ホームページ制作の見積書の読み方|費用内訳と安い提案の確認点一覧

ホームページ制作の見積書の読み方|費用内訳と安い提案の確認点一覧

この記事の要点

  • 総額の前に、ページ数・原稿と写真の担当・公開後の月額の3行を見る
  • 見積書の項目は固定費・変動費・年額に分けると、他社と同じ物差しで比べられる
  • 安い提案で抜けやすい12項目と確認する質問、相見積もりの依頼文を本文に掲載

ホームページ制作の見積書は、総額を見る前に「ページ数」「原稿と写真をどちらが用意するか」「公開後の月額」の3行を見ると、他社の見積書と同じ物差しで比べられます。安い見積書と高い見積書の差は、多くの場合、この3行の条件の違いと、制作会社の規模や単価の違いで説明がつきます。

この記事は、制作会社から見積書を受け取り、依頼先と予算を決める立場の方(経営者・役員・院長・施設長)に向けて書いています。読み終わる頃には、手元の見積書の各行が何の費用か分かり、含まれていない作業を契約前に質問できる状態を目指します。

扱うのは見積書の項目の読み方と、安い提案で確認する点です。業種ごとの費用の目安を先に知りたい方は、業種別ホームページ制作費用の相場からご覧ください。

Contents / 目次
  1. ホームページ制作の見積書で、総額より先に見る3行
  2. ホームページ制作費用の内訳と、項目ごとに金額が変わる要因
  3. ホームページ制作費用の3つの帯と、見積書を自分で足し直す式
  4. 安い提案で見積書に含まれないことが多い12項目と確認の聞き方
  5. 見積書の読み違いで起きる失敗と防ぎ方
  6. 相見積もりを取る側の落とし穴と、現場で決めている妥協点
  7. 見積書を読めるようになると、稟議と契約で変わること
  8. ホームページ制作の見積書についてよくある質問

ホームページ制作の見積書で、総額より先に見る3行

見積書は、総額の欄より先に、条件を決めている3行を探します。この3行が違う見積書どうしは、総額を並べても比べられません。

  • ページ数と、下層ページの型の数:「10ページ」と「トップ1型+下層テンプレート3種で10ページ」は、同じ10ページでもデザイン費が違います。ページ数の隣に型の数が書いてあるかを見ます
  • 原稿と写真をどちらが用意するか:「原稿・写真はお客様支給」の1行があれば、その分の作業は自社に残ります。書いていなければ、含まれているのか支給なのかを聞きます
  • 公開後の月額と、ドメイン・サーバーの名義:初期費用が安くても、月額と名義で3年後の総額と、解約時に持ち出せる資産が変わります。見積書に無ければ、別紙の契約条件を見ます

3行を確認したうえで、見積書に並ぶ項目が何の費用かを押さえます。制作会社によって項目名は少しずつ違いますが、意味はおおむね次の表に収まります。

見積書での項目名何の費用か金額が変わる主な要因
企画・ディレクション費(進行管理費)要件の聞き取り、構成案、スケジュール管理、打ち合わせページ数、打ち合わせ回数、関係者の人数
サイト設計費(ワイヤーフレーム)各ページに何をどの順で載せるかの設計図ページ数、ページの型の数
デザイン費トップと下層ページの見た目の制作型の数、オリジナルか既製か、修正回数
コーディング費(実装費)デザインをブラウザで表示できる形にする作業ページ数、スマホ対応、動きの多さ
CMS構築費(WordPress構築費)自社で更新できる仕組みの導入更新できる範囲(お知らせだけか、実績や採用も足せるか)
コンテンツ制作費(原稿作成・撮影)文章を書く、写真を撮る、図を作るページ数、取材の有無、撮影日数
機能追加費問い合わせフォーム、予約、多言語、サイト内検索など機能の数、外部サービスとの連携の有無
サーバー・ドメイン・SSLサイトを置く場所と住所、通信の暗号化自社契約か制作会社経由か、年額
保守・運用費(月額)更新代行、バックアップ、WordPress更新、監視含まれる作業の範囲、月の更新回数
テスト・公開作業費表示確認、旧サイトからの切り替え、URLの引き継ぎページ数、旧サイトの有無

