不動産会社の集客方法|ポータル以外で問い合わせを増やす順番
この記事の要点
- 入口を増やす前に、反響への一次返信を先に決める
- ポータル以外の入口は、売却査定・エリア別まとめ・Googleマップの順で作る
- 集客代行の費用は月額の総額ではなく内訳で比べる。契約前の確認は7項目
ポータルサイト以外で問い合わせを増やすなら、着手する順番は「反響への一次返信を決める → 売却査定の受け皿ページ → エリア別のまとめページ → Googleビジネスプロフィール → 記事」です。この順番を守らないと、入口だけ増えて反響が他社の成約になります。
この記事は、自分で記事を書く方ではなく、どこに頼むか・いくらかかるか・任せて大丈夫かを決める立場の方(経営者・役員・店長)に向けて書いています。読み終わる頃には、手元の見積もりを内訳に割って比べられる状態と、契約前に何を聞くかが決まった状態を目指します。
扱うのは、ポータル以外の入口をどう作るかと、外注の判断材料です。物件管理システムの選定と広告運用の細かい設定は扱いません。サイト自体に問い合わせが来ていない段階の方は、先にホームページで集客できない原因と改善手順を読んでから戻ってきてください。なお、金額の相場表は載せません。代わりに、手元の見積もりを割って比べる方法を書きます。
Contents / 目次
ポータル以外で問い合わせを増やす順番。先に受け皿、次に3種類のページ
結論から書きます。ポータルサイト以外の入口を作る順番は、次の5つです。上から順に手を付けてください。
- 反響が来たときの一次返信を、誰が・何分以内に・どんな文面で返すか決める
- 売却査定・買取相談の受け皿ページを1枚作る
- エリア×条件のまとめページ(学区、駅、間取り、価格帯)を作る
- Googleビジネスプロフィールを店舗ごとに埋める
- 記事コンテンツを積む
なぜこの順番かというと、1番を飛ばして2番以降をやると、増やした反響を返しきれない状態になるからです。入口を広げる工事より、受け皿を作るほうが先で、しかも費用がかかりません。まず、いま来ている反響に何分で返せているかを数えてください。
2番の売却査定を3番より先に置くのは、1件あたりの利益が賃貸の客付けより大きく、社内の工数をかける価値があるからです。賃貸の客付けは大手ポータルの掲載枠が主戦場なので、自社サイト単独で戦うのは負担が重くなります。限られた予算をどちらに寄せるかと聞かれたら、まず売却です。ただし、自社の地域で売却の相談がどれだけ検索されているかは会社ごとに違うので、着手前にGoogleサーチコンソールの検索クエリと、過去1年の売却相談の件数を見てから決めてください。
4つの入口を、反響までの時間と費用の性質で比べる
入口ごとに、お金の減り方と反響が出るまでの時間がまったく違います。同じ「集客」という言葉でまとめて考えると判断を誤るので、分けて見てください。反響が出るまでの時間は媒体の状況や地域で大きく変わるので、下の表は速さの順序を見るものとして使ってください。
| 入口 | 反響が出るまで | 費用の性質 | 止めたときに残るもの |
|---|---|---|---|
| ポータルサイト掲載 | 比較的早い | 毎月の掲載料。止めた月にゼロになる | 何も残らない |
| リスティング広告 | 比較的早い | クリック課金。止めた日にゼロになる | どの語で反響が来たかのデータ |
| Googleビジネスプロフィール | 中くらい | 登録は無料。運用の人件費のみ | 口コミと店舗情報がそのまま残る |
| 自社サイト(査定ページ・まとめページ・記事) | いちばん時間がかかる | 初期の制作費+毎月の運用費 | ページと検索順位が残る |
判断の軸。今月の反響が足りないならポータルと広告、来期の広告費を下げたいなら自社サイトとGoogleビジネスプロフィールです。この2つは目的が違うので、どちらかに全額寄せる判断はしないでください。自社サイトに移す作業は、ポータルを続けながら並行してやるものです。
この章の結論はこうです。入口を増やす前に一次返信を決める。予算配分は「今月の反響」と「来期の固定費削減」の2目的に分けて考える。この2つが決まっていれば、次の章の原因切り分けに進めます。
