AI研修のオンラインと講師派遣の違い|費用が変わる項目の比較表
この記事の要点
- 費用の差は講師料のほか、交通費と受講者の移動時間でも生まれる
- 拠点が複数ならオンライン、1拠点で初めて触る人が多いなら講師派遣
- 見積もり依頼文と見積書の確認8項目、演習が止まる・費用が膨らむ条件4つを本文に掲載
AI研修をオンラインにするか講師派遣にするかで総額を左右するのは、講師料だけではありません。交通費・宿泊費、受講者の移動時間、会場・機材と通信の準備も総額を左右します。受講者の勤務拠点が分かれているならオンライン、1つの会場に集まれてAIを初めて触る人が多いなら講師派遣が向きます。
研修の依頼先と予算を決める経営者・役員・院長・施設長に向けた記事です。読み終わる頃には、自社に合う形式を仮決めし、同じ条件で複数社に見積もりを依頼できる状態を目指します。
形式ごとの比較表、判断の条件、見積もり依頼文、見積書の確認項目、当日に演習が止まる失敗を扱います。研修で何を教えるかの選び方は生成AIの社内研修の内容と選び方で解説しています。
Contents / 目次
オンラインと講師派遣の違い。総額に入る費用の比較表
オンラインと講師派遣の費用の違いは、講師が移動するかどうかと、受講者がどこから参加するかで生まれます。オンライン研修とは、講師と受講者がWeb会議でつながって行う研修です。講師派遣とは、講師が自社の会議室や貸し会議室に出向き、対面で行う研修です。
2つの形式で差が出る項目と、どちらの形式でも総額に入る項目を、次の表に並べました。表のうち、3(内容の調整)と7(AIツールのアカウント)は形式による差が無く、どちらの形式でも総額に入る項目です。それ以外の6つは、形式によって費用が変わります。この表は総額を比べるためのもので、後のステップ3で使う「見積書の確認8項目」とは別のものです。
| 項目 | オンライン | 講師派遣(対面) | 費用が変わる理由 |
|---|---|---|---|
| 1. 講師料 | 研修時間と接続確認の時間 | 研修時間に加え、移動時間を料金に含める会社がある | 講師の拘束時間の数え方が会社ごとに違う |
| 2. 交通費・宿泊費 | かからない | 実費精算か料金込み。遠方ほど増える | 講師の拠点から会場までの距離 |
| 3. 内容の調整 | 形式による差は無い(どちらでも総額に入る) | 形式による差は無い(どちらでも総額に入る) | 自社の業務を題材にするほど事前の打ち合わせと教材づくりが増える |
| 4. 補助講師 | 受講者の画面が見えにくく、人数が多いと必要になる | 人数が多いと必要になる | 演習で止まった受講者に対応する人数 |
| 5. 会場・機材と通信 | 受講者ごとの端末と回線 | 会議室、プロジェクター、受講人数分のWi-Fiと電源 | 自社で用意するか、借りるか |
| 6. 録画と資料の利用 | 録画しやすいが、社内配布は許可が要る | 録画するなら別途の手配 | 二次利用の条件で追加料金になることがある |
| 7. AIツールのアカウント | 受講者全員分が要る(形式による差は無い) | 受講者全員分が要る(形式による差は無い) | 法人向けプランを研修前に用意するか |
| 8. 受講者の移動時間 | 自席や自宅から参加できる | 別の拠点の受講者は会場まで移動する | 移動の時間も人件費になる |
研修会社の見積書に載るのは、主に1〜4と6です。5・7・8は自社で用意・負担する費用なので、見積書だけを並べて比べると抜けてしまいます。
見積書の内訳を項目ごとに詳しく確かめたい場合は、AI研修の費用の内訳と見積もり依頼文もあわせて読んでおくと、次の章の判断が速くなります。
この章の結論。オンラインと講師派遣を比べるときは、見積額の差だけでなく、自社で負担する会場・アカウント・受講者の移動時間を足した総額で比べます。
オンラインと講師派遣はどちらを選ぶか。受講人数と拠点で決める判断基準
選ぶ基準は、受講者の勤務拠点の数と、AIを初めて触る受講者の割合です。自社の状況に近い行を探してください。
| 自社の状況 | 向く形式 | 理由 |
|---|---|---|
| 受講者の勤務拠点が2か所以上、または在宅勤務の受講者が多い | オンライン | 受講者の移動時間と講師の交通費が出ない |
