ホームページが更新されない原因|キャッシュの消し方と切り分け
この記事の要点
- 原因はブラウザ・CMS・サーバー・CDNの4層のどれか。上から順に消す
- 切り分けは順番どおりに進めれば特定できる。手順をステップ1〜5で解説
- アンドロイドだけ古いままは、アプリ内ブラウザとホーム画面アイコンを疑う
ホームページを更新したのに反映されない場合、ほとんどはどこかに残った「キャッシュ」が原因です。キャッシュとは、一度表示したページのデータを手元やサーバーに一時保存しておく仕組みのことです。保存場所はブラウザ・CMS(WordPressなどの管理システム)・レンタルサーバー・CDNの4つに分かれています。この4層を上から順に消していけば、ほぼ確実に原因にたどり着きます。
この記事は、自社サイトを自分たちで更新していて「直したはずなのに古いまま」と困っている広報・総務・経営者の方に向けたものです。読み終わる頃には、原因がどの層にあるかを切り分けられて、スマホだけ古いままのときの対処と、再発を防ぐ設定まで手を付けられる状態を目指します。
なお、この記事はキャッシュを「消す」側の話です。表示を速くするためにキャッシュを「入れる」設定は目的が逆になるので、WordPress高速化。キャッシュ設定の手順と失敗回避で分けて解説しています。先に高速化プラグインを入れた直後にこの症状が出た方は、そちらも合わせて読んでみてください。
Contents / 目次
結論。更新が反映されない場所は4層しかない
更新が反映されないとき、古いデータが残っている場所は次の4つのどれかです。さらに、そもそも更新自体が保存されていない・アップされていないという5つ目のケースもあります。順番に潰していけば必ず特定できます。
大事なのは「近いところから消す」という順番です。手前のブラウザに古いデータが残っているだけなのに、いきなりサーバーやCDNの全キャッシュを消しに行くと、サイト全体が一時的に重くなったうえ、結局直りません。
| 層 | どこに残っているか | 見分け方 | 消し方 |
|---|---|---|---|
| ①ブラウザ | あなたのPC・スマホの中 | シークレットモードや別端末では新しく見える | スーパーリロード、閲覧履歴データの削除 |
| ②CMS(WordPress等) | サイトの管理システム側 | 誰が見ても古い。管理画面のプレビューは新しい | キャッシュプラグインの削除メニュー |
| ③レンタルサーバー | 契約中のサーバー側 | プラグインを消しても古いまま | サーバー管理画面のキャッシュ設定から削除 |
| ④CDN | 世界中の配信拠点 | 地域や回線によって新旧が混ざる | CDN管理画面からパージ(URL指定) |
| ⑤そもそも未反映 | — | どの端末でも古い。管理画面の内容も古い | 下書き保存のまま/別URLを見ている等を確認 |
この表の①から⑤に向かって、1つずつ確認していきます。原因として多いのは①で、次に②と③です。④のCDNは、Cloudflareなどを自分で設定した覚えがなければ基本的に関係ありません。
先に決めておくこと。「自分にだけ古く見えているのか、お客さまにも古く見えているのか」を最初に判定します。ここを飛ばすと、全社に迷惑をかける全体削除を無駄に押すことになります。
この章の結論として、あなたがやるべきことは「4層を上から順に、1つ消しては1回確認する」ことです。まとめて全部消すと、どれが原因だったのか分からず、次に同じことが起きたときにまた同じ時間を使います。
原因を特定する切り分け手順
ここからは実際の操作です。ステップ1から順に、上から試してください。途中で直ったら、そこがあなたのサイトの原因なので、その層を覚えておきます。
ステップ1。スーパーリロードで再読み込みする
スーパーリロードとは、保存された古いデータを無視して、サーバーから取り直す再読み込みのことです。「強制再読み込み」とも呼ばれます。まずこれを試します。
- Windows:Ctrl キーを押しながら F5、または Ctrl + Shift + R
- Mac:Command + Shift + R
- 押す場所:更新したページを開いた状態で押す(トップページで押しても、下層ページは古いままのことがあります)
1回で変わらないことがあるので、2〜3回続けて押してみてください。それでも変わらなければステップ2へ進みます。ブラウザごとの削除手順は、お使いのブラウザの公式ヘルプで「キャッシュ 削除」と検索すると、現在の画面に合った手順が確認できます。
