SEO対策費用の勘定科目|月額・記事制作・初期費用の仕訳例

SEO対策費用の勘定科目|月額・記事制作・初期費用の仕訳例

この記事の要点

  • 勘定科目名は法令で決まっていない。中身で選び毎期そろえる
  • 税額に影響するのは科目より費用にする時期。年払いと期末の納品に注意
  • 個人ライターの原稿料は源泉徴収が要る。計算例と見積書の文面例は本文に

SEO対策の費用は、月額のコンサルや運用なら「広告宣伝費」か「支払手数料」、記事制作なら「広告宣伝費」か「外注費」で処理するのが一般的です。どの科目を選んでも費用(税務上の損金)になる点は変わりません。税額に影響するのは、科目の名前より「いつの費用にするか」と「資産として計上するか」の2点です。

SEO対策の外注を検討中か契約中の経営者・役員で、見積書の金額を経理にどう回すか決めたい方に向けた記事です。読み終わる頃には、見積書を費用の種類ごとに分けてもらう依頼と、顧問税理士に確認する事項を決められる状態を目指します。月額の相場や契約期間の決め方はSEO対策の月額費用と最低契約期間の確かめ方で解説しています。

Contents / 目次
  1. SEO対策費用の勘定科目は中身で選ぶ。差が出るのは費用にする時期
  2. 月額・記事制作・初期費用の仕訳例
  3. 契約前に見積書と請求書で確認すること
  4. SEO対策費用の仕訳でつまずく5つの条件
  5. SEO対策費用の勘定科目のよくある質問

SEO対策費用の勘定科目は中身で選ぶ。差が出るのは費用にする時期

勘定科目の名前は、法令で一律に決まっていません。会社が費用の中身に合わせて選び、毎期同じ基準で使い続けることが求められます。そのうえで注意したいのは、費用にする月と、資産として何年かに分けて費用にするかの判断です。

費用の種類ごとの目安を、次の表にまとめました。最終的な判断は、契約書と請求書の中身を見たうえで顧問税理士に確かめてください(2026年11月04日時点の税制にもとづく一般的な考え方です)。

費用の種類勘定科目の例費用にする時期確認すること
月額のSEOコンサル・運用広告宣伝費/支払手数料作業を受けた月月払いか年払いか
記事制作(1本ごと)広告宣伝費/外注費記事が納品され、検収した月依頼先が個人か法人か
初期費用(調査・設計・既存ページの修正)支払手数料/広告宣伝費作業が終わった月新しい機能を加えるか
予約や検索など機能を持つページの制作・改修ソフトウェア(無形固定資産)資産に当たる部分は減価償却少額減価償却資産の特例が使えるか
SEOツールの利用料支払手数料/通信費利用した期間年払いなら前払費用か
成果報酬広告宣伝費/支払手数料成果が確定した月成果の定義と確定日

科目の選び方の目安は次のとおりです。

  • 広告宣伝費:不特定多数に向けて会社やサービスを知らせる目的の費用
  • 支払手数料:専門家の助言やサービスの利用料
  • 外注費:記事の執筆のように、業務の一部を外部に任せる費用

どれを選ぶかより、同じ中身の費用を毎期同じ科目で処理することのほうが大事です。

判断が難しくなるのは、月額の請求に記事制作・ツールの利用料・サイトの改修が1行でまとめられているときです。中身が分からないと、源泉徴収が要るか、資産にするかを経理が判断できません。依頼する作業と担当を契約の段階で決めておきたい場合は、最初の3か月にコレットラボが行う作業を文書にするマーケティング伴走支援「マーケの右腕」という進め方もあります。

この章の結論。科目名で迷うより先に、請求の中身が「月額の作業・記事・初期の作業・機能の追加・ツール」のどれに当たるかを分けると、費用にする時期と源泉徴収の要否が決まります。

月額・記事制作・初期費用の仕訳例

ここでは、税込経理の会社を想定した仕訳例を示します。金額は仕訳の形を示すための仮の数字で、相場ではありません。税抜経理の会社では、消費税の部分を仮払消費税に分けて記帳します。

SEO対策の月額費用の仕訳(月払いと年払い)

月払いなら、作業を受けた月の費用にします。仮に月額110,000円(税込)を翌月末に振り込む契約なら、作業月の末日に計上し、振込日に支払いを記帳します。

日付借方貸方
作業月の末日広告宣伝費 110,000未払金 110,000
翌月末(振込日)未払金 110,000普通預金 110,000

年払いは扱いが変わります。3月決算の会社が、10月から1年間の作業の料金1,320,000円を10月に支払った場合、当期の費用は10月〜3月の6か月分660,000円で、翌期分の660,000円は「前払費用」として資産に計上し、翌期に毎月の費用へ振り替えるのが原則です。

