税理士の集客できない原因|ホームページで相談を増やす順番
この記事の要点
- 相談が来ない原因は4タイプ。本文の切り分け表で自事務所がどれか判定できる
- 直す順番は「判断材料→相談導線→分野別ページ→記事」。記事から始めると遠回りになる
- 実績の載せ方は守秘義務と会則の広告規程が先。作り始める前に線引きを決める
ホームページから相談が来ない事務所の多くは、検索に出ていないのではなく、出ているのに相談を決める材料が載っていない状態です。誰の何の相談を受けるのか、初回相談で何が起きるのか、いくらで見積もるのかが書かれていないページは、比較の段階で外れます。
この記事は、所長税理士・役員クラスの方が「どこに頼むか・何で費用が変わるか・任せて大丈夫か」を決めるための判断材料をまとめたものです。読み終わる頃には、自事務所の相談が止まっている場所を4タイプで切り分け、直す順番と、外注先に確認する質問を決められる状態を目指します。
扱うのはホームページと検索からの相談獲得です。開業直後で顧問先ゼロから始める段階の全体像は開業税理士の集客方法と検索対策の順番で解説しているので、これから開業する方は先にそちらを見てください。
Contents / 目次
税理士の集客ができない原因を4タイプに切り分ける
相談が来ない原因は、「見つからない」「読まれない」「相談に至らない」「相談は来るが合わない」の4つに分かれます。どれに当たるかで、直す場所も費用も変わります。まとめて「集客対策」として発注すると、詰まっていない場所にお金を使うことになります。
切り分けに使うのはサーチコンソールとGA4の2つです。どちらも導入されていない事務所では、まずこの2つを入れるところが出発点になります。
- サーチコンソール(Google Search Console):自分のサイトが検索結果で何回表示され、何回クリックされたかをGoogleが無料で見せてくれる管理画面です(Google Search Console について・Google公式)
- GA4(Googleアナリティクス4):サイトに来た人がどのページを見て、どこで帰ったかを記録するツールです(アナリティクス ヘルプ・[GA4] アナリティクスの設定を開始する・Google公式)
| タイプ | 数字に出る症状 | 起きていること | 最初に直す場所 |
|---|---|---|---|
| ①見つからない | サーチコンソールの表示回数がほとんど伸びない。自分の事務所名以外の言葉で表示されていない | 受けたい相談の言葉に対応するページが、そもそも存在しない | 分野別・地域別のページを作る |
| ②読まれない | 表示回数はあるがクリックが少ない。サイト内の他ページと比べてクリック率が明らかに低い | 検索結果に出るタイトルと説明文が、事務所名だけで相談内容を表していない | タイトルと説明文の書き換え |
| ③相談に至らない | アクセスはあるのに問い合わせが月0〜1件で止まる | 料金の出し方・初回相談の中身・担当者が分からず、比較の段階で外れている | 判断材料と相談導線 |
| ④相談は来るが合わない | 問い合わせはあるが、受任・顧問契約に進まない | 受けたい分野と、ページが集めている相談がずれている | ページの分野と書き方の見直し |
④は見落とされがちですが、実際に多いタイプです。「税理士 ○○市」だけで集めると、記帳だけ安く頼みたい相談と、相続や事業承継のように時間をかけて受けたい相談が、同じフォームから混ざって入ってきます。件数が増えても所内の対応時間だけが増え、契約は増えません。
先に確かめること。サーチコンソールの表示回数が月に数百回もない状態で問い合わせフォームを作り直しても、見る人が増えないので変化は出ません。逆に、表示回数が数千回あって問い合わせが0件なら、記事を増やしても同じ結果になります。数字を見てから発注先に相談すると、見積もりの中身が変わります。
この章の結論。自事務所が①〜④のどれかを決めてから見積もりを取ると、「何を直すための費用か」が発注先に伝わり、提案の良し悪しを比べられるようになります。以降の章は、③と④に当たる事務所が最も多いことを前提に、直す順番から書いていきます。
