学習塾の集客コンサルと広告代行|体験申込単価の考え方と任せる作業
この記事の要点
- 依頼の前に、体験申込1件の上限単価を粗利と入塾率から逆算する
- 集客コンサルは手段の配分、広告運用代行は配信と改善が仕事
- 契約前の確認は7項目。申込の数え方と合格実績の表示が分かれ目
学習塾の集客を外部に任せるときは、先に「体験授業の申込1件にいくらまで出せるか」を決め、そのあとで集客コンサルと広告運用代行のどちらに何を任せるかを決めます。この順番が逆になると、届いた見積もりが高いのか安いのか判断できません。
個人塾から数教室までを運営する塾長・経営者で、Web広告を代行会社に任せるか、集客コンサルに相談するかを迷っている方に向けた記事です。読み終わる頃には、申込単価の上限と、任せる作業・教室に残す作業を決められる状態を目指します。
扱うのは、上限単価の計算、費用の内訳、契約前の確認項目です。運用手数料の固定型と料率型の違いそのものは、広告運用代行の固定と料率の違いと総額の出し方で解説しています。
Contents / 目次
学習塾の集客コンサルと広告運用代行の違いと、依頼する前に決める3つのこと
集客コンサルとは、チラシ・Googleマップ・Web広告・紹介のうち、どの手段にどれだけ予算と手間をかけるかを決める支援のことです。広告運用代行は、Google広告やInstagram広告の設定と配信を引き受け、数字を見ながら広告文や配信地域を改善する仕事です。
どちらに依頼する場合も、塾側で先に決めておくことは次の3つです。
- 体験授業の申込1件に、いくらまで払えるか(上限単価)
- 申込をどこで数えるか(フォーム・電話・LINEのどれを1件とするか)
- 教室に残す作業と、その担当者
| 比べる点 | 集客コンサル | 広告運用代行 | 教室に残る作業 |
|---|---|---|---|
| 主な仕事 | 手段ごとの予算配分、年間の集客計画 | キーワード・配信地域・入札の設定、広告文の改善 | 体験授業の受け答え、入塾の記録 |
| 月ごとに出てくるもの | 施策の優先順位、打ち合わせの議事録 | 配信の報告書、広告文や地域の変更内容 | 申込台帳、体験からの入塾率 |
| 向いている塾 | 広告を出すかどうかから決まっていない | 検索広告を出すと決めていて、LPと計測がある | どちらに依頼しても必ず残る |
| 費用の形 | 月額の顧問料、または単発の診断 | 広告費+運用手数料(固定または広告費の料率) | 塾長・教室長の時間 |
| 注意すること | 提案の実行は塾側の作業になることがある | 体験申込の件数だけを追う運用になりやすい | 記録が止まると、どちらも改善できない |
判断の分かれ目は、広告を出すと決めているかどうかです。出すと決めていて、体験申込のフォームと計測があるなら広告運用代行が早く進みます。チラシを続けるか、Googleマップの口コミに力を入れるかから迷っているなら、集客コンサルの領域です。
チラシ・Googleマップ・Web広告のどれから始めるかが決まっていない段階なら、広告・Googleマップ・LINEのどれから始めるかを決めるWeb集客の相談で順番を決めてから、依頼先を選ぶ進め方もあります。
この章の結論。依頼先を比べる前に、上限単価・申込の数え方・教室の担当者の3つを決めておけば、コンサルと代行のどちらが合うかも、見積もりの妥当さも判断できます。
体験授業の申込単価はいくらまで出せるか。上限の計算手順
体験授業の申込1件の上限は「生徒1人から得られる粗利×集客に回す割合×体験から入塾する割合」で出します。代行会社に払う運用手数料も、広告費と合わせて上限の中に含めて考えます。
ステップ1。生徒1人の粗利を学年ごとに出す
月謝×平均の在籍月数×粗利率で、生徒1人あたりの粗利を出します。講習費や教材費を含めるかどうかは塾ごとに決めて構いませんが、毎回同じ計算にそろえてください。
学年ごとに分けて出すのが大事です。中学3年生の秋に入塾した生徒は、高校受験が終わる春で在籍が終わる場合があり、小学5年生で入塾した生徒とは在籍月数が大きく違います。学年をまとめて平均すると、受験学年の広告に払いすぎる計算になります。
