ホームページ制作の修正回数と追加費用|契約前に決める範囲
この記事の要点
- 修正費用でもめる原因は、無料の範囲と1回の数え方が契約書にないこと
- 追加料金の境目は「どの工程で言ったか」で決まる。工程別の表で解説
- 契約書に入れる文言例と、確認メールの文面をそのまま使える形で掲載
ホームページ制作で修正が追加料金になるかどうかは、作業の内容よりも「どの工程で言ったか」と「契約書に何と書いてあるか」で決まります。デザイン確定後にトップページの構成を変えれば、デザインと実装の両方をやり直すことになり、同じ「修正」でも費用の桁が変わります。
この記事は、制作を発注する立場の方(経営者・役員・院長・施設長・広報の責任者)に向けて書いています。読み終わる頃には、手元の見積書のどこを見て何を質問すればいいか、契約書にどんな一文を入れてもらえばいいかが決まる状態を目指します。
扱うのは、修正回数・追加費用・契約前に決める範囲の3点です。制作費そのものの相場は業種別のホームページ制作費用の相場で解説しているので、まだ予算の桁が決まっていない方は先にそちらをご覧ください。
この記事は、制作の現場で実際にやりとりされている進め方をまとめたものです。契約の条件や、どこまでが有効な取り決めになるかは、契約書全体の内容と当事者の合意によって変わります。法的な効力が問題になる場面では、弁護士など専門家にご確認ください。下請取引にあたる場合の書面交付などのルールは、公正取引委員会「下請法」で確認できます。
Contents / 目次
契約前に決める4つ。これで修正費用のもめごとはほぼ消える
結論から言います。ホームページ制作の修正でもめる案件は、次の4つのどれかが契約前に決まっていません。逆に言えば、この4つを見積書か契約書に文字として残してあれば、追加請求されたときに、お互いが何を前提にしていたかを紙で確認できます。
- 無料で直せる範囲:工程ごとに、どこまでが契約金額に含まれるか
- 「1回」の数え方:何をもって修正1回とカウントするか
- 追加費用の決め方:時間単価か作業単価か、事前に金額を提示するか
- 公開後の扱い:納品後の修正は保守契約なのか、都度見積なのか
スコープとは、契約金額の中でやる作業の範囲のことです。制作会社が「スコープ外です」と言うのは、この範囲の外なので別料金になります、という意味です。もめごとの多くは、この範囲が言葉で共有されただけで、紙に残っていないことから起きます。
まず、何が範囲内で何が範囲外なのか、一般的な線引きを見てください。会社によって扱いは違いますが、この4区分で考えると質問すべき箇所がはっきりします。
| 区分 | 具体例 | 一般的な扱い |
|---|---|---|
| 軽微な修正 | 文言の言い換え、写真の差し替え、余白や色味の微調整 | 契約金額に含まれることが多い |
| 構成の変更 | セクションの並べ替え、見出しの追加、ボタンの位置変更 | 回数の中に数えるかどうかが分かれる |
| 方向転換 | デザイン案の作り直し、配色やトーンの全面変更 | 追加費用になることが多い |
| 範囲外の追加 | ページの追加、フォームの機能追加、原稿の執筆、撮影 | 別見積が原則 |
質問の順番。見積書をもらったら「修正は何回までですか」より先に「この金額に含まれないものを教えてください」と聞いてください。前者は回数という一点しか出てきませんが、後者は範囲外の作業がまとめて出てきます。
この章の結論です。修正の話は回数の多い少ないではなく、範囲の線引きの問題として扱ってください。回数が無制限でも範囲が曖昧なら追加請求は起きますし、回数が2回でも範囲が明確なら揉めません。
ホームページの修正費用は、言うタイミングで金額が変わる
同じ「トップページの構成を変えたい」でも、言う工程によって制作会社の作業量は大きく変わります。理由は単純で、後の工程ほど、前の工程の成果物まで巻き戻してやり直すことになるからです。
