレポート上でどう扱われるかは、Googleの仕様変更で変わります。何がどこまで見えるかは、そのときのGoogle公式ヘルプで必ず確認してください。この前提での見方はSearch ConsoleでAI検索の表示回数を確認する手順|GA4で補うで解説しています。
最後にCSVエクスポートの可否を必ず聞いてください。解約したら過去の計測データが一切残らないツールは、乗り換えのたびに履歴がゼロに戻ります。1年分の記録は、それ自体が資産です。
この章の結論です。4観点はどれも「デモ画面のきれいさ」では判断できず、担当者への質問でしか確かめられません。逆に言えば、この8個ほどの質問に即答できる担当者がいるツールは、計測設計をきちんと考えているということです。
GEO対策ツールを入れると何が変わり、何は変わらないか
先に率直なところを書くと、ツールを入れただけでAIに引用される回数は増えません。ツールが変えるのは、気づくまでの速さと、社内で話が通る速さです。
変わるものを具体的に挙げます。
- 計測の工数:30問×2AI×3回=180回の手作業を週1回、月4回続ける負担がなくなります
- 誤情報への反応速度:AIが自社の事業内容や実績を誤って説明していることに、手作業では次の計測日まで気づけません。自動計測なら発生した週のうちに拾えます
- 競合との相対位置:「同じ質問で、うちは3回中1回、A社は3回中3回」という形で並ぶと、社内の議論が感覚論から数字の話に変わります
- 報告の再現性:担当者が変わっても同じ条件で測り続けられます。手作業だと、条件のそろえ方が人によってズレます
一方で変わらないものもはっきりしています。AIの回答の中身を決めているのは、自社サイトに何が書かれているか、他のサイトで自社がどう言及されているか、そして各AI側の仕組みです。ツールはその結果を写す鏡であって、書き換える装置ではありません。
計測を成果につなげるために要るのは、結果を「直すページのリスト」に変換する習慣です。月次の集計で、内容が誤っていた回答(F列が0のもの)を上から順にたどり、その根拠になる自社ページを1本ずつ直す。レポートを眺めるだけで修正作業に落ちなければ、記録は増えても自社サイトの中身は何も変わりません。
何を直すかの優先順位づけに迷ったら、GEO対策のやり方を7手順で解説|AIに引用される会社の始め方で、着手する順番を整理しています。
この章の結論として、ツール費用の元を取れるかどうかは、ステップ3で実測した手作業の時間を代替できるかと、そこから月に何ページ直せるかで決まります。この2つを見積もれるなら、導入判断は数字でできます。
GEO計測でよくある失敗と、その防ぎ方
ここからは、実際にAI検索の計測を始めた現場でつまずきやすい箇所を挙げます。どれも、GEOの計測特有のものです。
失敗1。質問文を毎月書き換えて、前月と比較できなくなる
これは、担当者が真面目な会社ほど起きます。「先月の質問は聞き方が甘かった」と気づいて質問を書き直すと、翌月の数字が上がっても下がっても、施策の効果なのか質問を変えたせいなのか分からなくなります。
防ぎ方は、質問リストを「固定30問」と「試験枠」に分けることです。固定30問は半年変えないと決め、改善したい質問は別枠に追加して並行して測ります。半年後に入れ替えるときは、入れ替え月を記録に残し、その月をまたぐ比較はしないと決めておきます。
失敗2。回答のゆらぎを、施策の効果だと読んでしまう
同じ質問でも、AIは毎回まったく同じ答えを返すとは限りません。1問1回の計測だと、先週は出て今週は出なかった、という結果が普通に起きます。ここで「先週の記事公開が効いた」「今週下がったのは競合が何かしたからだ」と原因を探し始めると、存在しない因果を追いかけることになります。
防ぎ方は2つあります。1つは前述のとおり同一質問を3回実行して割合で持つこと。もう1つは、判断の単位を週ではなく4週間の平均にすることです。週次のグラフは眺めても、意思決定には月次の平均だけを使うと決めておくと、振り回されません。
