サブスク型ホームページ制作の費用|総額の出し方と解約の注意点
この記事の要点
- 費用は月額ではなく、利用月数分の総額と解約時の持ち出しで見る
- 買い切りと逆転する時期は条件次第。計算式と3パターンの試算を本文に掲載
- 契約前の確認は7項目。所有権とドメイン名義を外すと解約時に詰む
サブスク型ホームページ制作の費用は、月額の安さではなく「使うのをやめる日までに払う総額」と「やめた日に手元へ何が残るか」の2つで判断します。月額1万円でも、4年使えば48万円です。そこに初期費用と、解約するときの違約金・別会社での作り直し費用を足した金額が、実際の支払いになります。
この記事は、どこに頼むか・いくらかかるか・任せて大丈夫かを決める立場の方に向けて書いています。読み終わる頃には、手元の見積書から総額を自分で計算し、契約前に相手へ確認すべき項目を質問できる状態を目指します。
扱うのは費用の出し方と契約条件の見方です。月額が安いプランの中身がどうなっているかは格安プランが安い理由と契約前の確認点でも解説しているので、先に見積書の安さが気になっている方はそちらから読んでも大丈夫です。
Contents / 目次
サブスク型ホームページ制作の費用は「総額」と「やめた日に残るもの」で見る
サブスク型ホームページ制作と呼ばれる契約では、初期費用を抑えるかわりに、月々定額を払う形をとります。月額に何が含まれるかは会社やプランによって異なります。制作費・サーバー代・ドメイン代・保守・更新対応のうち、どれが含まれてどれが別料金かは、手元の見積書と契約書で確認してください。初期費用と月額の水準も会社ごとに大きく異なるため、相場ではなく手元の数字で判断します。
判断の材料になるのは、この月額そのものではありません。見るのは次の3つです。
- 利用月数分の総額:初期費用+月額×実際に使う月数。4年使うなら48か月で計算する
- 解約時の持ち出し:最低契約期間内にやめたときの違約金と、別会社で作り直すときの費用
- やめた日に残るもの:サイトのデータ、ドメイン、原稿、写真のうち、どれが自社に残るか
ここが分かれ目。月額が安くても、やめた日に何も残らない契約なら、払ってきた金額は家賃と同じ性質になります。逆に、ドメインとデータが自社にある契約なら、別会社へ移っても入口は残ります。
買い切り型との違いは、初期費用・所有権・やめたときの扱いの3点
サブスク型と買い切り型(制作費を一括で払い、その後は保守費のみ)の違いを、決裁の場で見る項目にそろえて並べます。デザインの良し悪しではなく、お金と権利の扱いが本当の違いです。
| 見る項目 | 買い切り型 | サブスク型 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 制作費を一括または分割で支払う | 抑えられている場合が多いが、金額は会社ごとに異なる |
| 月々の支払い | 保守費のみ(金額は小さい) | 制作費を含むため保守費より高い |
| サイトの所有権 | 納品時に発注側へ移るのが一般的 | 契約により制作会社側に残る場合がある |
| 解約・停止したとき | サイトは残り、自社で運用を続けられる | 公開が止まる契約と、データを引き渡す契約がある |
| 更新の依頼先 | 都度見積もりになることが多い | 月額に一定範囲が含まれる |
| 向いている状況 | 5年以上、同じ形で使う見込みがある | 事業の形がまだ動く、初期の現金を残したい |
会計上の扱いも決裁者にとっては論点になります。制作費を資産として計上するか、その期の費用として処理するかは内容によって分かれます。判断は個別の案件ごとに変わるので、金額が大きい案件では顧問税理士に確認してください。考え方の整理はホームページリニューアル費用の勘定科目と資産計上の判断基準でまとめています。
この章で押さえるのは、サブスク型か買い切り型かという二択ではなく、「何か月使う見込みか」と「やめた日に何が残るか」を先に決めると、どちらが自社に合うかが自動的に決まるということです。次の章で、その計算を実際にやります。
総額の出し方。見積書から4年分を計算する5ステップ
総額は、見積書から6項目を抜き出して、1つの式に入れれば出ます。所要時間は10分ほどです。専門知識は要りません。スプレッドシートに貼れる式も用意したので、そのまま使ってください。