「不動産の集客ができない」原因を3つに切り分ける
集客できないと感じたとき、原因は「入口がない」「入口はあるが選ばれていない」「反響はあるが来店に変わっていない」の3つのどれかです。切り分けずに手法を足すと、効かない場所にお金を入れることになります。
タイプ1。そもそも入口がない
ポータル掲載だけで、自社サイトへの検索流入がほとんど無い状態です。この場合、サイトの文章を直しても何も変わりません。見る人がいないページを直しても反響は増えないからです。
確認の仕方はかんたんです。Googleサーチコンソール(Googleが無料で出している、検索からの流入を見るツール)で、直近3か月の検索クエリを表示回数の多い順に並べます。会社名以外の語がほとんど並んでいなければ、タイプ1です。会社名で検索した人しか来ていない、つまり既に知っている人しか来ていない状態です。この見方はサーチコンソールの平均掲載順位の見方で詳しく書いています。
タイプ2。入口はあるが、比べられて負けている
検索からの流入はあるのに、問い合わせフォームまで進まない状態です。物件を見た人が、他社の同じ物件ページと見比べて、そちらから問い合わせています。
不動産で起きやすいのは、掲載している物件が他社と同一で、載っている情報も似通っているケースです。元になる物件資料が同じなので、写真も紹介文も各社で近いものになりがちです。この状態で選ばれる理由は、物件情報ではなく会社側の情報にしかありません。載せる項目は次の4つです。
- 担当者の顔と経歴
- そのエリアでの取扱実績
- 内見の申し込み方法
- 費用の内訳
ここが空白だと、比較されて負けます。
タイプ3。反響はあるが、来店・媒介に変わっていない
問い合わせの件数は前年並みなのに、来店数と媒介取得数が落ちている状態です。ここでWeb施策を足しても悪化するだけです。
数えるのは3つ。一次返信までの平均時間、返信後に来店に至った率、来店から媒介・申込に至った率です。返信までが数時間かかっているなら、そこが穴です。ポータルを止めたら反響がゼロになるのが怖い、という言葉を何度も聞きますが、その前に、いま来ている反響を返しきれているかを数えてください。
切り分けをしないまま「とりあえずSNSも始める」と決めると、運用工数だけが増えて、3か月後に全部止まります。タイプ3の会社がやるべきなのは、SNSではなく反響対応の分担決めです。
この章の結論です。3タイプのどれかを、サーチコンソールの検索クエリと、反響→来店→媒介の3つの数字で先に判定してください。判定が済めば、次の章のどのステップから始めるかが決まります。
ポータル以外の入口を作る5ステップ。着手の順番つき
ここからは実際の作り方です。外注する場合も、何を発注するかを決めるのは自社なので、中身を知っておいてください。所要期間は、社内の体制と外注先の稼働によって大きく変わります。着手の順番だけを固定して、期間は最初の1ステップを終えた実績から見積もってください。
ステップ1。一次返信のルールと文面を決める
最初にやるのは、反響が入ってから最初の連絡までのルール決めです。決めるのは4つあります。
- 目標時間:営業時間内は何分以内、時間外は翌営業日の始業から何時間以内、のように数字で決める。数字は自社の体制で決められる範囲にする
- 担当:反響の一次受けを店舗の当番制にするか、事務スタッフに寄せるか。「気づいた人が返す」は必ず抜けます
- 手段:メール/電話/LINE公式アカウントのどれで返すか。時間外はまず自動返信、翌朝に人が電話、のように組み合わせる
- 文面:一次返信のテンプレートを、賃貸・売買・売却査定の3種類ぶん用意する
自動返信の文面は、受付完了だけを伝えるものだと効果がありません。次の内容まで入れてください。そのまま使える形にしています。
件名:[物件名 または 査定]のお問い合わせを受け付けました
○○様
お問い合わせありがとうございます。[店舗名]の[担当者名]です。
内容を確認しました。[本日18時まで/翌営業日の10時まで]に、
担当より改めてご連絡します。
先に3点だけお伝えします。
