工務店のホームページ集客|施工事例の見せ方と問い合わせ導線
この記事の要点
- 工務店のホームページ集客で効くのは施工事例の中身と問い合わせの分岐
- 施工事例に載せる10項目と、公開前チェックリストを本文に掲載
- 費用が動く要因は5つ。契約前に確認する質問も6つ挙げています
工務店のホームページ集客で問い合わせが増えるかどうかは、施工事例ページに何が書いてあるかと、問い合わせ窓口をいくつに分けているかで大きく変わります。デザインを新しくしても、事例が竣工写真の羅列のままなら、比較検討の場面で選ばれにくくなります。
この記事は、自社で更新作業をする人ではなく、制作会社に任せるかどうか、いくらかけるかを決める立場の方(経営者・役員・営業責任者)に向けて書いています。読み終わる頃には、施工事例に何を載せるかを社内で決められて、見積もりを見比べるときに何を質問すればいいかが分かる状態を目指します。
扱うのは施工事例と問い合わせ導線、費用の内訳、任せる範囲の線引きです。そもそもホームページから問い合わせが1件も来ていない段階の切り分けは問い合わせが来ないホームページの原因5つと改善手順で先に確認してください。
Contents / 目次
工務店のホームページ集客で押さえるのは2つ
結論から言うと、工務店のWeb集客で手をつける順番は、施工事例の中身を作り替えることが先、問い合わせ窓口を分けることが後です。この2つを終える前に広告費を足しても、来た人が判断できずに帰るだけになります。
- 施工事例の中身:写真に加えて、エリア・費用の目安・工期・施主の悩みをテキストで書く
- 問い合わせの分岐:窓口を「完成見学会の予約」「資料請求」「相談」の3つに分ける。検討段階が違う人を同じフォームに集めない
理由は、家づくりを検討している人が、住宅展示場やチラシだけでなく、検索やSNSでも候補を調べているからです。会社を訪ねる前にホームページを見て判断されることがあります。
そのときに見られるのが、自社の近くで、自分と近い予算・家族構成の事例があるかどうかです。ここに情報が無いと、判断できないので候補から外れます。
作っただけの状態と、受注につながる状態の違い
いまのホームページがどちらの状態かは、次の5項目で判定できます。左の列に当てはまる数が多いほど、デザインを変える前にやることが残っています。
| 見る場所 | 作っただけの状態 | 受注につながる状態 |
|---|---|---|
| 施工事例 | 竣工写真が並んでいるだけ。文章は「〇〇市 Y様邸」のみ | 1本ごとに費用の目安・工期・施主の悩みと解決策が書いてある |
| 問い合わせ窓口 | 「お問い合わせ」フォームが1つ | 見学会予約・資料請求・相談の3つに分かれている |
| 施工エリア | どこにも書いていない、または「大分県全域」とだけ | 市町村名で明記し、対応可否の線引きも書いてある |
| 見学会ページ | 開催後に削除、または「終了しました」で放置 | 開催後にレポート記事へ書き換えて残している |
| 更新の担当 | 決まっていない。最終更新が2年前 | 担当者と月あたりの本数が決まっている |
先に手をつける順番。施工事例を5〜10本作り替える、次に問い合わせ窓口を3つに分ける、その後に広告やSNSで人を呼ぶ。この順番を逆にすると、広告費をかけた分だけ「見たけど問い合わせなかった人」が増えます。
この章の結論として、いま検討すべきは「サイトを作り直すかどうか」ではなく、「施工事例の中身を誰がどう作り替えるか」です。ここが決まれば、制作会社に頼む範囲も自然に決まります。
施工事例ページに載せる10項目と作り方の手順
施工事例1本に載せる情報は10項目です。まずこの10項目を社内のフォーマットとして決めてしまえば、誰が書いても同じ水準になり、制作会社にも「この形で」と渡せます。
- 工事の種類(新築・リフォーム・増改築・外構のどれか)
- エリア(市区町村まで書く。「県内」では検索にも判断にも使えない)
- 建物の規模(延床面積・階数・間取り)
- 工期(着工から引き渡しまでの実際の月数)
- 費用の目安(総額の幅、または坪単価の幅。「1,800万円台」でよい)