見積書を読む順番。総額の前に、ページ数と型の数、原稿と写真の担当、公開後の月額と名義の3行を見ます。この3行がそろっていない見積書どうしを総額で比べても、差の理由は分かりません。

この章で押さえるのは、見積書の総額は3行の条件の結果だということです。条件が違えば総額に差が出るのは当然なので、条件をそろえてから比べます。

ホームページ制作費用の内訳と、項目ごとに金額が変わる要因

内訳の各項目は、それぞれ違う要因で金額が決まります。ページ数で決まる項目、型の数で決まる項目、作業範囲で決まる項目を分けて読むと、高い安いの理由が見えてきます。

ディレクション費は何に払う費用か

ディレクション費は、制作会社側の進行役が行う「聞き取り、構成案づくり、進行表の管理、打ち合わせ、社内スタッフへの指示」に払う費用です。見積書では総額に対する比率で書く会社と、人日(1人が1日働く単位)で書く会社があります。

金額が変わるのは、打ち合わせの回数と関係者の人数です。決裁者が複数いて意見が分かれる、部署ごとに確認者が違う、という会社ほど進行の手間が増えるので、ディレクション費は上がります。

「一式」で書かれていたら、打ち合わせが何回まで含まれるか、構成案の作成が入っているかを聞きます。減額の交渉をするなら、自社側の窓口を1人に決め、社内の意見を窓口がまとめてから制作会社に伝える形にすると、根拠を持って減らせます。

デザイン費を左右する下層テンプレートの数

デザイン費は、ページ数ではなく「型の数」で決まります。トップページが1型、下層ページは会社概要型・サービス紹介型・一覧型・詳細型のようにテンプレートを作り、各ページはその型に流し込みます。10ページのサイトでも、型が3種なら3種分のデザイン費です。

見積書に「下層デザイン ○種」と書いてあれば、その数がデザイン費の根拠です。「全ページオリジナルデザイン」と書いてあると型の数がページ数と同じになるので、金額は大きく上がります。中小企業のコーポレートサイトでは、トップ1型と下層2〜3種で足りることが多いです。

デザイン費には修正回数の条件が紐づいています。回数と範囲の決め方は、ホームページ制作の修正回数と追加費用で詳しく解説しています。

コーディング費で確認するスマホ対応と動きの有無

コーディング費は、ページ数に単価を掛けた金額に、動きの分が足されます。コーディングとは、デザイン画像をブラウザで表示できるHTMLとCSSに書き起こす作業のことです。

確認するのは「レスポンシブ対応」の記載です。レスポンシブ対応とは、1つのページがPCとスマホの両方の画面幅に合わせて表示を切り替える作り方のことで、いまは標準ですが、テンプレート型の安価なプランでは別料金の例もあります。記載が無ければ聞きます。

スライダー、タブ、開閉するメニューのような動きは、1つ足すごとに費用が増えます。店舗やクリニックのように来訪者の多くがスマホで見る業種では、スマホでの表示確認を納品条件に入れておくと、公開後の崩れを防げます。

CMS構築費で確認する自社で更新できる範囲

CMS構築費は、「自社で更新できる範囲」で読みます。CMSとは、専門知識がなくても管理画面から文章や画像を差し替えられる仕組みのことで、WordPressが代表です。

更新できる範囲が「お知らせだけ」か、「実績・施工事例・採用情報も自社で追加できる」かで、構築費は変わります。範囲が広いほど構築費は上がりますが、公開後に制作会社へ更新を依頼する回数が減るので、月額の更新代行費は下がります。

見積書か提案書に「自社で更新できるページ」を書いてもらいます。書いていなければ、公開後はお知らせ以外の更新を制作会社に依頼する前提の見積書です。管理画面の操作レクチャーやマニュアルが含まれるかも、ここで聞きます。

コンテンツ制作費(原稿・写真)の担当分けと追加の判断

コンテンツ制作費は、誰が用意するかで消えたり増えたりする項目です。原稿作成費はページ単位、取材があれば取材費、撮影は半日か1日の日数単位で見積もられます。

「原稿・写真はお客様支給」と書いてある見積書は、その分の作業が自社に残ります。社内の誰が書くかを決めずに契約すると、書けないページから公開が止まります。

判断の分け方は、自社で書けるページと書きにくいページを分けることです。会社概要、アクセス、沿革は社内に事実がそろっているので自社で書けます。サービス紹介、選ばれる理由、事例は「相手にどう伝わるか」の視点が要るので、原稿作成を追加で依頼する候補です。事例ページの内訳は導入事例ページの制作費用で解説しています。