1. ご覧いただいた物件は[○月○日時点]で募集中です。
状況が変わった場合は、条件の近い物件を3件お送りします。
2. ご内見は[最短で当日/翌日から]ご案内できます。
ご希望の候補日を2つほど返信いただけると、調整が早く済みます。
3. ご来店前に必要な書類はありません。
[担当者名]/宅地建物取引士
[店舗名・住所・電話番号・免許番号]
ポイントは2番です。返信を待つ間に読者が次にできることを1つ書いておくと、その場で日程調整が始まります。ここが「追ってご連絡します」だけだと、相手は何もしないまま待つことになります。
ステップ2。売却査定・買取相談の受け皿ページを作る
売却を考えている人が検索して着地する1枚を作ります。物件一覧ではなく、相談の入口として独立させてください。載せる項目は次のとおりです。
- 対応エリアの明示:市区町村名と、対応できる沿線・学区まで書く。「近隣一円」だと、読んだ人が自分の物件を扱ってもらえるか判断できません
- 査定の種類:机上査定と訪問査定の違い、それぞれ何日で結果が出るか
- 売却にかかる費用の内訳:仲介手数料、印紙税、抵当権抹消、測量など。金額そのものより、何が発生するかの一覧が要ります
- 売却完了までの流れ:相談から引き渡しまでを日数付きで。売主が動く場面と、会社が動く場面を分けて書く
- 直近の成約事例:個人が特定されない粒度で、エリア・築年・広さ・売り出しから成約までの期間
- 担当者の情報:氏名、宅地建物取引士などの資格、そのエリアでの担当年数
- フォーム:売却専用にする。賃貸の問い合わせフォームと共用しない
フォームの入力項目は、住所(町名まで)・物件種別・おおよその広さ・連絡先の4つに絞ります。査定に本当に必要な情報は電話で聞けるので、最初の画面で細かく聞かないでください。
ステップ3。エリア×条件のまとめページを作る
物件の詳細ページで検索上位を狙うのは、不動産では割に合いません。物件は成約したら消えるので、順位が付いた頃にページごと無くなります。代わりに作るのが、消えないまとめページです。
作る単位は、次のような組み合わせです。
- 地域名 × 物件種別(例:○○市 中古マンション)
- 地域名 × 生活条件(例:○○小学校区、○○駅 徒歩10分以内)
- 地域名 × 予算帯(例:○○市 2000万円台 一戸建て)
各ページに入れるのは、条件に合う物件の一覧に加えて、そのエリアに住む判断をするための情報です。具体的には次の5つを書きます。
- スーパーと病院の位置
- 通学路の様子
- 坂の有無
- 駐車場の相場
- ハザードマップ上の位置づけ
この部分は物件が入れ替わっても書き換える必要がないので、資産として残ります。
作る手順は次の5つです。誰がやるかまで決めてから着手してください。
- 対象エリアを3つに絞る(経営者)。直近1年の成約と反響が多いエリアから選びます。最初から全エリアを作ろうとすると、どれも中途半端になります
- 物件一覧の出し方を確認する(制作会社と物件管理システムのベンダー)。システムが自動生成する一覧を、このページに埋め込めるかを聞きます。埋め込めない場合は、まとめページから該当する検索結果ページへリンクする形にします
- 営業への聞き取りをする(制作会社またはWeb担当)。上の5項目を、そのエリアを担当している営業に順番に聞いて書き起こします
- 下書きを作る(制作会社)。物件一覧を上、エリアの生活情報を下に置き、最後に売却査定ページと問い合わせフォームへのリンクを入れます
- 公開前に宅地建物取引士が確認する(社内)。相場や取引の記述に誤りがないかを見ます
3エリアを同時並行ではなく、1エリアずつ公開して、聞き取りの手順が固まってから次に進むほうが早く終わります。
地名だけを差し替えたページを何十本も量産するのはやめてください。中身がほとんど同じページが並ぶと、書いた本数ぶんの入口にはならず、読んだ人にとっても選ぶ材料になりません。1エリアあたり本気で1枚作るほうが早いです。詳しくはキーワードカニバリゼーションの直し方で書いています。
ステップ4。Googleビジネスプロフィールを埋める