制作の工程は、おおむね次の順に進みます。上から順に、確定させてから次へ進む形です。
- 要件定義(目的、ターゲット、必要なページ、必要な機能を決める)
- サイト構成とワイヤーフレーム(各ページに何をどの順で載せるかの設計図)
- デザインカンプ(実際の見た目を画像として作る)
- 実装(HTMLやWordPressで動く形にする)
- 公開前テストと公開
ワイヤーフレームとは、色や写真を入れる前の設計図のことです。どこに何を置くかだけを線と四角で示したもので、ここで構成を変えるのはコストがほとんどかかりません。
巻き戻しのコストは、工程が進むほど積み上がります。下の表は、同じ「1セクションの内容を入れ替えたい」という要望が、工程ごとにどの作業を巻き込むかをまとめたものです。
| 言った工程 | やり直す作業 | 費用への影響 |
|---|---|---|
| ワイヤーフレーム段階 | 設計図の差し替えのみ | ほぼ発生しない |
| デザイン確定前 | デザインの一部を作り直す | 回数内で収まることが多い |
| デザイン確定後・実装中 | デザインと実装の両方をやり直す | 追加費用の対象になりやすい |
| 公開直前 | デザイン、実装、動作確認をやり直す。公開日もずれる | 追加費用に加え、納期の再調整が必要 |
| 公開後 | 本番環境での作業。保守契約か都度見積の対象 | 月額または都度の作業費 |
金額そのものは会社ごとに開きがあり、ひとつの数字で相場を示すことはできません。時間単価も、ディレクター・デザイナー・エンジニアで別々に設定している会社と、一律にしている会社があります。
だから見るべきは単価の数字ではなく、その作業に何時間かかると見積もったのか、その根拠を説明できるかです。「デザイン修正 一式 5万円」とだけ書かれた追加見積が出てきたら、どの作業に何時間分なのかを聞いてください。誠実な会社なら内訳を出せます。
この章の結論です。修正費用を抑えたいなら、値切る交渉より、早い工程で決めきることに時間を使ってください。ワイヤーフレームの段階で社内の意見を出しきれば、後工程の追加費用はほとんど発生しません。
契約前にやる5ステップ。見積書と契約書の確認手順
ここからが実務です。契約書にサインする前に、次の5ステップを順にやってください。どれも制作会社に嫌がられる質問ではありません。むしろ、こうした確認をする発注者は「進めやすい相手」として扱われます。
ステップ1。見積書の「一式」を工程別に割ってもらう
「ホームページ制作一式」とだけ書かれた見積書は、そのままでは判断できません。どの作業にいくらかかっているか分からないので、修正が発生したときに何を巻き戻しているのかも分かりません。
次の項目に分けた見積書を出してもらってください。制作の工程をそのまま項目にしたものなので、質問すれば内訳を出してもらえます。
- ディレクション費:打ち合わせ、進行管理、調整にかかる費用
- 設計費:サイト構成とワイヤーフレームの作成
- デザイン費:ページ単位、またはトップと下層で分けた金額
- 実装費:コーディング、CMS構築、レスポンシブ対応
- 原稿・素材費:ライティング、撮影、写真素材の購入
- 初期設定費:サーバー設定、SSL、フォーム設置、解析タグ
- 修正対応:含まれる回数と、超えた場合の扱い
「原稿・素材費」がゼロになっている見積書は、文章と写真をすべて自社で用意する前提です。ここを見落として契約すると、社内に原稿を書く人がいないまま制作が止まり、その待機期間が納期遅延として扱われます。
ステップ2。修正の「1回」の数え方を文字にする
修正回数とは、契約金額の中で無料対応する修正のまとまりの数のことです。ここで問題になるのは、何をもって1回と数えるかが会社によって違うことです。
実際にもめるのは、たいていこのパターンです。発注側は「今日送った12か所の指示で1回」と思っていて、制作会社は「チャットで指示が来るたびに1回」と数えている。どちらが常識という話ではなく、決めていないことが原因です。