ホームページで相談を増やす順番。判断材料から直す
直す順番は、判断材料 → 相談導線 → 分野別ページ → 記事です。多くの事務所が逆から手をつけて、記事を数十本書いてから「問い合わせが来ない」と気づきます。記事は最後で構いません。理由は単純で、記事を読んだ人が最後にたどり着くのが、判断材料と相談導線のページだからです。行き先が空のまま案内板だけ増やしても、人は動きません。
ステップ1。相談を決める材料を1ページにそろえる
最初に作るのは、記事ではなく「この事務所に頼むかどうかを判断するページ」です。相談者が比較しているのは、次の項目です。載っていない項目が多いほど、検討から外れます。
- 受ける分野と受けない分野:法人顧問、個人確定申告、相続、創業支援、事業承継などのうち、どれを主に受けるか。受けないものも書いておくと、合わない相談が減ります
- 料金の決まり方:金額そのものより「何で変わるか」を先に書きます。訪問の頻度、記帳をどちらが行うか、決算のみか月次からか、従業員数や売上規模の区分など。金額を出す場合は、前提条件を必ず添えます
- 初回相談で何が起きるか:時間の長さ、その場で分かること、持参してほしい資料、費用が発生する条件
- 担当する人:所長の経歴、担当者の人数、繁忙期の連絡手段と返信の目安
- 対応エリアと面談の形:訪問するのか来所か、オンライン面談に対応するか
- 使っている会計ソフト:クラウド会計を使うか、顧問先のソフトに合わせるか。ここを理由に依頼先を変える会社は実際にいます
このうち「料金の決まり方」と「初回相談で何が起きるか」の2つが抜けている事務所が最も多く、そして相談者が最も知りたい部分です。金額を出したくない事情があるなら、「月次訪問の有無と記帳代行の有無で見積もりが分かれます。初回相談で御社の条件を伺って、その場で概算をお出しします」と、決まり方と見積もりのタイミングだけでも書いておきます。
ステップ2。問い合わせフォームを相談者の温度に合わせる
フォームが「顧問契約のお申し込み」になっていると、まだ比べている段階の人は押せません。入口は温度の低い順に用意します。
- 電話番号を各ページの上部に置く。受付時間と、繁忙期の対応可否も併記する
- フォームの必須項目を絞る。会社名・氏名・連絡先・相談内容の区分・自由記述、程度で足ります
- 「相談内容の区分」をプルダウンで用意する。法人顧問/確定申告/相続/創業/その他、のように分けると、所内の振り分けが早くなります
- 送信後に何が起きるかをフォームの直前に1行書く。「2営業日以内に担当者からご連絡します。この時点で費用は発生しません」のように、次に起きることを具体的に書きます
- 送信完了画面にも同じ内容を書く。ここが空白だと、届いたのか不安になった相談者が他社にも送ります
必須項目に「年商」「従業員数」を入れるかどうかは、慎重に決めてください。見積もりに必要な情報ではありますが、最初の1通で聞かなくても、折り返しの電話で伺えます。フォームは見積もり依頼書ではなく、会話のきっかけとして設計します。
ステップ3。受けたい相談の単位でページを分ける
1ページに全業務を詰め込むと、どの検索にも中途半端に当たります。「地域 × 分野」または「業種 × 分野」で1ページを基本にしてください。ページを分ける単位は、実際に受けたい相談と、所内で対応できる件数から決めます。
ページの中身は、次の順番で組むと相談につながりやすくなります。
- その相談で相談者が困っていること(「決算前になって初めて数字を見ている」など、状況を具体的に)
- この事務所が対応する範囲と、対応しない範囲
- 進め方(初回相談 → 資料の確認 → 見積もり → 契約 → 初月にやること、のように段階で示す)
- 費用の決まり方と、見積もりが出るタイミング
- よくある質問を3〜5問
- 相談ボタンと電話番号
ページを増やす順番は、受任単価が高く、かつ所内で対応できる分野からです。相続を受けたいのに記帳代行のページだけが強い、という状態は、④の「相談は来るが合わない」を自分で作ってしまっています。