例外として、支払った日から1年以内に提供を受けるサービスの料金を毎期継続して支払時に費用にしている場合は、支払った期の費用にできます(短期前払費用。根拠は法人税基本通達2-2-14)。ただし、毎月同じ作業を受ける契約かどうかで当てはまるかが変わるため、適用する前に顧問税理士に確かめてください。

記事制作費の仕訳と源泉徴収

記事制作費は、記事が納品され、内容を確認して受け入れた月の費用にします。支払った月ではありません。3月決算の会社で、3月に発注した記事が4月に納品されたなら、翌期の費用です。

依頼先が個人のライターなら、原稿料は所得税の源泉徴収の対象です(国税庁タックスアンサー No.2795「原稿料や講演料等を支払ったとき」)。税率は1回の支払額100万円以下の部分が10.21%、超える部分が20.42%です。

源泉徴収の対象は原則として消費税を含めた金額ですが、請求書で報酬と消費税の額がはっきり分かれていれば、報酬の額だけを対象にしてかまいません。この扱いは国税庁の通達「消費税法等の施行に伴う源泉所得税の取扱いについて」(平成元年直法6-1)によるもので、上のNo.2795のページにも同じ説明があります。

項目金額(仮)
原稿料(28,000円×5本・税抜)140,000円
消費税(10%)14,000円
源泉徴収税額(140,000円×10.21%)14,294円
ライターへの振込額(154,000円−14,294円)139,706円

この場合の仕訳は次のとおりです。

借方貸方
外注費 154,000預り金 14,294
未払金 139,706

預かった14,294円は、支払った月の翌月10日までに納めます。

給与の源泉徴収で半年ごとにまとめて納める「納期の特例」を使っている会社でも、原稿料は特例の対象に含まれません。毎月の期限で納めてください(国税庁タックスアンサー No.2505「源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」)。なお、依頼先が法人なら、源泉徴収は要りません。

初期費用とサイト改修の仕訳

SEOの初期費用のうち、現状の調査、狙う検索語の設計、既存ページのタイトルや内部リンクの修正は、作業が終わった月の費用として扱うのが一般的な考え方です。新しい機能を加えず、今あるページを修正する作業だからです。仮に初期費用330,000円(税込)の作業が9月に終わり、翌月末に振り込む契約なら、仕訳は次のとおりです。

日付借方貸方
作業が終わった月の末日支払手数料 330,000未払金 330,000
翌月末(振込日)未払金 330,000普通預金 330,000

一方、予約フォームや検索機能のようにプログラムで動く機能を新しく作る費用は、ソフトウェア(無形固定資産)として計上する扱いになることがあります。制作・改修費のどこまでがソフトウェアに当たるかは契約と作業の中身で変わるため、見積書を顧問税理士に見せて確かめてください。自社で使うソフトウェアとして資産に計上した場合の耐用年数は5年です(国税庁タックスアンサー No.5461「ソフトウエアの取得価額と耐用年数」)。

仮に3月決算の会社が1,100,000円(税込)で予約機能の制作を依頼し、10月に引渡しを受けて同じ月に使い始めた場合は、引渡しを受けた日に資産として計上し、使い始めた月から減価償却を始めます。資産に計上するのは引渡しを受けた日、減価償却を始めるのは使い始めた日で、両者の月が違う場合は別々に判断します。決算日には、当期の6か月分を減価償却費にします(1,100,000円÷5年×6/12=110,000円)。

日付借方貸方
引渡しを受けた日ソフトウェア 1,100,000未払金 1,100,000
振込日未払金 1,100,000普通預金 1,100,000
決算日(3月末)減価償却費 110,000ソフトウェア 110,000

翌期からは、毎期の決算日に1年分の220,000円を減価償却費にします。

中小企業者等には、取得価額が一定額未満の減価償却資産を、事業に使い始めた事業年度に全額費用にできる特例(少額減価償却資産の特例)があり、ソフトウェアも対象です。基準の金額は、令和8年4月1日以後に取得したものは40万円未満、それより前に取得したものは30万円未満です(2026年11月04日時点)。上の例の1,100,000円は基準を大きく超えるため、対象になりません。青色申告であることなど対象となる会社の条件や、1事業年度に使える合計額(300万円まで)もあるため、国税庁タックスアンサー No.5408「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」で最新の内容を確かめ、顧問税理士に当てはまるかを確認してください。

