ホームページ保守費用の勘定科目|月額・年払い・改修費の仕訳

ホームページ保守費用の勘定科目|月額・年払い・改修費の仕訳

この記事の要点

  • 月額の保守費は毎月の費用。科目名は法令で決まらず、毎期同じ科目で続ける
  • 年払いは原則前払費用。支払日から1年以内に契約期間が終わり、毎期続けて同じ処理をする場合は支払時の費用にできる
  • 改修費は機能追加か不具合修正かで分かれる。見積書の依頼文を本文に掲載

ホームページの保守費用は、月額払いでも年払いでも、サービスを受けた期の費用として処理するのが基本です。勘定科目は法令で一律に決まっておらず、「支払手数料」「保守料」「通信費」などから選んで、毎期同じ科目を使い続けます。扱いが分かれるのは、1年分を前払いしたときと、機能を追加する改修費を払ったときの2つです。

制作会社と保守契約を結ぶ、または契約を見直す立場の経営者・院長・施設長に向けた記事です。仕訳例と、見積書・契約書で確かめる項目を読むと、税理士に何を確認すればよいかが分かり、経理で迷わない形の請求書を制作会社に依頼できます。

制作費やリニューアル費用そのものの扱いはホームページリニューアル費用の勘定科目と資産計上の判断基準で解説しています。税務の最終判断は、顧問の税理士に確認してください。

Contents / 目次
  1. ホームページ保守費用の勘定科目と仕訳の早見表
  2. 契約前に確認すること。保守費用の内訳と社内に残る作業
  3. 月額・年払い・改修費の仕訳例
  4. 保守費用の仕訳を誤りやすい4つの条件と防ぎ方
  5. ホームページ保守費用の勘定科目のよくある質問

ホームページ保守費用の勘定科目と仕訳の早見表

保守費用は、支払の内容ごとに次の表のように処理します。2026年10月28日時点の国税庁の通達にもとづく一般的な扱いで、金額や契約の中身によって変わることがあります。

支払の内容勘定科目の例費用にする時期確認する国税庁の資料
月額の保守費(更新作業・セキュリティ更新・バックアップ)支払手数料、保守料サービスを受けた月特になし(通常の費用)
1年分の保守費の前払い前払費用 → 支払手数料原則は月ごとに振り替え。条件を満たせば支払時法人税基本通達2-2-14(短期前払費用)
サーバー・ドメイン・SSL証明書の料金通信費、支払手数料契約期間に応じて同上(1年以内の前払い)
不具合・表示崩れの修正修繕費支払時法人税基本通達7-8-6の2
予約・検索・会員などの機能を追加する改修ソフトウエア(無形固定資産)耐用年数にわたって減価償却法人税基本通達7-8-6の2、耐用年数の省令

勘定科目の名前で税額は変わりません。大事なのは、同じ内容の支払を毎期同じ科目で処理することです。1つの保守契約に更新作業とサーバー代がまとまっているなら、主な内容に合わせた1つの科目でそろえて構いません。

判断が分かれるのは2か所だけ。1年分を前払いしたときの「支払時に費用にできるか」と、改修費の「修繕費か資本的支出か」です。どちらも、契約書と見積書に書かれた期間と作業内容で決まります。

契約前に確認すること。保守費用の内訳と社内に残る作業

保守費用の金額も仕訳も、契約書と見積書に何が書かれているかで決まります。契約を結ぶ前に、内訳と期間が経理で読み取れる形になっているかを確かめます。

ホームページの運用保守費用が変わる内訳

月額の保守費は、次の項目を含むかどうかで変わります。月額の幅と、別料金になりやすい作業はホームページ保守の費用相場と月額に含む作業の一覧で解説しています。

  • 更新作業の回数:文章・写真の差し替えを月に何回まで含むか
  • セキュリティ更新:WordPress本体・テーマ・プラグインの更新と、更新後の表示確認を含むか
  • バックアップ:取得の頻度と、障害時に元に戻す作業を含むか
  • サーバー・ドメイン・SSL:料金を保守費に含むか、別に請求されるか
  • 障害対応:サイトが止まったときに何時間以内に対応するか
  • 改修:機能の追加を月額に含むか、毎回別に見積もるか

