リスティング広告の運用代行の選び方|BtoBで比べる5項目
この記事の要点
- BtoBの運用代行比較は「CV定義・アカウント所有権・担当体制・母集団設計・契約条件」の5項目で決まる
- 問い合わせ時に同じ質問票を全社へ送る。コピペで使える8問を本文に掲載
- 手数料を払って元が取れる条件は、手数料を含めた総支払額の増加率を超えてCV数が増えること。計算式を本文で解説
リスティング広告の運用代行をBtoBで比較するなら、見るべきは5項目です。この5つを同じ質問で全社に聞けば、提案書の見栄えに惑わされずに比べられます。
- コンバージョンの定義をどこまで設計してくれるか
- 広告アカウントの所有権はどちらになるか
- 実際に手を動かす担当者は誰か
- 検索数が少ないBtoBの母集団をどう設計するか
- 最低契約期間と解約時の引き継ぎ条件
この記事は、BtoBの商材でリスティング広告を出していて、これから運用代行を探す方、または今の代理店に不満があって乗り換えを考えている方に向けて書いています。読み終わる頃には、問い合わせフォームに貼り付ける質問票と、契約書で確認する5か所が手元にある状態を目指します。
扱うのは「外注先の見極め方」だけです。手数料の相場そのものはリスティング広告の費用相場|1クリック単価と予算の考え方で、外注と内製をどう分けるかという体制の話は内製化と外注のハイブリッド戦略|Web広告の役割分担5モデルで解説しているので、そちらが知りたい方は先に読んでみてください。
Contents / 目次
リスティング広告の運用代行を比較する5項目と、その合格ライン
結論から言うと、BtoBの運用代行選びで差がつくのは、広告の運用スキルそのものではありません。「何をコンバージョンと呼ぶか」を一緒に決められるかどうかで、その後の1年がほぼ決まります。
理由はシンプルです。BtoBは資料請求から受注までの期間が長く、商材によって大きく変わります。広告の管理画面に出る「フォーム送信数」は、商談にも売上にもなっていない途中経過です。ここを揃えないまま契約すると、代理店は管理画面の数字を良くする方向にしか動けません。
比較のときに見る5項目を、合格ラインと不合格のサインまで含めて整理します。この表を印刷して、提案を受けるたびに丸をつけていくのが一番早い使い方です。
| 比較項目 | 何を確認するか | 合格ライン | 不合格のサイン |
|---|---|---|---|
| ①CVの定義 | 何をコンバージョンに設定し、商談化までどう追うか | 「有効リードの定義を一緒に決めましょう」と向こうから言ってくる | フォーム送信・電話クリック・PDF閲覧をまとめてCVにする前提で話が進む |
| ②アカウント所有権 | Google広告アカウントの名義と、契約終了後の扱い | 自社名義のアカウントに代理店が招待される形。解約後もデータが残る | 「弊社アカウント内で運用します」「解約時は新規で作り直しです」 |
| ③担当体制 | 実務を触る人が誰か、何社を掛け持ちしているか | 実務担当者が初回商談に同席する。月次の作業時間の目安を答えられる | 営業だけが出てきて、運用者の顔と名前が最後まで出てこない |
| ④母集団の設計 | 検索数が少ない前提で、指名・一般・潜在をどう配分するか | 指名キーワードを別キャンペーンに分けて評価する提案がある | キーワード候補が数百語並んでいて、月間検索数の記載がない |
| ⑤契約条件 | 最低契約期間、手数料の下限額、解約時の引き継ぎ範囲 | 3〜6か月で見直せる。下限額と算定根拠が書面にある | 12か月縛りで、途中解約の条件が口頭説明だけ |
ここだけは譲らない。5項目のうち②のアカウント所有権だけは、交渉で妥協しないでください。ここを譲ると、成果が出ていても出ていなくても、乗り換えのたびに機械学習の蓄積と過去の検索語句データをゼロから作り直すことになります。
この章の結論として、比較の軸を「提案の目新しさ」から「上の5項目に答えられるか」に置き換えてください。それだけで、候補が3社あっても1時間で優劣がつくようになります。
「リスティング広告 運用代行 おすすめ」で出てくるランキングを信用しない理由