ステップ4。記事は月1〜2本。税理士本人の見解を必ず入れる
記事は最後です。量を増やすより、税理士本人が実際に判断している内容を1本ずつ書くほうが、相談につながります。税務はお金に直結する分野なので、一般的な制度解説を並べただけの記事は、他事務所のページと中身がほぼ同じになり、読んだ人が相談先を決める材料になりません。
記事の型としては、次の3種類が相談につながりやすい形です。
- 判断が分かれる論点:「この条件ならこちらを選びます。理由は〜」まで書く。制度の説明で終わらせない
- 相談前に準備するもの:持参する資料、必要な期間、相談の場で決まることと決まらないこと
- 実際に多い質問への回答:所内で年に何度も聞かれる質問を、そのまま見出しにする
AIの使いどころは、記事そのものを書かせることではなく、下書きの材料集めと構成づくりです。所長が話した内容を録音して文字起こしし、それをAIに渡して見出し案と構成に落としてもらう。この使い方なら、事務所の見解が消えません。逆に、テーマだけ渡して生成させた記事は、制度の一般説明に寄り、他事務所のページと中身がほぼ同じになります。
出てきた下書きで、税理士本人が必ず確認するのは次の3点です。
- 条文・通達・適用期限の記述が現行のものか
- 「必ず」「絶対に」のような断定が混ざっていないか
- 事務所として実際にその方針で受けているか
ここを外注先に任せることはできません。ブログを書いているのに相談が来ない状態が続いている場合は、税理士ブログがSEOに効かない原因と改善手順に、記事側の直し方をまとめています。
この章の結論。判断材料と相談導線が整うまで、記事本数を増やす契約には進まないほうが安全です。発注先に「まずどこから着手しますか」と聞いて、記事制作から始まる提案が出てきたら、その理由を確認してください。
広告規制と守秘義務。サイトに載せていい実績の範囲
税理士事務所のサイトでは、実績と料金の書き方に他業種にはない制約があります。作り始めてから書き直すと二度手間になるので、制作会社に依頼する前に線引きを決めておきます。ここを知らないまま作る制作会社は珍しくありません。
押さえるのは次の2つです。
- 税理士法上の守秘義務
- 所属する税理士会の会則・規程で定められた、広告に関する制限
守秘義務については、税理士法第38条(秘密を守る義務)が次のように定めています(e-Gov法令検索・税理士法)。
税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用してはならない。
つまり、顧問先の社名・業種・数値を実績として載せるには、その顧問先から個別に同意をもらう必要があるということです。「創業○年の建設会社様」程度でも、地域が絞られていれば特定されることがあります。掲載の同意は口頭ではなく、掲載する文面そのものを見せたうえで、書面またはメールで残しておくのが安全です。
広告について、税理士法第33条の2などの規定を受けて、日本税理士会連合会は会則で税理士の業務広告に関する事項を定めることとされています(e-Gov法令検索・税理士法)。実際にどこまで書けるかは、この会則と、所属する税理士会が定める規程によります。自事務所に適用される条文と運用は、日本税理士会連合会(日本税理士会連合会 公式サイト)が公開する会則・規則と、所属する税理士会の会則で必ず確認してください。制作会社に「他社ではこう書いていますよ」と勧められても、判断するのは所長です。
表現の可否は、条文そのものを読んだうえで所属税理士会に確認するのが確実です。問い合わせるときは、次のような表現について、掲載してよいかを具体的な文面ごと示して聞いてください。
- 効果の断定:「必ず節税できます」「税務調査は来ません」「還付を保証します」
- 根拠のない序列:「地域No.1」「県内で最も選ばれています」のような、自分で検証できない表示
- 他事務所との比較:特定の他事務所や「一般的な税理士」を引き合いに出して優位を示す書き方
- 同意のない実績:顧問先名、決算書の数値、業種と地域を組み合わせた特定できる事例