サーバー・ドメイン・SSLの年額と名義の見方

サーバー・ドメイン・SSLは、初期費用とは別に年額でかかる項目です。制作会社経由で契約するか、自社で契約するかで見積書への載り方が変わります。

見るのは名義です。ドメインの登録者名義が制作会社になっていると、別の会社に移りたいときに移管の交渉が要ります。「ドメインの登録者は当社名義ですか」と契約前に聞きます。

SSL(通信の暗号化)は、多くのレンタルサーバーで無料のものが使えます。有料SSLの行があれば、なぜ有料が要るのかを聞きます。費用が変わる要因はSSL化の費用は何で変わるかにまとめています。

保守・運用費に含まれる作業の見方

保守・運用費は「何をしてくれる月額か」で読みます。含まれることが多いのは、次の6つです。

  • WordPress本体とプラグインの更新
  • バックアップ
  • 表示の監視
  • 軽微な修正(月○回まで)
  • 更新代行
  • 相談窓口

金額が変わるのは、更新代行の回数、対応時間、緊急対応の有無です。「保守費 月額○円」の1行だけなら、含まれる作業の一覧をもらいます。内訳の見方はWordPress保守費用の相場と内訳で解説しています。

保守を付けない選択もできますが、WordPressの更新を誰も行わない状態が続くと、乗っ取りや表示崩れの原因になります。付けない場合は、更新とバックアップを社内の誰が行うかを決めてから契約します。

AIを使う制作会社の見積書で減る項目と減らない項目

AIを制作に使う会社の見積書では、原稿の下書き、画像のたたき台、構成案の初稿にあたる行が減りやすく、要件の聞き取り、事実確認、デザインの最終判断、公開作業とテスト、保守の行は減りません。

「AIで原稿を作成します」と書いてある見積書で確認するのは、事実確認を誰が行うかです。社名、数字、サービス内容、医療や士業なら法令上の表現を、人が確認する工程が見積書に含まれているかを聞きます。含まれていなければ、確認は自社の作業として残ります。

制作会社に依頼する前に、自社でAIを使って原稿の下書きまで作り、仕上げだけを依頼する進め方もあります。自社で作る場合の手順はAIホームページ作成5ステップにまとめています。

この章で押さえるのは、見積書の各行にはそれぞれ「金額を動かしている条件」があるということです。行ごとに条件を聞けば、減らせる行と減らさない方がよい行を自分で判断できます。

ホームページ制作費用の3つの帯と、見積書を自分で足し直す式

ホームページ制作費用は、作り方の帯ごとに金額の幅が変わります。見積書を固定費・変動費・年額の3つに分けて足し直すと、自社の条件がどの帯に入るかが分かります。

中小企業のホームページ制作費用を分ける3つの帯

制作会社のプランは、作り方でおおむね次の3つの帯に分かれます。帯ごとの金額は、地域や業種、ページ数、原稿と写真の担当で大きく変わるので、業種ごとの金額の目安は業種別ホームページ制作費用の相場に分けて書いています。ここでは帯の見分け方と、別料金になりやすい項目を押さえます。

作り方別料金になりやすいもの向いている会社
テンプレート型制作会社の既製デザインに写真と文章を流し込む原稿作成、撮影、ページ追加、デザイン変更会社案内が目的で、ページ数が少ない
オリジナル制作(中小の制作会社)要件の聞き取りから設計し、型を作って制作する取材、撮影、原稿作成は別行のことが多い問い合わせや採用を増やしたい、自社で更新したい
大規模・システム連携複数部署の合意形成と運用設計を含めて制作する要件定義と運用設計を含むため、別料金は少ない部署が多い、多言語、会員機能、既存システムとの連携がある

中小企業の見積書は、テンプレート型とオリジナル制作の境目に集まります。同じ会社が両方のプランを出していることも多く、どちらの帯の見積書かは「型の数」と「原稿と写真の担当」の行で見分けられます。

