OpenAIのdotsとは|ChatGPTの常時稼働エージェントでできることと始め方
この記事の要点
- dotsは会話が終わっても作業を続ける、ChatGPTの常時稼働エージェント
- 日本ではProとBusiness Premiumで提供。最初の1体は追加料金なし
- 導入前に決めるのは接続アプリ・権限・承認ルール・データの4つ。記入例は本文に
dotsは、OpenAIが2026年9月29日に発表した、ChatGPTの中で動く常時稼働のエージェントです。会話が終わったあとも専用のクラウドコンピューターとブラウザーで作業を進め、進捗や判断が必要なことをdotの側から知らせてきます。ChatGPT ProとBusiness Premiumで順次提供されており、日本も提供の対象地域に含まれています(2026年10月02日時点)。
社内でAIの使い方を決める経営者・役員、情報システムや総務の責任者に向けた記事です。読み終わる頃には、試用の前に決めるルールの記入例ができ、最初のdotを作るところまで進められる状態を目指します。
記載している仕様は、OpenAI公式の発表「dots のご紹介」とOpenAIのヘルプに書かれている内容に限っています。発表から日が浅いため、画面の名称や細かな仕様は、操作の前に公式の案内でも確認してください。
Contents / 目次
OpenAIのdotsとは。通常のChatGPTとの違い
dotsとは、ChatGPTの中で使う常時稼働のエージェントで、会話と会話の間も作業を進められる仕組みです。エージェントとは、指示を受けて自分で手順を考え、アプリを操作しながら仕事を進めるAIのことです。公式の案内では、1体ずつのエージェントを「dot」と呼んでいます。
dotはGPT-6 Astraで動き、専用のクラウドコンピューターとブラウザーを持っています。必要に応じてコードを書いてテストでき、プラグインを通じて4,000以上のアプリに接続できます。一緒に働くほど好みや考え方、求める仕事の質を学び、目標に向けて24時間働ける設計です。
| 項目 | 通常のChatGPTの会話 | dot |
|---|---|---|
| 作業するタイミング | 依頼されたときに、その会話の中で答える | 会話が終わったあとも作業を進める |
| 連絡の向き | 利用者から話しかける | 進捗・質問・判断が必要なことをdotから知らせる |
| 覚えること | ChatGPTのメモリ | ChatGPTのメモリに加え、接続したアプリから自分のメモリを作る |
いちばん大きな違いは、仕事を進める主体です。通常の会話は質問した分だけ答えが返ってきますが、dotは担当を決めておくと自分で作業を進め、確認が必要な場面で利用者を呼びます。チャネルをまたいで文脈を引き継ぐので、Slackで伝えた内容をChatGPTの画面で続けることもできます。
dotsが使えるプランと日本での提供状況
dotsは、日本ではChatGPT ProとBusiness Premiumで使えます。Proの提供対象から外れているのは欧州経済領域・スイス・英国です。Business PremiumはChatGPTが使えるすべての地域が対象で、ChatGPTの対応国の一覧(OpenAI公式ヘルプ)に日本が入っています。提供状況は次のとおりです(2026年10月02日時点)。
- Pro:欧州経済領域・スイス・英国を除く地域で順次提供
- Business Premium:ChatGPTが使えるすべての地域で順次提供
- Enterprise(Edu・Healthcareを含む):ワークスペース管理者が有効にするとベータ版を試せる。初期はオフ
- 料金:最初のdotはProとBusiness Premiumに追加料金なしで含まれ、高度な作業に使える利用枠もつく。提供開始後の最初の1か月は上限が拡大
- 組織向けの専門dot:組織内の特定の業務を担うdotを、対象を絞った企業向けの限定プレビューで提供
順次提供のため、契約していても反映まで数日かかることがあります。dotの追加や、作業速度・月の作業量の拡大は、今後できるようになる予定と案内されています。
ChatGPT自体の管理画面の設定がまだの会社は、先にChatGPT業務利用のセキュリティ設定で見る6項目を確認しておくと、dotsの判断に集中できます。
dotsに任せられる仕事と、確認を残す場面
dotsに向くのは、資料の照合や下書きの作成のように、決まった材料を読み比べて次の作業を用意する仕事です。OpenAIは公式の活用例として、次の仕事を挙げています。
- 開発者:顧客フィードバックから改善点を見つけて修正・テストし、確認用のPR(変更内容の確認依頼)を届ける