- 構造と主な仕様(木造軸組・断熱等級・サッシ・床材など、こだわった箇所を3つ程度)
- 施主の家族構成と暮らし方(30代ご夫婦とお子さま2人、在宅勤務あり、など)
- 相談に来たときの悩みと、それをどう解決したか
- 施主の言葉(引き渡し時にいただいた感想を2〜3文)
- 次にできることへの案内(この事例に近い見学会の予定、相談の入口)
10項目のうち、抜けがちなのが5番の費用の目安です。「お客様ごとに違うから書けない」という判断はよく分かりますが、金額の手がかりが1つも無いページは、検討者にとって比較の材料になりません。総額の幅、または「本体工事のみ/付帯工事込み」の区分を明記したうえで幅で出す形にすれば、後のトラブルも避けられます。
ステップ1。直近の引き渡し物件から5本選ぶ
最初にやるのは、過去の全物件を並べ替えることではなく、これから力を入れたい層に近い物件を5本選ぶことです。選ぶ基準は3つあります。
- 受注したい価格帯に近いこと:いちばん高い物件だけを並べると、その価格帯の人しか問い合わせません
- 写真が残っていること:竣工写真だけでなく、工事中と、できれば暮らし始めた後の写真があるもの
- 施主と連絡が取れること:掲載許諾と、短いコメントをもらえる関係が続いているもの
過去10年ぶんを一度に作り替えようとすると、必ず途中で止まります。5本を完成形にしてから、月1〜2本ずつ足していく形が現実的です。
ステップ2。引き渡し前の30分で撮影の段取りを組む
写真は、引き渡しの直前にまとめて撮るのがいちばん確実です。家具が入る前の空の状態と、暮らし始めてからの状態では、伝わるものが変わります。
撮る場所は、次のとおりです。
- 外観
- 玄関
- LDK
- 水回り
- 施主のこだわり箇所
枚数は物件の規模や間取りによって変わるので、この5か所がそろっているかで判断してください。すべてプロカメラマンに頼む必要はなく、工事中の写真は現場監督のスマートフォンで構いません。
撮影で決めておくこと。カメラマンに依頼する場合は、撮影データの使用範囲(ホームページ・SNS・チラシ・第三者への提供の可否)を発注時に書面で決めます。後からSNSに使えないと分かると、せっかくの写真が1回きりで終わります。
ステップ3。施主に掲載許諾をもらう
掲載の許諾は、引き渡しの打ち合わせのときに口頭で切り出し、後から書面で残す流れがスムーズです。切り出しづらいときは、次の文面をそのまま使ってください。
[施主名]様
このたびは家づくりをお任せいただき、ありがとうございました。
ご相談いただいたときのお悩みと、完成したお住まいを、
弊社のホームページで施工事例として紹介させていただけないでしょうか。
掲載する内容は次のとおりです。
・お住まいの写真(外観/室内)
・エリア([市区町村名]まで。番地は掲載しません)
・延床面積、間取り、工期
・ご予算の目安([1,800万円台]のような幅での表記)
・お打ち合わせでうかがったご要望と、弊社の対応
掲載しないもの
・お名前([Y様邸]のようなイニシャル表記にします)
・番地、外観から住所が特定できる写真
・お子さまのお顔が写った写真
掲載後に「この写真は取り下げてほしい」というご連絡をいただいた場合は、
[3営業日以内]に削除いたします。
ご負担のない範囲で構いませんので、ご検討いただけますと幸いです。
実際の現場では、許諾そのものより「どこまで出るのか分からない」ことが不安の原因になっています。載せるものと載せないものを先に列挙すると、施主が判断しやすくなります。
ステップ4。AIで下書きを作り、事実だけ人が直す
10項目を毎回文章にするのは手間がかかります。ここは生成AIに下書きさせると、1本あたりの作業時間を大きく減らせます。ただし、AIは現場を見ていないので、渡していない情報は必ず作り話になります。
AIに渡す材料は、次の5つをメモ書きで十分です。箇条書きのままで構いません。
- 物件データ:エリア、延床面積、間取り、工期、費用の幅、構造と仕様
- 相談時のメモ:初回打ち合わせで施主が言っていた悩み(「収納が足りない」「冬が寒い」など、そのままの言葉)
