SSL化の費用は何で変わるか|内訳と制作会社に任せる範囲
この記事の要点
- SSL化の費用は証明書代ではなく、サイト内のURL置換とリダイレクト作業の量で決まる
- 費用が変わる条件は5つ。どれに当たるかで見積もりは数万円から十数万円まで動く
- 契約前に聞く質問7つと、業者に頼んでも社内に残る作業10項目を本文に掲載
SSL化(サイトをhttpsで表示させる対応)を制作会社に頼むときの費用は、証明書の代金ではほとんど決まりません。動くのは「サイトの中にhttp://と直接書かれた箇所がどれだけあるか」と「外部サービスの埋め込みがいくつあるか」です。サーバー付属の無料証明書を使えば証明書代は0円でも、作業費は数万円から十数万円まで幅が出ます。
この記事は、自分で設定したい方ではなく、見積もりを見て発注を決める立場の方(経営者・役員・院長・施設長)に向けて書いています。読み終わる頃には、見積書のどの行を見れば妥当か判断でき、契約前に何を聞けばいいかが決まっている状態を目指します。
扱うのは費用の内訳と発注の判断材料です。自分の手で設定する手順を知りたい方はSSL化しないとどうなるかと無料で対応する手順のほうが近いので、先にそちらをご覧ください。
Contents / 目次
SSL化の費用は4つに分かれる。大半は証明書代ではない
SSL化の見積もりを、この記事では作業の性格ごとに4つの区分で整理します。業界共通の見積書式ではなく、範囲を比べやすくするための当社の整理です。このうち金額の大半を占めるのは3番目の「サイト内の置換とリダイレクト」です。証明書代が0円でも作業費がかかるのはここが理由です。
| 区分 | 中身 | 費用の性格 | 削れるか |
|---|---|---|---|
| ①証明書の取得 | サーバー付属の無料証明書(Let’s Encryptなど)か、認証局の有料証明書を用意する | 無料か、年額 | 無料証明書で足りる会社が多い |
| ②サーバー側の設定 | 証明書の発行・適用、自動更新の確認 | 1回・作業量は小さい | 削りにくいが安い |
| ③サイト内の置換とリダイレクト | 画像・CSS・JavaScript・本文リンクのhttp://をhttpsに直す。httpへのアクセスをhttpsへ301転送する | 1回・ここが費用の大半 | 削ると表示崩れや警告が残る |
| ④公開後の外部設定の直し | Search Console・GA4・広告の最終URL・予約システム・外部ポータルの登録URL | 1回・見積もりから漏れやすい | 漏れると数字が追えなくなる |
見積書の読み方。区分の呼び方は会社によって違うので、そのまま同じ名前で出てくるとは限りません。「SSL化対応」の1行だけで金額が書かれている見積書は、①②しか見ていない可能性があります。③と④にあたる作業が別項目で立っているか、あるいは含まれると明記されているかを確認してください。
金額の考え方も押さえておきましょう。制作会社の見積もりは「作業にかかる人日 × その会社の単価」で決まります。単価は会社によって差が大きいので、ここでは仮に1人日5万円と置いて計算します(実際の単価は見積書で確認してください)。以下はあくまで作業量から逆算した例示で、統計上の相場ではありません。
- 10ページ以下の静的HTML・外部タグなし:0.5〜1人日。仮単価なら2万5千円〜5万円程度
- WordPressで30ページ前後・画像のhttp直書きや埋め込みあり:1〜3人日。仮単価なら5万円〜15万円程度
- 独自開発・古いCMS・予約や決済の連携あり:まず調査が必要で、調査費が別に立つこともある
証明書を有料にする場合は、上記に年額の証明書費用が乗ります。無料証明書と有料証明書のどちらを選ぶかの考え方は常時SSL化の費用と無料・有料の違いで詳しく書いているので、証明書の種類で迷っている段階の方はそちらを先に読んでください。
つまりこの章で押さえるのは、見積もりの高安を総額で判断せず「③と④が入っているか」で見るということです。総額が安い見積書は、作業範囲が狭いだけのことがあります。
SSL化の費用が変わる5つの条件
