営業向けAI研修の費用と講師派遣の見積もり内訳|提案書と商談記録

営業向けAI研修の費用と講師派遣の見積もり内訳|提案書と商談記録

この記事の要点

  • 費用は講師の時間と、自社の提案書を題材にする準備の量で変わる
  • 題材の匿名化の作業と社内の受講時間は見積書に載らない
  • 依頼文の型と契約前の確認項目で、見積もりの抜けを本文で確かめられる

営業向けAI研修の費用は、講師が拘束される時間と、自社の提案書や商談記録を題材にするための準備の量でおおむね決まります。講師派遣なら、講師の交通費・宿泊費が加わります。一方で、題材から顧客名を消す作業や、営業担当者が受講に使う時間のように、見積書に載らない費用もあります。研修会社ごとに料金の出し方が違うため、この記事では金額の目安は示さず、見積書の内訳と、届いた見積もりの比べ方を解説します。

営業部門にAI研修を入れるか検討していて、見積もりを取る前に何を比べればよいか知りたい経営者・営業責任者に向けた記事です。読み終わる頃には、研修会社に送る依頼文を書き、届いた見積書の抜けを確かめられる状態を目指します。

研修会社そのものを比べる観点は研修会社を比べる7項目をまとめたAI研修の選び方で解説しています。この記事では、営業部門に絞った費用の内訳と、提案書・商談記録を研修で扱うときの準備を扱います。

Contents / 目次
  1. 営業向けAI研修の費用を決める項目と見積もりの内訳
  2. 提案書と商談記録を扱う研修の内容と、持ち込む資料の線引き
  3. 講師派遣の見積もりを依頼する前に決める4つのことと依頼文の型
  4. 営業向けAI研修がうまくいかない条件と、契約前に確かめること
  5. 営業向けAI研修の費用と講師派遣でよくある質問

営業向けAI研修の費用を決める項目と見積もりの内訳

営業向けAI研修の見積もりは、講師料に加えて「自社の題材を使うかどうか」で大きく変わります。汎用の例文で進める研修より、自社の提案書や商談記録を題材にする研修のほうが、事前の打ち合わせと題材づくりの費用が上乗せされます。

研修会社によって料金の出し方が違うため、金額の幅を1つに決めることはできません。比べるときは、合計額ではなく、次の表の項目が見積書に分けて書かれているかを見ます。

見積もりの項目金額が変わる条件営業向けで確かめること
講師料研修の時間・回数・講師の人数営業の業務を例に実演できる講師か
事前の打ち合わせ・題材づくり自社の提案書・商談記録を題材にするか研修用の題材を自社と研修会社のどちらが作るか
教材費配布資料・研修の録画の有無研修後に社内で資料を使ってよい条件
受講用のAIアカウント研修会社が用意するか、自社の法人プランを使うか研修後も同じアカウントで続けられるか
会場費・機材自社の会議室か外部の会場か受講者のパソコンとネット回線の準備
講師の交通費・宿泊費講師派遣の場合、講師の拠点からの距離オンラインで受けた場合との差額
研修後のフォロー質問の受付・2回目の研修の有無契約に含むか、別料金か

講師派遣とオンラインの違いは、主に講師の交通費・宿泊費と会場の準備に表れます。営業担当者が拠点に分かれている会社では、オンラインのほうが集まりやすいこともあります。両者の費用の差はAI研修のオンラインと講師派遣の費用の比較表で詳しく比べています。

見積書に載らない社内の時間の計算例

見積書の金額とは別に、社内で使う時間も費用に含めて考えます。仮に営業担当者10名が3時間の研修を受けると、受講だけで30時間が商談から研修に充てられます。

題材に使う提案書3件を、顧客名と金額を置き換えた研修用の版にする作業を1件1時間とすると、さらに3時間。合わせて33時間は、どの研修会社の見積書にも載りません。研修を入れる月を、商談が立て込む時期から外すかどうかもここで決まります。

研修会社ごとの費用は、1人あたりの額にそろえて比べます。計算は次の式です。

(見積書の合計額+社内で使う時間×自社の1時間あたりの人件費)÷受講者数

上の例なら、33時間に自社の1時間あたりの人件費を掛けた額を見積書の合計額に足し、10名で割ります。

届いた見積書すべてをこの式で計算して並べると、講師料は安くても題材づくりが別料金の見積もりや、自社のアカウント代が別にかかる見積もりも、同じ基準で比べられます。

この章の結論。見積書は合計額ではなく、題材づくり・アカウント・交通費・研修後のフォローが分けて書かれているかで比べます。社内の受講時間と題材の準備時間も、費用として数えておきます。