ステップ2。シークレットモードと別の端末で確認する
シークレットモード(プライベートブラウズ)で同じURLを開きます。ここで新しい内容が表示されたら、原因はあなたの端末に残っているデータである可能性が高いと分かります。ただしCDNを使っている場合は、地域や回線によって配信拠点が違うため、これだけで「全員に新しく見えている」とまでは言い切れません。
もう一歩確実にするなら、社内Wi-Fiを切ったスマホ(モバイル回線)で開きます。回線もブラウザも違う環境で新しく見えるなら、問題はあなたの端末に閉じている可能性がさらに高まります。
逆に、シークレットモードでも別端末でも古いままなら、原因はサイト側(②〜⑤)です。ステップ4に進んでください。
ステップ3。URLの末尾に文字を足して開く
URLの末尾に「?v=1」のような文字列を足すと、別のURLとして扱われるため、保存済みのデータではなく新しく取得した内容が表示されることがあります。
https://example.com/company/ ← いつものURL
https://example.com/company/?v=1 ← 末尾に ?v=1 を足したURL
(すでに ? が付いているURLなら、?v=1 ではなく &v=1 を足す)
これで新しい内容が出れば、やはり手元に残っていたデータが原因だったと考えられます。ただしCDNやサーバーの設定によっては、末尾の文字を無視して同じデータを返すことがあります。変わらなかったからといって「ブラウザは無関係」と決めつけないでください。
ステップ4。CMS・サーバー・CDNの順にキャッシュを消す
サイト側が原因だと分かったら、次の順番で消します。1つ消したら、30秒ほど待って1回だけ確認するのがコツです。同時に全部消すと、どれが効いたか分からなくなります。
- CMSのキャッシュを消す。WordPressなら、名前に「Cache」が入っているキャッシュ系プラグインを入れていないか、プラグイン一覧で確認します。メニューの名称や削除できる場所はプラグインごとに違うため、該当するプラグインの公式ドキュメントで現在の手順を確認してください。
- レンタルサーバーのキャッシュを消す。レンタルサーバーによっては、表示を速くするためのキャッシュ機能が用意されていることがあります。有無も、メニューの名称も、削除できる場所も契約先ごとに違うため、契約中のサーバーの公式マニュアルで「キャッシュ」を検索して、現在の仕様を確認してください。
- CDNのキャッシュを消す(使っている場合のみ)。CDNとは、世界中の配信拠点にコピーを置いて表示を速くする仕組みです。管理画面から「パージ」または「無効化」を実行します。このとき、サイト全体ではなく更新したページのURLだけを指定してください。
ステップ4まで進めば、キャッシュが原因のケースはほぼ解決します。それでも古いままなら、キャッシュではなく更新そのものが届いていない可能性が高いです。
ステップ5。そもそも更新が保存されていないケースを疑う
キャッシュを全部消しても直らないときは、次の5つを確認します。とくに「下書き保存のまま」と「見ているURLが違う」は、気づかないまま時間を使いやすいので先に見てください。
- 下書き保存のまま:編集はしたが「更新」「公開」を押していない。WordPressの編集画面の操作はWordPressの編集画面の使い方|文章と画像を自分で直す手順で解説しています
- 別のページを直していた:固定ページと投稿、似た名前のページを取り違えている。管理画面から「表示」で開いて、URLが本番と一致するか確認する
- 見ているURLが違う:wwwのあり・なし、httpとhttpsで別ページのように見えている。統一の手順はwwwあり・なしをhtaccessで統一する手順と注意点にまとめています
- ファイルがアップされていない:HTMLを直接編集している場合、FTPでの転送が失敗している。転送先のフォルダと更新日時を確認する
- テスト用サイトを見ている:ステージング環境や旧サーバーのURLをブックマークしたまま開いている
ブラウザの「閲覧履歴データの削除」を使うときは、削除対象を「キャッシュされた画像とファイル」だけに絞ってください。Cookieやパスワードまで一緒に消すと、社内で使っている管理画面やクラウドサービスのログインが全部切れて、その復旧に時間を取られることがあります。