同じ「ホームページのSSL化」でも、次の5つのどれに当たるかで作業量が数倍変わります。見積もりを依頼する前に、自社がどこに当てはまるかを把握しておくと、出てきた金額の理由が分かります。
①サイトの作り方(WordPressか、静的HTMLか、独自開発か)
WordPressをhttpsに切り替えるときに見る設定項目は、WordPress公式ドキュメントのHTTPSに関する解説で確認できます。実際の作業量は、本文や設定にどんな形でURLが保存されているかによって変わるため、見積もり前に制作会社に調べてもらう部分です。
一方、静的HTMLを1ファイルずつ手で作ってきたサイトは、ファイル数がそのまま作業量になります。50ファイルあれば50ファイル開いて確認します。ホームページビルダーなどのソフトで作ったサイトについては、使っているソフトの公式情報で編集と公開の手順を確認してください。移行を含めて考える場合はホームページビルダーからWordPressへ移行する手順が参考になります。
独自開発のサイトは、テンプレートの中でURLをどう組み立てているかを読まないと直せません。ここが調査費の発生源です。
②http://と直接書かれた箇所がどれだけあるか
費用を一番大きく左右するのがこれです。画像やリンクの指定が「/images/logo.png」のような相対パスで書かれていれば、httpsに切り替えても何も起きません。ところが「http://example.co.jp/images/logo.png」のようにドメインごと書かれていると、1つずつ直す必要があります。
やっかいなのは、この直書きがHTMLだけでなくCSSの背景画像指定、JavaScriptの読み込み、過去のブログ記事の本文、埋め込んだ表やバナーの中にも散っていることです。「本文は直したのにCSSの中が残っていて、鍵マークが出ない」というのが現場で最も多い詰まり方です。
③外部サービスの埋め込みとタグの数
次のような外部サービスの埋め込みが、費用に効いてきます。
- YouTubeの動画埋め込み
- Googleマップ
- 予約システム
- 問い合わせフォーム
- チャット
- アクセス解析
- 広告の計測タグ
これらが古い書き方のままだと、httpsページの中にhttpの通信が混ざる「混合コンテンツ」になります。混合コンテンツとは、かんたんに言うと鍵のかかったページの中に鍵のかかっていない部品が混ざっている状態です。
この状態になると、地図やフォームが表示されないことがあります。
埋め込みが5個あるサイトと20個あるサイトでは、確認と差し替えの手間がそのまま変わります。見積もりを依頼するときに、使っている外部サービスの名前を書き出して渡すと、金額の精度が上がります。
④証明書の種類(無料で足りるか、会社名の入った証明書が要るか)
証明書には、確認の範囲が違ういくつかの種類があります。ドメインの持ち主だけを確認するタイプ、会社の実在まで確認するタイプなどです。どの種類で何をどこまで確認するかは、発行元の認証局が公開している説明で確認してください。
多くの中小企業のコーポレートサイトは、サーバー付属の無料証明書で足ります。金融・決済・大量の個人情報を扱う場合、あるいは取引先の規程で指定がある場合だけ、有料証明書を検討してください。対応できるドメインやサブドメインの範囲、有効期間、更新のしかたは証明書によって違うので、契約前に発行元の公式情報で確認してください。
⑤サーバーとドメインの情報がそろっているか
これが実は一番費用と期間に効きます。サーバーの管理画面のログイン情報、FTPの情報、ドメインの管理会社と名義。この3点がそろっていないと、作業に入る前の調査と連絡に時間がかかります。
特に多いのが、ドメインが以前の制作会社の名義で登録されているケースです。この状態だと証明書の設定やDNSの変更に相手の協力が必要で、SSL化の前にドメイン移管の交渉から始まります。金額の話に入る前に、ここで止まってしまうことがあります。
5つを見比べると、判断はこうなります。自社が①でWordPress、②③が少なく、⑤がそろっているなら見積もりは低く収まるはずです。逆に独自開発で情報が不明なら、まず調査の見積もりを別に取るのが安全です。
依頼から完了までの進め方と、社内に残る作業
