飲食店の集客ツールと外注先|費用の分け方と分担の進め方
この記事の要点
- 入口は広告とSNS、決め手はグルメサイトと自店ページ、再来店はGoogleマップとLINE
- 費用は掲載料・送客課金・運用手数料の3層。1組あたりで比べる式を本文で解説
- 契約前に確認するのは7項目。アカウントの所有権から先に押さえる
飲食店の集客を外に頼むとき、最初に決めるのは「どの会社に頼むか」ではなく「どの役割を外に出すか」です。役割は次の3つに分かれます。
- グルメサイトは、比較している人に予約してもらうための決め手
- 検索広告とSNS広告は、店をまだ知らない人への入口
- GoogleビジネスプロフィールとLINEは、再来店
この3つは費用の出方が違うので、同じ会社に全部まとめる必要はありません。
この記事は、店舗を1〜5店運営していて、グルメサイトの掲載料と広告費の両方を毎月払っているのに、どちらが効いているか分からない状態の経営者・店長に向けて書いています。読み終わる頃には、媒体ごとの1組あたりの獲得コストを自分で出せて、見積もりを取る前に「どこまで外に出すか」を決められる状態を目指します。
広告の出稿手順そのものや、社内で何をどこまで持つかの型は、この記事では扱いません。自社と外注の線の引き方は内製化と外注のハイブリッド戦略|Web広告の役割分担5モデルで解説しているので、そちらから読んでいただくとつながります。
Contents / 目次
飲食店の集客は、入口・決め手・再来店の3つに分けて外注先を決める
外注先を決める前に、集客を3つの役割に分けてください。役割ごとに費用の発生条件が違うので、ここを分けずに「集客をお願いします」と頼むと、何にいくら払っているのかが最後まで分からなくなります。
- 入口(知ってもらう):検索広告、SNS広告、InstagramやTikTokの投稿。まだ店名を知らない人に届ける役割
- 決め手(選んでもらう):グルメサイトの掲載ページ、自店のホームページ、Googleマップ上の写真と口コミ。何店か比べている人に選ばれる役割
- 再来店(また来てもらう):LINE公式アカウント、Googleビジネスプロフィールの更新、会員証やポイント。一度来た人に思い出してもらう役割
この3つのうち、外注の費用対効果がいちばん見えやすいのが入口、いちばん見えにくいのが再来店です。理由は単純で、入口は「配信を止めれば数字が減る」ので効果を切り分けられますが、再来店は止めても数か月かけてじわじわ減るからです。
そのうえで、各ツールを「いつお金が出ていくか」と「やめたときに何が手元に残るか」で並べると、比べ方がはっきりします。
| 手段 | 費用が発生する条件 | 主に効く役割 | やめたあとに残るもの |
|---|---|---|---|
| グルメサイトの有料プラン | 月々の掲載料。加えてネット予約1人あたりの送客課金(金額は媒体とプランで異なる) | 決め手 | 掲載ページと露出は終了。口コミはその媒体上に残る |
| Google検索広告 | クリックされたときだけ課金。月の上限の決まり方はGoogle広告ヘルプで確認できる | 入口 | 広告は即停止。反応のあった検索語のデータと広告文は自社に残る |
| Instagram・Facebook広告 | 表示またはクリックに応じて課金。予算上限は自分で設定する | 入口 | 配信は停止。投稿とフォロワーはアカウントに残る |
| Googleビジネスプロフィール | 登録・運用は無料。代行を依頼した場合のみ月額が発生 | 決め手と再来店 | 口コミ、写真、営業情報が自店のものとして残る |
| LINE公式アカウント | プランごとの月額と、無料メッセージ通数を超えた分の従量課金(LINEヤフー for Businessの料金ページで最新の体系を確認) | 再来店 | 友だちリストが残り、再開すれば配信できる |
