SEO対策の費用対効果|受注額から逆算する月額の上限と見直し時期
この記事の要点
- 月額の上限は、問い合わせ1件の粗利×SEOで増やせる件数
- 見直しは3・6・12か月目。時点ごとに見る数字を変える
- 社名検索や売上で計算すると過大評価。見誤る条件4つを本文で解説
SEO対策に月額いくらまで払えるかは、相場ではなく自社の数字で決まります。受注1件の粗利、問い合わせから受注までの成約率、SEOで増やせる問い合わせ件数の3つを掛け合わせると、月額の上限が出ます。あわせて、3か月・6か月・12か月の時点で見る数字を決めておけば、続けるか見直すかを数字で判断できます。
SEO対策の外注を検討している経営者・役員の方に向けた記事です。読み終わる頃には、自社の数字を当てはめて月額の上限を出し、契約前に確認する質問と見直しの時期を決められる状態を目指します。
見積もりを作業量に割り戻して比べる方法はSEO対策の費用の決まり方で、順位に連動して払う契約は成果報酬型SEOの費用と契約前に決めることで解説しています。この記事では、払う金額を回収できるかの判断に絞ります。
Contents / 目次
SEO対策の費用対効果を判断する3つの数字と月額の上限
SEO対策の費用対効果は、「問い合わせ1件あたりの粗利」と「SEOで増やせる問い合わせ件数」を掛けた金額で判断します。この金額が、継続して払える月額の上限です。相場の金額には業者ごとの作業量の違いが含まれているので、自社が払ってよい額の根拠にはなりません。
計算に使う数字は次の3つです。計算例の値は、説明のために置いた仮の数字です。
| 数字 | 意味 | 調べ方 | 計算例(仮の値) |
|---|---|---|---|
| 受注額と粗利率 | 受注1件で得られる粗利 | 会計ソフト・見積書の直近12か月分 | 80万円・40% |
| 成約率 | 問い合わせのうち受注に至った割合 | 営業の記録・問い合わせの一覧 | 25% |
| SEOで増やせる問い合わせ件数 | 狙う検索語から月に増える問い合わせ | 表示回数×クリック率×問い合わせ率 | 月1.5件 |
月額の上限の式。月額の上限=受注額×粗利率×成約率×SEOで増やせる問い合わせ件数(月)。仮の値では、80万円×40%×25%×1.5件=12万円です。
売上ではなく粗利で計算するのは、外注費を払う原資が粗利だからです。売上で計算すると、粗利率40%の会社では上限が2.5倍に膨らみます。
計算した上限が検討中の見積もりを大きく下回るなら、SEOを後回しにする判断もあります。リスティング広告は配信を始めた月から問い合わせにつながる可能性があり、効果が出るまでの待ち期間がSEOより短いためです。SEOと広告のどちらに予算を回すか社内で決めきれない場合は、SEOか広告かから決めるWeb集客の相談で、着手する順番を先に決める進め方もあります。
月額の上限は相場ではなく、問い合わせ1件の粗利と増やせる件数の掛け算で決まります。
受注額から月額の上限を逆算する手順
逆算は4つのステップで進めます。用意するのは、直近12か月の受注の記録、Search Console(Googleが無料で提供する検索の成績を見るツール)、GA4(Googleアナリティクス4)の3つです。
ステップ1 問い合わせ1件の価値を出す
問い合わせ1件の価値とは、問い合わせが1件来たときに、将来見込める粗利の期待値です。受注額×粗利率×成約率で計算します。
- 直近12か月の受注を書き出し、1件あたりの受注額を出す。大型案件1件で平均が跳ね上がる場合は、その案件を除いて計算する
- 売上から原価と外注費を引き、粗利率を出す
- 同じ期間の問い合わせ件数と受注件数から、成約率を出す
- 継続取引が多い業種は、受注額の代わりに「年間の取引額×平均の取引年数」を使う
4つ目の値は、顧客生涯価値(LTV)と呼ばれます。LTVとは、1社の取引先が取引を続ける期間に生む売上の合計です。保守契約や消耗品の継続購入がある会社は、1回の受注額だけで計算すると上限を低く見積もりすぎます。
SEO経由の問い合わせだけの成約率が分からない場合は、全体の成約率を仮の値として使います。12か月目の見直しで、実績の値に入れ替えます。
ステップ2 SEOで増やせる問い合わせ件数を見積もる
増やせる件数は、狙う検索語の月間表示回数×上位に入ったときのクリック率×サイトの問い合わせ率で見積もります。
- 受注につながる検索語を10〜30個書き出す。「〇〇 費用」「〇〇 業者」「〇〇 比較」のように、発注を検討している人が使う語を選ぶ
- すでに検索結果に出ている語は、Search Consoleの検索パフォーマンスで直近3か月の表示回数を見る。まだ出ていない語は、Google広告のキーワードプランナー(Google広告のアカウントが必要)で月間の検索数を調べる