SSL化の依頼は、次の5ステップで進めます。最初のステップで渡す情報の精度が、見積もりの精度と当日のトラブルの量を決めます。
- 現状の5項目を書き出して、同じ内容を各社に渡す
- 作業項目を分けた見積もりをもらい、範囲を突き合わせる
- 切り替え日を決める(避けるべき日がある)
- 当日、業者と自社で見る場所を分けて確認する
- 1週間後と1か月後に、数字と証明書の状態を見る
ステップ1。最初に渡す5項目のテンプレート
見積もりを依頼するときに、この内容をそのままメールに貼ってください。分からない項目は「不明」と書けば大丈夫です。不明が多いほど調査費が乗りますが、あとで判明して金額が変わるより先に伝えたほうが早く進みます。
件名:ホームページのSSL化(https化)の見積もりのご相談
1. サイトのURL
http://example.co.jp
2. サーバー
会社名(例:エックスサーバー、さくらインターネット、不明)
管理画面のログイン情報:あり / なし / 不明
3. サイトの作り
WordPress / 静的HTML / ホームページビルダー / 独自開発 / 不明
ページ数:おおよそ○ページ
作った会社:自社 / ○○社 / 不明
元データ(ソース一式):あり / なし
4. 使っている外部サービス(分かるものを全部)
例:YouTube埋め込み、Googleマップ、予約システム(サービス名)、
問い合わせフォーム、Googleアナリティクス、広告の計測タグ
5. ドメイン
管理会社:○○ / 不明
名義:自社 / 以前の制作会社 / 不明
6. 希望
対応してほしい範囲:証明書の設定だけ / サイト内の置換まで /
Search Consoleや広告の設定変更まで
希望時期、避けたい時期(繁忙期・キャンペーン期間など)
ステップ2。見積もりは作業項目ごとに分けてもらう
1行で「SSL化対応 一式」と書かれた見積もりは、比較ができません。先ほどの4区分(証明書・サーバー設定・サイト内の置換とリダイレクト・公開後の外部設定)に分けて出してほしいと伝えてください。分けてもらえば、A社が安いのは範囲が狭いからなのか、単価が低いからなのかが分かります。
同時に「含まれないもの」も書いてもらいます。リダイレクトの設定方法を自社でも把握しておきたい場合は、.htaccessでhttpをhttpsへ301リダイレクトする設定を見ておくと、見積書の項目の意味が分かります。
ステップ3。切り替え日は避けるべき日がある
SSL化の作業中は、表示崩れが一時的に出ることがあります。次の時期は避けて日程を組んでください。
- 広告を出している期間:広告のリンク先がhttpのままだと、httpsへの転送が1回増える
- メールマガジンや案内状を送った直後:受け取った人が一斉にアクセスする時間帯と重ねない
- 決算期・繁忙期・イベント直前:何かあったときに社内で対応できる人がいる日に寄せる
- 金曜の夕方:問題が出たときに、気づくのが月曜になる
ステップ4。当日の確認は業者と自社で分ける
業者側はサーバーとソースを見ます。自社側は、実際の使い方で見てください。この分担にすると、業者が見落とす箇所が見つかります。
- スマホで自社サイトを開く:アドレスバーに鍵マークが出ているか。「保護されていない通信」と出ていないか
- 問い合わせフォームから実際に送信する:送信できるか、自社にメールが届くか、自動返信が届くか
- 地図・動画・予約ボタンを開く:埋め込みが表示されているか、押せるか
- 検索結果から入り直す:Googleで社名を検索して、出てきたリンクを踏んでhttpsで開くか
- 社内ブックマークから開く:古いhttpのURLからでも正しく転送されるか
ステップ5。業者に頼んでも社内に残る作業10項目
ここが見積もりに入らない部分です。サイトの外にあるURLは、制作会社には直せません。社内で手分けして進めてください。
| 直す場所 | 担当になりやすい人 |
|---|---|
| 名刺・封筒・チラシ・パンフレットのURL表記(次回の増刷から) | 総務・広報 |
| メール署名のURL(全社員分) | 総務から全社へ連絡 |