ステップ2。体験授業から入塾した割合を数える
過去6か月の体験授業の人数と、そのうち入塾した人数を数えます。記録が残っていない場合は、今月から次の台帳をつけ始めてください。表計算ソフトに貼り付ければそのまま使えます。
申込日,教室,学年,科目,申込経路,申込方法,体験日,入塾の可否,入塾日,月謝,備考
2026/10/08,〇〇教室,中2,数学,検索広告,電話,2026/10/12,入塾,2026/10/20,[月謝を入力],定期テスト前
2026/10/09,〇〇教室,小6,算数,チラシ,フォーム,2026/10/14,検討中,,,兄が在籍
「申込経路」と「申込方法」を分けて記録するのがポイントです。検索広告を見た保護者が、フォームを使わずに電話で申し込むことがあります。フォームの送信だけを広告の成果として数えると、電話の分が広告の成果から抜け、広告の効果を実際より低く見積もってしまいます。
フォームの計測の設定はフォーム送信をコンバージョン計測するGA4とGTMの設定手順で解説しています。
ステップ3。上限単価を決めて、見積もりと比べる
次の表は、計算の流れを示すための仮の数字です。自塾の月謝・在籍月数・入塾率に置き換えて計算してください。
| 項目 | 仮の値 | 計算 |
|---|---|---|
| 月謝 | 2万円 | ― |
| 平均の在籍月数 | 12か月 | ― |
| 粗利率 | 50% | ― |
| 生徒1人の粗利 | 12万円 | 2万円×12か月×50% |
| 集客に回す割合 | 30% | ― |
| 入塾1人あたりの上限 | 3.6万円 | 12万円×30% |
| 体験から入塾する割合 | 50% | ― |
| 体験申込1件の上限 | 1.8万円 | 3.6万円×50% |
この条件で、仮に広告費20万円・運用手数料が広告費の20%(4万円)の見積もりを受け取ったとします。合計24万円で体験申込が12件なら、1件あたり2万円で上限の1.8万円を超えます。
超えたときに見直すのは、次の3つです。
- 手数料の形
- 体験授業のあとの面談の進め方(入塾率)
- 配信する地域
入塾率が50%から60%に上がれば、上限は2.16万円まで上がります。粗利と入塾率から上限を出す考え方は、CPAを粗利と受注率で逆算する方法でも詳しく解説しています。
この章の結論。上限単価は学年ごとの粗利と入塾率で決まり、手数料も含めて比べます。台帳で体験と入塾を記録していれば、依頼する前と後の申込単価を同じ物差しで比べられます。
学習塾の広告費用が変わる条件と、代行に任せる作業・教室に残る作業
学習塾のWeb広告の費用は、広告費・運用手数料・初期設定・LPやバナーの制作の4つに分かれます。金額を左右するのは、教室数、配信する媒体の数、LPを新しく作るかどうかです。
| 内訳 | 金額が変わる条件 | 見積もりで確かめること |
|---|---|---|
| 広告費 | 配信地域の広さ、学年・科目の組み合わせの数、講習前かどうか | 誰の名義のカードで媒体に支払うか |
| 運用手数料 | 固定か料率か、媒体の数、教室の数 | 最低額、料率をかける金額は広告費か請求額か |
| 初期設定 | 新しいアカウントか既存の引き継ぎか、電話の計測を含むか | 計測の設定まで含まれているか |
| LP・バナー・動画 | 新しく作るか既存ページの改善か、教室ごとに分けるか | 修正の回数、解約後も使えるか |
教室が複数ある塾は、教室ごとにキャンペーンを分けるかどうかで手数料が変わることがあります。分けると教室別の申込単価が見えるので、駅前の教室は高く、住宅街の教室は安い、といった差が分かります。
広告のAIに任せる作業と、塾長が決める作業
Google広告の自動入札のうち、コンバージョンを目標にするスマート自動入札は、コンバージョンに基づいてオークションごとに入札単価を自動で設定します。P-MAX キャンペーンも、重視するコンバージョン アクションを目標に、検索・YouTube・ディスプレイ・マップなどの配信先をまたいで自動で最適化します。体験申込をコンバージョンにすると、入塾しなかった申込も同じ1件として扱われ、入塾につながりにくい申込が増えても広告の側からは区別できません。