失敗3。計測する人やブラウザがバラバラで、条件がそろわない
担当者が自分の普段使いのアカウントやブラウザで計測すると、別の担当者が測ったときと条件がそろいません。結果が食い違ったときに、施策の影響なのか計測環境の違いなのかを切り分けられなくなります。
防ぎ方は、計測用のブラウザプロファイルを1つ用意し、そこでは自社について雑談しないと決めることです。シークレットウィンドウを使い、毎回新しいチャットから始めます。地味ですが、この1点で数字の比較可能性が変わります。
失敗4。ツールの「AI流入数」とGA4の数字が合わず、報告会が止まる
GEO対策ツールが表示する流入数と、GA4で見えるAI経由の数字は、ほぼ一致しません。集計対象のドメインの範囲が違ったり、そもそもAIの回答内で引用されただけでクリックが発生していなかったりするためです。
報告会でこの差を追及されると、その場で説明できずに議論が止まります。防ぎ方は、報告資料を作る前に「AI上での露出はツールの数字」「サイトに来た人数はGA4の数字」と定義を書き分け、2つの数字は一致しないという前提を最初のページに明記しておくことです。定義を先に共有しておけば、差そのものは問題になりません。
失敗5。露出は増えたのに、紹介のされ方が間違ったまま伸びる
言及回数だけを追っていると起きます。実際にあるのは、次のようなケースです。
- すでに終了したサービスを、現行のものとして紹介される
- 対応エリアを、実際より狭く(あるいは広く)説明される
- 過去の料金体系や社名が、古いまま案内される
いずれも数字の上では成果に見えます。しかし、その回答を読んだ人が問い合わせてきたときに話が食い違います。
防ぎ方は、記録シートで「言及あり」と「内容が正しい」を別の列にすること(ステップ2のD列とF列)です。そして月次では、F列が0の件数を最優先の課題として扱います。誤りが混じったまま露出だけ増えるのは、成果ではなく事故の前段階です。
この章の結論です。GEOの計測で怖いのは数字が出ないことではなく、意味の無い数字が出てしまうことです。質問を固定し、複数回実行し、条件をそろえ、言及と正誤を分ける。この4つを守れば、少なくとも誤った判断は避けられます。
導入したあとに気づく落とし穴と、現場が受け入れている妥協点
ここでは、契約前の資料には出てこないけれど、運用を始めると必ず当たる部分を書きます。
まず、競合追跡は社名の表記ゆれで崩れやすいところです。「株式会社◯◯」「◯◯」「カタカナ表記」「英字表記」のどれで書かれるかはAI側の判断次第なので、どの表記でも拾えるようにしておく必要があります。ツールを使うなら、自社と主要競合それぞれについて表記のパターンを複数登録できるか、部分一致で集計されるのかを、契約前に担当者に聞いて確かめてください。手動計測でも同じで、集計式は「含む」条件(前述のアスタリスク)で組むのが安全です。
次に、スコアの定義を必ず聞いてください。独自の名前がついた総合スコア系の指標は、計算方法を聞いても説明が曖昧なことがあります。定義を説明できるツールなら問題ありませんが、中身が分からないまま社内報告に使うと、後で「その数字は何なのか」と聞かれたときに答えられなくなります。社内報告に載せるのは、言及率のような自分で計算方法を説明できる数字だけにするのが安全です。
そして、コストの見落としで多いのが質問数と対象AI数です。初期見積もりは最小構成で出ることが多く、実際に自社が測りたい30問・4つのAIで組むと金額が変わります。見積もりを取るときは、自己計測で決めた具体的な数字(質問数・AI数・計測頻度)を先に伝えてください。GEO関連の見積もりで確認すべき項目はLLMO対策の費用|料金の内訳と見積りで確認する10項目にまとめています。