契約書または発注時のメールに入れてもらう文言の例です。実際に使う前に、契約書全体との整合を制作会社と確認してください。
【修正の取り扱いについて】
1. 修正1回の定義
当社(発注者)が1つのメールまたは1つの依頼シートにまとめて送付した
指示のまとまりを、修正1回と数えます。
送付後24時間以内に送る追加・訂正の指示は、同じ回に含めます。
2. 無償で対応する修正回数
・ワイヤーフレーム [ ]回まで
・デザインカンプ [ ]回まで
・実装後の確認 [ ]回まで
3. 回数に数えないもの
制作側の作業ミス(誤字、指示との相違、表示崩れ、リンク切れ)の
訂正は、修正回数に数えません。
4. 回数を超えた場合
作業前に作業内容・想定時間・金額を書面で提示し、
当社の承諾を得たうえで着手するものとします。
3番目の「制作側のミスは回数に数えない」は、必ず入れてください。ここが抜けていると、誤字の直しでも無料の1回を消費することになり、発注側と制作側のどちらが原因の修正なのかを、そのつど話し合うことになります。
ステップ3。確定のタイミングと、社内の承認者を先に決める
制作会社側の都合ではなく、発注側の社内事情でいちばん手戻りが起きるのがここです。デザインが確定して実装が始まってから、それまで会議に出ていなかった役員や院長が初めて画面を見て、方向性から意見を出す。この形が最も高くつきます。
契約前に、社内で次の3つを決めてください。制作会社に伝える必要はなく、社内で決めるだけです。
- 最終承認する人を1人にする。複数いる場合は、その全員が同じ会議で確認する
- その人が確認する工程を、ワイヤーフレームとデザインカンプの2回に固定する
- 各工程の確認に何営業日かけるかを決める。承認者の予定と、社内で意見を集める時間から逆算して、制作会社と合意した日数を入れる
そのうえで、制作会社に次のように伝えます。確認体制と期限を先に示しておくと、制作会社もスケジュールを組みやすくなります。
弊社の確認体制についてお伝えします。
・窓口は[担当者名]に一本化します。ご連絡はこちらへお願いします。
・最終承認は[役職・氏名]が行います。
・ワイヤーフレームとデザインカンプの2工程で、
承認者を含めた社内確認を行います。
・確認には各[ ]営業日いただきます。
この期間を過ぎた場合の進め方は、あらかじめ取り決めさせてください。
上記の工程で承認したものについては、
以降の工程で方向性からの変更は行わない前提で進めます。
最後の一文が効きます。自分たちで「確定後はひっくり返さない」と宣言することで、社内の誰かが後から言い出したときに、それを止める根拠ができます。
ステップ4。追加費用が発生する条件を、着手前提示の形にする
追加費用でもっとも避けたいのは、作業が終わってから請求書と一緒に知らされることです。金額の高さより、事前に知らされなかったことで信頼関係が壊れます。
防ぎ方はシンプルで、ステップ2の文言の4番目、「作業前に金額を提示し、承諾を得てから着手する」を契約書に入れることです。これが入っていれば、事後の請求が来たときに、承諾を得ていない作業だと書面で指摘できます。
あわせて、次の2点を口頭で確認しておいてください。
- 算定の方法:時間単価か、作業ごとの定額か。時間単価なら、誰の時間単価か
- 下限の扱い:15分で終わる作業でも1時間分を請求するのか、実作業時間で計算するのか
ステップ5。公開後の修正を、保守契約と切り分けて決める
意外と抜けるのがここです。納品の瞬間に「無料修正」の概念は終わり、その後の作業はすべて別の契約になります。公開直後は細かい直しが必ず出るので、そこで初めて料金体系を知ると不満が残ります。
公開後の修正の頼み方は、大きく3つです。自社の更新頻度で選んでください。
| 形態 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 月額の保守契約 | 月に1回以上、文章や写真の更新がある | 月額に含まれる作業時間と、超えた分の扱いを確認する |