そのため、何を成果とするか、通塾できる地域、優先する学年と科目、料金と実績の表記は、塾長が決めます。広告文やLPの見出しのたたき台は生成AIで作れますが、料金・合格実績・「無料」の文言は、公開前に塾長が料金表と名簿で確かめてください。
自社で行う作業と依頼する作業
- 依頼する作業:キーワード・配信地域・入札の設定、広告文の比較、計測の設定、月次の報告と改善案
- 教室で行う作業:申込への折り返し連絡、体験授業と面談、台帳への記録、料金表と合格実績の確認、教室や授業の写真の提供
体験申込への折り返しは、広告の成果に直結するため、代行会社に任せず教室で対応する作業として扱います。夜に届いた申込へ翌日の授業前に連絡する、のように担当者と期限を決めておきます。
広告の設定と毎月の判断は任せつつ、いずれは教室側で回せるようにしたい場合は、毎月の数字から翌月の施策を決める定額制マーケティング支援で、判断の理由と手順を文書に残しながら進める方法もあります。申込台帳と月次の数字がそろっていれば、施策ごとに申込単価が下がったかを比べられます。
この章の結論。費用の差は、教室数・媒体数・LPの有無で生まれます。何を成果とするかはどの契約でも塾側が決め、申込への折り返しは教室で対応する作業として残します。
契約前に確認する7項目と、学習塾の広告がうまくいかない条件
契約前に確かめる中心は、広告アカウントの名義、申込の数え方、合格実績や料金の表示を誰が確認するかの3点です。全体では次の7項目を確認します。
- 広告アカウントは塾の名義で作るか。解約後も設定と配信の履歴を引き継げるか
- 成果の1件を何で数えるか。同じ保護者のフォームと電話の重複をどう扱うか
- 電話の申込を計測するか。計測しない場合、台帳とどう突き合わせるか
- 運用手数料の計算の基準、最低額、最低契約期間
- LP・バナー・動画を解約後も塾で使えるか
- 月次の報告に、教室別・学年別の申込単価が載るか
- 合格実績や料金を広告文に載せるとき、公開前に誰が確認するか
1つ目は、代行会社を変更するときに問題になります。引き継ぎの流れは広告代理店を変更するときのアカウント引き継ぎの手順で確認できます。見積もりの依頼時に、次の文面で確認しておくと回答を比べやすくなります。
件名 Web広告運用のお見積もり前の確認事項([塾名])
[会社名]ご担当者様
[塾名]の[氏名]です。お見積もりの前に、次の点を教えてください。
1. 広告アカウントは当塾の名義で作成できますか。解約後も設定と配信履歴を引き継げますか。
2. 成果の1件は何で数えますか。電話での体験申込は計測の対象に入りますか。
3. 運用手数料は何を基準に計算しますか。最低額と最低契約期間はありますか。
4. 制作したLP・バナーは、解約後も当塾で使えますか。
5. 月次報告に、体験申込1件あたりの費用を教室別・学年別で載せていただけますか。
6. 合格実績や料金を広告文に載せる場合、公開前の確認はどのように進めますか。
当塾の現状は、教室数[〇]、月の体験申込[〇件]、体験からの入塾率[〇%]です。
合格実績や「入会金無料」を広告に載せると景品表示法の確認が要る
消費者庁の「表示規制の概要」にあるとおり、景品表示法は、サービスの内容を実際より著しく優良であると示す表示(優良誤認表示)と、料金などの取引条件を実際より著しく有利であると誤認させる表示(有利誤認表示)を禁止しています。広告文を代行会社が書いた場合も、塾の広告として出す表示なので、公開する前に塾側が内容を確かめてください。
合格実績は、短期の講習や模試だけを受けた生徒を含めるかどうかで数が変わります。どの生徒を数えたかを説明できる名簿を残し、LPに数え方を書き添えてください。