WordPressのサイトで保守の内訳をさらに細かく比べるなら、WordPress保守費用の相場と内訳8項目の質問テンプレートも使えます。

見積書と契約書の確認項目

経理と税理士が迷わないために、見積書と契約書で次の7項目を確かめます。

  1. 契約期間の始まりの日と終わりの日が書かれているか
  2. 年払いの場合、支払日から契約の終わりの日まで1年以内か
  3. 制作費・初期設定費・保守費が別の行に分かれているか
  4. サーバー・ドメイン・SSLの料金が保守費と分かれているか、含むと明記されているか
  5. 改修の見積書に「何が新しく使えるようになるか」が書かれているか
  6. 不具合の修正が保守費に含まれるか、別料金か
  7. 請求書に適格請求書発行事業者の登録番号が書かれているか

制作会社に送る依頼文のテンプレート

見積書や請求書が「保守・運用一式」の1行になっている場合は、次の文面で分けて書いてもらいます。[ ]の中を自社の状況に合わせて書き換えてください。

[制作会社名]ご担当者様

いつもお世話になっております。[自社名]の[氏名]です。
経理処理の都合で、見積書と請求書を次の形で分けて記載していただけますでしょうか。

1. 制作費・初期設定費・保守費を別の行にしてください
2. 保守費には契約期間(開始日と終了日)を記載してください
3. サーバー・ドメイン・SSL証明書の料金を含む場合は、その旨と金額を記載してください
4. 改修の見積もりは、作業ごとに次のどちらかを記載してください
   ・新しく追加される機能(例:予約フォームの設置)
   ・不具合の修正や、元の状態に戻す作業(例:表示崩れの修正)
5. 適格請求書発行事業者の登録番号を記載してください

お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

自社で行う作業と依頼する作業

保守契約を結んでも、社内に残る作業があります。契約と支払の管理、ドメインの登録者名義の確認、勘定科目を税理士と決めることは、制作会社には任せられません。

お知らせや採用情報の更新を管理画面から社内で行えるようにしておくと、保守契約で依頼する更新代行の回数を減らせます。

一方で、WordPress本体やプラグインの更新は、失敗するとサイトが表示されなくなることがあるため、保守契約に残します。

制作と公開後の保守を同じ会社に依頼したい場合は、制作費と月額保守を分けて載せているホームページ制作・運用のご相談も承っています。月額保守には、サーバー・ドメイン・SSLの管理、WordPressとプラグインの更新、バックアップの取得と復元確認、文章と画像の修正(月2回まで)が含まれます。

この章で押さえるのは、勘定科目は契約書と見積書の書き方で決まるという点です。契約前に7項目を確かめ、分かれていなければ依頼文で分けてもらえば、仕訳で迷う請求書はなくなります。

月額・年払い・改修費の仕訳例

保守費用の仕訳は、月額払い・年払い・改修費の3つで形が変わります。以下は税込経理の例で、金額はすべて仮の数字です。

月額払いの保守費の仕訳

月額の保守費は、サービスを受けた月の費用にします。月末締め・翌月払いなら、サービスを受けた月に未払金で計上し、支払った月に未払金を消します。

日付(月額33,000円の例)借方貸方
4月30日(サービスを受けた月の末)支払手数料 33,000円未払金 33,000円
5月31日(支払日)未払金 33,000円普通預金 33,000円

毎月同じ金額を口座振替で払う場合は、支払日に「支払手数料/普通預金」の1行で処理する方法もあります。決算月の分が翌期にずれるので、どちらにするかは税理士と決めます。

年払いの保守費の仕訳。原則と短期前払費用

1年分をまとめて払った場合、原則はいったん「前払費用」に入れ、サービスを受けた月ごとに費用へ振り替えます。

日付(4月1日に12か月分396,000円を支払った例)借方貸方
4月1日(支払日)前払費用 396,000円普通預金 396,000円
4月から翌年3月までの毎月末支払手数料 33,000円前払費用 33,000円

例外が短期前払費用の扱いです。法人税基本通達2-2-14は、一定の契約にもとづいて継続して役務の提供を受けるための前払いのうち、「支払った日から1年以内に提供を受ける役務」に係るものを、毎期続けて支払った期の損金にしている場合は、それを認めるとしています。この扱いを使うと、支払日に「支払手数料 396,000円/普通預金 396,000円」の1行で済みます。