結論を先に言うと、検索で出てくる「おすすめ運用会社◯選」の記事は、あなたの会社に合う代理店を探す道具にはなりません。掲載順がどう決まっているかは記事ごとに違い、BtoBという条件で並べ替えたランキングとは限らないからです。読むときは、その記事に広告・紹介料の表示があるかどうかを先に確かめてください。
もう少し実務的な理由もあります。運用代行の成果は「代理店の腕 × 商材の検索需要 × 発注側が渡すデータ」の掛け算で決まります。同じ会社に頼んでも、検索数がまとまってある業務システムと、ほとんど検索されないニッチな装置とでは、打てる手がまったく違います。会社単位の順位づけには、この掛け算の後ろ2つが入っていません。
では何を見るか。会社名ではなく、提案書の中身を同じ物差しで比べることです。具体的には次の3つを候補全社から集めてください。
- 初月にやることの一覧:アカウント構成、CV設定、除外設定など、最初の30日で何を触るかが工程として書かれているか
- 月次でやることの一覧:検索語句の精査、広告文のテスト、入札の見直しなど、毎月の作業と頻度が書かれているか
- やらないことの明示:LP改修、フォーム改修、MA連携などが手数料に含まれるのか別料金なのかが書かれているか
3つ目を書いてくる会社は、それだけで信頼できます。「なんでもやります」は、契約後に「それは範囲外です」と言われる確率が高い返答です。
なお、Google Partners プログラムのバッジを掲げている代理店は多いですが、付与の条件はGoogleが定めており、内容も改定されます。最新の要件はGoogle Partners プログラムの要件(Google 広告ヘルプ)で確認できます。バッジは「Google広告を一定規模で扱っている証明」であって、BtoBの商談化に強い証明ではありません。あって困るものではありませんが、決め手にはしないでください。
この章の結論は、比較サイトの順位を候補集めの入口として使うのは構わないが、選定の根拠にはしない、ということです。候補を3社に絞ったら、次の章の質問票で同じ土俵に載せてください。
BtoBで運用会社を見極める5ステップ。質問票と契約チェックまで
ここからは実際の進め方です。問い合わせから契約までを5つのステップに分けます。候補の数と社内の決裁フローで期間は変わるので、あらかじめ「いつまでに決めるか」だけ先に置いておくと進めやすくなります。
ステップ1.問い合わせる前に、自社側で3つを決める
最初にやるのは、代理店を探すことではなく、自社の前提を紙1枚にすることです。ここが空欄のまま問い合わせると、各社バラバラの提案が返ってきて比較できません。決めるのは次の3つです。
- ゴールの定義。「営業が電話をかける価値があるリード」とは何かを、1文で書く。例として「従業員30名以上の製造業から、担当者名と電話番号が入った問い合わせ」のように条件を入れる
- 月の予算枠。広告費と手数料を分けて上限を書く。例として「広告費40万円まで、手数料込みで50万円まで」
- 判断の期限と基準。「4か月目の時点で有効リードが月8件に届かなければ体制を見直す」のように、いつ何を見て継続を決めるかを先に書く
1つ目のゴール定義が一番難しく、一番効きます。営業部門に「去年受注した10社は、最初どうやって問い合わせてきたか」を聞いて、その共通点を書き出すのが手っ取り早いやり方です。
ステップ2.候補3社に同じ質問票を送る
候補は3社が適量です。5社を超えると比較の工数だけで疲れます。問い合わせフォームやメールに、次の質問票をそのまま貼り付けてください。角括弧の部分だけ自社の情報に差し替えます。
【前提】
・商材 [例:製造業向けの生産管理システム]
・想定顧客 [例:従業員30〜300名の製造業、情報システム部門]
・月間予算 広告費[40]万円/手数料込み上限[50]万円
・現状 [例:Google広告を自社運用中/未出稿]
・ゴール [例:商談化する問い合わせを月8件]
【8つの質問】
1. 弊社の場合、コンバージョンを何に設定することを推奨しますか。
その理由も併せて教えてください。
2. 商談化・受注のデータを御社に共有する場合、
どのような形式で、どの頻度でお渡しすればよいですか。
3. 広告アカウントは弊社名義で作成し、御社を招待する形は可能ですか。
契約終了時、アカウントと過去データはどう扱われますか。
4. 実際に運用を担当される方のご経験と、