| 都度見積のスポット依頼 | 更新が年に数回しかない | 1回あたりの最低金額があるかどうかを、契約前に確認する |
| 自社で更新(CMS) | お知らせや実績を頻繁に出す | 更新できる範囲と、触ると崩れる箇所を引き継ぎ時に確認する |
月額保守の中身は会社ごとにまったく違います。何が含まれて何が別料金なのかはWordPress保守費用の相場と内訳で項目ごとにまとめているので、保守の見積書を比べるときに使ってください。
AIを使って、修正回数そのものを減らす
ここまでは契約の話でした。もう一方の手として、修正の発生自体を減らすやり方があります。2026年のいま、発注側がAIでできることが増えました。
効果が大きいのは、次の3つです。
- 社内の意見をまとめる:会議の音声やメモをAIに渡し、決まったこと・決まっていないこと・対立している点に分けて出力させる。これを制作会社に渡すと、後出しの意見が減ります
- 原稿の下書きを先に作る:仮テキストのまま進めると、本文が来た時点でレイアウトが崩れて実装をやり直します。文字数の目安を決めてAIに下書きを作らせ、人が事実確認をして渡します
- 修正指示の文面を作る:「トップの雰囲気が違う」のような感覚の言葉を、AIとの対話で具体的な指示に落とします
3つ目は、こんな短い頼み方で十分です。作り込んだ長い指示文は要りません。
あなたはWeb制作のディレクターです。
私が制作会社に伝えたい修正の要望を、そのまま渡せる指示文に直してください。
[要望を自分の言葉で書く。例:トップの写真が固すぎる。もっと親しみがほしい]
次の3点に分けて出力してください。
1. どのページのどこか
2. 現状どう見えていて、どう見えてほしいか
3. 判断に迷ったときの優先順位
あいまいな部分があれば、私に質問してください。
要件定義の段階でAIを使って社内の意見をまとめる手順は、AIで要件定義をまとめる5ステップの記事で具体的に書いています。修正の元を断つという意味で、契約書の工夫より効く場面があります。
契約前チェックリスト
ここまでの内容を、契約書にサインする直前に確認する形にまとめました。印刷して、見積書の横に置いて使ってください。
- 見積書:「一式」ではなく、工程ごとに金額が分かれている
- 原稿と写真:誰が用意するか、費用に含まれるかが書いてある
- 修正回数:工程ごとに回数が書いてある
- 1回の定義:何をもって1回と数えるかが書いてある
- 制作側のミス:回数に数えないと書いてある
- 追加費用:着手前に金額を提示して承諾を得る、と書いてある
- 単価:時間単価か定額か、算定方法を聞いてある
- 承認工程:どの工程で確定するか、確認期間が何日かが決まっている
- 社内の窓口:1人に決まっていて、最終承認者も決まっている
- 納期遅延:発注側の確認が遅れた場合の扱いが書いてある
- 公開後:保守か都度見積か、料金体系を聞いてある
- 権利:制作データの著作権と、ドメイン・サーバーの契約名義が決まっている
この章の結論です。5ステップのうち1つだけ選ぶなら、ステップ3の「社内の承認者と確認期間を先に決める」をやってください。修正費用の増減にいちばん効くのは制作会社側の条件ではなく、発注側の意思決定の速さと一貫性です。
決めておくと、制作の進み方がこう変わる
範囲を決めてから始めた案件と、決めずに始めた案件では、公開までの時間が目に見えて変わります。何が違うのかを、具体的に書きます。
まず、追加請求そのものが起きにくくなります。着手前に金額を提示する形にしておけば、発注側は「やる・やらない」をその場で選べます。予算を超えそうなら「今回は見送って公開後に回す」という判断ができ、請求書を見て驚くことがなくなります。
次に、社内の決定が速くなります。「ワイヤーフレームの確認はいつまで、ここで決めきる」と先に決まっていると、会議の議題が「見た目の好み」から「この期限までに何を決めるか」に変わります。