見積書を固定費・変動費・年額に分けて足し直す式

見積書の各行を、ページ数に関係なくかかる「固定費」、ページ数や型の数で増える「変動費」、公開後に毎年かかる「年額」の3つに振り分けます。振り分けると、総額の差がどこから来ているかが1行ずつ分かります。

  1. 固定費に振り分ける行。ディレクション費、サイト設計費、CMS構築費、テスト・公開作業費
  2. 変動費に振り分ける行。デザイン費(型の数×単価)、コーディング費(ページ数×単価)、原稿作成費(ページ数×単価)、撮影費(日数×単価)
  3. 年額に振り分ける行。サーバー・ドメイン・SSLの年額、保守・運用費の月額×12
  4. どこにも無い作業を「含まれない」欄に書き出す。原稿、写真、URL引き継ぎ、計測設定など

実際に振り分けた例が次の表です。単価はすべて計算を説明するために置いた仮の数字で、実際の単価は制作会社ごとに違います。この表の数字を相場として使わないでください。

振り分け見積書の行(仮の条件)仮の金額
固定費ディレクション費、サイト設計費、CMS構築費、テスト・公開作業費合計33万円
変動費デザイン3型、コーディング10ページ、原稿は自社支給、撮影半日合計40万円
初期費用の合計固定費+変動費73万円
年額サーバー・ドメイン2万円、保守月額1万円×12か月年14万円
3年総額初期費用+年額×3115万円

この形にしておくと、別の会社の見積書が「初期費用は安いが型が1種、原稿は支給、撮影なし」だった場合に、変動費の行だけを見比べて、差の理由を説明できます。

買い切り型と月額型を3年総額でそろえる計算

初期費用が安く月額が高い提案と、初期費用が高く月額が安い提案は、3年総額でそろえてから比べます。計算は「初期費用+(月額保守+サーバー・ドメインの年額÷12)×36」です。

上の仮の例(初期73万円、年14万円)の3年総額は115万円でした。別の提案が仮に初期50万円、月額3万円(保守とサーバー・ドメイン代を含む)なら、3年総額は50万円+3万円×36か月=158万円です。初期費用では安かった提案が、3年で見ると高くなります。

月額型の提案では、最低契約期間と、解約時にサイトのデータが手元に残るかで実質の総額が変わります。総額の出し方はサブスク型ホームページ制作の費用で詳しく解説しています。

この章で押さえるのは、見積書は帯を見分けてから、3つの箱に振り分けて3年総額で比べるということです。総額の1行だけを見て決めることがなくなります。

安い提案で見積書に含まれないことが多い12項目と確認の聞き方

安い見積書は、作業を減らしているか、作業を自社側に移しているかのどちらかです。どちらも悪いことではなく、含まれない項目を契約前に知っていれば、自社で用意するか追加で依頼するかを決められます。

含まれないことが多い項目含まれていないと起きること確認の聞き方
原稿作成全ページの文章を自社で書く。書けないページから公開が止まる「原稿は御社で作成ですか。当社支給の場合、必要なページと文字数の目安を教えてください」
写真撮影素材サイトの写真だけになり、同業他社と似た見た目になる「撮影は含まれますか。含まれない場合、半日撮影の追加費用はいくらですか」
ページ数の上限と追加単価公開直前に1ページ足すたびに追加請求が出る「上限は何ページで、1ページ追加の単価はいくらですか」
修正回数と範囲デザイン確定後の文言変更が有料になる「修正は何回まで、どの工程まで無料ですか」
スマホ表示(レスポンシブ対応)PCでは崩れていなくても、スマホで崩れる。または別料金になる「スマホ表示は含まれますか。確認に使う機種は何ですか」
問い合わせフォームの確認画面・自動返信・迷惑メール対策送信できるだけの簡素なフォームになり、営業メールが大量に届く「フォームは確認画面、自動返信、迷惑メール対策まで含みますか」
ドメイン・サーバーの契約名義解約時にドメインを持ち出せず、URLを変えることになる「ドメインの登録者名義は当社ですか。移管はできますか」
旧サイトのURL引き継ぎ(リダイレクト)旧URLがすべてエラーになり、検索からの流入が落ちる「旧サイトのURLからの転送設定は含まれますか」
GA4・Search Consoleの設定公開後に問い合わせが増えたか減ったかを数字で見られない「アクセス計測の設定は含まれますか。管理権限は当社にもらえますか」
公開後の保守(更新・バックアップ)WordPressが更新されず、乗っ取りや表示崩れのリスクが残る「保守に含まれる作業の一覧をください。保守なしの場合、当社で行う作業は何ですか」
解約時のデータの引き渡し別の会社に移るときに、サイトのデータをもらえない「解約時にサイトのデータ一式は引き渡されますか。費用はかかりますか」
最低契約期間と解約金(月額型)途中で解約すると残期間分を請求される「最低契約期間と、途中解約の条件を教えてください」