この章の結論として、切り分けは「自分だけか/全員か」を先に決めることで半分に減ります。シークレットモードで新しく見えたら、まずは自分の端末側から対処してください。
スマホで更新されない場合の対処。アンドロイドとiPhone
「パソコンでは新しいのに、アンドロイドのスマホだけ古い」という相談は多いです。原因はPCと同じキャッシュですが、スマホにはPCにない保存場所が2つあるため、そこを知らないと消し切れません。
アプリ内ブラウザで開いていないか確認する
LINEやInstagram、X(旧Twitter)などのアプリからリンクを開くと、そのアプリの中にある簡易ブラウザで表示されます。この簡易ブラウザがどこにデータを持つかはアプリや実装方式によって違い、通常のブラウザとは別に保存されることがあります。その場合、Chrome側でキャッシュを消しても古いままになります。
対処はかんたんで、画面のメニューから「ブラウザで開く」「Chromeで開く」といった項目を選び、通常のブラウザで開き直すだけです。それだけで新しい内容が出ることがよくあります。
ホーム画面に追加したアイコンから開いていないか確認する
ホーム画面に追加したサイトのアイコンから開いている場合、通常のブラウザとは別にデータが保持されることがあります。これも「Chromeを開いてURLを直接入力する」で切り分けられます。
アイコン経由だけ古いなら、そのアイコンを一度削除して、ブラウザから追加し直すのが確実です。
アンドロイドのChromeでキャッシュを消す手順
アンドロイドのChromeでは、次の順にたどります。画面の項目名や並びは端末メーカーやアプリのバージョンで変わるため、実行前にGoogle公式ヘルプ(Chromeのキャッシュと Cookie の消去)で現在の手順を確認してください。
- Chrome アプリを開く
- 画面右上の縦三点のメニューをタップする
- メニューから「履歴」を開く
- 「閲覧履歴データを削除」をタップする
- 期間を「全期間」にする
- チェックを「キャッシュされた画像とファイル」だけに絞る(「Cookie とサイトデータ」「閲覧履歴」のチェックは外す)
- 「データを削除」をタップする
- Chrome に戻り、更新したページのURLを直接入力して開き直す
上の項目が見当たらない場合は、Chrome の「設定」を開いて画面内の検索から「履歴」や「キャッシュ」を探してください。
iPhoneのSafariでキャッシュを消す手順
iPhone の Safari は、Chrome と違ってブラウザ内ではなく「設定」アプリから操作します。項目名や階層はiOSのバージョンで変わるため、実行前にApple公式サポート(iPhoneでSafariの履歴とCookieを消去する)で現在の仕様を確認してください。
- ホーム画面の「設定」アプリを開く
- 一覧をスクロールして「Safari」を開く(iOSのバージョンによっては「アプリ」の中にあります)
- 「履歴とWebサイトデータを消去」をタップする
- 消去する範囲と対象アカウントを確認して実行する
- Safari に戻り、更新したページのURLを直接入力して開き直す
Safari のこの操作は、キャッシュだけを選んで消すことができません。履歴・Cookieもまとめて消えるため、ログイン中のサービスからサインアウトされます。実行前に、業務で使っている管理画面のIDとパスワードが手元にあるか確認してください。
特定の1台だけを基準にしない。スマホは機種・OS・ブラウザ・アプリの組み合わせで挙動が変わります。「うちの部長のアンドロイドで古い」だけを根拠にサイト側を触る前に、必ず別のスマホでも確認してください。1台だけの現象なら、その端末のキャッシュを消して終わりです。
この章の結論として、スマホで古いままのときは「どこから開いたか」が最初の確認ポイントです。アプリ内ブラウザとホーム画面アイコンの2つを外して、それでも古いなら初めてサイト側を疑ってください。
再発を防ぐ設定。コピペで使える2つの書き方
毎回キャッシュを手で消しているなら、設定側で再発を防げます。考え方はシンプルで、HTMLは毎回確認させて、画像やCSSは長く保持したうえで更新時にファイル名を変えるというものです。
HTMLだけ毎回確認させる.htaccessの書き方
Apache系のレンタルサーバーで使える書き方です。サイトのルートにある .htaccess ファイルに追記します。編集前に必ず元のファイルをダウンロードしてバックアップを取ってください。書き間違えるとサイト全体が表示されなくなります。