ツールが出す改善提案は、そのまま実装しないでください。提案の多くは一般的な最適化の型で、自社の事情(言えない実績、書けない顧客名、業界の規制)を知りません。AIやツールの提案はたたき台として受け取り、事実確認と優先順位づけは人がやります。この線引きの詳しい考え方はAIO対策のやり方|自社と外注どちらで進めるかの判断ポイントに譲ります。
最後に、多くの現場が受け入れている妥協点があります。それは「AIの回答が変わった理由は、最後まで分からない」ということです。自社が記事を出したから変わったのか、AI側の更新なのか、他社が何かしたのかは切り分けられません。だから現場では、原因の特定をあきらめ、自社側で制御できること(事実の正確さ・情報の置き場所・更新の頻度)だけを回し続けるという運用に落ち着きます。ここを納得しないままツールを入れると、「なぜ下がったのか説明して」という要求に応えられず、担当者が疲れます。
この章の結論として、ツール導入で本当に決めるべきは製品ではなく、「説明できない変動を許容する」という社内合意です。この合意があるかどうかで、同じツールでも続くか止まるかが分かれます。
GEO対策ツールについてよくある質問
GEO対策ツールを入れなくても、LLMOの効果測定はできますか
できます。質問30問を固定し、週1回、同じ条件で生成AIに聞いてスプレッドシートに記録すれば、言及率も引用の有無も測れます。ただし30問×2AI×3回=180回を週1回・月4回続けるので、手作業の負担は小さくありません。この作業を続けるのがつらくなったときが、ツールを検討するタイミングです。
AIO対策ツールのおすすめを1つ選ぶなら、どこを見て決めればいいですか
「自社が測りたい30問を、必要なAI全部で、複数回実行して、CSVで出せるか」の1点で絞り込んでください。機能一覧を見比べるのではなく、この条件を満たせるかどうかで各社に問い合わせると、候補を絞り込みやすくなります。
計測するAIは、ChatGPTだけでも足りますか
足りるかどうかは自社のデータで決めてください。自社サイトのGA4で、どのAIのドメインから実際に流入があるかを見て、流入のあるAIから計測対象に足していくと無駄がありません。ChatGPT以外に何を足すべきかは、業種や客層で変わります。
無料トライアルの2週間で、何が分かれば合格と判断できますか
自分で手動計測した結果と、ツールの結果が大きくズレていないかを見てください。ズレている場合、その理由を担当者が説明できれば問題ありません。説明できないなら、計測条件が不明なまま数字だけ受け取ることになるので見送りが無難です。
計測を担当する社内の人がいません。どこから頼めばいいですか
まずは質問30問を作るところだけを外部と一緒にやり、実行と記録は社内で回す形が現実的です。質問リストは自社の事業理解が要るので外注しきれず、実行と記録は手順が決まれば誰でもできるからです。丸ごと任せる場合の判断軸はAIO対策に強い会社の選び方|比較5軸と依頼前の確認10問を参考にしてください。
まず今日やる1つのことと、次の一歩
今日できることが1つあります。生成AIを開いて、自社の主力サービスについて見込み客が聞きそうな質問を1つだけ打ち込み、自社名が出るか、出た場合に内容が合っているかを確認してください。5分もかかりません。ここで「まったく出てこない」または「事実と違う説明をされている」と分かった時点で、次にやるべきことが決まります。
そこから先、自社サイトの何をどう直すかまで踏み込みたい方は、検索1位でもAIに引用されない理由と、引用される会社の共通点を続けて読むと、直す優先順位がつけやすくなります。
ここまで読んで、質問リストの設計や記事側の直し方まで自社だけで回すのは大変そうだと感じた方は、一度お話を聞かせてください。AIに引用される記事づくりと、その効果を測る仕組みづくりを一緒に整理します。現状を棚卸しするだけの相談でも構いません。詳しくはAI検索で引用される記事制作の詳細はこちらをご覧ください。
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