ステップ1。見積書と契約書から6項目を抜き出す
最初にやるのは6項目の書き出しです。見積書だけでは足りず、契約書(または利用規約)を開かないと分からない項目が混ざっています。担当者に聞かないと分からない項目があれば、その時点で質問してください。
- 初期費用:「初期費用0円」と書かれていても、事務手数料・ドメイン取得費・撮影費が別行にないか確認する
- 月額:税別か税込か、サーバー代・ドメイン更新料が含まれるかを明記させる
- 最低契約期間:12か月・24か月・36か月など。自動更新の有無と、更新後の期間も見る
- 期間内解約の費用:残月数分の全額か、一定の割合か、計算方法を金額で出してもらう
- 月額に含まれる更新の範囲:文字修正だけか、画像差し替えやページ追加まで含むか
- 解約時に引き渡されるもの:データの形式と、ドメインの名義
「初期費用0円」の表記は、制作費が0円という意味とは限りません。制作費を契約期間に割り振って月額へ乗せている形が一般的で、その場合は期間内に解約すると残りの制作費が請求されます。ここは口頭ではなく、契約書の条文で確認してください。
ステップ2。総額を1つの式で出す
抜き出した数字を、次のようにスプレッドシートへ入れます。B5・B8・B9・B10の4つのセルに式を貼れば、総額と逆転時期が同時に出ます。GoogleスプレッドシートでもExcelでも同じ式で動きます。
# 使い方
# 1. A列に項目名、B列に数字を入れます(単位は円)
# 2. B5・B8・B9・B10 の4つのセルに、下の式をそのままコピーします
# 3. B3(想定する利用月数)を 24/48/60 と変えると、判断が変わる地点が見えます
B1 初期費用(サブスク) [見積書の金額を入力]
B2 月額(サブスク) [見積書の金額を入力]
B3 想定する利用月数 48
B4 解約時にかかる費用 [違約金+別会社での作り直し費用の見込みを入力]
B6 制作費(買い切り・相見積り) [相見積りの金額を入力]
B7 月額保守(買い切り・相見積り)[相見積りの金額を入力]
B5 =B1+B2*B3+B4
B8 =B6+B7*B3
B9 =IF(B2-B7<=0,"この条件では逆転しない",(B6-B1-B4)/(B2-B7))
B10 =(B5-B8)/B3
# B5 サブスク型の総額(解約費用B4まで含む)
# B8 買い切り型の総額(同じ利用月数で計算)
# B9 何か月目で買い切り型のほうが安くなるか(B4を含めた前提)
# B10 1か月あたりの差額。プラスならサブスク型が高い
B9の式は、先に払う金額の差を月々の差で割っているだけです。かんたんに言うと「買い切りで先に払う金額を、月々の差額で何か月かけて取り返せるか」を出しています。解約費用B4はサブスク側にだけかかる費用なので、分子で差し引きます。B4が大きいほど、買い切り型が安くなる時期は早まります。B9とB10はどちらも解約費用B4を含む前提でそろえてあるので、逆転時期と月あたりの差額が同じ条件で読めます。途中で解約しない前提で見たいときは、B4に0を入れてください。この記事の次章に出す試算のうち、AとBは解約しない前提なのでB4=0として計算し、この式と同じ結果になります。Cは途中で解約して作り直す別のシナリオなので、この式で出す逆転時期とは計算の対象が異なります。
ステップ3。買い切り型の相見積りを同じ条件でそろえる
比較の精度は、買い切り側の見積り条件をそろえられるかで決まります。ページ数・原稿を書くのはどちらか・写真は撮影かストックか・問い合わせフォームの有無を、サブスク側のプラン内容に合わせて指定してください。
条件をそろえずに相見積りを取ると、買い切り側だけオリジナル撮影や原稿制作が入り、同じ内容を比べていない金額が並びます。そうなると比較になりません。相場の見方はホームページ制作費用の相場と見積りの妥当性を見抜く手順で内訳ごとに説明しています。
ステップ4。利用月数を3通りに振って、判断が変わる地点を探す
B3(想定する利用月数)を24・48・60と変えて、B10の符号が入れ替わる地点を見ます。ここが、自社にとっての分かれ目です。