比べる軸は「安いかどうか」ではありません。同じ1万円でも、自社に何も残らない使い方と、口コミや顧客リストが積み上がる使い方があります。掲載料が高いことが悪いのではなく、掲載料しか払っていないのに自店の口コミも写真も増えていない状態が問題です。
この章の結論として、外注先を選ぶ前に「入口を任せたいのか、決め手を任せたいのか」を先に言葉にしてください。そこが決まっていれば、1社に全部任せる必要はなく、入口だけを広告運用の会社に、決め手と再来店を自店で持つ、という形も選べます。
飲食店の集客ツールの費用は、掲載料・送客課金・運用手数料の3層で見る
飲食店の集客費用は、性質の違う3つの層が重なっています。この3つを同じ「販促費」の袋に入れているお店がとても多く、そうすると予約が増えた月ほど利益率が下がる理由が説明できなくなります。
| 費用の層 | 誰に払うか | 予約が増えると | 金額の確認先 |
|---|---|---|---|
| 掲載料・固定費 | グルメサイト、ホームページの保守会社 | 変わらない | 契約書とプラン表 |
| 送客課金・変動費 | グルメサイト(ネット予約1人あたり)、デリバリー(手数料) | 比例して増える | 媒体の管理画面の月次明細 |
| 広告費 | Google、Metaなどの媒体 | 上限を決めていれば増えない | 各広告アカウントの請求 |
| 運用手数料 | 広告代理店、SNS運用代行 | 広告費連動なら増える | 見積もりの内訳 |
| 制作費 | 撮影、動画、LP制作 | 都度発生 | 都度見積もり |
運用手数料の相場の見方
広告運用の代行費用は、広告費に対する一定割合の手数料、月額固定、その併用など、会社によって決め方が違います。最低手数料が設定されていることもあります。
そのため、広告費が少額でも手数料の額がそれなりに大きくなる見積もりが出てくることがあります。そこだけを見て高いと判断するのは早い段階です。
率も金額も会社ごとに異なるので、相場を探すより、候補の会社の料金表をそれぞれ取り寄せて並べてください。
比べるべきは手数料率ではなく、手数料に何が含まれているかです。広告の設定変更だけなのか、バナーや動画の制作まで入るのか、Googleビジネスプロフィールの投稿や口コミ返信まで見るのか。ここは会社によって大きく違います。手数料の内訳と総額の比べ方はリスティング広告の運用代行の費用|手数料の内訳と総額の比べ方で具体的に分解しているので、見積もりを並べる前に目を通しておくと比較が早くなります。
1組あたりの獲得コストの計算式
媒体を横並びにするには、1組あたりの獲得コストをそろえて出します。式はこれだけです。
1組あたりの獲得コスト。その媒体に1か月で払った金額の合計 ÷ その媒体経由で実際に来店した組数。
仮の数字で計算してみます。以下はすべて例示の数値で、実際の送客課金の単価は媒体とプランで変わるため、必ず自店の明細で置き換えてください。
- グルメサイトA:掲載料30,000円+ネット予約課金(仮に1人200円×80人=16,000円)=46,000円。来店32組なら1組あたり1,437円
- Google検索広告:広告費80,000円+運用手数料25,000円=105,000円。電話・ネット予約からの来店40組なら1組あたり2,625円
- Instagram広告:広告費40,000円。来店12組なら1組あたり3,333円
この数字を、1組あたりの粗利と比べます。客単価4,000円・平均2.5名・原価率30%なら、1組の売上は10,000円で、原価を引いた粗利は7,000円です。ここから人件費・家賃・水道光熱費といった固定費が引かれるので、粗利を上回らなければよいという基準では緩すぎます。許容できる獲得コストの水準は、自店の固定費率と、来た組がその後何回来てくれるかによって大きく変わるため、一律の目安はありません。自店の固定費率を入れて目標値を決める手順は広告のコンバージョン単価の決め方|CPAを粗利と受注率で逆算の考え方がそのまま使えます。目標値を出したうえで上の例を見ると、1組あたり1,437円のグルメサイトAと3,333円のInstagram広告では、同じ1組でも残る利益がまったく違うことが分かります。