代わりに書けるのは、自分で検証できる事実です。所属税理士会と登録番号、代表者の経歴と登録年、取り扱い分野、対応している会計ソフト、所内の人数、相談から契約までの流れ、匿名化と同意取得を済ませた相談事例。これらを運営者情報と著者情報のページにまとめておくと、相談者が「誰が担当するのか」を判断しやすくなります。実装の手順は著者ページと運営者情報の作り方にまとめています。
制作会社が用意した原稿に「実績多数」「満足度98%」のような表現が入っていたら、その数字の出どころを必ず確認してください。自事務所で集計していない数字は、根拠を示せないので載せないでください。責任を負うのは制作会社ではなく事務所側です。
この章の結論。実績の掲載は「同意を取れるものだけ」「自分で検証できる数字だけ」に絞る、という方針を最初に決めておけば、原稿確認の往復が大幅に減ります。発注前に、この方針を制作会社と共有してください。
費用は何で変わるか。見積もりを比べるための内訳
税理士事務所のWeb集客の見積もりは、同じ「SEO対策」という名前でも中身が大きく違います。金額の相場を一点で示しても比較の役に立たないので、ここでは見積もりを並べて比べるための内訳を示します。相見積もりを取るときは、各社にこの区分で出してもらってください。
| 費用の項目 | 金額が変わる条件 | 契約前に確認すること |
|---|---|---|
| サイトの制作・改修 | 新規制作か既存サイトの改修か。分野別ページを何枚作るか。原稿を誰が書くか | 公開後に事務所側で文章を直せるか。直すたびに費用が発生しないか |
| 記事の制作 | 本数。取材や監修のやり取りが入るか。図や表を作るか | 誰が書くか(ライターの税務知識の有無)。監修にかかる所内の時間 |
| 内部改善・技術対応 | 表示速度、スマートフォン対応、内部リンク、構造化データなど、対象の範囲 | 何を直したかを一覧で報告してもらえるか |
| 計測の設定 | サーチコンソールとGA4の設置、フォーム送信の計測設定の有無 | アカウントの所有者が事務所側になっているか |
| 月次の報告と打ち合わせ | 報告の頻度、打ち合わせの有無、担当者が固定か | 報告書に「次に何をするか」が書かれるか。数字の羅列で終わらないか |
| 広告運用 | 広告費とは別に運用手数料がかかる。分野と地域で単価が変わる | 広告費と手数料が分かれて書かれているか |
見積もりを比べるときに効くのは、金額よりも「原稿を誰が書くか」と「アカウントの所有者が誰か」の2点です。原稿を事務所側が書く前提の安い見積もりと、取材込みの高い見積もりを金額だけで比べると、後者のほうが所内の負担は小さくなります。
アカウントの所有者も重要です。ドメイン、サーバー、サーチコンソール、GA4、Googleビジネスプロフィールは、それぞれ権限の渡し方も、データを取り出せる範囲も違います。契約を終えるときに何を引き継げるかは、各サービスの公式ヘルプで先に確かめておいてください(Search Console ヘルプ・所有者、ユーザー、権限・Google公式/アナリティクス ヘルプ・[GA4] アクセス管理・Google公式/ビジネス プロフィール ヘルプ・ユーザーの追加と削除・Google公式)。権限の渡し方と外し方はサーチコンソールの権限付与と退職時の削除にまとめています。
外注の範囲をどう切るかで迷う場合は、コンテンツSEO外注の選び方と発注の手順に、分担の決め方を書いています。
外注しても所内に残る作業
「丸ごとお任せ」で契約しても、税理士事務所の場合は次の作業が必ず所内に残ります。ここを見積もっておかないと、公開が半年遅れます。
- 原稿の内容確認:制度・条文・適用期限の正誤と、事務所としての方針との一致。1本あたりの確認時間は、テーマの難しさと原稿の質で大きく変わります
- 実績掲載の同意取り:顧問先への依頼と、掲載文面の確認
- 料金の書き方の決定:どこまで公開するか。これは外注先には決められません
- 問い合わせへの初動:返信の速さが受任率を左右します。誰が何分以内に返信するかを決めておきます
- 繁忙期の運用方針:確定申告期に監修が止まる前提で、公開スケジュールを組み直すかどうか