「一式」と書かれた行は、上の12項目のどれが入っていてどれが入っていないかを、文で書いてもらってから契約します。口頭で「含まれています」と聞いただけでは、担当者が変わったときに残りません。

内訳を聞くメールの文面例

見積書を受け取ったあと、内訳を聞くメールはそのまま送れる形にしておくと、3社に同じ質問ができます。次の文面をコピーし、[ ]の中を自社の状況に合わせて使ってください。

件名:お見積書の内訳についての確認

[制作会社名] [担当者名]様

お見積書をありがとうございます。
社内で他社と同じ条件で比較するため、次の点を教えてください。

1. 「デザイン費 一式」に含まれる、トップと下層テンプレートの種類数
2. 原稿と写真の担当(当社支給の場合、支給が必要なページと締切)
3. 修正の回数と範囲、超えた場合の単価
4. ページ数の上限と、追加1ページの単価
5. 公開後の月額に含まれる作業の一覧
6. ドメインとサーバーの契約名義、解約時のデータの扱い
7. 旧サイトのURLからの転送設定と、アクセス計測の設定の有無

お手数ですが、[○月○日]までにご返信いただけますと幸いです。

[会社名] [氏名]

この章で押さえるのは、安い提案は「含まれないものの一覧」を手に入れた時点で、はじめて比較できるということです。一覧が出てこない提案は、その時点で候補から外す判断もできます。

見積書の読み違いで起きる失敗と防ぎ方

見積書の読み違いは、総額を見た瞬間に起きます。次の4つは、見積書を比べる場面で実際に起きやすい失敗と、その防ぎ方です。

原稿込みと原稿別の見積書を総額で並べる失敗

3社から見積書を取り、A社が80万円、B社が120万円だったとします。A社は「原稿・写真はお客様支給」、B社は原稿作成と撮影が含まれていました。総額だけで比べてA社に決めると、契約後に原稿作成を追加で依頼することになり、結果としてB社と変わらない金額になります。

防ぎ方は、見積書を受け取ったら「ページ数と型の数」「原稿と写真の担当」「公開後の月額と名義」の3行を表にして、条件が違う行を先に埋めることです。条件をそろえた状態で、はじめて総額を並べます。

ディレクション費を減らして打ち合わせも減る失敗

ディレクション費が総額の2割近くあるのを見て減額を交渉し、応じてもらえたとします。減額の代わりに打ち合わせ回数が減り、要件のすり合わせが薄いままデザインに進みます。デザイン確定後に「思っていたものと違う」となり、修正回数を超えて追加費用が出ます。

防ぎ方は、減額を依頼するときに「代わりに自社で行うこと」を決めることです。社内の窓口を1人にする、構成案のたたき台を自社で用意する、のどちらかを引き受けると、減った打ち合わせの分を自社側で補えます。

初期費用で決めてドメインが制作会社名義のままになる失敗

初期費用が安い提案に決め、ドメインとサーバーは制作会社経由で契約しました。3年目に別の会社に移ろうとしたところ、ドメインの登録者名義が制作会社で、移管に時間と費用がかかると分かります。URLを変えると、これまでの検索からの流入や名刺に書いたURLが使えなくなります。

防ぎ方は、契約前に「ドメインの登録者名義は当社」と見積書か契約書に書いてもらうことです。制作会社経由の契約でも、名義を自社にできる場合が多いので、できるかどうかを契約前に確認します。すでに公開済みのサイトなら、ドメインの管理画面で登録者を確認します。

