介護施設の採用サイト|求人媒体との使い分けと費用の内訳
この記事の要点
- 採用サイトは応募を集める入口ではなく、求人媒体で見つけた人が最後に比較する場所
- 見積もりが動くのは撮影・取材・職種ページ数の3つ。発注前に聞く質問を本文に掲載
- 掲載内容と同じくらい応募後の初動が効く。連絡の当番と文面の作り方まで解説
介護施設の採用サイトは、応募を集める入口として作るとほぼ失敗します。求職者は求人媒体で施設を見つけ、そのあとに施設名で検索し直して「ここで本当に働くか」を決めます。採用サイトが効くのはこの最後の比較の場面で、役割は母集団を増やすことではなく、比較で負けないことです。
この記事は、介護施設・事業所の経営者、役員、施設長など、どこにいくらで頼むかを決める立場の方に向けて書いています。読み終わる頃には、次の3つを判断できる状態を目指します。
- 見積もりのどこを見て金額を比べるか
- 採用代行にどこまで任せて、何が自施設に残るか
- 契約前に何を確認するか
扱うのは採用サイトの発注判断と、求人媒体との使い分けです。ホームページ全体の制作費用の相場や見積書の読み方は業種別ホームページ制作費用の相場(クリニック・歯科・士業の目安)で解説しているので、金額の全体感から知りたい方は先にそちらをご覧ください。
Contents / 目次
介護施設の採用サイトと求人媒体の役割分担
先に結論をお伝えします。求人媒体・求人検索エンジンは「見つけてもらう場所」、採用サイトは「見比べられて選ばれる場所」です。この2つは競合しません。片方だけでは、応募までの流れがどこかで切れます。
求職者の動きを追うと分かりやすくなります。スマホで「介護 求人 ○○市」と検索し、条件が合う施設を何件か見つけ、そのうち気になった施設名をもう一度検索する。そこで出てくるのが自施設の採用ページです。ここに求人媒体と同じ情報しか無ければ、求職者には判断材料が増えません。逆に、1日の流れや夜勤の実態、給与の内訳が書いてあれば、その施設が比較の候補として残ります。
| 求職者の場面 | 求人媒体の役割 | 採用サイトの役割 |
|---|---|---|
| 探す | 条件(勤務地・給与・雇用形態)で一覧に並ぶ | ほぼ役割なし。単体では見つけられない |
| 比べる | 掲載できる項目が媒体の様式に決まっている | 1日の流れ、夜勤の回数、教育の進み方まで見せられる |
| 決める | 応募ボタンを押す場所 | 施設名で検索し直した人が最後に読む場所 |
| 入職後 | 関与しない | 入職前に読んだ内容と現場の実態をそろえられる |
順番を間違えない。採用サイトを先に作っても応募は増えません。求人媒体への掲載を止めて採用サイトだけを作り直すと、求職者に見つけてもらう経路が無くなります。媒体は続けたまま、その受け皿として採用サイトを用意するのが正しい順番です。
もう一つ、発注前に決めておくことがあります。採用ページを法人サイトの中に作るか、別の採用サイトとして独立させるかです。事業所が1〜2か所で募集職種も少ないなら、法人サイトの中に採用カテゴリを作るだけで足ります。事業所が複数あり、職種も介護職・看護職・生活相談員・送迎・調理と分かれるなら、職種ごとにページを分けられる作りが必要になります。職種ごとにページを分けられれば、求職者は自分の条件に合う募集をそのまま読めます。
この章で押さえるのは、採用サイトに期待していい成果は「応募数の増加」ではなく「比較で残ること」だという点です。ここを取り違えたまま発注すると、公開後に「応募が増えていない」という評価になり、本当は効いている部分が見えなくなります。
採用サイトの費用は何で変わるか。見積もりの内訳と聞くべき質問