この章の結論。見積もりは総額ではなく上の6項目に割って比べ、あわせて「所内に残る作業が月に何時間か」を発注先に質問してください。この質問に具体的に答えられる会社は、税理士事務所の案件を実際に回した経験があります。
効果が出るまでの期間と、相談件数の見立て方
検索からの相談は、公開してすぐには増えません。新しく作ったページが検索結果に安定して出るまでの時間は、分野や競合の状況で大きく変わります。分野別ページを増やしながら積み上げていく形になるので、短期ではなく中長期のスケジュールで契約期間と予算を組んでください。
件数の見立ては、次の掛け算で考えます。ここで使う数字は、仕組みを説明するための仮の値です。実際の数字は分野・地域・競合の状況で大きく変わるので、自事務所の数字に置き換えて計算してください。
- ページが検索結果に表示される回数(仮に月1,000回)
- そのうちクリックされる割合(仮に3%)→ 月30人がページを見る
- 見た人のうち問い合わせる割合(仮に2%)→ 月0.6件
- 問い合わせのうち契約に至る割合(仮に3割)→ 月0.2件
1ページではこの程度にしかなりません。分野別ページを5枚、10枚と積み上げてはじめて、月に数件の相談という水準になります。逆に言うと、1ページだけ作って「効果がなかった」と判断するのは早すぎます。この掛け算を見積もりの段階で発注先と共有しておくと、何枚作れば目標に届くのかという話ができます。
顧問契約は継続する取引なので、1件あたりの価値は年額ではなく契約が続く年数を掛けた合計で見ます。仮に3年続く契約なら、年額の3倍が1件の価値です。この基準で見ると、Web施策にかけられる金額の上限が計算できます。逆に、単発の確定申告だけを集めるページの場合は1件の価値が小さいので、同じ費用はかけられません。受けたい分野によって、かけてよい費用が変わるということです。
数字を見るときは、順位ではなく問い合わせ件数と、その内訳を主指標にしてください。順位が上がっても相談内容が合わなければ、所内の時間だけが減ります。アクセスは増えたのに問い合わせが増えない場合の切り分けは、アクセスはあるのにCVが増えない原因の診断手順にまとめています。
なお、生成AIに質問して依頼先を探す人も出てきています。AIがどの情報をどう扱うかは公開されていない部分が多いので、特別な仕掛けを狙うより、運営者情報と分野別ページを、人が読んで分かる文章で書いておくことを基本にしてください。所在地・取り扱い分野・代表者・対応範囲が本文のテキストとして書かれていれば、相談者が読んでも判断できます。
この章の結論。目標を「順位」ではなく「相談件数とその内訳」で置き、必要なページ枚数を掛け算から逆算しておくと、発注先の提案が現実的かどうかを自分で判断できます。
税理士事務所のサイトでよくある失敗と、その防ぎ方
ここに挙げるのは、税理士事務所のサイトでくり返し起きる失敗です。どれも、公開してから半年〜1年たって気づくものばかりなので、先に知っておくと避けられます。
失敗1。制度改正の記事を量産して、直すコストだけが残る
インボイス制度や電子帳簿保存法のような改正テーマは検索数が多いため、制作会社から「まずここから記事を出しましょう」と提案されることがあります。しかしこの種の記事は、適用期限や経過措置が変わるたびに全部直す必要が出ます。20本書けば20本の修正が発生し、しかも修正するのは税理士本人です。
防ぎ方は、改正解説の記事を主力にしないことです。改正テーマは「自事務所ではこう対応している」という実務の話とセットにして数本にとどめ、残りは相談前の準備や判断の分かれ目のように、制度が変わっても内容が生き続けるテーマに振り分けます。記事を出すときは公開日と「執筆時点」の記載を必ず入れ、改正があったときにどれを直すか探せるようにしておきます。
失敗2。「税理士 地域名」の1ページだけを強化して、相談が噛み合わない
地域名での上位表示を目標に置くと、全業務を1ページに詰め込むことになります。その結果、記帳だけ安く頼みたい相談と、相続のように時間をかけたい相談が同じフォームから入り、所内の一次対応だけが増えます。
