ホームページリニューアルの進め方|期間と頻度の判断ポイント

ホームページリニューアルの進め方|期間と頻度の判断ポイント

この記事の要点

  • 進め方は8ステップ。最初の「目的を数字にする」で成果の大半が決まる
  • 期間と頻度は規模・業種で大きく異なる。判断の考え方を本文で解説
  • 公開後に順位が落ちる主な原因のひとつがURL移行。対策手順を本文で解説

ホームページのリニューアルを任されたものの、何から手をつければいいか分からない。そんな状態からのスタートでも大丈夫です。この記事では、ホームページリニューアルの進め方を8ステップに分け、規模ごとの期間の考え方、何年ごとにやるべきかという頻度の考え方、そして制作会社に渡す仕様書の書き方まで、順番どおりにたどれる形でまとめました。

対象は、社内にWeb専任者がいない中小企業で、リニューアルの担当になった経営者・広報・営業の方です。読み終わる頃には、社内で共有できる「目的・期間・やることリスト」の骨組みが自分の手で書ける状態を目指します。

なお、社内の意見をまとめて要件を1枚に整理する部分はリニューアル要件定義をAIで整理する5ステップで詳しく扱っているので、そちらも合わせてどうぞ。この記事は、プロジェクト全体の進め方と期間・頻度の判断に絞ってお話しします。

Contents / 目次
  1. ホームページリニューアルの進め方。先に決める3つで結果が変わる
  2. ホームページリニューアルの期間の目安と、頻度は何年ごとが適切か
  3. ホームページリニューアルの進め方8ステップ
  4. リニューアルで得られる成果と、投資回収の考え方
  5. ホームページリニューアルでよくある失敗と回避法
  6. 発注する側の落とし穴と、現場で見えた妥協点
  7. ホームページリニューアルについてよくある質問
  8. まずは今日、1つだけ確認してみてください

ホームページリニューアルの進め方。先に決める3つで結果が変わる

ホームページリニューアルの進め方|期間と頻度の判断ポイント

ホームページリニューアルの進め方で最初に決めるべきは、次の3つです。デザインの方向性でも、制作会社選びでもありません。

  • 目的を1つの数字にする:「問い合わせを月3件から8件へ」のように、達成したかどうかを後から判定できる形にする
  • 仕様書(要件定義書)を先に書く:ページ構成・機能・原稿の担当・公開希望日を紙1枚にまとめ、見積もりの前提を揃える
  • URL移行の方針を設計段階で決める:旧サイトのURLをどう新サイトへ引き継ぐかを、デザインに入る前に決めておく

この3つを先に固めるかどうかで、同じ予算でも結果がまるで変わります。逆に、ここを飛ばして「とりあえず見積もりをもらう」から始めると、各社バラバラの前提で金額が並び、比較できないまま雰囲気で選ぶことになります。

ポイント。リニューアルは「作り直す作業」ではなく「今のサイトで取れていない成果を取りに行く投資」です。だから最初の問いは「どんなデザインにするか」ではなく「今、何が取れていないか」になります。

先に決める3つと、決めないまま進んだときに起きること

実際の現場では、決めていない項目がそのまま後半のトラブルになります。関係を表にすると分かりやすいです。

先に決めること決め方の例決めないまま進むと起きること
目的(1つの数字)問い合わせ数、資料請求数、採用応募数のどれを増やすかを1つ選び、現在値と目標値を書く社内レビューで「もっと格好よく」「うちの部署も載せたい」が止まらず、判断基準がなくなる
仕様書(要件定義書)ページ一覧、必要な機能、原稿と写真の担当者、公開希望日を1枚にまとめる見積もりの前提がバラバラで比較できない。着手後に「それは別費用です」が発生する
URL移行の方針旧URLと新URLの対応表を作り、301リダイレクトの設定範囲を決める公開直後に検索からの流入が落ち、元の水準に戻るまで時間がかかる
公開後の更新体制誰が・月に何回・どのページを更新するかを決める半年後に「お知らせが3月で止まっているサイト」に戻る

4つ目の更新体制まで含めて決めておくと、リニューアルが「一度きりのイベント」ではなくなります。公開後に情報が止まってしまう問題は更新されないサイトの信用低下を直す更新体制の作り方で担当と頻度の決め方をまとめているので、社内体制に不安がある方は先に目を通しておくと判断が早くなります。