介護施設の採用サイトで見積もり金額が大きく動くのは、ページ数そのものよりも「写真と原稿を誰が用意するか」です。同じページ数でも、撮影と職員インタビューを制作会社に含めるかどうかで、見積もりの総額は大きく変わります。素材を施設側で用意する前提の見積もりと、取材・撮影込みの見積もりを並べて「高い・安い」と比べても、判断材料になりません。
| 内訳の項目 | 中身 | 費用が動く条件 | 発注前に聞く質問 |
|---|---|---|---|
| 設計・構成 | 誰にどの順で何を見せるかを決める | 職種数、事業所数 | 職種ごとにページを分ける前提か、1ページにまとめる前提か |
| 取材・原稿 | 職員インタビュー、1日の流れ、教育の説明文 | 取材する人数、訪問の回数 | 原稿は誰が書くか。施設が書く場合、何を渡せばいいか |
| 撮影 | 施設内、職員、業務風景 | 撮影日数、カメラマンの手配、撮り直しの有無 | 撮影は含まれるか。利用者が写る場合の許諾はどちらが取るか |
| デザイン・実装 | ページのデザインと構築 | ページ数、スマホ表示の作り込み | 募集要項を施設側で追加・修正できる作りか |
| 求人ページの形式 | 募集ごとのページ構成、応募フォーム | 募集の数、フォームの項目数 | 募集の数だけページを作れるか |
| 公開後の運用 | 募集の追加・終了、写真の差し替え | 月あたりの更新回数、対応の速さ | 募集終了の取り下げは何営業日で反映されるか |
介護施設の場合、ここに業種特有の費用要因が加わります。
- 利用者が写る写真を使うなら、家族への許諾が要り、撮影計画も変わります
- 夜勤の様子を見せたければ夜間の撮影が必要で、日中の撮影とは別日程になります
- 職員の顔出しに同意が得られない人が出ることも前提に、後ろ姿や手元のカットを撮る計画が要ります
これらは「あとで追加」にすると、そのたびに見積もりが増えます。
見積書に「取材・撮影一式」とだけ書かれている場合は、訪問回数と撮影時間、撮り直しが何回まで含まれるかを必ず文面で確認してください。ここが曖昧なまま進むと、公開直前に写真が足りないと分かり、追加費用か素材写真での妥協かの二択になります。
自治体の補助金が使えるか、発注前に調べる
介護人材の確保にかかる費用を、自治体が独自に補助している場合があります。制度の有無、対象になる費用の範囲、金額、申請期限は自治体ごとに違い、年度でも変わります。「採用サイトの制作費が対象になるか」「求人広告費だけが対象か」は、必ずお住まいの自治体の最新の募集要項で確認してください。
制作会社に発注する前に自治体の担当窓口へ問い合わせておくと、見積もりの取り方も変わります。対象になる費目が窓口で分かれば、それに合わせて費目を分けた見積もりを依頼できるからです。
この章で押さえるのは、金額を比べる前に「取材・撮影・原稿を誰がやる前提の見積もりか」をそろえる、という点です。条件をそろえずに2社の総額だけを並べると、安く見えた側があとで追加になります。
介護施設の採用代行はどこまで任せられるか。施設に残る作業
採用代行の対応範囲は事業者によって違います。求人票の作成、媒体への出稿と運用、応募者への一次連絡、面接日程の調整、面接そのもの、施設見学の受け入れ、入職後の受け入れ。この7つについて、どこまでが契約に含まれ、どこからが施設の作業として残るかを、契約前に見積書と契約書で1つずつ照らし合わせてください。ここを文字にしておかないと、応募が増えたあとに施設側が回らなくなります。
| 業務 | 契約前に確認すること | 任せた場合に施設へ残ること |
|---|---|---|
| 求人票・募集要項の作成 | 誰が原稿を書き、誰が最終確認するか | 給与の内訳と手当の実態を伝える。数字の最終確認 |
| 求人媒体の出稿・予算配分 | 出稿先の選定と予算の決め方 | 月いくらまで使うかの決裁 |