実務で効くのは、この地点と「事業の見通し」を並べることです。3年後に業態を変える可能性がある、2年以内に店舗を増やす、5年は同じ商売を続ける。この見通しより分かれ目が遠いならサブスク型、近いなら買い切り型が合いやすくなります。
ステップ5。解約した日に手元へ何が残るかを書き出す
最後に、金額ではなく「残るもの」を書き出します。紙に4行書くだけで終わります。
- ドメイン(自社名義か、制作会社名義か)
- サイトのデータ(HTML一式か、WordPressのエクスポートか、受け取れないか)
- 原稿と写真の元データ(自社で用意したものが返ってくるか)
- 問い合わせの履歴とアクセスデータ(GA4やフォームの送信記録が自社アカウントにあるか)
この4つのうち、1と3が自社に残っていれば、別の会社へ移っても入口とコンテンツは失われません。逆に1が制作会社名義だと、解約と同時にURLごと消えて、名刺・チラシ・Googleビジネスプロフィールの表記まで直すことになります。
この章で押さえるのは、総額は月額ではなく利用月数で決まり、月数は事業の見通しで決まるということです。式に入れる数字がそろわないなら、それは見積書の情報が足りていないという知らせです。
総額で並べ直すと判断はこう変わる。3パターンの試算
計算式だけでは動きにくいので、仮の数字で並べてみます。ここに出す金額はすべて例として置いた仮の数字で、実際の相場を示すものではありません。自社の見積書の数字に置き換えて読んでください。
条件は、サブスク型が初期費用0円・月額8,000円、買い切り型が制作費30万円・月額保守3,000円とします。パターンAとBは解約せずに使い続ける前提なので、解約費用B4は0円で計算しています。パターンCだけは、24か月で解約したあと別会社で作り直す想定で、違約金6万円・作り直しの制作費30万円(買い切り型と同じ条件)・作り直し後の保守費は月額3,000円×24か月=72,000円として計算しています。
| パターン | 4年間(48か月)の支払い総額 | 4年後に手元にあるもの |
|---|---|---|
| A:サブスク型を4年続ける | 384,000円(8,000円×48か月) | 公開中のサイト(契約は継続中) |
| B:買い切り型を4年使う | 444,000円(30万円+3,000円×48か月) | サイト一式とデータ、ドメイン |
| C:サブスク型を2年で解約し、別会社で作り直す | 624,000円(8,000円×24か月=192,000円+違約金6万円+作り直し30万円+3,000円×24か月=72,000円) | 新しいサイト(作り直し1回分の手間) |
この条件(B4=0円)だと、4年時点ではサブスク型が6万円安く、60か月目(5年)でちょうど並びます。月々の差額は8,000円−3,000円=5,000円、先に払う制作費は30万円なので、30万円÷5,000円=60か月という計算です。それ以降は買い切り型のほうが安くなります。解約費用が乗る場合は、その分だけ並ぶ時期が早まります。
読み取るポイント。最も高くつくのはパターンCです。途中でやめて作り直す流れが、違約金と再制作費の二重払いになるためです。サブスク型の損得は「続ける前提でいくらか」ではなく「途中でやめたときいくらか」で決まります。
だからこそ、契約前にこのCのパターンまで計算しておいてください。2年目に解約したくなる条件(更新が思ったより不便、集客が伸びない、業態が変わる)を先に想定して、そのときの金額を出してから判断すると、決裁の材料がそろいます。
この章で押さえるのは、比較すべきは「サブスクと買い切り」ではなく「続けた場合」と「途中でやめた場合」の2本立てだということです。やめた場合の金額を出せない見積書は、まだ判断材料になっていません。
契約前に確認する7項目と、そのまま送れる質問の文面
契約前に確認するのは7項目です。どれも「あとから聞いても手遅れになる」ものだけに絞りました。口頭の回答ではなく、メールなど文字で残る形でもらってください。
| 確認する項目 | 具体的に何を聞くか | 危ない回答 |
|---|---|---|
| 1. サイトの所有権 | 解約後にサイトを自社で使い続けられるか | 「基本的には大丈夫です」など条文を示さない回答 |