費用の感覚をつかむために、仮の数字で計算してみます。これは実例ではなく、考え方を示すための仮定値です。デザイン確定後の修正1件に、制作会社側で2時間かかるとします。時間単価を仮に1万円とすると、1件2万円。確定のタイミングを決めずに進めて、実装中に5件の方向転換が出れば10万円です。
金額以上に痛いのは、そのぶん公開日が後ろにずれることです。開業日や展示会に合わせて公開予定を組んでいた場合、間に合わないことのコストは修正費用よりはるかに大きくなります。
打ち合わせでよくうかがうのが、この言葉です。
現場でよく聞く言葉。「前の制作会社と、修正のことでもめたくないんです。だから今回は、最初にちゃんと決めておきたい」。ここまで言える発注者の案件は、進行の手戻りが少なくなります。
うまく進んでいる会社に共通するのは、次の3点です。制作の知識があるかどうかではありません。
- 窓口が1人に決まっていて、その人が社内を回して意見を集めている
- 確認の期限を守る。遅れるときは、いつまでに返すかを先に伝えている
- 確定した工程の話を、後から蒸し返さない
この章の結論です。契約前に範囲を決める目的は、費用を安くすることではなく、公開日を守ることにあります。追加費用が出てもいい案件はありますが、公開日がずれて困らない案件はほとんどありません。
何度も修正依頼が発生する現場の失敗パターン
ここでは、修正のやりとりが終わらなくなる典型的な場面を4つ挙げます。どれも、発注側と制作側のどちらかが悪いという話ではなく、決めていなかったことが原因で起きます。
最終承認者が、実装が始まってから初めて画面を見る
中小企業でいちばん多い形です。担当者と制作会社で打ち合わせを重ね、デザインが確定し、実装が半分進んだところで、社長や院長が初めて画面を見る。そして「思っていたのと違う」となります。
ここから起きるのは、単なるデザイン修正ではありません。写真の雰囲気、色、キャッチコピー、ページの並び順まで、根本から変わることがあります。デザインと実装を両方やり直すので、追加費用も納期の遅れも最大になります。
防ぎ方は、ステップ3のとおりです。最終承認者を、ワイヤーフレームとデザインカンプの確認会議に必ず出席させてください。忙しくて出られないなら、その人が見る時間を確保できる日程に合わせて工程を組み直すほうが、結果的に早く終わります。
「文言の差し替えだけ」のつもりが、レイアウトを壊す
これは発注側が悪気なくやってしまう失敗です。デザインでは短い一文で収まっていたキャッチコピーを、数倍の長さの文章に差し替える。制作側からすると、これは文言の修正ではなく、レイアウトの作り直しになります。
影響が出るかどうかは、画面の幅と、その部分の作り方で変わります。文字数が増えれば行数が増え、その下に置いた要素の位置や、他のページとの見た目のバランスに影響することがあります。
防ぎ方は2つです。
- 原稿を差し替えるときは、元の文字数を数えてから書く
- 大きく増えるときは「文字数が増えるので、レイアウトの調整が必要になりますか」と先に聞く
この一言で、追加費用になるかどうかが着手前に分かります。
修正指示が小出しに届き、回数の数え方でもめる
チャットツールで「ここ直してください」「あ、あとここも」と1行ずつ送る形です。発注側は全部まとめて1回のつもりでも、制作側は都度作業を止めて対応しているので、実際の負荷は何倍にもなります。
結果として、制作会社が「これで3回目です」と言い出し、発注側は「まだ1回目のはず」と反論する。どちらも嘘をついていないのに、話がかみ合いません。
防ぎ方は、ステップ2の定義を最初に決めておくことです。あわせて、修正指示は必ず1つの表やシートにまとめて送ってください。どう書けば一度で伝わるかは、制作会社への修正依頼の伝え方で3点セットの形をまとめています。
仮テキストのまま進み、本文が来てから全部やり直す