使っているのは mod_headers という Apache の機能です。書式と各項目の意味は、Apache公式ドキュメント(mod_headers)で確認できます。
# .htaccess に追記する(Apache環境向け・mod_headers が有効な場合に動作)
# [前提]編集前に必ず元の .htaccess をダウンロードして保存しておくこと
<IfModule mod_headers.c>
# HTMLは毎回サーバーに確認させる(更新をすぐ反映させたいため)
<FilesMatch "\.(html|htm)$">
Header set Cache-Control "no-cache, must-revalidate"
</FilesMatch>
# 画像・CSS・JSは30日間保持する(2592000秒=30日)
# [ここを自社の運用に合わせて変更]更新が多いサイトは 604800(7日)などに短くする
<FilesMatch "\.(css|js|jpg|jpeg|png|gif|webp|svg|woff2)$">
Header set Cache-Control "public, max-age=2592000"
</FilesMatch>
</IfModule>
ここで設定している Cache-Control は、キャッシュの扱いをブラウザなどに伝えるためのHTTPヘッダーです。no-cache や max-age といった値の意味は、MDNのCache-Controlの解説にまとまっています。
なお、この設定が実際に効くかどうかは契約中のサーバーによります。mod_headers が無効になっていたり、サーバー側の設定が優先されたりする場合があるため、追記後は必ず表示を確認してください。レンタルサーバーで .htaccess をどこまで編集してよいかは、契約先の公式マニュアルで確認できます。
アップロード後は、必ずトップページと下層ページを1つずつ開いて、表示が崩れていないか確認してください。500エラーが出たら、追記した部分を消せば元に戻ります。.htaccessの扱いに不安がある方は、リダイレクトループの原因切り分けと直し方|htaccess対処で編集時の注意点も確認しておくと安全です。
CSSやJSの更新を確実に反映させるバージョン付与
デザインを直したのに反映されない、というのはCSSファイルがキャッシュされているケースです。ファイル名の後ろに更新日などの文字を付けると、ブラウザは別のファイルとして読み直します。
<!-- HTMLに直接書いている場合。更新のたびに数字を変える -->
<link rel="stylesheet" href="/css/style.css?v=20260826">
WordPressの子テーマを使っている場合は、更新のたびに手で数字を変えなくても済むように、ファイルの更新日時を自動で付ける書き方があります。
ただし子テーマのstyle.cssは、親テーマや既存のfunctions.phpですでに読み込まれていることが多いです。追記の前に、次の順で確認してください。
- 子テーマの functions.php を開き、
wp_enqueue_styleの記述がすでにないか確認する - すでにある場合は、新しく足さずに、その記述の第4引数(バージョン)を
filemtimeで取得した更新日時に書き換える - 見当たらない場合だけ、下のコードを新規に追記する
wp_enqueue_style の引数の並び(第4引数が $ver)は、WordPress公式の開発者リファレンスに記載があります。$ver に渡した値はURLの末尾にクエリとして付くため、ファイルを更新すると値が変わり、別のURLとして読み直されます。
<?php
// [前提]子テーマの functions.php に、既存の wp_enqueue_style が無いことを確認してから追記する
// すでにある場合は、この関数を足さずに既存側の第4引数を $ver に置き換える
// ファイルの更新日時をバージョンとして自動付与し、古いCSSが残らないようにする
add_action('wp_enqueue_scripts', function () {
$path = get_stylesheet_directory() . '/style.css';
$uri = get_stylesheet_directory_uri() . '/style.css';