| 2. ドメインの名義 | ドメインの登録者名義を自社にできるか | 「弊社でまとめて管理しています」 |
| 3. 最低契約期間と違約金 | 13か月目で解約したらいくらか、金額で出してもらう | 「ケースバイケースです」 |
| 4. 更新に含まれる範囲 | 件数・種類・依頼から反映までの日数 | 「基本的に何でも対応します」(範囲が書面にない) |
| 5. データの引き渡し形式 | 何を、どの形式で受け取れるか | 「弊社独自のシステムなのでお渡しできません」 |
| 6. 契約の相手先 | 支払先は制作会社か、リース会社や信販会社が入るか | 契約書に第三者の社名が出てくる |
| 7. 値上げ・プラン改定の条件 | いつ、どう通知され、断ったらどうなるか | 「改定する場合があります」だけの記載 |
この7項目を聞くメールの文面を置いておきます。そのままコピーして、角かっこの部分を書き換えて送ってください。決裁に必要な確認事項として、事実を尋ねる形にしてあります。
件名:お見積りの内容について、契約前に7点の確認のお願い
[担当者名]様
お世話になっております。[会社名]の[氏名]です。
お見積りありがとうございました。社内で決裁を進めるにあたり、
以下7点について書面またはメールでご回答をお願いできますでしょうか。
1. 解約後、制作いただいたサイトを当社で継続して公開できますか。
可否と、根拠となる契約条項の番号をお教えください。
2. 独自ドメインの登録者名義を当社にできますか。
すでに貴社名義の場合、解約時に当社へ移管いただけますか。
3. 最低契約期間と、期間内に解約した場合の費用を教えてください。
例として「契約13か月目に解約した場合は○○円」と金額でお願いします。
4. 月額に含まれる更新対応の範囲を教えてください。
(文字修正/画像差し替え/ページ追加/フォーム変更の可否、
月あたりの件数上限、依頼から反映までの日数)
5. 解約時に引き渡していただけるデータの形式を教えてください。
(HTML一式/WordPressのエクスポート/画像の元データ/原稿)
6. 本契約のお支払い先は貴社でしょうか。
リース会社・信販会社など第三者が入る場合は、社名をお教えください。
7. 月額の改定はどのような条件で行われますか。
事前通知の時期と、当社が同意しない場合の扱いをお教えください。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
安いプランはどこを削って安くなっているのか
月額が安いプランは、手抜きをしているわけではなく、削る場所を決めて安くしています。どこを削っているかが分かれば、自社にとって困る削り方かどうかを判断できます。
- デザイン:用意されたテンプレートに色と写真を差し替える。オリジナル設計の工程がない
- ページ数:5ページまでなど上限がある。上限を超えると1ページごとに追加料金
- 原稿:文章は発注側が用意する前提。取材やライティングは別料金
- 写真:ストック写真を使う。撮影は別料金
- 更新:文字の修正のみ。レイアウト変更やページ追加は都度見積もり
- 窓口:チャットやフォームのみで、打ち合わせの時間が含まれない
このうち「原稿は自社で用意」が、実際にいちばん効きます。文章を書ける人が社内にいないと、公開がそこで止まります。月額は発生し続けるので、原稿待ちの数か月分がそのまま支払いだけの期間になります。
この章で押さえるのは、7項目の回答を文字でもらえるかどうか自体が、その会社を見る材料になるということです。答えられない項目がある会社は、契約後の更新依頼でも同じように答えが返ってきません。
サブスク型ホームページ制作でよくある失敗4つと回避法
ここからは、実際に起きている失敗を4つ挙げます。どれもサブスク型だから起きるもので、買い切り型では起きにくいものです。
失敗1。ドメインが制作会社名義で、解約時に移管できない
起きる状況は、制作会社に「ドメインの取得もお願いします」と伝えた場合です。このとき、登録者名義まで制作会社になっていることがあります。名義がどうなっているかは請求書や管理画面からは分からないことが多く、解約の話が出るまで気づかないまま進みます。