| 1つの会場に集まれて、AIを初めて触る受講者が多い | 講師派遣 | ログインや入力で止まった受講者を、講師がその場で画面をのぞいて確かめられる |
| 経営者と社員で、AIに入力してよい情報などの社内ルールを決めたい | 講師派遣 | 同じ部屋で意見を出し合い、その日のうちに決めるところまで進めやすい |
| 広報・SNSなどの担当者1人を集中的に育てたい | 1対1のオンライン | 担当者自身の業務を題材にでき、日程も合わせやすい |
| 会議室の受講者と在宅の受講者が混ざる | オンライン(会議室の音声は1台にまとめる) | 会議室の受講者が各自のパソコンで音声をつなぐと、音が回り込んで演習の説明が届かなくなる場合がある。会議室の音声を1台にまとめれば防げる |
受講者の人件費を含めて総額を比べる計算例
総額は「研修会社への支払い+受講者の研修時間の人件費+受講者の移動時間の人件費+AIツールの費用」で比べます。研修時間の人件費とAIツールの費用は形式で変わらないので、形式によって差が出るのは、研修会社への支払い(講師料・交通費・宿泊費など)と受講者の移動時間です。
仮に、受講者15人、研修2時間、1人あたりの人件費を時給換算3,000円とします。研修時間の人件費は15人×2時間×3,000円=9万円です。講師派遣で受講者が別の拠点から往復1時間かけて集まるなら、15人×1時間×3,000円=4万5千円が加わります。
この4万5千円は研修会社の見積書には出てきません。講師派遣の見積額がオンラインより高く、さらに受講者の移動も発生する会社では、差はその分だけ広がります。受講者が全員同じ事業所にいるなら移動時間は0なので、見積額の差と、対面で得られる効果を比べて決められます。
外部の講師に依頼せず、社内で教える選択肢
社内にAIを毎日業務で使っている担当者がいるなら、その担当者が講師役になる方法もあります。外部講師の費用はかかりませんが、教材づくりと当日の進行にかかる担当者の時間を、上の計算と同じように人件費で見積もってください。社内で教える場合と外部講師に依頼する場合の分け方は、AI業務効率化を社員に教える順番で解説しています。
講師役になる担当者がまだAIを使いこなせていない場合は、先にその1人を育てる進め方もあります。広報・SNS・ホームページの担当者であれば、広報担当者が講師と1対1で学ぶAI実務研修で、オンラインの全8回を通じて、自社の広報業務を題材に、調査・企画・発信・分析でのAIの使い方を学べます。
この章の結論。拠点が分かれているならオンライン、1か所に集まれて初心者が多いなら講師派遣を仮決めし、移動時間を人件費に換算して総額を確かめます。
AI研修の見積もりを依頼する手順。依頼文と見積書の確認8項目
見積もりは、条件を1枚に書き出してから、同じ文面で2〜3社に依頼します。条件が会社ごとに違うと、金額の差が含む作業の差なのか、単価の差なのか判断できません。
ステップ1。研修の目的と受講者を書き出す
依頼する前に、次の5つを書き出します。
- 目的:研修の後に何ができればよいか。「営業部の担当者が、商談の議事録の下書きをAIで作れる」のように業務の名前で書く
- 受講者:人数、職種、AIを業務で使ったことがある人の数
- 勤務拠点:拠点ごとの人数と、在宅勤務の人数
- 使うAIツール:ChatGPT・Gemini・Copilotなど、どれを使うか。法人向けプランを契約済みか
- 日程:候補日、1回の時間、回数
ステップ2。同じ条件で2〜3社に見積もりを依頼する
次の依頼文の[ ]を自社の内容に書き換えて送ります。オンラインと講師派遣の金額を分けて出してもらうのがポイントです。
件名:AI研修のお見積もりのお願い([会社名])
[研修会社名]ご担当者様
AI研修の実施を検討しており、お見積もりをお願いいたします。
オンラインと講師派遣(対面)の両方について、金額を分けてお示しください。
1. 研修の目的:[例:営業部の担当者が、商談の議事録の下書きをAIで作れるようになる]
2. 受講者:[人数]名([職種]。AIを業務で使ったことがある人は[人数]名)
3. 勤務拠点:[例:本社15名、○○営業所5名、在宅勤務3名]