この章の結論です。金額の大小ではなく、固定費・変動費・手数料を分けたうえで1組あたりにそろえる。この計算を1回やると、見積もりを比べる目線が「月いくらか」から「1組いくらになるか」に変わります。
外注先の種類と、それぞれに任せられる範囲
飲食店の集客まわりで声がかかる外注先は、大きく5種類です。得意な役割が違うので、同じ相談をしても返ってくる提案がまったく変わります。
| 外注先 | 任せられること | 任せにくいこと | 社内に必ず残る作業 |
|---|---|---|---|
| グルメサイトの営業担当 | 掲載ページの作り込み、プラン設計、媒体内での見え方 | 他媒体を含めた費用の比較、自店ホームページの改善 | メニューと写真の差し替え判断、予約枠の設定 |
| 広告運用代行 | 検索広告・SNS広告の設計と配信、予算配分、計測の設置 | 来店後の接客・口コミの中身 | 広告に載せる価値の言語化、繁忙期の配信停止判断 |
| SNS運用代行 | 投稿の企画・制作、リール動画、コメント対応 | 料理の見せ方の最終判断、当日の空席情報の即時発信 | 撮影に出す料理の準備、店の世界観の決定 |
| MEO・Googleマップの運用代行 | 店舗情報の更新、写真投稿、口コミ返信の下書き | 口コミへの対応の範囲は、事前にGoogleビジネスプロフィールヘルプで確認する。味とサービスの改善 | 口コミ内容の共有とオペレーション改善 |
| ホームページ制作会社 | 自店サイトと予約導線、スマホでの見やすさ | 公開後の継続的な集客(別契約になることが多い) | 掲載する情報の最新化 |
ここで押さえておきたいのは、どの外注先も「来店後」には手が届かないという点です。提供時間、席の回転、スタッフの一言。ここが崩れていると、入口を強くするほど低評価の口コミが増えます。外注で解決できるのは入口と決め手までで、体験そのものは店の中にしかありません。
この章の結論として、相談先を1つに絞る必要はありませんが、数字をまとめて見る役割だけは1か所に決めてください。媒体ごとにバラバラの報告を受け取ると、比較ができないまま契約だけが増えます。
分担を決める6ステップ
ここからは、実際に手を動かす手順です。順番どおりに進めれば、見積もりを取る前に「何を頼むか」が文章で書ける状態になります。
ステップ1。予約と来店の経路を1か月数える
予約台帳に1列足して、来店の経路を記録します。既存のシステムに経路の項目がない場合は、紙の表でも問題ありません。1か月分そろえば十分です。
| 日付 | 曜日・時間帯 | 組数 | 人数 | 予約経路 | クーポン | 客単価 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 9/5 | 金・18時台 | 1 | 4 | グルメサイトA | あり | 3,800円 |
| 9/6 | 土・12時台 | 1 | 2 | 電話(Google検索) | なし | 1,600円 |
| 9/6 | 土・19時台 | 1 | 6 | ウォークイン | なし | 4,200円 |
電話予約は経路が分かりません。ここは「何を見てお電話いただきましたか」と一言うかがって記録します。全件は取れなくても、記録できた分の経路の内訳が分かれば、媒体ごとの比較はできます。
ステップ2。媒体ごとの1組あたりコストを出す
ステップ1の組数と、その月に払った金額を突き合わせます。前章の式をそのまま使ってください。表計算ソフトが苦手なら、AIに計算させても構いません。短い指示で足ります。
飲食店の販促費を見ている担当者として、次の数字から
媒体ごとの「1組あたりの獲得コスト」を計算し、高い順に並べた表にしてください。
判断に足りない項目があれば、先に質問してください。
[媒体名/その月に払った金額の内訳/その媒体経由で来店した組数]
例)グルメサイトA / 掲載料30,000円+ネット予約課金16,000円 / 32組