提案書と商談記録を扱う研修の内容と、持ち込む資料の線引き

営業向けAI研修で扱うのは、主に商談前の調べもの・提案書の骨子・商談記録の要約・フォローメールの下書きの4つの作業です。どれを扱うかで、研修の前に用意する資料と、消しておく情報が変わります。

研修で扱う作業題材にする社内の資料研修の前に消す情報担当者が確認すること
商談前の調べもの相手企業の公開情報なし(公開情報だけを使う)AIの回答の出典を開いて内容を確かめる
提案書の骨子過去の提案書顧客名・担当者名・金額・独自の取引条件価格・納期・自社で対応できる内容
商談記録の要約商談の議事録や文字起こし顧客名・個人名・金額顧客の発言の意味が変わっていないか
フォローメールの下書き商談記録の要約顧客名・個人名・金額宛先と約束した内容。送信は担当者が行う

「営業向け」と書かれた研修でも、題材が汎用の例文だけのことがあります。見積もりの前に、上の4つの作業のうちどれを、自社の資料で扱えるかを研修会社に確かめておくと、研修後に現場で使える内容かどうかを判断できます。

顧客情報をAIに入力してよいかの線引き

顧客情報を研修の題材にできるかは、使うAIサービスのプランと設定に加えて、その情報を取得したときの利用目的によっても変わります。個人情報保護委員会は、個人情報を含む指示(プロンプト)を生成AIサービスに入力する場合は、特定した利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確認するよう注意を呼びかけています。入力した内容の扱いはサービスごと・プランごとに違い、提供元が方針を改定することもあります。研修で使うアカウントについて、次の3点を提供元の公式のヘルプとプライバシーポリシーで確かめてから、題材を決めます。

  • 学習への利用:入力した内容がモデルの学習に使われるか、使われる場合はどの設定で止められるか
  • 提供元による確認:入力した内容を提供元の担当者が確認することがあるか
  • 管理者の設定:法人プランの場合、管理者が組織全体の設定を決められるか

研修会社が用意したアカウントで受講する場合は、そのアカウントでの入力の扱いを書面で確認します。取引先との秘密保持契約で、受け取った情報を第三者に開示する条件が決まっていることもあります。契約書の確認の仕方は取引先情報とNDAの線引きを解説したChatGPT業務利用のリスクに、プランの違いはAIの法人プランと個人プランの違いにまとめています。

営業担当者がすでに個人のアカウントで提案書の下書きを作り始めていて、入力してよい情報が社内で決まっていない場合は、経営者と担当者が一緒に学ぶAI研修で、会社の情報を入力する前の確認方法を先に学ぶ進め方もあります。

この章の結論。扱う作業ごとに、題材にする資料と消す情報を決めてから見積もりを依頼します。顧客情報を入力できるかは、受講に使うアカウントのプランと設定を先に確かめてから判断します。

講師派遣の見積もりを依頼する前に決める4つのことと依頼文の型

見積もりを依頼する前に、受講者・題材・アカウント・研修後に記録する数字の4つを決めておきます。これが決まっていないと、研修会社ごとに前提の違う見積もりが届き、金額を比べられません。

ステップ1 受講者の人数と営業の進め方を決める

新規開拓・既存顧客の担当・代理店経由の販売では、提案書の作り方も商談記録の書き方も違います。受講者を進め方ごとに数え、1回の研修でまとめて受けるか、分けて受けるかを決めます。人数が講師1名で対応できる数を超えると、講師料が増えることがあります。

ステップ2 題材にする資料を選び、研修用の版を作る担当を決める

過去の提案書を2〜3件、商談記録を1〜2件選びます。顧客名は「A社」、担当者名は役職名、金額は仮の数字に置き換えるという決まりを先に作り、研修用の版を作る担当者を決めます。研修会社に作業を依頼すると、題材づくりの費用として見積もりに加わります。

ステップ3 受講用のアカウントと端末を決める

研修後も使い続けるなら、受講の前に自社で法人プランを契約し、設定まで済ませておくのが確実です。研修会社のアカウントで受講する場合は、研修後に同じ設定を社内のアカウントで再現できるかを確かめます。受講者のパソコンにログインできるか、会議室のネット回線が人数分つながるかも、講師派遣では事前に確かめます。