同時に担当されているアカウント数の目安を教えてください。
5. 初月に実施する作業と、2か月目以降の月次作業を
それぞれ一覧で教えてください。
6. LP・フォームの改善提案は手数料に含まれますか。
実装作業は別料金になりますか。
7. 最低契約期間と、解約時の申し出期限を教えてください。
8. 手数料に下限額はありますか。ある場合、その金額と算定根拠を
教えてください。
返答のスピードと丁寧さも、そのまま運用中の対応品質の予告になります。3営業日を過ぎても返信がない、質問番号に対応していない返答が来る、といった時点で候補から外して構いません。
ステップ3.提案書を1枚の比較シートに落とす
各社の提案書はフォーマットがバラバラで、そのままでは比べられません。次の項目だけを抜き出して、横並びの表を作ってください。
- 推奨CV:何をCVに置くと言ったか。商談化まで追う方法に触れているか
- アカウント名義:自社名義/代理店名義のどちらか
- 手数料:広告費に対する料率と、下限額の有無
- 初月の作業数:提案書に書かれた初期作業の項目数
- 月次の作業と頻度:週次か月次か。定例会の回数
- 含まれない作業:別料金になるものの一覧
- 最低契約期間:月数と解約申し出の期限
この転記作業は、生成AIに任せると短時間で終わります。提案書のPDFを読み込ませて「この7項目を表にまとめて、記載がない項目は『記載なし』と書いて」と頼むだけです。
AIに任せていいのは転記と整形までです。「記載なし」と出た項目こそが交渉ポイントなので、そこは必ず自分の目で提案書に当たって、書き漏れなのか意図的に触れていないのかを確かめてください。AIは書いていないことを補って書いてしまうことがあります。
ステップ4.初回打ち合わせで、実務担当者に3つ聞く
提案の内容が横並びになったら、次は人を見ます。実務を担当する運用者に同席してもらうよう、事前にお願いしてください。営業担当者だけが出てくる打ち合わせでは、契約後のズレを防げません。
その場で聞く質問は3つで足ります。
- 「弊社と同じくらいの予算規模だと、1か月に何時間くらい触っていただけますか」(数字で答えられるかを見る)
- 「過去に、期待どおりの成果が出せなかった案件はどんなケースでしたか」(失敗を語れるかを見る)
- 「弊社が御社に渡すべき情報で、一番助かるものは何ですか」(発注側の役割を提示できるかを見る)
2つ目に対して「特にありません」と答える会社は避けたほうが無難です。BtoBの広告運用で全戦全勝はありえないので、うまくいかなかったケースを説明できることのほうが、実務経験の証明になります。
ステップ5.契約書の5か所を確認してから押印する
最後は契約書です。提案書に書いてあっても契約書に落ちていない項目が毎回出てくるので、次の5か所を指差し確認してください。
| 確認箇所 | 見るポイント | 問題があれば伝える文言の例 |
|---|---|---|
| アカウントの帰属 | 広告アカウントの名義と、契約終了後の権限移管が明記されているか | 「アカウントは弊社名義で開設し、契約終了時も弊社に権限が残る形にしてください」 |
| 最低契約期間 | 初回の縛りが何か月か。自動更新の条件 | 「初回は3か月とし、以降は1か月ごとの更新にしていただけますか」 |
| 解約の申し出期限 | 何日前までの通知が必要か | 「解約通知は前月◯日までで足りるか、書面に入れてください」 |
| 成果物の範囲 | 広告文・バナー・レポートの著作権と、作ったものを引き継げるか | 「制作した広告クリエイティブのデータは、契約終了時に納品いただけますか」 |
| 手数料の算定 | 料率か固定か、下限額があるか。広告費が減った月の扱い | 「広告費を減額した月の手数料の計算方法を明記してください」 |
この章の結論として、5ステップのうち省いていいものは1つもありませんが、時間がなければステップ2の質問票だけでも送ってください。8問への回答を並べるだけで、候補3社のうち1社は自然に落ちます。
運用代行に切り替えると何が変わるか。手数料がペイする条件を計算する
運用代行に払う手数料が元を取れるかどうかは、感覚ではなく計算で判断できます。結論から言うと、損益分岐は「支払総額が何%増えるか」で決まります。同じ広告費のまま代行に切り替えるなら、支払総額の増加率を超えてCV数が増えて初めて元が取れます。