ホームページリニューアルの期間の目安と、頻度は何年ごとが適切か

期間も頻度も、ページ数・原稿を誰が書くか・社内承認の回数で変わります。ただ、条件を当てはめれば自社の目安は出せます。ここでは、その計算のしかたを整理します。

規模別のリニューアル期間の考え方

期間はページ数だけでなく、原稿を誰が書くかで大きく変わります。制作会社側の作業より、社内の原稿・写真の準備が遅れて止まるケースがとても多いです。

サイト規模ページ数の目安期間を左右する要素社内側で発生する主な作業
小規模5〜10ページ原稿と写真が既にあるかどうか会社概要・サービス説明の原稿確認、写真の用意
中規模10〜30ページ新規原稿の本数、事例の許諾取りサービスページの原稿作成、事例の許諾取り、既存記事の取捨選択
大規模・機能あり30ページ以上、会員機能や多言語など部署間調整とデータ移行、システム連携の有無部署間の調整、データ移行の確認、業務フローとの突き合わせ

期間は次の式で自社の目安を出せます。「新規に書き起こす原稿の本数 ÷ 社内で1週間に書ける本数」で原稿にかかる週数を出し、そこに制作会社の作業期間を足します。原稿が既に揃っている小規模サイトなら制作側の作業だけで済み、原稿を1から作る中規模サイトでは、この原稿週数が全体の半分以上を占めることも珍しくありません。

リニューアルの頻度を判断する4つの事情

「何年ごとにやるべきか」に一律の正解はありません。作り替えが必要になる事情は決まっているので、そのどれに当てはまるかで判断します。次の4つのうち2つ以上に当てはまったら作り替えどき、という見方をしてください。

  • 端末と閲覧環境の変化:スマートフォンの画面サイズや通信環境は数年で変わり、当時最適だったレイアウトが窮屈になる
  • CMSやプラグインの寿命:使っているテーマやプラグインの更新が止まると、セキュリティ上の理由で作り替えが必要になる
  • 事業内容のズレ:主力サービスや対象顧客が変わり、サイトの構成が実態に合わなくなる
  • 社内で更新できない:お知らせ1本の追加にも外注が必要で、情報が止まったままになっている

採用サイトだけは例外で、応募者の関心や競合の見せ方が毎年変わるため、全面リニューアルでなくても年1回は写真と社員インタビューを入れ替える前提で考えたほうが機能します。

「何年経ったから」だけを理由に全面リニューアルするのは、もったいない判断です。アクセスも問い合わせも取れているサイトなら、問い合わせ導線とページ表示速度の部分改修だけで済むことがあります。作り替える前に、今のサイトの数字を確認してください。

全面リニューアルすべきか、部分改修で足りるかの見分け方

次のチェック項目を見て、複数当てはまり、しかもそれが構造やCMSに関わるものなら全面リニューアル、特定のページや導線の問題に留まるなら部分改修で足ります。

  • スマホで見づらい:拡大しないと読めない、電話番号がタップできない
  • 更新できない:お知らせ1本の追加に制作会社への依頼と費用が必要
  • 事業と合っていない:今の主力サービスがトップページに載っていない
  • CMSが古い:管理画面の更新が止まっている、サポート切れの環境で動いている
  • 問い合わせが取れていない:アクセスはあるのに、フォーム到達がほぼゼロ
  • 表示が遅い:スマホで開くまで数秒待たされる

判断の軸はシンプルです。土台(CMS・サイト構造・スマホ対応)に原因があるなら作り替え、上に乗っている中身(原稿・導線・速度)だけの問題なら部分改修で直せます。

たとえば表示速度と問い合わせ導線だけが問題なら、作り替えは不要です。速度はCore Web Vitals改善|表示速度を自分で測って直す3手順で自分で測って直す方法を、フォームの離脱は問い合わせフォームは5項目に絞る|BtoBの入力設計で入力項目の削り方を解説しています。

ホームページリニューアルの進め方8ステップ

ホームページリニューアルの進め方|期間と頻度の判断ポイント

ここからが実際の手順です。上から順に進めれば、社内で共有できる形になります。ステップ1と2は制作会社に依頼する前に、自社だけでやってしまうのがおすすめです。

ステップ1 リニューアルの目的を1つの数字に決める

リニューアルの目的は、文章ではなく数字で書きます。「認知度を上げる」「かっこよくする」は判定できないので、目的としては機能しません。

やり方はシンプルです。まず現状の数字を1つ確認します。Google Analytics 4(GA4)を入れていれば直近3か月の問い合わせ完了数、入れていなければ受信メールの件数を数えるだけで構いません。