- クリック率は、自社サイトで上位に出ている語の実績値を使う。実績が無ければ仮の値で計算し、仮の値だと分かるように記録する
- 問い合わせ率は、GA4で問い合わせ完了をキーイベント(成果として数える操作)に設定し、キーイベント数÷セッション数で出す
仮の値では、表示回数3,000回×クリック率5%×問い合わせ率1%=月1.5件です。問い合わせ完了をまだ計測していない場合は、Contact Form 7の送信をGA4で計測する手順で先に設定してください。
表示回数の合計に、社名や商品名を含む検索語を入れないでください。社名で検索する人は、SEO対策をしなくても訪問する人です。含めると、増やせる件数を多く見積もります。
ステップ3 月額の上限と損益分岐の件数を出す
月額の上限は、ステップ1の価値×ステップ2の件数です。仮の値では8万円×1.5件=12万円になります。
検討中の見積もりがある場合は、逆向きに「月額÷問い合わせ1件の価値」で損益分岐の件数を出します。問い合わせ1件の価値が8万円のときの件数は次のとおりです。
| 月額 | 損益分岐に必要な問い合わせ増(月) | 見込み1.5件との比較 |
|---|---|---|
| 5万円 | 約0.6件 | 見込みの範囲内 |
| 10万円 | 約1.3件 | 見込みの範囲内 |
| 15万円 | 約1.9件 | 見込みを超える |
| 30万円 | 約3.8件 | 見込みの2倍以上 |
損益分岐の件数が見込みを超える見積もりは、断る前に「この作業でどの検索語の件数が増えるのか」を業者に質問してください。狙う語が増える、または問い合わせ率を上げる作業が含まれるなら、ステップ2の見込みを計算し直します。
ステップ4 効果が出るまでの期間を入れて回収月を確かめる
SEOは払い始めた月から回収できないので、回収月まで計算します。Google検索セントラルの「SEOが必要ですか?」というページには、次の一文があります。
Googleの説明。”In most cases, SEOs need four months to a year to help your business first implement improvements and then see potential benefit.”(多くの場合、改善を実施して効果が見え始めるまでに4か月から1年かかる)
仮に月額10万円で12か月契約し、7か月目から月1.5件(12万円分)の効果が出るとします。12か月の支払いは120万円、7〜12か月目の6か月で回収できるのは72万円です。残りの48万円は、契約終了後も記事が検索に出続けるなら、13〜16か月目に回収できます。
回収月が自社で決めた期限(例として24か月以内)を超える場合は、月額を下げるか、狙う検索語を絞って作業を集中させます。13か月目以降の回収は、記事を自社のサイトで使い続けられる契約が前提です。
ステップ1〜4は、次の表計算の形で計算できます。B列の値を自社の数字に変更してください。
行 A列(項目) B列(値・式)
1 受注額(円) 800000 [自社の値に変更]
2 粗利率 0.4 [自社の値に変更]
3 成約率 0.25 [自社の値に変更]
4 問い合わせ1件の価値 =B1*B2*B3
5 狙う検索語の月間表示回数(社名を除く) 3000 [自社の値に変更]
6 上位に入ったときのクリック率(仮) 0.05 [実績値があれば変更]
7 サイトの問い合わせ率 0.01 [GA4の実績に変更]
8 増やせる問い合わせ件数(月) =B5*B6*B7
9 月額の上限 =B4*B8
10 検討中の月額 100000 [見積もりの金額に変更]
11 損益分岐の問い合わせ件数(月) =B10/B4
12 効果が出始める月(仮) 7
13 契約月数 12
14 契約期間内に回収できる額 =B4*B8*(B13-B12+1)
15 契約終了時の未回収額 =B10*B13-B14
見積もりは、上限の金額と回収月の両方を出してから比べます。上限内の月額でも、回収月が遠すぎる契約は見直しの対象になります。
SEO対策の外注費用が月額で変わる要素と内訳
SEO対策の外注費用の月額は、毎月の作業量と、その作業を担当する人の単価の掛け算で変わります。相場の幅が大きいのは、同じ「SEO対策」でも、含まれる作業量が業者ごとに違うためです。
| 費用の項目 | 月額が上がる条件 | 社内に残る作業 |
|---|---|---|
| 現状分析・検索語の設計 | ページ数が多い、扱う商品が多い | 受注理由や顧客の質問を業者に共有する |
| サイトの修正(内部対策) | CMSの改修が要る、制作会社が別にある | 修正の承認、制作会社への連絡 |