| 応募者への一次連絡 | 連絡する時間帯と、伝えてよい条件の範囲 | 連絡してよい時間帯と、伝えてよい条件の範囲を渡す |
| 面接日程の調整 | 誰がカレンダーを持つか | 面接できる日と担当者の枠を先に出す |
| 施設見学の受け入れ | 契約に含まれるかどうか | 案内する人、見せる場所、所要時間を決める |
| 面接・採否の判断 | 契約に含まれるかどうか | 評価の基準をそろえる |
| 入職後の受け入れ・教育 | 契約に含まれるかどうか | 初日から3か月の流れを用意する |
この表はあくまで確認の出発点です。どこまで含むかは見積もりと契約書に明記されているので、上の業務を1つずつ照らし合わせて、範囲外のものを洗い出してください。
契約の形も確認が必要です。採用代行は月額固定でお願いする形と、稼働した分だけのスポット契約があります。人材紹介はこれとは別の契約になるため、費用が発生する条件(いつ、いくら請求されるか)と、早期に離職した場合の取り扱いを、契約書の条文で確認してください。手数料の水準は紹介会社や職種、想定年収によって大きく異なるため、見積もりの段階で計算方法(年収の何%か、定額か)も必ず確認します。有料職業紹介事業の制度そのものについては、厚生労働省「人材サービス総合サイト・職業紹介事業」の案内で確認できます。
採用代行を検討する段階でよく聞かれるのが「任せて大丈夫か」です。判断の分かれ目は、代行会社が介護の職種と資格を理解しているかどうかにあります。初回の打ち合わせで、初任者研修と実務者研修と介護福祉士の違い、夜勤専従の募集の書き方、生活相談員の要件について質問してみてください。ここで会話が止まる相手だと、求人票の作成をゼロから施設が直すことになり、任せた意味が薄れます。
この章で押さえるのは、応募が増えたあとに施設側で必要になる時間を先に見積もる、という点です。面接枠を週に何コマ出せるかが決まっていない状態では、代行に任せても辞退が増えます。
発注から公開までの進め方。決裁者が決める5ステップ
制作会社に丸ごと預けても進みません。施設側で決めないと止まる項目が5つあります。順番に見ていきましょう。
ステップ1。採用したい職種と人数を数字で決める
最初にやるのは、これから12か月で誰を何人採りたいかを紙に書くことです。「介護職員(常勤)3名、介護職員(パート・扶養内)2名、看護職員(日勤のみ)1名」のように、職種・雇用形態・勤務時間帯まで分けます。ここが「介護職を数名」のままだと、ページ構成も求人票も抽象的になり、求職者が自分のことだと気づけません。
あわせて、現在の離職状況も数字にしておきます。直近1年で何人辞めたか、辞めた人の勤続年数はどれくらいか。この数字は求人に出す必要はありませんが、採用サイトで何を伝えるべきかの判断に直結します。1年未満での退職が多いなら、増やすべきは応募数ではなく、入職前に伝える情報の正確さです。
ステップ2。求職者の不安を書き出して、載せる情報を決める
次に、応募をためらう理由を集めます。面接で実際に聞かれた質問、見学で足が止まった場所、退職した職員が挙げた理由。この3つを箇条書きにするだけで、載せるべき情報が見えてきます。
ここは生成AIを使うと早く進みます。面接メモや退職面談のメモを匿名化してAIに渡し、「求職者の不安を種類ごとに分けて、多い順に並べてください」と頼めば、たたき台が数分でできます。出てきた分類のうち、実際の現場に当てはまるものだけを残し、当てはまらないものを消すのは施設の担当者の仕事です。AIで作った原稿に人が何を足すべきかはAIで作ったサイトに人が足すE-E-A-Tの3要素で詳しく解説しています。
ステップ3。撮影と取材の日程・許諾を先に押さえる
制作が止まる原因として多いのが写真です。契約したその週に、次の3つを決めてください。
- 撮影日(半日を2回が目安。日勤帯と、必要なら夜間)