「地域名 不動産」で検索したとき、検索結果に地図と店舗の一覧が出ることがあります。この一覧に載る前提として必要なのが、Googleビジネスプロフィール(Googleが無料で提供している、店舗情報の管理サービス)への登録です。登録したから必ず表示されるわけではありませんが、登録していなければ検討の対象にもなりません。登録は無料なので、外注の予算がなくても着手できます。
埋める項目は、営業時間、定休日、電話番号、写真(外観・店内・スタッフ)、業種のカテゴリ、対応サービスです。口コミへの返信は、来店を検討している人が読む場所なので、質問や指摘に答えておくと会社の対応が伝わります。登録と運用に費用はかからず、必要なのは担当者の時間だけです。
ステップ5。記事コンテンツを積む(継続)
最後が記事です。順番を最後にしているのは、効果が出るまでいちばん時間がかかるからです。ここから始めると、反響が動かないまま時間が過ぎて、途中で止めることになります。
不動産で効く記事のテーマは、物件情報ではなく手続きと判断の分かれ目です。次のようなテーマが、検索されていて、相談にも直結します。
- 相続した実家をどうするか
- 住宅ローンが残っている家を売れるか
- 離婚時の財産分与
- 空き家の管理費用
- 贈与と相続の違い
記事を書くときは、見出しの直後に結論を1文で書いて、質問と答えの対応を読み取りやすくしておくことをおすすめします。これは人が読むときに分かりやすくなる書き方です。AIに下書きを作らせるのは構いませんが、相場・法改正・地域の事情は必ず宅地建物取引士が確認してください。ここを飛ばすと、次の章の失敗3に直行します。
この章の結論です。着手の順番は受け皿→査定ページ→まとめページ→Googleビジネスプロフィール→記事。全部を同時に始めず、前のステップが動き出してから次に進んでください。これで、どの発注をいつ出すかが決められます。
不動産の集客代行は何で費用が変わるか。見積もりの割り方と社内に残る作業
集客代行の見積もりは、ほとんどが「月額○万円 一式」で出てきます。この形のままでは高いか安いか判断できません。総額ではなく、内訳を工数に割って比べてください。
費用が変わる5つの要素
不動産の集客支援で金額が動くのは、次の5か所です。見積もりを見るときは、この5つがそれぞれいくらなのかを聞いてください。
| 要素 | 費用が上がる条件 | 下げられる条件 |
|---|---|---|
| 戦略設計(初期) | 賃貸・売買・売却・管理を全部扱う。店舗が複数ある | 売却だけ、1店舗だけに絞る |
| ページ制作 | 取材あり、写真撮影あり、事例の掲載許諾取りから依頼 | 取材メモと写真を社内で用意する |
| サイト改修(実装) | 物件管理システム連動部分に手を入れる。既存サイトの構造が古い | WordPressなど自社で触れる領域だけに限定する |
| 計測とレポート | 反響の追跡、電話計測、月次の報告会あり | 設定だけ依頼して、月次は自社で見る |
| 広告・ポータルの運用 | 複数媒体の入稿代行まで含む | 入稿は社内、設計だけ依頼する |
いちばん金額が動くのは3行目です。物件管理システムが自動で生成するページを、どこまで書き換えられるかはシステムによって違います。ここに触る作業が入るかどうかで、見積もりは大きく変わります。契約前に、システムのベンダーに「物件ページのタイトルタグとメタディスクリプションを個別に書き換えられるか」を確認してください。答えが「できない」なら、その部分は諦めて、まとめページ側で戦う設計に切り替えます。
見積もりを割って比べる計算式
2社の見積もりを比べるときは、次の順で割ります。紙に書けるレベルの計算なので、その場でやってみてください。
【ステップ1】月額を作業単位に割る
月額総額 = 記事制作費(単価 × 本数)
+ ページ改修費(時間単価 × 想定時間)
+ レポート・打ち合わせ費(時間単価 × 時間)
+ 広告運用手数料
【ステップ2】記事1本あたりの工数を聞く
「1本を何人日で見ていますか」と聞く。
取材あり/なし、写真の手配あり/なしで倍以上変わる。
同じ単価でも、1人日で作る会社と3人日で作る会社では中身が違う。