数字を当てはめてみます。仮に広告費が月50万円、手数料が広告費の20%で10万円だとします。自社運用のときのコンバージョン数を月10件とすると、CPA(1件あたりの獲得単価)は5万円です。
代行に切り替えると、支払総額は60万円になります。50万円から60万円で、支払総額は20%増です。この60万円で12件(=CV数も20%増)取れれば、CPAは5万円で自社運用と同じ、つまり損益分岐にちょうど乗った状態です。13件取れて初めて、手数料を払った価値が数字に出ます。
判断の目安。計算式は「損益分岐のCV増加率=(広告費+手数料)÷広告費−1」です。広告費を変えずに切り替える場合、広告費の20%を手数料として払うなら支払総額は1.2倍なので「CV数20%増」でトントン。手数料が固定額なら、その額を広告費で割った割合がそのまま必要なCV増加率になります。ここを超える改善見込みを説明できるかどうかを、提案のときに聞いてみてください。
ただし、これは管理画面のコンバージョン数だけで見た計算です。BtoBで本当に見るべきは、その先の商談化率です。CV数が10件から12件に増えても、商談化率が30%から15%に落ちていれば、商談数は3件から1.8件に減っています。実務では、これが起きます。
だからこそ、代行に切り替えるときは商談化のデータを広告側に戻す仕組みをセットで作ります。CRMや名刺管理ツールで「商談化した」「失注した」を記録し、その結果をGoogle広告に取り込む方法は、オフライン コンバージョンのインポート(Google 広告ヘルプ)に公式の手順があります。取り込んだデータを入札に使う設定まで含めた実務の流れは、オフラインコンバージョンのインポート手順|Google広告で商談計測で解説しています。
成果が出ている会社に共通しているのは、代理店の腕前よりも、この「商談結果を毎月広告側に返している」という運用の型を持っていることです。逆に言うと、発注側が何も渡さないまま代行だけ切り替えても、変わるのは広告文とキーワードの組み替えくらいで、劇的な変化は起きません。
期間の目安としては、初月は設定と計測環境の整備、2〜3か月目でキーワードと除外の精査が効き始め、商談化まで含めた評価ができるのは4か月目以降になります。1か月で判断すると、たいてい判断を誤ります。指標の見方そのものに不安があれば、広告の費用対効果の出し方|ROAS計算と指標の見方・目安も合わせて読んでみてください。
この章の結論は、代行の価値は「CV数が損益分岐を超えて増えたか」と「商談化率が落ちていないか」の2つで測る、ということです。この2つを毎月の定例会で確認する約束を、契約前に取り付けておいてください。
BtoBの運用代行でよく起きる失敗4つと、防ぎ方
ここで挙げるのは、BtoBで運用代行を使うときにだけ起きる失敗です。どれも「代理店が悪い会社だった」という話ではなく、発注側と代理店の見ている数字がずれることで起きます。
失敗1.CVの定義を代理店に任せて、商談にならないCVで埋まる
起きる状況は、契約初期に「コンバージョンはこちらで設定しておきます」と言われ、そのまま任せたケースです。代理店としては学習データを早く貯めたいので、フォーム送信に加えて電話クリック、資料PDFの表示、滞在時間などをCVに入れることがあります。
どうなるかというと、報告書のCPAは月を追うごとに下がっていくのに、営業から「問い合わせが増えた実感がない」と言われる状態になります。自動入札は入札の最適化対象に含めたコンバージョンを増やす方向に働くため、何をCVに含めるかで配信先そのものが変わります。どのコンバージョンを最適化の対象にするかは、Google広告側で「主要コンバージョン」「副次的なコンバージョン」として切り替えられます。仕組みと設定方法は主要コンバージョンと副次的なコンバージョンについて(Google 広告ヘルプ)で確認できます。
防ぎ方は、入札の対象にするコンバージョンを営業が対応すべきものだけに絞り、それ以外は見るだけの指標として計測することです。契約前のステップ2の質問1で、この考え方を持っているかは判別できます。
失敗2.指名検索を分けずに、全体のCPAで良し悪しを判断してしまう