防ぎ方は、ステップ3で書いたとおり、受けたい分野ごとにページを分けることです。加えて、問い合わせフォームに相談区分のプルダウンを置き、受けていない業務は選択肢に入れないでおきます。断る手間そのものを減らせます。
失敗3。顧問先の事例を、同意なく具体的に書いてしまう
制作会社から「実績を載せましょう」と言われ、業種・地域・売上規模を書いた事例ページを作ってしまうケースがあります。地方では業種と規模が分かれば特定されることがあり、守秘義務の問題になります。
防ぎ方は、掲載する文面そのものを顧問先に見せて、書面またはメールで同意をもらうことです。同意が取れないなら、実際の相談内容を一般化して「こういうご相談をよくいただきます」という形に書き換えます。この形なら特定されず、相談者が自分の状況を重ねて読めます。
失敗4。所長の情報がどこにも出ていない
相談者は事務所ではなく人を見て決めます。ところが、代表者の経歴・登録年・取り扱い分野・顔写真のいずれも載っていないサイトが少なくありません。比較の段階で「誰が担当するか分からない事務所」として外れます。
防ぎ方は、代表者ページを1枚作り、記事にも執筆者・監修者として名前と役職を入れることです。顔写真を出したくない場合の代替については、この記事のFAQで触れています。
失敗5。問い合わせに返信するまでの時間を決めていない
何件か打診していた場合、早く返信があった事務所に先に相談するケースも多いです。せっかく問い合わせが来ても、繁忙期に3日空くと、その間に別の事務所と話が進みます。
防ぎ方は、フォームに「2営業日以内にご連絡します」と書いたうえで、所内で誰が一次返信するかを決めておくことです。所長が全件見る体制だと、確定申告期に必ず止まります。一次返信は担当者が定型文で行い、内容の回答は所長が後から、という二段構えにしておくと止まりません。
この章の結論。5つとも、公開前に決めておけば避けられるものです。制作の打ち合わせの初回で、記事テーマの方針・掲載同意の取り方・代表者情報・返信体制の4点を先に決めてください。
発注前に確認する質問と、うまくいかない条件
ここは、依頼先を決める前に知っておいたほうがいい現場の話です。教科書的な選び方ではなく、実際に食い違いが起きる場所を挙げます。
成果報酬型は、何を成果と定義しているかで中身が変わる
「上位表示されなければ費用はかかりません」という契約形態があります。問題は、何位を、どのキーワードで、どのくらいの期間測って成果とするかが契約書に書かれていないと、事務所にとって意味のない言葉で成果が計上されることです。事務所名や、ほとんど検索されない言葉で1位になっても、相談は増えません。
確認する質問は3つです。
- 成果として測るキーワードを誰が決めるか
- その言葉が月に何回検索されているか
- 順位の計測方法と、順位が変動した月の扱い
ここに明確に答えられない場合は避けたほうが無難です。
記事の執筆を全部外注すると、監修の時間が所内に残る
「税務に詳しいライターがいます」と言われても、条文の適用範囲や、事務所としてどちらの方針を取るかという判断は書けません。結局、所長が読んで直すことになります。外注で減るのは書く時間であって、読む時間ではありません。
見積もりの段階で、「1本あたり、うちの確認に何分かかる想定ですか」と聞いてください。この質問に「ほとんどかかりません」と答える会社は、監修工程を見込んでいないので、公開が遅れるか、確認せずに出ることになります。
税理士紹介サイトとの併用で、価格の話から始まる
紹介サイトやマッチングサイトは、相談が早く入るという利点があります。一方で、複数の事務所が同時に提案する形になりやすく、比較の軸が報酬額に寄ります。自事務所のサイトから来る相談とは、最初の会話が別物になります。
併用する場合は、紹介サイト経由と自社サイト経由で、初回相談の進め方を分けておきます。紹介サイト経由は条件確認から、自社サイト経由は相談内容の深掘りから始める、といった具合です。同じ台本で対応すると、どちらの経路でも決まりにくくなります。
この取り組みが向かない条件
率直に言うと、次の条件に当てはまる事務所は、いまホームページに費用をかけても回収しにくいです。