AIに請求書を読ませて仕訳の下書きを作るときの確認点

ChatGPTやClaudeに請求書のPDFを渡すと、行ごとの仕訳の下書きを短時間で作れます。会社のAI利用のルールで、請求書を入力してよいかを先に確かめてください。

添付の請求書を、行ごとに次の表にしてください。
列:品目/税抜の金額/消費税/税込の金額/依頼先が個人か法人か/源泉徴収が要りそうか/作業を受けた月または納品月/勘定科目の候補
判断できない行は空欄にし、理由を書いてください。
当社の勘定科目:[自社の科目一覧を入力]

出てきた表のうち、担当者が必ず確認するのは「源泉徴収」「作業を受けた月」「資産にするか」の3列です。AIは契約書の中身や依頼先の事情を知らないため、この3列は誤りやすくなります。会計ソフトに取り込む場合も、ソフトが指定する列の形式に合わせる必要があります。

この章の結論。月額は作業の月、記事は納品の月、機能を加える改修は資産、と分けたうえで、年払いと個人ライターへの支払いだけは税理士に確かめる、という順番で判断できます。

契約前に見積書と請求書で確認すること

経理で迷わないためには、契約前に見積書の行を費用の種類ごとに分けてもらうのが確実です。契約後に分け直してもらうより、見積もりの段階で依頼するほうが依頼先も対応しやすくなります。次の文面は、そのまま依頼先に送れます。

お見積もりありがとうございます。経理処理のため、次の4点をお願いできますでしょうか。

1. 見積書の行を「月額の作業」「記事制作(本数・納品予定月)」「初期の調査・設計」「サイトの機能の追加」「ツールの利用料」に分けてください。
2. 記事を個人のライターの方が執筆する場合、請求書の発行元がどなたになるかを教えてください。
3. 年払いの場合、何月から何月までの作業の料金かを請求書に記載してください。
4. 成果報酬がある場合、成果の定義と、成果が確定する日を契約書に記載してください。

見積書が届いたら、次の項目を経理担当者と一緒に確認してください。

  • 行の分け方:記事制作・月額の作業・ツール・改修が別の行になっているか
  • 請求書の発行元:法人か個人か。個人なら源泉徴収の準備が要る
  • 登録番号:請求書にインボイスの登録番号(Tと13桁の数字)があるか
  • 作業の期間:年払い・前払いの請求に、対象の期間が書かれているか
  • 成果報酬の確定日:いつの費用にするかを契約書から判断できるか

成果報酬型と月額固定型の契約の違いは成果報酬型SEOの費用と固定月額との違い、見積もりの金額を作業量に割り戻して比べる方法はSEO対策の費用の決まり方と見積もりの比べ方で解説しています。

自社で行う作業と依頼する作業

勘定科目の決定、源泉徴収の計算と納付、年払いの振り替えは、自社の経理担当者と顧問税理士が行う作業です。SEOの依頼先に任せられるのは、見積書と請求書を費用の種類ごとに分けて発行することと、毎月どの作業を行ったかを報告書に書くことです。月ごとの報告書に記事の納品日と作業の内容があれば、経理は請求書と報告書を突き合わせるだけで、どの月の費用かを判断できます。

この章の結論。依頼先には「行を分けた見積書」「発行元と登録番号」「作業の期間」の3つを契約前に依頼すれば、経理の判断に必要な材料がそろいます。

SEO対策費用の仕訳でつまずく5つの条件

SEO対策の費用は、契約の形によって経理の処理が変わります。次の5つは、SEOの外注に特有のつまずきです。

決算月の直前に1年分の月額を払い、全額を当期の費用にする

利益が出た期の決算前に年払いへ切り替えると、翌期分まで当期の費用にしたくなります。短期前払費用の条件に当てはまらなければ、税務調査で翌期分を前払費用に修正され、追加で税金を納めることになります。年払いに変える前に、条件を満たすかを顧問税理士に確かめてください。

個人ライターの原稿料から源泉徴収をしていない

記事制作の依頼先が制作会社から個人のライターに変わっても、経理に伝わらないと源泉徴収が漏れます。納付が遅れると不納付加算税がかかる場合があります。納付の期限は、国税庁タックスアンサー No.2505「源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」で確かめられます。依頼先を変えたときは、請求書の発行元が個人かどうかを経理に伝える決まりを作っておきましょう。