【ステップ3】いま払っている広告費と同じ土俵に乗せる
ポータルの反響単価 = 月額掲載料 ÷ その月の反響件数
自社サイトの反響単価 = 支援の月額 ÷ 自社サイト経由の反響件数
※自社サイト側は初年度に必ず高く出る。
12か月の累計で割り直して比べること。
ステップ3を、仮の数字で計算してみます。ここから先は例示なので、自社の数字に置き換えてください。
- ポータル:2媒体で月30万円、反響が月20件。反響単価は1件1.5万円
- 自社サイト(初月):支援に月20万円、反響が2件。反響単価は1件10万円。ここだけ見ると割高
- 自社サイト(12か月):累計240万円、年間の合計反響が60件。反響単価は1件4万円
初年度の途中経過だけで判断すると、必ず「高い」という結論になります。12か月で割る前提を、契約前に社内で共有してください。
任せられる範囲と、社内に必ず残る作業
外注しても社内から消えない作業があります。ここを見落とすと、契約したのに進まない状態になります。
| 作業 | 外注できるか | 社内の負担の目安 |
|---|---|---|
| キーワードの選定・構成づくり | ほぼ任せられる | 初回の打ち合わせのみ |
| 記事・ページの執筆 | 任せられる | 取材の同席と、事実確認の戻し |
| エリアの生活情報(学区・坂・買い物) | 任せにくい | 営業からの聞き取りが毎回必要 |
| 成約事例の掲載許諾取り | 任せられない | 担当営業が顧客に確認する |
| 宅建業法・表示規約の最終確認 | 任せられない | 宅地建物取引士による確認が毎回必要 |
| 物件データの更新(成約後の削除) | システム側で自動化できる場合あり | 自動化されていなければ毎日発生 |
| 反響への一次返信 | 一部は自動化できる | 人が返す部分は必ず残る |
実務でいちばん詰まるのは、下から3行目です。制作会社が書いた文章でも、公開したら自社の広告です。だから確認の工程は社内に残ります。月に何本公開するなら、誰が何時間確認に使うのか、契約前に決めてください。どこまで任せてどこを残すかの考え方は、SEO内部対策の代行はどこまで頼むかでも整理しています。
この章の結論です。比べるのは月額の総額ではなく、記事単価・工数・改修時間・レポート工数の4つ。そのうえで、宅建業法まわりの確認工数が社内に何時間残るかを見積もりに書き込んでもらってください。
契約前に確認する7項目
発注先が決まりかけたら、契約書にサインする前にこの7つを聞いてください。
- 解約したらページは残るか。制作したページと記事の権利がどちらに帰属し、解約後もそのまま公開し続けられるかを、契約書の条文で確認してください。ここは口頭ではなく書面で残します。
- ドメインとサーバーの契約名義は誰か。制作会社名義になっていると、乗り換えのときにサイトを持ち出せません。自社名義になっているか、移管に応じる条項があるかを見ます。
- Googleアナリティクスとサーチコンソールの管理権限は誰が持つか。制作会社のアカウントで作られていると、解約時にデータが見られなくなります。自社アカウントをオーナーにして、制作会社を追加する形が正しい順序です。サーチコンソールの権限付与の方法にやり方を書いています。
- 最低契約期間と、途中解約の条件。SEOは効果が出るまでに時間がかかる施策なので、複数か月の契約期間は不自然ではありません。ただし、成果が出ないときに何をもって見直すかの条件は決めておきます。
- 誰が書くか。宅建業の知識がある人が関わるか。ライターに丸投げの体制だと、専門用語の使い方や手続きの順序が実務とズレます。監修は誰がやるのか、社内確認のフローがどう組まれているかを聞いてください。
- 物件データベースに触れるか。前章のとおりです。触れないなら触れない前提の提案になっているかを確認します。「できます」と言われたら、システムのベンダー名を出して具体的にどう触るのかを聞いてください。
- 報告に何の数字が出るか。アクセス数と検索順位だけの報告書には意味がありません。問い合わせ件数、そのうち来店に至った数、媒介・申込に至った数まで見る前提になっているかを確認します。ここが揃っていないと、来期の判断ができません。