| 記事制作 | 本数が多い、取材がある、専門性が高い | 事実の確認、自社の事例や数字の提供 |
| 既存記事のリライト | 対象の記事が多い | 優先する記事の承認 |
| 報告・定例会 | 頻度が高い、出席者が多い | 問い合わせと受注の記録を共有する |
費用対効果の計算で効くのは、ステップ2の「増やせる件数」を動かす作業です。報告や定例会は判断に必要ですが、それだけで件数は増えません。見積もりのうち、記事制作とサイトの修正にあてる金額が何割かを確認してください。
被リンク(他のサイトから自社サイトへのリンク)の購入を含む見積もりは避けてください。Googleのスパムに関するポリシーは、検索順位を操作する目的のリンクの売買を禁止しています。依頼先による費用の違いは、SEOコンサルと記事作成代行の違いで比べています。
AIで記事を内製すると費用対効果はどう変わるか
AIで下がるのは、記事制作費のうち下書きにかかる部分です。検索語の選定、事実の確認、自社にしかない事例や判断基準の追加は、AIで置き換えにくい作業として残ります。
Googleのスパムに関するポリシーには「大量生成されたコンテンツの不正使用」があり、作り方を問わず、価値を足さずに大量に作ったページが対象になります。AIで記事本数を増やす提案を受けたら、本数に比例してステップ2の件数が増える根拠があるかを確認してください。
見積もりは金額より、問い合わせ件数を動かす作業に何割使われているかで判断します。
SEO対策の見直し時期と、3か月・6か月・12か月で見る数字
見直しは3か月・6か月・12か月目に行い、時点ごとに見る数字を変えます。3か月目に問い合わせ件数で判断すると、効果が出る前に打ち切ることになります。
| 時期 | 見る数字 | 確認する画面 | 判断 |
|---|---|---|---|
| 3か月目 | 約束した作業の実施数(記事本数・修正件数)、新しい記事が検索に登録されたか | 業者の報告書、Search Consoleのページのインデックス登録 | 作業が予定より少なければ理由を確認する。順位と問い合わせでは判断しない |
| 6か月目 | 狙う検索語の表示回数と平均掲載順位、11〜20位に入った語の数 | Search Consoleの検索パフォーマンス(社名を含む語を除く) | 表示回数が横ばいなら、狙う語の選び方を見直す |
| 12か月目 | 社名以外の検索から来た問い合わせ件数と、損益分岐の件数との差 | GA4のキーイベント、問い合わせの一覧 | 損益分岐に届かなければ、月額か作業内容を見直す |
| 受注が出たあと | SEO経由の受注件数と粗利 | 営業の記録 | ステップ1〜3を実績値で計算し直し、翌年の月額を決める |
BtoBでは、問い合わせから受注まで数か月かかることがあります。その場合、12か月目の時点では受注がまだ数字に表れません。12か月目は問い合わせ件数で評価し、受注での評価は次の見直しに回します。
Search Consoleの検索パフォーマンスは、過去16か月分のデータを表示できます。季節で問い合わせが変わる業種は、前の月とではなく前年の同じ月と比べてください。平均掲載順位は、表示された語が増えると下がって見えることがあります。読み方はサーチコンソールの平均掲載順位の見方で解説しています。
表示回数は増えているのにクリックが増えない語は、検索結果の画面だけで疑問が解決している可能性があります。その語は問い合わせにつながりにくいので、ステップ2の見込みから外して計算し直します。6か月目に作業は予定どおりなのに数字が動かない場合の切り分けは、SEO外注で効果が出ない原因と報告書で確かめる3点にまとめています。
3か月目は作業量、6か月目は表示と順位、12か月目は問い合わせの順に判断します。
費用対効果を見誤る条件と契約前に確認すること
SEO対策の費用対効果は、計算に入れる数字を誤ると、続けるべき施策を止めたり、止めるべき契約を続けたりします。見誤りやすいのは次の4つの条件です。
社名で検索した人の訪問までSEOの成果に数えている
「自然検索からの問い合わせ」をまとめて成果として報告する契約で起きます。社名で検索した人は、名刺や紹介で社名を知っていて、SEO対策が無くても訪問する人です。含めると、費用対効果が実際より高く見えます。Search Consoleのクエリのフィルタで社名を含まない語に絞り、その語からの数字で評価してください。
売上で計算して、上限を高く見積もっている
受注額をそのまま問い合わせの価値として使うと起きます。粗利率40%の会社なら、上限は粗利で計算した額の2.5倍になり、回収できない月額でも払える金額に見えます。ステップ1のとおり、受注額に粗利率を掛けてから計算してください。
問い合わせの件数に、営業や採用の連絡が混ざっている