例)Google検索広告 / 広告費80,000円+手数料25,000円 / 40組
これは出発点のたたき台なので、返ってきた表を見ながら「ランチとディナーを分けて」「クーポン利用組とそれ以外を分けて」と会話で足していってください。必ず1媒体だけは自分で手計算して、AIの答えと突き合わせます。金額の読み違いはここで見つかります。
ステップ3。埋めたい曜日・時間帯を1つに絞る
飲食店の広告で最ももったいないのが、すでに満席の枠に費用をかけている状態です。ステップ1の表を曜日×時間帯で集計し、席稼働率が低い枠を特定してください。
判断の目安として、金曜・土曜のディナーが常に9割以上埋まっているなら、そこへの配信は止めて、平日ランチや日曜夜など空いている枠に寄せます。Google広告には配信する曜日と時間帯を指定する設定があるので、ここは設定で対応できます。設定の場所と手順は管理画面の仕様で変わるため、Google広告ヘルプで最新の手順を確認してください。ほかの媒体を使っている場合も、同じ設定があるかを管理画面で確認します。
ステップ4。3つの役割を、社内と外注に割り振る
冒頭の入口・決め手・再来店を、誰が持つか決めます。決め方の目安を挙げます。
- 入口は外注に向く:広告の設定、除外、入札は専門性が高く、毎週の手入れが必要。社内で片手間にやると放置されやすい
- 決め手は半々:写真とメニュー情報の更新は店の人が速い。ページ構成や導線の設計は外の目があったほうがよい
- 再来店は社内に向く:LINEの配信文や口コミ返信は、実際の来店を知っている人が書いたほうが中身が濃くなる
ステップ5。見積もりを頼む前に、渡す情報を書き出す
ここを用意しておくと、返ってくる提案の質がはっきり変わります。書き出す項目は次のとおりです。
- 席数、平均客単価、平均組人数、月商のおおよその規模
- 埋めたい曜日・時間帯(ステップ3で絞ったもの)
- 現在払っている媒体費の一覧と、1組あたりコスト(ステップ2の結果)
- 商圏の範囲。駅から徒歩何分か、車で来る客が多いか
- 他店と違うと言える点を3つ(味の話だけでなく、個室の有無、団体対応、アレルギー対応など)
- 当面やらないと決めていること(例、値引きクーポンは出さない)
ステップ6。契約前に7項目を確認する
提案内容よりも、こちらのほうが後々効いてきます。7項目すべて、口頭ではなく書面かメールで残してください。
- アカウントの所有権:Google広告・Googleビジネスプロフィール・Metaのアカウントを自店名義で作り、代行会社を管理者として招待する形になっているか
- 計測の設置場所:予約ボタンのクリック、電話のタップ、ネット予約完了のどれを成果として数えるか。グルメサイト経由と広告経由が二重に数えられていないか
- 見積もりの内訳:媒体費・手数料・制作費・送客課金が分かれて書かれているか
- 最低契約期間と解約予告:何か月縛りで、解約の申し出は何日前までか。その時期が自店の繁忙期と重ならないか
- 月次で出る数字の項目:クリック数だけでなく、予約経路別の組数まで出るか
- 写真・動画の権利:撮影データの元ファイルが納品されるか、他の媒体にも使ってよいか
- 引き継ぎの方法:担当者が変わったとき、これまでの設定と判断の理由がどう残るか
アカウントの所有権だけは、契約前に必ず確認してください。代行会社の名義で作られていると、解約時にGoogleビジネスプロフィールの管理権限も、口コミ返信の履歴も、広告の学習データも引き継げません。すでに運用中の方は、今日この場で管理画面の「オーナー」が誰になっているか見ておくと安心です。
この章の結論です。6ステップのうち、外注先に見せて効くのはステップ2と3の結果です。1組あたりコストと埋めたい時間帯を持って相談に行くと、提案が「媒体の紹介」から「配分の話」に変わります。
飲食店の集客の成功事例の読み方と、効果が見え始める時期