| Googleビジネスプロフィールに登録したウェブサイトURL | 店舗・広報 |
| SNSのプロフィール欄のリンク | SNS担当 |
| 業界ポータル・求人サイト・商工会議所の会員名簿の掲載URL | 掲載を申し込んだ部署 |
| 請求書・見積書・契約書のテンプレートに入っているURL | 経理 |
| 取引先・関係先へのお知らせ(必須ではないが、社名でURLを登録している相手がいる場合) | 営業 |
| 広告の最終リンク先URL | 広告担当または代理店 |
| 予約システム・MAツール・チャットに登録したサイトURL | 各ツールの管理者 |
| QRコードを印刷物に使っている場合の再作成 | 広報 |
この章で決められるのは、依頼のしかたと分担です。見積もりを取る前に5項目を書き出し、切り替え日を社内カレンダーと突き合わせて、ステップ5の10項目を誰が持つかだけ決めておけば、あとは業者と進められます。
契約前に聞く7つの質問と、AIで下準備できること
見積書の金額だけでは、任せて大丈夫かは判断できません。次の7つを聞いて、返ってくる答えで判断してください。「危ない答え」の列は、そう答えた会社が悪いという意味ではなく、追加費用か未対応が後から出てくる合図として見てください。
| 聞くこと | 確認したい中身 | 危ない答え |
|---|---|---|
| 「混合コンテンツの確認は、どこまで見てもらえますか」 | 全ページか、テンプレートだけか | 「プラグインを入れれば大丈夫です」だけで終わる |
| 「301リダイレクトの設定は含まれますか」 | httpの旧URLからの転送が入るか | 「httpsで見られるようになります」とだけ答える |
| 「canonicalタグとサイトマップの更新は含まれますか」 | 検索エンジンに伝える側の対応 | 質問の意味が通じない |
| 「Search ConsoleとGA4の設定変更は含まれますか」 | 含まないなら自社でやる必要がある | 「そちらは別です」で終わり、何をすべきか教えてくれない |
| 「証明書の更新は自動になりますか。誰が見ますか」 | 自動更新か、手動か。手動なら担当者 | 「期限が来たらご連絡します」(連絡が来ない前提で考える) |
| 「作業中にサイトが見られない時間はありますか」 | 停止時間の見込み | 「止まりません」と言い切る(表示崩れの可能性は残る) |
| 「問題が出たときは、どこまで戻せますか」 | バックアップの有無と戻す手順 | バックアップの話が出てこない |
保守契約に入っている会社でも、SSL化は別見積もりになることが多いです。いま払っている月額に含まれるかどうかを先に確認してください。保守で何がカバーされるかの考え方はWordPress保守費用の相場と内訳にまとめています。
自社の状況をAIに整理させて、見積もり依頼の精度を上げる
非エンジニアの方でも、依頼前の下準備をAIに手伝ってもらえます。やり方は「自分で見える情報をコピーして渡し、分類を頼む」です。手順は次の3つです。
- パソコンのブラウザで自社サイトを開き、キーボードの F12 キーを押す(押しても開かない場合は、Windowsは Ctrl と Shift と I を同時に、Macは Command と Option と I を同時に押す)。画面の横または下に、英語のタブが並んだ領域が出る
- その中の「Console」タブを選び、表示されている警告の文字列をマウスで選んでコピーする
- コピーした内容をAIに貼り付けて、原因の分類と、誰が直す作業かを聞く
あなたはWeb制作の見積もりを見る側を手伝う立場です。
以下はブラウザのコンソールに出ていた警告です。
[ここに貼り付け]
この内容を、次の3つに分類してください。
1. サイトの中のファイルを直せば解決するもの
2. 外部サービスの埋め込みを差し替える必要があるもの
3. サーバー側の設定が原因のもの
そのうえで、制作会社への見積もり依頼文に書くべき箇条書きを作ってください。
専門用語は、注文する側が読んで分かる言い方に直してください。
出てきた答えは、そのまま信じずに次の2点だけ人が確認します。
- 挙げられたファイル名やURLが、実際に自社サイトのものかどうか