- 対応した内容:その悩みに対して、どこをどう設計・施工したか
- 施主の感想:引き渡し時にもらったコメント(要約せず、言われたとおりに)
- 書き方の条件:文字数、読み手(これから土地を探す30代の共働き世帯など)、避けたい表現
プロンプトは作り込む必要はありません。次の程度から始めて、返ってきた文章を見ながら対話で詰めていくほうが早く仕上がります。
あなたは工務店の施工事例ページを書く編集者です。
以下のメモから、施工事例ページの本文を1,000字前後で書いてください。
読み手は[これから土地探しを始める30代の共働き世帯]です。
専門用語には短い補足を添えてください。
メモに無いことは書かないでください。数字を推測で補わないでください。
<メモ>
[ここに上の5つの材料を貼り付ける]
出てきた文章で人が必ず確認するのは、次の4か所です。ここを飛ばすと、事実と違うページが公開されます。
- 数字(面積・工期・金額・断熱等級)がメモと1字ずつ合っているか
- メモに無い仕様や設備が足されていないか(AIは「無垢材のフローリング」のような、それらしい語を勝手に補います)
- 施主の言葉が言い換えられていないか。要約されていたらメモの言い方に戻す
- 「地域No.1」「県内最安」「高気密高断熱住宅の第一人者」のような、根拠資料が無いと書けない表現が混ざっていないか
AIで下書きを作るという判断そのものについてはAIで作ったサイトがSEOで評価される|人が足すE-E-A-T3要素でも解説しています。
ステップ5。公開前チェックリストで確認する
1本を公開する前に、次の8項目を見てください。社内で誰が書いても同じ水準にするための最低ラインです。
- エリア表記:市区町村名が本文に書かれている(画像の中の文字だけになっていない)
- 費用:総額または坪単価が幅で書かれ、含む工事・含まない工事が明記されている
- 工期:実際にかかった月数が書かれている
- 悩みと解決:施主の相談内容と、それに対して何をしたかが書かれている
- 写真の説明:各写真に短い説明文が付いている(どこの部屋か、何を見てほしいか)
- 許諾:掲載許諾を取っていて、記録が残っている
- 次の行動:ページの下に、見学会予約か相談への案内がある
- 根拠のない最上級表現:「地域No.1」「最安」などが入っていない
写真の中に文字を焼き込んだ画像や、間取り図のPDFだけで情報を出すのは避けてください。画像や図面は本文の補助として置き、同じ内容をテキストでも書くのが確実です。読む人にとっても、拡大しないと読めない画像より本文のほうが分かりやすくなります。
この章の結論として、施工事例は「撮る・許諾を取る・10項目で書く・8項目で確認する」の4工程に分解できます。分解してしまえば、どこを社内でやり、どこを外に出すかを判断できます。
問い合わせ導線は3つに分ける
問い合わせ窓口を「お問い合わせ」1つにしているなら、ここを3つに分けるだけで反応が変わります。理由は、検討段階によって押せるボタンが違うからです。
家を建てるかどうか迷っている段階の人に「無料相談はこちら」を出しても、まだ会う覚悟ができていないので押しません。逆に、土地が決まって見積もりを比べている人に資料請求だけを出すと、話が遅くなります。
| 検討段階 | 置く窓口 | 入力してもらう項目 |
|---|---|---|
| 情報を集め始めた(土地なし・時期未定) | 資料請求、施工事例集のダウンロード | 名前・メールアドレスの2つだけ |
| 実物を見て決めたい(半年〜1年以内) | 完成見学会・構造見学会の予約 | 名前・連絡先・希望日時・人数 |
| 会社を絞り込んでいる(土地あり・見積もり比較中) | 相談、プラン依頼、現地調査の依頼 | 名前・連絡先・建築予定地・希望時期・予算感 |
3つに分けたら、それぞれの入口を施工事例ページの下と、各ページの固定ボタンに置きます。トップページの1か所だけに置いても、事例を読み終わった人はそこまで戻りません。
入力項目を増やすほど送信されにくくなるので、段階が早い窓口ほど項目を減らします。項目数の決め方は問い合わせフォームは5項目に絞る|BtoBの入力設計と問い直しで詳しく書いています。