- 登場する職員(勤続の長い人、入職1年目の人、パート勤務の人を各1名)
- 許諾の書面(職員本人と、利用者が写る場合はその家族)
利用者が写り込む場合は、家族への説明と同意が必要になります。同意が取れない前提でも成立するよう、後ろ姿・手元・職員だけのカットを撮影計画に入れておくと、公開直前に慌てずに済みます。職員の顔出しについても、途中で気が変わることを想定して、掲載後に取り下げる手順を決めておいてください。
ステップ4。求人ページの形式と応募フォームを決める
求人ページは、1つの募集につき1ページに分けるのが基本です。介護職員とパート調理員と送迎ドライバーを1ページにまとめると、給与も勤務時間も「職種により異なる」としか書けず、求職者は自分に関係のある条件を探せません。
自社サイトの求人ページを求人検索エンジンにも掲載したい場合は、対応できるかを制作会社に確認しておきます。掲載の可否や条件は各サービスの規定で変わり、そのつど更新されます。発注前には「求人検索エンジンへの掲載に対応できますか。条件が変わったときに直せますか」と聞いておけば十分です。
応募フォームは項目を絞ります。氏名、電話番号かメールアドレス、希望職種、保有資格、連絡がつきやすい時間帯。この5項目あれば一次連絡はできます。履歴書の内容をフォームで全部埋めさせると、スマホで入力する求職者はそこで離脱します。項目の絞り方の考え方は問い合わせフォームを5項目に絞る入力設計と同じです。
ステップ5。応募が入ったあとの初動を決める
公開前に決めておくべき最後の項目が、応募が入ったあとの動きです。求人が多い状況では、1社だけに応募して返事を待つ求職者ばかりではありません。連絡が遅れるほど、先に面接が決まった施設へ流れる可能性が高くなります。
- 応募通知の宛先を、施設長の個人アドレスだけにしない。事務長と採用担当の複数名に届くようにする
- 土日祝の当番を決める。誰が見て、誰が返すかを名前で決める
- 一次連絡の文面をテンプレートにして、面接候補日を3つ入れた状態で送れるようにする
- 電話がつながらなかった場合の二次連絡(時間帯を変えて、当日中にもう一度)まで決める
一次連絡の文面は、次のような形が使いやすいです。そのままコピーして、施設名と担当者名を差し替えてお使いください。
件名:ご応募ありがとうございます(○○苑・介護職員)
○○ 様
○○苑の採用担当、△△と申します。
このたびはご応募いただき、ありがとうございます。
面接の候補日をお送りします。ご都合のよい日をお選びください。
・9月12日(金)14:00〜
・9月13日(土)10:00〜
・9月16日(火)15:00〜
※上記が難しい場合は、ご希望の曜日と時間帯をお知らせください。
所要時間は30分程度です。服装は私服で構いません。
ご希望があれば、面接の前後にフロアの見学もご案内します。
不明な点があれば、このメールへの返信か、下記までお電話ください。
○○苑 採用担当 △△
電話 000-000-0000(平日9:00〜18:00)
発注前チェックリスト。制作会社との初回打ち合わせで、次の項目に答えが出るか確認してください。
- 職種ごとにページを分けられるか
- 募集要項を施設側で追加・修正できるか
- 撮影は何日分含まれるか
- 利用者の写り込みの許諾はどちらが取るか
- 求人検索エンジンへの掲載に対応できるか
- 応募通知の宛先を複数にできるか
- 募集終了の取り下げは何営業日で反映されるか
- 公開後に写真を差し替えるとき、いくらかかるか
この章で押さえるのは、施設側が決めないと止まるのは職種の内訳・撮影の許諾・応募後の当番の3つだ、という点です。この3つを契約の週に決めておけば、制作は止まりません。
応募が増えるページに載せる情報。介護職の不安と書き方