「原稿はお客様支給」で公開が半年延びる失敗

原稿を自社で書く前提で契約し、初期費用を抑えました。デザインとコーディングは1か月で終わりましたが、サービス紹介ページの原稿が社内で書けず、公開が半年延びます。制作会社側も待機になるので、関係も悪くなります。

防ぎ方は、支給する原稿の締切を工程表に入れ、締切までに書けなかったページは原稿作成を追加で依頼する、と契約時に決めておくことです。会社概要やアクセスのように社内に事実があるページだけを自社で書き、サービス紹介や事例は最初から依頼する分け方が、公開が止まりにくい形です。

この章で押さえるのは、失敗の入口は「総額」と「初期費用」の2つの数字だということです。条件の表と3年総額を先に作れば、この4つの失敗は契約前に止められます。

相見積もりを取る側の落とし穴と、現場で決めている妥協点

相見積もりは、各社に同じ条件を渡さないと比べられません。ただし条件を完全にそろえるのは難しいので、現場では「そろえる項目」を絞って比べています。

相見積もりで各社に渡す条件の文面例

各社に「ホームページを作りたいので見積もりをください」とだけ伝えると、A社は5ページ、B社は15ページ、C社はLP1枚の提案で返ってきて、比べられません。目的、ページ構成、原稿と写真の担当、CMS、公開後の希望を1通の文面にして、全社に同じものを渡します。

件名:ホームページ制作のお見積もり依頼(同条件で3社に依頼しています)

【目的】[例:問い合わせを月3件から10件に増やしたい。目的は1つに絞る]
【見せたい相手】[例:県内の製造業の購買担当者]
【ページ構成】トップ、サービス紹介[○]ページ、事例[○]ページ、会社概要、採用、お問い合わせ(計[○]ページ)
【原稿・写真】原稿は会社概要とアクセスのみ当社で用意し、他のページは作成を含めてください。写真は半日の撮影を含めてください
【CMS】WordPressで、お知らせと事例を当社で追加できる形
【現サイト】あり(URL:[○○])。旧URLからの転送設定を含めてください
【公開希望】[○年○月]
【公開後】保守の月額と、含まれる作業を別枠で記載してください
【見積書の形式】一式ではなく、項目ごとの金額でお願いします

この文面で依頼しても、各社の構成案は少しずつ違って返ってきます。それは提案の差なので、無理にそろえません。比べるのは「同じ条件で受けたときの各行の単価」と「含まれないものの一覧」の2つです。

内訳が細かい見積書と提案の質は別もの

内訳が細かく書かれた見積書は読みやすいですが、細かさと提案の質は別です。行数が多くても、なぜそのページ構成なのか、誰に見せるページなのかが説明されていなければ、作るものの中身は決まっていません。

見積書と一緒に見るのは、提案書の「ページ構成の理由」です。「サービス紹介を3ページに分けるのは、検索する言葉が3種類あるため」のように、構成の理由が書かれている提案は、公開後に問い合わせが来るかどうかまで考えて作られています。

中小企業のサイトで現場が削る項目と削らない項目

予算に合わせて見積書を調整するとき、現場で削っている項目と、削らないよう勧めている項目は決まっています。

分類項目どうするか・理由
削る項目全ページオリジナルデザイントップ1型+下層2〜3種にする
削る項目撮影1日半日にして、トップと主要ページの写真だけ撮る
削る項目原稿作成自社で書けるページと、依頼するページに分ける
削らない項目CMSで自社更新できる範囲削ると、月額の更新代行が増える
削らない項目旧URLからの転送設定削ると、検索からの流入が落ちる
削らない項目WordPressの更新とバックアップ削ると、乗っ取りの原因になる
削る前に聞く項目ディレクション費減らすなら、自社で窓口を1人にする
削る前に聞く項目アクセス計測の設定公開後に効果を数字で見るために要る