「今だけ入会金無料」と書いた表示を一年中出し続けると、実際の取引条件と食い違うため、掲載する前に表示の内容を見直してください。優良誤認表示や有利誤認表示に当たるかどうかは前述の消費者庁のページの原文で確かめ、判断に迷う表示は載せないことも選択肢に入れます。
体験申込だけを成果にすると、入塾しない申込が増える
代行会社の報告が体験申込の件数と単価だけだと、申込は増えたのに入塾が増えない状態に気づけません。月に1回、台帳の入塾の可否を代行会社に共有し、入塾1人あたりの費用まで報告に入れてもらいます。
広告のクリックと入塾の記録を毎月突き合わせられる塾は、Google広告ヘルプのオフライン コンバージョンのインポートについてで説明されている、広告のクリックのあとに広告の外で起きた成果をGoogle広告に取り込む機能も検討できます。同じページでは、これから導入する場合は、リードの拡張コンバージョンから始めることをすすめています。設定の進め方はオフラインコンバージョンのインポートで解説しています。
配信地域を市全体にすると、通えない地域から申込が入る
小中学生は自転車や保護者の送迎で通うため、通える距離は大人向けのサービスより短くなります。市全体に配信すると、体験授業の申込は入っても、通塾の距離を理由に入塾に至らない申込が混ざります。在籍生の住所から通塾圏を地図で確かめ、教室からの半径か町名で配信地域を決めてください。
この章の結論。契約前の7項目で名義・数え方・表示の確認者を決め、契約後は入塾まで報告に入れることで、申込は増えたのに生徒が増えない状態を防げます。
学習塾の集客の外部依頼でよくある質問
学習塾の集客コンサルに、体験授業の申込数を保証してもらえますか?
申込数は、地域の生徒数、競合する塾の広告、講習の時期、LPの内容で変わるため、保証できる性質の数字ではありません。保証をうたう契約を検討するときは、何を1件と数えるのか、電話やLINEの申込や同じ保護者の重複をどう扱うのかを契約書で確かめてください。
1教室だけの個人塾でも、Web広告の運用代行を依頼する意味はありますか?
「運用手数料の最低額+通塾圏だけに配信する最小の広告費」を体験申込の上限単価で割った件数を、通塾圏で毎月見込めるなら依頼する意味があります。見込めないなら、代行より自社で検索広告を少額から始めるほうが合います。
前の章の仮の上限1.8万円で計算すると、運用手数料の最低額が月5万円、通塾圏だけの最小の広告費が月10万円の場合、合計15万円÷1.8万円で約8.3件です。上限内に収めるには、月に9件以上の体験申込が必要になります。過去の台帳で通塾圏からの体験申込が月に9件に届いていなければ、代行は割高になります。
この計算に使う広告費は、代行会社に「通塾圏だけに配信する場合の最小の月額」を見積もってもらい、手数料の最低額と合わせて契約前に確かめてください。
フランチャイズに加盟している教室でも、自分でWeb広告を出せますか?
本部との契約で、広告の出稿やブランド名の使い方に決まりがあることがあります。出稿の前に、本部の規定と担当窓口に確認してください。
チラシをやめて、Web広告に予算を全部移したほうがいいですか?
台帳の「申込経路」でチラシ経由の申込と入塾が確認できるなら、続ける価値があります。チラシで塾名を知った保護者が、あとから塾名で検索して申し込むこともあるため、片方を止める前に、体験授業の面談で「何で知ったか」を聞いて記録してから判断してください。
まずは、過去6か月の体験授業の人数と、そのうち入塾した人数を数えてみてください。その割合が分かれば、上限単価が出せます。広告費の総額の見方を深めたい方は、リスティング広告の運用代行の手数料の内訳と総額の比べ方が次に読む記事として役立ちます。
ここまで読んで、上限単価の計算や代行会社の見積もりの比較を自塾だけで進めるのは難しいと感じた方は、広告運用も契約に含められる定額制マーケティング支援にご相談ください。ご相談は無料です。いまの申込と入塾の状況を伺い、ご契約後の初期診断で、最初の3か月にコレットラボが担当する作業を決めます。
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