電話番号の扱い。工務店では、フォームではなく電話で連絡してくる施主が今もいます。ヘッダーに電話番号を置き、スマートフォンではタップで発信できるようにしてください。あわせて「受付時間」と「現場に出ているため、折り返しになる場合があります」の一文を添えると、かけ直しの取りこぼしが減ります。
この章の結論として、窓口を3つに分けると、どの段階の人がどれだけ来ているかが数字で分かるようになります。「問い合わせが少ない」ではなく「見学会の予約は来るが相談が来ない」まで見えると、次に直す場所が決まります。
費用はいくらかかるか。金額が動く5つの要因
工務店のホームページ制作でよく聞かれるのが「結局いくらか」ですが、金額は次の5つでほぼ決まります。相見積もりを比べるときは、この5つがどう書かれているかを見てください。
- 施工事例の仕組みを作るか:自社で事例を追加・編集できる管理画面を作るかどうか。ここが無いと1本追加するたびに外注費がかかります
- 写真撮影を含むか:プロカメラマンの撮影を何棟分含むか。1棟ごとの追加費用がいくらか
- 原稿を誰が書くか:施工事例と会社紹介の文章を制作会社が取材して書くのか、こちらが用意するのか。ここが金額差のいちばん大きい部分です
- ページ数と種類:会社紹介だけか、施工事例・見学会・ブログ・採用まで含むか
- 公開後の運用:月額保守にサーバー管理だけが入るのか、更新代行や改善提案まで入るのか
金額は会社や仕様によって大きく変わるので、相場の数字を当てはめても判断材料になりません。見るべきは総額ではなく、上の5つが見積書にどう書かれているかです。金額の妥当性を内訳から判断する手順はホームページ制作会社の選び方|費用相場と失敗しない判断軸にまとめています。
任せる範囲と、社内に残る作業
外注しても、社内に必ず残る作業があります。ここを見ないまま契約すると、公開後に更新が止まります。
| 作業 | 外に出せるか | 社内に残るもの |
|---|---|---|
| デザイン・実装 | 出せる | デザイン案の確認と判断 |
| 施工事例の文章 | 取材つきなら出せる | 物件データ・相談時のメモの提供 |
| 竣工写真の撮影 | 出せる | 撮影日の調整、施主への連絡 |
| 掲載許諾 | 出せない | 施主への説明と承諾の取得 |
| 見学会の告知ページ | 出せる | 開催日・場所・定員を決めて渡す |
| 問い合わせへの返信 | 出せない | 営業担当の一次対応(当日中が目安) |
つまり、外注で減るのは作る手間であって、施主との関係と現場の情報を出す役割は社内に残ります。ここを担当する人を決めてから発注するのが、いちばん確実な失敗回避です。担当と頻度の決め方は更新されないサイトの信用低下を直す更新体制の作り方を参考にしてください。
契約前に確認する6つの質問
見積もりを比べるとき、金額の数字だけでは差が分かりません。次の6つを同じ言葉で全社に聞くと、違いがはっきりします。
- 施工事例は、自社の社員が管理画面から追加・編集できますか。できる場合、1本の追加にどのくらいの時間がかかりますか
- 施工事例の原稿は、誰が書きますか。取材が含まれる場合、何本ぶんまでですか
- 公開後に施工事例を1本追加する場合、追加費用はいくらですか
- 写真の撮影データは、SNSやチラシにも使えますか。使用範囲はどう決まりますか
- 契約が終了した場合、ドメイン・サーバー・サイトのデータは、こちらに移せますか。移すときの費用はいくらですか
- 月額費用に含まれる作業を、項目ごとに書いてもらえますか(サーバー・ソフトの更新・バックアップ・改修時間の有無)
5番の「データを移せるか」は、契約前に必ず文書で確認してください。制作会社の独自システムで作られている場合、他社に移せず、移すならゼロから作り直しになることがあります。金額が安く見える提案ほど、ここが制限されている場合があります。
この章の結論として、比べるべきは総額ではなく「1本追加するのにいくら・何日かかるか」と「やめるときに何が残るか」の2点です。この2点が明確な会社は、公開後の運用まで考えて設計しています。