ステップ4 研修の前後で記録する数字を決める

提案書1件の骨子づくりにかかる時間と、商談記録1件の作成にかかる時間を、研修前の2週間に各担当者が記録します。研修後も同じ方法で記録すれば、研修の前後を比べられます。回収までの月数の出し方は受講人数別の回収月数の計算表で試算できます。

見積もり依頼文の型

4つのことが決まったら、次の文面の[ ]を自社の内容に変えて、比べたい研修会社すべてに同じ文面で送ります。

件名 営業部門向けAI研修のお見積もりのお願い

[研修会社名]ご担当者様

当社の営業部門で、生成AIの研修を検討しています。
次の条件でお見積もりをお願いできますでしょうか。

1. 受講者 営業担当者[人数]名(新規開拓[人数]名、既存顧客の担当[人数]名)
2. 形式 講師派遣(会場は当社の会議室、所在地は[市町村名])またはオンライン
3. 時間 [半日/1日/複数回]を希望
4. 扱いたい作業 商談前の調べもの、提案書の骨子づくり、商談記録の要約、フォローメールの下書き
5. 題材 当社の過去の提案書と商談記録を、顧客名と金額を置き換えたうえで使いたい
6. 使用するAI 当社で契約している[サービス名とプラン名]

あわせて、次の点を見積書に分けて記載してください。
・講師料と、事前の打ち合わせ・題材づくりの費用
・講師の交通費・宿泊費(講師派遣の場合)
・配布資料と研修の録画を社内で使ってよい条件
・研修後の質問の受付の有無と期間
・研修の時間数と内容を記したカリキュラム

[会社名][部署名][氏名]

届いた見積書は、次の項目と照らして抜けを確かめます。

  • 題材の扱い:自社の資料を使う前提の見積もりか、汎用の題材の見積もりか
  • アカウント:受講用のアカウントの費用が含まれるか、自社で用意する前提か
  • 交通費:講師派遣の交通費・宿泊費が実費か定額か
  • 資料の利用条件:研修後に社内の勉強会で資料を使えるか
  • フォロー:研修後の質問の受付が契約に含まれるか

この章の結論。受講者・題材・アカウント・記録する数字を決めてから、同じ依頼文で複数社に見積もりを依頼します。前提をそろえれば、見積書の金額の差が何の差かを読み取れます。

営業向けAI研修がうまくいかない条件と、契約前に確かめること

営業向けAI研修が現場で使われなくなるのは、研修の中身よりも、題材・アカウント・記録の取り方・確認の担当が決まっていない状態で研修を受けたときです。それぞれ、契約前に防げます。

実在の提案書をそのまま題材にすると、顧客情報が研修会社にも渡る

題材の準備を急ぎ、実在の提案書をそのまま研修会社に送ると、顧客名・金額・取引条件が社外の講師に渡ります。秘密保持契約の条件によっては、取引先との約束に反するおそれがあります。研修用の版は自社で作り、置き換えの決まり(顧客名・担当者名・金額)を研修会社とも共有しておきます。

受講者が個人のアカウントで受講すると、研修の内容を社内で再現できない

会社のアカウントが無いまま、各自の個人アカウントで受講すると、研修で使った設定や指示文が個人のアカウントにだけ残ります。研修後に法人プランへ変更すると、設定をもう一度作る手間がかかり、学習に使われる設定のまま入力が続くこともあります。受講の前にアカウントを用意し、研修でもそのアカウントを使います。

商談記録の取り方が決まっていないと、要約の練習が現場で使えない

研修では文字起こしから要約を作る練習をしたのに、現場では商談の記録を手書きの走り書きでしか残していない場合、研修で学んだ手順を使う材料がありません。研修の前に、商談記録を残す形式(「顧客の課題」「提案した内容」「顧客からの質問」「自社の宿題」「次の約束」の欄など)を決めておくと、研修の題材も同じ形式で用意できます。

価格や納期をAIの下書きのまま残すと、提案書に誤った条件が載る

生成AIの回答には誤りが含まれることがあり、過去の提案書を参照させても、価格や納期を別の案件の数字で埋めることがあります。研修の中で、価格・納期・自社で対応できる内容を誰が確かめるか、提案書を送る前に誰が承認するかまで決めておくと、研修後の運用でも同じ順番で確認できます。