主な条件は次の3つです。

  • 契約の種類:保守やサーバーのように、継続して同じサービスを受ける契約であること
  • 期間:提供を受ける役務の期間の終わりが、支払日から1年以内であること
  • 継続:毎期同じ処理を続けること

このほか、対象は実際に支払った額で、借入金の利子のように収益と対応させる必要がある費用には使えません(国税庁タックスアンサー「短期前払費用として損金算入ができる場合」)。2年分の一括払いのように1年を超える前払いは、この扱いの対象外です。前払費用に入れて、月ごとに振り替えます。個人事業主の場合は、所得税基本通達37-30の2に同じ趣旨の短期前払費用の扱いがあるので、適用できるかを税理士に確認してください。

改修費の仕訳。修繕費か資本的支出か

改修費は、何を変えたかで扱いが分かれます。法人税基本通達7-8-6の2は、ソフトウエアのプログラムの修正などについて、新しい機能の追加や機能の向上に当たるものは資本的支出、障害の除去や現状の効用の維持に当たるものは修繕費としています。

作業の例扱い仕訳の例
リンク切れ・表示崩れの修正、プラグイン更新後の不具合対応修繕費修繕費/普通預金
文章・写真の差し替え、お知らせの追加保守費と同じ費用支払手数料/普通預金
予約フォーム・会員ページ・検索機能の追加資本的支出ソフトウエア/普通預金、以後は減価償却

同じ計画で同じ資産に行う改修の費用が20万円に満たない場合は、修繕費として損金経理ができる扱いもあります(法人税基本通達7-8-3)。請求書を分けても、同じ計画の改修は合わせて1つの改修として判定します。ただし、もとのサイトを資産に計上していない会社では、機能追加の改修を新しいソフトウエアの取得として扱うかどうかから税理士と確認します。

ソフトウエアに計上した改修費は、自社で使うソフトウエアなら耐用年数5年で償却します(国税庁タックスアンサー「ソフトウエアの取得価額と耐用年数」)。中小企業者等の少額減価償却資産の特例は、令和8年4月1日以後に取得したものは40万円未満が対象です(国税庁タックスアンサー「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」・2026年10月28日時点)。資本的支出に当てはめられるかは、税理士に確認してください。

サーバー・ドメイン・SSL証明書の料金の仕訳

サーバー代・ドメインの更新料・有料のSSL証明書は、「通信費」か「支払手数料」で処理します。保守費にまとめて請求されているなら、保守費と同じ科目でそろえます。年払いは保守費と同じく、契約期間の終わりが支払日から1年以内なら短期前払費用の扱いを使えます。

SSL証明書は、2026年3月15日以降に発行されたものの有効期間が最長200日になりました(CA/Browser Forum の基本要件を改正した投票 SC-081)。年額で契約していても1年の間に証明書の入れ替えが要るので、入れ替えの作業が保守費に含まれるかを契約で確かめます。期限の管理はドメイン・SSL期限切れでサイトが止まる前の更新管理の手順で解説しています。

この章で押さえるのは、年払いは「支払日から1年以内か」、改修費は「新しい機能が増えたか」で扱いが決まるという点です。どちらも請求書の金額ではなく、契約期間と作業内容を見て判断します。

保守費用の仕訳を誤りやすい4つの条件と防ぎ方

保守費用の仕訳は、次の4つの条件で誤りやすくなります。どれも請求書の金額だけを見て処理したときに起きます。

支払日とサービス開始日がずれた年払い

3月決算の会社が3月1日に、4月1日から翌年3月31日までの保守料を払うと、サービスの終わりは支払日から1年を超えます。この場合は短期前払費用の条件を満たさず、支払時に全額を費用にした処理は認められないおそれがあります。国税庁の質疑応答事例「短期前払費用の取扱いについて」でも、3月決算の法人が2月に4月から翌年3月までの家賃1年分を支払う例は、この扱いが認められないとされています。契約書の契約期間と請求書の支払日を並べ、終わりの日が支払日から1年以内かを確かめてから処理します。

制作費と1年分の保守費をまとめた請求書

サイトの公開時に「制作・保守一式」の1行で請求されると、制作費と1年分の保守費が混ざります。全額を同じ扱いにすると、制作費の扱いと、前払費用として期間で分ける保守費の扱いを区別できません。前の章の依頼文で、制作費・初期設定費・保守費(契約期間つき)を別の行にしてもらいます。