原稿がまだできていないので、とりあえずダミーの文章を入れて進めてもらう。よくある流れですが、これは修正が大量発生する原因になります。
本文が確定してみたら、想定していた文章量とまったく違う。サービス紹介が3つの想定だったのに5つある。写真を入れる前提だった場所に、文章しかない。こうなると、ページの構成から作り直しです。
防ぎ方は、デザインに入る前に原稿の「文字数だけでも」確定させることです。完成した文章でなくても構いません。「この見出しは15文字、説明文は150文字、項目は4つ」と決まっていれば、後から中身が変わってもレイアウトは崩れません。
この章の結論です。4つとも、制作会社を選び直せば防げるものではありません。発注側の社内で、誰がいつ何を決めるかを先に固めることが、いちばん効く対策です。
見積書に出てこない費用と、契約書だけでは守れないこと
ここからは、制作会社があまり自分からは言わないことを書きます。契約前の判断材料として、率直にお伝えします。
「修正無制限」は、条件がついていることが多い
修正無制限をうたう会社はあります。嘘だとは限りませんが、実際の運用では何らかの形で調整が入ります。公開前の期間を限る、テンプレートの中で変えられる範囲に限る、対応は順番待ちになる、といった形です。
確認すべきは「無制限ですか」ではなく、次の2つです。無制限という言葉に安心せず、ここを聞いてください。
- 期間:無制限なのは公開までか、公開後も含むか。含むなら何か月か
- 範囲:テンプレートの設定変更の範囲内か、デザインの作り直しも含むか
逆の見方もお伝えします。回数制限は、発注側にとって不利なだけのものではありません。無制限だと社内がいつまでも決めきれず、「もう一回だけ見てみよう」を繰り返して公開が先延ばしになることがあります。回数が決まっているほうが、社内の意思決定に締切ができます。
いちばん大きい費用は、見積書に載らない自社の工数
制作費がいくらの案件であっても、発注側の社内で発生する作業は相当な量になります。具体的には、次のようなものです。
- 原稿を書く
- 写真を集める
- 社内で内容を確認する
- 法務や監督官庁の表現ルールを確認する
- 役員に説明する
この時間は見積書のどこにも出てきませんが、担当者の業務時間をまとまった量だけ使います。担当者を1人立てて、その人の業務時間の一部を制作に割り当てる前提で予算を考えてください。
ここを甘く見ると、制作会社は待ち続けることになり、担当者が通常業務に押されて原稿が出せず、公開が数か月延びます。これは制作会社を変えても解決しません。
テンプレート型とサブスク型は、修正の自由度が構造的に低い
初期費用を抑えられる形として、テンプレートを使う制作やサブスク型のサービスがあります。金額面のメリットは本物ですが、修正の観点では制約があります。
テンプレートは、あらかじめ用意された枠に情報を流し込む形です。枠の中の文字や写真を変えるのは簡単ですが、枠そのものの配置を変えることは、できないか、できても割高になります。「修正無制限」と書いてあっても、それは枠の中身の話です。
判断の目安はこうです。同業他社と似た見た目でよく、載せる情報の種類も一般的なら、テンプレート型は合理的な選択です。自社独自の説明の順番があり、それが受注に直結しているなら、枠から作るほうが結果的に安くつきます。
契約書がない案件もある
発注書と見積書だけで進める案件もあります。小規模な制作や、知り合いの紹介で頼むケースで、弊社がご相談を受ける中でも見かける形です。
契約書を1から作るのが難しければ、見積書の備考欄か、発注のメール本文に条件を書いてください。メールは記録として残るので、後から何を取り決めたかを双方で確認できます。この記事のステップ2とステップ3の文面を貼り付けるだけでも、確認できる材料が手元に残ります。
公開後の「1行の修正」を、毎回外注すると割に合わない