解約を申し出た段階で「ドメインは弊社の資産なので移管できません」と言われると、URLを変えることになります。新しいURLへの転送設定を旧ドメイン側で入れられない状態だと、これまで検索から来ていた流入は引き継げません。あわせて、名刺・パンフレット・車両のステッカー・Googleビジネスプロフィールの表記も直すことになります。
防ぐには、契約前に登録者名義を自社にしてもらいます。すでに契約済みなら、ドメイン検索サービスでWhois情報を調べる方法があります。ただし表示のされ方はドメインの種類や登録業者によって変わり、登録者名が登録業者の情報に置き換わっていることもあります。名義を確かめたいときは、契約している制作会社に登録者名義を書面で確認してください。名義変更は制作会社の協力が要るので、関係が良いうちに依頼してください。
失敗2。「更新し放題」の中身が文字修正だけだった
起きる状況は、月額の案内に「更新無制限」「何度でも修正対応」と書かれていて、範囲の定義を確認しないまま契約した場合です。契約後に「キャンペーンのページを1枚追加してほしい」と頼むと、追加見積もりが出てきます。
こうなると、月額を払いながら都度費用も払う形になり、当初の総額計算が崩れます。年に数回キャンペーンを打つ会社ほど、この差が効いてきます。
防ぎ方は具体的です。これから1年でやりたい更新を10個、実際に書き出して見積り時に渡します。「7月に夏季休業のお知らせ」「秋に新メニュー3品を追加」「12月に採用ページを1枚」のように、粒度を実務レベルまで落としてください。そのうえで、含まれるものと別料金になるものを見積書に書き分けてもらいます。
失敗3。月額制だと思っていたら、中途解約できないリース契約だった
起きる状況は、訪問営業で「初期費用なし、月々○円でホームページが持てます」と提案され、その場で契約書に署名した場合です。契約書をよく読むと、支払先が制作会社ではなくリース会社や信販会社になっていることがあります。
この形は、制作会社との月額契約とは別の契約が並ぶ形になります。中途解約ができるか、残りの期間分の支払いがどうなるかは契約書の条文で決まるので、署名前に解約の可否と、その場合に発生する金額を必ず確認してください。5年契約なら、その条件が5年分の支払いに効いてきます。
防ぎ方は、契約書の当事者欄と支払先を見ることです。制作会社以外の社名が出てきたら、その会社の役割を必ず質問してください。「リース料」「物件」「賃貸借」という語が契約書にあれば、月額サービスの契約とは別の形の契約です。その場で署名せず、契約書のコピーを持ち帰るだけで、ほとんど防げます。
失敗4。解約後にデータは受け取ったが、他社のサーバーで動かない
起きる状況は、制作会社が独自に開発したCMS(更新システム)でサイトを作っていた場合です。解約時に「データはお渡しします」と言われ、実際にファイル一式は届きます。
ところが、そのファイルは独自システムとセットで動く作りになっていて、他社のサーバーに置いても表示されません。受け取れたのは文章と画像だけ、という状態になり、結局デザインから作り直すことになります。
防ぐには、契約前に「何で作るか」を聞きます。WordPressのような広く使われているCMSなら、引き継げる会社を見つけやすくなります。ただし、独自に改変したテーマやプラグイン、特定のサーバー要件が絡むと、そのままでは動かないこともあります。使っているテーマ・プラグインの一覧と、サーバーの動作条件まで聞いておいてください。独自システムの場合は、解約時に受け取れるものを具体的な形式で確認します。現実的な落としどころは「HTML一式と画像、原稿のテキスト」までは最低限もらえる、という取り決めです。
この章で押さえるのは、4つの失敗はどれも契約前の確認で防げるということです。起きてから直すと、URL変更・再制作・残期間の支払いという形で、数十万円の単位に化けます。
AIでサイトが作れる時代に、月額を払う価値が出るのはどこか
ホームページを作る作業そのものは、以前より手を出しやすくなりました。それでもサブスク型に月額を払う価値が出るのは、作る作業ではなく、公開したあとに止まる場所を誰かが引き受けてくれるときです。
実際にサイトが詰まるのは、デザインではありません。現場で見ていると、止まるのはたいてい次の場所です。