成功事例を探すときに見るべきは、伸びた数字ではなく「どの役割にどのツールを当てたか」です。業態も商圏も違う店の数字は自店には当てはまりませんが、役割の当て方は移植できます。
読むときの見方はこうです。媒体を増やしたこと自体を真似しても意味がなく、その店が媒体ごとに何の役割を持たせたかを取り出します。SNSで知ってもらい、自店のホームページやグルメサイトで確かめてもらい、LINEでまた来てもらう。この3段で役割が分かれているなら、自店でも同じ組み方ができます。逆に、事例の中で役割が重なっている媒体があれば、そこは自店では削れる候補です。
効果が見え始めるまでの目安
外注を始めてから「効いているかどうか」を判断できる時期は、手段によってかなり違います。ここを知らずに1か月で判断すると、伸び始める直前にやめることになります。
| 手段 | 最初の反応が見える目安 | その時期に見る数字 |
|---|---|---|
| Google検索広告 | 配信から3〜7日 | 表示回数、クリック数、クリック単価、電話タップ |
| Instagram・Facebook広告 | 1〜2週間 | リーチ、プロフィールへの遷移、保存 |
| グルメサイトの有料プラン | 掲載開始の月から | ページ閲覧数、ネット予約数、送客課金の金額 |
| Googleビジネスプロフィールの運用 | 1〜3か月 | ルート検索、通話、口コミ件数 |
| LINE公式アカウント | 友だちが集まってから(数か月) | 友だち数、配信のクリック率、クーポン利用数 |
うまくいっている店に共通しているのは、この時期の差を織り込んで「短期の入口」と「長期の資産」を同時に走らせている点です。広告で今月の空席を埋めながら、口コミと写真を積み上げる。半年後に広告を弱めても予約が残るのは、後者を止めなかった店です。
判断材料としてもう1つ挙げるなら、自店の予約台帳で、店名を知ったうえでの指名予約が増えているかどうかです。ステップ1で記録した経路のうち、ウォークインや店名での直接の電話予約が増えていれば、広告やSNSが入口として機能しています。ここが横ばいのまま媒体経由の予約だけ増えているなら、増えているのは媒体の中での取り合いで、商圏内の認知は広がっていない可能性があります。
この章の結論です。事例からは数字ではなく役割の配置を借りる。そして効果の判定時期を手段ごとに変える。この2つを決めておくと、外注先との「まだ早い/もう遅い」のすれ違いがなくなります。
飲食店の外注でよくある失敗と、その防ぎ方
ここでは、飲食店の集客を外に出したときに実際に起きやすいものを挙げます。どれも業種を問わない一般論ではなく、席数と時間帯がある商売だから起きるものです。
満席の枠に広告費を使い続けている
- どういう状況で起きるか:代行会社に「来店数を増やしたい」とだけ伝えると、反応の取りやすい枠、つまり金曜・土曜のディナーに予算が寄ります。そこは放っておいても埋まる枠です
- どうなるか:月次レポートの予約数は増えるのに、月商がほとんど動きません。予約が入った分、ウォークインの客を断っているだけだからです
- どう防ぐか:依頼時に「埋めたいのは平日の19時以降」のように枠を指定します。ステップ3で触れたGoogle広告の曜日・時間帯の設定を使えば、満席の枠は最初から配信対象から外せます。そのうえで、月次レポートに曜日別の予約数を出してもらってください
ネット予約の送客課金を販促費と分けずに見ている
- どういう状況で起きるか:掲載料は月初に固定額で出ていきますが、送客課金は来店の翌月に変動額で請求されます。この2つを同じ「グルメサイト費」としてまとめると、月ごとの増減の理由が説明できなくなります
- どうなるか:予約が多かった月ほど費用も増えるため、売上は伸びたのに手元に残る額が減ります。しかも原因が原価なのか人件費なのか送客課金なのか分からないまま、「今月はなぜか厳しい」で終わります
- どう防ぐか:会計上の科目を分けるか、少なくとも自分の手元の表で掲載料と送客課金を別行にします。そのうえで送客課金を「1人あたりいくらの変動費」として、原価と同じ扱いで粗利計算に入れてください