公開してから気づくのは、修正の依頼そのものが手間だということです。営業時間を1か所直すだけでも、メールを書き、返信を待ち、確認する。この往復に、自分で直すより時間がかかります。
だから契約時に、自社で直せる範囲をどこまで作ってもらうかを決めてください。WordPressで作るなら、お知らせ・実績・スタッフ紹介あたりは自社更新にしておくのが現実的です。WordPressの編集画面で文章と画像を直す手順を見て、自社の担当者にできそうかを判断してみてください。
引き継ぎ時に「どこを触ると崩れるか」を必ず聞いてください。自由に触れる場所と、触ると全ページに影響する場所は、画面上では見分けがつきません。ここを聞かずに運用を始めると、最初の更新で表示が崩れ、結局その修正を外注することになります。
この章の結論です。修正費用を判断するときは、見積書の金額だけでなく、自社に残る作業量と、公開後に自分で直せる範囲をセットで見てください。この3つが釣り合っていれば、安い見積書でも高い見積書でも納得して選べます。
よくある質問
契約書に修正回数が書かれていません。無制限と考えていいですか
無制限とは限りません。書かれていない場合は「常識的な範囲」という解釈になり、その常識が双方で食い違うことが、もめる原因です。契約済みでも今から「修正の扱いを明確にしたい」とメールで確認し、回数と1回の定義を文字にしておいてください。着手前なら、ほとんどの会社が応じてくれます。
デザインが気に入らないので一から作り直してほしい。追加費用になりますか
デザイン確定前で、指示の伝え漏れが原因なら、回数内で対応してもらえることが多いです。確定後の作り直しは追加費用になるのが一般的です。まず「なぜ違うと感じるか」を言葉にして相談してください。全面的な作り直しではなく、写真と配色の変更だけで解決する場合がよくあります。
公開後に営業時間を1行直すだけでも、費用はかかりますか
かかるのが原則です。納品後の作業は保守契約か都度見積の対象になります。1回あたりの最低金額を設けている会社もあるので、契約前に確認してください。営業時間や電話番号のように変わる可能性がある情報は、契約時に「自社で直せる場所にしてほしい」と伝えておいてください。
修正のやりとりが長引いて公開日が遅れました。責任はどちらにありますか
確認期限を決めていなければ、どちらの責任とも言えません。だから契約時に「各工程の確認は○営業日以内」と期限を決め、超えた場合にどう進めるかまで取り決めておきます。すでに遅れている場合は、責任の議論より、残りの工程で何を削れば公開できるかを制作会社と決めるほうが前に進みます。
AIで原稿を作って渡せば、修正回数は減りますか
文字数が固まった状態で渡せるので、レイアウトのやり直しは起きにくくなります。ただし事実確認は人がやってください。AIが作った会社概要に、実際とは違う設立年や資格名が入ったまま公開されると、訂正の手間は修正回数の比ではありません。数字と固有名詞は必ず人が確認します。
まず手元の見積書で「修正」の文字を探してください
いま見積書が手元にあるなら、1分でできることがあります。書類の中に「修正」という言葉が何回出てくるかを数えてください。0回なら、この記事のステップ2の文面をそのままメールに貼って、制作会社に確認してみてください。それだけで、後から起きるもめごとの大半は防げます。
そのうえで、次に送る修正指示をどう書けば一度で伝わるかは、制作会社への修正依頼で手戻りを防ぐ3点セットにまとめています。契約の話が済んだら、次はこちらです。
ここまで読んで、「決めるべきことは分かったけれど、社内の意見をまとめるところから難しそうだ」と感じた方もいると思います。どの範囲を任せて、何を社内に残すかを決めるところからご相談いただけます。修正範囲を先に決めるホームページ制作・運用の相談から、いまの見積書を見せていただくだけでも大丈夫です。どこが曖昧なままかを、一緒に洗い出します。
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