- AIが「これで直ります」と書いた手順を、自分で実行しないこと
サーバーの設定変更と切り替え当日の作業は、戻せる人がやる仕事です。AIに頼むのは、状況を言葉にして業者に渡すところまでにとどめてください。
この章でできるようになるのは、見積書を「金額の比較」ではなく「範囲の比較」で読むことです。7つの質問の答えをメモして並べれば、同じ金額でも中身が違うことが見えます。
SSL化にお金をかけると、何が変わるか
SSL化で直接増えるのは売上ではなく、離脱の理由が1つ消えることです。Google検索セントラルのHTTPSに関する公式ドキュメントでは、HTTPSを使っていないサイトについて、ブラウザが警告を表示することがあると案内されています。名前と電話番号を入れようとした人が、その警告を見てやめる。これが止まります。表示のされ方はブラウザと版によって変わるので、実機で自社サイトを開いて確かめてください。
検索の面では、httpsに切り替えたあとの扱いを整えることが大事です。同じGoogle検索セントラルのHTTPSに関する公式ドキュメントでは、移行時にhttpからhttpsへリダイレクトすること、canonicalをhttpsのURLに向けることが案内されています。順位が一気に上がるという話ではありません。ただ、旧URLの扱いを放置すると、検索エンジンにどちらが正しいURLなのかが伝わりません。
速度を測って直す順番はCore Web Vitalsを自分で測って直す手順で解説しています。
効果の出方を正直に書くと、こうなります。問い合わせが月に何件か来ているサイトなら、SSL化だけで件数が倍になることはほぼありません。効くのは、フォームのあるページで入力をやめていた人が減ること、取引先や金融機関にURLを出すときに説明が要らなくなること、そして広告や外部システムを新しく入れるときに「httpsでないと使えません」で止まらなくなることです。数万円から十数万円の支出に対して、この3つが同時に解消すると考えると判断しやすいはずです。
逆に「SSL化したから安全になった」とは考えないでください。SSL化は通信の盗み見を防ぐ対応で、サイトの乗っ取りやログインの突破を防ぐものではありません。そこはWordPress乗っ取り対策の更新と二段階認証のような別の対応が必要です。
SSL化でよくある失敗と、防ぎ方
SSL化は作業自体が複雑なのではなく、「終わったことになっているのに終わっていない」形の失敗が起きます。発注する側が知っておくと防げる5つを挙げます。
失敗1。鍵マークが出ないまま「完了」報告が来る
起きる状況は、制作会社がトップページと主要ページだけを確認して納品したときです。本文は直っているのに、CSSの中の背景画像指定や、3年前のブログ記事に貼った画像が、httpのまま残っています。
結果として、特定のページだけ鍵マークが出ません。しかも気づくのは数か月後、お客様から「このページ、安全じゃないって出てます」と言われたときです。
防ぎ方は、納品時に「どのページを確認したか」の一覧をもらうことです。そして自社側で、ブログ記事の古いもの3本、お知らせの古いもの3本、採用ページ、フォームのあるページを開いて鍵マークを見てください。テンプレートではなく「過去に人が手で追加した場所」に残ります。
失敗2。301リダイレクトは入ったが、サイトマップとcanonicalがhttpのまま
起きる状況は、作業範囲が「httpsで表示されるようにする」までで切られていたときです。httpで来た人はhttpsに転送されるようになったのに、検索エンジンに「このページの正しいURLはこれです」と伝えるcanonicalタグと、サイトマップの中のURLがhttpを指したままになります。
こうなると、検索エンジンが旧URLと新URLの間を行き来し、インデックスの更新が遅れます。ページが表示されないわけではないので、社内では誰も気づきません。
防ぎ方は、契約前の7つの質問に入れたとおり、canonicalとサイトマップの更新が含まれるかを発注時に確認することです。納品後はSearch Consoleで、登録されているURLがhttpsになっているかを見てください。手順はインデックス未登録の原因と再登録の手順で解説しています。