聞き方のコツ。7項目を口頭で聞くだけでなく、回答をメールで返してもらってください。書面に残ると、担当者が代わっても前提が引き継がれます。
何が先に動き、何が後から動くか
成果の出方は入口ごとに違います。取り組む前に、いつ何を見るかを決めておくと、途中で不安になって止める判断を避けられます。下の表は、動く順序と見る指標を決めるためのものです。何か月目に何が動くかは地域と競合の状況で変わるので、時期そのものは自社の実績で更新してください。
| 順番 | 動く数字 | この時点で見る指標 |
|---|---|---|
| いちばん早く動く | 一次返信の時間、来店率 | 反響から返信までの平均時間、返信後の来店率 |
| 次に動く | Googleビジネスプロフィール経由の電話・ルート検索 | 地図表示からの電話件数、口コミの件数 |
| その次に動く | 査定ページ・まとめページの検索順位と表示回数 | サーチコンソールの表示回数、指名以外の検索語の数 |
| いちばん最後に動く | 自社サイト経由の反響件数、反響単価 | ポータル反響単価との比較、ポータル枠を減らせるか |
いちばん早く動く数字は、Web施策の成果ではなく社内の運用改善の成果です。ここだけは着手した月から動きます。返信までの時間を短くする作業は費用がかからないうえに、いちばん早く着手できる場所です。
検索の状況を見るときは、サーチコンソールで会社名以外の検索語がいくつ増えたかを数えてください。表示回数が0から10に増えた語が20個並んでいれば、それは順調です。順位が1位でなくても、入口の種類が増えているという意味だからです。1つの語の順位だけを追うと、伸びているのに伸びていないように見えます。
逆に、こういう場合は仕切り直しが必要です。サーチコンソールの表示回数が横ばいで、しかも予定していた本数のページが公開できていない。この2つが揃っているなら、施策の中身より先に、公開が止まっている理由を確認してください。まず、契約時に決めた公開本数と、実際に公開できた本数を並べます。実績が予定を下回っているなら、どの工程で止まったか(営業への聞き取り、事例の掲載許諾、宅地建物取引士の確認、公開作業)を1本ずつたどって、外注先と話し合ってください。
この章の結論です。最初に返信時間、次に地図経由の反応、その次に検索語の数、最後に反響単価の比較。この4つを見る順番を先に決めておけば、途中で判断がぶれません。
不動産の集客でやりがちな失敗5つ
他の業種では起きない、不動産だから起きる失敗を挙げます。どれも実際に見かけるものです。
失敗1。成約済みの物件を自社サイトに残したままにする
ポータルは掲載の管理画面と契約期間で運用されますが、自社サイトは誰かが消さないと残ります。営業が忙しい時期ほど更新が止まるので、繁忙期を過ぎたサイトには決まった物件がずらりと並びます。
これは反響の質を落とすだけでなく、規約上のリスクになります。広告表示のルールは、宅地建物取引業法と、不動産公正取引協議会連合会が定める不動産の表示に関する公正競争規約で決まっています。取引の対象にならない物件を広告に載せ続けている状態が該当するかどうかは、国土交通省と不動産公正取引協議会連合会が公開している条文・規約本文にあたって、自社の掲載内容と突き合わせて確認してください。「サイトの更新が追いついていないだけ」という言い訳は通りません。
防ぎ方は、人の努力ではなく仕組みです。物件管理システムから自社サイトへ自動連動させて、成約と同時にページが落ちる状態にします。連動できない場合は、週1回、決まった曜日に掲載中物件を突き合わせる作業を当番制にして、担当者名を貼り出してください。「気づいた人が消す」は必ず抜けます。
失敗2。ポータルの紹介文をそのまま自社サイトに転記する
大手ポータルと同じ文章を自社サイトに載せても、読んだ人にとっては別の会社を選ぶ理由になりません。転記した文章には、他社のページと違う情報が1つもないからです。時間をかけた分だけ無駄になります。