この分け方は、自社で削れる作業を引き受ける代わりに費用を下げるものです。削った項目の作業は社内に残るので、誰が行うかを決めてから減らします。

自社で行う範囲と、制作会社に依頼する範囲

自社で行う範囲は、次の3つです。

  • 会社概要やアクセスのように、社内に事実がそろっているページの原稿
  • 写真素材の提供
  • 公開後のお知らせと実績の更新

制作会社に依頼する範囲は、次の4つです。

  • どのページを誰に見せるかの設計
  • サービス紹介や事例の原稿の仕上げ
  • デザインと実装
  • URLの引き継ぎと公開作業

設計から依頼すると、手元には「どのページを誰に見せるか」を決めた構成表と、公開後にお知らせと実績を社内で更新できる管理画面が残ります。検索とAI検索の両方から入口ができる形にしたい場合は、設計から始めるホームページ制作のように、見積もりの前にページ構成を決める進め方の会社に依頼します。

この章で押さえるのは、相見積もりは条件の文面を1通作れば成立し、削る項目は「社内に残る作業を誰が行うか」とセットで決めるということです。

見積書を読めるようになると、稟議と契約で変わること

見積書を項目ごとに読めるようになると、稟議書に「何にいくら」と「3年でいくら」を書けるようになり、契約書に追加費用の発生条件を文で入れられるようになります。

  • 稟議書に書けること:固定費・変動費・年額の内訳と3年総額。「なぜこの会社か」を、型の数や原稿の担当の違いで説明できます。費用を資産にするか経費にするかの判断はホームページリニューアル費用の勘定科目で解説しています
  • 契約書に入れられること:ページ追加の単価、修正回数の上限、原稿の締切と書けなかった場合の扱い、ドメインの名義、解約時のデータの引き渡し
  • 公開後に見られること:アクセス計測の設定を含めておけば、問い合わせが増えたか減ったかを月ごとの数字で確認できます

見積書の段階でうまく進んでいる会社には、次の3つの共通点があります。

  • 原稿の担当と締切を、契約前に決めている
  • 公開後に更新する担当者を決めている
  • 社内の窓口を1人にしている

どれも見積書を読む段階で決められることです。

ホームページ制作の見積書についてよくある質問

見積書のディレクション費が総額の2割近くあります。減らしてもらえますか?

減らせますが、減った分の進行管理は自社に残ります。まず打ち合わせ回数、構成案の作成、進行表の管理のどれが含まれているかを聞き、自社で引き受けられるもの(窓口を1人にする、構成案のたたき台を用意する)を伝えたうえで減額を相談します。

「デザイン費 一式」としか書かれていない見積書は、何を聞けば内訳が出ますか?

トップと下層テンプレートの種類数、修正回数、スマホ表示が含まれるかの3つを聞きます。この3つが分かれば、他社のデザイン費と同じ条件で比べられます。本文のメール文面例をそのまま送ると、3社に同じ質問ができます。

原稿を自社で書くと、見積書のどの行が減りますか?

減るのは「原稿作成費」の行で、ページ単位で見積もられていることが多いので、自社で書くページの分がそのまま減ります。ただし書けないページがあると公開が止まるので、会社概要やアクセスのように社内に事実があるページだけを自社で書き、サービス紹介や事例は依頼する分け方が安全です。

見積書にサーバー代やドメイン代が入っていないのは普通ですか?

普通です。サーバーとドメインは年額で別途かかる項目で、自社で契約するか制作会社経由で契約するかを選びます。見積書に無い場合は、年額の目安と、ドメインの登録者名義を自社にできるかを契約前に確認します。

他社より高い見積書は、どの行を疑えばいいですか?

高い理由はたいてい、次の3つのどれかです。

  • 型の数やページ数が多い
  • 原稿作成、撮影、取材が含まれている
  • 予約や会員のような機能が入っている

該当する行を見つけて、自社に要らないものを外す相談をします。理由が3つのどれにも当てはまらなければ、内訳を文で書いてもらいます。

今日できる最初の一歩は、手元の見積書に「ページ数と型の数」「原稿と写真の担当」「公開後の月額」の3行があるかを確認し、無い行を余白に書き足すことです。1分で終わります。見積書の先にある制作会社そのものの選び方は、ホームページ制作会社の選び方で解説しています。

見積書は読めるようになったものの、そもそもどのページを誰に見せるサイトにするかが決まっていない、という方も多いはずです。コレットラボでは、ページ構成と原稿の担当を先に決めてから見積もりを出しています。手元の見積書を見ながらお話を伺うだけでも大丈夫ですので、内訳を先に示すホームページ制作のページからお気軽にご相談ください。

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