機能追加を「保守対応」の名目で請求された改修

請求書の名目と作業の中身がずれると、次の2つの逆向きの誤りが起きます。

  • 資本的支出の漏れ:予約フォームの設置が「保守対応費」として月額に上乗せされると、修繕費や保守費として処理してしまい、資本的支出の部分が漏れます
  • 不要な資産計上:表示崩れの修正を「改修一式」で資産に計上すると、支払時の費用にできるものを5年かけて償却することになります

見積書の作業ごとに「新しく使えるようになること」か「元に戻すこと」かを書いてもらうと、どちらの誤りも防げます。

請求書のPDFだけをAIや会計ソフトに渡して科目を決める

請求書のPDFだけをAIや会計ソフトに渡すと、科目を決める手がかりは品目名しかありません。「サイト改修」の1行では、機能追加か不具合修正かをAIも判断できません。AIに渡すのは、請求書・見積書の作業明細・契約書の契約期間の3つです。次のような短い依頼から始め、あとは対話しながら自社の状況に合わせて詰めてください。

添付の請求書・見積書・契約書をもとに、ホームページの保守費用の仕訳案を作ってください。
・作業ごとに「修繕費」「資本的支出」「保守費(期間の費用)」のどれに当たるかと、その理由
・年払いの場合は、支払日と契約の終了日、その差が1年以内かどうか
・判断の根拠にした国税庁の通達の番号
を表で出してください。判断できない作業は「判断不可」とし、不足している情報を書いてください。

出てきた表は、契約期間の日付が契約書と合っているか、根拠の通達番号が国税庁のサイトにある本文と合っているかを担当者が確認します。そのうえで、税理士に表ごと見てもらうと確認が早く済みます。

この章で押さえるのは、誤りの多くは「請求書の1行だけで判断した」ことから起きるという点です。契約期間と作業明細の3つの書類をそろえてから処理すれば、4つの条件はどれも防げます。

ホームページ保守費用の勘定科目のよくある質問

これまでホームページの保守費を「広告宣伝費」で処理してきました。科目を変えたほうがいいですか?

どちらも支払った期の費用なので、毎期同じ科目で処理していれば税額は変わらず、急いで変える必要はありません。保守費を区別して管理したい場合は、期の初めから「支払手数料」などに切り替え、変えた時期を税理士に伝えておくと、前期との比較で説明できます。

ドメインを3年分まとめて払いました。支払った期の経費にできますか?

支払日から1年を超える前払いなので、短期前払費用の扱いは使えません。支払時は前払費用に入れ、決算日から1年を超えて費用になる部分は、貸借対照表では長期前払費用に分けて表示します。そのうえで、各期に1年分ずつ通信費などへ振り替えます。金額が小さい場合の扱いは、税理士に確認してください。

保守を依頼しているフリーランスの請求書に、インボイスの登録番号がありません。

保守費は経費にできます。変わるのは消費税の仕入税額控除で、免税事業者からの仕入れは、経過措置により仕入税額相当額の一定割合だけが控除の対象になります。

割合は時期によって変わるので、国税庁のインボイス制度特設サイトで最新の内容を確かめ、税理士に確認してください。

登録の有無は国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで確かめ、支払を止める理由にはしません。

WordPressの有料テーマやプラグインの年間ライセンス料は、どの科目にしますか?

期間のある使用料なので、保守費と同じく支払手数料などで期間に応じて費用にします。ライセンスの期間の終わりが支払日から1年以内なら、短期前払費用の扱いを使えます。期限の無い買い切りの場合は、金額によってソフトウエアに当たるかを税理士に確認してください。

まずは今の保守契約の請求書を1枚開き、契約期間と作業の内訳が書かれているかだけ確かめてください。保守契約の見直しや乗り換えも考えている場合は、公開後の更新・保守・解約で差が出るWeb制作会社の選び方も参考になります。

ほかの会社が制作したサイトの保守契約の見直しや乗り換えは、ご希望の場合は初回のご相談で伺います。コレットラボがお伝えするのは制作と月額保守の作業内容で、勘定科目や税務の判断は顧問の税理士にご確認ください。ご相談はホームページ制作と公開後の運用の相談から承ります。

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