採用サイトで応募が動くのは、良いことを増やしたときではなく、不安をつぶしたときです。介護職の求職者が知りたいのは、給与の内訳、夜勤の実態、人間関係、教育の進み方の4つに集中します。この4つに具体的な数字で答えているかどうかで、比較の結果が変わります。
次の表の「書き方の例」は、自施設の数字を当てはめるための書式の見本です。数値はすべて記入例なので、実際に載せるときは自施設の実績値に置き換えてください。
| 求職者の不安 | 載せる情報 | 書き方の例(数値は記入例) |
|---|---|---|
| 結局いくらもらえるのか | 基本給、夜勤手当の単価と月の回数、処遇改善加算の反映方法、賞与の実績 | 基本給○万円+夜勤手当○円×月○回+処遇改善分(毎月の給与に上乗せ) |
| 夜勤がきつくないか | 夜勤帯の職員数と利用者数、仮眠の有無、月の回数の上限 | 夜勤は職員○名で利用者○名。仮眠○時間。月○回まで |
| 人間関係はどうか | 職員の年代構成、平均勤続年数、直近1年の入職者数 | 20代○名・30代○名・40代以上○名。平均勤続○年○か月 |
| 未経験でやっていけるか | 入職後3か月の流れ、同行期間、資格取得支援の条件 | 最初の○週間は先輩と2人体制。○か月目から夜勤に入る |
| 1日どう動くのか | 時間帯ごとの業務を並べた1日の流れ | 8:30申し送り/9:00入浴介助/12:00食事介助… |
| 休めるのか | 有給取得率、希望休の出し方、残業の実績 | 有給取得率○%。希望休は月○日まで前月○日締めで申請 |
ここで大事なのは、良い数字だけを選ばないことです。有給取得率が低いなら、その数字と一緒に「今年度から希望休の申請方法を変えた」という改善の中身を書く。この書き方をすると、入職前に読んだ内容と現場の実態がそろうため、面接の場で条件の認識合わせに使う時間が減ります。
「アットホームな職場です」「未経験者歓迎」「介護業務全般」の3つは、書いても求職者の判断材料になりません。同じ言葉が近隣のほぼ全施設に並んでいるため、比較の材料にならないからです。書くなら「アットホーム」の中身を数字にしてください。平均勤続年数、職員の年代構成、直近1年で何人が入職したか。
この章で押さえるのは、載せるべきは施設の魅力ではなく、求職者が抱く4つの不安への数字の回答だ、という点です。この数字を出せるかどうかが、外注の前に施設側で用意する最大の材料になります。
費用対効果の見方。採用単価で判断する
採用サイトへの投資は、「応募が何件増えるか」ではなく「1人採用するのにいくらかかっているか」で判断するのが現実的です。応募数は季節や地域の求人状況で動きますが、採用単価は自施設の数字として比較できます。
まず、いま採用にかかっている費用を全部足してください。足す費目は次の4つです。
- 求人媒体への出稿費
- 人材紹介の成功報酬
- 求人検索エンジンの有料掲載の費用
- 採用代行の月額
これを直近1年の採用人数で割ったものが、現在の採用単価です。
この計算をすると、判断の軸が変わります。「サイトに何十万も出せない」ではなく、「いま人材紹介に払っている費用の何人分までなら投資に見合うか」という比べ方になるからです。決裁を通すときも、自施設の実額を使ってこの形にすると話が早くなります。
背景として、介護分野の人手不足の状況は公的な統計で確認できます。介護関係職種の有効求人倍率や、今後必要になる介護職員数の推計は、厚生労働省「介護人材確保対策」のページにまとまっています。自施設の地域の状況は、都道府県労働局が公表する職業別の有効求人倍率と合わせて見てください。地域と職種によって数字は大きく違うので、全国の平均値ではなく自施設の商圏の数字で判断してください。
数字を見たうえで決めるのは、待ちの姿勢を続けるかどうかです。応募から面接までの日数を短くすること、給与と夜勤の実態を先に開示すること。この2つは費用をかけずに今日から着手でき、採用サイトの効果もここが整っているかどうかで変わります。