- ローンチ担当:製品仕様の変更に合わせてローンチ資料を修正する
- 科学者:新しいデータで分析を再実行し、図表を更新する
- 営業責任者:顧客要件と製品資料を照合し、提案書とテスト計画を更新する
- コンテンツ制作:インタビューの文字起こしから切り抜く場面を探し、承認用のSNS投稿の下書きを作る
OpenAI社外の初期テスターの例では、dotが請求忘れに気づいて請求書を作り、本人が承認したあとに送信しています。中小企業の業務に当てはめると、次のような分け方になります。
| 業務 | dotに任せる作業 | ご自身で確認すること |
|---|---|---|
| 請求 | 案件の一覧と請求の記録を照合し、請求漏れの請求書を下書きする | 金額・宛先・支払期日と、送信してよいか |
| 営業 | 顧客の要件と製品資料を照合し、提案書を更新する | 価格・納期など顧客への約束 |
| 広報 | 取材の文字起こしから投稿の下書きを作る | 公開してよい内容か、公開の時期 |
| 顧客対応 | 問い合わせの記録から多い質問を集計し、FAQの改善案を作る | 顧客へ送る回答の文面 |
どの業務でも、会社が決めるのは、dotの作業のどこで止めて承認を求めさせるかです。OpenAIも「dot は間違えることもあるため、重要な影響を伴う作業は必ず確認してください」と案内しています。
注意したいのは、dotが読める社内の情報は、利用者が接続を選んだアプリによって変わる点です。社員が個人の判断でアプリを接続し始めると、どの情報をdotに読ませたかを会社が把握できなくなります。入力してよい情報がまだ社内で決まっていない場合は、経営者と社員で考えるAI研修で、情報の扱い方を先に決める進め方もあります。
会社でdotsを使う前に決めること。接続アプリ・権限・承認ルール・データ
試用を始める前に決めるのは、接続するアプリ、権限、承認のルール、データの扱いの4つです。接続するアプリやカスタムルール、学習の設定はdotを作ったあとでも変えられますが、先に決めておくと、社員ごとに設定がばらばらになるのを防げます。
接続するアプリは読む用途から
接続するアプリはユーザーが選び、権限はChatGPTの既存のアプリ管理設定で管理します。4,000以上のアプリに接続できても最初から広げず、資料の保管先や案件管理の表のように、dotが読むことが中心のアプリから始めます。メールの送信やファイルの共有が起きるアプリは、承認のルールを決めてから加えます。
権限とdotが動くアカウント
dotは、利用者が接続したアプリを通して仕事をします。経営者や管理職のアカウントで接続すれば、そのアカウントで見られる情報をdotも扱える前提で考えてください。
試用は、扱う情報が限られた担当者のアカウントで始めるのが安全です。組織向けの専門dotでは、dotごとに固有のIDと認証情報を設定する仕組みが案内されています。
OpenAIは、専門dotをMicrosoftのAgent 365のガバナンス・セキュリティ管理機能と統合する取り組みを進めています。
操作ごとに選ぶ4段階の承認ルール
dotには、自律的に行動する場合と承認を求める場合のルールが組み込まれています。そのうえでカスタムルールを使うと、共有・購入・アクセスなどの操作ごとに、「確認せずに実行」「事前に依頼済みなら実行」「実行前に確認」「ユーザーに引き渡す」から選べます。組み込みの安全要件は常に適用され、パスワードの変更など一部の作業は必ず利用者自身が行います。
| 操作の例 | 選ぶ段階の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 社内資料の読み取り・要約 | 確認せずに実行 | 社外に何も出ていかない |
| 社内チャンネルへの進捗報告 | 事前に依頼済みなら実行 | 依頼した報告に限れる |
| 社外へのメール送信・ファイル共有 | 実行前に確認 | 送ったあとは取り消せない |
| 購入・支払い | 実行前に確認 | 金額の誤りがそのまま損失になる |
| 契約・アクセス権の付与 | ユーザーに引き渡す | 会社としての判断が必要 |
アカウントに影響する操作や情報を共有する操作は、自動レビューで指示・カスタムルール・安全要件に照らして確認されます。ただし、何を社外に出してよいかは会社が決めることなので、社外に影響する操作は「実行前に確認」以上にしておきます。
データの扱いとプランごとの学習設定
ChatGPT Business・Enterprise・Eduのワークスペース内の内容は、初期設定ではモデルの改善に使われません。個人向けプランでは、dotとの会話や作業をモデルの改善に使うかを設定で選べます。