成果報酬を契約した月の費用にする

成果報酬は、順位や問い合わせ件数などの成果が確定して支払う義務が決まった月の費用です。契約時に見込みで計上すると、成果が出なかった月の費用まで先に計上することになります。契約書に成果の定義と確定日が無ければ、契約前に書き足してもらいましょう。

サイトの制作とSEO対策を1行の見積書で契約する

リニューアルとSEO対策をまとめた見積書では、どこまでがソフトウェアとして資産にする部分かを判断できません。全額を費用にすると、資産にすべき部分があった場合に修正が必要になります。機能の追加にあたる行だけは別にしてもらってください。

免税事業者のライターへの支払いで消費税を全額控除する

インボイスの登録番号が無い個人ライターに支払った消費税は、全額を仕入税額控除にできません。経過措置で一部は控除でき、その割合は令和8年度の税制改正で見直されました。2026年10月1日から2028年9月30日までは70%、その後の2年間は50%、さらに1年間は30%で、2031年10月1日以後は控除できなくなります(2026年11月04日時点)。割合は、代金を支払った日ではなく、記事の納品などの取引を行った日で決まります。国税庁の令和8年度税制改正特集(インボイス制度特設サイト)で、最新の内容を確かめてください。

控除できないことは、代金を払わない理由にはなりません。支払いの前に、次の2つを確認してください。

この章の結論。年払いへの切り替え、依頼先の変更、成果報酬の契約、リニューアルとの同時発注、免税事業者への依頼の5つのときは、経理と顧問税理士に先に伝えるだけで、あとから修正する手間を防げます。

SEO対策費用の勘定科目のよくある質問

SEOの月額費用は、広告宣伝費と支払手数料のどちらにすると税金が少なくなりますか?

どちらを選んでも費用(損金)になる点は同じで、税額は変わりません。変わるのは、交際費に当たる場合や資産にする場合です。科目は中身に合わせて選び、毎期同じ科目を使い続けてください。

SEO記事は何年も読まれるので、繰延資産にして分けて費用にする必要がありますか?

繰延資産は、法人税法第2条第24号で「支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもの」のうち、政令で定める支出と定められています。記事の制作費を繰延資産として処理する扱いは一般的ではありませんが、高額な長期契約は顧問税理士に確かめてください。

AhrefsやSemrushのような海外のSEOツールの利用料は、国内のツールと同じ処理でいいですか?

勘定科目は国内のツールと同じく支払手数料や通信費でかまいません。ただし、国外の事業者から受けるネット経由のサービス(電気通信利用役務の提供)は、消費税の扱いが国内の事業者と異なります。サービスの性質や取引の条件から、通常は事業者だけが受けるもの(事業者向け電気通信利用役務の提供)は、利用した会社の側が消費税を申告・納税する「リバースチャージ方式」の対象です。なお、課税売上割合が95%以上の課税期間や、簡易課税制度を使う課税期間は、当分の間、この申告は要りません。事業者向けに当たらないものは国外の事業者が申告・納税し、利用した会社が仕入税額控除を受けるには、発行元が交付する登録番号のある請求書(インボイス)の保存が要ります(国税庁タックスアンサー No.6118「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係」)。請求書の発行元の所在地と登録番号の有無を確かめ、どちらに当たるかは顧問税理士に確認してください。

従業員のいない個人事業主がライターに記事を依頼したときも、源泉徴収は要りますか?

給与を支払っていない個人事業主は源泉徴収義務者に当たらないため、原稿料から源泉徴収をする必要はありません。給与を支払っていても、常時2人以下の家事使用人だけに支払う個人は義務者に当たらないなどの例外があります。従業員を雇ったときは、国税庁タックスアンサー No.2502「源泉徴収義務者とは」で義務者に当たるかを確かめ、顧問税理士に確認してください。

まずは、今月届いたSEO対策の請求書を1枚開き、記事・月額の作業・ツール・改修が別の行になっているかだけ確認してみてください。月額をいくらまで出すかを受注額から決めたい方は、受注額から逆算するSEO対策の月額の上限も参考になります。

毎月どの作業にいくら払っているのかが見積書から分からず、経理にも説明しにくいと感じた方は、マーケティング伴走支援「マーケの右腕」でご相談ください。依頼する作業と担当を契約時に決め、最初の3か月にコレットラボが行う作業を文書にします。実施した内容と次に取り組むことは毎月記録します。いまの契約内容を伺うところからでも大丈夫です。

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