どのくらいで何が変わるか。成果の測り方
施工事例を作り替えても、問い合わせの数字はその月から動くわけではありません。公開したページが検索結果に出て、読まれて、判断されるまでに時間がかかります。1か月で判断して止めるのが、いちばんもったいない終わり方です。
そのあいだ何を見るかというと、問い合わせ件数の前に、次の3つの数字を月1回そろえます。
- 施工事例ページの閲覧数:どの事例が読まれているか。読まれている価格帯・エリアが、受注したい層と合っているか(GA4で確認できます)
- 検索での表示回数:「市町村名+工務店」「市町村名+注文住宅」のような検索語ごとの表示回数とクリック数(Google Search Console ヘルプ「検索パフォーマンス レポート」。検索語ごとの数値はクエリでフィルタして確認します)
- 窓口ごとの送信数:資料請求・見学会予約・相談の3つを、それぞれ何件受けたか。窓口ごとに分けて数えるにはフォームごとのイベント設定が必要です(アナリティクス ヘルプ「GA4のイベント設定」)。設定するまでは、フォームの自動返信メールの通数を手で数えます
GA4をまだ入れていない場合は、先に設置してください。フォームごとのイベント設定もあわせて必要なので、手順はGA4をWordPressに設置する手順|GTM経由の計測設定までにまとめています。
必要な問い合わせ件数を逆算する
「何件来ればいいのか」は、受注目標から逆算できます。逆算に使う割合は、参考にできる業界の基準値がありません。自社の実績から数えた割合を入れてください。
- 年間の受注目標を決める(例:新築6棟)
- 相談から契約に至る割合を出す。自社で「相談を受けた件数」と「契約した件数」を過去1〜2年ぶん数えて割る
- 問い合わせから現地調査・プラン相談へ進む割合を出す。同じ期間の「問い合わせ件数」と「相談まで進んだ件数」から割る
- 2と3の割合で受注目標を割り戻すと、年間・月間で必要な問い合わせ件数が出る
- サイトを見た人のうち問い合わせた割合は、GA4のセッション数と実際の送信数から出す。これで必要なセッション数も分かる
まだ数えていない場合は、この逆算をする前に数えるところから始めてください。自社の「問い合わせ→相談→契約」の割合を実際に数えることが先です。この2つの割合を出しておくと、「アクセスが足りないのか、ページの中身が足りないのか、営業の対応が遅いのか」を切り分けられます。
商圏の規模感は、国土交通省が公表している建築着工統計調査で新設住宅着工戸数を確認できます。都道府県別・市区町村別の数値が年次と月次で公表されているので、自社の商圏で年間どのくらい建っているかを見れば、目標が現実的かどうかを判断できます。
うまくいっている工務店に共通していること
成果が出ている会社に共通するのは、派手な施策ではなく、次の3つが仕組みになっていることです。
- 引き渡しと施工事例の公開がセットになっている:引き渡しの工程表に「撮影」「許諾」「公開」が最初から入っている
- 見学会ページが資産として残っている:開催のたびにページを作り、終わったらレポートに書き換えて残す。年6回なら3年で18本の入口ができる
- 一次対応の担当と期限が決まっている:問い合わせに当日中、遅くとも翌営業日に返すという基準を決め、誰が返すかまで決めてある
この章の結論として、成果を判断するのに必要なのは「数か月単位で見ること」と「問い合わせ→相談→契約の割合を自社で数えていること」の2つです。この2つが無いと、うまくいっているかどうかを誰も判断できません。
工務店のホームページ集客でよくある失敗4つ
ここで挙げるのは、工務店のサイトでだけ起きる失敗です。どの業種にも当てはまる一般論ではなく、現場でよく見かける形に絞りました。
失敗1。竣工の無人写真だけで、暮らしが見えない
これは、雑誌掲載用に撮った写真をそのまま流用したときに起きます。家具も生活感も無い、美しいけれど誰も住んでいない写真が20枚並びます。
検討している人は、自分の家族がそこで暮らす姿を想像したくて事例を見ています。無人の完成写真だけだと、想像する手がかりが無いまま次の会社のサイトへ移ります。防ぎ方は、引き渡し後3か月〜半年に「暮らし始めてからの1枚」を撮らせてもらうことです。撮影のお願いは、アフター点検の訪問とセットにすると頼みやすくなります。