同じ1組を、広告とグルメサイトが両方の成果として報告している
- どういう状況で起きるか:お客さまの動きは「検索広告をクリック→店名を覚える→グルメサイトで予約」という流れになることが多くあります。このとき広告側は「クリックから予約に至った」と記録し、グルメサイト側は「当媒体経由の予約」と記録します
- どうなるか:合計すると実際の来店組数を超えた成果が報告され、どちらの媒体も「効いている」ことになります。判断材料としては使えません
- どう防ぐか:ステップ1の予約台帳を、必ず自店側で持ちます。媒体のレポートではなく自店の台帳を正とし、媒体のレポートはそこに対する参考値として扱う。来店時に「何をご覧になりましたか」と一言うかがう運用を定着させると、この重複がだいたい見えてきます
数字が合わないときの確認の順番は広告運用代行で成果が出ない|数字の確認と広告代理店の変更判断にまとめています。
クーポン利用の組だけが増えて、客単価が下がる
- どういう状況で起きるか:グルメサイトも広告も、反応を取りやすいのは割引です。成果指標を「予約数」だけにすると、代行会社は当然その方向に寄せます
- どうなるか:予約数は伸び、1組あたりの獲得コストも下がって見えますが、客単価が落ちて粗利が薄くなります。さらに、クーポンで来た組は次回もクーポンを探すので、定価での再来店につながりにくくなります
- どう防ぐか:成果指標に客単価を必ず並べます。「予約数」ではなく「予約数と、その組の平均客単価」をセットで見る。加えて、割引で引くのではなく限定メニューや時間帯限定の一品で引く形を、依頼時に条件として伝えてください
オペレーションが追いつかないまま入口を強くしている
- どういう状況で起きるか:人手が足りない状態で集客だけを外注すると、来店は増えても提供が遅れます
- どうなるか:提供が遅れた回の体験は、口コミに書かれることがあります。来店数が増えれば、そうした回に当たるお客さまの数自体も増えます。書かれた口コミは、広告を止めたあとも残り続けます
- どう防ぐか:増やしてよい組数の上限を、ホール1名あたりで先に決めます。そのうえで広告の日予算を、上限を超えない水準に設定する。入口の強さは、厨房とホールが回る範囲に合わせるのが原則です
この章の結論です。5つとも共通しているのは、成果指標を「予約数」1本にしたときに起きるという点です。予約数・客単価・埋まった時間帯の3つを毎月そろえて見る。これだけで、外注先との会話の質が変わります。
契約してから効いてくる、言いにくい話
ここからは、提案書には書かれにくいけれど、実際に判断を左右する部分を率直に書きます。
グルメサイトの見直しは、繁忙期の3か月前に始める
有料プランの解約や減額は、契約更新月と解約予告期間に縛られます。年末や歓送迎会シーズンに「やっぱり残しておけばよかった」と思っても、その時点では戻せません。逆に、繁忙期に入ってから慌てて上位プランに変えると、掲載が反映される頃にはピークが過ぎていることもあります。
実務としては、年間で最も予約が入る月から逆算して3か月前に、掲載プランの判定を行ってください。判定に使うのは、前年の同じ時期の1組あたりコストです。
「飲食店の実績あり」を見分ける質問
飲食の実績を掲げる会社は多いので、実績の件数では判断できません。1つだけ有効な質問があります。「来店したかどうかは、どうやって数えますか」です。
飲食店の成果は、Webサイト上のボタンを押した時点では確定しません。予約しても来ない人がいますし、広告を見て後日ふらっと来る人もいます。ここを聞いたときに、ネット予約の完了数だけを答える会社は、来店ベースの話に慣れていない可能性があります。予約台帳との突き合わせ方、電話予約のヒアリング、来店率の扱いまで話が及ぶかどうかで、現場を知っているかが分かります。
広告では席数を超えられない
率直に言うと、席稼働率が高い店に広告を足しても、売上はほとんど動きません。飲食店の売上は「席数×回転数×客単価」で天井が決まっているからです。