起きる状況は、社名やサービス名での検索(指名キーワード)と、課題で調べている一般キーワードが同じキャンペーンに入っているケースです。指名検索はクリック単価が安く、コンバージョン率も高いので、混ぜると全体のCPAがきれいに見えます。
どうなるかというと、展示会やセミナーで名前を知った人が後から検索してきた分まで広告の成果として計上され、新規の見込み客が増えていないことに気づけません。予算を増やしても指名検索の枠は伸びないので、追加投資がそのまま無駄になります。
防ぎ方は、契約時に「指名キャンペーンと一般キャンペーンを分けて、レポートも分けて出してください」と伝えることです。分けると一般キーワードだけのCPAは指名込みより高く出ますが、それが本当の新規獲得コストです。
失敗3.代理店名義のアカウントで運用され、乗り換え時に何も残らない
起きる状況は、代理店が用意したアカウントで運用が始まり、名義も代理店のままになっているケースです。運用中は何の不都合もないので、契約が続いている間は誰も気づきません。
どうなるかというと、解約や乗り換えのときに、これまでの検索語句の履歴や除外キーワードのリスト、自動入札が学習に使ってきたデータを引き継げないおそれがあります。アカウントの管理権限を移せるかどうかは契約と権限設定次第なので、名義とアクセス権の扱いはアカウントへのアクセス権の管理(Google 広告ヘルプ)で仕組みを確認したうえで、契約書に書いてもらってください。新しくアカウントを作り直せば、そのアカウントの実績はゼロから積み直しになります。
防ぎ方は、契約前にアカウントの名義を自社にしてもらうこと、これに尽きます。すでに代理店名義で運用中の方は、次の更新のタイミングで「アカウントの権限移管をお願いしたい」と切り出してください。応じてもらえない場合は、少なくとも過去の検索語句レポートと除外キーワードリストをCSVで受け取っておくと、乗り換え後の立ち上がりが変わります。除外リストの作り方や運用の考え方は広告の除外設定入門|BtoBの無駄打ちを減らす4種と月次点検で解説しています。
失敗4.レポートに「今月何を触ったか」が書かれていない
起きる状況は、月次レポートが表示回数・クリック数・CV数・CPAの推移グラフだけで構成されているケースです。数字はきれいにまとまっているので、最初の数か月は誰も違和感を持ちません。
どうなるかというと、成果が下がったときに原因の切り分けができません。市場側の変化なのか、代理店が触った設定のせいなのかが分からず、次の打ち手も決められないまま数か月が過ぎます。
防ぎ方は、レポートに「変更履歴」の欄を作ってもらうことです。追加したキーワード、停止した広告グループ、変更した入札戦略と、その理由を1行ずつ。Google広告には管理画面上で操作の履歴を確認できる機能があり、記録できる範囲は変更履歴について(Google 広告ヘルプ)で確認できます。断られたら、その理由を聞いてみてください。
この章の結論として、4つの失敗はすべて「契約前の一言」で防げます。CVの分け方、指名の分離、アカウント名義、レポートの変更履歴。この4つを最初の打ち合わせで伝えておくだけで、1年後の状況がまったく違ってきます。
発注してから気づく、運用代行の現場の妥協点
ここからは、提案書には書かれないけれど発注後に必ずぶつかる話をします。先に知っておくと、期待値の設定が現実的になります。
手数料に下限額が設定されていることがあり、その場合は少額予算だと料率どおりの金額では頼めません。料率20%という表記だけを見ると、広告費10万円なら手数料2万円で頼めそうに思えます。
ですが、月次の分析と定例会と改善作業に必要な工数は、広告費の大小で大きくは変わりません。下限額の有無と金額は代理店ごとに違うので、ステップ2の質問8で必ず先に確認してください。
予算が小さいうちは、代行を探すより自社運用に振り切って、ツールで工数を下げるほうが現実的な選択になることもあります。
「御社と同業の実績があります」と具体的に語る会社ほど、注意が要ります。クライアント名やCPAの実数を初回商談で聞かされたということは、自社の数字も次の商談で話される可能性があるということです。確認すべきは実績の派手さではなく、「同じ業界で、検索数が少ない商材をどう設計するか」という考え方のほうです。