次に、その数字の目標値と期限を書きます。「サイト経由の問い合わせを、公開6か月後に月3件から8件へ」という形です。この1行が、後のデザイン議論で「それは目的に効きますか」と聞き返すための物差しになります。

GA4が未設置なら、リニューアル前の数字を残すためにも今日入れておいてください。設置手順はGA4をWordPressに設置する手順|GTM経由の計測設定までにまとめています。旧サイトの数字が残っていないと、リニューアルの成否そのものが判定できなくなります。

ステップ2 既存ページを棚卸しして4分類する

次に、今あるページを全部書き出します。ExcelでもGoogleスプレッドシートでも構いません。列は「URL・ページ名・直近3か月の閲覧数・判定・新URL」の5つです。

閲覧数はGA4、検索からの流入はGoogle Search Consoleで確認できます。どちらも画面の名称や階層は更新されることがあるので、レポートの探し方はGA4の公式ヘルプSearch Consoleの検索パフォーマンスに関する公式ヘルプで確認してください。

全ページを見る必要はなく、上位30ページと、社内で重要だと分かっているページだけで十分です。

そのうえで、各ページを4つに分類します。

  • 残す:アクセスがあり、内容も今のまま通用する。新サイトへほぼそのまま移す
  • 直す:アクセスはあるが情報が古い。原稿を書き直して移す
  • 統合:似た内容が複数ある。1本にまとめて、旧URLは新しい1本へ転送する
  • 捨てる:終了したキャンペーンなど。削除し、関連する上位ページへ転送する

この表が、そのままステップ7のURL移行表になります。棚卸しを飛ばすと「昔の記事が実は検索で読まれていた」ことに公開後に気づく事態になるので、ここは手を抜かないでください。

ステップ3 仕様書(要件定義書)に書く8項目

仕様書は、制作会社に渡す「こういうサイトを作ってください」という説明書です。難しく考えず、次の8項目を埋めれば実用に足ります。A4で2〜3枚あれば十分で、体裁より中身が揃っていることが大事です。

■ ホームページリニューアル仕様書(自社で埋めるテンプレート)

1. 目的と目標数値
   ・現状 [例:サイト経由の問い合わせ 月3件]
   ・目標 [例:公開6か月後に月8件]
   ・優先順位 [問い合わせ増 > 採用応募 > ブランド刷新]

2. 対象となる訪問者
   ・主なターゲット [業種・役職・抱えている困りごと]
   ・その人がサイトで最初に知りたいこと [例:対応エリアと費用感]

3. 現状の課題
   ・数字で言える課題 [例:スマホ流入が7割だがスマホの直帰が多い]
   ・運用で困っていること [例:お知らせの更新に外注費と2週間かかる]

4. ページ構成
   ・必要なページ一覧(ステップ2の棚卸し表を添付)
   ・新設したいページ [例:導入事例、料金の考え方、採用]

5. 必要な機能
   ・必須 [問い合わせフォーム、お知らせのCMS更新、SSL、スマホ対応]
   ・任意 [多言語、会員ログイン、検索、資料ダウンロード]

6. 制作範囲の分担
   ・原稿 [自社 or 制作会社]/写真撮影 [自社 or 手配依頼]
   ・ロゴ・図版 [既存流用 or 新規作成]

7. スケジュールと予算
   ・公開希望日と、その理由 [例:10月の展示会前]
   ・予算の上限と、別枠で見ている保守費

8. 公開後の運用
   ・更新する人と頻度 [例:広報1名/月2回]
   ・保守の希望 [障害対応、CMS更新、バックアップ]
   ・効果測定の方法 [GA4のどの数字を毎月見るか]

このテンプレートをそのままコピーして、[ ]の中を自社の内容に置き換えてください。埋まらない項目があるなら、そこが社内で決まっていない論点です。空欄のまま制作会社に渡して「ここは相談させてください」と伝えるほうが、無理に埋めるより健全です。

社内の意見が割れて仕様書が書けない場合は、生成AIに議事録や各部署の要望メモを渡して、要望の重複と対立点を整理させると早く進みます。

ステップ4 サイト構成をAIとの壁打ちで固める

サイト構成は、いきなり完成形を作ろうとせず、AIに叩き台を出させて自分で削るのが早いです。ここで大事なのは、プロンプトの文面を凝ることではなく、渡す材料と出力の確認の仕方です。