自社サイトの物件ページに載せるべきなのは、ポータルの規定フォーマットに入らない情報です。担当者が実際に見てきた所感、内見時に確認したほうがいい点、そのエリアの相場との比較、周辺で最近成約した価格帯。ここが書いてあるページは、同じ物件でも他社と違うページになります。
失敗3。AIで物件紹介文を全件量産して、実物とズレる
生成AIで紹介文を一括生成すると、実際には無い設備が書かれたり、駅からの徒歩分数が実際と違ったりします。徒歩分数の表示方法には、不動産の表示に関する公正競争規約で定められた算出のルールがあります。実際の算出方法は不動産公正取引協議会連合会が公開している規約本文とその解説で確認してください。AIが直線距離や地図アプリの数字をもとに書くと、規約に沿った数字とズレます。
防ぎ方は、AIに渡す材料を先に固定することです。物件管理システムから出力した確定データ(面積、築年、徒歩分数、設備一覧)をAIに渡し、そこに書かれていない事実は書かないよう指示する。そのうえで、公開前に宅地建物取引士が数値だけを突き合わせます。文章の言い回しはAIに任せてよく、数値と設備の有無は人が確認する、という分け方です。
失敗4。物件詳細ページで検索上位を狙って、消えたあとを放置する
物件詳細ページに力を入れて順位が付くこともありますが、成約したらページは消えます。そのとき、そのURLにアクセスした人が「ページが見つかりません」の画面に着地すると、そこで離脱します。
設計としてやるべきことは決まっています。物件ページが消えるときは、「この物件は成約しました。同じエリアの募集中物件はこちら」という案内ページに切り替えて、そこから該当するエリア×条件のまとめページへ誘導してください。まとめページへ301リダイレクト(転送の設定)でまとめる方法もありますが、内容が離れたページへ一括で転送すると、転送先が元のページの代わりとして扱われないことがあります。転送するなら、その物件と条件が近いまとめページに1件ずつ対応させてください。これは制作会社に最初から仕様として伝えておく項目です。契約後に頼むと追加費用になります。
失敗5。売却査定の相談を、賃貸と同じフォームで受けている
賃貸の問い合わせフォームは「希望エリア・間取り・家賃」を聞く設計です。ここに売却を考えている人が来ると、埋める項目が合わずに離脱します。仮に送信されても、営業側で賃貸案件として振り分けられて、査定の初動が遅れます。
フォームは、賃貸・売買・売却査定・管理相談の4種類に分けてください。分けると、どの入口から何件来ているかも数えられるようになります。アクセスはあるのにCVが増えないときの切り分けでも書いていますが、フォームの分岐は反響の質に直結します。
この章の結論です。5つのうち失敗1と失敗3は規約リスク、失敗2と失敗4は費用の無駄、失敗5は取りこぼしです。リスクのある2つから先に手を付けてください。
うまくいかない条件と、現場の妥協点
正直なところを書きます。ここに当てはまる会社は、Web施策より先にやることがあります。
賃貸の客付けだけを自社サイトで取ろうとすると、まず勝てない
賃貸の部屋探しは大手ポータルの掲載枠が主戦場で、自社サイト単独で同じ土俵に挑むと、掲載物件数でも露出量でも差が埋まりません。賃貸で自社サイトが効くのは、客付けではなく「オーナーからの管理受託」と「学生・法人など特定層の指名」です。大学名を出した学生向けページや、社宅の一括対応をうたったページなら、大手が細かくカバーしきれない領域なので入り込めます。自社の場合にどうかは、サーチコンソールで賃貸系の検索語からの流入がどれだけあるかを見てから判断してください。
ポータルは切るのではなく、枠を1つずつ落として比べる
掲載費を丸ごと止める判断は、反響がゼロになるリスクが大きすぎます。現実的なのは段階的に落とす方法です。手順は次の4つです。
- 媒体ごとの反響件数を3か月分数える
- 反響単価がいちばん高い媒体の枠を、1つだけ落とす
- 3か月、全体の反響件数がどう動いたかを見る
- ここで落ちなければ、次の枠を落とす
繁忙期の1〜3月は絶対に検証に使わないでください。季節要因で数字が動くので、比較になりません。
繁忙期に間に合わせるなら、前年のうちに着手する