この章で押さえるのは、採用サイトの効果は応募数ではなく採用単価で見る、という点です。いま人材紹介に払っている費用の何人分に相当するかで考えると、投資の判断がぶれません。
介護施設の採用サイトでよくある失敗と回避法
公開後につまずくパターンは、ほぼ決まっています。ここでは介護施設で実際に起きやすい4つを挙げます。
失敗1。複数の職種を1つの募集要項にまとめる
介護職員、看護職員、生活相談員、送迎ドライバー、調理員を1ページに並べてしまうケースです。ページ数を減らせば安く作れるという判断で起きます。
こうなると、求職者は自分の条件がどれなのか分からず、給与の記載も「職種により異なる」としか書けません。回避法は単純で、募集する職種と雇用形態の組み合わせごとにページを分けること。介護職員でも、常勤・パート・夜勤専従は別ページにします。発注時に「募集の数だけページを作れるか」を確認してください。
失敗2。給与を「処遇改善加算込みの総額」だけで出す
月給の総額を大きく書き、内訳を書かないケースです。金額を大きく見せたい気持ちから起きます。
面接で内訳を聞かれた時点で、基本給が想定より低いと分かり、その場で温度が下がります。回避法は、基本給・夜勤手当の単価と回数・処遇改善加算の反映方法を分けて書くことです。総額が近隣より低くても、内訳が明確な方が、条件を納得したうえで面接に進んでもらえます。
失敗3。利用者が写った写真の許諾を後回しにする
撮影を先に済ませ、掲載直前に家族へ確認しようとするケースです。良い写真が撮れたので使いたい、という順番で起きます。
同意が得られないと写真を差し替えることになり、結局は無料素材の笑顔の写真だけが並ぶページになります。それでは近隣の施設と見分けがつきません。回避法は、撮影の前に同意書の様式を決め、同意が取れなかった場合に使うカット(後ろ姿、手元、職員だけ)を撮影計画に必ず入れておくことです。
失敗4。募集が終わった求人を取り下げず放置する
採用が決まったのに求人ページが残り続けるケースです。制作会社に依頼しないと更新できない作りだと、ほぼ確実に起きます。
求職者から見ると、いつの情報か分からないページになります。応募しても返事が来ないのではという不安につながり、他の募集ページの信頼まで下げます。回避法は、募集要項を施設側で公開・非公開に切り替えられる作りにしておくこと。難しい場合でも、取り下げ依頼から何営業日で反映されるかを契約時に決めておいてください。更新が止まる構造そのものの直し方は更新されないサイトの信用低下を直す更新体制の作り方で解説しています。
この章で押さえるのは、4つの失敗すべてが「公開後に自分たちで直せない作り」から起きている、という点です。発注時に更新の権限をどこまで持つかを決めておけば、大半は防げます。
契約前に確認すること。うまくいかない条件
率直にお伝えすると、採用サイトを作っても状況が変わらない施設があります。条件がはっきりしているので、先に共有します。
- 応募への連絡が遅れる体制のまま:採用サイトで比較に残っても、連絡が遅ければ先に面接が決まった施設に流れます。ここを直さずにサイトだけ作ると、費用に見合いません
- 面接できる日が月に1〜2日しかない:応募が増えても面接が組めず、候補者が待たされます。応募増が辞退増に変わるパターンです
- 給与や夜勤の実態を書けない:公開できない数字が多いほど、ページは抽象的になります。書けない理由が待遇そのものにあるなら、先に見直すべきは待遇です
- 現場が撮影・取材に協力できない:職員の写真も声も無い採用サイトは、求人媒体の掲載内容と変わりません