4. 使うAIツール:[例:ChatGPT。法人向けプランは契約済み/未契約]
5. 希望日程:[候補日]、1回[時間]時間×[回数]回
6. 会場(講師派遣の場合):[例:本社会議室。プロジェクターあり、来客用Wi-Fiあり]
見積書では、次の項目を分けて記載してください。
・講師料(時間を延長した場合の扱い)
・交通費・宿泊費(料金込みか実費精算か)
・事前の打ち合わせと教材の調整
・受講人数の上限と、超えた場合の費用
・録画と資料の社内配布の可否と費用
・研修後の質問対応の期間と方法
・日程変更とキャンセルの料金
[日付]までにご回答いただけますと幸いです。
ステップ3。見積書を8項目で照らし合わせる
届いた見積書を横に並べ、次の8項目が書かれているかを1社ずつ確かめます。書かれていない項目は、契約前に質問します。
- 講師料:時間単位か1回単位か。延長したときの金額
- 交通費・宿泊費:料金込みか実費精算か。実費なら上限の目安
- 内容の調整:自社の業務を題材にした演習が含まれるか。事前の打ち合わせの回数
- 受講人数:1回の上限と、超えたときの補助講師の費用
- 機材と通信:オンラインなら事前の接続確認の有無。講師派遣なら自社で用意する機材
- 録画と資料:社内で配布してよいか。後から入社した社員に見せてよいか
- 研修後の対応:質問を受け付ける期間と方法
- 日程変更とキャンセル:何日前から料金がかかるか
ステップ4。研修会社に任せる作業と社内に残る作業を分ける
研修会社に依頼しても、社内で準備する作業は残ります。担当者の名前を書き入れて、研修日の2週間前までに終わらせます。
| 作業 | 研修会社 | 社内の担当者 |
|---|---|---|
| 研修の内容と教材づくり | 担当する | 題材にする業務と資料の例を出す |
| AIのアカウントの用意 | 手順を伝える | 法人向けプランの契約と受講者の登録 |
| 接続確認・会場の準備 | 必要な機材を伝える | 会議室・Wi-Fi・プロジェクターの手配と、AIサービスにつながるかの確認 |
| 入力してよい情報の決まり | 考え方を説明する | 自社の決まりとして決め、受講者に伝える |
| 研修後の活用の確認 | 質問に答える | 受講者が業務で使っているかを1か月後に確かめる |
講師派遣で依頼する場合の分担と前日までの準備は、AI研修の講師派遣の分担表と準備チェックリストに詳しくまとめています。
この章の結論。同じ依頼文で形式ごとの金額を分けて出してもらい、8項目の抜けと社内に残る作業を確かめれば、見積額の差が何から来ているかを判断できます。
当日に演習が止まる・費用が膨らむ条件と防ぎ方
受講者が実際にAIを操作する演習を含む研修では、端末・アカウント・通信のどれか1つが欠けると、講師料を払ったまま演習に入れません。
オンライン研修を会議室の複数の端末で受けると、音声が回り込む
会議室に集まった受講者が、それぞれのパソコンでWeb会議に参加すると、スピーカーの音を別のパソコンのマイクが拾い、エコーやハウリングが起きます。講師の説明が聞き取れず、演習の指示が届きません。
会議室から参加するなら、音声は会議室の1台に絞り、ほかのパソコンはマイクとスピーカーの両方を使わない設定にして、演習は各自のパソコンで行う形にします。
研修用のAIアカウントを決めないと、個人アカウントで社内の情報を入力する
アカウントを決めずに研修日を迎えると、受講者は個人で登録したアカウントで演習を始めます。演習の題材に自社の資料を使うと、サービスや設定(会話履歴の保存、入力内容を学習に使うかどうか)によっては、その資料が会社で管理できない個人のアカウントに残る場合があります。
研修の2週間前までに、法人向けプランの契約か、研修では架空の資料だけを使う決まりのどちらかを決めておきます。プランごとの違いはAIの法人プランと個人プランの違いで確かめられます。
社内ネットワークがAIサービスへの接続を止めていると、講師派遣でも演習に入れない
社内のネットワークでWebサイトの閲覧を制限している会社では、AIサービスへの接続が止められていることがあります。講師が会場に来ても、受講者のパソコンからAIにつながらなければ演習ができません。来客用Wi-Fiに切り替えると、受講人数分の同時接続で通信が遅くなる場合もあります。