問い合わせフォームが1つで、送信の完了だけを数えていると起きます。売り込みや求人への応募も「問い合わせ」に入るので、問い合わせ率と成約率が両方ずれます。フォームに「ご相談の内容」の選択項目を追加し、見積もりや相談の件数だけを数えてください。
順位の保証や、順位に連動する報酬で契約している
「〇位以内を保証」「上位表示した日数分だけ請求」という契約で起きます。問い合わせにつながらない語で順位が上がっても、費用が発生します。Googleは「SEOが必要ですか?」のページで、”No one can guarantee a #1 ranking on Google.”(Googleで1位を保証できる人はいない)と説明しています。成果の定義は、順位ではなく社名以外の検索からの問い合わせ件数にしてください。
契約前に確認する6つの質問
見積もりを受け取ったら、次の6つを質問してください。答えを文書でもらうと、12か月目の見直しで約束と実績を比べられます。
- 狙う検索語:どの検索語を、なぜ選んだか。受注につながる理由は何か
- 毎月の作業量:記事の本数、修正の件数、リライトの本数は月に何件か
- 成果の定義:報告書で、社名を含む検索語を分けて報告するか
- 記事の権利:契約終了後も、作った記事を自社のサイトで使い続けられるか
- 計測の権限:Search ConsoleとGA4の所有者が、自社のGoogleアカウントになっているか
- 解約の条件:最低契約期間と、途中で解約するときの手続き
権限の渡し方はサーチコンソールの権限付与と削除の手順で、業者選び全体の確認項目はSEO業者の選び方と契約前の確認12項目で解説しています。
社内で行う作業と外注に依頼する作業
社内で行うのは、ステップ1の数字を出すこと、問い合わせと受注の記録をつけること、記事の事実と自社の事例を確認することです。この3つは社内の情報なので、外注しても社内の作業として残ります。
外注に依頼するのは、狙う検索語の設計、記事とサイトの修正、毎月の数字から次の作業を決める判断です。毎月の判断が止まりがちな会社なら、毎月の判断から実装まで進めるSEO対策の伴走支援という依頼の仕方もあります。月ごとに何を行うかを決めて実装まで進め、判断の理由と手順を文書で共有するので、社内に担当者ができた時点で作業を引き継げます。
社名検索・売上・問い合わせの中身・順位の4点で数字がずれていないかは、契約前の質問で確かめます。
SEO対策の費用対効果でよくある質問
月額5万円ほどの安いSEO外注でも、費用対効果は合いますか?
損益分岐の件数が小さくなるので、合う条件はあります。ただし月額が低いぶん、作業時間も限られます。狙う検索語を受注につながる数語に絞っているか、毎月どの作業を何件行うかを契約前に確認してください。作業が順位の計測と報告だけなら、問い合わせ件数を増やす作業は含まれていません。
客単価が数千円〜数万円の商売でも、SEO対策を外注する意味はありますか?
問い合わせ1件の価値が小さいと、損益分岐に必要な件数が月に数十件になり、外注費を回収しにくくなります。リピートが多い業種は、1回の売上ではなく年間の取引額で計算し直してください。それでも届かない場合は、記事は社内で書き、検索語の設計と確認だけを外部に相談する形が合います。
SEO対策とリスティング広告の費用対効果は、どう比べればいいですか?
問い合わせ1件を得るのにかかった費用で比べます。広告は配信を止めると問い合わせも止まります。SEOは効果が出るまで時間がかかる一方、記事が検索に出ている間は追加の外注費なしで問い合わせにつながります。比べる期間を12か月と24か月の2つで計算すると、予算の配分を決めやすくなります。
SEO対策の契約を6か月で解約すると、それまでの費用は無駄になりますか?
作った記事と修正したサイトを自社のものとして使い続けられるなら、無駄にはなりません。解約前に、記事の権利の扱いと、Search ConsoleとGA4の所有者が自社のアカウントかを確認してください。記事が業者のサーバーにしか無い契約だと、解約後は検索に出なくなります。
まずは直近12か月の受注額・粗利率・問い合わせ件数・受注件数の4つを書き出し、問い合わせ1件の価値を計算してみてください。業者からの報告の受け方まで決めておきたい方は、役員が納得するSEO報告のKPI設計が次の参考になります。
計算はできたものの、狙う検索語の選び方や毎月の作業を社内だけで決めるのは難しいと感じた方は、受注額から月額を決めるSEO対策の支援のページをご覧ください。いまの数字と見積もりを伺い、払ってよい月額と最初の3か月の作業を一緒に決めます。初回のご相談だけでも大丈夫です。
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