AIに渡す材料は4つあります。

  • 仕様書の1〜3項目:目的、対象となる訪問者、現状の課題
  • ステップ2の棚卸し表:既存ページの一覧と4分類の判定
  • 競合3社のページ一覧:どんなページを用意しているかの比較材料
  • 営業がよく聞かれる質問リスト:実際に電話や商談で聞かれる内容

特に4つ目が効きます。実際に聞かれることが、そのままサイトに必要なページだからです。

あなたはBtoB企業サイトの構成設計者です。
添付の仕様書・既存ページ一覧・よくある質問リストをもとに、
新サイトのページ構成案を第2階層まで作ってください。

条件
・目的は[問い合わせ増]。目的に効かないページは削る前提で
・各ページに「そのページを見る人が知りたいこと」を1行添える
・既存ページのどれをどこへ統合するかも示す

まず不足している情報を3つ質問してから、案を出してください。

この程度の短い指示で十分です。最後の1行を入れておくと、AIが勝手に思い込みで作り込む前に、こちらの前提を確認してくれます。あとは対話しながら自社の事情に合わせて詰めていきましょう。

出力が返ってきたら、人が確認するポイントは3つです。

  • 実在しないサービスが混ざっていないか:実際には提供していないサービスのページが作られていないか
  • 必要なページが抜けていないか:営業がよく聞かれる質問に答えるページがあるか
  • 階層が深すぎないか:主要なサービスや問い合わせページが、トップから何度もクリックしないと届かない位置に置かれていないか。遠いと感じたら構成を見直す

AIは構成の網羅は得意ですが、自社の実態と優先順位の判断はできません。ここは必ず人の手で直してください。

ステップ5 デザインと実装。AIで作る範囲と任せる範囲

デザインの確認は、好みではなく目的で判断します。「この色が好き」ではなく「この配置で問い合わせボタンに気づくか」を見てください。社内レビューでも、この観点を最初に共有しておくと議論が短くなります。

実装をAIで内製化する選択肢も、いまは現実的になりました。ただし向き不向きがはっきりしています。目安として、ページ数が少なく更新頻度も低いサービス紹介ページやキャンペーン用のランディングページは、AIを使った内製で十分に成立します。

一方で、問い合わせフォームの送信処理、個人情報を扱う仕組み、会員機能、既存の基幹システムとの連携が絡む部分は、動いているように見えて不備が残りやすい領域です。ここは検証できる体制がないなら外に任せたほうが結果的に安く済みます。

AIで生成したサイトは、公開前にフォームの実送信テスト、スマホ実機での表示確認、外部から読み込んでいるファイルの有無を必ず確認してください。見た目が完成していることと、安全に運用できることは別の話です。

ステップ6 公開前チェックリスト

公開直前は時間がなくなるので、チェック項目は事前に配っておきます。制作会社任せにせず、社内でも次の項目は自分の目で確認してください。

  • フォームの実送信:本番環境から実際に送り、自動返信と社内通知の両方が届くか確認する
  • スマホ実機:iPhoneとAndroidの実機で、電話番号タップ・地図・フォーム入力を試す
  • 会社情報:住所、電話番号、営業時間、代表者名が最新か
  • リンク切れ:PDFや外部サイトへのリンクが生きているか
  • 計測タグ:GA4とSearch Consoleが新サイトでも動いているか
  • 検索避けの解除:テスト中にかけていた検索エンジンの巡回拒否設定が残っていないか

最後の項目は、実際によく起きる事故です。テストサイトの設定をそのまま本番に持ち込んで、公開したのに検索結果に出てこないという相談は珍しくありません。

ステップ7 URL移行と301リダイレクトを設定する

URLが変わるページがある場合は、旧URLから新URLへの転送(301リダイレクト)を必ず設定します。これをやらないと、これまで検索で読まれていたページが404エラーになり、そのページに集まっていたリンクや検索での評価を新しいURLへ引き継げなくなります。

手順は3つです。

  1. ステップ2で作った表に新URLの列を埋め、旧URLと新URLの1対1の対応表を完成させる
  2. その対応表をもとに、サーバー側で転送設定を書く
  3. 公開後に旧URLをブラウザで開いて、新URLに切り替わるか実際に確認する