すでに稼働が高い場合、費用をかけるべきは入口ではありません。客単価を上げる一品、回転を上げる提供設計、空いている時間帯への移動。ここを飛ばして広告予算だけ増やしても、獲得コストが上がって終わります。広告の月額が日予算でどう決まるかはGoogle広告の費用の仕組み|日予算×30.4で決まる月額上限で解説していますが、上限の決め方以前に「増やしても入る席があるか」を先に確認してください。
AIに任せられる範囲について
口コミ返信や投稿文、広告文のたたき台づくりにAIを使うのは有効で、実際に下書きの時間はかなり短縮できます。ただし、飲食店で最後に読まれるのは「その日その店で何があったか」の具体なので、来店内容に触れる一文は人が書き足してください。AIとの分担の考え方そのものは別テーマなので、ここでは踏み込みません。
この章の結論です。外注先を選ぶ前に、自店が「入口を増やすべき状態」なのか「回転と単価を見直すべき状態」なのかを判定する。稼働率が高いのに集客を外注すると、費用だけが増えます。
よくある質問
グルメサイトの有料プランをやめても予約は減りませんか
減る可能性は高いです。判断材料は、その媒体経由の予約のうち、店名で指名して予約している人がどれくらいいるかです。指名が多いなら、Googleマップと自店ページで受けられる見込みがあります。いきなり解約する前に、契約している媒体の担当者に、いま契約しているプランより下の区分があるかを確認してください。用意がある媒体なら、そちらに変えて2〜3か月の変化を見てから判断すると、戻す余地が残ります。
ランチとディナーで、頼む媒体は分けたほうがいいですか
探され方が違う可能性があるので、まずは自店の予約台帳で、ランチとディナーそれぞれの予約経路と予約のタイミングを分けて集計してください。当日の予約が多いのか、数日前の予約が多いのか。ここが分かれば、どちらの時間帯にどの媒体を当てるかを自店の数字で決められます。媒体を分けるより、同じ媒体の中で時間帯を分けるほうが管理は簡単です。
グルメサイトの営業担当と広告代理店、どちらに先に相談すべきですか
先に自店で1組あたりの獲得コストを出してから、両方に同じ数字を見せてください。どちらか一方に先に相談すると、その媒体の中での最適化の話になります。数字を持って行けば、提案が「掲載を増やす」ではなく「どこに配分するか」に変わります。
1店舗だけでも広告運用の外注は受けてもらえますか
受けている会社は多くあります。ただし広告費連動の手数料だけだと成り立たないため、月額の最低手数料が設定されていることがあります。広告費が月5万円程度なら、手数料と合わせた総額で1組あたりいくらになるかを先に試算し、粗利に見合うか確認してから依頼してください。
口コミの返信をAIに書かせても問題ありませんか
下書きに使うのは問題ありません。ただし、そのまま投稿すると同じ言い回しが並び、読んだ人に定型文だと伝わります。料理名や来店の場面に触れる一文だけは人が足してください。なお、口コミの集め方についてはGoogleビジネスプロフィールヘルプに禁止事項がまとまっているので、返信の運用を決める前に一度目を通してください。
まず今日やること
今日できる最初の一歩は1つです。予約台帳を開いて、直近1週間分の予約に「どこから来た予約か」を書き足してください。5分あれば終わりますし、ここが埋まらないと媒体の比較は始まりません。そのうえで、毎週どの数字を見るかを決めたい方はGoogle広告の運用方法|毎週見る数字と直す順番の考え方が参考になります。
ここまで読んで、媒体ごとの費用を分けるところから社内だけで進めるのは難しそうだと感じた方は、一度お話を聞かせてください。コレットラボでは、予約経路の数え方を決めるところから毎月の配分の判断まで、予約経路の見直しから始めるWeb広告運用の支援を行っています。いまの見積もりや明細を見せていただくだけでも大丈夫です。
無料相談
現状をお聞きし、優先順位を一緒に整理します。
予約する →