// ファイルが存在すれば更新日時を、なければ null を使う
$ver = file_exists($path) ? filemtime($path) : null;
// 第3引数に親テーマのハンドル名を入れて読み込み順を固定する(例:'parent-style')
// 親テーマのハンドル名は、親テーマの functions.php の wp_enqueue_style で確認する
wp_enqueue_style('child-style', $uri, array('parent-style'), $ver);
});
functions.php の編集は、1文字の書き間違いで管理画面ごと開けなくなります。編集前にFTPでファイルをダウンロードしておき、真っ白になったら元のファイルを上書きして戻せる状態を作ってから作業してください。
切り分けをAIに手伝ってもらうときの渡し方
原因が分からないときは、AIに整理を手伝ってもらうのも有効です。ただしAIはあなたのサーバー画面を見ていないため、管理画面のボタン名を聞くと、実在しない名前をもっともらしく答えることがあります。聞くのは「次に何を確認すべきか」であって、「どのボタンを押すか」ではありません。
渡す材料は次の3点です。
- 使っているサーバー名
- CMSの種類と、入れているプラグイン名の一覧
- ここまで試したことと、その結果
[たたき台のプロンプト]
サイトの更新が反映されません。原因の切り分けを手伝ってください。
・サーバー:[契約中のサーバー名を入力]
・CMS:[WordPress など。プラグイン一覧も貼る]
・試したこと:スーパーリロード→変化なし/シークレットモード→新しい内容が表示された
次に確認すべきことを、優先順位を付けて3つ挙げてください。
管理画面のボタン名は分からないので、断定せず「何を探すか」で答えてください。
返ってきた答えは、そのまま実行せず「なぜその順番なのか」を1つずつ確認してください。理由が説明できない提案は、たいてい当てずっぽうです。
この章の結論として、毎回手で消す運用から抜け出す鍵は「HTMLは短く、静的ファイルは長く+ファイル名にバージョン」の一点です。ここさえ設定できれば、更新のたびの確認作業がなくなります。
直したあとに何が変わるか
キャッシュの切り分けができるようになると、いちばん変わるのは「反映されない」という問い合わせに費やす時間です。原因が4層のどれかに絞られているので、確認は上から順に4手で終わります。
手順を知っていれば上から順に試すだけで終わり、知らなければ原因不明のまま人に聞く時間が積み上がります。実際にかかる時間は、サイトの構成や社内の体制によって大きく変わります。
「原因が分からないまま人に聞く」時間がいちばん高くつく、という構造はどの会社にも共通します。担当者の時間も、制作会社への確認往復も、切り分けができていれば発生しません。まずは自社で1回分の往復にどれくらい時間がかかっているかを数えてみてください。
もう一つの変化は、告知の信頼性です。営業時間の変更や価格改定のようにその日から正しく見えていないと困る情報を、HTMLをno-cache設定にしておくことで確実に届けられます。逆にここが長期キャッシュのままだと、更新したつもりの臨時休業のお知らせが、来店したお客さまに届いていないという事故が起きます。
うまく運用できている会社に共通しているのは、特別なツールを使っていることではなく、「消す順番を書いた1枚のメモが社内にある」ことです。誰が作業しても同じ順番で進むので、原因の記録が残り、2回目からは初手で当てられるようになります。
この章の結論として、この作業で得られるのは表示速度ではなく、判断のスピードです。「今すぐ直すべきか、自分の端末だけの話か」をその場で決められる状態を目標にしてください。
よくある失敗と回避法
キャッシュ絡みの失敗は、焦って手数を増やすことから起きます。現場で実際によく見かける5つを挙げます。
失敗1。何度も全体パージを押してサイトが重くなる
更新が反映されないと焦って、サーバーやCDNの「全キャッシュ削除」を連打してしまうケースです。全体を消すと、次にアクセスした人の分から作り直しになるため、しばらくの間サイト全体が普段より遅くなります。アクセスが多い時間帯にこれをやると、サーバーの負荷も上がります。