転送設定の書き方はサーバーによって異なります。Apacheで.htaccessが使える環境なら次のように記述しますが、コントロールパネルのリダイレクト機能を使う方式が案内されている場合もあるので、契約しているサーバー会社の公式マニュアルを必ず確認してください。

# [左が旧URL、右が新URLのパス。自社の対応表に合わせて書き換える]

Redirect 301 /company/about.html /about/
Redirect 301 /service/plan.html /service/
Redirect 301 /news/2019/campaign.html /news/

# 連番のURLをまとめて転送する場合(例 /news/123.html → /news/123/)
RedirectMatch 301 ^/news/([0-9]+)\.html$ /news/$1/

# 注意
# ・書き換える前に必ず既存の .htaccess をダウンロードして保管する
# ・1行間違えるとサイト全体が表示されなくなるので、公開前にテスト環境で確認する
# ・転送先は、内容が対応する個別ページへ1対1で向ける(まとめてトップページへ送らない)

WordPressを使っている場合、.htaccess の編集方法と記述位置の扱いはWordPress公式ドキュメントのhtaccess解説に書かれています。公式の説明を確認したうえで追記し、書いたあとで旧URLが実際に新URLへ切り替わるかを1本ずつブラウザで確認してください。挙動は環境で変わるので、迷ったらテスト環境で確認するのが確実です。

サイト移転にともなう検索エンジン側の扱いは、Google検索セントラルのサイト移転(URLの変更あり)ガイドで公式に解説されています。転送先の考え方や移転後にすべきことも同ガイドに書かれているので、移行の規模が大きい場合は着手前に一度目を通しておくと判断に迷いません。転送設定でつまずいたときの切り分けはリダイレクトループの原因切り分けと直し方も参考にしてください。

ステップ8 公開後30日の運用を決めておく

公開日はゴールではなくスタートです。公開後30日でやることを、あらかじめカレンダーに入れておきましょう。

  • 公開翌日:Search Consoleでエラーが出ていないかと、フォームが届いているかを確認する
  • 1週間後:旧URLをブラウザで開いて新URLへ切り替わるかを1本ずつ確認し、転送漏れがないか点検する
  • 1か月後:ステップ1で決めた数字を、旧サイトの同時期と比べる

この3回の確認を決めておくだけで、不具合に気づくのが早くなります。インデックスに入らないページがあった場合の対処はインデックス未登録の原因と再登録の手順にまとめています。

リニューアルで得られる成果と、投資回収の考え方

リニューアルの効果は「かっこよくなった」ではなく、問い合わせの件数と質、そして運用にかかる時間で測ります。特に運用時間の削減は見落とされがちですが、金額に換算しやすい効果です。

たとえば、これまでお知らせ1本の更新を制作会社に依頼していた会社が、CMSを入れて社内で更新できるようになったとします。

削減できる時間は会社によって大きく変わるため、一般的な数値は出せません。自社で計算するなら、依頼のたびにメールを書き、確認して、反映を待つ時間が1本あたり何分かかっているかを実際に測り、月の更新本数を掛けてください。その積み上げが、そのまま年間で戻ってくる時間になります。

さらに外注の都度費用が不要になれば、その分も浮きます。

問い合わせ側は、業種やアクセス数で大きく変わるため一概には言えません。ただ、自社の実測値を当てはめれば、予算の妥当性を判断する材料になります。現状のセッション数と問い合わせ到達率をGA4で確認し、そこから何件増えれば投資に見合うかを逆算してください。増えた件数に自社の成約率と平均受注額を掛ければ、投資回収の目安が出ます。

ポイント。この計算式を、リニューアルの企画段階で経営層に見せてください。制作費の金額だけを示すと高く見えますが、「年間で見込める受注増と、削減できる運用時間」と並べると判断材料になります。

成果が出ている会社に共通する3つのこと

うまくいっている会社を見ていると、やっていることは驚くほど共通しています。

  • 公開後に手を入れ続けている:公開時点を完成とせず、実際のアクセスを見ながら数か月かけて直している
  • 営業の現場の言葉が載っている:実際に聞かれる質問と、その答えがページになっている
  • 更新する人が社内にいる:お知らせや事例を自分たちで足せる状態になっている

逆に、公開して満足してしまい半年放置したサイトは、デザインがどれだけ良くても数字が伸びません。社内で使えるサイトにするという意味では、公開後の更新のしやすさは、デザインの完成度と同じかそれ以上に重要です。