自社サイトからの反響は、ページを公開した翌月に出るものではありません。検索から見つけてもらえるようになるまで時間がかかるので、1〜3月の繁忙期に効かせたいなら、前年のうちに着手しておく必要があります。年末近くに「来年の繁忙期に向けて」と相談をいただくことがありますが、SEOではその年には間に合いません。その時期にできるのは、一次返信のルール決めと、Googleビジネスプロフィールの更新と、広告の設計です。ここは率直にお伝えしています。
物件管理システムに縛られる部分は、諦める判断も要る
ポータル連動を前提とした物件管理システムは、業務効率のために作られています。検索対策のために自由に触れる設計にはなっていないことが多い。ここを無理に改造しようとすると、費用が跳ね上がるうえに、システム更新のたびに壊れます。
現実的な妥協点は、物件詳細ページはシステムに任せて触らず、自社で自由に作れる領域(まとめページ、査定ページ、記事)だけで戦うという分け方です。この分け方を最初に決めておくと、見積もりも判断もシンプルになります。
広告開始の時期にも制限がある
宅地建物取引業法には、広告を開始できる時期の制限があります。建築確認などの手続きが済む前は広告を出せない場合があるので、対象と時期は国土交通省が公開している宅地建物取引業法の条文と解釈・運用の考え方で確認してください。自社サイトも広告です。「反響を早く取りたいから先に載せる」という判断は取れません。この点は、記事やページの公開スケジュールを組むときに、社内の販売計画と突き合わせておいてください。
この章の結論です。賃貸の客付けと、繁忙期直前の着手と、システム改造の3つは、期待どおりにならない条件です。ここを外して、売却・管理受託・特定層向けに寄せると、限られた予算でも成果が出ます。
よくある質問
支店が3つあります。サイトは1つにまとめるべきですか、店舗ごとに分けるべきですか
1つにまとめて、店舗ごとのページを中に作るのがおすすめです。ドメインを分けると、それぞれをゼロから育てることになり、更新の手間も3倍になります。Googleビジネスプロフィールだけは店舗ごとに登録し、それぞれから自社サイトの店舗ページへリンクさせてください。
一括査定サイトを使っているので、自社の売却ページは要らないのでは
一括査定は他社と同時に比較される前提の入口なので、単独では受注率が下がりやすいです。自社の売却ページは、査定依頼の前に会社を調べられる場所として要ります。実際、一括査定で名前を知った人が社名で検索して、そのページを読んでから連絡してくるケースがあります。
宅建の知識がないライターが書いた記事が出てきそうで不安です
契約前に監修フローを決めれば防げます。具体的には、公開前に宅地建物取引士が確認する工程を契約に入れ、確認する項目(数値、手続きの順序、法令の記述)を一覧にしておきます。修正の戻し回数も決めておくと、追加費用で揉めません。
社員がWebに詳しくなくても、社内に作業を残して回りますか
回ります。社内に残るのはパソコン作業ではなく、エリアの情報を話すことと、公開前に事実を確認することだからです。営業への聞き取りを書き起こす部分は外注できます。求められるのは操作の知識ではなく、現場を知っている人の時間です。
今日できる最初の一歩
まずは直近1週間ぶんの問い合わせを開いて、受信時刻と最初の返信時刻の差を書き出してみてください。5件も見れば、いちばん大きな穴がどこにあるか分かります。そのうえで自社サイト側の入口を増やすなら、コンテンツSEO外注の選び方と発注の手順も合わせて読むと、発注の粒度が決めやすくなります。
ここまで読んで、順番は分かったけれど社内に回す人がいない、と感じた方もいると思います。コレットラボでは、毎月どこから手をつけるかを決めて実装まで進めるポータル以外の入口を作るSEO対策の伴走支援を行っています。判断の理由と手順を文書に残すので、社内で回せる人が出てきた時点で引き継げます。いまの反響件数と掲載費をうかがうだけでも大丈夫です。お気軽にご相談ください。
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