- フォームのメールが届かない:送信は成功しているのに、迷惑メール判定で受信箱に入らない。問い合わせがあったことに気づかない
- ドメインとSSLの期限切れ:更新手続きを忘れ、ある日サイトが警告画面になる
- 更新する人がいなくなる:作った担当者が異動し、誰も編集画面に入れなくなる
- 法令表記の抜け:業種によって必要な表記(医療広告、特定商取引法など)が入っていない
この4つは、どれも公開後に人が気づいて手を動かさないと解決しません。月額の価値は、ここを月々いくらで引き受けてもらうか、という形で評価すると分かりやすくなります。AIを使って自分で作る場合の進め方はAIホームページ作成の5ステップとツール選びにまとめています。
自社で作る/サブスクに任せるの線引き
判断は、ページ数ではなく「更新の頻度」と「フォームが事業の生命線かどうか」で分かれます。
| 条件 | 自社でAIを使って作る | サブスク型に任せる |
|---|---|---|
| 更新の頻度 | 月1回以下。お知らせ程度 | 月に数回以上。価格や在庫が動く |
| 問い合わせの受け方 | 電話・LINEが中心で、フォームは補助 | フォームからの問い合わせが売上に直結する |
| 触る人の数 | 1人(作った本人が続ける) | 複数人。担当が変わる前提がある |
| 止まったときの影響 | 数日止まっても業務は回る | 1日止まると予約や受注が落ちる |
AI活用を打ち出している制作会社を見るときは、質問を1つ足してください。「原稿はAIで作りますか。作る場合、事実確認は誰がどうやりますか」です。営業時間・料金・資格・実績など、間違っていると信用に関わる情報を、誰が確かめるのかがはっきりしている会社は安心して任せられます。
この章で押さえるのは、作れるかどうかと、続けられるかどうかは別の問題だということです。月額を払う判断は、作る工程ではなく公開後の4つの詰まりどころを見て決めてください。
契約後に効いてくる妥協点と、サブスク型が向かない会社の条件
ここからは、契約してから気づく妥協点を率直に書きます。どれも「悪い会社に当たった」という話ではなく、サブスク型という形の性質として起きるものです。
更新のスピードは、自社で直すより必ず遅くなる
依頼窓口がチャットやフォームだけの場合、依頼を出してから反映までに営業日をまたぎます。何日で反映されるかは会社とプランによって異なり、繁忙期はさらにかかります。契約前に「依頼から反映までの日数」を書面で出してもらってください。
ここで困るのは、急ぎの告知です。台風で臨時休業する、価格改定が明日から、予約枠が埋まったので締め切る。こうした「今日中に出したい情報」が、月額に含まれる更新では間に合いません。
現場での落としどころは、お知らせ欄だけは自社の編集画面から投稿できるようにしてもらうことです。対応できるかはサービスによって異なるので、契約前に「お知らせの投稿権限をもらえますか」と確認してください。これが通れば、急ぎの情報は自力で出せるようになります。自社で更新する体制の作り方は更新されないサイトを直す更新体制の作り方で解説しています。
月額が安いほど、同業と見た目が近づく
テンプレートを使う以上、同じテンプレートを使った同業他社が出てきます。都市部の飲食店や美容サロンのように、同じ商圏に同業が多い業種では、お客さまから見たときの区別がつきにくくなります。
これが困るかどうかは業種で分かれます。営業時間・場所・メニューを調べに来る人が中心なら、テンプレートでも用は足ります。一方、「この会社に頼みたい」と思ってもらう必要がある業種(BtoBの受注生産、士業、採用目的のサイト)では、見た目の既視感がそのまま検討から外れる理由になります。
付帯サービスは、契約を続けた人だけが受け取れる
月額に「一定期間ごとのデザイン更新」を含めているサービスもあります。サイトが古びない良い仕組みですが、条件が1つあります。その時点まで契約が続いていることが前提です。
途中で解約すれば、その先の更新は受け取れません。それでも、そこまでに払った月額は戻りません。条件はサービスごとに違うので、受け取れる時期と、解約したときの扱いを契約書で確認してください。総額を計算するときは、この付帯サービスを割り引いて考えます。