研修の1週間前に、受講者と同じ設定のパソコンを会場に持ち込み、使うAIサービスにログインして文章を1回送れるかを確かめます。止められていれば、情報システムの担当者に研修当日だけの許可を相談します。
助成金の支給を前提に日程を組むと、開催月が後ろにずれる
人材開発支援助成金の人材育成支援コースと事業展開等リスキリング支援コースでは、訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に、計画届を労働局へ出す必要があります。計画届を出した日から数えて、研修を開けるのは早くても1か月後です。訓練時間は10時間以上が要件なので、2時間の研修を1回行うだけでは満たしません。要件は改正されることがあるので、厚生労働省の人材開発支援助成金のページで、使うコースの最新のパンフレットを確かめてください。
助成金では、オンラインで行う研修の扱いにも決まりがあります。自社が企画・主催する訓練(事業内訓練)で助成の対象になるのは、対面の研修と、受講中に講師へ質問できる同時双方向型のオンライン研修だけです。eラーニング(受講管理のシステムで進み具合を記録する遠隔講習)は事業内訓練の対象にならず、外部の教育訓練機関のeラーニングを受講する場合も、経費の助成だけで、訓練中の賃金の助成はありません。事業展開等リスキリング支援コースでは、2026年8月3日以降に出した計画届によるeラーニングの訓練は、1人につき1年度1回までです(経過措置があります)。
助成金を使うなら、自社が企画・主催する訓練の計画として要件に合うかを、日程を決める前に労働局へ確かめます。条件の詳細はAI研修の助成金の条件と申請の流れで解説しています。
見積額が安くても、アカウント・接続・音声の準備が欠けると、演習の時間がそのまま無駄になります。研修会社との契約と同時に、社内の準備の担当者と期限を決めてください。
AI研修の費用と講師派遣についてよくある質問
講師派遣の交通費や宿泊費は、見積額に入っていますか?
研修会社によって違います。料金に含めている会社もあれば、実費を後から請求する会社もあります。実費精算の場合は、講師の出発地と上限の目安を契約前に確認してください。遠方から講師が来る場合は、宿泊費が加わるかどうかで総額が大きく変わります。
オンライン研修を録画して、後から入社した社員に見せてもいいですか?
契約で認められていれば見せられます。録画と資料の社内配布は、二次利用として追加料金がかかる場合や、受講者以外への配布を認めていない場合があります。録画を使う予定があるなら、見積もりの依頼文の段階で配布してよい相手と期間を書いて確かめてください。
講師派遣の当日に受講人数が増えたら、費用は変わりますか?
1回の上限を超えると、補助講師の追加や資料の増刷で費用が変わる場合があります。AIのアカウントも人数分が必要です。上限と超えたときの料金を見積書に書いてもらい、当日の飛び入り参加は認めるかどうかを社内で先に決めておくと、請求額のずれを防げます。
初回だけ講師派遣にして、2回目以降をオンラインにできますか?
組み合わせに対応している研修会社はあります。初回は対面でアカウントの登録と基本の操作を確かめ、2回目以降は各自の業務の題材をオンラインで扱う形にすると、交通費は初回分だけで済みます。見積もりでは、回ごとの形式と金額を分けて出してもらってください。
まずは受講予定者の人数と勤務拠点を書き出し、この記事の計算例に当てはめて、移動時間の人件費がいくらになるかを出してみてください。研修の効果をお金に換算して判断したい場合は、AI研修の費用対効果と回収月数の計算表が次の一歩になります。
ここまで読んで、自社に合う形式や研修の内容を決めきれないと感じた方は、経営者と社員が一緒に学ぶ120分のAI研修のページをご覧ください。1回10名までの研修で、講師が貴社の会場に伺います。オンラインをご希望の場合もご相談いただけます。オンラインでの事前の打ち合わせで、担当業務やAIの利用経験を伺い、研修内容を作成します。日程や人数が決まる前でも、ご相談いただけます。
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