失敗3。アクセス解析のデータが、切り替え日から途切れる
起きる状況は、Search Consoleにhttpのアドレスで登録していた場合です。Search Consoleヘルプのプロパティ追加の説明では、URLプレフィックスのプロパティは指定したプロトコルのURLだけを対象とし、ドメインプロパティはhttpとhttpsの両方を含むと案内されています。httpで登録したプロパティのままだと、httpsに切り替えたあとのデータがそこに入りません。
結果として、検索からの流入がゼロに見えます。実際には流入しているのに、管理画面では途切れて見える状態です。SSL化の効果を判断する材料が、そこで失われます。
防ぎ方は、切り替え前にhttpsのプロパティを追加しておくこと、またはドメイン単位のプロパティに変えておくことです。GA4側も、計測タグがhttpで読み込まれていないか、設定されているサイトURLがhttpsになっているかを確認します。どちらも切り替え当日ではなく、前日までに済ませられる作業です。
失敗4。証明書の自動更新が入っておらず、数か月後にサイトが止まる
起きる状況は、有料証明書を手動で入れた場合、または無料証明書の自動更新が何かの理由で止まっている場合です。担当者が退職していたり、更新の通知メールが前任者のアドレスに届いていたりします。
結果は、ある日突然ブラウザに大きな警告画面が出て、お客様がサイトに入れなくなります。SSL化していない状態より、むしろ悪い見え方になります。有効期間と更新の条件は証明書によって違うので、発行元の公式情報で確認したうえで、更新を人の記憶に頼らない形にしてください。
防ぎ方は、納品時に「自動更新になっているか」「誰のメールアドレスに通知が届くか」を文書で確認することです。ドメインの期限と合わせた管理の進め方はドメイン・SSL期限切れでサイトが止まる前の更新管理の手順にまとめています。
失敗5。サイトが延々と読み込み中になる(リダイレクトの二重設定)
起きる状況は、サーバー側にhttpからhttpsへの転送設定が入っているのに、.htaccessやCMS側にも別の転送設定が残っているときです。あるいは過去に自社でhttpsからhttpへ転送する設定を入れていた場合です。
結果は、転送が無限に繰り返されてページが開きません。エラー画面も出ないので、原因が分かりにくい故障になります。
防ぎ方は、作業前に「いま転送設定がどこに入っているか」を業者に確認してもらうことです。起きてしまった場合の切り分けはリダイレクトループの原因切り分けと直し方を見てください。
5つを通して言えるのは、SSL化の品質は「切り替わったか」ではなく「古いURLの扱いと、更新の仕組みが残っているか」で決まるということです。納品時に確認する項目を先に決めておけば、数か月後の事故を防げます。
見積もりを取っても進まない条件と、現場での妥協点
正直に書くと、SSL化は「頼めば必ず数万円で終わる」作業ではありません。進まないケースと、割り切りが必要なケースがあります。ここを知らずに発注すると、見積もりが出てきた段階で話が止まります。
ドメインの名義が他社のままだと、SSL化の前に移管の交渉が入ります。10年以上前に作ったサイトでは、ドメインが当時の制作会社や担当者の個人名義で登録されていることがあります。この場合、証明書の設定やDNSの変更に相手の承諾が必要です。連絡が取れない、廃業している、引き継ぎに応じてもらえない。このどれかに当たると、SSL化より先にドメインをどうするかの判断になります。新しいドメインで作り直す選択を取ることもあります。
古いサイトは、SSL化だけが割に合わなくなる分岐点があります。判断の目安は次の3つです。
- PHPのバージョンが古くて、サーバーの更新ができない
- テーマやプラグインが数年更新されていない
- スマホで見たときに表示が崩れている
この3つに当たる数が多いほど、SSL化の工数を払ったあとに同じサイトの別の問題が出てきます。当社が相談を受けるときの目安として、2つ以上に当たるサイトは、SSL化の見積もりと並べてリニューアルの進め方と期間の判断ポイントも見てから決めることをおすすめしています。総額では安くなることがあります。