利用者とやり取りしていない間にdotが行う調べもの(プロアクティブリサーチ)や、dotのメモは直接学習には使われません。ただし、それらが学習対象の会話やタスクに使われた場合は、設定に応じて使われることがあります。社内のどの資料をどの区分で扱うかは、生成AIに社内データを読ませる前の棚卸しの手順で決めておくと、接続するアプリも選びやすくなります。
4つを決めたら、次のような記入例にして社内で共有します。
dotの利用ルール(記入例)
【使う人】総務部 ○○(試用期間 ○月○日〜○月○日)
【担当させる業務】月末の請求漏れの確認と、請求書の下書き
【接続するアプリ】案件管理の表、請求の記録(送信できるアプリは試用後に判断)
【自分のパソコンへの接続】試用中はオフのまま
【確認せずに実行】社内資料の読み取り・集計
【実行前に確認】社外へのメール送信、ファイル共有、購入
【ユーザーに引き渡す】契約、アクセス権の付与
【承認する人】総務部長(不在時は○○)
【学習設定】ワークスペースの設定を確認済み(確認日 ○月○日)
【リセットする時】担当の交代時、試用の終了時
この記入例を共有しておけば、記入例に書いた操作については、試用の初日から担当者ごとに同じ基準で確認の要否を判断しやすくなります。書いていない操作が出てきたときは、承認する人に確認して記入例に追記します。
最初のdotを作る5つの手順
最初のdotは、ChatGPTのデスクトップアプリかパソコンのブラウザーで作ります。モバイルでは作れず、モバイルのブラウザーにも対応していません。ここで紹介する作成の手順は、OpenAIのヘルプ「Getting started with your dot」に書かれている内容をもとにしています。
ステップ1 契約プランと提供状況の確認
契約がProかBusiness Premiumかを確認します。Enterpriseの場合は、ワークスペース管理者がdotsを有効にするまで使えません(初期はオフ)。契約していても表示されないときは、順次提供の途中の可能性があるため、数日たってから確かめます。
ステップ2 デスクトップでのdotの作成
ChatGPTのデスクトップアプリ(Windows版もあります)か、パソコンのブラウザーを開いて最初のdotを作ります。dotには名前を付けられ、ハンドルは「@自分の名前-dot」の形になります。社内で複数の社員が試すなら、名前に担当業務を入れておくと、Slackなどで呼びかけるときに区別しやすくなります。
ステップ3 アプリの接続と自己紹介の確認
記入例で決めたアプリだけを接続し、dotの自己紹介を聞きます。
dotはChatGPTのメモリを受け取ります。メモリに古い情報や業務と関係のない情報が残っていないかも、この時点でChatGPTの設定から確かめておきます。担当業務は、次のステップ4で伝えます。
ステップ4 担当業務と承認ルールの伝達
最初の指示は、作り込んだ長文よりも、担当・材料・止める場所が分かる短い文で十分です。次の文をたたき台にして、あとはdotと対話しながら自社の状況に合わせて詰めてください。
あなたの担当は[月末の請求漏れの確認]です。
毎週[月曜日の朝]に[案件管理の表]と[請求の記録]を照合し、請求書が作られていない案件を一覧にしてください。
請求書の下書きまでは作ってかまいません。
送信は必ず私の承認を待ってください。
分からない点は推測で埋めず、質問してください。
あわせて、記入例で「実行前に確認」「ユーザーに引き渡す」にした操作を、カスタムルールにも設定します。指示文に書いた止め方とカスタムルールの設定が食い違っていないかも、ここで確かめます。
ステップ5 最初の2週間のアクティビティ確認
アクティビティの画面では、バックグラウンドの作業も含めて進捗を確認し、指示を出し直せます。初期設定のあとはChatGPTのモバイルアプリからもメッセージを送れますが、Slackなどの連絡先はデスクトップで設定します。最初の2週間は、次の項目を毎日確かめます。
- 役割:作業の内容が、伝えた担当業務から外れていないか
- 承認:記入例で「実行前に確認」にした操作が、確認なしで実行されていないか
- 下書き:金額・宛先・日付を元の資料と照合したか
- 件数:1日に届いた承認依頼の件数と、確認にかかった時間
仮に1日に承認依頼が10件届き、1件の確認に2分かかるとすると、承認する人は毎日20分を使います。この時間とdotが減らした作業時間を比べると、続けるか、任せる作業を変えるかを判断できます。想定と違う動きをしたときは一時停止し、試用を最初からやり直すならリセットします。
最初の2週間で見るのは、dotの出来栄えよりも、ルール表どおりに止まっているかと、承認にかかる時間です。