助成金の支給を前提に日程を組むと、計画届の期限に間に合わない

人材開発支援助成金には、訓練を始める前に計画届を出す期限や、訓練時間の下限などの要件があります。生成AIの訓練でも、内容によっては助成の対象外になります。要件は改定されることがあるため、厚生労働省の人材開発支援助成金のページで最新の内容を確かめます。

助成金は訓練を終えたあとに申請し、審査を経て支給されるため、研修の費用はいったん自社で支払います。助成金を使う場合は、自社が主催する訓練の計画として要件に合うかを、日程を決める前に労働局に確かめます。要件の詳細は人材開発支援助成金の条件と申請の流れで解説しています。

自社で行う作業と依頼する作業

  • 自社で行う作業:題材の選定と研修用の版づくり、受講用アカウントの契約と設定、商談記録の形式の決定、研修前後の時間の記録、提案書を確認する担当者の決定
  • 研修会社に依頼する作業:営業の業務に合わせた研修の設計、題材を使った講師の実演、受講者の質問への回答

研修で学んだ商談記録の要約や提案書の骨子づくりを、毎回同じ手順で回る仕組みにしたい場合は、繰り返す作業を仕組みにするAI導入支援で、AIに任せる処理と担当者が確認する内容を決めるところからご相談いただけます。

この章の結論。題材の版づくり・アカウント・記録の形式・確認の担当は、研修会社ではなく自社が決める作業です。契約前にこの4つの担当者が決まっていれば、研修の内容を現場で使い続けられます。

営業向けAI研修の費用と講師派遣でよくある質問

営業担当者が5人だけでも、講師派遣の研修は依頼できますか?

依頼できる研修会社はあります。ただ、講師料と交通費は人数が少なくても大きく変わらないため、1人あたりの費用は上がります。最低人数の決まりは会社ごとに違うので、見積もりの前に確かめます。経営者や営業責任者も一緒に受講すると、研修後に社内の決まりを決めやすくなります。

使っているSFAのAI機能の操作も、研修で教えてもらえますか?

SFAの操作を研修に含めるかは研修会社によって違うため、依頼文で明記して確かめます。SFAの提供元が学習用の講座を公開していることもあります。たとえば Salesforce は、学習サイトの Trailhead でAIの基礎を学べる無料のコースを公開しています。自社で使うSFAのAI機能の操作を学べる講座があるかは、提供元の学習サイトで確かめます。操作は提供元の講座、提案書や商談記録への使い方は研修と分けると、研修の時間を絞れます。

研修で作った提案書用の指示文や配布資料は、研修後に社内で使い回せますか?

契約の内容で決まります。配布資料や録画の著作権が研修会社に残り、社外への共有や加工が制限されていることがあります。社内の勉強会で使う、新しく入った営業担当者に配るといった使い方を想定しているなら、見積もりの段階で利用条件を書面で確かめておきます。

商談の録音をAIで要約する練習をしたいのですが、お客様の音声を使って大丈夫ですか?

研修の題材には、社内で行った商談のロールプレイの録音を使うのが確実です。実際の商談の録音は、氏名が含まれるなど特定の個人を識別できる場合、個人情報に当たります。取得した個人情報の利用目的は、あらかじめ公表している場合を除き、本人に通知するか公表する必要があります(個人情報保護法第21条)。実際の商談を録音するかどうか、お客様にどう伝えるかを会社として決め、録音を入力するAIの保存と学習の設定も確かめます。ロールプレイなら顧客情報を消す作業も要りません。

まずは営業担当者が直近で作った提案書を1件選び、顧客名・金額・独自の条件が書かれている箇所に印を付けてみてください。研修に持ち込める題材か、研修用の版を作るのにどのくらい時間がかかるかが分かります。講師に依頼する作業と社内で準備する作業の分け方は、AI研修の講師派遣の分担表と準備チェックリストで続けて確かめられます。

提案書や商談記録をAIで扱う前に、会社の情報を入力する前の確認方法を学びたい方は、経営者と担当者が一緒に受ける企業向けAI研修をご覧ください。大分・福岡を中心に、貴社の会議室に講師が伺う、1〜10名・120分の少人数研修です。貴社が知りたいテーマと受講者の経験を伺うところから、ご相談ください。

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