社内で企画を通す段階でつまずいている方は、B2Bサイトリニューアルを社内で通す提案書の作り方で、稟議に載せる項目の組み立て方を解説しています。

ホームページリニューアルでよくある失敗と回避法

ホームページリニューアルの進め方|期間と頻度の判断ポイント

ここからは、実際の現場でよく見かける失敗を4つ挙げます。どれも「起きる状況」がはっきりしているので、先に知っておけば避けられます。

失敗1 公開直後に検索からのアクセスが落ちる

これは、URLが変わったのに転送設定をしていないときに起きます。ページ構成を整理して階層を変えた場合、旧URLは存在しなくなるため、検索結果から来た人は404エラーページに飛ばされます。

結果として、これまで検索から来ていた流入が失われます。防ぐには、ステップ2の棚卸し表に新URLの列を必ず作り、公開前に制作会社と1行ずつ突き合わせることです。「リダイレクトはやってあります」という口頭確認ではなく、対応表を見せてもらってください。

失敗2 デザインは新しくなったのに問い合わせが増えない

目的を数字にせずに始めると、ほぼこうなります。判断基準がないので、社内レビューは「もっと洗練された感じに」「うちの部署の情報も入れたい」という好みと要望の足し算になり、結果として誰に向けたのか分からないサイトができます。

回避策は、ステップ1で決めた1行を、レビューのたびに読み上げることです。「サイト経由の問い合わせを月3件から8件へ」と冒頭で共有してから意見を聞くだけで、議論の質が変わります。目的に効かない要望は、次回の改善リストに送りましょう。

失敗3 公開後に自分たちで更新できないと分かる

仕様書の「公開後の運用」を書かないまま進めたときに起きます。デザインを優先して作り込んだ結果、お知らせの追加はできるのに、サービスページの文言ひとつ直せない構造になっているケースは本当によくあります。

防ぐには、制作の途中段階で「自分たちが月に触る予定のページ」を実際に管理画面から編集させてもらうことです。公開前に一度触っておけば、想定と違えばその場で相談できます。CMSの選び方そのものに迷っている場合はCMSの選び方|広報が失敗しない4つの判断軸が参考になります。

失敗4 原稿が集まらずスケジュールが遅れる

デザインが上がってから「では各部署で原稿をお願いします」と依頼すると、通常業務の合間に後回しにされ、制作が止まります。社内の原稿待ちは、遅延の原因としてよく挙がるものです。

回避策は2つあります。

  • 担当と期限を先に決める:仕様書の段階で、ページごとに担当者名と提出期限を書いてしまう
  • ゼロから書かせない:既存の会社案内やサービス資料、営業メールの返信文をAIに渡して下書きを作らせ、担当者には「直す」作業にしてもらう

特に2つ目は、心理的なハードルが下がるぶん提出が早くなります。

発注する側の落とし穴と、現場で見えた妥協点

ホームページリニューアルの進め方|期間と頻度の判断ポイント

ここからは、教科書には書かれていない話をします。リニューアルがうまくいかない原因は、制作会社側だけでなく発注側にもあると現場では感じます。率直にお伝えしたほうが役に立つと思うので、現場で見えていることを書きます。

リニューアルで成果が変わるのは、デザインの良し悪しよりも、公開後に自分たちで直せる状態になっているかどうかです。(株式会社コレットラボ 代表取締役 出口宣佳)

「丸投げ」は安く見えて一番高くつく

制作会社に全部任せれば楽に思えますが、実際は自社の事業を一番知らない人が判断を代行することになります。その結果、どこかで見たようなサイトができます。悪意ではなく、判断材料が足りないからです。

最低限、目的の数字とページごとの「誰に何を伝えるか」だけは自社で決めてください。この2つを決めるだけで、任せる範囲は明確になり、制作会社も本来の力を出せます。逆に、原稿も写真も方針も全部お願いする前提なら、その分の工数は当然見積もりに乗ります。

見積もりに入っていないコストが3つある

制作費だけを比べて安いところを選ぶと、後から差が出ます。見積書に載りにくい費用は次の3つです。

  • 写真撮影:社員写真や現場写真をきちんと撮るかどうかで印象が大きく変わる。フリー素材で埋めると既視感のあるサイトになる
  • 原稿作成:「原稿はご支給ください」の一文が入っている見積もりは、社内工数が別途かかる前提になっている
  • 公開後の保守:サーバー・ドメイン費用に加え、CMSやプラグインの更新、障害時の対応をどちらが持つのか