他社が作ったサイトは、断られることもあります。ソース一式がなく、独自に作られたサイトだと、調査に時間がかかるうえ、直したあとに別の箇所が壊れる責任を負うことになります。受けてもらえても調査費が別に立ちます。これは不親切ではなく、戻せない状態で触らないという判断です。依頼するときは「作った会社」と「元データの有無」を先に伝えると、受けられるかどうかの返事が早く来ます。
メールとサイトが同じサーバーにある場合、作業の影響範囲が広がります。SSL化そのものがメールを止めるわけではありませんが、サーバーの設定を触る作業なので、メールの送受信設定が同じ画面にあります。作業後に社内から送信テストをする段取りまで、依頼時に決めておいてください。
AIとの線引きも一言だけ書いておきます。状況を言葉にする下書きや、警告内容の分類はAIで十分に進みます。ただしサーバーの設定変更と切り替え当日の判断は、問題が出たときに戻せる人の仕事です。ここを混ぜると、戻せない状態で止まります。
この章で判断できるようになるのは、いま発注すべきか、その前にドメインやリニューアルの話を片付けるべきかです。ドメイン名義が不明なら、見積もりより先にそこを調べてください。
サーバーの無料SSLが使えるのに、制作会社に費用を払う意味はありますか
無料証明書で済むのは、この記事の4区分のうち①の証明書だけです。費用が発生するのはサイト内のURL置換とリダイレクト、公開後の外部設定です。ページ数が少なく、外部サービスの埋め込みもほとんどないサイトなら自社対応も現実的ですが、静的HTMLや独自開発、外部連携が多いサイトでは、直し漏れの発見に時間がかかります。
見積書に「SSL化対応」と1行だけ書かれています。これで発注して大丈夫ですか
発注前に範囲を文面で確認してください。具体的には、混合コンテンツの確認範囲、301リダイレクト、canonicalとサイトマップの更新、Search ConsoleとGA4の設定変更の4つが含まれるかです。含まれないものが分かれば、自社でやるか追加で頼むかを決められます。
SSL化の作業中、サイトが見られない時間はどれくらいありますか
証明書の適用自体は短時間で、完全に停止する時間はほとんどありません。ただし置換作業の途中で画像が出ない、レイアウトが崩れるといった表示の乱れは起こりえます。アクセスが少ない時間帯を選び、作業前のバックアップと、戻す手順の確認を依頼時に取り付けてください。
SSL化の費用は経費にできますか、それとも資産計上ですか
証明書の年額費用や設定作業だけなら、支出した期の費用として処理されるのが一般的です。ただしリニューアルと一体で発注した場合は判断が変わります。考え方はホームページリニューアル費用の勘定科目と資産計上の判断基準にまとめていますが、最終的な処理は顧問税理士に確認してください。
ホームページビルダーで作ったサイトでもSSL化を頼めますか
頼めますが、ソフトのプロジェクトファイル(元データ)が社内にあるかで進め方が変わります。元データがあればソフト側で直して再アップロードできます。無い場合はサーバー上のファイルを直接直すことになるので、そのあとソフトから更新するときにどう扱うかまで含めて相談してください。
今日の1分でできる確認と、相談先
まずはスマホで自社サイトを開いて、アドレスバーに鍵マークが出ているか、「保護されていない通信」と表示されていないかだけ確認してください。フォームのあるページでも同じように見ると、お客様が入力をやめる理由が残っているかが分かります。そのうえでSSL化の前後にサイト全体の作りを見直すか迷っている方は、ホームページリニューアルの進め方と期間・頻度の判断ポイントを続けて読んでみてください。
ここまで読んで、見積もりの範囲が自社に合っているか判断しきれない、ドメインの名義が分からなくて止まっている、という段階の方もいると思います。そんなときはSSL化まで含むホームページ制作・運用の相談からお声がけください。いまの状況をうかがって、どこから手をつけるかをお伝えします。
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