サブスク型が向かない会社の条件
次のどれかに当てはまるなら、買い切り型か、制作と保守を分けた契約のほうが合いやすくなります。
- 5年以上、同じ形で使う見込みがある:総額で買い切り型に抜かれる可能性が高い
- 採用目的が中心:働く人の顔と言葉が主役になるので、テンプレートでは差が出ない
- 予約・会員・EC機能が必要:プランの標準機能から外れ、結局オプションで膨らむ
- 年に数回、特設ページを作る:ページ追加が別料金なら都度費用が積み上がる
- 社内に更新したい人がいる:依頼を挟む形が手間になり、自由に触れる環境のほうが早い
逆に、事業を始めたばかりで形がまだ動く、手元の現金を制作費に使いたくない、更新できる人が社内にいない、という状況ではサブスク型が合理的です。向き不向きは会社の規模ではなく、この4条件で決まります。
この章で押さえるのは、サブスク型の妥協点は「速さ」「見た目の独自性」「機能の伸びしろ」の3つに集まるということです。この3つが自社の勝負どころに重なっていなければ、サブスク型は良い選択肢になります。
サブスク型ホームページ制作のよくある質問
初期費用0円と書いてありますが、本当に最初は1円も払わないのですか
制作費が0円でも、事務手数料・ドメイン取得費・撮影費・原稿作成費が別行で入っていることがあります。見積書の「初期費用」欄だけでなく、明細の全行を見て、初月に請求される合計額を数字で確認してください。口頭で「0円です」と言われた場合も、請求書の初月分を見せてもらうのが確実です。
解約したら、サイトは本当に消えてしまうのですか
契約内容によります。所有権が制作会社側にある契約だと、解約と同時に公開が止まります。ただしドメインが自社名義なら、別のサーバーで作り直せばURLは変えずに済みます。消えるかどうかより、ドメインの名義とデータの引き渡し形式を先に確認してください。
月額制とリース契約は、契約書のどこを見れば見分けられますか
契約の当事者欄と、支払先の口座名義を見てください。制作会社以外にリース会社・信販会社の社名があれば、制作会社との月額契約とは別の形の契約です。本文中に「リース料」「物件」「賃貸借」という語が出てくる場合も同じです。解約の可否と、その場合に発生する金額は契約書の条文に書かれているので、署名前に確認してください。
いま買い切りで作ったサイトがあります。サブスク型に乗り換えると安くなりますか
既存サイトをそのまま引き継いでもらえるかで変わります。自社テンプレートへの作り直しが前提のプランでは、今のサイトは使われません。引き継げるかどうかは会社ごとに違うので、見積り時に確認してください。すでに制作費を払い終えているなら、保守だけを別契約にして月額を下げるほうが安くなるケースもあります。まず現状の保守費と比べてみてください。
契約の途中でデザインを大きく変えたくなったら、追加費用はかかりますか
多くのプランでは別料金になります。月額に含まれるのは文字や画像の差し替えまでで、レイアウトの作り替えは制作扱いになるためです。ロゴの刷新や店舗の改装を控えている場合は、その時期にデザイン変更がいくらかかるかを、契約前に見積もっておいてください。
まず今日、ドメインの名義を1分で確かめてください
この記事の内容で今日すぐできるのは、ドメイン名義の確認です。「whois 検索」で出てくるドメイン検索サービスに自社のドメインを入れて、登録者が自社名になっているかだけ見てください。1分で終わります。登録業者の名前しか出てこないときは、制作会社に名義を書面で確認します。ここが制作会社名義なら、解約の話を切り出す前に、名義変更を依頼するのが先です。
そのうえで、どこに頼むかを比べる段階に入るなら、ホームページ制作会社の選び方と失敗しない判断軸も合わせて読んでみてください。
手元の見積書を見ても、総額と解約条件のどちらも読み取れない。そんな状態でしたら、一度お話を聞かせてください。契約条件から見直すホームページ制作・運用のご相談では、いまの見積書のどこを質問すべきかを一緒に洗い出します。乗り換えありきではなく、今の契約を続けたほうが得なケースもはっきりします。
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