dotsの導入で起きやすい失敗と防ぎ方
dotsは会話が終わっても動き続けるため、通常のChatGPTでは起きない種類の失敗があります。導入の判断に関わるものを4つ挙げます。
アプリの接続を解除しても、dotが得た情報は残る
接続を解除すれば情報も消えると考えて試用を終えると、dotがすでに得た情報は残ったままになります。消すにはdotをリセットし、会話・メモリ・予定タスクを削除します。記入例の「リセットする時」は空欄にせず、担当の交代時と試用の終了時を書いておきます。
初月の利用枠で業務量を見積もると、2か月目に見込みが外れる
提供開始後の最初の1か月は、利用枠の上限が拡大されています。初月の使い方を基準に任せる業務を増やすと、2か月目に同じ量をこなせない可能性があります。
また、dotとの会話はChatGPTの利用上限に数えませんが、dotにCodexやChatGPT Workのタスクを任せた場合は通常どおり数えます。業務量の見積もりは、2か月目の記録で行います。
個人向けのProで業務を任せると、学習設定が社員任せになる
個人向けプランでは、dotとの会話や作業をモデルの改善に使うかを利用者が設定で選びます。社員が個人で契約したProで業務の資料をdotに読ませると、会社はその設定を把握できません。
業務で使うならワークスペースで管理し、Proを使う場合も学習設定の確認を利用ルールに入れます。プランごとの違いはAIの法人プランと個人プランの違いで比べています。
承認する人を経営者1人にすると、dotの作業が承認待ちで進まない
社外に影響する操作をすべて「実行前に確認」にし、承認する人を経営者1人にすると、出張や会議の間は承認依頼がたまります。dotは複数のプロジェクトを並行して進めるため、承認依頼も複数の業務から届きます。承認する人は業務ごとに決め、不在時の代わりも記入例に書いておきます。
4つの失敗は、どれも記入例の項目として試用の前に決めておくと防ぎやすくなります。
dotsについてよくある質問
dotからこちらに電話がかかってくることはありますか?
開始時点では、dotから利用者に電話をかけることはできません。利用者から音声通話で相談することはできます。テキストメッセージでのやり取りは近日対応予定とされていますが、案内されているのは米国のPro向けの限定ベータです(2026年10月02日時点)。
社員のパソコンをdotに操作させてもいいですか?
自分のパソコンへの接続は任意で、初期はオフです。dotは専用のクラウドコンピューター上で動き、接続を選ばない限り利用者のパソコンとは切り離されています。パソコン内のファイルにも関わるため、試用中はオフのままにし、使う場合は許可制にするのが安全です。
ログインが必要なサイトをdotに使わせるとき、パスワードを教える必要はありますか?
対応しているサイトでは、保存済みのパスワードをモデルに開示せずにログインに使えます。パスワードの変更のように特に慎重な扱いが必要な一部の作業は、必ず利用者自身が行う仕組みです。対応しているかどうかはサイトや操作によって異なるため、試用の初期に、業務で使うサイトに実際にログインできるかを確かめてください。
部署ごとに別のdotを持たせることはできますか?
ProとBusiness Premiumの契約に追加料金なしで含まれるのは最初のdotで、dotの追加は今後できるようになる予定と案内されています(2026年10月02日時点)。
組織内の特定の業務を担う専門dotは、対象を絞った企業向けの限定プレビューです。
部署ごとの使い分けを考えている場合は、契約の単位とあわせて公式の案内で提供状況を確認してください。
dotが自分で調べものをしている間に、社外へメールを送ることはありますか?
利用者とやり取りしていない間の調べもの(プロアクティブリサーチ)は読み取り専用のツールで行われ、メッセージの送信、アプリ内の内容の変更、ブラウザーやコンピューターの操作はできません。監視システムが安全上の懸念を検出すると、作業を一時停止または中止できます。
まずは、契約中のChatGPTのプランと、ワークスペースの管理者が誰かを確認してください。dotに任せる最初の業務がまだ決まっていない場合は、中小企業が最初の1業務を選ぶ採点表で候補を比べられます。
dotに任せる業務や承認のルールを社内だけで決めきれないときは、任せる業務を決めるAI導入支援をご相談ください。1つの業務を選び、AIが行う作業と社内で確かめる作業に分けて、手順書まで作ります。いまの使い方を伺うだけでも大丈夫です。
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