- 受任の余力がない:所長1人で、いま顧問先の対応が手一杯。相談が増えても受けられないなら、先に所内の体制を決めるほうが先です
- 繁忙期に止まる前提がない:確定申告期に監修も返信も止まるなら、その前提でスケジュールを組み直す必要があります
- 受けたい分野が決まっていない:「何でも受けます」の状態でページを作ると、④の合わない相談だけが増えます
- 短期で判断しようとしている:検索からの相談は積み上げに時間がかかります。短期で結果が必要なら、広告のほうが合います
判断の目安。受任の余力がある分野が1つでもはっきりしていて、中長期のスケジュールを取れるなら、ホームページからの相談づくりは進めてよい状況です。どちらかが欠けているなら、先にそちらを決めてから発注したほうが、結果的に費用が下がります。
この章の結論。成果の定義・監修にかかる所内時間・紹介サイトとの併用方針の3つを、契約前に文章で確認してください。ここが曖昧なまま始まった案件は、半年後に「何をしてもらっているか分からない」状態になります。
税理士事務所の集客でよくある質問
税理士紹介サイトに登録していれば、自事務所のホームページは要りませんか
紹介サイト経由の相談者も、事務所名で検索して公式サイトを確認することがあります。そのときに取り扱い分野や代表者の情報が出てこないと、比較の段階で外れます。紹介サイトは入口を増やすもの、ホームページは最後に確認される場所、という役割の違いで考えてください。
相続や創業支援に分野を絞ると、法人顧問の依頼が減りませんか
絞るのはページ単位で、事務所として受ける業務を減らす必要はありません。相続のページ、法人顧問のページ、創業支援のページをそれぞれ作れば、各分野の検索から別々に入ってきます。1ページに全部書くと、どの検索にも中途半端に当たるので、結果的にどれも減ります。
所長が顔写真の掲載を望まない場合、信頼性はどう示せばいいですか
顔写真は必須ではありません。氏名、所属税理士会と登録年、これまでの取り扱い分野、執筆や講演の実績、記事への監修者としての署名。この5つを運営者情報と代表者ページに書けば、誰が責任を持っているかは伝わります。後ろ姿や手元の写真で雰囲気を補う事務所もあります。
他の税理士事務所のサイトを参考に、料金ページの書き方を真似てもいいですか
構成の参考にするのは問題ありませんが、文章をそのまま流用するのは避けてください。著作権の問題に加えて、他事務所と同じ文章では、読んだ相談者が違いを判断できません。また、他事務所の料金と並べて自事務所の優位を示す書き方については、日本税理士会連合会(日本税理士会連合会 公式サイト)が公開する会則・規則と、所属税理士会の会則で、業務広告に関する条文を確認したうえで判断してください。
支店のない1人事務所でも、隣の市の検索で相談を取れますか
オンライン面談に対応していれば可能です。ただし、実在しない支店の住所を載せるのは事実に合致しない表示になるので避けてください。対応エリアのページを作り、「この市は訪問、この市はオンライン面談で対応します」と対応の形まで書くと、相談者が自分に当てはまるか判断できます。
まず今日、自事務所のページがどう見えているかを確かめる
今日できる一歩は1分で終わります。スマートフォンで「税理士 ○○市 相続」のように、実際に受けたい相談の言葉で検索してみてください。自事務所が出てくるか、出てきたとして表示されているのがトップページか分野別ページかで、この記事の4タイプのどれに当たるかが見当をつけられます。検索順位の測り方をきちんと決めたい方は、検索順位チェックツールの使い方と無料で計測する手順を見てください。
ここまで読んで、直す順番は分かったけれど所内で回せる時間がない、と感じた方もいると思います。毎月どこから手をつけるかを一緒に決めて、実装まで進める士業サイトの相談導線を含むSEO対策の伴走支援を行っています。判断の理由と手順は文書に残すので、所内で担当できる人ができた時点で引き継げます。まずは今のサイトの状況を伺うだけでも大丈夫です。お話を聞かせてください。
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