定例会は月1回で十分なことが多く、増やすと発注側の工数だけが増えます。週次で会議を入れると、代理店側は会議資料の準備に時間を使うことになり、実作業の時間が減ります。日常のやり取りはチャットにして、意思決定が要るものだけを月1回の定例会に集める形のほうが、双方の時間の使い方として健全です。
自動入札が主流になった今、代理店が触れる範囲は昔より狭くなっています。キーワードごとの入札単価を手で調整して差をつける時代は終わり、機械学習に何を学ばせるか(=どのデータをCVとして渡すか)と、広告文やLPをどう作るかに価値が移りました。だから「毎日アカウントを見ています」というアピールは、以前ほど意味を持ちません。見るべきは頻度ではなく、月次で何を判断し、何を変えたかです。
向き不向きも正直に言うと、商材の月間検索数がごくわずかしかない場合、運用代行を入れても打てる手は限られます。この場合は検索広告に代行費を積むより、展示会やホワイトペーパーで母集団を作るほうが先です。判断が難しいところなので、キーワードプランナーで主要な語の月間検索数を数えてから相談に行くと、話が早く進みます。
この章の結論は、代行に丸投げして成果が出る領域はもう狭い、ということです。CVの定義と商談データの提供という発注側の仕事を引き受ける前提で選ぶと、代理店選びの基準も自然と変わってきます。
リスティング広告の運用代行についてよくある質問
一括見積もりサイトから問い合わせると、何社くらいから連絡が来ますか
サイトの仕組みによりますが、複数社に同時通知される形式だと、当日中に数社から電話が来ることが珍しくありません。比較の手間を減らしたい場合は、候補を自分で3社に絞って個別に問い合わせるほうが、対応の質も見えて結果的に早く決まります。
今の代理店から乗り換えるとき、広告アカウントはそのまま引き継げますか
自社名義のアカウントなら、管理権限の付け替えだけで引き継げます。代理店名義の場合は交渉次第で、応じてもらえないこともあります。その場合は最低限、過去の検索語句レポートと除外キーワードリストをCSVで受け取っておくと、新しい代理店の立ち上がりが早くなります。
BtoBでも成果報酬型の運用代行はありますか
あることはありますが、BtoBとは相性がよくありません。成果を「フォーム送信1件」で数える契約になりやすく、件数を稼ぐ方向に運用が寄るためです。商談化まで含めて成果を定義できないなら、料率型か固定型のほうが利害は一致します。
運用代行に頼みながら、社内でも管理画面を見ておくべきですか
閲覧権限だけでももらっておくことをおすすめします。毎日見る必要はありませんが、月1回、検索語句レポートを自分の目で見るだけで「この検索でクリックされているのか」という気づきが出ます。営業現場の感覚を持っている人ほど、この確認が効きます。
Google広告とMicrosoft広告、BtoBならどちらも出したほうがいいですか
まずはGoogle広告に集中し、そこで安定してから検討する順番が現実的です。Microsoft広告は管理画面が別になるぶん運用の手間が増えるので、自社の商材でどれだけ検索されているかを先に確かめてください。代理店に「対応可能ですか」と聞いておくだけで十分です。
今日できる一歩と、次に読む記事
今日すぐできることが1つあります。この記事のステップ2にある8つの質問票をコピーして、角括弧の部分を自社の情報に書き換えてみてください。5分ほどで終わりますし、書き換えている途中で「うちのゴール定義、まだ決まっていないな」と気づけるはずです。そこが決まれば、代理店探しの半分は終わっています。
外注する前に自社でどこまでやれるか確かめたい方は、BtoBのP-MAXで低品質リードを断つ|商談化を上げる設定4手順で、設定レベルの改善から試してみるのもおすすめです。
ここまで読んで、「そもそも自社の商材で検索広告が成立するのか」「今の代理店の提案が妥当なのか」を誰かと一緒に整理したいと感じた方は、コレットラボまでお声がけください。現状のアカウントとゴール定義を一緒に見て、外注すべきか自社で回すかの判断材料を整理するところからお手伝いします。売り込みはしませんので、状況の整理だけでも気軽にどうぞ。
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