見積もりを比較するときは、この3つが含まれているかを各社に同じ質問で確認してください。金額の差が「安さ」ではなく「範囲の違い」だと分かります。費用相場の見方はホームページ制作会社の選び方|費用相場と失敗しない判断軸でも整理しています。

AIで内製するか外注するかの、正直な線引き

AIツールでサイトを作れるようになったことで、「全部内製できるのでは」という相談が増えました。正直にお答えすると、向く場面と向かない場面がはっきり分かれます。

内製が向くのは、単発のランディングページ、社内向けの案内ページ、更新が少ない小規模なサービス紹介です。スピード優先で作れて、失敗しても被害が小さい領域です。

一方で、会社の看板になるコーポレートサイトの全面リニューアルを、Web運用の経験がない状態でAIだけで完結させるのは現実的ではありません。作ること自体はできても、URL移行、フォームの安全性、表示速度、更新のしやすさといった「公開後に効いてくる部分」の判断ができないからです。ここを間違えると、公開後に検索流入を失うという取り返しのつきにくい損失になります。

現実的な折衷案は、企画・構成・原稿は自社とAIで作り、実装とURL移行だけを外に任せる形です。この分担なら、自社の意図が反映されたまま、リスクの高い部分だけを専門家に任せられます。Vibe codingのサイトが詰む前の更新設計では、AIで作ったサイトを運用に乗せるための考え方をまとめています。

ホームページリニューアルについてよくある質問

リニューアル中も今のサイトは公開したままで大丈夫?

はい、通常は今のサイトを公開したまま、別の場所で新サイトを作ります。切り替えは公開日にまとめて行うのが一般的です。制作中のテスト用サイトには検索エンジンが見にいかない設定をかけますが、この設定を本番公開時に解除し忘れる事故が多いので、公開当日の確認項目に必ず入れてください。

リニューアルの費用はどれくらい見ておけばいい?

ページ数と原稿・写真を誰が用意するかで大きく変わるため、一律の金額は言えません。判断のコツは、複数社に同じ仕様書を渡して見積もりを取り、金額差が「範囲の違い」なのか「単価の違い」なのかを確かめることです。相場の見方は費用相場を扱った記事で詳しく解説しています。

リニューアルのタイミングでドメインも変えていい?

社名変更などの理由がなければ、変えないほうが安全です。ドメインを変えると、これまで積み上げた検索での評価を新ドメインへ引き継ぐ作業が必要になり、移行の難易度が一段上がります。どうしても変える場合は、旧ドメインの全URLから新ドメインへの転送を1対1で設定し、旧ドメインも数年は保持してください。

リニューアル後、成果が出るまでどれくらいかかる?

検索経由のアクセスは、新しいURLが検索エンジンに認識され直すまでのあいだ変動します。落ち着くまでの期間はサイトの規模や移行の内容で変わるため、一律には言えません。逆に、問い合わせ導線の改善による効果は公開直後から見えることが多いです。公開1か月時点の数字だけで判断せず、フォーム到達数の推移を見ながら改善を続けてください。

古いサイトの記事は、全部新サイトに移したほうがいい?

全部移す必要はありません。判断基準はアクセスの有無です。直近3か月で閲覧がほぼないページは、無理に移さず削除して構いません。ただし削除する場合も、そのURLから関連する新しいページへ転送を設定してください。何も設定しないとエラーページが大量に残ります。

まずは今日、1つだけ確認してみてください

今日できる最初の一歩は1分で終わります。Google Analytics 4かSearch Consoleを開いて、直近3か月でよく見られているページの上位20件を眺めてみてください。そこに「今の主力サービスのページ」が入っていなければ、それがリニューアルで最初に直すべき箇所です。

そのうえで、社内の意見をどう1枚にまとめるかで迷ったら、次はリニューアル要件定義をAIで整理する5ステップを読んでみてください。この記事のステップ3をより細かく分解した内容になっています。

ここまで読んで、「進め方は分かったけれど、社内のリソースでURL移行まで含めてやり切るのは正直きつい」と感じた方もいると思います。そこは無理をしなくて大丈夫です。コレットラボでは、AIを使ってサイト制作や運用を内製化したい会社の伴走から、実装と移行だけを任せたい会社の支援まで、体制に合わせて設計しています。まずは現状のサイトを一緒に整理するだけでも構いませんので、AI業務システム化の詳細はこちらからお気軽にご相談ください。

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