費用面で見落としがちなのは、公開後にかかるお金です。募集職種が増えるたびのページ追加、写真の差し替え、求人検索エンジンの有料掲載費。初期制作費だけを比べて決めると、2年目以降の費用感が読めません。見積もりを取る段階で「公開後1年でかかる費用の想定」も出してもらってください。
制作会社を選ぶときの本音を1つ。介護施設の採用サイトは、Web制作の技術よりも、現場に入って職員から話を引き出す部分が成果を左右します。デザインの実績だけで選ぶと、取材の場面で「特に何もないですね」という会話に終始し、どこにでもある文章のページになります。過去に取材を伴う制作をしているか、当日どんな質問をするのかを、契約前に具体的に聞いてください。
もう1つ、生成AIとの付き合い方について。求人原稿の下書きや、インタビューの文字起こしからの整文はAIで十分に速くなります。ただし、夜勤の人員配置や有給取得率といった数字は施設にしかありません。AIが埋められない部分がそのままページの価値になる、という関係です。
この章で押さえるのは、応募後の連絡と面接枠が確保できていない状態では、採用サイトへの投資を先に回さない方がいい、という点です。順番を守るだけで、同じ費用でも結果が変わります。
よくある質問
求人媒体に載せているのに応募が来ません。採用サイトを作れば応募は増えますか
掲載しても応募が来ない場合、原因は多くが給与条件か勤務時間の設定にあります。採用サイトが効くのは、応募を迷っている人が施設名で検索し直したときです。まず近隣の同職種の募集と条件を並べて比べ、そのうえで採用サイトを検討する順番をおすすめします。
採用サイトは法人サイトの中に作るのと、別に作るのとどちらがいいですか
事業所が1〜2か所で募集職種も少ないなら、法人サイトの中に採用ページを作れば足ります。事業所が複数あり、職種ごとに条件が違う場合は、職種別にページを増やせる作りが必要です。判断の軸は見た目ではなく、募集の数だけページを分けられるかどうかです。
職員インタビューで顔出しを断られた場合はどうすればいいですか
後ろ姿や手元のカットに切り替え、名前もイニシャルや「入職3年目・30代」といった表記にすれば掲載できます。顔写真より、勤続年数と具体的なエピソードの方が求職者には効きます。撮影前に「顔出しなしでも成立する構成」を制作会社と決めておくと安全です。
採用代行に頼むと、面接や施設見学の対応もやってもらえますか
どこまで含むかは事業者と契約内容によって違います。面接そのものと見学の受け入れが含まれるかどうかは、契約前に見積書と契約書で確認してください。あわせて、施設側が月にどれくらいの時間を使うことになるかも文面にしておきます。ここが曖昧だと現場が回らなくなります。
事業所が複数あります。採用サイトは1つにまとめるべきですか
法人として1つの採用サイトにまとめ、その中に事業所ごとの募集ページを作る形が扱いやすいです。事業所ごとに別サイトを作ると、更新の手間が倍になり、どちらかが古いまま放置されやすくなります。写真と職員の声だけ事業所ごとに変えてください。
まず今日やること
今日すぐできることが1つあります。スマホで自施設の名前と「採用」を並べて検索し、最初に出てくるページに給与の内訳と1日の流れが書いてあるかだけ確認してください。書いていなければ、求職者は求人媒体の情報だけで比較していることになります。
採用ページを作る前にホームページ全体の作り方から見直したい場合は、ホームページ制作会社の選び方と費用相場の判断軸もあわせてご覧ください。
ここまで読んで、職種ごとのページ分けや撮影の段取りまで自施設で進めるのは難しそうだと感じた方は、一度お話を聞かせてください。採用サイトのホームページ制作・運用では、募集職種の洗い出しから公開後の更新の進め方まで、いまの状況をうかがったうえでお伝えします。相談だけでも構いません。
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