回避法は、削除対象をURL単位で指定することです。「/company/ を直したなら /company/ だけ消す」。全体削除は、サイト全面リニューアルやテーマ変更のような、全ページが変わったときだけに限定します。
失敗2。閲覧履歴データを全期間・全項目で消して社内が止まる
ブラウザの削除画面で、期間を「全期間」、項目をすべてチェックして実行してしまうケースです。キャッシュだけでなくCookieと保存済みパスワードも消えるため、サイトの管理画面、会計ソフト、グループウェアのログインが一斉に切れます。二段階認証を設定していると、復旧に時間がかかります。
回避法は、チェックを「キャッシュされた画像とファイル」だけに絞ることです。それでも直らないときに初めて範囲を広げます。作業前に、管理画面のIDとパスワードが手元にあるかを確認しておくと安心です。
失敗3。全ファイルを一律で長期キャッシュに設定している
高速化のために「max-age=31536000(1年)」のような設定を、HTMLを含む全ファイルに一律で当てているケースです。速度は上がりますが、更新した内容が長期間、再訪問者に届きません。「新規のお客さまには新しく見えて、常連のお客さまには古く見える」という、いちばん気づきにくい状態になります。
回避法は、HTMLと静的ファイルを分けることです。前の章の.htaccessの例のように、HTMLは no-cache、画像やCSSは長期保持にします。速度を優先したい気持ちは分かりますが、告知が届かないサイトは速くても意味がありません。
失敗4。消した直後に確認して「まだ古い」と判断する
キャッシュを削除した直後に確認して、まだ古いから別の対処も重ねる、というケースです。CDNのパージは配信拠点に行き渡るまで少し時間がかかりますし、サーバー側も再生成に数十秒かかることがあります。ここで複数の対処を同時に走らせると、後から「何が効いたのか」が分からなくなります。
回避法は、1つ消したら30秒待って1回だけ確認し、結果をメモに残すことです。「①ブラウザ→変化なし ②プラグイン→直った」という記録が1行あれば、次回は②から始められます。
失敗5。本番と違うURLを見比べている
リニューアルや引っ越しの直後に多いのが、旧サーバーやテスト環境のURLを見ているケースです。ブックマークが古いまま、あるいは社内のPCだけhostsファイルの設定が残っている、といった原因が絡みます。この状態でキャッシュを消し続けても永遠に直りません。
回避法は、確認前にブラウザのURLバーの文字列をコピーして、本番URLと1文字ずつ突き合わせることです。wwwの有無、httpとhttps、末尾のスラッシュまで見ます。サーバー移転の直後であれば、WordPressのサーバー引っ越し手順|DB移行と無停止切替で切替時の確認ポイントを見直してみてください。
この章の結論として、失敗の多くは「同時に複数のことをやる」ことから生まれます。1つ試して1つ確認する、という進め方さえ守れば、被害の大きい操作はほぼ避けられます。
キャッシュ運用で妥協が必要になるところ
ここからは、教科書的な解説では省かれがちな、実際に運用してみると出てくる話をします。結論から言うと、キャッシュは完全にはコントロールできません。そのうえで、どこで折り合いを付けるかという話です。
閲覧者の端末に残ったデータは、こちらから消せない
サーバーもCDNもプラグインも全部消したのに、特定のお客さまだけ古い情報を見ている。これは起こりえます。相手のブラウザに残っているデータを、サイト運営側から強制的に削除する手段はないからです。
だから設計の段階で決めておくことになります。価格や営業時間のように「間違って伝わると事故になる情報」を載せるページは、HTMLを短いキャッシュ設定にしておく。逆に、めったに変わらない会社概要のページは長めでも困りません。ページの性質で分けるという発想を持っておくと、後から慌てずに済みます。
速度と即時反映は、どちらかを選ぶ関係にある
表示速度のスコアを上げたい担当者と、更新をすぐ反映させたい広報担当者は、社内で必ずぶつかります。キャッシュを長くすれば速くなり、短くすれば反映は早くなる。両立する魔法の設定はありません。
現実的な落としどころは、HTMLは短く、画像・CSS・JSは長く保持したうえでファイル名にバージョンを付ける、という組み合わせです。これなら速度をほとんど落とさずに、更新は当日中に反映されます。表示速度そのものを見直したい場合は、PageSpeed Insightsの見方と改善手順|見るべき3つの数字で測ってから判断してください。