失敗2。見学会ページを開催後に消してしまう
完成見学会の告知ページを作り、開催が終わったら削除する運用をしている会社は多いです。「古い情報を残すと混乱させる」という判断は分かりますが、これをやると毎回ゼロからやり直しになります。
年6回の見学会を5年続けても、サイトに残っているページは常に1本だけ、という状態になります。防ぎ方は、削除せずに「開催レポート」へ書き換えることです。当日の写真、来場者から出た質問、その物件のスペックを書き足せば、そのまま施工事例に近いページとして残ります。
告知中に予約を止める場合も、ページ自体は残して「この回は終了しました。次回の予定はこちら」と次の案内に切り替えてください。
失敗3。現場ブログが1行更新で止まっている
「本日、基礎配筋検査でした」という写真1枚+1行の投稿が、何年も並んでいるケースがあります。更新している努力は伝わりますが、読んだ人が得るものがないので、検討している人の判断材料にはなりません。
直し方は、投稿の本数を減らして、1本の中身を増やすことです。同じ配筋検査の話でも、「何を、誰が、どういう基準で見ているのか」「ここで手を抜くと何年後に何が起きるのか」まで書けば、施主が不安に思っていることへの答えになります。本数を増やすより、1本ごとに判断材料が入っているかを優先してください。
失敗4。施工エリアがどこにも書かれていない
これは、電話を受けてから「そのエリアは対応していません」と断ることになる失敗です。断るほうも気まずく、問い合わせた人にも時間を使わせます。
会社概要に本社住所しか書いていないと、県外の人からも問い合わせが来ます。防ぎ方は、対応エリアのページを1枚作り、市町村名を列挙することです。あわせて「この範囲の外でも、条件によってはご相談いただけます」と書いておけば、機会を逃さずに済みます。市町村名を書いておけば、読んだ人が対応範囲かどうかをその場で判断できます。
この章の結論として、4つに共通するのは「作業はしているのに、検討者の判断材料になっていない」ことです。更新の量を増やす前に、1本ごとの中身が判断材料になっているかを確認してください。
発注する前に知っておきたい現場の妥協点
ここからは、制作会社の提案書には書かれにくい話です。工務店のサイト運用でつまずくのは、たいていデザインや機能ではなく、権利と表示のルール、そして繁忙期の人手です。
写真の権利が、あとから制約になる
竣工写真をプロカメラマンに依頼した場合、撮影データを誰がどこまで使えるかは、発注時の契約の取り決めによって変わります。使用範囲を決めずに受け取ると、「ホームページはよくてもチラシは別料金」「SNSへの投稿は都度確認」という制約が後から出てきます。ホームページ・SNS・チラシ・第三者への提供の可否を、発注書か見積書に書き入れてから撮影に入ってください。
設計事務所と組んだ物件や、協力会社と共同で手がけた物件も同じです。どちらの実績として掲載してよいか、施工写真をどちらが使えるかを、着工前に決めておいてください。完成してから相談すると、関係がぎくしゃくします。
施主から「消してほしい」と言われたときの決め方
掲載許諾をもらっていても、数年後に売却や転居があり、削除を求められることがあります。このとき対応の基準が無いと、担当者が判断できずに放置されます。
先に決めておくのは3つです。
- 期限:依頼を受けてから何営業日以内に消すか
- 担当:誰が削除の作業をするか
- 範囲:SNSに投稿した分やチラシも含めて消すか
許諾の書面にこの3つを書いておけば、依頼された時点で迷いません。
「地域No.1」と書けるかどうか
ホームページに「地域No.1」「県内最安」「満足度99%」といった表示を載せる場合は、景品表示法(消費者庁)の不当表示にあたらないか確認が必要です。とくにNo.1表示については、消費者庁が「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表し、調査の客観性が確保されていない、調査結果を正確に引用していないといった表示が不当表示にあたるおそれがあると示しています。根拠が用意できないなら、書かないのが安全です。自社の表示が問題ないかどうか迷ったときは、消費者庁や所管の窓口に確認してください。