制作会社に頼むときは「手順書」を納品物に入れる
業者選定で見落とされがちなのが、ここです。高速化の設定をしてもらったのに、その内容を消す手順を誰も知らない、という状態がよく起きます。設定した本人しか分からないまま担当者が変わると、社内の誰も更新を反映させられなくなります。
依頼するときは「キャッシュを削除する手順を、画面名と場所が分かる形でA4一枚にまとめて納品してください」と伝えてください。制作費に大きく上乗せされる類の作業ではありません。断られたり、口頭で済まされたりする場合は、その後の保守も同じ調子になる可能性が高いです。保守契約に何を含めるかはWordPress保守費用の相場と内訳|何にいくらかかるかも参考にしてください。
見落としやすいコスト
CDNを使っている場合、パージの実行回数や反映の待ち時間が運用の制約になることがあります。契約プランによって扱いが違うので、使っているサービスの公式ドキュメントで、パージの制限と反映にかかる時間の目安を一度確認しておいてください。ここを知らないまま「消したのに直らない」と判断すると、無駄な作業が積み上がります。
なお、キャッシュの切り分けそのものはAIに丸ごと任せられる作業ではありません。AIはあなたの管理画面を見ていないので、判断材料の整理までが守備範囲です。実際にどのボタンを押すかは、公式マニュアルと人の目で確かめてください。
この章の結論として、キャッシュ運用は「速度」と「反映の早さ」のどちらを、どのページで優先するかを決める作業です。全部を最速にする設定は存在しないので、ページ単位で優先順位を決めておくことが、事故を防ぐいちばん確実な方法になります。
よくある質問
スーパーリロードしても古いのに、シークレットモードだと新しく見えます。どういう状態ですか
サイト側は正しく更新できていて、あなたのブラウザに古いデータが残っている可能性が高い状態です。まずはブラウザの設定から「キャッシュされた画像とファイル」だけを削除してみてください。CDNを使っている場合は地域や回線で見え方が変わることがあるので、別回線のスマホでも合わせて確認しておくと確実です。
アンドロイドの自分のスマホだけ古いままです。お客さまにも同じように見えていますか
1台だけの現象なら、その端末のキャッシュが原因なのでお客さまには影響していない可能性が高いです。判定するには、別のスマホをモバイル回線で開いて確認してください。そちらで新しく見えるなら、直すのはその1台だけで済みます。
キャッシュを消したら表示が一時的に遅くなりました。壊れていませんか
壊れていません。キャッシュを消すと、次にアクセスした人の分からページを作り直すため、最初の数回だけ表示が遅くなります。しばらくアクセスがあれば元の速度に戻ります。ただし全体削除を頻繁に繰り返すと遅い状態が続くので、URL単位の削除に切り替えてください。
毎回キャッシュを消さないと反映されません。設定が悪いのでしょうか
HTMLまで長期間キャッシュする設定になっている可能性が高いです。HTMLは毎回サーバーに確認させ、画像やCSSだけを長く保持する設定に分けると、手で消す作業がなくなります。この記事の.htaccessの書き方が出発点になります。
制作会社に更新を頼んだのに反映されていません。何を伝えれば早く解決しますか
次の3点を伝えてください。
- 該当ページのURL
- 使った端末とブラウザ
- シークレットモードでも古いかどうか
特に3点目があると、ブラウザ側かサーバー側かの切り分けが済んだ状態で話が始まるので、往復が1回減ります。
まず今日やること
この記事を読み終えたら、更新したページをシークレットモードで開いてみてください。すぐ終わりますし、これだけで「自分の端末だけの問題か、サイト全体の問題か」の見当がつきます。そのうえで社内の更新体制そのものを立て直したい方は、更新されないサイトの信用低下を直す更新体制の作り方|担当と頻度を次に読んでみてください。
「切り分けはできたけれど、サーバーや.htaccessを自分で触るのは怖い」「そもそも誰が設定したのか分からない」という段階でしたら、コレットラボのホームページ制作・運用支援でご相談ください。現状のサイトがどういうキャッシュ構成になっているかを整理するところからお手伝いできます。まずは状況を聞かせていただくだけでも大丈夫です。ホームページ制作・運用の詳細はこちらをご覧ください。
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