代わりに書けるのは、確認できる事実のほうです。創業年数、累計の施工棟数、建設業許可番号、加入している住宅瑕疵担保責任保険や地盤保証の名称。こうした検証できる事実のほうが、最上級表現より信頼につながります。
繁忙期に更新が止まる前提で計画する
工務店の実務では、決算期や引き渡しが重なる時期に、現場と事務の手がまったく空かなくなります。ここで「毎週更新」の計画を立てても守れません。
現実的なのは、年間の更新本数を先に決めてしまうことです。施工事例を年6本、見学会レポートを年6本、合わせて年12本。これなら月1本のペースで、繁忙期は翌月に回せます。計画の本数を減らして守るほうが、多い計画を立てて止まるより結果が出ます。
なお、どこまでAIに任せてどこを人がやるかという線引きは、施工事例では「下書きはAI、事実確認と施主の言葉は人」に落ち着きます。詳しくはAIホームページ作成5ステップ|ツール選びとプロンプト例で扱っています。
この章の結論として、発注前に社内で決めておくべきは「写真の使用範囲」「削除依頼への対応ルール」「年間の更新本数」の3つです。この3つが決まっていれば、どの制作会社と組んでも運用は回ります。
工務店のホームページ集客でよくある質問
施工事例は何棟くらい載せれば問い合わせにつながりますか
棟数より、受注したい価格帯とエリアの事例がそろっているかが先です。まず10項目を満たした事例を5本、そこから月1〜2本ずつ足していく形をおすすめします。中身の薄い事例が30本並ぶより、判断材料のそろった事例が5本あるほうが選ばれます。
リフォームと新築の両方をやっています。サイトは分けたほうがいいですか
売上構成と更新できる人手で判断してください。両方に注力していて、それぞれ月1本以上更新できるなら分ける価値があります。更新の手が足りないなら、1サイト内でメニューと施工事例のカテゴリを新築とリフォームで分けるだけでも、探しやすさは大きく改善します。
住宅ポータルサイトに掲載していれば、自社サイトは要りませんか
両方あるほうが確実です。ポータルサイトで見つけた人の多くは、そのあと会社名で検索して自社サイトを確認します。そこで施工事例が薄いと、せっかくの掲載費が生きません。ポータルは見つけてもらう場、自社サイトは選んでもらう場という役割の違いがあります。
施主の顔写真や名前は出したほうが信頼されますか
出せるなら効果はありますが、無理に頼む必要はありません。顔と実名が出ない場合でも、イニシャル表記と「30代ご夫婦・お子さま2人」という家族構成、引き渡し時のコメントがあれば、読む人は十分に想像できます。断られたときの代替案を先に用意しておくのが現実的です。
社長の想いのページは、本当に読まれますか
最初の入口としては読まれませんが、最後の比較段階では読まれます。施工事例で候補に残った会社について、どんな人がやっているのかを確認する流れです。理念だけを並べるより、なぜこの工法を選んだか、どんな相談が多いかといった具体を書くほうが伝わります。
今日できる最初の一歩
まずは自社のサイトを開いて、施工事例を1本だけ見てください。その1本に、エリア(市区町村名)・費用の目安・工期の3つが書かれているかを確認するだけで構いません。3つとも無ければ、そこが最初に直す場所です。
ホームページから1件も問い合わせが来ていない状態なら、問い合わせが来ないホームページの原因5つと改善手順を続けて読むと、施工事例より先に直す箇所が見つかることがあります。
施工事例のフォーマットを決めるところや、見学会ページを資産として残す仕組みづくりで手が止まっているなら、施工事例ページまで設計するホームページ制作・運用の相談窓口からお声がけください。いまのサイトを一緒に見ながら、どこから直すと効くかをお伝えします。いまの状況をうかがうだけでも大丈夫です。
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